(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下添付図面に従って、
本発明に係るテープ剥離装置の好ましい実施の形態について詳述する。
【0029】
図1は、本発明のテープ剥離装置が組み込まれたテープ剥離洗浄ラインの各ステーションを説明する説明図である。
【0030】
図1に示すように、テープ剥離洗浄ライン10は、供給ステーション12と、本発明のテープ剥離装置を有するテープ剥離ステーション14と、検査ステーション16と、洗浄ステーション18と、乾燥ステーション20と、収納ステーション22と、の各ステーションで構成される。そして、供給ステーション12から収納ステーション22まで被貼着体W(
図2参照)を連続搬送する搬送ライン24が設けられている。
【0031】
供給ステーション12では、積載されたテープ剥離前の被貼着体Wをテープ剥離ステーション14に供給する。被貼着体Wの供給手段としては、例えば積層状に積載された被貼着体W(テープTが貼着されたもの)を一枚ずつ吸盤26Aに吸着してテープ剥離ステーション14に供給する供給ロボット26を使用することができる(
図3参照)。
【0032】
テープ剥離ステーション14は、本発明の実施の形態のテープ剥離装置28を有し、「被貼着体WのテープTに加圧水を吹き付けてテープTを被貼着体Wから
剥離する」テープ剥離方法を行う。
【0033】
検査ステーション16では、例えば図示しない撮像手段(CCDカメラ等)により被貼着体Wの表面を撮像し、撮像結果を解析することによって被貼着体WからテープTが剥離されたことをチェックする。そして、テープ剥離が不完全な被貼着体Wは上記した搬送ライン24から除去される。
【0034】
洗浄ステーション18は、被貼着体Wの裏面を洗浄する加圧水洗浄装置30(
図8参照)を有し、テープ剥離後の被貼着体Wの裏面を洗浄する。加圧水洗浄装置30については詳しく後述する。
【0035】
乾燥ステーション20では、裏面洗浄した後の被貼着体Wを乾燥する。被貼着体Wの品質に悪影響のない乾燥方法であればどのような乾燥でもよいが、例えば熱風乾燥を好適に使用することができる。
【0036】
収納ステーション22では、乾燥後の被貼着体Wを一枚ずつ受け取り、例えば図示しないラックに積載収納する。被貼着体Wの収納手段としては、供給ロボット26と同様な回収ロボット(図示せず)を使用することができる。即ち、回収ロボットは、搬送ライン24の終点位置に搬送された被貼着体Wを一枚ずつ吸盤に吸着して収納ステーション22に運びラック内に収納する。
【0037】
なお、搬送ライン24は、被貼着体Wを連続搬送できればよく、各ステーションの搬送方式が同じであることを意味しない。
次に、テープ剥離ステーション14に組み込まれた本発明の実施の形態のテープ剥離装置28について説明する。
【0038】
なお、本発明の実施の形態のテープ剥離装置28でテープ剥離される被貼着体Wは、被貼着体Wの少なくとも裏面が磁石に吸着可能な材質で形成されていることが前提であり、形状としては板状であることが好ましい。
【0039】
図2は、本実施の形態において、テープ剥離装置28でテープ剥離される被貼着体Wの一例を示した斜視図である。
【0040】
図2に示すように、テープTが貼着された被貼着体Wは、中央に四角い開口Hを有する四角い薄板状のフレームとして形成され、電子部品が搭載される表面の開口側部分に四角形状になるようにテープT(例えば保護テープ)が貼着されている。
図2において、矢印は被貼着体Wが搬送される方向を示し、W
Aは搬送方向から見た被貼着体Wの側辺を示す。
【0041】
磁石に吸着可能な材質の被貼着体Wとしては、例えばフェライト系ステンレスやマルテンサイト系ステンレス(JIS400番台)を使用できる。
【0042】
[テープ剥離装置]
図3は本発明の実施の形態のテープ剥離装置28の全体構成を説明する側面図であり、
図4は主要部分の斜視図である。
【0043】
図3及び
図4に示すように、本実施の形態のテープ剥離装置28は、主として被貼着体WのテープTに加圧水を吹き付けてテープTを被貼着体Wから剥離するテープ剥離部32と、テープ剥離前の被貼着体Wをテープ剥離部32に搬入し、テープ剥離後の被貼着体Wをテープ剥離部32から搬出する被貼着体搬送手段34と、テープ剥離装置28を制御する制御手段35(
図3参照)と、で構成される。
【0044】
テープ剥離部32及び被貼着体搬送手段34は装置フレーム36に設けられる。また、本実施の形態では、テープ剥離洗浄ライン10の全体を制御する制御手段35でテープ剥離装置28も制御する例で説明するが、テープ剥離装置28の専用の制御手段を設けてもよい。
【0045】
なお、
図3及び
図4において、被貼着体搬送手段34による被貼着体Wの搬送方向をY軸方向、水平面上でY軸方向に直交する方向をX軸方向、テープ剥離装置28の高さ方向をZ軸方向として説明する。
【0046】
(被貼着体搬送手段)
被貼着体搬送手段34は、主として、磁石に吸着しにくい材質で水平方向に配設された長尺な板であって、被貼着体Wが載置されると共にテープ剥離部32が板の上方側に配設された載置板38と、被貼着体Wが載置板38に載置される際に載置板38の幅方向(X軸方向)に対する被貼着体の幅方向(X軸方向)の位置決めを行う位置決め手段40と、載置板38の下方側に配設され、載置板38に載置された被貼着体Wの裏面を載置板38を介して吸着及び脱着する磁石手段42と、載置板38の下方側に配設され、磁石手段42を載置板38の長尺方向(Y軸方向)において往復移動させる往復移動手段44と、被貼着体Wを載置板38の終点位置である送出位置から検査ステーション16に送出する送出手段45と、で構成される。
【0047】
なお、テープ剥離部32は、載置板38の長手方向の略中央の位置に設けられることが好ましい。また、制御手段35が磁石手段42の吸着及び脱着のタイミング及び往復移動手段44の往復タイミングを制御する。
【0048】
図3及び
図4に示すように、載置板38は磁石に吸着しにくい材質で水平方向に配設された長尺な四角板で形成され、載置板38の上方側と下方側との間で水等の液体の通過はない。載置板38は4隅が装置フレーム36の床面36Aに立設された4本の支柱37,37…に支持される。
磁石に吸着しにくい(全く吸着しない場合も含む)材質の載置板38としては、例えばオーステナイト系ステンレス(JIS300番台)を使用することができる。
【0049】
そして、載置板38に載置された被貼着体Wの裏面を載置板38を介して磁石手段42で吸着した状態で、往復移動手段44により磁石手段42を被貼着体Wの搬送方向である載置板38の長手方向(Y軸方向)に移動させる。これにより、被貼着体Wは磁石手段42の移動に伴って載置板38の上を滑るようにY軸方向に移動するので、被貼着体Wをテープ剥離部32に搬入したり、テープ剥離部32から搬出したりすることができる。
【0050】
このように、本発明における被貼着体搬送手段34は、被貼着体Wが載置板38の上を滑ることにより、被貼着体Wを移動させる搬送方式なので、載置板38の上面(被貼着体Wが載置される面)には多数の半球体状の微小突起46,46…が形成されている。これにより、被貼着体Wの裏面と載置板38の上面との接触面積が小さくなり滑り摩擦を小さくできるので、被貼着体Wをスムーズに搬送することができる。
【0051】
載置板38の上面に形成される半球体状の微小突起46の大きさ(半球体の直径)は、被貼着体Wの滑り摩擦を小さくできること、被貼着体Wを磁石手段42で載置板38を介して吸着できること、載置板38の上面に水が溜まりにくいこと等の条件を満足するように設計することが好ましく、例えば直径が10〜20mm程度が適当である。
【0052】
載置板38に載置される被貼着体Wは、位置決め手段40によって載置板38の幅方向(X軸方向)に対する被貼着体Wの幅方向(X軸方向)の位置決めが行われる。位置決めを行う理由については後記するテープ剥離部32で説明する。
【0053】
図3及び
図4に示すように、位置決め手段40は、主として被貼着体Wを搬送するベルトコンベア48と、ベルトコンベア48で搬送される被貼着体Wの両側辺W
A,W
A(
図2参照)に当接して回転する複数のガイドローラ50,50…と、ベルトコンベア48を上下動させる上下動手段52と、で構成される。ベルトコンベア48及びガイドローラ50は装置フレーム36の内部に設けられた支持フレーム54に設けられ、装置フレーム36の底部36Aに立設された上下動手段52に支持フレーム54が支持される。
【0054】
ベルトコンベア48は、載置板38の両側にY軸方向に平行走行する一対の無端状ベルト56,56を有する。一対の無端状ベルト56,56は、支持フレーム54に回転自在に支持された複数の搬送用ローラ58に掛け渡される。これにより、載置板38と平行な搬送部分を有するベルトコンベア48が形成される。そして、複数の搬送用ローラ58の1つを回転駆動することで一対の無端状ベルト56,56を回転し、被貼着体Wを搬送する。ベルトコンベア48の駆動は制御手段35によって制御される。
【0055】
複数のガイドローラ50は、ベルトコンベア48の両側にY軸方向に等間隔で配置され、ベルトコンベア48で搬送される被貼着体Wの両側辺W
A,W
Aに当接して回転する。これにより、被貼着体Wの搬送をガイドすると共に搬送先である載置板38の幅方向に対する被貼着体Wの幅方向の位置決めを行う。
【0056】
上下動手段52は、ベルトコンベア48及びガイドローラ50が設けられた支持フレーム54を上下動させる。そして、ベルトコンベア48が載置板38の上方に位置する待機位置と、一対の無端状ベルト56,56と載置板38との高さが同じになる被貼着体Wの受け渡し位置との間で上下動する。上下動手段52としては、例えば
図3に示すようにシリンダ装置を使用することができる。上下動手段52は制御手段35によって制御される。これにより、載置板38の幅方向に対する被貼着体Wの幅方向の位置決めをした状態で、被貼着体Wをベルトコンベア48から載置板38に受け渡すことができる。
【0057】
図5は、被貼着体搬送手段34の磁石手段42を説明する斜視図である。
図5に示すように、磁石手段42は、主として、載置板38の下方に載置板38の面と平行な面を有して設けられた板状の磁石保持板60と、磁石保持板60の載置板38側に配設された複数の永久磁石62,62…(
図5では4個)と、磁石保持板60を昇降させることによって載置板38に載置された被貼着体Wの裏面を載置板38を介して吸着及び脱着する昇降手段64と、で構成される。
【0058】
図5に示すように、矩形板状の磁石保持板60の4隅からX軸方向に張り出した張り出し板60A,60A…に永久磁石62,62…がそれぞれ固定され、合計4個固定される。
【0059】
4個の永久磁石62の吸着面62Aは面一になるように形成されていると共に4個の永久磁石62の吸着面62Aは磁石保持板60の上面60Bから僅かに(例えば1〜2mm程度)突出させることが好ましい。これにより、4個の永久磁石62の吸着面62Aが載置板38の裏面に均等に当接すると共に、磁石手段42を載置板38の長手方向(Y軸方向)に移動させたときに、磁石保持板60の上面60Bと載置板38の下面とが擦れない。したがって、載置板38に対する磁石手段42の移動をスムーズに行うことができる。
【0060】
なお、本実施の形態では、磁石保持板60の4隅に永久磁石62をそれぞれ設けたが、永久磁石62の配置位置や数は特に限定されない。要は載置板38に載置された被貼着体Wの裏面を載置板38を介して確実に吸着できればよい。
【0061】
更には、磁石保持板60の4隅の張り出し板60AのY軸方向の間には、Y軸方向に回転自在に支持された補助ローラ68が合計4個設けられる。即ち、磁石保持板60の幅方向(X軸方向)両側に2個ずつ補助ローラ68が設けられる。
【0062】
これにより、載置板38に載置された被貼着体Wの裏面を載置板38を介して吸着したときに、4個の永久磁石62と一緒に4個の補助ローラ68が載置板38の裏面に当接する。そして、磁石手段42を載置板38の長手方向(Y軸方向)に移動させたときに、補助ローラ68が載置板38の裏面を載置板38の長手方向(Y軸方向)に回転走行するので、磁石手段42の移動を一層スムーズに行うことができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、補助ローラ68を合計で4個設けたが、補助ローラ68の配置位置や数は特に限定されない。要は補助ローラ68によって磁石手段42の移動をスムーズに行えればよい。
【0064】
また、
図5に示すように、昇降手段64としては、磁石保持板60を載置板38に対して接離(接近及び離間)できるものであればどのようなものでもよいが、本実施の形態のようにピストンロッド64AがZ軸方向に伸縮するシリンダ装置を好適に使用できる。
【0065】
昇降手段64としてシリンダ装置を使用した場合、ピストンロッド64Aの先端と磁石保持板60とは球体継手70で連結されていることが好ましい。これにより、ピストンロッド64Aの先端に磁石保持板60を首振り自在に支持することができる。したがって、ピストンロッド64Aの伸縮方向が載置板38に対して完全に直交していなくても、磁石保持板60を上昇させて永久磁石62を載置板38の裏面に当接させたときに、磁石保持板60は載置板38の裏面の向きに倣って首振りする。この結果、4個の永久磁石62を載置板38の裏面に確実に当接させることができるので、載置板38に載置された被貼着体Wを4個の永久磁石62で確実且つ均等に吸着することができる。
【0066】
往復移動手段44は、磁石手段42を載置板38の長尺方向(Y軸方向)に精度良く往復移動できればどのような手段でもよいが、本実施の形態のようにボールネジ方式の往復移動手段を好適に使用できる。
【0067】
図3及び
図4に示すように、ボールネジ方式の往復移動手段44は、主として、ボールネジ72と、ボールネジ72を正逆回転するサーボモータ74と、ボールネジ72に螺合するナット部材76と、ナット部材76がスライド自在に支持されるレール78とで構成される。
【0068】
即ち、載置板38の下方で装置フレーム36の床面36Aに、載置板38と平行(Y軸方向に平行)に長尺な基台80が設けられる。この基台80上にレール78がY軸方向に敷設され、レール78上にはリニアガイド82を介してナット部材76がスライド自在に支持される。また、ナット部材76には磁石手段42の昇降手段64を搭載する搭載台84が設けられる。ナット部材76には、Y軸方向に配設されたボールネジ72が螺合し、ボールネジ72の両端部は基台80の両端部に配設された一対の軸受86,86に支持される。また、ボールネジ72の一端は一方の軸受86を貫通して基台80に固設されたサーボモータ74に連結される。
【0069】
これにより、サーボモータ74の正逆回転によって、ナット部材76はレール78上を往復移動するので、ナット部材76に搭載台84を介して搭載された磁石手段42がY軸方向に往復移動する。したがって、載置板38に載置された被貼着体Wの裏面を載置板38を介して磁石手段42の4つの永久磁石62で吸着した状態で被貼着体Wをテープ剥離部32に搬入、搬出することができる。
【0070】
被貼着体Wを載置板38上で搬送する搬送速度としては、テープ剥離の効率化及び被貼着体Wの搬送精度を考慮すると10〜30m/分の範囲が好ましい。ここで、搬送精度とは、被貼着体Wの搬送中に被貼着体Wと永久磁石62との間で吸着ズレがない状態で搬送できることをいう。
【0071】
搭載台84に搭載される磁石手段42は1基でもよいが、載置板38の長尺方向(Y軸方向)に長い長尺な搭載台84として、長尺方向の両端部にそれぞれ磁石手段42(42A、42B)を設けることが好ましい。即ち、ナット部材76の往復動作によって、位置決め手段40から載置板38に被貼着体Wを受け渡す受け渡し位置とテープ剥離部32との間で往復する搬入用磁石手段42Aと、テープ剥離部32と載置板38の終端部位置との間で往復する搬出用磁石手段42Bと、の2基設けることが好ましい。これにより、テープ剥離部32に対する被貼着体Wの搬入と搬出とを同時に行うことができるので、テープ剥離のタクト時間を短くすることができる。
【0072】
送出手段45は、上記した位置決め手段40からガイドローラ50を除いた以外は同様の構造に形成される。即ち、平行な一対の無端状ベルト56,56が複数の搬送用ローラ58に掛け渡されてベルトコンベア48が形成され、ベルトコンベア48が支持フレーム54に支持される。そして、支持フレーム54を上下動手段52で上下動することで、載置板38の下方に位置するベルトコンベア48を載置板38の高さまで上昇させ、載置板38に載置された被貼着体Wの両端部を一対の無端状ベルト56で掬うように受け取る。そして、受け取った被貼着体Wを検査ステーション16に搬送する。
【0073】
なお、送出手段45は上記構造に限定するものではなく、テープ剥離ステーション14から検査ステーション16に被貼着体Wを送出できればよい。
【0074】
(テープ剥離部)
図3及び
図4に示すように、テープ剥離部32は、主として、加圧水を噴出する加圧水噴出ガン88と、加圧水噴出ガン88から噴出される加圧水の飛散を防止すると共に被貼着体Wの搬入口90と搬出口92とが形成され、載置板38を底面としたチャンバー94と、チャンバー94の下方にチャンバー94に連通して設けられ、被貼着体Wから剥離されたテープを加圧水噴出ガン88から噴出された加圧水と一緒に回収するテープ回収手段96(
図7参照)と、で構成される。
【0075】
なお、
図3及び
図4には、図を分かり易くする関係からテープ回収手段96は省略して図示しており、
図7にテープ回収手段96を示した。また、
図6に加圧水噴出ガン88の詳細を示す。
【0076】
チャンバー94は、上面と下面とが開口された四角筒状に形成され、被貼着体Wが搬入される正面下部と搬出される背面下部にコ字形状の切り欠きが形成される。そして、チャンバー94の下面開口が載置板38の長手方向の中央部で閉塞される。これにより、上面が開口された箱型のチャンバー94が形成されると共に、被貼着体Wの搬入口90と搬出口92が形成される。そして、チャンバー94の内部に加圧水噴出ガン88のノズルヘッド98(
図6参照)が設けられ、チャンバー94により加圧水噴出ガン88から噴出される加圧水の飛散を防止する。
【0077】
チャンバー94における被貼着体Wの搬入口90と搬出口92には、それぞれ上下動して開閉するシャッター(図示せず)を設けることが好ましい。シャッターの駆動手段については例えばシリンダ装置を使用することができる。また、シャッターの駆動は制御手段35により制御される。即ち、被貼着体Wのテープ剥離部32への搬入時及び搬出時はシャッターを開き、加圧水噴出ガン88から加圧水が噴出されて被貼着体Wのテープ剥離時はシャッターが閉じられる。これにより、加圧水噴出ガン88から噴出される加圧水の飛散を一層確実に防止できる。
【0078】
また、加圧水噴出ガン88は、載置板38の長尺方向(Y軸方向)と幅方向(X軸方向)に移動可能なX−Y移動機構100に支持される。即ち、装置フレーム36のY軸方向に平行な一対の上梁102,102にY軸アクチュエータ104とY軸レール106とが固定され、Y軸アクチュエータ104とY軸レール106とを跨いでX軸アクチュエータ108がスライド自在に支持される。これにより、X−Y移動機構100が形成される。
【0079】
また、X軸アクチュエータ108にスライダー110がスライド自在に支持され、スライダー110にホルダー112を介して加圧水噴出ガン88が保持される。
【0080】
そして、被貼着体Wがテープ剥離部32のチャンバー内94に搬入され、載置板38上のテープ剥離位置に停止した後、加圧水噴出ガン88は被貼着体Wの幅方向(X軸方向)と長さ方向(Y軸方向)とに移動しながら加圧水を被貼着体Wに向けて噴出させてテープTに吹き付ける。これにより、被貼着体Wに貼着されたテープTを剥離する。
【0081】
加圧水噴出ガン88をX軸方向及びY軸方向に移動させる移動プログラムは、チャンバー94内における被貼着体Wのテープ剥離位置及び被貼着体Wに貼着されたテープTの貼着位置に応じて予め制御手段35にプログラミングされている。したがって、テープ剥離位置である被貼着体Wの停止位置(Y軸方向位置)及び被貼着体Wの幅方向位置(X軸方向位置)は加圧水噴出ガン88の移動プログラムに対応して正確に位置決めすることが必要になる。特に、
図2の被貼着体Wのように、四角いフレームの開口側部分にのみ四角状のテープTが貼着されている場合、テープ剥離を行うには被貼着体WのテープTのある領域に加圧水を集中的に吹き付けることが必要になる。
【0082】
この場合、停止位置については、制御手段35が被貼着体搬送手段34を制御して搬入用磁石手段42A停止位置を制御すればよい。しかし、上記したように被貼着体搬送手段34は載置板38を介して磁石手段42で被貼着体Wの裏面を吸着した状態でテープ剥離部32に搬入する方法であり、幅方向位置については被貼着体Wを搬入用磁石手段42Aに吸着した時点で決定してしまう。したがって、被貼着体Wを磁石手段42で吸着したときに移動プログラムに対する被貼着体Wの幅方向(X軸方向)にズレがあると、テープ剥離部32でのテープ剥離性能に悪影響がでることが懸念される。
【0083】
この対策として、本実施の形態における被貼着体搬送手段34では、被貼着体Wを磁石手段42で吸着する前に、上記した位置決め手段40によって被貼着体Wを載置板38に受け渡す際に載置板38に対する被貼着体Wの幅方向位置がテープ剥離部32での幅方向位置になるように予め位置決めするようにした。これにより、テープ剥離性能を向上できる。
【0084】
なお、上記した供給ステーション12の供給ロボット26(
図2参照)に、載置板38の幅方向に対する被貼着体Wの幅方向の位置決めを行う機能を持たせた場合には、被貼着体搬送手段34の位置決め手段40を省略することができる。また、被貼着体搬送手段34にY軸方向への移動機能に加えてX軸方向への移動機能を持たせることで位置決め手段40を省略することができる。しかし、これらの方法は構造が複雑になり装置コストが高くなる。
【0085】
図6は、加圧水噴出ガン88を説明する説明図である。
図6の(A)に示すように、加圧水噴出ガン88は、主として加圧水を噴出するノズルヘッド98と、ノズルヘッド98を揺動回転させる揺動回転機構114と、で構成される。
【0086】
ここで揺動回転とは、ノズルヘッド98が軸芯を中心とした回転運動(自転)と、ノズルヘッド98の軸芯が円周軌跡を描いて移動(揺動)する円周運動(公転)との2つの運動を組み合わせた複合回転運動を行うことを言う。
【0087】
図6の(A)に示すように、加圧水噴出ガン88を保持するホルダー112は箱型に形成され、ホルダー112内部に揺動回転機構114と揺動回転機構114に回転動力を付与するモータ116とが設けられる。また、ホルダー112の一方端側の上面と下面とには、上面開口118と下面開口120とが形成される。
【0088】
揺動回転機構114は、ホルダー112内部の上面開口118位置に軸受部材122が固設され、軸受部材122に中空なスピンドル124が縦向きに回転自在に支持される。そして、スピンドル124の上端にロータリジョイント126を介して加圧水配管128の下端が連結されると共に上端に加圧水ホース130(耐圧ホース)が連結される。これにより、スピンドル124が回転しても、加圧水配管128や加圧水ホース130は回転しない。
【0089】
また、加圧水ホース130は、図示しない加圧水供給手段(例えば超高圧プランジャーポンプ)が連結され、加圧水噴出ガン88のノズルヘッド98には高圧な加圧水が供給されて被貼着体Wに吹き付けられる。加圧水噴出ガン88から噴出される加圧水の水圧力としては、30〜100MPaの範囲が好ましく、30〜50MPaの範囲がより好ましい。加圧水噴出ガン88から噴出される加圧水の水量としては、15〜25リットル/分の範囲が好ましい。また、ノズルヘッド98の噴出ノズル132が形成される噴出面98Aと被貼着体の距離は20〜30mmの範囲が好ましい。
【0090】
また、中空なスピンドル124の下端にスピンドル124と同じ回転軸芯L1を有する円板状の中空な偏心板134の上面中心が固設される。これにより、スピンドル124と偏心板134とは連通し、加圧水の流路が形成される。また、偏心板134の側面にバランスウエイト136が設けられる。
【0091】
一方、偏心板134の下面であってスピンドル124の回転軸芯L1に対して偏心した偏心軸芯L2の位置に、ノズルヘッド98のノズル配管138の上端が固設されると共に、ノズル配管138の軸芯が偏心軸芯L2に一致する。これにより、ノズルヘッド98はノズル配管138、中空な偏心板134、中空なスピンドル124、加圧水配管128、及び加圧水ホース130を介して加圧水供給手段に連結される。
【0092】
また、軸受部材122から突出したスピンドル124の下端部にプーリ140が設けられる。一方、ホルダー112内部には軸受部材122と並列してモータ116が下向きに固設され、モータ回転軸116Aにプーリ142が設けられる。そして、モータ116のプーリ142とスピンドル124のプーリ140との間にタイミングベルト144が掛け渡される。
【0093】
これにより、モータ116を駆動するとスピンドル124が回転し、偏心板134を介してノズルヘッド98が偏心回転するので、ノズルヘッド98は回転運動と円周運動との2つの運動を組み合わせた複合回転運動である揺動回転を行う。
【0094】
また、
図6の(B)に示すように、揺動回転を行うノズルヘッド98は円筒状に形成され、噴出面98Aに複数の噴出ノズル(噴出口)132,132…を有する。本実施の形態では9個のノズル噴出口132を格子状に配置した。
【0095】
このように、ノズルヘッド98が揺動回転することにより、回転(自転)だけの場合に比べて加圧水噴出ガン88から噴出されて被貼着体Wに衝突する加圧水の衝突軌跡が重なり合うので、加圧水の衝突密度を高くすることができる。更には、揺動回転するノズルヘッド98に複数の噴出ノズル132(噴出口)を形成することで、加圧水の衝突密度を一層高くすることができる。これにより、被貼着体WのテープTを剥離する剥離力が大きくなる。
【0096】
(
テープ回収手段)
図7は、テープ回収手段96を説明する説明図であり、(A)は斜視図、(B)側面図である。なお、被貼着体搬送手段34や加圧水噴出ガン88等は図示していない。
【0097】
図7に示すように、テープ回収手段96は、主として、テープ回収用ガン146と、貯留タンク148と、載置板38に開口された回収用開口150と、回収用開口150と貯留タンク148とを繋ぐダクト152とで構成される。
【0098】
テープ回収用ガン146は、チャンバー94の左右の側板94A,94Aのうち、載置板38に開口された回収用開口150とは逆の側板94Aに設けられる。テープ回収用ガン146は、Y軸方向に一定の間隔を置いて支持された複数(
図7では6個)の噴出ノズル146A、146A…で構成され、噴出ノズル146Aは図示しない加圧水供給手段(例えば超高圧プランジャーポンプ)に接続される。また、複数の噴出ノズル146Aは載置板38の上面に沿い且つ回収用開口150に向けて加圧水をX軸方向に噴出する。テープ回収用ガン146から噴出する加圧水の水圧力は、テープ剥離する加圧水噴出ガン88の水圧力よりも小さくてもよい。
【0099】
貯留タンク148は、回収されたテープTを貯留タンク148から排出する開閉自在な排出扉148Aと、貯留タンク148に溜まった加圧水を貯留タンク148から排出する排出管148Bを有する。これにより、加圧水噴出ガン88によって被貼着体Wから剥離されたテープTをテープ回収用ガン146から噴出された加圧水と一緒に回収用開口150からダクト152を介して貯留タンク148に回収することができる。貯留タンク148に溜まる加圧水は、加圧水噴出ガン88からの加圧水とテープ回収用ガン146からの加圧水の両方が溜まる。
【0100】
また、本実施の形態のように、テープ回収手段96にエアブローノズル154を設けることがより好ましい。
【0101】
図7に示すように、チャンバー94の搬入口90が形成された正面板及び搬出口92が形成された背面板には、複数(
図7では2個)のエアブローノズル154,154…が設けられ、エアブローノズル154は図示しないエアー供給のブロアーに連結される。エアブローノズル154は載置板38の上面に沿ってエアーをY軸方向にブローする。これにより、被貼着体Wから剥離されたテープTがエアーブローノズル154からのエアーによって舞い上がり被貼着体Wから離れ易くなる。したがって、テープ回収用ガン146と併用することで、テープTの回収作業が容易になる。また、テープ回収用ガン146でテープTを回収した後にエアブローノズル154を用いることで、被貼着体Wの上面に付着した水を除去(水切り)することもできる。
【0102】
図7では、チャンバー94の搬入口90が形成された正面板及び搬出口92が形成された背面板の両方にエアブローノズル154を設けたが、何れか一方であってもよい。
【0103】
なお、本実施の形態では、テープ回収手段96の構成要素として、テープ回収用ガン146及びエアブローノズル154を設けたが、テープ剥離時に使用することもできる。即ち、加圧水噴出ガン88は加圧水を被貼着体Wに対して垂直(直交)する方向から吹き付けるのに対して、テープ回収用ガン146は加圧水を被貼着体Wの表面に沿って吹き付ける。これにより、加圧水噴出ガン88とテープ回収用ガン146とを同時に使用したり、交互に使用したりすることでテープ剥離性能を向上できる。また、エアブローノズル154は加圧水とは異なるテープ剥離作用を生じさせるので、加圧水噴出ガン88とテープ回収用ガン146とエアブローノズル154を併用することでテープ剥離性能を向上できる。
次に、上記の如く構成されたテープ剥離装置28を
用いたテープ剥離方法を説明する。
【0104】
[テープ剥離方法]
テープ剥離装置28の各機器の動作制御は制御手段35によって行われる。
【0105】
本実施の形態では、磁石手段42は搬入用磁石手段42Aと搬出用磁石手段42Bとの2基の場合で説明する。
【0106】
供給ステーション12に積載されたテープ剥離前の被貼着体Wは、供給ロボット26によってテープ剥離装置28の位置決め手段40に一枚ずつ吸着搬送される。即ち、供給ロボット26は、被貼着体Wの上面を吸着して位置決め手段40のベルトコンベア48に設けた一対の無端状ベルト56に被貼着体Wを架け渡す。そして、被貼着体Wは、被貼着体Wの幅方向(X軸方向)の両側辺W
Aをガイドローラ50でガイドされながら無端状ベルト56で受け渡し位置まで搬送される。この搬送によって、テープ剥離部32におけるテープ剥離位置の被貼着体Wの幅方向位置(X軸方向位置)を位置決めする(位置決めステップ)。
【0107】
次に、位置決め手段40のベルトコンベア48が上下動手段52によって載置板38の位置まで下降する。これにより、被貼着体Wをベルトコンベア48から載置板38に受け渡して載置する。そして、搬入用磁石手段42Aの磁石保持板60が昇降手段64によって上昇して、磁石保持板60を載置板38の裏面に当接させる。これにより、載置板38に載置された被貼着体Wの裏面を載置板38を介して4個の永久磁石62に吸着する(吸着ステップ)。
【0108】
次に、被貼着体Wを吸着した磁石保持板60が往復移動手段44によって載置板38の長手方向(Y軸方向)に移動してチャンバー94内のテープ剥離位置で停止する。これにより、被貼着体Wを載置板38上で滑らせてテープ剥離部32に搬入する(搬入ステップ)。
【0109】
なお、テープ剥離装置28を運転開始した最初のテープ剥離動作では、搬出用磁石手段42Bは被貼着体Wを吸着しない状態でテープ剥離部32から載置板38の送出位置まで移動する。あるいは最初のテープ剥離動作のときだけ、作業者が手作業でテープ剥離した被貼着体Wを搬出用磁石手段42Bに吸着させておいてもよい。これにより、搬出用磁石手段42Bも被貼着体Wをテープ剥離部32から載置板38から検査ステーション16へ被貼着体Wを送出する送出位置まで搬送する。
【0110】
次に、テープ剥離部32に搬入された被貼着体Wを搬入用磁石手段42Aの永久磁石62に吸着したまま、加圧水噴出ガン88を移動プログラムによってX―Y軸方向に移動させつつ、被貼着体WのテープTが貼着された領域に加圧水を吹き付けてテープTを剥離する(テープ剥離ステップ)。これにより、従来の接着剤付着の問題を解決でき、しかも被貼着体Wに貼着されたテープTを確実に且つ綺麗に剥離することができる。
【0111】
なお、本発明の実施の形態のテープ剥離装置28では、加圧水によって被貼着体WからのテープTの剥離を行うだけでなく、加圧水によってテープ剥離後の被貼着体Wの表面(テープTが剥離された面)の洗浄も行うことができる。
【0112】
次に、テープ回収用ガン146から加圧水を噴出して被貼着体Wから剥離されたテープTを加圧水とともに回収用開口150からダクト152を介して貯留タンク148へ送る。これにより、被貼着体Wから剥離されたテープTを回収する(回収ステップ)。この回収ステップにおいて、エアブローノズル154から被貼着体Wにエアーを吹き付けることでテープ回収を補助したり、被貼着体Wに付着した水滴を排除したりすることができる。
【0113】
テープ剥離後、搬入用磁石手段42Aは、昇降手段64よって下降する。これにより、搬入用磁石手段42Aは被貼着体Wを脱着する。そして、往復移動手段44によって、搬入用磁石手段42Aが載置板38のテープ剥離位置から受け渡し位置まで戻ると共に、搬出用磁石手段42Bが送出位置からテープ剥離位置に戻る。
【0114】
受け渡し位置に戻った搬入用磁石手段42Aは、位置決め手段40によって載置板38に受け渡された次の被貼着体Wを吸着する。一方、テープ剥離位置に戻った搬出用磁石手段42Bは、テープ剥離部32においてテープ剥離された最初の被貼着体Wを吸着する。そして、往復移動手段44によって、搬入用磁石手段42Aが載置板38の受け渡し位置からテープ剥離位置まで移動すると共に、搬出用磁石手段42Bがテープ剥離位置から送出位置に移動する。
【0115】
これにより、搬入用磁石手段42Aは被貼着体Wを次々にテープ剥離部32に搬入し、搬出用磁石手段42Bはテープが剥離された被貼着体Wを次々に送出位置に搬送することができる。
【0116】
このように、本発明のテープ剥離装置を用いたテープ剥離方法は、高圧な加圧水を使用するため、テープ剥離装置28を構成する駆動系の機器類、例えば被貼着体搬送手段34に加圧水がかかったり、加圧水が入り込んだりすると、機器類が故障する危険がある。
【0117】
したがって、被貼着体搬送手段34として例えばローラコンベアを使用すると、軸受部分やローラコンベアに動力を伝える動力伝達部に加圧水が入り込み易くなり故障の原因となる。これにより、頻繁にメンテナンスを行う必要がある。
【0118】
これに対して、本発明のテープ剥離装置28の被貼着体搬送手段34では、載置板38によって加圧水が噴出される載置板38の上方側領域と、磁石手段42、上下動手段52、往復移動手段44等の駆動系の機器類が配設される載置板38の下方側領域とを仕切って区画した。そして、載置板38に載置された被貼着体Wの裏面を載置板38を介して磁石手段42で吸着し、往復移動手段44によって磁石手段42を移動させることによって、載置板38上に被貼着体Wを滑らして搬送する搬送構造を採用した。即ち、加圧水が噴出される載置板38の上方側領域には、被貼着体搬送手段34の駆動系を配置する必要のない構造とした。これにより、加圧水が駆動系の機器類にかからないようにした。
【0119】
この搬送構造の被貼着体搬送手段34にすることによって、駆動系の機器類に加圧水がかかったり入り込んだりすることが抑制されるので、故障しにくいと共にメンテナンスを減少できる。
【0120】
更には、加圧水噴出ガン88が設けられるテープ剥離部32に載置板38を底面とするチャンバー94を設け、加圧水噴出ガン88から噴出される加圧水がチャンバー94の外側に飛散しないようにした。
【0121】
そして、チャンバー94の内部に噴出された加圧水は、剥離されたテープTと一緒にテープ回収手段96の貯留タンク148に回収されるようにした。これにより、駆動系の機器類に加圧水がかかったり入り込んだりすることを確実に防止できる。
【0122】
次に、洗浄ステーション18に組み込まれた加圧水洗浄装置30について説明する。
【0123】
なお、本実施の形態の加圧水洗浄装置30は、テープ剥離洗浄ライン10の洗浄ステーション18に組み込まれているので、被洗浄体としてテープを剥離した後の被貼着体Wの場合で説明する。ただし、本発明の加圧水洗浄装置30は、テープ剥離洗浄ライン10に組み込まずに単独の洗浄装置としても使用することができることは言うまでもない。
【0124】
[加圧水洗浄装置]
図8は、テープ剥離洗浄ライン10の洗浄ステーション18に組み込まれた加圧水洗浄装置30について説明する説明図である。また、
図9は加圧水洗浄装置30の加圧水噴出棒状ガン156と偏心揺動機構158とを上から見た上面図である。
【0125】
図8及び
図9に示すように、加圧水洗浄装置30は、中空な基台160と、基台160の上に設けられると共に基台160よりも幅(X軸方向)の狭い洗浄室162とからなる装置フレーム164に取り付けられる。
【0126】
加圧水洗浄装置30は、主として、被貼着体Wを上ローラ166Aと下ローラ166Bとで挟持搬送するローラ搬送手段166と、ローラ搬送手段166の下方に設けられ、ローラ搬送手段166のローラ長さ方向の一方端側に配置された駆動側偏心揺動機構158Aと、ローラ搬送手段166のローラ長さ方向の他方端側に配置された従動側偏心揺動機構158Bと、駆動側偏心揺動機構158Aに偏心揺動力を偏心回転により付与するモータ168と、駆動側偏心揺動機構158Aと従動側偏心揺動機構158Bとに両端部が支持され、モータ168の駆動による駆動側偏心揺動機構158Aの偏心揺動に連動して揺動すると共に従動側偏心揺動機構158Bを従動偏心揺動させる長尺板状の揺動板170と、揺動板170に搭載され、揺動板170の長尺方向に間隔を置いて加圧水を噴出する複数の噴出ノズル172A,172A…が配置された棒状のノズルヘッド172を有する加圧水噴出棒状ガン156と、加圧水洗浄装置30を制御する制御手段35と、で構成される。なお、加圧水洗浄装置30を制御する専用の制御手段を設けてもよい。
【0127】
即ち、ローラ搬送手段166は、洗浄室162の両側壁162A,162Aの上部位置に、上ローラ166Aと下ローラ166Bとがそれぞれの軸受174,174…を介して回転自在に支持される。また、ローラ搬送手段166は、
図8の表裏方向であるY軸方向に複数配置され、検査ステーション16でテープ剥離が確認された被貼着体Wが洗浄室162内を挟持搬送される。
【0128】
また、駆動側偏心揺動機構158A及び従動側偏心揺動機構158Bは、洗浄室162の両側壁162Aの外側に対向して基台160上に配置される。
駆動側偏心揺動機構158A及び従動側偏心揺動機構158Bの構造は、基本的に同様であり、
図8の右側に内部が見えるように断面図として描いた駆動側偏心揺動機構158Aで説明する。
【0129】
駆動側偏心揺動機構158Aは、主として、胴体部176に回転自在に支持されたメインスピンドル178と、メインスピンドル178の先端部にメインスピンドル178の軸芯に対して偏心した位置に設けられた偏心スピンドル180と、偏心スピンドル180に回転自在に支持された偏心揺動部材182と、メインスピンドル178の回転ブレを防止するバランスウエイト184と、で構成される。
【0130】
即ち、駆動側偏心揺動機構158Aは、筒状の胴体部176が基台160上に縦向きに支持され、胴体部176の上端部と下端部とに一対の軸受186,186が設けられる。そして、この一対の軸受186にメインスピンドル178が回転自在に支持される。
【0131】
メインスピンドル178の下端が軸受186から突出し、基台160上部に形成された開口188を介して基台160内部に配設されたモータ168の回転軸168Aに連結される。また、メインスピンドル178の上端が円板状の偏心板190の下面中心を支持する。偏心板190の上面には、メインスピンドル178の軸芯とは偏心した位置に偏心スピンドル180が立設される。
【0132】
そして、偏心スピンドル180に上下一対の軸受192,192を介して筒状の偏心揺動部材182が回転自在に支持される。偏心板190の側部にはメインスピンドル178の回転ブレを防止するバランスウエイト184が設けられる。
【0133】
偏心量(メインスピンドル178の軸芯178Aと偏心スピンドル180の軸芯180Aとの軸芯距離)が小さい場合には、偏心板190を介さずにメインスピンドル178に偏心スピンドル180を直接設けることも可能である。
【0134】
なお、従動側偏心揺動機構158Bは、バランスウエイト184を設けることが好ましい態様である点、モータ168を有しない点で駆動側偏心揺動機構158Aと相違する。
【0135】
そして、揺動板170の両端部を駆動側偏心揺動機158Aの偏心揺動部材182と従動側偏心揺動機構158Bの偏心揺動部材182に支持する。即ち、揺動板170は洗浄室162の両側壁162Aの中央位置に形成された揺動用開口194,194を貫通してX軸方向に配設され、揺動板170の両端部が上記したそれぞれの偏心揺動部材182,182の連結部182A、182Aにボルト部材等で連結される。揺動用開口194は、揺動板170が後記する偏心揺動をしたときに洗浄室162の両側壁162Aに当たらない大きさに形成されている。これにより、揺動板170を偏心揺動させる偏心揺動機構158が構成される。
【0136】
したがって、モータ168を回転駆動すると、駆動側偏心揺動機構158Aのメインスピンドル178が回転し、偏心板190を介して偏心スピンドル180が偏心回転する。偏心スピンドル180の偏心回転によって、偏心スピンドル180に回転自在に支持された偏心揺動部材182が旋回円運動の揺動軌跡を描く偏心揺動を行う。この結果、偏心揺動部材182に連結された揺動板170も偏心スピンドル180の偏心揺動に連動して旋回円運動の偏心揺動を行う。更に、揺動板170の偏心揺動に連動して従動側偏心揺動機構158Bの偏心揺動部材182が旋回円運動の偏心揺動を行う。
【0137】
即ち、従動側偏心揺動機構158Bは、モータ168の回転駆動による駆動側偏心揺動機構158Aの偏心揺動に連動して揺動板170を介して従動的に動くことになる。これにより、駆動側偏心揺動機構158Aと従動側偏心揺動機構158Bとの偏心揺動にズレが生じないので、偏心揺動機構158をスムーズに動作させることができる。
【0138】
ちなみに、従動側偏心揺動機構158Bにもモータ168を設けて、駆動側偏心揺動機構158Aと同期させることもできるが、同期ズレ等によってスムーズな偏心揺動が阻害されたり、偏心揺動機構にムリな力が加わったりし易い。
【0139】
駆動側偏心揺動機構158A及び従動側偏心揺動機構158Bの偏心量(メインスピンドル178の軸芯178Aと偏心スピンドル180の軸芯180Aとの軸芯距離)は5mm〜7mmの範囲であることが好ましい。
【0140】
また、
図8に示すように、洗浄室162において、揺動板170の下方空間は加圧水噴出棒状ガン156から加圧水を噴出して被貼着体Wの裏面を洗浄した汚水を貯留する貯留部162Bになっている。そして、洗浄室162の両側壁162Aのうちの貯留部162Bを形成する一方の側板下部には、貯留部162Bに溜まった汚水を排出する排出ホース196が連結される。
【0141】
加圧水噴出棒状ガン156は、棒状のノズルヘッド172が連結板198,198…を介して揺動板170の上に固定される。ノズルヘッド172の長さは、被貼着体Wの幅(X軸方向)よりも少し長く形成され、両端部に加圧水をノズルヘッド172内に供給する一対の加圧水供給口200,200が形成される。そして、一対の加圧水供給口200に耐圧な加圧水ホース202が連結される。ノズルヘッド172の長尺方向であって一対の加圧水供給口172の間には、複数の噴出ノズル172A、172Aが等間隔で直線的に配置されている。本実施の形態では24個の噴出ノズル172Aを設けたが、この数に限定するものではない。
【0142】
そして、ノズルヘッド172に供給された加圧水は複数の噴出ノズル172Aから上向きに噴出され、ローラ搬送手段166で挟持搬送される被貼着体Wの裏面(下面)に吹き付けられる。
次に、上記の如く構成された加圧水洗浄装置30を用いた加圧水洗浄方法を説明する。
【0143】
[加圧水洗浄方法]
加圧水洗浄装置30の各機器の動作制御は制御手段35によって行われる。
【0144】
検査ステーション16において、テープ剥離が確認された被貼着体Wは、洗浄室162内をローラ搬送手段166によって一定速度で搬送される。
【0145】
そして、モータ168を駆動して偏心揺動機構158を動作させると共に、加圧水噴出棒状ガン156のノズルヘッド172の複数の噴出ノズル172Aから加圧水を噴出して、搬送される被貼着体Wの裏面に向けて加圧水を吹き付ける。
【0146】
これにより、揺動板170に搭載された加圧水噴出棒状ガン156は、旋回円運動の偏心揺動を行いながら加圧水噴出棒状ガン156のノズルヘッド172に配設された複数の噴出ノズル172Aから被貼着体Wの裏面に加圧水を吹き付ける。換言すると、ノズルヘッド172に直線的に配設された複数の噴出ノズル172Aの一つ一つが旋回円運動を行うので、隣り合う噴出ノズル172Aから噴出された加圧水は重なり合う。
【0147】
これにより、複数の噴出ノズル172Aから噴出されて被貼着体Wに衝突する加圧水の衝突軌跡が重なり合うので、加圧水の洗浄エネルギー密度を高くすることができる。したがって、加圧水噴出棒状ガン156が静置状態にある場合や直線的な揺動だけの場合に比べて被貼着体Wを洗浄する効果を飛躍的に向上できる。
【0148】
なお、本実施の形態の加圧水洗浄装置30は、被貼着体Wの裏面を洗浄する装置として構成したため、ローラ搬送手段166の下方にのみ加圧水噴出棒状ガン156と偏心揺動機構158とを配置したが、ローラ搬送手段166の下方と上方の両方に設ければ、被貼着体の両面を一度に洗浄することができる。
【課題】従来とは全く異なる新規な技術思想に基づくテープ剥離を行うことができ、これにより接着剤付着の問題を解決でき、しかも被貼着体に貼着されたテープを確実に且つ綺麗に剥離することができる。
【解決手段】表面にテープTが貼着されると共に少なくとも裏面が磁石に吸着可能な材質で形成された被貼着体WからテープTを剥離するテープ剥離装置28であって、被貼着体WのテープTに加圧水を吹き付けてテープTを被貼着体Wから剥離するテープ剥離部32と、テープ剥離部32にテープ剥離前の被貼着体Wを搬入し、テープ剥離後の被貼着体Wをテープ剥離部32から搬出する被貼着体搬送手段34と、テープ剥離装置28を制御する制御手段35と、を備える。