特許第6579600号(P6579600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6579600電子発生手段、燃焼促進手段、移動体、および殺菌・脱臭手段
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6579600
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】電子発生手段、燃焼促進手段、移動体、および殺菌・脱臭手段
(51)【国際特許分類】
   F02M 51/06 20060101AFI20190912BHJP
   H02M 5/12 20060101ALI20190912BHJP
   A23L 5/30 20160101ALI20190912BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20190912BHJP
   B62D 37/02 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   F02M51/06 V
   H02M5/12 E
   A23L5/30
   A61L9/18
   B62D37/02 Z
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-528786(P2019-528786)
(86)(22)【出願日】2019年1月28日
(86)【国際出願番号】JP2019002668
【審査請求日】2019年5月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519185498
【氏名又は名称】株式会社グローバルテックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100143111
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 秀夫
(74)【代理人】
【識別番号】100189876
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 将晴
(72)【発明者】
【氏名】山元 和徳
(72)【発明者】
【氏名】山元 徳蔵
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−247200(JP,A)
【文献】 特開2018−161026(JP,A)
【文献】 特開2018−141397(JP,A)
【文献】 特開2003−293900(JP,A)
【文献】 特開2016−168951(JP,A)
【文献】 特開昭50−42660(JP,A)
【文献】 特開2008−295937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 51/06
A23L 5/30
A61L 9/18
H02M 5/12
B62D 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流回路と、昇圧回路とを備え、電源からの交流電力を前記昇圧回路で昇圧させて、前記昇圧回路の2次側の一方の端子のみから電子を発生させる電子発生手段において、
前記昇圧回路の1次側に一方向のみに電流が流されるように前記1次側に前記整流回路が配されると共に、前記2次側の他方の端子が開放されており、
交流電力の正負の反転周期に応じて、前記整流回路の第1の端子が正の電位となっている状態においては、前記第1の端子から前記整流回路の第2の端子に電流を遮断させて前記昇圧回路への電流を遮断させ、前記第1の端子が負の電位となっている状態のみにおいて、前記第1の端子に前記第2の端子から電流を流させ、前記昇圧回路の1次側に一方向のみに電流を流させ、前記2次側において相互誘導により電流を発生させ、
前記第1の端子が負の電位となっている状態のみに、前記他方の端子が開放されていることにより、前記2次側から前記1次側に電流を戻させないで、前記一方の端子から電子のみを発生させる、
ことを特徴とする電子発生手段。
【請求項2】
前記一方の端子が、筋状に伸びる電子伝達手段を備え、
前記電子伝達手段は、少なくとも先端部に繊維導体の束を有し、前記束をなす各々の単繊維から電子を放散させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子発生手段。
【請求項3】
前記2次側の電圧値が2000V以上5000V以下とされると共に、前記2次側の電流値が0.2mA以上1mA以下とされている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子発生手段。
【請求項4】
内燃機関の燃料燃焼空間に噴霧される燃料粒子の燃焼を促進させる燃焼促進手段であって、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子発生手段を含み、
前記一方の端子が、内燃機関と電気的に導通されている金属部品と接触しないように前記電子を放散させて、前記燃料燃焼空間をなす周囲の金属部を負の電荷で帯電させ、
前記周囲の金属部に、前記燃料粒子を静電気引力により引き寄せて気化促進させる、
ことを特徴とする燃焼促進手段。
【請求項5】
前記電子発生手段が、放散遅延手段を含み、
前記放散遅延手段が、前記燃料燃焼空間の周囲の金属部が500℃を超す高温となる時点を経てから前記電子を発生させるようにし、電子の発生を遅延させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の燃焼促進手段。
【請求項6】
前記放散遅延手段が、温度検知手段を含み、
前記温度検知手段が、前記燃料燃焼空間の周囲の金属部の温度を検知させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の燃焼促進手段。
【請求項7】
前記燃焼促進手段が車両に装着され、
前記一方の端子が、先端部が露出されると共に、先端部に繋がる基部が絶縁被覆された導電線を備え、
前記絶縁被覆された導電線が、前記車両のエンジンルーム内のラジエータパイプに装着されると共に、前記先端部が前記エンジンルーム内に配されている、
ことを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の燃焼促進手段。
【請求項8】
空気抵抗を伴う移動により移動体本体に正電荷の静電気が帯電される移動体であって、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子発生手段を含み、
前記電子発生手段が、放散させた電子により前記正電荷を中和させ、前記移動体本体の正電荷の静電気を除去させる静電気除去手段として機能される、
ことを特徴とする移動体。
【請求項9】
嫌気性細菌が生息している貯留された液体に電子を放散させ、前記嫌気性細菌を殺菌させると共に、悪臭を脱臭させる殺菌・脱臭手段であって、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子発生手段と、アース線と、空気供給手段とを含み、
前記アース線が、前記液体と大地とを電気的に接地させると共に、前記空気供給手段が前記液体に空気を発泡させて供給させている状態で、前記一方の端子を前記液体に浸漬させて電子を放散させ、
電子が供給された液体が前記空気により攪拌され、前記嫌気性細菌を殺菌させ、悪臭を脱臭させる、
ことを特徴とする殺菌・脱臭手段。
【請求項10】
嫌気性細菌を殺菌させると共に、悪臭を脱臭させる殺菌・脱臭手段であって、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子発生手段と、液体の貯留タンクと、前記液体の噴霧手段と、アース線と、空気供給手段とを含み、
前記アース線が、前記液体と大地とを電気的に接地させると共に、前記空気供給手段が前記液体に空気を発泡させて供給させている状態で、前記一方の端子を前記液体に浸漬させて電子を放散させて液体を帯電させ、
前記噴霧手段が、帯電させた前記液体を噴霧させて殺菌・脱臭をさせる、
ことを特徴とする殺菌・脱臭手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小さな消費電力であっても、安定した状態で電子を発生させることができる電子発生手段に関する。より詳細には、回路が破損しにくく、安定した状態で電子を発生させ、内燃機関に噴射された燃料の微粒子を、瞬間的にガス化させて燃焼を促進させる燃焼促進手段に関する。
【0002】
更には、電子発生手段を備えた移動体に関する。具体的には、移動に伴って移動体本体と空気とが摩擦されて発生される静電気を低減させる移動体に関する。また、電子発生手段で発生させた電子を帯電させた液体により、悪臭の原因となる菌を殺菌し、脱臭させる殺菌・脱臭手段に関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、内燃機関で燃焼される燃料の燃焼効率を向上させるためには、燃料を短時間で気化させることが好適であることが知られている。エンジンの回転数は、クランク軸の1分あたりの回転数をいい、普通乗用車であれば最大で数千回転されている。すなわち、4ストローク機関の場合は、1分間で1000サイクル以上の燃焼行程が繰りかえされている。そのため、燃焼効率を向上させるためには、燃料を短期間で気化させることが好適である。
【0004】
非特許文献1には、複数の石油精製会社から提供されたガソリンを、営業用ガソリンスタンドの計量装置のホースから絶縁状態の受器タンクに流入させ、そのガソリンの帯電傾向が正電荷となっていることが示されている(第25頁第18行―第29行及び第26頁図―18参照)。また、非特許文献2には、誘電体である油は、流動、攪拌等により正電荷に帯電されやすいことが示されている(非特許文献2技術資料5−1頁から5−3頁)
【0005】
静電気は、接した異種の物体が摩擦・剥離される際に、一方の物体から他方の物体に電子が受け渡され、電子を放出した物体に正の電荷が偏った状態となることにより発生し、正の電荷が電子と結びつくこと(以下、中和という)により電荷の偏りが消失される。静電気による物体の帯電現象は、金属等に生じる表面電荷と、精製油のような誘電体に生じる空間電荷とに分類される。
【0006】
表面電荷については、電荷は物体の表面のみに存在し、内部には帯電電荷は存在せず、物体と大地とを接地させれば表面電荷は容易に除去される。電気機器を接地させることは、この表面電荷を除去させることを目的としている(非特許文献1第27頁第5行−第7行)。
【0007】
一方、空間電荷については、帯電現象による電荷は物体の表面に留まらず、内部にも存在している。空間電荷を有する物体と大地とを接地させると、電荷相互間の反発力、又は中和により帯電された電荷が漸減されるが、急激には除去し難い傾向がある(非特許文献1第27頁第7行−第11行)。
【0008】
固体に限らず、液体や霧状に拡散された物体であっても、衝突・摩擦・剥離等の際に静電気を生じさせる。電気伝導度の小さい物体、精製油であればナフサ、ケロシン、ガソリン、軽油等は、静電気が蓄積し易いとされている(非特許文献2第5−1頁第3行−第5行)。そのため、燃料タンクに溜められている時点においては帯電されていない燃料油であっても、ポンプにより圧送される際に、金属配管との摩擦により静電気を生じさせる。この際、金属は燃料油に比べて負電荷に帯電されやすいことから、金属配管側が負電荷に帯電され、燃料油が正電荷に帯電される。
【0009】
そして、金属配管の帯電は表面電荷であり、車両であれば金属部品はバッテリーの負極端子に間接的に導通されているため、負電荷の表面電荷が中和されやすい。一方、燃料油は空間帯電されているため表面にある正電荷は中和されても、内部においては正電荷が依然として存在している(非特許文献1第27頁第30行−第32行)。これにより、燃料噴射装置から燃料燃焼空間に噴霧される際にも正の電荷に帯電された状態となる。従来から、この燃料の帯電現象に着目し、外部から電荷を供給し、内燃機関又は燃料粒子を帯電させることにより、燃料粒子の燃焼を促進させる技術が開示されている。
【0010】
特許文献1には、コロナ放電により燃料を帯電させ、小さな消費電力で燃料を霧化させる内燃機関の燃料噴射装置の技術が開示されている。従来技術においてはコロナ放電により燃料を帯電させるためには、高電圧の印加が必要であるという課題があった。特許文献1に記載の技術によれば、荷電電極において荷電粒子を照射する部分に、電気抵抗を増大させた電気抵抗増大部を設けさせ、荷電粒子を照射する部分の帯電量を増大させ、効率よくコロナ放電を発生させるとしている。
【0011】
具体的には、ピストンの表面には電荷照射ピンから正の電荷を照射させ、ピストンの表面を正電荷に帯電させると共に、噴射される燃料の微粒子には、燃料噴射部の周囲に設けられた燃料帯電ピンから正電荷を供給させている。ピストン表面と燃料微粒子とがいずれも正電荷で帯電されるため、静電気斥力による反発によって、燃料燃焼空間内において燃料が微粒子化され、燃料の燃焼を促進させるとしていた。
【0012】
特許文献2には、マイナスイオンを燃料燃焼空間へ供給させることにより、燃焼向上を図る内燃機関の技術が開示されている。特許文献2に記載の技術によれば、燃料燃焼空間を構成する壁面の少なくとも一部を圧電素子で覆わせている。トルマリン等からなる前記圧電素子が、混合気を圧縮するための圧力や混合気が燃焼することで高まる圧力により、燃料燃焼空間内部の圧力が高まる期間に静電気が発生されるとしていた。静電気の発生により、圧電素子の周囲にマイナスイオンが発生され、マイナスイオンを燃料燃焼空間に低いコストで供給させるとしていた。
【0013】
特許文献3には、走行に伴い発生する静電気により正電荷に帯電される車両から、正電荷を放電させるようにして、正電荷を除電させる技術が開示されている。この文献に記載の技術によれば、走行時に車両本体の周囲に流れる正電荷が帯電した空気流が、車両本体の表面から離れた流れに変化し始める剥離形状の箇所に、導電性皮膜を貼着するとされている。導電性皮膜には、自己放電を生じさせ易い尖った形状の部分を備えさせると好適であるとされている。
【0014】
導電性皮膜を貼着した場所は正電荷に帯電しにくくなり、空気流の車体表面からの剥離が抑制されることにより、車両本体表面における特定部位やその周囲での空気の乱流や空圧の変動などが抑制される。その結果、極低速走行時から高速走行時までにおける動力性能や操縦安定性もしくは制動性能あるいは乗り心地などの走行特性が向上するとされている。
【0015】
特許文献4には、本願の発明者による電子放散装置の技術が開示されている。特許文献4に記載の技術によれば、電子放散装置で発生させた電子を、電線の放散端から放散させ、車両や船舶等の燃費を向上させるとしている。具体的には、ディーゼルエンジンの燃料貯留タンク内に電子放散端を浸漬させ、燃料に電子を供給させることにより燃費を向上させること等が開示されている。
【0016】
しかし、燃料貯留タンクの中で電子を発生させるためには、燃料貯留タンク自体の改造が必要になる。そうすると、適用対象車両が限定され、中古車等を含めた多くの車両に適用させることができなかった。そこで本願の発明者は、新車だけでなく、中古車でも車両の走行機構を変更させないで、容易に適用することができる、安定した回路を有する燃焼改善手段を鋭意研究し、本発明を想到するに至ったものである。
【0017】
特許文献4に記載の電子放散装置は、オゾンを発生させない電子発生装置とされていた。具体的には、昇圧回路の2次側から電子のみを発生させるために、昇圧回路の2次側回路の一端を1次側回路に接続させ、2次側回路の他端と電子放散端との間に、前記他端から前記電子放散端に向かう電流を遮断させるダイオードを備えさせていた。車両に適用する際には、この電子発生装置からの電子放散端を金属部品に接しないように空中に配し、電子を放散させ試行していた。
【0018】
ところが、装着の際に、電源から電子放散端に至る被覆電線の被覆を損傷した場合、走行に伴う振動等により、電子放散端が直接車両本体に接触した場合等には、保護回路が設けてあっても電子放散装置をなす電子回路が破損されることがあった。この試行により、車載バッテリーと、電子発生回路の電子部品とが短絡された状態となった場合には、前記2次側回路の一端を通じて、1次側回路に、保護回路の保護容量を超える意図しない過電流が流れ、電子回路が破損することがあることが判明した。
【0019】
そこで本願の発明者は、回路が破損しにくく、安定した状態で電子を発生させる電子回路として、高電圧に昇圧された2次側の交流電力を、低電圧の1次側に戻さなくてもよい電子発生手段を鋭意研究し、本発明を想到するに至ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
特許文献1:特開2005−90338号
特許文献2:特開2008−38618号
特許文献3:国開2015−064195号
特許文献4:特開2009−247200号
【非特許文献】
【0021】
非特許文献1:富山大学学術情報リポジトリ 鳥取幸太郎著「絶縁液体の帯電に関する研究(第2報) 絶縁性液体の受器タンクに及ぼす影響(第25頁−第27頁)」
https://toyama.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=3773&file_id=18&file_no=1
非特許文献2:一般財団法人石油エネルギー技術センターの技術資料
http://www.pecj.or.jp/japanese/safer/knowledge/doc/no-75.doc
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の課題は、小さな消費電力であっても、安定した状態で電子を発生させることができる電子発生手段を提供することである。より詳細には、回路が破損しにくく、安定した状態で電子を発生させ、内燃機関に噴射された燃料の微粒子を、瞬間的にガス化させて燃焼を促進させる燃焼促進手段を提供することである。
【0023】
更には、前記電子発生手段を備えた移動体を提供することである。具体的には、移動に伴って移動体本体と空気とが摩擦されて発生される静電気を低減させる移動体を提供することである。また、前記電子発生手段で発生させた電子を帯電させた液体により、悪臭の原因となる菌を殺菌し、脱臭させる殺菌・脱臭手段を提供することである。
【0024】
本発明の第1の発明は、整流回路と、昇圧回路とを備え、電源からの交流電力を前記昇圧回路で昇圧させて、前記昇圧回路の2次側の一方の端子のみから電子を発生させる電子発生手段において、前記昇圧回路の1次側に一方向のみに電流が流されるように前記1次側に前記整流回路が配されると共に、前記2次側の他方の端子が開放されており、交流電力の正負の反転周期に応じて、前記整流回路の第1の端子が正の電位となっている状態においては、前記第1の端子から前記整流回路の第2の端子に電流を遮断させて前記昇圧回路への電流を遮断させ、前記第1の端子が負の電位となっている状態のみにおいて、前記第1の端子に前記第2の端子から電流を流させ、前記昇圧回路の1次側に一方向のみに電流を流させ、前記2次側において相互誘導により電流を発生させ、前記第1の端子が負の電位となっている状態のみに、前記他方の端子が開放されていることにより、前記2次側から前記1次側に電流を戻させないで、前記一方の端子から電子のみを発生させることを特徴としている。
【0025】
ここで電源とは、商用交流電源に限らず、直流電源であってもよい。例えば、車載バッテリー等の直流電源を、インバータにより交流電源に変換させ、電子発生手段に供給させればよい。整流回路は、電源と昇圧回路との間に公知のダイオード等を備えさせて、交流の一方向のみに電流を流すようにさせればよい。整流回路の第1の端子が正の電位となっている状態においては、第1の端子から第2の端子に向かう方向の電流を遮断させるため、昇圧回路の1次側コイルには電流が流れず、昇圧回路の2次側コイルにも電流が流れない状態となる。この周期においては、昇圧回路の2次側には電子が発生されない。
【0026】
整流回路の第1の端子が負の電位となっている状態においては、第2の端子から第1の端子に向かう方向の電流を流すため、昇圧回路の1次側コイルに電流が流れ、二つのコイルによる相互誘導により2次側コイルに電流が発生される。この周期においては、昇圧回路の2次側の一方の端子から電子が発生される。なお、整流回路を反転させ、遮断させる電流の方向を反転させても、一方の端子から電子のみが発生されることには変わりがない。
【0027】
これにより、昇圧回路の2次側の他方の端子を、昇圧回路の1次側の端子に接続させなくても、整流回路の第1の端子が負の電位となっている状態のみに、昇圧回路の2次側の一方の端子から電子のみを発生させることができる。すなわち、昇圧回路の2次側と1次側とが接続されず、2次側の高電圧が、低電圧で作動される1次側に戻されないため、電子発生手段をなす各々の電子回路が破損されにくく、安定した状態で電子が発生される。
【0028】
車両を例に具体的に説明すると、走行に伴う振動によって、一方の端子とエンジンルーム内の金属部品とが一時的に接触されても、車載バッテリーと、電子発生回路の電子部品と、金属部品とが短絡された状態とならず、1次側回路に意図しない過電流が流れることがない。
【0029】
昇圧回路は、1次側に入力された交流電力を、所望の電圧値に昇圧させて2次側から出力させることができればよく、公知の昇圧回路であればよい。所望の電圧値は、電子発生手段が適用される機器に応じて設定されればよく、限定されない。例えば、電子を発生させやすく、かつ火花放電が発生されない電圧、具体的には2000Vから5000Vに昇圧させるとよい。
【0030】
昇圧回路は、電子発生装置の消費電力を数Wの小さな消費電力に抑えるように、高電圧・低電流で作動させると好適である。昇圧回路の2次側を高電圧に昇圧させると共に、低電流で電子を発生させれば、小さな消費電力で、電子のみを効率よく放散させることができる。
【0031】
本発明の第1の発明によれば、昇圧回路の2次側と1次側とが接続されておらず、近くにあるものと一方の端子とが短絡し過電流が生じても、昇圧回路の2次側から1次側に電流が戻されないため、電子発生手段をなす各々の電子回路が破損されにくく、安定した状態で電子のみが発生されるという従来にない有利な効果を奏する。
【0032】
本発明の第2の発明は、第1の発明の電子発生手段であって、前記一方の端子が、筋状に伸びる電子伝達手段を備え、前記電子伝達手段は、少なくとも先端部に繊維導体の束を有し、前記束をなす各々の単繊維から電子を放散させることを特徴としている。
【0033】
電子伝達手段は、全体が繊維導体の束とされてもよく、先端部のみが繊維導体の束とされ、前記先端部に繋がる基部が、例えば金属の単線とされていてもよい。繊維導体の束とは、細長く延びた繊維線の導体の束をいう。繊維導体の材質は限定されず、細径の金属線が撚られてなる撚り線であってもよく、カーボン繊維であってもよく、非導電性繊維の周囲に金属めっき層が形成されためっき繊維糸であってもよい。
【0034】
電子は、太径の導電体よりも細径の導電体からの方が放散されやすい性質がある。カーボン繊維の束は、導電性が高く、かつ、各々の単繊維が金属の撚り線よりも細径であることから、より電子を放散させやすく好適である。電子発生手段本体から離間された場所であっても、一方の端子に筋状に伸びる電子伝達手段が備えられているため、任意の場所で電子を発生させることができる。
【0035】
本発明の第2の発明によれば、電子伝達手段が、先端部に繊維導体の束を有しているため、より低い消費電力で、効率よく電子を放散させることができる。また、内燃機関を有する車両等に適用させる場合には、電子発生手段をなす電子回路を、高温となる内燃機関から離間させた状態で電子を供給させることができる。
【0036】
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明の電子発生手段であって、前記2次側の電圧値が2000V以上5000V以下とされると共に、前記2次側の電流値が0.2mA以上1mA以下とされていることを特徴としている。2次側の電圧値が、2000V以上5000V以下とされるため、電子を発生させやすく、かつ、火花放電を発生させにくい。
【0037】
本発明の第4の発明は、内燃機関の燃料燃焼空間に噴霧される燃料粒子の燃焼を促進させる燃焼促進手段であって、第1から第3の発明に記載の電子発生手段を含み、前記一方の端子が、内燃機関と電気的に導通されている金属部品と接触しないように前記電子を放散させて、前記燃料燃焼空間をなす周囲の金属部を負の電荷で帯電させ、前記周囲の金属部に、前記燃料粒子を静電気引力により引き寄せて、気化促進させることを特徴としている。
【0038】
内燃機関を起動させる直流の車載バッテリーを電源とする場合には、インバータ等により、直流を交流に変換させてから、電子発生装置に交流電力を供給させればよい。内燃機関は、車両・船舶等に搭載されるガソリンエンジン、ディーゼルエンジンに限定されず、火力発電機等であってもよい。一方の端子が、内燃機関と電気的に導通されている金属部品に接触しないように前記電子を放散させているため、電子発生装置をなす回路が破損されにくく、寒暖の過酷な環境にさらされる場所の内燃機関に電子を発生させる場合であっても、安定した状態で電子が発生される。
【0039】
燃料燃焼空間に噴霧された燃料粒子は、燃料燃焼空間をなすピストン、シリンダブロック等の燃焼により高温となった金属部に接し、瞬間的に気化され、より微細な粒子のガス状となり燃焼されやすくなる。燃料が燃焼されやすくなるため、同量の燃料であっても、より大きな運動エネルギーを取り出すことができる。本発明の第4の発明によれば、燃料の燃焼を促進させると共に、燃料の削減に伴い温暖化ガスの発生も抑制させるという従来技術にない有利な効果を奏する。
【0040】
本発明の第5の発明は、第4の発明の燃焼促進手段であって、前記電子発生手段が、放散遅延手段を含み、前記放散遅延手段が、前記燃料燃焼空間の周囲の金属部が500℃を超す高温となる時点を経てから前記電子を発生させるようにし、電子の発生を遅延させることを特徴としている。
【0041】
放散遅延手段は、燃料燃焼空間の周囲の金属部が高温となる時点を経てから電子を発生させるようにすればよく、形態は限定されない。例えば、温度センサーやタイマー等により、内燃機関が始動されて燃料燃焼空間の温度が500℃を超えるタイミングから電子発生装置が始動されればよい。燃料燃焼空間の温度が高くなってから、燃料燃焼空間をなす周囲の金属部に、電子により燃料粒子を引き寄せるため、燃料燃焼空間が高温となる前においては、燃料燃焼空間をなす周囲の金属部に燃料粒子が引き寄せられることがない。これにより、燃料を気化させやすい期間のみにおいて電子を放散させて、燃焼を促進させることができる。
【0042】
本発明の第6の発明は、第5の発明の燃焼促進手段であって、前記放散遅延手段が、温度検知手段を含み、前記温度検知手段が、前記燃料燃焼空間の周囲の金属部の温度を検知させることを特徴としている。温度検知手段は公知の熱電対であればよいが、限定されない。
【0043】
温度検知手段により燃料燃焼空間が高温となったことを検知させている。これにより、季節、地域、標高等によって外気温・内燃機関の温度が異なっても、燃料燃焼空間が十分に高温となってから電子を発生させて、燃料燃焼空間をなす周囲の金属部に、より好適に燃料粒子を接触させ、燃料をより微細な粒子のガス状とすることができる。
【0044】
本発明の第7の発明は、第4から第6の発明の燃焼促進手段が車両に装着され、前記一方の端子が、先端部が露出されると共に、先端部に繋がる基部が絶縁被覆された導電線を備え、前記絶縁被覆された導電線が、前記車両のエンジンルーム内のラジエータパイプに装着されると共に、前記先端部が前記エンジンルーム内に配されていることを特徴としている。
【0045】
ラジエータパイプは、燃料燃焼空間に隣接されるため、導電線をラジエータパイプに巻き付けるようにして付設させれば、振動などによっても、先端部の位置がずれにくい。また、導電線の絶縁被覆が高温環境下において劣化しても、ラジエータパイプは非金属部品であるため、導電線とエンジンルーム内の金属部品とが短絡して、金属部品と第1の端子との間に高電圧がかかることがない。
【0046】
これにより、消費電力の小さい電子発生手段であっても、燃料燃焼空間の周囲の金属部に燃料粒子を引き寄せるために必要な電荷を帯電させることが容易である。導電線の先端をエンジンルーム内に配置させるだけでよく、燃料配管等の内燃機関の改造を伴わず、中古車であっても簡易に電子発生装置を適用することができる。
【0047】
本発明の第8の発明は、空気抵抗を伴う移動により移動体本体に正電荷の静電気が帯電される移動体であって、第1から第3の発明の電子発生手段を含み、前記電子発生手段が、放散させた電子により前記正電荷を中和させ、前記移動体本体の正電荷の静電気を除去させる静電気除去手段として機能されることを特徴としている。
【0048】
移動体は、内燃機関を有する自動車に限定されず、内燃機関を有さない電気自動車、燃料電池自動車であってもよく、電気で走行される高速鉄道等の陸上移動体や、飛行機、ロケット等の飛行体であってもよく限定されない。移動体が移動し、移動体本体の表面に空気が沿って流れると、移動体の表面が正電荷に帯電されるようになる。正電荷に帯電した移動体が移動すると、移動体の周りの空気流の正電荷と移動体の表面の正電荷との静電気斥力により、移動体本体の表面から空気流が剥離する現象が発生し、移動体の空気抵抗が増大される。第8の発明によれば、移動体本体の正電荷を中和させることにより、移動体本体の空気抵抗の増大を抑制させ、移動に必要な動力が低減される。
【0049】
本発明の第9の発明の殺菌・脱臭手段は、嫌気性細菌が生息している貯留された液体に電子を放散させ、前記嫌気性細菌を殺菌させると共に、悪臭を脱臭させる殺菌・脱臭手段であって、第1から第3の発明の電子発生手段と、アース線と、空気供給手段とを含み、前記アース線が、前記液体と大地とを電気的に接地させると共に、前記空気供給手段が前記液体に空気を発泡させて供給させている状態で、前記一方の端子を前記液体に浸漬させて電子を放散させ、電子が供給された液体が前記空気により攪拌され、前記嫌気性細菌を殺菌させ、悪臭を脱臭させることを特徴としている。
【0050】
電子を放散させる液体は、汚濁水に限定されず、人や家畜が飲む水、水生生物の水槽に蓄えられる水であってもよい。嫌気性細菌は悪臭の原因とされるため、嫌気性細菌が殺菌された結果、悪臭も脱臭される。嫌気性細菌は電気に弱く、水に電子を流すことにより殺菌される。
【0051】
アース線は、端部が露出された被覆電線であればよい。アース線が液体と大地とを電気的に接地させ、一定の電圧・電流値の環境において継続して電子を放散させることができる。空気供給手段は、水中に気泡を発生させる発泡手段であればよい。嫌気性細菌は空気と接しやすい環境下においては繁殖されにくくなるため、より効果的に汚濁水に含まれる嫌気性細菌を殺菌することができる。また、空気の供給により液体が攪拌されるため、嫌気性細菌の濃度を偏らせないで低減させることができる。
【0052】
本発明の第9の発明によれば、薬剤を使用しなくても、悪臭の原因となる嫌気性細菌を殺菌し、脱臭させることができる。これにより、汚濁水の浄化だけでなく、人体や家畜に安全で、かつ高い殺菌・脱臭効果が得られるという有利な効果を奏する。
【0053】
本発明の第10の発明の殺菌・脱臭手段は、嫌気性細菌を殺菌させると共に、悪臭を脱臭させる殺菌・脱臭手段であって、第1から第3の発明の電子発生手段と、液体の貯留タンクと、前記液体の噴霧手段と、アース線と、空気供給手段とを含み、前記アース線が、前記液体と大地とを電気的に接地させると共に、前記空気供給手段が前記液体に空気を発泡させて供給させている状態で、前記一方の端子を前記液体に浸漬させて電子を放散させて液体を帯電させ、前記噴霧手段が、帯電させた前記液体を噴霧させて殺菌・脱臭をさせることを特徴としている。
【0054】
液体の噴霧手段は、公知のスプリンクラー、農薬の散布等に使用される噴霧機、液体を高圧で噴射させる高圧洗浄機であればよく限定されない。噴霧手段と液体が貯留される貯留槽は、一体であってもよく、分離されていてもよい。噴霧される液体は、水に限定されず、酵素剤・脱臭剤が水に希釈された液体であってもよい。電子を蓄えた水自体が殺菌・脱臭効果を有するため、汚染された床の清掃作業において、通常使用される場合には水で100倍に希釈して使用する酵素剤を、水で10000倍に希釈しても、従来と同等以上の脱臭効果が得られた。
【0055】
本発明の第10の発明によれば、噴霧手段が備えられることにより、広い汚染された床等であっても、容易に殺菌・脱臭効果を得ることができる。また、従来から殺菌・脱臭に使用されていた酵素剤・脱臭剤と、電子を蓄えた水とを組合せることにより、酵素剤や脱臭剤の使用量を大幅に削減させることができるという有利な効果を奏する。
【発明の効果】
【0056】
・本発明の第1の発明によれば、昇圧回路の2次側と1次側とが接続されておらず、近くにあるものと一方の端子とが短絡し過電流が生じても、昇圧回路の2次側から1次側に電流が戻されないため、電子発生手段をなす各々の電子回路が破損されにくく、安定した状態で電子のみが発生されるという従来にない有利な効果を奏する。
・本発明の第2の発明によれば、電子伝達手段が、先端部に繊維導体の束を有しているため、より低い消費電力で、効率よく電子を放散させることができる。また、内燃機関を有する車両等に適用させる場合には、電子発生手段をなす電子回路を、高温となる内燃機関から離間させた状態で電子を供給させることができる。
・本発明の第3の発明によれば、2次側の電圧値が、2000V以上5000V以下とされるため、電子を発生させやすく、かつ、火花放電を発生させにくい。
【0057】
・本発明の第4の発明によれば、燃料の燃焼を促進させると共に、燃料の削減に伴い温暖化ガスの発生も抑制させるという従来技術にない有利な効果を奏する。
・本発明の第5の発明によれば、燃料を気化させやすい期間のみにおいて電子を放散させて、燃焼を促進させることができる。
・本発明の第6の発明によれば、季節、地域、標高等によって外気温・内燃機関の温度が異なっても、燃料燃焼空間が十分に高温となってから電子を発生させて、燃料燃焼空間をなす周囲の金属部に、より好適に燃料粒子を接触させ、燃料をより微細な粒子のガス状とすることができる。
・本発明の第7の発明によれば、消費電力の小さい電子発生手段であっても、燃料燃焼空間の周囲の金属部に燃料粒子を引き寄せるために必要な電荷を帯電させることが容易である。導電線の先端をエンジンルーム内に配置させるだけでよく、燃料配管等の内燃機関の改造を伴わず、中古車であっても簡易に電子発生装置を適用することができる。
【0058】
・本発明の第8の発明によれば、移動体本体の正電荷を中和させることにより、移動体本体の空気抵抗の増大を抑制させ、移動に必要な動力が低減される。
・本発明の第9の発明によれば、汚濁水の浄化だけでなく、人体や家畜に安全で、かつ高い殺菌・脱臭効果が得られるという有利な効果を奏する。
・本発明の第10の発明によれば、噴霧手段が備えられることにより、広い汚染された床等であっても、容易に殺菌・脱臭効果を得ることができる。また、酵素剤や脱臭剤の使用量を大幅に削減させることができるという有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】電子発生手段の説明図(実施例1)。
図2】燃焼促進手段を有する自動車の説明図(実施例2)。
図3】燃焼促進手段の説明図(実施例2)。
図4】静電気除去手段を有する移動体の説明図(実施例2)。
図5】殺菌・脱臭手段の説明図(実施例3)。
図6】電子が発生されている状態を示す写真及び説明図(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0060】
電子を発生させる電子発生手段において、電源からの交流電力を昇圧回路に流す前に、予め整流回路により、整流回路の第1の端子が負の電位となっている状態のみに電流を流すように整流し、昇圧回路においては2次側の一方の端子からのみ電子を発生させるようにした。燃焼促進手段においては、前記電子を、内燃機関に供給させ、燃料燃焼空間をなす周囲の金属部に燃料粒子を静電気引力により引き寄せて気化促進させるようにした。
【0061】
移動体においては、正電荷に帯電した移動体が移動することによる、移動体の周りの空気流と移動体の表面との静電気斥力による移動体本体の表面から空気流が剥離する現象を、移動体本体の正電荷を中和させ、空気抵抗の増大を抑制させた。また、殺菌・脱臭手段においては、前記電子により液体を帯電させ、電子が帯電された液体が嫌気性細菌を殺菌させ、悪臭を脱臭させるようにした。
【実施例1】
【0062】
実施例1においては、電子発生手段1の構成および動作を、図1を参照して説明する。図1(A)図は、昇圧回路の2次側の一方の端子から電子を発生させている状態を示し、図1(B)図は、整流回路により電流が遮断されている状態を示している。図1においては、電流の方向を矢印で示し、電子の流れる方向を白抜き矢印で示している。また、昇圧回路をなす各々のコイルに印加される電圧波形を、各々のコイルの隣に示している。
【0063】
電子発生手段1は、整流回路10と、昇圧回路20と、筋状に延びる電子伝達手段30と、直流電力を交流電力に変換させるインバータ40とを備えている。電子発生手段1に供給される交流電力は、直流12V又は24Vの車載バッテリー50からの直流電力を、公知のインバータ40により12V又は24Vの交流電力に変換させることにより得ている。
【0064】
実施例1の電子発生手段1においては、昇圧回路20の1次側回路21の定格容量は1W、電圧値が12V、電流値は約0.083Aとなるように定格設定回路を設計し、2次側回路22は電圧値が5000V、電流値が約0.2mAとなるように昇圧回路の巻き数比を設定した。定格設定回路23は、電子発生手段において発生させる電子の量に応じて、適宜設定されればよい。
【0065】
整流回路10は、公知のダイオードとされ、昇圧回路の1次側回路21に配設されている。具体的には、整流回路10において、ダイオードのカソード端子をなす第1の端子11側が電源側に接続され、アノード端子をなす第2の端子12側が昇圧回路をなす1次コイル24側に接続される。これにより、電源からの交流電力が予め整流回路10を経てから昇圧回路20に流される。
【0066】
昇圧回路20は、公知の昇圧回路であればよく、1次側回路21に入力された電圧値を昇圧させて、2次側回路22から出力させる。昇圧回路20は、1次側の電圧値に応じて、2次側から5000Vの電圧値を出力できるように、1次コイル24と2次コイル25との巻き数比が設定されている。昇圧回路の2次側回路22には、一方の端子26に電子伝達手段30が装着され、他方の端子27が、いずれにも接続されない状態とされている。
【0067】
電子伝達手段30は、先端部31にカーボン繊維の束が備えられ、前記先端部31に繋がる基部32が、絶縁被覆された金属の撚り線とされる。電子が、カーボン繊維の束をなす各々の単繊維から放散される。また、電子を発生させる一方の端子26と電子伝達手段30との間に電流制限抵抗33が備えられ、電子伝達手段に伝達される電流値が約0.2mAの低い値に制限されている。
【0068】
次に、電子発生手段1の動作を、図1(A)図と図1(B)図とを対比して説明する。整流回路10にかかる電流の方向は、電源からの交流電力の正負の反転周期に応じて、周期的に反転される。本発明の電子発生手段1によれば、前記交流電力の正負の反転周期に応じて、整流回路の第1の端子11が正の電位となっている状態においては(図1(B)図)、第1の端子11から第2の端子12に向かう電流を遮断させる。一方、整流回路の第1の端子11が負の電位となっている状態においては(図1(A)図)、第2の端子12に向かう電流(図の矢印I1)を遮断させることがなく、第2の端子12から第1の端子11に逆方向に電流を流す。
【0069】
そうすると、整流回路の第1の端子11が負の電位となっている状態において、昇圧回路の2次側回路22にも、一方の端子26から他方の端子27に向かう電流(図1(A)図矢印I2参照)が発生される。電子の流れる方向は、電流の流れる方向と反対方向のため、昇圧回路の2次側回路22においては、一方の端子26から電子伝達手段30に向かって電子が供給される(図1(A)図白抜矢印参照)。すなわち、昇圧回路の2次側回路22から1次側回路21に電流を戻さないで、昇圧回路に1/2の周期の時間のみ電力が供給され、昇圧回路の2次側回路22に電力が供給された期間のみに電子が発生されることになる。
【実施例2】
【0070】
実施例2においては、燃焼促進手段と、車両に帯電された正電荷の静電気を除去させる静電気除去手段とを図2から図4及び図6を参照して説明する。図2は、燃焼促進手段及び静電気除去手段とをなす電子発生手段1を中古車に装着させた状態を示している。図3は、内燃機関の一部断面による模式図を示している。図3(A)図は、内燃機関の燃料燃焼空間に混合気が噴射された状態を示し、図3(B)図は、前記燃料燃焼空間の拡大図を示している。図6は、電子発生手段から電子が発生している状態を示す写真と、写真を説明する説明図とを図中左下に併せて示している。
【0071】
図3(A)図においては、各々の部品の動作方向を矢印で示し、燃料粒子と空気との混合気の導入方向を白抜き矢印で示している。図3(B)図においては、電子はマイナス記号を丸で囲って示し、燃料粒子はプラス記号を丸で囲って示している。また、燃料粒子が電子に引き寄せられる前の位置を黒丸で示し、引き寄せられる動作を矢印で示している。
【0072】
図4においては、電子発生手段1を静電気除去手段として機能させた移動体を示している。図4(A)図は、自動車の走行中に生じる周囲の気流の模式図を示している。図4(B)図は、高速鉄道の場合の気流の模式図を示している。図4の各々の図においては、空気が移動体に沿って流れている状態を実線で示し、空気が移動体本体から離れた位置を流れている状態を破線で示している。併せて、剥離した気流による渦を破線で示している。
【0073】
まず、電子発生手段1を中古車に装着させる方法を、図2を参照して説明する。電子発生手段1の本体の装着位置は限定されないが、後述する走行試験においては、本体をエンジンルーム100内に装着した。電子発生手段の電源は、運転席101に配設されているシガーソケット102から直流電力を取得し、この直流電力を電子発生手段1に内蔵されたインバータにより交流電力に変換させて得ている。
【0074】
電子発生手段の本体には、実施例1にて示した電子伝達手段30と、電子発生手段1の始動を遅延させる放散遅延手段60とが備えられている。電子発生手段が装着される中古車は、後述するように、ディーゼルエンジンにより駆動される貨物運搬車と、ガソリンエンジンにより駆動される乗用車の双方について走行試験した。
【0075】
電子伝達手段30は、絶縁被覆された基部32が、内燃機関の冷却水を循環させるラジエータパイプの往路配管103に複数回巻き回されて装着されている。電子伝達手段の先端部31に備えられたカーボン繊維の束は、エンジンルーム100内や内燃機関200の金属部品に接触しないように電子を放散させている。また、前記先端部31をなすカーボン繊維の束は、発電機210の近くで、内燃機関200の燃料燃焼空間をなす周囲の金属部を負の電荷で帯電させている。
【0076】
放散遅延手段60は、温度検知手段をなす温度センサー61を備えている。温度センサー61は、ラジエータパイプの復路配管104に添着され、ラジエータパイプを循環される冷却水の温度から、内燃機関200をなす金属部の内部温度が所定の温度を超えたことを検知させている。例えば、前記内部温度が500℃となったことが冷却水の温度から検知されればよい。
【0077】
ここで4ストローク機関を例に、燃料粒子をガス状に気化させている状態を、図3の各々の図を参照して説明する。内燃機関の燃料燃焼空間201をなす周囲の金属部202とは、筒状のシリンダ203とシリンダの内周面に沿って摺動されるピストン204等とされる。前記周囲の金属部202が電子により負の電荷で帯電された状態で、吸気バルブ205が開放されると共に、ピストン204がクランク動作により下方に摺動され、霧状の燃料粒子99と空気との混合気が前記燃料燃焼空間201に噴霧される(図3(A)図参照)。
【0078】
前記したように、燃料粒子99は、燃料タンクから燃料配管を通って燃料燃焼空間に至り供給されるまでの間に、配管の壁との摩擦などによって正の電荷に帯電されている。そうすると、燃料燃焼空間に噴射され、霧状となった燃料粒子99は、正の電荷を帯びており、静電気引力により負の電荷に帯電された周囲の金属部202に引き寄せられる(図3(B)図矢印参照)。
【0079】
燃料燃焼空間の周囲の金属部202に引き寄せられた燃料粒子は、燃焼により高い温度状態となった周囲の金属部202に接して瞬間的に、より微細な粒子とされ、ガス化され燃焼されやすい状態とされる。燃料が燃焼されやすい状態とされるため、同量の燃料であっても、無駄なく、より大きな運動エネルギーを取り出すことができる。
【0080】
また、空気抵抗を伴う連続走行により、移動体300(例として、自動車車両を図4(A)図に示している。)に沿って流れる空気301が移動体から負電荷を奪い、移動体には正電荷の静電気が帯電されるようになる。移動体300に正電荷の静電気が帯電されると、正電荷に帯電された空気302が静電気斥力により反発され、移動体に沿って流れていた空気流が、移動体本体から離間し、剥離することによる渦303を発生させる(図4(A)図破線矢印参照)。移動体300にかかる空気抵抗は、移動体の近くに沿って空気が流れている状態(図4(A)図実線矢印参照)よりも、渦303の発生により増大される。
【0081】
本発明においては、自動車車両のエンジンルーム100内に電子が放散されているため(図2参照)、移動体本体も前記電子による負電荷に帯電される。そのため、空気抵抗を伴う走行により、空気流により移動体本体から負電荷が奪われても、移動体本体に正電荷の静電気が帯電されにくく、空気の流れが移動体300に沿った流れのままとされ、走行に伴って空気抵抗が増大されにくい。これは、高速鉄道310の場合(図4(B)図参照)であっても同様である。以上のように、燃料の燃焼が促進されていること、および、車両にかかる空気抵抗の増大が抑制されていることにより、後述する実証試験において著しい燃料消費率の改善効果が得られたことが検証された。
【0082】
また、電子が発生されていることを検証するために、エンジンルーム内に手を挿し入れて静電気放電が生じるかを確認した。図6は、電子伝達手段30の先端部31に指を近づけさせ、強制的に火花放電320を発生させた状態を示している。なお、指を前記先端部に近づけていく過程で、手に静電気による刺激が感じられた。これらから、電子発生手段から電子が発生され、エンジンルーム内の全体に負電荷が供給されていることが確認された。
【0083】
(実証試験1)
実証試験1においては、排気量が12,910ccのディーゼルエンジンを原動機とし、最大積載量12.8t、車両重量12.08tの製造後13年経過した長距離輸送を行っている貨物運搬車に、電子発生手段を装着させて、長期間走行試験を行った。電子発生手段の仕様は、実施例1に示したとおりであり、電子発生手段の装着方法は、図2で示したとおりである。なお、実証試験1は、長時間の連続走行を行ったため、放散遅延手段を機能させないで試験を行っている。
【0084】
実証試験1は、前記貨物運搬車を13年間運転している運転手が、2018年9月25日から同年11月20日までの約2ヶ月を試験期間として、日常業務で使用している制限速度が60km/hとされた一般道により走行試験をした。貨物運搬車の積載量は、日により異なるが平均して最大積載量の約70%から90%であった。
【0085】
電子発生手段を装着していない場合の比較データは、電子発生装置を装着させる前の2018年8月1日から同年8月31日までの1ヶ月のデータとした。主要な走行ルート、走行場所、運転手、積載量等の条件は略同一である。走行距離は、車両に搭載されている走行計で計測し、燃料消費量は、試験期間中の給油した給油量を累計している。
【0086】
電子発生手段を装着させた場合と、電子発生手段を装着させていない場合とを比較し、実証試験1の結果を以下の表1に示す。電子発生手段を装着させた場合の2ヶ月間の合計走行距離は21,616kmであり、燃料給油量は5,507リットルであった。電子発生手段を装着させた場合の燃料消費率は、約3.9km/リットルであった。
【0087】
一方、電子発生手段を装着させていない場合の1ヶ月間の合計走行距離は12,350kmであり、燃料給油量は3,972リットルであった。電子発生手段を装着させていない場合の燃料消費率は、約3.1km/リットルであった。この実証試験1においては、燃料消費率が約26%向上したことが検証された。
【0088】
この実証試験1の結果から、連続して長距離を走行する貨物運搬車において、著しい燃料消費率の改善効果が得られた結果となった。この燃料消費率の改善効果は、燃料の燃焼を促進させること、および走行中の空気抵抗を低減させることの相乗効果によるものと認められる。
【0089】
[表1]
【0090】
(実証試験2)
実証試験2においては、排気量が1968ccのガソリンエンジンを原動機とし、車両重量1.62tの製造後7年を経過した8人乗りのミニバン形式の乗用車にて、静電気引力による燃料燃焼室の金属部への燃料粒子の引き寄せの状況を試験した。なお、車両に搭載された走行計によれば、電子発生手段を装着させていない過去7年間の平均の燃料消費率は、約9.4km/リットルであった。過去7年においては、主として平日各日に都市部の一般道で片道約3kmの短距離・短時間走行が主体であり、約2か月に1度、郊外への往復400kmの長距離走行をしていた。
【0091】
電子発生装置を装着させた走行試験として、主として平日に一般道を片道3kmの短距離・短時間の往復走行を行った場合の燃料消費率と、一般道において長距離・連続走行を行った場合の燃料消費率とを比較した。実証試験2の結果を以下の表2に示している。
【0092】
まず、冬季タイヤを装着させた状態で、2018年11月10日から2018年12月10日の1ヵ月間で、運転手の大人が1名、幼児が1名乗車で、都市部の一般道において、エンジンが高温とならない状態の短距離・短時間の走行試験をした。次に、冬季タイヤを装着させたままで、2018年12月23日の1日間で、運転手を含めて大人が2名乗車で、郊外の一般道において、エンジンが高温となる状態の長距離・連続走行の走行試験をした。
【0093】
冬季においては、片道3kmの短距離・短時間の往復運転では、エンジンが高温にならないため、約291.0kmの走行距離に44.5リットルのガソリンを消費し、平均燃料消費率は約6.54km/リットルと悪化した。結果的に、短距離・短時間走行の燃料消費率は、電子発生装置を装着させていない過去の累計データと比較して約30%悪化された。この結果は、冬季タイヤを装着させていることに加えて、高温になる前の燃料燃焼室の金属部に燃料が付着され、内燃機関のピストンの摺動抵抗が増大されたことを裏付けている。
【0094】
一方、エンジンが高温の状態が維持される長距離・連続走行においては、約236.1kmの走行距離に18.5リットルのガソリンを消費し、燃料消費率は約12.76km/リットルと向上した。冬季用タイヤを装着させていても、長距離・連続走行の燃料消費率は、電子発生装置を装着させていない過去の累計の燃料消費率と比較して約35%向上された。実証試験2の結果から、エンジンの内部温度が高くなる長距離・連続走行においては燃料が効率的に燃焼されていることが実証された。
【0095】
同一時期に、同一車両を、同一運転手が走行させて、短距離・短時間の走行に対して、長距離・長時間の走行試験の燃料消費率の結果が1.95倍もの値となったのは、負の電荷に帯電したエンジンの金属部にガソリンが引き寄せられ、金属部が高温でない場合には摺動抵抗が増大して燃料消費率が悪化し、金属部が高温の場合にはガソリンのガス化が促進され燃料消費率が向上したことを裏付けている。
【0096】
[表2]
【実施例3】
【0097】
実施例3においては、殺菌・脱臭手段3を、図5を参照して説明する。図5(A)図は、食品工場等から排出される汚濁水を殺菌・脱臭させている殺菌・脱臭手段3を示し、図5(B)図は、電子を帯電させた水を噴霧手段により噴霧させ、汚染された床等を殺菌・脱臭させる殺菌・脱臭手段4を示している。
【0098】
殺菌・脱臭手段3においては、食品工場から排出される汚濁水に含まれる大腸菌を殺菌させると共に、大腸菌が原因となる悪臭を脱臭させる例を、図5(A)図を参照して説明する。殺菌・脱臭手段は、電子発生手段2と、汚濁水と大地とを電気的に接地させるアース線70と、汚濁水の中に空気を供給させる空気供給手段とを備えている。
【0099】
電子発生手段2は、交流100Vの商用交流電源を使用しているため、実施例1で説明した電子発生手段と対比して、内蔵されていたインバータが取り外されている点と、昇圧回路をなす1次コイルと2次コイルとの巻き数比とが異なり、他の構成は同一とされている。アース線70は、水に浸漬されても錆びることのないステンレスの撚り線とした。アース線は、大地に約60cmの深さまで挿し込んで電気的に接地させている。空気供給手段は、液体中に空気の泡を供給させる発泡手段80とした。発泡手段は、電子を流す液体の容量に応じて使用する機器が異なるため、実証試験ごとに示している。
【0100】
(実証試験3)
実証試験3においては、フランチャイズチェーン展開をしている小規模小売店の弁当工場から排水される汚水処理槽400の汚濁水を殺菌・脱臭させる試験を行った。汚濁水の容量は1800トンであり、電子発生手段2は1W、100V、10mAの装置を1台使用し、2次側回路の電圧値を5000Vに昇圧させて、72時間電子を放散し続けて大腸菌数を確認した。
【0101】
発泡手段80は、汚水処理槽400に予め設置されている空気供給ポンプである。1機あたりの空気供給性能は45m/時間、1機あたりの水に対する有効容量は50mであり、汚水処理槽400の中に分散させて40台が設置されている。大腸菌数の試料の計量は、株式会社東洋環境分析センターにおいて行った。殺菌・脱臭前の大腸菌数と、殺菌・脱臭後の大腸菌数とを比較し、実証試験3の結果を以下の表3に示す。大腸菌の計量方法は、日本国の「昭和37年厚生省・建設省令第1号」を基準に行った。
【0102】
汚濁水に含まれる大腸菌数は、殺菌・脱臭前は3100個/1cmであった。これに対し、72時間に亘って電子を放散させ続けた殺菌・脱臭後は、130個/1cmであった。電子の放散により大腸菌が約95.8%減少する効果が得られた。
【0103】
[表3]
【0104】
殺菌・消臭手段4(図5(B)図参照)は、前記した電子発生手段2と、アース線70と、発泡手段81と、噴霧手段とを含んだ高圧洗浄機500としている。高圧洗浄機500は、上方が開放された貯水タンク501と、貯水タンクに溜められた水を噴霧させる噴霧器502と、噴霧器に高圧で水を送るポンプを内蔵した本体部503とを備えている。電子発生手段2から伸びる電子伝達手段30と、アース線70と、発泡手段81とを前記貯水タンク501に浸漬し、水に電子を放散させながら、噴霧器502により水を噴霧させるようにした。
【0105】
高圧洗浄機の貯水タンク501の容量は約20リットルである。240トンの貯水槽の水に、前記殺菌・消臭手段3により予め電子を放散させた水を、前記貯水タンク501に移し替えて使用している。予め電子を帯電させた水が使用されるため、電子が帯電されるまで清掃作業を待機させる必要がない。また、高圧洗浄機の貯水タンク501自体にも電子を放散させているため、清掃作業の全時間に亘って高い殺菌能力が維持される。
【0106】
大容量の貯水槽に使用される発泡手段(図示を省略している)は、空気供給能力が80リットル/分の浄化槽用の空気供給ポンプとした。高圧洗浄機の貯水タンクに使用される発泡手段81は、空気供給能力が0.6リットル/分の水生生物用の空気供給ポンプとした。
【0107】
(その他)
・本実施例においては、電子発生手段を燃焼促進手段、静電気除去手段、殺菌・脱臭手段に適用させる例を説明したが、本発明の電子発生手段の適用範囲は、これらに限定されないことは勿論のことである。
・実施例3においては、アース線を大地に埋設させて接地させる例を説明したが、本発明が屋内で使用される場合には、電気配線に併設されるアース端子にアース線を接続させて、接地させてもよいことは勿論のことである。また、高圧洗浄機に電子を帯電させた水を移し替えて噴霧させる例を説明したが、大容量の貯留槽から直接に水をくみ上げて噴霧させてもよいことは勿論のことである。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0108】
1,2…電子発生手段、3,4…殺菌・脱臭手段、
10…整流回路、20…昇圧回路、30…電子伝達手段、
40…インバータ、50…車載バッテリー、
11…第1の端子、12…第2の端子、
21…1次側回路、22…2次側回路、23…定格設定回路、
24…1次コイル、25…2次コイル、
26…一方の端子、27…他方の端子、
31…先端部、32…基部、33…電流制限抵抗、
60…放散遅延手段、61…温度センサー、
70…アース線、80,81…発泡手段、
99…燃料粒子、
100…エンジンルーム、200…内燃機関、210…発電機、
101…運転席、102…シガーソケット、103…往路配管、
104…復路配管、
201…燃料燃焼空間、202…周囲の金属部、203…シリンダ、
204…ピストン、205…吸気バルブ、
300…移動体、301,302…空気、303…渦、310…高速鉄道、
320…火花放電、400…汚水処理槽、
500…高圧洗浄機、501…貯水タンク、502…噴霧器、
503…本体部
【要約】
【課題】回路が破損しにくく、安定した状態で電子を発生させる電子発生手段を提供すること。前記電子発生手段を含む燃焼促進手段、移動体、および殺菌・脱臭手段を提供すること。
【解決手段】電子を発生させる電子発生手段において、電源からの交流電力を昇圧回路に流す前に、予め整流回路により、整流回路の第1の端子が負の電位となっている状態のみに電流を流すように整流し、昇圧回路においては2次側の一方の端子からのみ電子を発生させるようにした。燃焼促進手段においては、前記電子を、内燃機関に供給させ、燃料燃焼空間をなす周囲の金属部に燃料粒子を静電気引力により引き寄せて気化促進させるようにした。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6