(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図示の実施の形態に従って本発明を詳述する。
図1は本発明に係わるシート処理装置を備えた画像形成システムの全体構成の説明図ある。同図の画像形成システムは、画像形成装置Aと、後処理装置Bを備えている。後処理装置Bには、
図2に示す画像形成装置Aから送られたシートを部毎(グループ)に集積する集積部B1と、集積されたシート束を折り処理する折り処理部B2と、折り処理されたシート束をトリミング仕上げする断裁部B3が内蔵されている。以下、画像形成装置A、後処理装置Bの順に説明する。
【0020】
[画像形成装置]
画像形成装置Aは後処理装置Bの上流側に配置され、シート上に画像を形成して排紙口10から下流側の後処理装置Bに送る。図示の画像形成装置Aは装置ハウジング1内に給紙部2と、画像形成部3と、排紙部4と、データ処理部8を備えている。
【0021】
給紙部2は、画像形成するためのシートを給紙スタッカ2a、2b、2cを備え、オペレータが選択したサイズのシートを1枚ずつ下流側の画像形成部3に繰り出す。画像形成部3は、給紙部2から選択されて給送されたサイズのシートに指定された画像データで画像を形成する。画像形成機構は、図示の静電印刷機構、インクジェット印刷機構、転写リボン印刷機構、サーマル印刷機構、オフセット印刷機構など種々の画像形成機構から採用する。
【0022】
図示の静電印刷機構について説明すると、感光体ドラム5に光学ビーム(発光器)6で潜像を形成し、現像器7でトナーインクを付着させてドラム表面に画像を形成する。そして給紙部2から送られたシートにチャージャ9で画像を転写させる。排紙部4は、チャージャ9から送られたシートを加熱して画像を定着させ、排紙経路11から排紙口10に移送する。この排紙口10には、デュープレックス経路12が連結され、排紙口10から搬出したシートの搬送方向を反転(スイッチバック搬送)させて、シートを表裏反転させて再び画像形成部3に給送し、シート裏面側に画像を形成した後に排紙口10から搬出する。
【0023】
図示13はスキャナユニットであり、原稿をセットするプラテン14と、プラテン上の原稿をスキャンして画像読み取りする読取キャリッジ15と、読み取った画像データを画像形成装置Aのデータ処理部8に転送する画像処理部16を備えている。
【0024】
図示17はフィーダユニットであり、給紙スタッカ上にセットした原稿シートを1枚ずつ分離してプラテン14に給送し、読取後の原稿シートを排紙スタッカに収納する。
【0025】
[後処理装置]
後処理装置Bは、
図2に示すように、装置ハウジング20と、このハウジング内に配置された第1、第2の後処理部35,40(1つの後処理部40のみで構成しても良い)と、この後処理部40に搬入口21からシートを給送する搬送経路25と、後処理されたシートを収納する収納部50とで構成されている。
【0026】
上記搬送経路25のシート搬送方向下流側に第1の後処理部35が、上流側に第2の後処理部40が配置されている。図示の装置は搬送経路25を略水平方向に、第2の後処理部にシートを案内する分岐搬送経路26を略鉛直方向に、第1の後処理部35を搬送経路25から傾斜した方向に配置している。そして第2の後処理部40は第1の後処理部35の下方に配置している。
【0027】
第1の後処理部35は、搬送経路25から送られたシートを処理トレイ33に集積して綴じ処理し、処理後のシート束をスタックトレイ36に収納する後処理機構で構成されている。このため処理トレイ33にはシート端規制手段32と、ステープル綴じユニット31が配置されている。
【0028】
第2の後処理部40は、搬送経路25から分岐した分岐搬送経路26の下流側に配置され、シート支持面41aを有する集積ガイド41と、綴じ処理装置39と、折り処理機構43で構成されている。また第2の後処理部40の下流側には排紙経路46が配置され、処理されたシート束をマガジントレイ50(折りシート収納部)に収納する。この排紙経路46には折り処理されたシート束の小口部を断裁するトリマーユニット49(断裁手段;以下同様)が配置されている。
【0029】
上記搬送経路25は、
図2に示すように、経路搬入口21から経路排紙口30にシートを案内する直線経路(湾曲経路であっても良い)で構成され、経路中央部に分岐搬送経路26にシートを案内する経路分岐部25xが設けられている。経路分岐部25xには経路切換部材23が配置され、搬入口21に給送されたシートを、搬送経路25から第1の後処理部35に、分岐搬送経路26から第2の後処理部40にシートを案内する。このため経路切換部材23は、シートの搬送方向を変更する揺動ガイド片と、これに連結した駆動源(モータ、ソレノイド、アクチュエータなど)で構成されている。
【0030】
また、搬送経路25にはシートを搬送するローラ対(第1ローラ対22、第2ローラ対24、第3ローラ対28、第4ローラ対29)が配置され、図示しない駆動モータ(以下「搬送モータ」と云う)に連結されている。また搬入口21には搬入ローラ22(前記第1ローラ対)と、シートセンサ(入口センサ)Se1が、排紙口30には排紙ローラ29(前記第4ローラ対)と、シートセンサ(排紙センサ)Se2が配置されている。
【0031】
各センサは、経路を通過するシートの先端と後端を検出し、検出信号を基準に搬送モータを制御している。図示のシートセンサはフォトセンサで構成されている。このセンサとしては、メカ的なリミットセンサ、超音波センサ、磁気センサなどが採用可能である。
【0032】
なお図示の搬送経路25には、搬入口21から送られたシートを第1の後処理部35に向けて搬送する際に、このシートを一時的に滞留させるバッファ経路27が配置され、バッファローラ28(前記第3ローラ対)の正逆転で搬入口21から送られたシートを一時的に経路7内に退避させて滞留させる。
【0033】
第1の後処理部35には、前記処理トレイ33にシートを位置決めするシート端規制手段32とシートサイドを位置決めするサイド整合手段(不図示)が配置され搬送経路25から送られたシートを所定の処理位置に積載して束状に集積する。また処理トレイ33には束状のシートを綴じ処理するステープル手段31(ステープル綴じユニット)が配置されている。図示34は搬送経路25から送られたシートを処理トレイ33に案内する昇降ローラであり、シートを1枚ずつ処理トレイに案内するのと同時に、綴じ処理後のシート束を下流側のスタックトレイ36に案内する。
【0034】
[第2後処理部]
前述の第2の後処理部40(処理部;以下同様)の詳細構成にについて説明する。分岐搬送経路26には、搬送経路25から送られたシートを経路排紙口26xから搬出する。排紙口26xの下流側には前述の集積ガイド41が配置されている。このため分岐搬送経路26には搬送ローラ26rが出口端に配置され図示しない駆動モータに連結されている。
【0035】
集積ガイド41は、排紙口26xから送られたシートを、積載して束状に集積する。このガイド41は、シート支持面41aを有するペーパーガイド部材、トレイ部材、紙載部材などで構成される。図示のものはシートを搬送する経路中(正確には分岐搬送経路26の延長経路)に配置されているペーパーガイドで構成している関係で集積ガイドというが、その構造は順次送られてくるシートをシート支持面上に積み上げて束状に集積する構造であればよい。
【0036】
上記集積ガイド41は、排紙口26xから送られたシートが、その自重でシート支持面41aに沿って落下する方向(滑り落ちる方向)の傾斜角度で装置ハウジング20に配置されている。そしてシート支持面41aには、綴じ処理手段39と折り処理手段43と、シート端規制手段42が配置されている。
【0037】
シート端規制手段42は、シート支持面41aに支持されたシートの先端縁を係止するストッパ面42sを有するストッパ部材42で構成されている。このストッパ部材42は、シート支持面41aに沿って位置移動するようにフレーム20fに摺動可能に支持されている。
【0038】
上記ストッパ部材42には、シフト機構が連結されている。図示のシフト機構は、フレーム20fに軸支されたピニオン42pにシフトモータMsが連結され、このピニオン42pと噛合するラック42rがストッパ部材42に一体に形成してある。従ってシフトモータMsの正逆回転でピニオン42pが正逆転し、ラック42rがシート支持面41aに沿って所定の方向に位置移動する。
【0039】
このほか、シフト機構としては、シート支持面41aに沿って間隔を隔てた位置に一対のプーリを配置し、このプーリ間にベルトを架け渡して、このベルトにシート先端を係止するストッパ部材42を連結する(プーリ&ベルト移動機構)。そしてプーリの一方をシフトモータMsで正逆転すると、上述のラックアンドピニオン機構と同様にストッパ部材42を位置移動することが可能である。
【0040】
なお、上述のシート端規制手段(ストッパ部材)42は、シート支持面41aに送られたシートを所定の綴じ位置に位置決めするようにシート先端を位置規制する位置か、或いは綴じ位置とは異なる任意の位置にシートを係止して集積し、集積終了後にシート束を所定の綴じ位置に位置移動するか、いずれかの方法で位置制御される。
【0041】
上記綴じ処理手段39について説明する。綴じ処理手段39は、シート支持面41a上に集積したシート束を綴じ処理する。シート上の綴じ位置Spは、シートの中央部(2つ折りするシートの折り合わせ中央部;以下シートセンタScという)から所定量離れた位置に設定される。
【0042】
綴じ処理手段39は、シート束をステープル針で針綴じ処理するステープラ装置と、シート束を加圧圧着して針なし綴じ処理するプレスバインディング装置と、シート束を樹脂などの糸(Thread)で綴じ処理する糸綴じ装置などで構成する。
【0043】
「ステープラの公知技術」
ステープラ装置は、特開平08−108377号公報、特開平08−108378号公報、特開2010−254435号公報、特開2010−150002号公報などでその構造が開示されている。その構造を説明すると、帯状ステープル針(ブランク)を収納したカートリッジと、シートを繰り出す操出し機構と、繰り出された直線形状のステープルをコの字状折り曲げるベンディングブロックと、ステープルをシート束に刺し込むドライブプレートをステープルヘッドに備える。このステープルヘッドと対向する位置には、ステープル針の針先を折り曲げるアンビルユニットを設ける。
【0044】
そしてステープルヘッドとアンビルユニットを装置フレームに、シート幅方向に位置移動可能に配置し、各ユニットにシフト手段を設ける。シート束を挟んで対向配置した両ユニットをシート幅方向に同一位置に位置移動する。このような構造でシート中央部の複数箇所にステープル綴じ処理を行なうことができる。
【0045】
以下図示のプレスバインディング機構39について説明する。プレスバインディング機構は、ステープル針(金属針)を用いないで複数シートを結束する。
その結束方法は、
(1)シート束を表裏から凹凸面で加圧してシート相互を圧着変形させて結束する。
(2)シートを穴開けして重合する紙片を織り込んで結束する。
(3)シートを針状体で突き刺して複数紙片を結束する。
この(2)(3)の各方法については後述する特許文献を参照。
【0046】
上述の(1)の結束構造について説明する。
図7には、シート束を挟んで対向する一対の加圧部材51a、51bでシート束を加圧変形する際に、第1、第2の加圧部材51a、51bを、分離した状態で独立してシート幅方向に移動する機構を示す。
【0047】
シート支持面41aを挟んで対向する位置に、第1ユニット39Aと第2ユニット39Bが、それぞれ装置フレーム20fにシート幅方向に位置移動可能に支持される。第1ユニット39Aは、そのユニットフレーム52が装置フレーム20fに配置されたガイドレール37(ガイドロッド37a、37b)に摺動可能に支持されている。
【0048】
同様に第2ユニット39Bは、そのユニットフレーム53が装置フレーム20fに配置されたガイドレール38(ガイドロッド38a、38b)に摺動可能に支持されている。各ガイドレール37、38はシート搬送方向と直交する方向(2つ折りするシートの折り目方向)に1本または、互いに平行に配置された複数本のレール部材で構成されている。
【0049】
上記第1ユニット39Aには凹凸形状の加圧面(第1加圧面)54aが、これと噛合する凹凸形状の加圧面(第2加圧面)54bが第2ユニット39Bに配置されている。この第1加圧面54aと第2加圧面54bは、少なくとも一方がシート端縁を加圧面と接近する方向に移動可能にユニットフレーム52(53)に取り付けられている。
【0050】
以下、第2加圧面54bを第1加圧面54aに対して接近及び離間する方向に移動可能に構成する場合について説明する。このとき第1加圧面54aは第1ユニットフレーム52に一体的に固定されている(ビス、リべットなどの固定具で連結する場合と金属加工などで一体成形する場合を含む)。
【0051】
第2ユニットフレーム53には、駆動モータMp(加圧モータという)と、減速伝動機構56と、加圧カム機構57と、作動レバー58がそれぞれ取り付けられている。駆動モータMpは第2ユニットフレーム53にマウントされ、正逆転可能なDCモータ、ステピングモータなどで構成される。
【0052】
駆動モータMpの駆動軸(出力軸)の回転は減速伝動機構56(減速歯車、減速ベルトなど)で減速され、加圧カム57の回転軸57xに駆動を伝達する。加圧カム57は、偏心カムなど、周面に係合したフォロア部材59(図示のものは遊動コロ)の変位量が回転角度によって異なるカム曲線に構成されている。
【0053】
上記第2ユニットフレーム53には、作動レバー58が支軸58xで揺動可能に軸支持されている。この作動レバー58の先端部にはフォロア部材59(遊動コロ)が軸支され、基端部には第2加圧面54bが一体的に取り付けられている。作動レバー58には、付勢スプリング60が付設され、第2加圧面54bが第1加圧面54aから離れた状態の待機位置に付勢している。図示61は作動レバー58を待機姿勢に位置決めする係止ストッパである。
【0054】
上記構成において加圧モータMpを所定方向に回転すると、加圧カム機構57の作用で、第2加圧面54bが待機位置から第1加圧面54aに接近する方向に移動し、両加圧面でシート束を挟圧する。
【0055】
なお、上記、伝動機構56には図示しないトルクリミッタが内蔵され、シート束の厚さに応じてほぼ同一の加圧力が作用するようになっている。トルクリミッタは、例えば駆動回転方向で緊張するバネクラッチで出力側軸を回転し、その負荷(加圧負荷)が所定圧力以上になると滑り回転するように構成する。
【0056】
上述の第1、第2ユニット39A、39Bはシート幅方向の任意位置に移動して複数箇所を綴じ処理するように構成されている。そのポジション移動機構について説明する。第1、第2ユニット39A、39Bは、装置フレームのガイドロッド37、38に支持されている。第1、第2ユニット39A、39Bには、図示しないがガイドロッド37、38の方向にラック&ピニオン機構或いはプーリ&ベルト機構などのユニット移動機構が設けられている。
【0057】
ラック&ピニオン機構は、ユニットフレームと装置フレームとの間に、その一方に駆動モータと、伝動ピニオンが、他方にピニオンと噛合するラックが配置される。またプーリ&ベルト機構は、ユニットフレームと装置フレームとの間に、その一方に間隔を隔てて一対のプーリと巻上げモータが配置され、プーリ間に掛け渡されたベルトにユニットを連結する。そして上記各駆動モータはステピングモータなど角度制御に優れた駆動モータを選択し、その位置を検出するポジションセンサを設ける。
【0058】
このほかにポジション移動機構は、リニアモータ機構、インチウオーム駆動機構、などが採用可能である。そして、第1、第2ユニット39A、39Bをホームポジションから同一の方向に同一量移動することによってシート幅方向の複数箇所を単一の機構で綴じ処理することが出来る。
【0059】
次に前述の
図7に示す綴じ処理機構と異なる実施形態について説明する。
図8に示す綴じ処理機構72は、シート束の対向する左右両サイド(シート幅方向左右両サイド)にそれぞれ独立したプレスバインドユニット62、63を配置する。そしてこの一対のプレスバインドユニット62,63を同時あるいは前後して作動させることによってシート束の折り目線方向に対してその両側部を綴じ処理することが可能となる。
【0060】
図示のプレスバインドユニット62、63は同一の構造で構成されている関係でその一方(62)について説明する。装置フレーム20fを構成する側枠にシート支持面41aの両側部に右ユニットフレーム64と、左ユニットフレーム65が固定されている。各ユニットフレーム64,65には駆動モータMr1,Mr2がマウントされ、正逆転可能なDCモータ、ステピングモータなどで構成される。その出力軸には歯車伝動機構66を介して加圧カム69が連結されている。
【0061】
この伝動機構66には図示しないトルクリミッタが内蔵され、モータの回転出力に対して一定の負荷トルクが作用すると滑り運動を生ずる。このトルクリミッタの負荷トルクはシート束の束厚さに応じてほぼ一定の加圧力が作用するような最適値に設定する。
【0062】
上記ユニットフレーム64(65)には、シート支持面41aを介して対向する位置に第1加圧面62aと第2加圧面62bが配置されている。第1、第2加圧面62a、62bは互いに噛み合う凹凸形状に形成され、一方は固定され、他方は固定側に接近離反するように可動に構成される。第1加圧面62aは、ユニットフレーム64に固定して取り付けられている。第2加圧面62bは、ユニットフレーム64に揺動可能に軸支持された作動レバー67に取り付けられている。
【0063】
作動レバー67は支軸67xを中心に揺動可能に支持され、その基端部には第2加圧面62bが固定されている。また先端部にはカムフォロア部材68(遊動コロ)が取付けられ、加圧カム69に係合している。なお作動レバー67には、第1、第2加圧面62a、62bを互いに離間したホームポジション(待機位置)に位置決めする付勢スプリングと、係止ストッパ(不図示)が設けられている。
【0064】
従って駆動モータMr1を所定の方向に回転すると、加圧カム69が回転し、支軸67xを中心に作動レバー67を所定角度揺動させる。この作動レバー67の揺動動作で第2加圧面62bは第1加圧面62aに接近してシート支持面上のシート束を挟圧する。
【0065】
この他、針なし綴じ処理機構としては、特開2010−027117号公報、特開2013−178638号公報、特開2013−126905号公報などに開示され本発明はそのいずれも採用可能である。
【0066】
『折り処理機構』
シート束を綴じ処理したれたシート束をから処理する折り処理機構について説明する。
このシート中央部を綴じ処理したシート束を二折する機構として、
(1)互いに圧接するローラ対のニップ部にシート束の折目位置を折りブレードで挿入する機構を採用し、折りブレードの作動タイミングで折目位置を設定する。(第1実施形態)
(2)互いに圧接して回転するローラ対の外周に、離れた状態で走行するシートを偏向手段でローラ周面に圧接させる機構を採用し、偏向手段よるシートの圧接タイミングで折目位置を設定する。(第2実施形態)
(3)互いに正逆転可能な複数ローラ対で第1、第2ニップ点を形成し、上流側の第1ニップ点でシートを折り位置に搬送し、第2ニップ点でシートを折り処理する機構において、ローラの回転方向を反転させる正逆転切り替えタイミングで折り目位置を設定する。(第3の実施形態)
(4)シート束をローラ対のニップ点で折り処理する機構において、折りロールユニットをシート束に対して位置移動させてロールニップ位置を、設定されているシート折目位置に移動する(第4実施形態)。
【0067】
次に本発明におけるシート束の折り位置(折り目ライン)について説明する。
図3(a)に示すように、シートを2つ折りするとき、折り合わせ方向(
図3左右方向)長さの1/2位置を基準に折り合わせる。この位置をシート中央部Sc(シートセンタSc)とする。またシート束を綴じる位置を「綴じ位置Sp」とし、シート束を折り合わせる位置を「折目位置(折り位置)Sf」と定義する。
【0068】
このときシートセンタScと綴じ位置Spと折り位置Sfを同一位置に設定する折り処理方法が従来のマガジン製本として知られている(特許文献1参照)。また、折り位置SfをシートセンタScに設定し、このセンタから所定量オフセットした位置を綴じ位置Spとする折り処理方法が特許文献2に提案されている。
【0069】
本発明は、「綴じ位置」SpをシートセンタScから所定のオフセット量δだけ離れた位置に設定し、「折り位置」Sfを、シートセンサScと綴じ位置Spとの間でシートセンタScから所定量γ(以下、折目オフセット量という)だけ離れた位置に設定する。このとき、幾何学的に「0<γ<δ」となり、「δ」は、シートに画像形成した中央余白エリア内に設定する。
【0070】
また「γ」は小口部の断裁量(Ce)に応じて設定する。「γ」=「Ce」のときには、シート束の小口端を最小の断裁量で揃えることができる。そしてシートの断裁量は、折目オフセット量「γ」を基準に、カット量を同一量に設定するか、これよりカット量を若干大きく設定するか、或いは若干小さく設定する。
【0071】
「γ」>「Ce」に設定すると、シート束の断裁量を小さく設定することとなり、屑処理が容易(屑量が少ないから)である。また「γ」<「Ce」に設定すると、シート束の小口端を切り残すことなく確実に断裁するので仕上げ品位が向上する。そして「γ」≒「Ce」に設定することが、屑処理が容易で仕上げ品位に優れた処理が期待できる。
【0072】
図3(b)には綴じ処理後に折り処理したシート束の状態が示されている。この折り処理したシー、ト束には次の特徴がある。第1の特徴はシートセンタScから所定量(δ)離れた位置を綴じ処理した後に、綴じ位置Spと異なる位置を折目に折り処理しているから、シート小口部の一方Y部(図面上方)は、各シートの端縁が揃っている。
【0073】
これに対しシート小口部の他方(図面下方)X部は重なり合ったシートが位置ズレし、小口Y部から外側に突出している。つまり、折り合わせたシート束の半分(Y部)の小口端は揃えられ、残りの半分(X部)は揃えられた小口端から外側に突出してシート端が位置ズレした状態となる。後述する断裁装置(トリマーユニット)49はこの外側に突出して位置ズレした小口端部(X部)を断裁処理する。
【0074】
[折り処理機構の第1実施形態]
図2に示す折り処理機構の実施形態について説明する。
図4はこの実施形態におけるシート束の綴じ処理状態であり、
図5は、折り処理状態の説明図であり、
図6は断裁状態の説明図である。
【0075】
第2の後処理部40は、集積ガイド41上に集積されたシート(束)を綴じ処理する綴じ処理手段39と、シート束を中央部から折り合わせる折りロール手段44と、折りブレード手段45で構成されている。折りロール手段44は互いに圧接する一対のローラ対で構成され、シート束を折り処理する方向に回転可能に図示しない駆動モータ(以下「折り処理モータ」と云う)に連結されている。また折りブレード手段45は、シート束の折目位置(Sf)を折りロール対のニップ間に、挿入するプレート部材で構成され、ラック−ピニオン機構でシフトモータM1(
図4参照)に連結されている。
【0076】
上記折りロール手段44は、互いに圧接するローラ対、或いは圧接離間可能なローラ対で構成され、シート束を折り処理する際にはシート束を緊密に挟圧する。またこのローラ対を圧接離間可能に構成する場合には、シート束を折り合わせるときには圧接させ、折り合わせたのちには、離間させてシート後端部に皺、損傷が生ずるのを防止する。
【0077】
集積ガイド41は上流側の分岐搬送経路26から送られたシートを積み重ねて収納するガイド部材(プレート部材)で構成され、図示の集積ガイド41は装置ハウジング20の鉛直方向に配置されている。集積ガイド41の下端部にはシートの先端部を係止するストッパ部材42が配置されている。図示のシート端規制手段(ストッパ部材)42は集積ガイド41に沿って摺動可能(スライダブリー)に装置フレームに取り付けられ、シートをサイズに応じて位置移動するようになっている。
【0078】
[第2実施形態]
図9に示すように、搬送経路25に折りローラ対から構成される折りローラ機構76が配置されている。搬送経路25と分岐搬送経路77の交差部に第1ローラ76aと第2ローラ76bと第3ローラ76cが互いに圧接するように配置されている。
【0079】
第1ローラ76aと第2ローラ76bとの圧接点にシートを一次折りする第1ニップ部(第1折り位置)Np1が形成され、第2ローラ76bと第3ローラ76cとの圧接点にシートを二次折りする第2ニップ部(第2折り位置)Np2が形成されている。
【0080】
更に
図9に示すように第1ローラ76aは外周の一部を搬送経路25に臨む位置に配置してあり、このローラ周面にピンチローラ(遊動ローラ)78を圧接している。この互いに圧接した第1ローラ76aとピンチローラ78で搬送経路25の給紙搬送手段を構成し、これによって搬入口21からのシートは下流側に搬送される。
【0081】
[折り偏向手段の構成]
上述のように3つのローラ(76a、76b、76c)で構成される折ローラには、その第1ニップ部Np1に折り偏向手段79が配置されている。図示の装置は、この折り偏向手段79が「シートの折り位置をローラニップ部に挿入する」機能を備えている。このため折り偏向手段79は従動ローラ79aを備え、経路外の退避位置から折ローラの周面と圧接する作動位置に移動するように構成する。この従動ローラ79aの待機位置から作動位置に移動する動作でシート端部をローラニップ部に繰り込むように作用する。
【0082】
上記折り偏向手段79の構成を
図9に示す。この折り偏向手段79は、従動ローラ79aと、湾曲ガイド79bと、昇降部材79cで構成されている。同図のように従動ローラ79aは昇降部材79cに回動可能に支持され、湾曲ガイド79bは一体に取り付けられている。
【0083】
そして従動ローラ79aは搬送経路25のシート移動方向の下流側に位置する第2ローラ76bの周面と接する位置に、湾曲ガイド79bは上流側に位置する第1ローラ76aの周面に沿う位置に配置されている。
【0084】
上記昇降部材79cは装置フレームに設けたガイドレール(不図示)に支持され所定ストロークで往復動可能になっている。この昇降部材79cにはラック80rが設けられ、ピニオン80pと噛合している。このピニオン80pには図示しないシフトモータが連結されており、モータの回転によって昇降部材79cは実線状態から破線状態に移動する。
【0085】
また、
図9において給紙搬送手段76a、78の圧接点をP1、従動ローラ79aが第2ローラ76bの周面と接する接点をP2、従動ローラ79aが搬送経路25を移動するシートと最初に接する接点をP3とするとき、P1−P2間のシート搬送長さLS2(図:破線長さ)を、P1−P3間のシート搬送長さ(LS1)より長くLS2>LS1に設定する。
【0086】
これによって給紙搬送手段76a、78で繰り出されたシートは、従動ローラ79aで第1ニップ部Np1に案内されとき、LS2>LS1に設定され、同時にV1>V2に設定されているため、シート後端部が給紙搬送手段76a、78の圧接点P1から引っ張られることがない。従ってシートは後端部の圧接点P1を基準に第1ニップ部Np1に案内される。
【0087】
更に従動ローラ79aが接点P3から接点P2に至るストロークをLS3とするとき次式が成立するように速度設定する。
(LS2−LS1)/V2≒LS3/V1・・・(式1)
【0088】
これによって従動ローラ79aの移動速度が遅い場合、シートと接するポイント(接点)P3がズレる。これと共に給紙搬送ローラ対41の圧接点P1と従動ローラ79aとの間でシートにたるみが生ずる。このシート係合点の位置ズレとシートのたるみで折りズレ、折り皺などが発生するのを防止することが出来る。
【0089】
[第3実施形態]
図10に示す実施形態(第3実施形態という)は前述の第2実施形態の変形例である。第2実施形態と同様に水平方向にシートを搬送する搬送経路25と、この搬送経路から交差する方向に分岐経路81が配置されている。搬送経路25にはシートを搬送する搬送手段(ローラ、ベルトなど)と、シートを集積する集積部(集積ガイド)と、集積したシートの中央部を綴じ処理する綴じ処理手段82が配置されている。
【0090】
上記綴じ処理手段82は、第1実施形態で説明した、ステープラ装置、プレスバインダ装置などを採用する。そして搬入口21に部揃えしたシート束をオペレータが挿入する。すると、搬送手段83は、先端検知センサ(不図示)からシートセンタを割り出し、その位置Scを基準に所定量オフセットした綴じ位置Spを綴じ処理手段82で綴じ処理するように構成する。
【0091】
上記分岐経路81には、経路切換え部材84と、折りロール機構85と、排紙経路(不図示)が配置されている。折りロール機構85は、第1ローラ73と第2ローラ74と第3ローラ75で構成されている。第1ローラ73と第2ローラ74との間に第1ニップ点Np3が、第2ローラ74と第3ローラ75との間に第2ニップ点Np4が、第3ローラ75と第1ローラ73との間に第3ニップ点Np5が設けられている。
【0092】
上記第1ローラ73は一方向に回転し、第2第3ローラ74,75は、正逆転方向に切り換え可能に駆動連結され、各ローラの周速度は同一に設定されている。そして上記第2第3ローラ74,75と駆動部との間には回転方向切り換え手段(クラッチ手段)が配置されている。
【0093】
「ローラの回転方向制御」
上述の構成で搬送経路25で綴じ後処理されたシート束は分岐経路81に送られる。そこで制御手段100(後述する後処理制御CPU)は、先端検知手段(フォトセンサ、メカセンサなど)Se3で先端検知したシート束を第1第2ローラのニップ点Np3と、第2第3ローラのニップ点Np4で
図10(a)の状態に搬送する。
【0094】
このとき、第1、第2ローラ73,74と、第2第3ローラ74,75が同方向(矢印方向)に回転させてシート束を矢印A方向に搬送する。シート先端の検知信号からシート束の折目位置が第3ニップ点Np5に到達したとき、第2第3ローラ74,75の回転を停止し、両ローラを反対方向に回転する。するとシート束は
図10(b)の状態に折り処理され、排紙経路に搬出される。排紙経路とこの経路に排紙されたトリマーの機構は後述する。
【0095】
このような構成において、制御手段100はシート束の先端を検出した信号を基準に、折目位置がシート長さ(L)×1/2−(δ−γ)位置が折り目となるように第3ニップ点Np5に案内する。この折目位置は、シートセンタ(1/2L)と綴じ位置(シートセンタからのオフセット量δ)との間で、シートセンタから所定量(オフセット値γ)離れた位置に設定される。
【0096】
[第4実施形態]
図11に示す実施形態は前述した第1実施形態の変形例を示し、折り処理機構43と、綴じ処理装置39を装置フレーム20fとは、分離したユニットフレーム86に搭載する。このユニットフレーム86は、装置フレーム20fに位置移動可能に図示しないガイドレールに支持され、プーリ&ベルト機構或いはラック&ピニオン機構などの駆動機構と、図示しない駆動モータでユニットフレーム86を位置移動する。その他の構成は前述した第1実施形態と同一の、搬送経路25、分岐搬送経路26、搬送ローラ26rなどを備える。
【0097】
上述の実施形態の作用について、
図11(a)のシート束綴じ処理状態と、同図(b)のシート束折り処理状態に従って説明する。第1実施形態と同様の構成において搬送経路25の搬入口21にシートを給送し、シート支持面41aにシートを積載して集積する。そしてシート支持面上に所定のシート束が集積されたとき、制御手段(後処理制御CPU)100は、ユニットフレーム86を位置移動させて綴じ位置がシートセンタから所定量(δ)オフセットした位置に設定する。
【0098】
この状態を
図11(a)に示すが、この位置で綴じ処理する。次いで制御手段100はユニットフレーム86を位置移動して、折りロール手段44のニップ点にシート束の折目位置を一致させる。そして折りロール手段44を回転させ、同時に折りブレード45を待機位置から作動位置に位置移動する。その動作と、具体的構成は第1実施形態と同一であるので説明を省略する。
【0099】
[トリマーユニットの構成]
図6に示すトリマーユニット49について説明する。折り処理部(第2の後処理部)40の下流側には排紙経路46が配置され、折り処理されたシート束をスタッカ(マガジントレイ)50に収納する。この排紙経路46にはトリマーユニット49が配置され、折り処理されたシート束の小口部を断裁する。
【0100】
トリマーユニット49は、シート束を断裁する断裁刃47と、シート束を紙載台48に押圧して保持する紙押さえ部材87と、シート束を断裁位置に搬送する束搬送手段88で構成されている。上記紙載台48は、排紙経路46に配置されてシートの排紙方向に案内する回動されて構成されている。上記断裁刃47は、ユニットフレーム90に昇降可能に支持され、昇降機構で待機位置と切断位置間で昇降するように構成されている。昇降機構は、図示しないが駆動モータに連結されたドライブカムで構成され、例えば断裁刃47に距離を隔てて記左右一対の偏心カム(ドライブカム;不図示)を設け、このカムを駆動モータ(カッタモータ)で回転駆動するように構成する。
【0101】
上記紙押さえ部材87は、断裁刃47で切断するシート束の切断縁を押圧する加圧機構で構成する。例えば、上下動する切断刃47の運動に連動して上下動する加圧部材をユニットフレーム90に昇降可能に支持する。この加圧部材には紙押さえ方向に付勢する付勢スプリング92をユニットフレーム90との間に配置する。そして断裁刃47の昇降運動に連動して付勢スプリング92がシート束を押圧するように作用させる。
【0102】
上記排紙経路46には、折りロール手段44から折り処理されたシート束を下流側の断裁位置Cpに搬送する束搬送手段(排紙ローラ対88)が配置されている。またこの経路中にはシート束の先端を係止する先端規制手段(不図示)が配置されている。図示の先端規制手段は装置フレーム20fに揺動可能に配設したストッパ部材で構成されている。このストッパ部材はシートサイズとシート束の断裁量に応じて排紙方向の位置を変更可能に構成されている。
【0103】
例えばストッパ部材は、図示しないが排紙方向に位置移動可能にフレームに支持され、プーリ&ベルト機構、ラックアンドピニオン機構などの連動機構を介して、シフトモータ(例えばステッピングモータ)に連結されている。そして、シートサイズに応じた位置に駆動するのと同時に、その位置を基準に断裁量に応じて移動する。
【0104】
図示の装置は、折りロール手段44から送られたシート束は、
図3(b)に示す姿勢で紙載台48に位置決めするようになっている。その具体的手段は後述する。
【0105】
[制御構成]
図1のシート処理装置Bを備えた画像形成システムにおける制御構成について説明する。
図12はその制御構成のブロック図である。図示のシステムは画像形成制御部95と、後処理制御部100で構成されている。画像形成制御部95は、モード選択手段96と入力手段97とを備え、オペレータが設定した画像形成モードに従って画像形成装置Aを制御する。これと共にモード選択手段96で設定された後処理モードを後処理制御部100にコマンド転送する。
【0106】
後処理制御部(CPU;中央演算手段)100は集積動作制御部101と、綴じ処理動作制御部102と、折り処理動作制御部103と、排紙動作制御部104で構成されている。排紙動作制御部104にはトリマー制御部105と排紙搬送制御部106が設けられている。
【0107】
上記綴じ処理動作制御部102には、シートサイズ(図示のものは画像形成制御部95から伝送される情報)に基づいてシートセンタScを算出する演算手段107(上記CPUで実行する)と、シートセンタScから所距離離れた綴じ位置を設定する綴じ位置設定手段108(上記CPUで実行される)が設けられている。
【0108】
上記綴じ位置設定手段108は、(1)シートサイズに応じて予めRAM98に記憶されたオフセット値δを読み出して「綴じ位置Sp」を設定する。或いは(2)シート束の束厚さに応じて「綴じ位置Sp」を演算する。例えば束厚さが小さいときには綴じ位置をシートセンタScに近い位置に算出し、また束厚さが厚いときにはシートセンタScから離れた位置に算出する。その算出方法については後述する。
【0109】
上記折り処理動作制御部103は、CPU100で算出したシートセンタScと、上記綴じ位置Spとの間で「折り位置Sf」を設定する。その設定は、(1)予めシートセンタScと折り位置Sfとの間の折目オフセット量(変位値;γ)を一定に定めROM99に記憶する方法(この場合には、γ<δ(最小綴じ位置オフセット量)に設定する)。(2)シート束の束厚さからシートセンタScと、折目がオフセット量を算出する方法(例えばシート束が厚いときには薄いと記よりオフセット量を大きく設定する演算)のいずれかを採用する。
【0110】
次に
図13に従って、
図1の画像形成システムの動作手順について説明する。システム動作を開始(システム電源ON)すると、画像形成条件を設定する(St01)。画像形成条件は、カラー、モノクロ、縮倍率、作成部数、シートサイズなどオペレータがコントロールパネルから指定する。これと同時に画像形成したシートの後処理する処理モードを設定する(St02)。この後処理モードとしてはプリントアウトモード、ジョグ仕分けモード、ステープル綴じモード、マガジン製本モードなどが指定される。本発明は、画像形成したシートを束状に集積して、そのシートセンタを綴じ処理したのちに折り処理するマガジン製本モードに関する。以下この製本モードについて説明する。
【0111】
画像形成条件と後処理モードは設定されると、画像形成装置Aは指定されたサイズのシートに指定された画像を形成する(St03)。この画像形成されたシートは画像形成装置Aからシート後処理装置Bに送られ、指定されたモードで後処理動作を実行する(St04)。
【0112】
後処理動作がマガジン製本モード(St05)のとき、後処理制御部100は、モード指定のコマンド受信と同時に「綴じ位置Spを設定する」(St06)。この綴じ位置Spの設定は、(1)シートサイズ情報と、予めシートサイズごとに綴じ位置(綴じ位置オフセット値;δ)を設定し、ROM99に記録されたデータを呼び出す(以下「ケース1」として説明する)。または、(2)シートサイズ情報とシート束厚情報から綴じ位置オフセット値(δ)をROM99から読み出し、シート束厚に応じて補正する(以下「ケース2」として説明する)。
【0113】
「ケース1(St07)について」
制御手段(後処理CPU)100は、シートサイズ情報(St08)からシートサイズ毎に設定されROM99に記憶されているオフセット量(δ)データを読み出す(St09)。このとき綴じ位置のオフセット量δは、シート中央部に形成された余白エリア(δ<最小余白エリア)内に設定することが好ましい。また、シートの束厚さに応じて折り処理した時の小口端の位置ズレ量が、折り返し上部(
図3(b)Y部)より、折り返し下部(
図3(b)X部)が外側に突出するような長さ(Ce)に設定する。このときのオフセット量(δ)は実験によって定めることが好ましく、束厚さが(厚いときのδ)>(薄いときのδ)に設定する。
【0114】
「ケース2(St10)について」
制御手段(後処理CPU)100は、シート束が束厚さに応じて綴じ位置にシートセンタScからのオフセット量(δ)を大小調整する場合である。制御手段100は、シートサイズ情報(St11)とシート束厚さ(St12)からROM99に記憶してあるオフセット量基準値(δ)を呼び出す(St13)。そしてオフセット量基準値(δ)をシート束厚で補正して、実行する綴じ位置Spにオフセット量(δ)を設定する(St14)。
【0115】
上記補正方法は、例えば次のように演算する。
シート束の束厚さは、(1)画像形成装置Aで指定されたデータボリュームから画像形成するページ数を算定するか、(2)或いは画像形成データに含まれるページ情報から「ページ総数×平均シート厚さ」で算出する。或いは(3)搬送経路にシートを検出するシートセンサ(フォトセンサ、リミットセンサ、磁気センサ、超音波センサ、メカニカルセンサなど)を配置する。そしてセンサでカウントした「ページ総数×平均シート厚さ」で束厚さを判別する。
【0116】
次に制御手段100は、シートサイズに応じてROM99に記憶され、読み出されたオフセット量基準値(δ)を上記シート束厚さで補正する。この補正式は例えば次のように演算する。
(ROM99からの基準値;δ)×(算出束厚さ;ページ総数*紙厚)/基準束厚さ(ROM99に記憶された標準束厚さ)とする。
このような演算方法で、シート束の束厚さが厚ければオフセット量(δ)は大きく、薄ければオフセット量(δ)は小さく設定される。
【0117】
上記ケース1/ケース2何れか、或いはその他の方法で綴じ位置のオフセット量(δ)を設定する(St15)。このオフセット量δに基づいて制御手段100はシート端規制手段42の位置を移動する(折りロール手段44の第1実施形態)。なお、綴じ位置Spの設定については折りロール手段44の第1乃至第4実施形態についてそれぞれ後述する。
【0118】
制御手段100はシート端規制手段42の位置を、シートサイズと綴じ位置のオフセット量δに応じて位置設定し、その位置に停止する(St16)。この状態で画像形成装置Aからは画像形成されたシートが送り出され、後処理装置Bは後処理部40のシート支持面41aに搬送して集積する(St17)。
【0119】
次に制御手段100は画像形成装置Aからジョブ終了信号を受信すると(St18)。綴じ処理を実行する(St19)。この綴じ処理はシート束のシートセンタScから所定のオフセット量(δ)だけ位置ズレした位置に綴じ処理される(St20)。
【0120】
次に制御手段100は
図5に示す折り処理に移行する。制御手段100は、折目位置Sfを設定する(St21)。この折目位置は次のいずれかの方法で設定する。
【0121】
「ケース1(St22)について」
制御手段100は、シートサイズ情報(画像形成装置Aから転送されたサイズ情報)を入手(St23)し、そのサイズに応じた折目位置のオフセット値(γ)を読み出す(St24)。ROM99には予め設定された「シートセンタScと綴じ位置Spとの間に設定され、シートセンタScから所定量オフセットする折目位置のオフセット量(γ)」が記憶されている。
【0122】
「ケース2(St25)について」
制御手段100は、シートサイズ情報(St26)と、シート束厚さ情報(St27)から予め設定されROM99に記憶されているデータテーブルから実行する綴じ位置のオフセット値(γ)を呼び出す(St28)。この場合シートサイズ情報は画像形成装置Aから送られてデータ(またはその記憶データ)を用いる。またシート束厚さ情報は、シート束を構成するページ総数と平均紙厚さから算出するか、或いは図示しないがシート束の厚さを実測する。そしてROM99にはシートサイズ毎に、シート束厚さ(または枚数)でaセグメント、bセグメント、cセグメントなど複数に区分された「折り位置のオフセット値(γ)」を準備する。この方法によってシート束の折目位置がシート束サイズに応じて設定される。
【0123】
「ケース3(St29)について」
制御手段100は、シートサイズ情報(St30)と、シート束厚さ情報(St31)からシートサイズに応じて予め設定され、ROM99に記憶されているオフセット量基準値を読み出す(St32)。そして制御手段100は、このオフセット量基準値とシート束の束厚さに基づいて折り位置オフセット量(γ)を演算する(St33)。
【0124】
上記折り位置オフセット量(γ)は、例えば次のように演算する。シート束の束厚さは、画像形成装置Aで指定されたデータボリュームから画像形成するページ数を算定するか、或いは画像形成データに含まれるページ情報から「ページ総数×平均シート厚さ」で算出する。或いはシート支持面41aに搬入するシートの枚数をカウントし、(シートカウント総数×紙厚さ)でシート束厚さを割り出す(St31)。
【0125】
そして、制御手段100は基準オフセット値をシート束厚さで補正して「実行する折り位置オフセット値(γ)」を設定する。この補正値は例えば、(ROM99からの基準値;γ)×(束厚さ;ページ総数*紙厚さ)/基準束厚さ(ROMに記憶された標準束厚さ)とする。このような演算方法で、シート束の束厚さが厚ければオフセット値は大きく(シートセンタScから遠ざかり)、束厚さが薄ければオフセット値は小さくなる(シートセンタScに近づく)ように標準束厚さを設定する。
【0126】
このように制御手段100は、折り位置オフセット値(γ)をケース1〜ケース3のいずれかの方法で設定する(St34)。次に制御手段100は、シート束の移動量(
図2の第1実施形態では綴じ位置から折り位置までの移動量)を設定する。このシート束の移動量(搬送量)は、綴じ処理手段39と折り処理手段44の物理的間隔(距離)と、折り位置オフセット値(γ)で算出する。例えば[シート束の移動量=(綴じ位置―折り位置間距離)―(オフセット値;γ)]で設定する(St35)。
【0127】
次に制御手段100は上記ステップSt35で設定したシート束移動量(γ)に応じてシート束を搬送するコンベア手段42を作動する。このコンベア手段は、綴じ位置Spで綴じ処理したシート束を折り位置Sfに搬送する機能を備え、
図2に示す第1実施形態ではシート支持面41aをシート束が自重で落下する程度に傾斜させ、シート束の先端部(落下方向先頭部)をシート端規制手段42で係止している。そしてこのシート端規制手段42を位置移動すると、その移動に追従してシート束が駆動する。
【0128】
つまり第1実施形態ではシート端規制手段42を、綴じ位置Spから折り位置Sfに位置移動することによりシート束を移動させるコンベア手段を構成している。このほか、コンベア手段42は、シート束をニップして搬送するベルト搬送機構、ローラ搬送機構などが採用可能である。
【0129】
そして制御手段100は、コンベア手段42を作動させて折り処理位置(折りローラ対のニップポジション)にシート束を移動させる(St36)。
【0130】
なお、制御手段100は、シート束の折目位置SfをシートセンタScと綴じ位置Spとの間で、シートセンタから所定量オフセット(オフセット値γ)した位置に位置決めするが、その具体的手段は、上述の第1実施形態ではコンベア手段42によるシート束の搬送量でオフセット量を設定し、前述した第2、第3、第4の実施形態ではこれと異なる後述する方法で位置決めしている。
【0131】
次いで制御手段100は、折り処理手段44を作動する。第1実施形態では一対の折りロール44a、44bを折り処理方向に回転し、同時に折りブレード45を(折り処理位置にセットされた)シート束から離間した待機位置から、ローラニップ部に接近する作動位置に位置移動する。このブレード移動は、折りブレード45に一体形成してあるラック45rをシフトモータM1に連結されたピニオン45pで正逆転する(St37)。
【0132】
折りロール対44の回転でシート束は、位置決めされた折目位置Sfで折り処理され、ローラ対44の回転でその下流側に搬出される(St38)。折りローラ対44の下流側の排紙経路46にはトリマーユニット49が配置されている。
【0133】
そこで制御手段100は、シート束をトリミングするか否か判断する(St39)。この判断は、後処理モードの設定でオペレータがトリミングするか否か選択した指示に従う。トリミング処理しないときには、制御手段100は排紙経路中の排紙ローラ対88(搬送ローラ)を回転してその下流側に配置されているスタックトレイ50にシート束を収納する(St44)。
【0134】
また、トリミングするときには、制御手段100はシート束の先端縁を排紙経路センサSe4で検出し(St40)、その検出信号を受信にシート束を所定量搬送する(St41)。そして排紙ローラ対88を停止してシート束を断裁位置Cpにセットする。
【0135】
次に制御手段100は、断裁位置Cpのシート束を紙押え機構87で押圧して保持し(St42)、切断刃47で断裁処理する(St43)。断裁動作を実行した後に制御手段100はシート束を排紙経路46からスタックトレイ50に搬出する(St44)。