(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記胴部の表面であって、前記吸引調整部材が前記第1の位置にあるときは前記吸引調整部材によって覆われていないが前記吸引調整部材が前記第2の位置にあるときは前記吸引調整部材によって覆われている位置に、吸引状態にある旨を示す第1の表示が付されており、
前記胴部の表面であって、前記吸引調整部材が前記第1の位置にあるときは前記吸引調整部材によって覆われているが前記吸引調整部材が前記第2の位置にあるときは前記吸引調整部材によって覆われていない位置に、非吸引状態にある旨を示す第2の表示が付されている、請求項1記載の吸引ブラシ。
前記吸引調整部材は、前記第1の位置において前記調整口の周囲全体に対して密着し、前記第2の位置において前記調整口の露出面の上方において前記胴部の外面から一定距離だけ離れる平行状態となるように形成される、請求項1又は請求項2記載の吸引ブラシ。
前記吸引調整部材は、前記第1の位置において前記調整口の周囲全体に対して密着し、前記第2の位置において前記調整口の露出面の上方において外方方向に拡がる傾斜状態となるように形成される、請求項1又は請求項2記載の吸引ブラシ。
【背景技術】
【0002】
従来から、歯ブラシの自力使用が困難な患者や被介護者等に対して、医療関係者や介護者等の第三者がブラッシングをする場合がある。そのような場合、特に口腔内に溜まった唾液や洗浄液等の自力での吐き出しが困難な人に対する使用に便宜な、ブラッシングと同時に歯ブラシ先端部に備えられた吸引口から唾液や洗浄液等を吸引し、口腔外に排出する吸引ブラシが存在する。
【0003】
図20は特許文献1で開示された従来の吸引ブラシを示す正面図であって、(1)はその全体構造を示すものであり、(2)はその使用状態を示すものである。
【0004】
まず図の(1)を参照して、吸引ブラシ61は、合成樹脂等からなる棒状の胴本体71から構成されている。
【0005】
胴本体71は、軸方向内部に延びる通気路81が形成されると共に、その側壁に形成され通気路81に接続する調整口83を有する胴部73と、胴部73の先端側に形成され、通気路81に接続する吸引口82を有する清掃部72と、胴部73の後端側に形成され、通気路81に接続する排出口84を有する排出部74とから構成されている。
【0006】
次に図の(2)を参照して、吸引ブラシ61は、排出部74が吸引装置接続チューブ42を介して吸引装置41と接続されている。
【0007】
吸引ブラシ61の使用に際しては、まず、吸引装置41を稼働させ、図の実線で描いた矢印の方向に働く吸引を開始する。次に、使用者が指43で調整口83を押さえておくことで、通気路81を介して先端の吸引口82からの吸引力が発揮される。このような吸引状態において、清掃部材79によって口腔内のブラッシングを行いながら、吸引口82から唾液や洗浄液を吸引することができる。又、指43を調整口83から離すことで、調整口83からの吸引が主となり、吸引口82からの吸引力は著しく低下し、非吸引状態となる。即ち、この非吸引状態にあっては、調整口83からの通気路81への合流部までの通気抵抗と吸引口82からの該合流部までの通気抵抗とが同一状態となるように吸引量が変化する結果である。このように、指43の調整口83への着脱によって、先端の吸引口82からの吸引力を調整でき、例えばブラッシングと吸引を同時に行う場合には吸引状態にし、又は口腔内から離れて洗浄液に漬ける場合には非吸引状態にする等、それぞれの状態に自在に切り替えることができるものである。
【0008】
しかし、従来の吸引ブラシ61は吸引力の調整を使用者の指43を用いて行うため、指43の使用が拘束され、吸引ブラシ61の方向を適宜変えながらブラッシングする際等に不便が生じていた。このような不便を解消するため、従来の第2の吸引ブラシ66が存在する。
【0009】
図21は従来の他の吸引ブラシ66の全体構造を示す正面図であって、(1)は吸引調整部材が第1の位置にあるときのものであり、(2)は吸引調整部材が第2の位置にあるときのものである。
【0010】
まず図の(1)を参照して、吸引ブラシ66は、合成樹脂等からなる棒状の胴本体71と合成樹脂等からなる吸引調整部材68とから構成されている。胴本体71の構成及び作用は、従来の吸引ブラシ61のものと基本的に同様であるので説明を繰り返さない。
【0011】
吸引調整部材68は、(1)に示す第1の位置と(2)に示す第2の位置との間でスライド自在に吸引ブラシ66の胴本体71に係合している。又、第1の位置又は第2の位置において吸引調整部材68は胴本体71と係止する。更に、図の(1)又は(2)の一点鎖線で描いた矢印の方向にスライドさせることで第1の位置と第2の位置とを切り替えることができる。
【0012】
(1)に示す第1の位置にあっては、吸引調整部材68が調整口83の周囲全体に対して密着しており調整口83は通気できない非通気状態にあるため、先端の吸引口82からの吸引力が発揮される吸引状態である。一方、(2)に示す第2の位置にあっては、調整口83が吸引調整部材68に覆われておらず自由に通気できる通気状態にあるため、先端の吸引口82からの吸引力は著しく低下しており非吸引状態である。
【0013】
このように、従来の吸引ブラシ66は、吸引調整部材68をスライドさせ第1の位置と第2の位置とに切り替えることによって非吸引状態と吸引状態とを切り替えることができるため、使用に際して使用者の指の使用が拘束される不便がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、上記のような従来の吸引ブラシ66では、使用に際して、先端の吸引口82から吸引した唾液や洗浄液等が調整口83からも少量排出されることがあった。
【0016】
調整口83から排出され露出する唾液や洗浄液等は外観上好ましくない。又、吸引ブラシ66を通常使用するのはゴム手袋等を着けた医療関係者や介護者等であるため、使用を続けた際に調整口83から排出された唾液や洗浄液等がそのゴム手袋に触れる虞があり、衛生上好ましくないと共に手を滑らせてしまう問題があった。
【0017】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、調整口から排出される唾液や洗浄液等が外部から見えたり触れたりすることのない吸引ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、吸引装置の稼働により口腔内の唾液や洗浄液等を吸引して口腔外に排出する吸引ブラシであって、棒状の胴本体と、胴本体に取り付けられた吸引調整部材とを備え、胴本体は、軸方向内部に延びる通気路が形成されると共に、その側壁に形成され通気路に接続する調整口を有する胴部と、胴部の先端側に形成され、通気路に接続し、吸引装置の稼働により吸引力が発揮される吸引口を有する清掃部と、胴部の後端側に形成され、通気路に接続し、吸引口から吸引した口腔内の唾液や洗浄液等を胴部外部へ排出する排出口を有する排出部とからなり、吸引調整部材は、調整口を非通気状態に塞ぐ第1の位置と、その端部が調整口に対して所定距離離れた通気状態で調整口を覆う第2の位置との間で胴部の軸方向にスライド自在に胴部に係合し、常に調整口を覆っているものである。
【0019】
このように構成すると、調整口は常に吸引調整部材に覆われる。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、胴部の表面であって、吸引調整部材が第1の位置にあるときは吸引調整部材によって覆われていないが吸引調整部材が第2の位置にあるときは吸引調整部材によって覆われている位置に、吸引状態にある旨を示す第1の表示が付されており、胴部の表面であって、吸引調整部材が第1の位置にあるときは吸引調整部材によって覆われているが吸引調整部材が第2の位置にあるときは吸引調整部材によって覆われていない位置に、非吸引状態にある旨を示す第2の表示が付されているものである。
【0021】
このように構成すると、吸引調整部材の位置に応じて、吸引状態又は非吸引状態を示す表示が現れる。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、吸引調整部材は、第1の位置において調整口の周囲全体に対して密着し、第2の位置において調整口の露出面の上方において胴部の外面から一定距離だけ離れる平行状態となるように形成されるものである。
【0023】
このように構成すると、吸引調整部材がコンパクトになる。
【0024】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、露出面は、その面積が12〜40(mm
2)の範囲内であり、露出面に対する平行面における胴部の幅の投影距離は、10〜13(mm)の範囲内であり、一定距離をA(mm)とすると、
0.5≦A≦5.0
を満たすものである。
【0025】
請求項5記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、露出面は、その面積が12〜40(mm
2)の範囲内であり、露出面に対する平行面における胴部の幅の投影距離は、10〜13(mm)の範囲内であり、一定距離をB(mm)とすると、
0<B≦2
を満たすものである。
【0026】
請求項6記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、露出面は、その面積が12〜40(mm
2)の範囲内であり、露出面に対する平行面における胴部の幅の投影距離は、10〜13(mm)の範囲内であり、一定距離をC(mm)とすると、
1.0≦C
を満たすものである。
【0027】
請求項7記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、吸引調整部材は、第1の位置において調整口の周囲全体に対して密着し、第2の位置において調整口の露出面の上方において外方方向に拡がる傾斜状態となるように形成されるものである。
【0028】
このように構成すると、吸引調整部材が操作し易くなる。
【0029】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明の構成において、露出面は、その面積が12〜40(mm
2)の範囲内であり、露出面に対する平行面における胴部の幅の投影距離は、10〜13(mm)の範囲内であり、吸引調整部材は、傾斜状態の傾斜角度をD(度)とすると、
10≦D≦70
を満たすものである。
【0030】
請求項9記載の発明は、請求項7記載の発明の構成において、露出面は、その面積が12〜40(mm
2)の範囲内であり、露出面に対する平行面における胴部の幅の投影距離は、10〜13(mm)の範囲内であり、吸引調整部材は、傾斜状態の傾斜角度をE(度)とすると、
0<E≦20
を満たすものである。
【0031】
請求項10記載の発明は、請求項7記載の発明の構成において、露出面は、その面積が12〜40(mm
2)の範囲内であり、露出面に対する平行面における胴部の幅の投影距離は、10〜13(mm)の範囲内であり、吸引調整部材は、傾斜状態の傾斜角度をF(度)とすると、
20≦F
を満たすものである。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、調整口は常に吸引調整部材に覆われるため、吸引量を変化させても使用状態が安定する。
【0033】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、吸引調整部材の位置に応じて、吸引状態又は非吸引状態を示す表示が現れるため、吸引調整部材によって常に調整口が覆われていても、直感的に吸引が可能であるかの判断が可能となる。
【0034】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、吸引調整部材がコンパクトになるため、使用勝手が向上すると共に包装や輸送に有利となる。
【0035】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、吸引調整部材が第2の位置にあるとき十分な非吸引効果を発揮し、且つ、使用勝手が向上する。
【0036】
請求項5記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、隙間の距離を変化させればそれに伴い吸引力も指数関数的に変化するので、所望の吸引力を発揮させるような設計に都合が良い。
【0037】
請求項6記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、吸引調整部材が第2の位置にあるとき、吸引調整部材によって調整口が覆われているにも拘らず、吸引調整部材がない場合と同程度の優れた非吸引効果を発揮することができる。
【0038】
請求項7記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、吸引調整部材が操作し易くなるため、使用勝手が向上する。
【0039】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明の効果に加えて、吸引調整部材が第2の位置にあるとき十分な非吸引効果を発揮し、且つ、使用勝手が向上する。
【0040】
請求項9記載の発明は、請求項7記載の発明の効果に加えて、傾斜角度を変化させればそれに伴い吸引力も指数関数的に変化するので、所望の吸引力を発揮させるような設計に都合が良い。
【0041】
請求項10記載の発明は、請求項7記載の発明の効果に加えて、吸引調整部材が第2の位置にあるとき、吸引調整部材によって調整口が覆われているにも拘らず、吸引調整部材がない場合と同程度の優れた非吸引効果を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1はこの発明の第1の実施の形態による吸引ブラシの外観構造を示す概略正面図である。
図2は
図1で示したII−IIラインの拡大端面図である。
図3は
図1で示したIII−IIIラインの拡大端面図である。
【0044】
まず
図1を参照して、吸引ブラシ1は、合成樹脂等からなる棒状の胴本体11と、胴本体11に着脱自在に取り付けられる合成樹脂等からなる吸引調整部材31とから構成されている。
【0045】
胴本体11は、従来の吸引ブラシ61の胴本体71と基本的に同様の構造であるので説明を繰り返さず、差異点を中心に説明する。
【0046】
胴本体11の胴部13には、凹に形成された凹部17a〜17cと、凹部17よりは凸であるがその周囲の胴部13表面よりは凹である凸部16a、16bが形成されている。
【0047】
次に
図1及び
図2を併せて参照して、吸引調整部材31は、胴部13の外延に被さるように係合可能に対応した全体形状となっている。又、吸引調整部材31の裏面には、その内側に向かって凸であり、その形状が胴部13の凹部17a、17cと対応した内側凸部18が形成されている。
【0048】
上述した構造によって、吸引ブラシ1の使用時には、吸引調整部材31は胴本体11に取り付けられている。即ち、吸引調整部材31は、
図1〜
図3の一点鎖線で描くように胴部13に取り付けられるとき、その内側凸部18が胴部13の凹部17cに対応するように係合し、吸引調整部材31は調整口23を塞いでいる。又、このとき、胴部13の凸部16bの存在により、吸引調整部材31はその位置で係止することとなる。更に、吸引調整部材31の内側凸部18が胴部13の凹部17aと対応するように係合するときも同様に、胴部13の凸部16aの存在により、吸引調整部材31はその位置で係止する。
【0049】
次に
図1及び
図3を併せて参照して、吸引調整部材31は、スライド前後方向のうち取り付け状態において調整口23(図示せず)の存在する方向側の端部が、調整口23の上方において胴部13の外面から所定距離離れるように膨出した形状となっており、吸引調整部材31と胴部13外面との間に隙間28が発生する。
【0050】
次に吸引調整部材のスライド動作について説明する。
【0051】
図4は吸引調整部材を取り付けた吸引ブラシの外観構造及び内部構造を示す概略正面図であって、(1)は吸引調整部材が第1の位置にあるときのものであり、(2)は吸引調整部材が第2の位置にあるときのものである。
図5は
図4で示した“X”部分の拡大図であって、(1)はその係合状態を示すものであり、(2)はその断面構造を示すものである。
図6は
図4で示した“Y”部分の拡大図であって、(1)はその係合状態を示すものであり、(2)はその断面構造を示すものである。
【0052】
まず
図4の(1)を参照して、吸引調整部材31は第1の位置において胴本体11に取り付けられている。又、
図5の(1)を参照して、このとき、吸引調整部材31の内側凸部18と胴部13の凹部17cとが係合している。更に、
図5の(2)を参照して、このとき、吸引調整部材31は調整口23を塞いでおり、調整口23は通気することのできない非通気状態である。そして、この吸引ブラシ1の使用に際しては、図示しない吸引装置41を稼働させることにより、通気路21内部において図の一点鎖線で描いた矢印の方向に吸引力が働く。このとき、調整口23からは通気することが無いため、先端部での吸引力が発揮される吸引状態となる。
【0053】
次に
図4の(2)を参照して、吸引調整部材31は第2の位置において胴本体11に取り付けられている。又、
図6の(1)を参照して、このとき、吸引調整部材31の内側凸部18と胴部13の凹部17aとが係合している。更に、
図6の(2)を参照して、このとき、吸引調整部材31は調整口23に対して所定距離離れて覆っており、調整口23は隙間28を介して通気することのできる通気状態である。尚、吸引調整部材31は調整口23の露出面26の上方において胴部13の外面から一定距離だけ離れる平行状態となるように形成されている。そして、この吸引ブラシ1の使用に際しては、図示しない吸引装置41を稼働させることにより、通気路21内部において図の一点鎖線で描いた矢印の方向に吸引力が働く。このとき、調整口23から主に通気することとなるため、先端部での吸引力がほとんど発揮されない非吸引状態となる。
【0054】
又、
図4の(1)に示すような第1の位置にある吸引ブラシ1は、図の一点鎖線で描いた矢印の方向に吸引調整部材31をスライドさせると、
図4の(2)に示すような第2の位置において係止する。逆も同様である。
【0055】
即ち、吸引調整部材31をスライドさせることによって、調整口23の非通気状態と通気状態とを自在に切り替えることができ、それによって先端方向にある清掃部12の吸引口22の吸引状態と非吸引状態とを自在に切り替えることができる。そのため、使用に際して使用者の指の使用が拘束される不便が無い。更に、吸引調整部材31によって調整口23から排出される唾液や洗浄液等が外部から見えたり触れたりすることが無くなる効果が存在するが、それについては後述する。
【0056】
次に、この吸引ブラシを上方(胴部表面において調整口が存在する方向)から見たときの状態を説明する。
【0057】
図7は吸引ブラシを、調整口を上方から見た外観構造を示す概略平面図であって、(1)は吸引調整部材が第1の位置にあるときのものであり、(2)は吸引調整部材が第2の位置にあるときのものである。
【0058】
(1)及び(2)を参照して、調整口23は常に吸引調整部材31に覆われている。そのため、吸引ブラシ1の使用に際して、調整口23から排出される唾液や洗浄液等は外部から見えたり触れたりすることがなく、使用状態が安定している。
【0059】
以上説明したように、この実施の形態による吸引ブラシ1の吸引調整部材31は、常に調整口23を覆うこととなる効果を奏することを効率的に達成した形状である。吸引調整部材31をコンパクトにすることで、最小限の力で確実に吸引状態又は非吸引状態を切り替えられ、又、その状態を維持することができ使用勝手が向上すると共に、包装や輸送に有利となるものである。
【0060】
ここで、調整口が常に吸引調整部材に覆われている吸引ブラシは、調整口を外部から見えなくするという効果を奏する。しかしその反面、調整口が非通気状態にあるか又は通気状態にあるかを外部から視認しづらいため、その使用に際して現在吸引状態であるか非吸引状態であるかを外部から直感的に判断することができないという新たな不具合が発生する虞がある。
【0061】
(1)及び(2)を参照して、この点について、吸引ブラシ1には、胴部13の表面であって、吸引調整部材31が第1の位置にあるときは吸引調整部材31によって覆われていないが吸引調整部材31が第2の位置にあるときは吸引調整部材31によって覆われている位置38に、吸引状態にある旨を示す第1の表示33が付されており、胴部13の表面であって、吸引調整部材31が第1の位置にあるときは吸引調整部材31によって覆われているが吸引調整部材31が第2の位置にあるときは吸引調整部材31によって覆われていない位置39に、非吸引状態にある旨を示す第2の表示34が付されている。
【0062】
そのため、吸引ブラシ1は、(1)に示すように吸引調整部材31が第1の位置にあるときは、第1の表示33のみが現れる。又、(2)に示すように吸引調整部材31が第2の位置にあるときは、第2の表示34のみが現れる。
【0063】
これによって、吸引調整部材31によって常に調整口23が覆われている吸引ブラシ1であっても、第1の表示33又は第2の表示34を確認することによって、直感的に吸引が可能であるかの判断が可能となっており、上述した不具合を解決し、更に使い勝手が向上する。
【0064】
次に、この吸引ブラシの隙間周辺の構造について説明する。
【0065】
図8は隙間の距離の異なる吸引調整部材を用いた吸引ブラシの内部構造を示す拡大図であって、(1)は隙間の距離が相対的に短いものであり、(2)は隙間の距離が相対的に長いものである。尚、
図8は、
図6の“Y”部分に対応した範囲を示す。
図9は
図8で示したIX−IXラインの端面図である。
【0066】
図8及び
図9を参照して、吸引調整部材31は第2の位置にあり、調整口23は通気状態であり、吸引ブラシ1は非吸引状態である。
【0067】
隙間28の距離H
1、H
2は、隙間28における吸引調整部材31の裏面から胴部13の外面までの距離であり、使用時における隙間28及び調整口23からの吸引量、即ち先端部の吸引効果に影響する。通常、(1)に示す隙間28の距離が相対的に短いH
1のものに比べ、(2)に示す相対的に長いH
2のものの方が吸引量が大きくなると予想される。
【0068】
図10は
図8で示したX−Xラインの拡大端面図である。
【0069】
図を参照して、Wは、
図9の(2)で示したような平面で定義した露出面26に対する平行面36における胴部13の幅の投影距離である。
【0070】
隙間28、即ち吸引調整部材31の裏面と胴部13の外面に囲まれる部分の面積が、使用時における隙間28からの吸引量に影響する。そして、隙間28の面積はH
2×Wであるため、Wを一定としたとき、隙間28の距離(例えばH
2)が長いものほど隙間28からの吸引量が大きくなる。この隙間の距離の変化に応じた吸引量の変化についての実施例による詳細は後述する。
【0071】
そして、使用時における隙間28及び調整口23からの吸引量がより大きい場合、上述したように先端部での吸引力は低下するため、吸引調整部材を第2の位置としたときの非吸引効果がより発揮されることとなる。
【0072】
次に、この発明の第2の実施の形態による吸引ブラシについて説明する。この吸引ブラシは、第1の実施の形態による吸引ブラシとの差異点が吸引調整部材の構造にあるため、吸引調整部材の構造を中心に以下説明する。
【0073】
図11はこの吸引ブラシであって、傾斜角度の異なる吸引調整部材を用いたものの内部構造を示す拡大図であって、
図8に対応するものであり、(1)は傾斜角度が相対的に小さいものであり、(2)は傾斜角度が相対的に大きいものである。
図12は
図11で示したXII−XIIラインの端面図である。
【0074】
図11及び
図12を参照して、吸引調整部材31は第2の位置にあり、調整口23は通気状態であり、吸引ブラシ6は非吸引状態である。尚、吸引調整部材31は、図示しない第1の位置においては第1の実施の形態と同様に調整口23の周囲全体に対して密着する。
【0075】
そして吸引調整部材31は、第2の位置において調整口23の露出面26の上方において外方方向に拡がる傾斜状態となるように形成されている。この構成により指がかりが大きくなるため吸引調整部材31は操作し易くなり、使用勝手が向上している。又、傾斜状態の傾斜角度θ(露出面26とその上方に存在する吸引調整部材31の裏面とによって形成される角度)は、(1)においてθ
1であり、(2)においてθ
2であり、θ
2>θ
1となっている。通常、(1)に示す傾斜角度が相対的に小さいθ
1のものに比べ、(2)に示す相対的に大きいθ
2のものの方が、使用時における隙間28からの吸引量が大きくなり、その結果吸引調整部材を第2の位置としたときの非吸引効果がより発揮されると予想される。
【0076】
尚、第2の実施の形態にあっては、
図12に示すような特定箇所(XII−XIIライン)の断面において特定の隙間の距離であるものは、第1の実施の形態において同一の隙間の距離であるものとは必ずしもその吸引量等の効果は対応しない。吸引調整部材31の構造の相違により、隙間28から調整口23までの通気経路の幅や空気の流入角度が相違するためである。
【0077】
ところで、従来の吸引ブラシでは、吸引調整部材を第2の位置にしたときには、使用時に調整口から全面的に通気し吸引ブラシが非吸引状態になるため、吸引調整部材の形状がもたらす機能に着目する必要が無かった。しかし、この発明による吸引ブラシは吸引調整部材によって調整口が常に覆われているために、吸引調整部材の裏面と胴部の外面とからなる隙間が十分に存在していなければ、吸引調整部材を第2の位置にしたときに、たとえ調整口からは全面的に通気するとしても隙間からの空気の流入量が少なくなるために吸引ブラシが十分に非吸引状態とはならず、即ち吸引調整部材を第2の位置にしたときの非吸引効果が十分に発揮されないという新たな課題を発見した。
【0078】
そして上述のように、隙間の距離を大きくしたり傾斜角度を大きくしたりすると、使用時における隙間からの吸引量もそれに伴って大きくなると通常は予想しがちである。逆も同様に、隙間の距離を極端に小さくしたり傾斜角度を極端に小さくしたりした場合は、隙間に空気が整列しづらい結果流入量が少なくなる等の理由からほとんど吸引されなくなると予想しがちである。
【0079】
しかし実際は、隙間の距離又は傾斜角度の変化に伴って吸引量が変化するのは一定の範囲に留まり、隙間の距離が特定の数値より大きい場合や傾斜角度が特定の数値より大きい場合には、吸引量は予想に反した変化となる。又、隙間の距離が特定の数値より小さい場合や傾斜角度が特定の数値より小さい場合にも、吸引量は予想に反した変化となる。これらについては、後に実施例に基づき説明する。
【0080】
次に、この発明の他の実施の形態による吸引ブラシについて説明する。
【0081】
図13はこの発明の他の実施の形態による吸引ブラシの胴部周辺の形態を示す正面図である。
【0082】
この吸引ブラシの基本的な構成及び機能は第1の実施の形態のものと同様であるため、その記載は繰り返さず、相違点である胴部周辺を中心に説明する。
【0083】
図を参照して、吸引ブラシ1の胴部13は、胴部13が幅方向全周にわたって凹んだ形状となっている把持部50を有する。使用時に把持部50に指を置くことで使用状態をより安定させることができる。
【0084】
又、吸引調整部材31は、その表面に突起部49を有する。吸引調整部材31の位置を切り替える際に突起部49に指を引っ掛けることができ、スライド動作の使用勝手が向上する。
【0085】
更に、吸引ブラシ1はその後端部にコロネ形状の連結部51を有する。図示しない吸引装置接続チューブ42を吸引ブラシ1の後端部に接続する際に、引っ掛かりが良くなり使用勝手が向上する。尚、後述する
図17に示すノコギリ形状等の他の形状でも良い。
【0086】
図14はこの発明の更に他の実施の形態による吸引ブラシの吸引調整部材の形態を示す拡大正面図である。
【0087】
この吸引ブラシの基本的な構成及び機能は第1の実施の形態のものと同様であるため、その記載は繰り返さず、相違点である吸引調整部材を中心に説明する。
【0088】
図を参照して、吸引調整部材31は第2の位置において、調整口23の露出面26の上方において外方方向に拡がる傾斜状態であると共に、その一部52は胴部13の外面から一定距離だけ離れる平行状態となるように形成されている。これによって、調整口23を外部から見えなくする効果をより高めることができる。又、この吸引調整部材31にあっても、第2の位置にあるとき非吸引効果を発揮することができる。
【0089】
又、調整口23の上方に来ることのない吸引調整部材31の部分は、胴部13に密着しているもの等、他の形状でも良い。
【0090】
図15はこの発明の更に他の実施の形態による吸引ブラシの清掃部の形態を示す拡大正面図である。
【0091】
この吸引ブラシの基本的な構成及び機能は第1の実施の形態のものと同様であるため、その記載は繰り返さず、相違点である清掃部を中心に説明する。
【0092】
まず図の(1)を参照して、清掃部12が備える清掃部材19の刷毛は公知のいかなる素材、本数、束数、長さ、形状のものでも良い。
【0093】
次に図の(2)を参照して、清掃部材19はスポンジのものでも良い。
【0094】
次に図の(3)を参照して、清掃部12は、スポンジの清掃部材19a及び刷毛の清掃部材19bの両方を備えていても良い。
【0095】
又、これらの清掃部12において、軸方向正面に位置する吸引口22a、清掃部材19((3)に示すものにあっては19b)の存在する中に位置する22b、その22bの逆方向に位置する22cのように、吸引口22が複数あっても良いし、その各々が清掃部12のどの位置にあっても良い。尚、通気路21の正面に位置する吸引口22aは存在する方が通気路21の形成の観点から製造に都合が良い。
【0096】
尚、上記の各実施の形態にあっては、吸引ブラシは合成樹脂等からなるが、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ABS樹脂等が挙げられる。
【0097】
又、上記の各実施の形態にあっては、調整口、吸引調整部材及びそれらの係合部が胴部の特定の位置にあるが、胴部のどの位置にあっても良い。但し、吸引調整効果の点からは、胴部の後端側半分領域にあった方が良い。又、調整口の数が複数あっても良い。更に、係合部の構造は他の構造でも良い。
【0098】
更に、上記の各実施の形態にあっては、吸引調整部材は第1の位置が第2の位置よりも吸引ブラシの後端方向の特定位置で係止する状態であるが、逆でも良い。
【0099】
更に、上記の各実施の形態にあっては、吸引調整部材が第1の位置又は第2の位置の2段階において係止するが、加えて、調整口を半分程度塞ぐ中間位置等3以上の段階において係止できる構造でも良い。
【0100】
更に、上記の各実施の形態にあっては、吸引調整部材が胴部の全周を特定の割合で覆うように密着している形状であるが、その他の割合で覆う形状でも良い。
【0101】
更に、上記の各実施の形態にあっては、吸引調整部材の色は特定されないが、透明であっても良いし不透明であっても良い。尚、不透明であれば調整口を覆うことによる視覚効果が更に向上する。
【0102】
更に、上記の各実施の形態にあっては、胴部表面において吸引状態又は非吸引状態である旨を示す第1の表示及び第2の表示は「ON」及び「OFF」の文字で表しているが、「吸引」及び「非吸引」等他の文字表示であっても良いし、それらの文字が浮き出し形状もしくは点字であっても良いし、光、音、振動その他の状態変化を使用者に感得させることにより吸引状態又は非吸引状態のいずれの状態にあるかが判断できる手段であっても良い。又、第1の表示及び第2の表示、又はそのいずれかが無くても良い。
【0103】
更に、上記の各実施の形態にあっては、吸引調整部材はスライド自在に胴部に係合しているが、吸引調整部材が第2の位置にあるとき調整口の上方に位置する吸引調整部材の部分が傾斜したり、あるいは平行状態に離れたりするように上下に動くことで調整口が開閉するようになっている等、移動自在であっても同様の効果を奏することができる。
【0104】
更に、上記の各実施の形態にあっては、棒状の胴本体が円柱形状であるが、角柱等他の棒形状でも良い。
【0105】
更に、上記の各実施の形態にあっては、調整口が平面視矩形であるが、円形や楕円形等他の形状でも良い。その場合、調整口の吸引効果はその露出面の面積によって換算すれば良い。
【0106】
更に、上記の各実施の形態にあっては、吸引調整部材が第1の位置又は第2の位置において係止するが、吸引調整部材にバネ等の付勢手段を付加して一方の位置へ付勢しても良い。その場合、通常は第1の位置又は第2の位置において係止しているが、指で力を加えている間だけ他方の位置に切り替えることができ、指を離すと元の位置に戻る等、使い勝手が向上する。
【実施例1】
【0107】
この発明の第1の実施の形態による吸引ブラシに相当する中空筒を用いて、隙間の距離を変化させたときの先端部での吸引力を測定する実験を行った。
【0108】
図16はこの実施の形態に対応する吸引ブラシの吸引力を測定する実験の仕組みを示す模式図である。
図17は
図16で示した中空筒であって、調整口の大きさの異なるものを示す概略平面図であって、(1)は調整口の大きさが相対的に小さいものであり、(2)は調整口の大きさが相対的に大きいものである。但し、
図17における中空筒は吸引調整部材を取り付けていない状態である。
【0109】
図16及び
図17を参照して、中空筒44は、吸引ブラシの清掃部を除外しその他の構造は同様としたものであり、この実験においては各実施の形態の吸引ブラシの胴本体に相当する。中空筒44の胴部13には吸引調整部材31が取り付けられており、吸引調整部材31は第2の位置にある。中空筒44後端の排出部14における排出口24は、吸引装置接続チューブ42を介して吸引装置41と接続されている。中空筒44先端の吸引口22は、微差圧計接続チューブ47を介して微差圧計46と接続されている。
【0110】
吸引装置41は、この実験においては吸引力約−1792.6Paのアスピレーターを用いた。
【0111】
微差圧計46は、株式会社エムケー・サイエンティフィックの微差圧計DT−8920を用いた。
【0112】
吸引装置接続チューブ42及び微差圧計接続チューブ47は、共に外径10mm、穴径6mm、長さ850mmのものを用いた。
【0113】
図17の(1)を参照して、中空筒44の通気路21の直径L
1は4.4mm、中空筒44の軸方向の長さL
2は105.0mm、調整口23から後端までの長さL
3は51.4mmであり、胴部13の幅Wは11.6mmである。
【0114】
そして、中空筒44は調整口23の大きさのみを変化させた5種類のものを用意した。調整口23の
図17に示す方向視における大きさ(mm)と面積(mm
2)が(i)3×4=12、(ii)4.5×4=18、(iii)6×4=24、(iv)8×4=32、(v)10×4=40の5種類である。尚、
図17の(1)に示す調整口23が(i)3×4の大きさのものであり、(2)に示す調整口23が(v)10×4の大きさのものである。
【0115】
又、吸引調整部材31は隙間の距離(例えば
図8及び
図9で示した隙間28の距離H
1又はH
2)(mm)をそれぞれ0.3、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、7.0とした8種類のものを用意し、隙間の距離が0のものに相当する調整口の周囲全体に対して密着した状態と、吸引調整部材31が存在しないオープン状態を加え、計10種類の条件を用意した。
【0116】
実験に際しては、
図16を参照して、吸引装置41を稼働し負圧を発生させ、図示しない通気路21内部において図の一点鎖線で描いた矢印の方向に吸引力を働かせ、吸引調整部材31が第2の位置にあるときの先端吸引口22における負圧を微差圧計47で測定した。
【0117】
実験の結果は以下のようになった。
【0118】
【表1】
表を参照して、表の数値(先端吸引口22における負圧の数値であり、単位はPaである。)の絶対値が大きいものほど、先端吸引口において吸引力が大きいということになり、即ち吸引調整部材が第2の位置にあるときの非吸引効果を発揮できていないということになる。この場合、吸引調整部材の位置を切り替えても先端吸引口からは吸引が続くことになり、吸引ブラシとしての使用に耐えない。又、逆も成り立ち、表の数値の絶対値が小さいものほど、吸引ブラシとしての使用において優秀である。
【0119】
具体的には、表の数値の絶対値が200より小さければ、吸引ブラシとしての使用に十分適する非吸引効果を発揮するため、○(適する)と評価した。又、表の数値の絶対値が80より小さければ、吸引ブラシとしての使用において、吸引調整部材が無いオープン状態と同程度に及ぶ優れた非吸引効果を発揮するため、◎(優秀である)と評価した。更に、表の数値の絶対値が200より大きければ、吸引ブラシとしての使用に耐えない非吸引効果しか発揮されないため、×(適さない)と評価した。
【0120】
隙間の距離が0のものでは、先端吸引口における吸引力は吸引装置からの負圧とほぼ同等となった。又、隙間の距離を少しでも発生させたもの(0.3のものや0.5のもの)では、予想に反して急激に非吸引効果が発揮されることとなった。全体的には、隙間の距離を大きくするほど非吸引効果も強く発揮される傾向が見られた。
【0121】
実験の結果から、まず、隙間の距離が1.0以上の吸引ブラシは、調整口が(i)〜(v)のいずれの場合においても、表の数値の絶対値が80より小さい。又、これ以上は隙間の距離を大きくしても非吸引効果がほとんど変化しないという予想外の結果となっている。このように、隙間の距離が1.0mm以上である吸引ブラシは、吸引調整部材が第2の位置にあるとき、吸引調整部材によって調整口が覆われているにも拘らず、吸引調整部材が無い場合(オープン状態)と同程度に及ぶ優れた非吸引効果を発揮するものである。
【0122】
次に、隙間の距離が0.5以上の吸引ブラシは、調整口が(i)〜(v)のいずれの場合においても、表の数値の絶対値が200より小さく、吸引ブラシとしての使用に十分適する非吸引効果を発揮する。しかし、隙間の距離が5.0より大きいものは、吸引ブラシの使用を続けた時に、調整口から少量排出される唾液や洗浄液が外部から目に触れる可能性が高くなり、吸引調整部材が調整口を常に覆っていることによる視覚効果が弱くなってしまう問題が発生する。そのため、隙間の距離が0.5mm以上5.0mm以下の範囲内の吸引ブラシが、吸引調整部材が第2の位置にあるとき、吸引ブラシとしての使用に十分適する非吸引効果を発揮するばかりでなく、吸引調整部材が調整口を常に覆っていることにより調整口から排出される唾液や洗浄液が外部から目に触れなくなる効果も併せて確保される、使用勝手が極めて良いものである。
【0123】
次に、隙間の距離が0を除き2.0以下である吸引ブラシは、その範囲内において隙間の距離を大きくするとそれに伴い非吸引効果も急激に高まる。
【0124】
図18は実施例1の結果を示すグラフであって、(1)は全範囲を示すものであり、(2)は(1)で示したα部分の範囲を縦軸目盛を変えて示すものである。
【0125】
図を参照して、(1)においては、横軸は隙間の距離(mm)を表し、縦軸は表1の数値の絶対値、即ち差圧(Pa)を表している。(2)においては、横軸は同様であるが、縦軸を対数目盛で表している。
【0126】
又、(2)は(1)で示したα部分の範囲、即ち隙間の距離0、0.3、0.5、1.0、2.0のものの表1の数値の絶対値について、調整口(i)〜(v)のそれぞれについてプロットしている。
【0127】
図の(2)の直線で示すように、調整口が(i)〜(v)のいずれの場合においても、実験の結果は隙間の距離が0を除き2.0以下の範囲においてはy=565.77e
−2.187xで表される指数近似直線で近似することができる。これによって、吸引ブラシとしての使用用途には限定せず、例えば同実験において数値が約100となる吸引力を発揮する吸引ブラシを求める場合は隙間の距離を約0.8mmに設計すれば良い。
【0128】
そして、隙間の距離が2.0より大きいものについては、隙間の距離を変化させても吸引力がほぼ変化しなくなるため、近似することができず、ひいては所望の吸引力を発揮する吸引ブラシを設計することができない範囲となる。
【0129】
上述したように、この発明の吸引ブラシにおいては、通常の予想に反して隙間の距離が一定以下に小さいものでも急激に非吸引効果を発揮し始め、隙間の距離が一定以上に大きいと非吸引効果が変化しなくなる。それに対して、隙間の距離が0を除き2.0mm以下であれば、上記近似式が成り立ち、求める吸引力を発揮する吸引ブラシを設計することができるという性質を発見した。
【実施例2】
【0130】
上述したように、第2の実施の形態による吸引ブラシでは、それと隙間の距離が同じ第1の実施の形態のものとを比較しても非吸引効果が同じになるわけではない。そのため、第2の実施の形態による吸引ブラシの、吸引調整部材が第2の位置にあるときの非吸引効果を求める場合には、改めて実験をする必要がある。
【0131】
そのため、この発明の第2の実施の形態による吸引ブラシに相当する中空筒を用いて、傾斜角度を変化させたときの先端部での吸引力を測定する実験を行った。
【0132】
吸引ブラシの実施の形態が相違する他は、実験条件は
図16及び
図17で示した実施例1のものと同様であるため、その記載を繰り返さない。
【0133】
図17の(1)を参照して、中空筒44の通気路21の直径L1は4.4mm、中空筒44の軸方向の長さL2は105.0mm、調整口23から後端までの長さL3は51.4mmであり、胴部13の幅Wは11.6mmである。
【0134】
そして、中空筒44は調整口23の大きさのみを変化させた5種類のものを用意した。調整口23の
図17に示す方向視における大きさ(mm)と面積(mm2)が(i)3×4=12、(ii)4.5×4=18、(iii)6×4=24、(iv)8×4=32、(v)10×4=40の5種類である。尚、
図17の(1)に示す調整口23が(i)3×4の大きさのものであり、(2)に示す調整口23が(v)10×4の大きさのものである。
【0135】
又、吸引調整部材31は傾斜角度(度)をそれぞれ5、10、20、30、45、60、70、80とした8種類のものを用意し、傾斜角度が0のものに相当する調整口の周囲全体に対して密着した状態と、吸引調整部材31が存在しないオープン状態を加え、計10種類の条件を用意した。
【0136】
実験に際しては、
図16を参照して、吸引装置41を稼働し負圧を発生させ、図示しない通気路21内部において図の一点鎖線で描いた矢印の方向に吸引力を働かせ、吸引調整部材31が第2の位置にあるときの先端吸引口22における負圧を微差圧計47で測定した。
【0137】
実験の結果は以下のようになった。
【0138】
【表2】
表中の各数値に対する評価は、実施例1と同一の評価基準とする。
【0139】
傾斜角度が0のものでは、先端吸引口における吸引力は吸引装置からの負圧とほぼ同等となった。又、傾斜角度を少しでも発生させたもの(5のものや10のもの)では、予想に反して急激に非吸引効果が発揮されることとなった。全体的には、傾斜角度を大きくするほど非吸引効果も強く発揮される傾向が見られた。
【0140】
実験の結果から、まず、傾斜角度が20以上の吸引ブラシは、調整口が(i)〜(v)のいずれの場合でも、表の数値の絶対値が80より小さい。又、これ以上は傾斜角度を大きくしても非吸引効果がほとんど変化しないという予想外の結果となっている。このように、傾斜角度が20度以上である吸引ブラシは、吸引調整部材が第2の位置にあるとき、吸引調整部材によって調整口が覆われているにも拘らず、吸引調整部材が無い場合(オープン状態)と同程度に及ぶ優れた非吸引効果を発揮するものである。
【0141】
次に、傾斜角度が10以上の吸引ブラシは、調整口が(i)〜(v)のいずれの場合においても、表の数値の絶対値が200より小さく、吸引ブラシとしての使用に十分適する非吸引効果を発揮する。しかし、傾斜角度が70より大きいものは、吸引ブラシの使用を続けた時に、調整口から少量排出される唾液や洗浄液が外部から目に触れる可能性が高くなり、吸引調整部材が調整口を常に覆っていることによる効果が弱くなってしまう問題が発生する。そのため、傾斜角度が10以上70以下の範囲内である吸引ブラシが、吸引調整部材が第2の位置にあるとき、吸引ブラシとしての使用に十分適する非吸引効果を発揮するばかりでなく、吸引調整部材が調整口を常に覆っていることにより調整口から排出される唾液や洗浄液が外部から目に触れなくなる効果も併せて確保される、使用勝手が極めて良いものである。
【0142】
次に、傾斜角度が0を除き20以下である吸引ブラシは、その範囲内において傾斜角度を大きくするとそれに伴い非吸引効果も急激に高まる。
【0143】
図19は実施例2の結果を示すグラフであって、(1)は全範囲を示すものであり、(2)は(1)で示したβ部分の範囲を縦軸を変えて示すものである。
【0144】
図を参照して、(1)においては、横軸は傾斜角度(度)を表し、縦軸は表2の数値の絶対値、即ち差圧(Pa)を表している。(2)においては、横軸は同様であるが、縦軸を対数目盛で表している。
【0145】
又、(2)は(1)で示したβ部分の範囲、即ち傾斜角度0、5、10、20のものの表2の数値の絶対値について、調整口(i)〜(v)のそれぞれについてプロットしている。
【0146】
図の(2)の直線で示すように、調整口が(i)〜(v)のいずれの場合においても、実験の結果が傾斜角度が0を除き20以下の範囲においてはy=602.87e
−0.279xで表される指数近似直線で近似することができる。これによって、吸引ブラシとしての使用用途には限定せず、例えば同実験において数値が約100となる吸引力を発揮する吸引ブラシを求める場合は傾斜角度を約6度に設計すれば良い。
【0147】
そして、傾斜角度が20より大きいものについては、傾斜角度を変化させても吸引力がほぼ変化しなくなるため、近似することができず、ひいては所望の吸引力を発揮する吸引ブラシを設計することができない範囲となる。
【0148】
上述したように、この発明の吸引ブラシにおいては、通常の予想に反して傾斜角度が一定以下に小さいものでも急激に非吸引効果を発揮し始め、傾斜角度が一定以上に大きいと非吸引効果が変化しなくなる。それに対して、傾斜角度が0を除き20度以下であれば、上記近似式が成り立ち、求める吸引力を発揮する吸引ブラシを設計することができるという性質を発見した。