特許第6579660号(P6579660)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579660
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】捕虫器
(51)【国際特許分類】
   A01M 1/08 20060101AFI20190912BHJP
【FI】
   A01M1/08
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-257171(P2016-257171)
(22)【出願日】2016年12月29日
(65)【公開番号】特開2018-108046(P2018-108046A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2018年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100469
【氏名又は名称】みのる産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108958
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 英一
(72)【発明者】
【氏名】杉本 重郎
(72)【発明者】
【氏名】浅野 史也
【審査官】 川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−195208(JP,A)
【文献】 米国特許第08240082(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる仮想軸の周囲に配設され、虫を誘引する複数の光源と、
前記複数の光源の下方に間隔をおいて、前記仮想軸を中心に回転するように配設され、前記虫を吸引する吸引ファンと、
該吸引ファンの外周を覆うように略円筒状に形成されているファンカバーと、
該ファンカバーの下端部の開口を覆うように設けられ、前記虫を捕獲する捕虫ネットとを備え、
前記光源は、指向性光を放射するものであるとともに、該指向性光の光軸が前記ファンカバーの上端部の開口内又は該上端部の開口周囲部を向くように構成されている捕虫器。
【請求項2】
前記光源及び前記吸引ファンは、防水性又は防滴性を有するように構成されている請求項1記載の捕虫器。
【請求項3】
前記吸引ファンは、その回転最大径が、平面視で前記上端部の開口の内側になるように形成されている請求項1又は2記載の捕虫器。
【請求項4】
前記ファンカバーは、前記上端部の開口が、平面視で前記下端部の開口の内側になるように形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の捕虫器。
【請求項5】
前記ファンカバーは、前記上端部の開口又は/及び前記下端部の開口に、使用者の指が入らないようにする防護カバーを備えている請求項1〜4のいずれか一項に記載の捕虫器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光で虫を誘引し捕獲する捕虫器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第一の背景技術としては、特許文献1に記載された捕虫器を例示する。この捕虫器は、任意に設定された軸を中心とする略全周の表面に粘着層が形成された粘着部材と、該軸の周方向へ略等間隔をおいて、該粘着部材の周囲に列設された複数の光源とを備え、虫を、前記光源からの光により誘引するとともに前記粘着部材により捕獲するように構成されている。光源は、前記軸方向、即ち前記粘着部材の表面と平行に光を放射するように設けられている。この捕虫器では、光源からの直接光に加え、粘着部材の表面や、該光源の上部及び下部に設けられた反射部での反射光によっても、捕虫器の周囲を照らし、虫を誘引するように構成されている。
【0003】
また、第二の背景技術としては、特許文献2に記載された撹拌機能付き捕虫器を例示する。この捕虫器は、ファン用のモータを囲繞する誘導用のLEDでなる灯火と、灯火の下方に設けたファンと、ファンの下部に設けた誘導筒体と、誘導筒体の下方に設けた円筒
形状のダクトと、ダクトの下端自由縁部に設けた捕虫袋とで、ダクトを、空気の撹拌用、整流用の通路として利用するために、管状で、かつ、所定の長さを有し、捕虫袋を、椀形に形成している。誘導用のLEDはファン用のモータの外周方向へ光を放射するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−279254号公報
【特許文献2】特開2009−195208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記背景技術に係る捕虫器は、光を捕虫器の周囲へ積極的に放射することにより虫を誘引するように構成されているため、栽培対象への光量を制御する必要があるようなハウス栽培において、栽培対象の付近に設置すると、該捕虫器から放射される光が栽培対象に影響を与えてしまうという課題がある。
また、捕虫器にとっても、栽培対象の付近に設置されると、該栽培対象に供給される水分が付着し、前記粘着部材の粘着性や前記モータの機能等に悪影響がある。
そのために、従来は、栽培対象から離れた天井付近に捕虫器が設置されており、それによって、捕獲した虫の処分、捕虫器の掃除・故障の修理等のメンテナンスがし難いという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の捕虫器は、
上下方向に延びる仮想軸の周囲に配設され、虫を誘引する複数の光源と、
前記複数の光源の下方に間隔をおいて、前記仮想軸を中心に回転するように配設され、前記虫を吸引する吸引ファンと、
該吸引ファンの外周を覆うように略円筒状に形成されているファンカバーと、
該ファンカバーの下端部の開口を覆うように設けられ、前記虫を捕獲する捕虫ネットとを備え、
前記光源は、指向性光を放射するものであるとともに、該指向性光の光軸が前記ファンカバーの上端部の開口内又は該上端部の開口周囲部を向くように構成されている。
【0007】
前記光源としては、指向性光を放射するものであれば特に限定されないが、発光LEDや、レンズ付き電球等を例示する。前記複数の光源としては、特に限定されないが、1種類の波長の光を放射するもののみで構成してもよいし、互いに異なる種類の波長の光を放射する複数種類のもので構成してもよい。光の波長としては、特に限定されないが、捕獲対象の昆虫の複眼分光感度のピークに応じて設定することが好ましく、具体的には300〜400nmの範囲内で設定(より具体的には350nm付近(紫外域)に設定)したり、500〜600nmの範囲内で設定(より具体的には550nm付近(緑域)に設定)したりすることを例示する。
【0008】
前記光源の指向性光が前記開口周囲部を向くように構成する場合は、該開口周囲部に該指向性光が投射されることによる反射光が、捕虫器の外周側に向かないようにすることが好ましく、特に限定されないが、前記指向性光の光軸が鉛直下方を向くように前記光源を配設するとともに、前記開口周囲部を水平に形成する態様を例示する。
【0009】
この構成によれば、前記光源から放射される指向性光の光軸が、前記ファンカバーの上端部の開口内又は該上端部の開口周囲部を向くように構成されているので、次の作用効果が得られる。
(1)捕虫器の周囲に放射される光を従来よりも大幅に低減させることができる。そのため、例えば、栽培対象への光量を制御する必要があるようなハウス栽培において、前記光源の光による周囲への影響を従来よりも大幅に低減させることができ、従来よりも栽培対象の付近に設置することができ、捕獲した虫の処分、捕虫器の掃除・故障の修理等のメンテナンスがし易い。
(2)前記指向性光が前記ファンカバー内の前記吸引ファンや又は該上端部の開口周囲部に投射されることによる反射光により虫を前記ファンカバーの前記開口内や前記開口周囲部に誘引することができる。そのため、前記吸引ファンにより効率的に虫を吸引して前記捕虫ネットに捕獲することができる。
【0010】
前記光源及び前記吸引ファンは、防水性又は防滴性を有するように構成されている態様を例示する。
【0011】
この構成によれば、栽培対象への給水が降りかかる環境や、高湿度の環境でも使用可能になり、捕虫器を栽培対象の付近に設置することができる。
【0012】
前記吸引ファンは、その回転最大径が、平面視で前記上端部の開口の内側になるように形成されている態様を例示する。
【0013】
この構成によれば、前記上端部の開口を通過して前記ファンカバー内に入ってくる気流を真っすぐに前記吸引ファンに向かわせることができる。さらに前記吸引ファンの前記回転最大径の外側にも気流が起こり、この外側の気流は概ね下方向に流れるため、吸引された虫は前記ファンカバー内面にぶつかり難くなって、前記ファンカバー内面に虫の死骸の付着・堆積が起こり難くなる。また、前記上端部の開口に、網目状又はスリット状の防護カバーを設けた場合でも、該防護カバーに虫が引っかかり難くなり、虫詰まりを防止することができる。特に、栽培対象の付近に捕虫器を設置すると、該栽培対象に供給される水分の影響で前記ファンカバーの内面や前記防護カバー等に、虫が付着し易くなってしまうが、前記構成によれば、それを軽減することができる。
【0014】
仮に前記回転最大径と前記上端部の開口との大きさの関係が逆であると、前記上端部の開口を通過して前記ファンカバー内に入ってくる気流は、該上端部の開口で一旦狭められるため、気流が鼓形になってしまう。こうなると気流が乱流となってエネルギーロスが大きくなり、前記ファンカバー内に入った気流は前記吸引ファンの回転外側方向に力を受けて拡散するような流れが強まり、この気流に乗った虫は前記ファンカバー内面に向かって飛ばされ、該内面にこびりつき易くなってしまう。さらに、前記上端部の開口通過時に気流が狭められるということは速度が一時的に上がるということであり、これによって該開口に、網目状又はスリット状の防護カバーを設けた場合に該防護カバーに虫が引っかかり易くなり、虫詰まりの原因になる。
【0015】
前記ファンカバーは、前記上端部の開口が、平面視で前記下端部の開口の内側になるように形成されている態様を例示する。
【0016】
この構成によれば、ファンカバーの前記下端部の開口から気流を効率よく排出させることができる。また、前記下端部の開口に、網目状又はスリット状の防護カバーを設けた場合でも、該防護カバーに虫が引っかかり難くなり、虫詰まりを防止することができる。特に、栽培対象の付近に捕虫器を設置すると、該栽培対象に供給される水分の影響で前記防護カバーに水分が付着してしまい、該防護カバーに虫が引っかかり易くなってしまうが、前記構成によれば、それを軽減することができる。
【0017】
仮に前記上端部の開口と前記下端部の開口との大きさの関係が逆であると、該下端部の開口通過時の気流が鼓形になるということであり、気流のエネルギーロスの原因になる。また、該下端部の開口に、網目状又はスリット状の防護カバーを設けた場合に該防護カバーに虫が引っかかり易くなり、虫詰まりの原因になる。
【0018】
前記ファンカバーは、前記上端部の開口又は/及び前記下端部の開口に、使用者の指が入らないようにする防護カバーを備えている態様を例示する。
【0019】
前記防護カバーとしては、特に限定されないが、網目状に形成されている態様や、スリット状に形成されている態様を例示する。
【0020】
この構成によれば、前記ファンカバー内に使用者の指が入らないので、前記吸引ファンが作動した状態のままでも、前記捕虫ネットの交換や表面の掃除等のメンテナンスを行うことができる。そのため、捕虫器を、栽培対象の付近に設置して頻繁にメンテナンスを行うようにしても、捕虫器の稼働率が低下せず、しかも、使用者が安心して作業できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る捕虫器によれば、従来よりも栽培対象の付近に設置することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明を具体化した一実施形態に係る捕虫器の正面図である。
図2】同捕虫器のファンカバーより下側を破断した正面図である。
図3】同捕虫器の平面図である。
図4】同捕虫器の底面図である。
図5図1のV−V線断面図である。
図6】同捕虫器の吊り下げアダプターの斜視図である。
図7】同捕虫器の吊り下げアダプターの使用方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1図7は本発明を具体化した一実施形態の捕虫器1を示している。本例の捕虫器1は、椎茸栽培の害虫を捕獲するためのものであり、図1図5に示すように、虫を誘引する複数の光源2と、該誘引された虫を吸引する吸引ファン3と、該吸引された虫を捕獲する捕虫ネット4とが、枠体5に装備されている。
【0024】
枠体5は、上下方向に延びる仮想軸Zを中心とする略傘状に形成された傘部6と、該傘部6の下方に間隔をおいて設けられ、該仮想軸Zを中心とする略円筒状に形成されているファンカバー7と、傘部6及びファンカバー7の間を連結する連結部8とを備えている。
【0025】
傘部6は、その上側に、捕虫器1を天井などから吊り下げるための吊り下げ部材11が取り付けられている。傘部6の内部には、防水性を備えた空間(図示略)が設けられており、光源2の駆動回路等の電子回路(図示略)が内蔵されている。本例の傘部6の底面は平面に形成されている。
【0026】
連結部8は、本例では、上下方向に延びる一対のフレーム8aからなり、仮想軸Zの周方向へ略等間隔をおいて、仮想軸Zの周囲に列設されている。なお、連結部8としては、本例の形態に限定されず、1本のフレームで構成したり、3本以上のフレームで構成したりしてもよい。
【0027】
ファンカバー7は、上端側の開口12が、水平な円環状の壁で狭められており、該壁の上面は水平な開口周囲部7aを形成している。上端側の開口12は平面視で下端部の開口13の内側になるように形成されている。また、ファンカバー7は、上端部の開口12及び下端部の開口13に、使用者の指が入らないようにする防護カバー14、15を備えている。また、ファンカバー7の下端部の外周には、フランジ状の掛止部16が設けられている。
【0028】
光源2としては、指向性光を放射するものとして、発光LEDを採用している。各光源2は、その指向性光の光軸Lが、鉛直下方を向き、かつ、ファンカバー7の開口周囲部7aを向くように構成されている。また、光源2は、防水性を有するように構成されている。
【0029】
複数(本例では6個)の光源2は、仮想軸Zを中心とする仮想円Cに沿って一定間隔をおいて傘部6の底面に配設されている。本例では、光源2の波長を、捕獲対象の昆虫の複眼分光感度のピークに応じて設定しており、具体的には、半数の光源2Aが350nmの波長の光を放射するものであり、残りの半数の光源2Bが550nmの波長の光を放射するものとなっている。両光源2A、2Bは、図5に二点鎖線で仮想的に示すように、仮想円Cに沿って交互に配置されている。
【0030】
吸引ファン3は、仮想軸Zを中心に回転するように、ファンカバー7の内側に配設されており、図5に示すように、吸引ファン3の回転最大径Dは、平面視で上端部の開口12の内側になるように形成されている。また、本例の吸引ファン3は、防水性を有するように構成されている。
【0031】
捕虫ネット4は、通気性を有する袋状に形成されている。捕虫ネット4の開口縁部4aには、それを狭めるように作用する紐状の弾性部材(図示略)が設けられており、ファンカバー7の掛止部16に掛止可能に構成されている。そして、捕虫ネット4は、ファンカバー7に装着されると、ファンカバー7の下端部の開口13を覆い、吸引ファン3により吸引された虫を捕獲するようになっている。
【0032】
なお、本例の捕虫器1は、図6及び図7に示す吊り下げアダプター9を用いて、栽培設備における略水平なパイプ30の端部に吊り下げ可能になっている。この吊り下げアダプター9は、棒状体21と、該棒状体21の先端部に設けられた掛止部22と、該棒状体21の基端部側に外挿可能な楔部23とを備えている。本例の掛止部22は、棒状体21の長さ方向に間隔をおいて列設された一対のフランジ22aを備えており、該一対のフランジ22aの間に吊り下げ部材11を引っ掛けるようになっている。楔部23は、棒状体21に外挿可能な筒状に形成されている。楔部23における棒状体21の基端部側は、該基端部側になるほど小径になるようにテーパー状に形成されているとともに、棒状体21の先端部側に延びる切欠部23aを有している。この吊り下げアダプター9の棒状体21の基端部をパイプ30の中へ所要の深さまで挿入した後、該棒状体21の外周面と、パイプ30の内周面の隙間に楔部23の前記テーパー状の部分を押し込むと、パイプ30に対して吊り下げアダプター9が固定されるようになっている。
【0033】
以上のように構成された本例の捕虫器1によれば、光源2から放射される指向性光の光軸Lが、ファンカバー7の上端部の開口周囲部7aを向くように構成されているので、次の作用効果が得られる。
(1)捕虫器1の周囲に放射される光を従来よりも大幅に低減させることができる。そのため、例えば、光量を制御する必要があるようなハウス栽培において、光源2の光による周囲への影響を従来よりも大幅に低減させることができ、従来よりも栽培対象の付近に設置することができ、捕獲した虫の処分、捕虫器の掃除・故障の修理等のメンテナンスがし易い。
(2)前記指向性光がファンカバー7の上端部の開口周囲部7aに投射されることによる反射光により虫をファンカバー7の開口12付近に誘引することができる。そのため、吸引ファン3により効率的に虫を吸引して捕虫ネット4に捕獲することができる。
【0034】
また、光源2及び吸引ファン3は、防水性を有するように構成されているので、栽培対象への給水が降りかかる環境や、高湿度の環境でも使用可能になり、捕虫器1を栽培対象の付近に設置することができる。
【0035】
また、吸引ファン3は、その回転最大径Dが、平面視で上端部の開口12の内側になるように形成されているので、上端部の開口12を通過してファンカバー7内に入ってくる気流を真っすぐに吸引ファン3に向かわせることができる。さらに吸引ファン3の回転最大径Dの外側にも気流が起こり、この外側の気流は概ね下方向に流れるため、吸引された虫はファンカバー7の内面にぶつかり難くなって、ファンカバー7の内面に虫の死骸の付着・堆積が起こり難くなる。また、上端部の開口12に、防護カバー14を設けた場合でも、該防護カバー14に虫が引っかかり難くなり、虫詰まりを防止することができる。特に、栽培対象の付近に捕虫器1を設置すると、該栽培対象に供給される水分の影響でファンカバー7の内面や防護カバー14等に、虫が付着し易くなってしまうが、本構成によれば、それを軽減することができる。
【0036】
仮に回転最大径Dと上端部の開口12との大きさの関係が逆であると、上端部の開口12を通過してファンカバー7内に入ってくる気流は、該上端部の開口12で一旦狭められるため、気流が鼓形になってしまう。こうなると気流が乱流となってエネルギーロスが大きくなり、ファンカバー7内に入った気流は吸引ファン3の回転外側方向に力を受けて拡散するような流れが強まり、この気流に乗った虫はファンカバー7の内面に向かって飛ばされ、該内面にこびりつき易くなってしまう。さらに、上端部の開口12の通過時に気流が狭められるということは速度が一時的に上がるということであり、これによって該開口12に、防護カバー14を設けた場合に該防護カバー14に虫が引っかかり易くなり、虫詰まりの原因になる。
【0037】
また、ファンカバー7は、上端部の開口12が、平面視で下端部の開口13の内側になるように形成されているので、ファンカバー7の下端部の開口13から気流を効率よく排出させることができる。また、下端部の開口13に、防護カバー15を設けた場合でも、該防護カバー15に虫が引っかかり難くなり、虫詰まりを防止することができる。特に、栽培対象の付近に捕虫器1を設置すると、該栽培対象に供給される水分の影響で防護カバー15等に水分が付着してしまい、虫が引っかかり易くなってしまうが、本構成によれば、それを軽減することができる。
【0038】
仮に上端部の開口12と下端部の開口13との大きさの関係が逆であると、該下端部の開口13の通過時の気流が鼓形になるということであり、気流のエネルギーロスの原因になる。また、該下端部の開口13に、防護カバー15を設けた場合に該防護カバー15に虫が引っかかり易くなり、虫詰まりの原因になる。
【0039】
また、ファンカバー7は、上端部の開口12及び下端部の開口13に、使用者の指が入らないようにする防護カバー14、15を備えているので、吸引ファン3が作動した状態のまま、捕虫ネット4の交換や掃除等のメンテナンスを行うことができる。そのため、捕虫器1を、栽培対象の付近に設置して頻繁にメンテナンスを行うようにしても、捕虫器1の稼働率が低下せず、しかも、使用者が安心して作業できる。
【0040】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)光源2の数や、光源2の波長の種類を適宜増減すること。
(2)各光源2の指向性光の光軸Lが、ファンカバー7の上端部の開口12内を向くように構成すること。
(3)防護カバーを、ファンカバー7の記上端部の開口12又は下端部の開口13のいずれか一方にのみ設けるようにすること。
(4)光源2及び吸引ファン3を、防水性に代えて、防滴性を有するように構成すること。
(5)光源2の配置を適宜変更すること。例えば、仮想軸Zの周囲にランダムに配設することが挙げられる。
【符号の説明】
【0041】
1 捕虫器
2 光源
3 吸引ファン
4 捕虫ネット
4a 開口縁部
5 枠体
6 傘部
7 ファンカバー
7a 開口周囲部
8 連結部
8a フレーム
9 アダプター
11 吊り下げ部材
12 開口
13 開口
14 防護カバー
15 防護カバー
16 掛止部
21 棒状体
22 掛止部
22a フランジ
23 楔部
23a 切欠部
30 パイプ
C 仮想円
D 回転最大径
L 光軸
Z 仮想軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7