(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1、
図2は、本実施形態に係るヘアードライヤー1の例を示す概略図であって、
図1(a)は正面図、
図1(b)は側面図、
図2は側面断面図である。また、
図3は、本実施形態に係るヘアードライヤー1の先端部(前側の端部)に設けられるノズル20の例を示す概略図であって、
図3(a)は平面断面図(A−A線断面図)、
図3(b)は側面断面図(B−B線断面図)、
図3(c)は正面図である。なお、説明の便宜上、各図において矢印方向でヘアードライヤー1およびノズル20の前後方向および上下方向を示す。また、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0012】
本実施形態に係るヘアードライヤー1は、
図1、
図2に示すように、ハウジング11の下部にグリップ12が折り畳み可能に取付けられ、ハウジング11の後部に空気(外気)を取り込む吸入口14が設けられ、ハウジング11の前部に当該取り込んだ空気を送出する送出口16が設けられている。これによって、ハウジング11内に当該空気が流通する筒状の通風路15が形成される。
【0013】
ここで、送出口16には、ノズル20が設けられている。すなわち、送出口16から送出される空気は、ノズル20内を通過し、ノズル20の先端から送出されて使用者の毛髪へと到達する。一例として、ノズル20は、
図2、
図3に示すような筒状をなし、送出口16に対して着脱可能に形成されている。ただし、この形状に限定されるものではない。また、送出口16に対して着脱不能に固定される構成、あるいは、本体と一体に形成される構成等としてもよい。このノズル20によって、後述のように送出する空気の流れを制御する作用が得られる。
【0014】
ハウジング11の通風路15内部には、外気を吸入口14から当該通風路15内に取り込むと共に送出口16へ向けて送風し、ノズル20から温風(もしくは冷風)として送出させるように空気の流れを生じさせるファン18、および当該ファン18を回転駆動するモーター19が設けられている。なおモーター19の回転速度は前記グリップ12に設けたスイッチ13の切換えにより、例えば高速と低速とに切換えが可能に設定されている。
【0015】
また、ハウジング11の通風路15内部には、ファン18よりも下流側(すなわち、ファン18の駆動によって発生する空気の流通方向における下流側)に、当該通風路15内に取り込まれた空気を加熱するヒーター(不図示)が設けられている。一例として、ヒーターは電熱線を用いて構成されており、これにより、温風を生成することが可能となる。なお、ヒーターに通電させないことによって、取り込まれた外気の温度のままの風を送出する冷風モードを設けてもよい。
【0016】
なお、通風路15の内部に、マイナスイオンを発生させる公知のイオン発生手段(不図示)を設ける構成としてもよい。
【0017】
ここで、本実施形態に特徴的なノズル20の構成について詳しく説明する。
図2、
図3に示すように、送出口16に配設されるノズル20の内部には、一組の集風板21、22が設けられている。集風板21、22は、それぞれが半円筒状に形成されており、上下対称に対向して筒状(略円筒状もしくは略円錐状等)をなすように配置されている。すなわち、一組の集風板21、22によって筒状(略円筒状もしくは略円錐状等)の通風路17が構成される。なお、
図3(b)では集風板21の平面形状を併記している。
【0018】
一例として、ノズル20は、耐熱性を有するポリカーボネイト等の樹脂材料を用いて形成される。ただし、この材料に限定されるものではない。
【0019】
集風板21、22は、それぞれにおいて、回動の軸線s1、s2上において相互に反対方向に突出する一組の回動軸部23、24を有している。この一組の回動軸部23、24がノズル20の本体20Aの内面に設けられた嵌合孔25、26に嵌合されて、各集風板21、22が本体20Aによって回動可能に支持されている。
【0020】
ここで、
図4を用いて各集風板21、22の回動動作について説明する。前述の通り、各集風板21、22は後端部(後側の端部)に設けられた一組の回動軸部23、24によって、本体20Aに軸支されている。したがって、各集風板21、22の先端部(前側の端部)21Aと22Aとが相互に接近・離反して開口面積が減少・増加するように、すなわち、ノズル内の通風路17の前後方向に直交する断面の面積が減少・増加するように回動する。
【0021】
図4(a)は、集風板21の先端部21Aと集風板22の先端部22Aとが接近した状態を示しており、当該先端部における通風路17の開口面積が最小となっている。一方、
図4(b)は、集風板21の先端部21Aと集風板22の先端部22Aとが離反した状態を示しており、当該先端部における通風路17の開口面積が最大となっている。
【0022】
上記の各集風板21、22の回動動作によって、以下の作用効果が得られる。先ず、各集風板21、22の先端部21A、22Aにおける通風路17の開口面積を小さくすれば、通風路17が相対的に絞られた状態(相対的に円錐に近い形状)となるため、送出される空気の流速が上がり、且つ、使用者の毛髪に当たる範囲が狭くなって送風ポイントを絞ることが可能となる。したがって、毛髪のセットに適した空気(風)を送出することが可能となる。一方、各集風板21、22の先端部21A、22Aにおける通風路17の開口面積を大きくすれば、通風路17が相対的に広がった状態(相対的に円筒に近い形状)となるため、送出される空気の流速が下がり、且つ、使用者の毛髪に当たる範囲が広くなって乾燥面積を拡大することが可能となる。したがって、毛髪の乾燥(速乾)に適した空気(風)を送出することが可能となる。
【0023】
なお、各集風板21、22の回動動作は、
図4(a)、
図4(b)の二つの位置のみを選択し得る構成(二段階調整構造)としてもよく、あるいは、
図4(a)、
図4(b)の二つの位置の間の位置も選択し得る構成(多段階調整構造、もしくは無段階調整構造)としてもよい。なお、各集風板21、22の回動動作による選択位置が多い程、集風から開放までの調整を多彩に行うことが可能となる。
【0024】
このように、本実施形態に係る構成によれば、送出風の風量、風速、風圧を各集風板21、22の接近・離反位置(つまり、集風角度)によって段階的に制御することが可能となる。
【0025】
次に、各集風板21、22の回動動作を行うための構成について説明する。
図3、
図4に示すように、各集風板21、22には、回動を行わせる突起部27が立設されている。各突起部27は、ノズル20の本体20Aを径方向に貫通するように形成された貫通孔28(一例として、前後方向に長い長孔)内を、先端27Aが弧(ここでは、s1、s2を中心軸とする弧)を描くように移動可能に配設されている。
【0026】
すなわち、突起部27をノズル20の前側に向かって移動させることによって、各集風板21、22は
図4(a)に示す状態となるように回動する作用が得られる。一方、突起部27をノズル20の後側に向かって移動させることによって、各集風板21、22は
図4(b)に示す状態となるように回動する作用が得られる。
【0027】
ここで、本実施形態のおいては、各突起部27をノズル20の前後方向に移動させるための操作リング30が設けられている。
【0028】
一例として、操作リング30は、ノズル20の前後方向にスライド移動可能なように、ノズル(ここでは本体20A)に外嵌されて設けられている(
図3、
図4参照)。さらに、操作リング30は、内面に突起部27が係合される突起係合孔32を有している。これによれば、操作リング30をノズル20の前側に向かって移動させたとき、突起係合孔32の後部壁32Bに押動されて突起部27が前側に向かって移動する作用が得られる。また、操作リング30をノズル20の後側に向かって移動させたとき、突起係合孔32の前部壁32Aに押動されて突起部27が後側に向かって移動する作用が得られる。
【0029】
一方、操作リング30の変形例を
図5に示す。より具体的には、ノズル20の周方向に回転移動可能なようにノズル20(ここでは本体20A)に外嵌されて設けられる構成とし、且つ、内面に突起部27を係合させて摺動させる螺旋状の突起係合溝34を有する構成としてもよい。これによれば、操作リング30を所定の一方向に回転移動させたとき、螺旋状の突起係合溝34に案内されて突起部27が前側に向かって移動する作用が得られる。また、操作リング30を他方向に回転移動させたとき、螺旋状の突起係合溝34に案内されて突起部27が後側に向かって移動する作用が得られる。
【0030】
次に、各集風板21、22の形状について説明する。
図3、
図4に示すように、各集風板21、22は、先端部(前側の端部)21A、22Aが波形に形成されている。これによれば、特に、先端部21Aと22Aとを接近させたときに、通風路17を通過してノズル20の先端から送出される空気(風)を「ランダム風」にすることが可能となる。したがって、「ストレート風」と比較して、送風範囲が広がり、毛髪のセット時間(乾燥時間)を短縮することが可能となる。
【0031】
また、集風板21および集風板22は、同一形状に形成されて、上下対称に配置される構成としている。したがって、部品点数の削減が可能となり、ひいては製造コストの低減が可能となる。
【0032】
一方、各集風板21、22の形状の変形例を
図6に示す。より具体的には、各集風板21、22は、先端部(前側の端部)21A、22Aが波形ではない平面視直線形状(ストレート形状)に形成されている。なお、
図6では集風板21の平面形状を併記している。これによれば、特に、先端部21Aと22Aとを接近させたときに、通風路17を通過してノズル20の先端から送出される空気(風)を「ストレート風」にすることが可能となる。したがって、「ランダム風」と比較して、揺らぎの無いシンプルな送風を行うことが可能となる。
【0033】
以上、説明した通り、本発明に係るヘアードライヤーによれば、簡単な機構によって、ノズルから送出される空気の集風および開放(拡散)を行うことが可能となる。したがって、毛髪のセットおよび乾燥(速乾)のそれぞれの効果をより一層高めることが可能となる。
【0034】
特に、操作リングを前後方向にスライド移動させるだけで、各集風板の先端部を相互に接近・離反させることが可能となる。したがって、ノズル先端部から送出される空気(風)を集風と開放(拡散)とで切り替えることが可能となる。すなわち、送出風の風量、風速、風圧を各集風板の接近・離反位置(集風角度)によって制御することが可能となる。
【0035】
また、ノズルは、本体、同一形状の一組の集風板、リング部という極めて少ない部品点数で構成されており、構造の簡素化、ならびに、部品コストおよび組立コストの低減を可能としている。
【0036】
このように、一つのノズルで送出風の集風と開放(拡散)とを簡単な操作で切り替えることができるため、集風による毛髪のセットと開放風(拡散風)による毛髪の乾燥(速乾)とを使用者の好みに応じて任意に選択することが可能となり、且つ、毛髪のセットと乾燥(速乾)とのそれぞれに適した送出風を効果的に得ることが可能となる。
【0037】
なお、本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
【0038】
例えば、操作リングは、前後方向にスライド移動させる構成に限定されず、周方向に回転移動させる構成等としてもよい。
【0039】
また、各集風板の接近・離反位置の調整すなわち集風角度の調整は二段階調整の構成に限定されず、多段階調整、無段階調整の構成等としてもよい。
【0040】
また、各集風板の先端部の形状は波形の構成に限定されず、ストレート形状の構成等としてもよい。