(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。また
図2は説明のため、枠体2のうち下枠20、爪部4、支持部5等を主に示し、重し部3等、図示を省略している部材がある。
本実施形態に係るグランド整備具1は、枠体2と、前記枠体内に重量調整自在に載置される重し部3と、グランドを耕起する複数の爪部4と、枠体2内に耕起されたグランドの土を抱え込むようにして撹拌する撹拌空間8とを備え、前記爪部4は前記枠体2に軸支された支持部5に設けられ、前記支持部5を回動させると前記爪部4が前記枠体2内に収容若しくは前記枠体2外に突出することを特徴とする。以下、詳述する。
【0012】
<グランド整備具>
まず、
図1〜
図5を参照しながら、本実施形態に係るグランド整備具1について説明する。
グランド整備具1は、車両等によって牽引して使用され、その車両は大型トラックでも普通車でも軽乗用車でもよく、速度5〜15km/hでグランド整備具1を牽引できれば、特に限定されない。本実施形態では、車両10として軽トラックを用いた例を示している。
図1(a)に示すように、軽トラックであれば、荷台にポリタンク30…を積むことができ、小回りが効き、一定の馬力も期待できるため、好適である。グランド整備具1は、枠体2と、重量調整自在な重し部3と、グランドを耕起する複数の爪部4と、枠体2内に耕起されたグランドの土を抱え込むようにして撹拌する撹拌空間8とを備えている。以下、各構成要素について説明する。
【0013】
<枠体>
枠体2は、下枠20と上枠21とを備え、図例のものは、下枠20に爪部4及び支持部5が設けられ、上枠21に重し部3が設けられる。枠体2の形状や構成は特に限定されないが、
図2に示すように平面視において長方形の下枠20と、縦及び横に配された複数の桟材で構成された上枠21とを備えたものとしてもよい。枠体2の材質は特に限定されないが、総重量が50kg〜80kgが望ましく、適度な重さと剛性を備えた鉄製が好適に用いられる。枠体2の総重量はグランド整備を的確に行うための重要な要素といえる。枠体2の総重量が50kgを下回ると、枠体2が軽量で安定して車両10に牽引されにくくなり、グランド整備の種々工程において重し部3での重量調整が難しくなる傾向となる。一方、枠体2の総重量が80kgを超えると、枠体2を運搬する際に人手を要し、取扱い性が悪化する。またあまりに枠体2の重量が大きいと、車両で牽引し難くなってしまう。枠体2の総重量が50kg〜80kgであれば一人もしくは二人で運搬することが可能となり、取扱い性がよく、グランド整備において十分な重量といえる。よって耕起・ほぐし工程の際には、爪部4によって適度な圧力をかけながらグランドの土を掻き起こしてほぐすことができ、不陸調整の際には、丁度よい適度な重み・圧力を加えながら耕起・撹拌されたグランドをならすことができる。
【0014】
下枠20は、例えば厚み3mmの鋼材を60×60mmの角柱状としたものを溶接し環状の枠体としてもよく、図例のものは、平面視において長方形をなし、鋼材として60×60mmの中空の鋼管が好適に用いられる。下枠20に鋼管を用いる場合は、開口部分は樹脂製のキャップで塞ぐとよい。下枠20に角が湾曲した面取形状の角パイプを用いてもよいが、下枠20は、土に直接当たり摺動する箇所になるので、角部は手で持って運ぶ際に危険にならない程度に略直角近いに形状が望ましい。下枠20のサイズは、例えば短手方向の長さW1を3000〜6500mm、長手方向の長さW2を15000〜19000mm(
図1(b)参照)としてもよい。車両10の進行方向D(
図1(a)参照)が下枠20の短手方向となるように車両10に連結し牽引されるようにすると、下枠20がグランドに引きずられて広い範囲が整備領域となり、好適である。長手方向の長さW2を18000mm前後とすれば、重し部3とされる樹脂製容器(ポリタンク30)を複数個積むことができるので好適である。また長手方向の長さW2を18000mm前後とすれば、車両10で牽引する際に適度な範囲を整備することができ、また軽トラックの荷台に積むことができるため、好適である。短手方向の長さW1を3500mm以上とすれば、ポリタンク30を載置しやすく好適である。
【0015】
下枠20は、長手の長枠材20a,20aと、短手の短枠材20b,20bとを備え、これらで下枠20の四周囲み形状を構成し、下枠20の下面(長枠材20a及び短枠材20bの下面)は直接グランドの土に当接し、車両10による牽引時に引き擦られる部位となる。また
図2に示すように長枠材20aの中央位置から短手方向に向かって補強材20c,20dを十字に架け渡たすよう配することが望ましい。これによれば、爪部4による耕起の際に下枠20に圧力がかかっても、下枠20が変形することを防止できる。また、下枠20が補強材20c,20dによって仕切られていない状態であると、爪部4でグランドの上に爪跡を残して掻き起こすだけで、耕起した土をうまくほぐすことができないことが発明者の試験で明らかになっている。しかしながら、本実施形態に示すように補強材20c,20dによって下枠20内を大きく4つの空間に仕切ることで、この空間は、後述する撹拌空間8の一部を構成することになり、この撹拌空間8で、耕起した土が撹拌され、ほぐすことができる。撹拌空間8の効果については、後に
図5(a)を参照しながら、詳述する。
【0016】
支持部5は短枠材20bの中央部位から長手方向に、補強材20cと略平行に設けられている。よって、
図2に示すように支持部5の縁部と長枠材20aの縁部の間W3は1500〜3250mm程度とされる。また、補強材20cは支持部5を挟んで進行方向Dとは反対側に配されているため、
図2に示すように補強材20cの縁部と長枠材20aの縁部との間W4は1200〜3000mm程度とされる。これにより、補強材20cで仕切られた撹拌空間8は、進行方向D側の領域の方が広く確保される。支持部5は、略180度回転するように、補強材20cと若干間隔を空けて略平行に設けられ、その両端部はボルト53によって回動自在に短枠材20bに軸支されている。
【0017】
枠体2には、車両10と鎖部7を介して連結するための連結フック22を備えており、図例の連結フックは、枠体2の下枠20に車両10の進行方向(矢印d)に略水平に突出するように2ヵ所に設けられている(
図2、
図3等参照)。
図1(a)に示すように連結フック22のグランドからの高さ位置H3は、特に限定されないが、50mm〜70mm程度が好適とされ、特に65mm前後が望ましい。またグランド整備具1を車両10と連結するため、車両10側にも鎖部7が連結される牽引フック10aが設けられている。牽引フック10aは進行方向とは反対側に突出するように設けられている。牽引フック10aは、
図1(a)に示すように荷台の下部に設けられていることが望ましく、その場合、グランドから牽引フック10aまでの高さD1は350〜670mmとされ、特に400mm前後が好適である。
【0018】
鎖部7は、鉄製のくさりや牽引用のロープ等が用いられ、グランド整備具1と車両10とをどのように連結させるかは特に限定されないが、鎖部7の全長は2.5m〜4.0mとしてもよく、
図1(b)に示すように3点で連結するようにしてもよい。この場合、一方の連結フック22に鎖部7の一方端部を連結し、牽引フック10aに鎖部7を通した後、他方の連結フック22に鎖部7の他方端部を連結すればよい。連結フック22から牽引フック10aまでの距離D2は1.25m〜2mとされ、特に1.45m前後が好適である。
以上のようにグランド整備具1を車両10に連結すれば、グランド整備具1と車両10との間隔(距離)が適正に保たれ、車両10の動きに合わせてグランド整備具1を安定して牽引することができる。このとき、鎖部7を長くしすぎて、グランド整備具1と車両10との間隔が空きすぎてしまうと、例えばグランド整備具1が蛇行したり、車両10の動きに追従できずに横転してしまうおそれがある。またグランドから連結フック22の高さがありすぎたり、車両10の距離が近すぎても、枠体2が浮気味になり、水平に保ち難く安定して車両10に牽引されず、ただ引き摺られるようになり、爪部4によってうまくグランドが耕起できない、またある程度耕起できたとしても、土を平坦する不陸調整がし難い等の不都合が生じる。
【0019】
<重し部>
重し部3は枠体2内に重量調整自在に載置されるものであれば、特に限定されないが、図例ものは重し部3として、樹脂製容器・ポリタンク30を採用した例を示す。ポリタンク30の大きさは特に限定されないが、18〜20リットルのポリタンク30が持ち運びもし易く取扱いしやすいため、好適である。重し部3として例えば20リットルのポリタンク30を利用する場合は、
図4(b)に示すようにポリタンク30に満杯の水を貯めれば、20kgの錘になり、水を半量にすれば10kgの錘になる。また満杯のポリタンク30を3つ積めば、20kg×3で60kgの錘にでき、満杯のポリタンク30を5つ積めば、20kg×5で100kgの錘にすることができ、重量の調整が自在である。また枠体2内に収容するポリタンク30の個数でも重量の調整を行うができる。ポリタンク30に水を貯留して錘とすれば、水は、グランド整備を行う現地でまかなうことができ、必要なときに貯め、錘の役目を終えれば、グランド整備後のうち水(
図7のS103参照)に使用することができ便利である。またグランド整備具1として運搬する際には、ポリタンク30は空にしておくこともできる。ポリタンク30の重量調整には、この他、土・砂を使用してもよい。土や砂もグランド整備を行う現地でまかなうこともできるし、このときの土砂はのちに混合する(
図7のS100参照)ものであってもよい。さらに重し部3として採用されるポリタンク30は市販のものを使用できる。
【0020】
重し部3を保持する上枠21の構成は、特に限定さないが、
図3等に示すように下枠20の上に立設された複数の縦桟21cと、縦桟21c,21cの間に架け渡された複数の横桟21d,21eで構成されたものとしてもよい。また図例の上枠21は、ポリタンク30が載置される台座部材21aと、台座部材21aを保持する保持部材21bとを更に備えている。
縦桟21cは、例えば厚み3mmの鋼材を60×60mmの角柱状としたもの(下枠20と同じものを用いてもよい)を下枠20の短手方向に2本ずつ、計6本立設される。よって、グランドから縦桟21cまでの高さH1は、3500〜5000mmが好適される。横桟21dは、台座部材21aに載置され車両10で牽引される際、ポリタンク30が転倒しないように保持できるように配されていればよい。図例のものは、横桟21d,21eが、両端に2つ、さらに中央にも積んで3つ、さらには、最大5つのポリタンク30が保持できるように配されている。
台座部材21aは長尺な板状の鋼板とされ、図例のものは縦桟21c,縦桟21cの間に配された保持部材21bの上に長枠材20aと略平行に長手方向に沿って架け渡して配されている。台座部材21aは、ポリタンク30を載置でき、撹拌空間8の邪魔にならないように配されていればよく、図例の他、平網状であってもよい。また台座部材21aは、その下方に撹拌空間8が形成されるよう設けられる。よってグランドから台座部材21aまでの高さH2(
図1(a)参照)は、1200〜2000mm前後が望ましい。高さH2が1200mmより小さくなると、爪部4を枠体2内に収容した際、ボルト軸41が撹拌の邪魔になってしまう傾向となる。また高さH2が2000mmより大きくなると、ポリタンク30の安定性が悪くなる傾向となる。
【0021】
<爪部>
爪部4は、下枠20に回転自在に保持された支持部5に設けられ、支持部5は、
図4(a)に示すように断面視において略L字状をなし、爪固定部50と、起立部51とを有している。爪固定部50には、所定の間隔を空けて配列されるように貫通孔50aが形成され、貫通孔50aに爪部4を取り替え自在に装着できるよう螺溝が設けられている。爪部4は、棒状体からなり、支持部5に取り替え自在に装着でき、車両10の牽引、グランドの掻き起こしに耐えられる強度があれば特に構成、材質は限定されないが、図例のように市販の六角ボルトが好適に爪部4として用いることができる。六角ボルトであれば、貫通孔50aに容易に取り外しができ、ナットを使用すれば、爪固定部50との固定関係も強固になる。また六角ボルトであれば、爪固定部50に装着する際に螺装されるので、下枠20からの出幅調整が容易にできる。さらに六角ボルトであれば、専用品でなく市販品を活用できるので、入手も容易で安価である。爪部4としては、ボルト頭40の径が8mm〜20mm前後、ボルト軸41の長さ(呼び長さ)が75mm〜150mm前後のもの、さらにはM10のボルト軸41の長さが100mm前後のものが望ましく、下枠20(具体的には短枠材20b)からの出幅寸法H4(
図4(a)参照)が25mm〜75mm前後になるように爪固定部50に装着される。爪部4の材質は特に限定されないが、鉄製、ステンレス製が好適といえる。爪部4はグランドを耕起する際に、直接グランドの土を掻き起す部材になるので、グランドの硬さ、土の種類によっては消耗が激しく、発明者の試験によれば、2000平米のグランドをして耕起するとボルト軸41が平均して30mm〜40mm程、削れてしまい、交換が必要になる。
【0022】
爪部4は、略180度回動するように軸支された支持部5の爪固定部50に設けられているため、支持部5の回動に伴い、爪部4も
図4(a)の2点鎖線に示すように回動する。そしてこの支持部5の回動に伴い、爪部4が枠体2内に収容(
図5(b)参照)若しくは枠体2外に突出(
図5(a)参照)するように構成される。よって、爪部4を枠体2から突出させれば、グランドを耕起することができ、爪部4を枠体2内に収容すれば、不陸調整できるので、一台のグランド整備具1で耕起〜不陸調整を行うことができる(
図7・S100、S101)。このとき、爪部4の突出・収容は、支持部5を回動させるだけでよいため、枠体2を横倒しして作業すればよく、複数の人員を要することなく、行うことができる。
【0023】
支持部5は、回動を容易にするため、両端を軸支されているのみでフリー状態であることが望ましい。よって、この場合、
図4(a)等に示すように支持部5のL字角部が進行方向D手前側になるように配置すると、爪部4でグランドを耕起する際には、ボルト軸41が斜めになって回動してもボルト軸41が補強材20cに当接してそれ以上回動しないようにできる。また爪部4を枠体2内に収容する際には、補強材20cとは反対側に180度回転させればよいが、フリー状態であるとボルト軸41の重みで支持部5が回動してしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、留めプレート52が設けられている。留めプレート52との構成は特に限定されないが、
図2に示すようにプレート本体52bと、固定部52aとを備えたものとしてもよい。この場合、留めプレート52は、下枠20の短枠材20bの略中央部位にボルト等の固定具で固定部52aが固定され、プレート本体52bの回動端を略水平方向に回動させ支持部5が回動しないように設けられる。これによれば、留めプレート52を短枠材20bから突出させるように回動させれば、収容状態の支持部5(
図5(b)参照)の回動を阻止し爪部4の収容状態を維持できる。このとき留めプレート52は、短枠材20bの上に沿って配された状態から、支持部5の回動を阻止できればよいので、ボルト軸41の出幅状態によっては、図例のように略90度回動させなくてもボルト軸41が当接する位置まで回動させればよい。
【0024】
<撹拌空間>
枠体2内には、耕起されたグランドの土を抱え込むようにして撹拌する撹拌空間8が設けられている。図例の撹拌空間8は、
図5(a)等に示すように台座部材21aの下方に空間が形成されるので、グランド整備具1を車両10で牽引すると、この撹拌空間8に土を抱え込みながら、進行方向Dに進んでいくので、撹拌空間8内で土が
図5(a)に示す矢印のように撹拌されるため、非常に重要な空間である。また上述した補強材20c,20dが撹拌空間8の一部を構成していることも重要である。従来は、硬くなったグランドを耕起すると大小のせんべい状の塊が散乱し、何度も耕起工程を行う必要があった。しかし、本実施形態によれば、爪部4で掻き起こされたせんべい状の塊が、補強材20c,20d、支持部5を乗り越える際に当たって砕かれる等する。そしてこの砕かれたせんべい状の塊は、撹拌空間8内に抱え込まれて進行方向Dに動く、軟らかい土砂とほどよく撹拌されながら、ほぐされて混ざり合う。これにより、耕起工程の時間短縮につながるのである。またこの撹拌空間8は、耕起された土砂をほぐすとともに、補充された土砂と万遍なく混ざり合わす際にも重要な空間となる。従来、グランド整備によく用いられるレーキや、レーキ・ブラシが付いたバギーカーでは、掻き起こしやならしはできても、せんべい状の塊を砕いたり、ほぐしたり、さらには土を混合することができず、非常に苦労が多かったが、本実施形態に係るグランド整備具1によれば、この撹拌空間8によってこれまでの悩みを解消することができる。
【0025】
<転圧ローラ>
次に本実施形態に係る整備方法において、好適に用いられる転圧ローラ9について、
図6を参照しながら説明する。図に示す転圧ローラ9は、鉄製でなり、ローラ本体90と牽引部91とを備え、牽引フック部91aと車両10とを牽引具(不図示)で連結し、車両10によって牽引して使用される。ローラ本体90は、円柱形状からなり、その側面には栓がされる貫通孔90aが形成されており、その貫通孔90aから水を貯留・排出できる構成となっている。これによれば、水の量でローラ本体90の重量を調整することができ、耕起・撹拌し、不陸調整したグランドを転圧する工程で適度な重量をかけながら転圧を行うことができる。このように転圧工程で重量調整を行うことができれば、整備されたグランドの状態、使用用途等に応じて、適度に転圧して押し締めることができる。この転圧工程を適切に行うこともグランドをよい状態に長く保つための重要な要素である。
【0026】
<グランド整備工程>
以上のグランド整備具1と転圧ローラ9を使って行うグランド整備方法の一例に関し、
図7のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、整備を行うグランドの状態を確認し、車両10にグランド整備具1を連結して耕起・撹拌工程から開始する(S100)。ここでグランドの状態によっては、耕起・撹拌工程に入る前に真砂土を引きならす工程を行ってもよい。この場合、ポリタンク30は載せずに爪部4も収容させた状態(
図5(b)の状態)で枠体2を車両で牽引すればよい。
【0027】
耕起・撹拌工程(S100)では、爪部4を枠体2から突出させた状態(
図5(a)の状態)とし、掻き起こしを開始する。このとき、爪部4の出幅寸法H4はグランドの状態や水抜きのための砕石層までの深さに応じて調整する。通常のグランドの構造は、地上から地下へ10cmから15cmのところに砕石層が設けられているが、耕起の際、砕石層にボルト軸41が到達してしまうと砕石層を掘り起こしてしまい、石だらけのグランドになってしまうため、砕石層にボルト軸41が到達しないようにボルト軸41の出幅調整をすることが肝要である。また重し部3の重量調整もグランドの状態に応じて行う。通常は水で満杯にしたポリタンク30を3つ、枠体2内に載置して整備を行うと耕起に丁度よい重量で耕起・撹拌工程を行うことができる。さらにこの工程で適宜、山砂、真砂土を補充しながら行う場合もあり、重量調整はグランドの硬さ、状態に合わせてなされる。よって、場合によってはポリタンク30を積まずに行う場合もあれば、ポリタンク30を複数個積んで行う場合もある。
爪部4を突出させた状態で、車両10を走行させれば、グランド全体を万遍なく周回すれば、耕起・撹拌工程(掻き起こし→ほぐし→混合→粗あらし)の各工程を行うことができる。
【0028】
グランドの土がほぐれて馴染んだら、次にグランドを平坦にするため、不陸調整工程(S101)を行う。この際には、爪部4を枠体2内に収容させた状態(
図5(b)の状態)とし、留めプレート52を回動させ、車両10で耕起・撹拌工程と同じようにグランド全体を万遍なく周回する。この工程でも重し部3の重量調整をグランドの状態に応じて行う。通常は速度10kg/h程度でポリタンク30を積まずに走行する場合が多いが、水の量を減らしたポリタンク30を積んで不陸調整を行う場合もある。
【0029】
グランド全体の平坦にならされたら、次に転圧工程(S102)を行う。グランド整備具1を車両10から外し、転圧ローラ9を連結する。このとき、連結する前にグランドの状態に応じてローラ本体90内に水を貯留し、ローラ本体90の重量を調整しておく。そして車両10を走らせ、耕起・撹拌工程と同じようにグランド全体を万遍なく周回すれば、グランドを押し締めることができる。
【0030】
グランドを好みの硬さに転圧したら、次にうち水工程(S103)を行う。グランド全体にホースで水を撒くうち水を行うと、土が馴染んでよい整備状態を長持ちさせることができる。
【0031】
以上によれば、グランド整備の各整備工程を少ない人員で且つグランドの状態に応じて効率よく、且つ容易に確実に行うことができる。人員はグランド整備具1を運搬したり、車両10に連結する際に最低2名いればよい。
なお、上述のグランド整備方法は一例であって、これに限定されるものではない。例えば不陸調整工程(S101)の後に不図示のトンボ、ブラシ等を使って仕上げを行い、転圧工程(S102)、うち水工程(S103)を省略してもよい。
【0032】
<その他の実施形態>
グランド整備具1、転圧ローラ9の構成、形状は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、グランド整備具1の重し部3は、重量調整が自在であれば、図例に限定されない。また爪部4の構成も図例に限定されず、突出・収容が容易にできる構造であればよい。さらに上枠21の構成も図例に限定されず、要は重し部3を保持できれば、金網やネットでもよいし、プラスチック製のものであってもよい。
【解決手段】車両10等によって牽引されるグランド整備具1であって、枠体2と、前記枠体内に重量調整自在に載置される重し部3と、グランドを耕起する複数の爪部4と、前記枠体内に耕起されたグランドの土を抱え込むようにして撹拌する撹拌空間8とを備え、前記爪部は前記枠体に軸支された支持部5に設けられ、前記支持部を回動させると前記爪部が前記枠体内に収容若しくは前記枠体外に突出することを特徴とする。