特許第6579669号(P6579669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579669
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】AMOLED電源電圧降下の補償方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20190912BHJP
   G09G 3/3291 20160101ALI20190912BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20190912BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   G09G3/3233
   G09G3/3291
   G09G3/20 641P
   G09G3/20 642A
   G09G3/20 642P
   H05B33/14 A
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-525025(P2017-525025)
(86)(22)【出願日】2015年2月6日
(65)【公表番号】特表2017-535815(P2017-535815A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】CN2015072365
(87)【国際公開番号】WO2016074352
(87)【国際公開日】20160519
【審査請求日】2017年6月19日
(31)【優先権主張番号】201410649921.0
(32)【優先日】2014年11月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】深▲せん▼市華星光電技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100080252
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 征四郎
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼泰鈞
(72)【発明者】
【氏名】李冀翔
【審査官】 武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−27819(JP,A)
【文献】 特開2008−170941(JP,A)
【文献】 国際公開第03/027999(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0249514(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 − 3/38
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップ1においてAMOLEDのCOF端からパネルの一列毎の発光素子の輝度値(L)を測定し、
ステップ2において該ステップ1で測定したパネルの一列毎の発光素子の輝度値(L)に基づいて、IRドロップによってそれぞれの列の発光素子に発生する輝度の変化の曲線を描き、
ステップ3において輝度差(ΔL)と電圧差(ΔV)との間の比例に基づき関係を転換し、即ち、ΔV=α・ΔLであって、かつ該αが比例の因子の一つであって、隣り合う2列毎の発光素子の間の輝度値の階差から、隣り合う2列毎の発光素子の間で補償する電圧値を計算し、
第1列発光素子に対して第2列を補償する電圧値は第1補償値(ΔV)であって、第2列発光素子に対して第3列を補償する電圧値を第2補償値(ΔV)とし、
第m列発光素子に対して第m+1列を補償する電圧値を第m補償値(ΔV)(ここで、m+1は3以上、最後の列の数以下の整数)とし、
ステップ4において、タイムコントロールレジスタがデータ電圧信号を送信して画面に表示する場合、
演算方式が次に掲げる式のとおりであって、
=Vdata
=Vdata+Σi=2(ΔVi−1
式中のVが、第n列発光素子の電圧を表し、かつVdataがデータ電圧を表すとともに、nが1より大きい正の整数である
ことを特徴とするAMOLED電源電圧降下の補償方法
【請求項2】
請求項1に記載のAMOLED電源電圧降下の補償方法において、
前記ステップ2における輝度の変化の曲線が、発光素子の存在する列が長くなるにつれて、測定したそれぞれの列の発光素子の輝度値がより一層低くなる
ことを特徴とするAMOLED電源電圧降下の補償方法。
【請求項3】
請求項1に記載のAMOLED電源電圧降下の補償方法において、
前記ステップ3において採用する演算方法が次に掲げる式のとおりであって、
ΔVn−1=α・ΔLn−1=α・(L−Ln−1
式中のΔVn−1が、第n−1列発光素子に対して第n列を補償する第n−1電圧値であって、ΔLn−1が、第n列発光素子の輝度Lと第n−1列発光素子の輝度Ln−1の輝度との階差であり、かつnが1より大きい正の整数である
ことを特徴とするAMOLED電源電圧降下の補償方法。
【請求項4】
請求項1に記載のAMOLED電源電圧降下の補償方法において、
前記補償する電圧値を直接前記データ電圧に加える
ことを特徴とするAMOLED電源電圧降下の補償方法。
【請求項5】
請求項1に記載のAMOLED電源電圧降下の補償方法において、
前記ステップ3において得た隣り合う2列毎の発光素子の間で補償する電圧値は記憶素子に保存する
ことを特徴とするAMOLED電源電圧降下の補償方法。
【請求項6】
請求項1に記載のAMOLED電源電圧降下の補償方法において、
前記AMOLED電源電圧降下の補償方法が、OVDD単一方向駆動AMOLED表示装置か、又はOVDD両方向駆動AMOLED表示装置に応用される
ことを特徴とするAMOLED電源電圧降下の補償方法。
【請求項7】
ステップ1においてAMOLEDのCOF端からパネルの一列毎の発光素子の輝度値(L)を測定し、
ステップ2において該ステップ1で測定したパネルの一列毎の発光素子の輝度値(L)に基づいて、IRドロップによってそれぞれの列の発光素子に発生する輝度の変化の曲線を描き、
ステップ3において輝度差(ΔL)と電圧差(ΔV)との間の比例に基づき関係を転換し、即ち、ΔV=α・ΔLであって、かつ該αが比例の因子の一つであって、隣り合う2列毎の発光素子の間の輝度値の階差から、隣り合う2列毎の発光素子の間で補償する電圧値を計算し、
第1列発光素子に対して第2列を補償する電圧値は第1補償値(ΔV)であって、第2列発光素子に対して第3列を補償する電圧値を第2補償値(ΔV)とし、
第m列発光素子に対して第m+1列を補償する電圧値を第m補償値(ΔV)(ここで、m+1は3以上、最後の列の数以下の整数)とし、
ステップ4において、タイムコントロールレジスタがデータ電圧信号を送信して画面に表示する場合、
演算方式が次に掲げる式のとおりであって、
式中のVが、第n列発光素子の最終的な電圧を表し、かつVdataがデータ電圧を表すとともに、nが1より大きい正の整数であり、
=Vdata
=Vdata+Σi=2(ΔVi−1
該ステップ2における輝度の変化の曲線が、発光素子の存在する列が長くなるにつれて、測定したそれぞれの列の発光素子の輝度値がより一層低くなり、
該ステップ3において採用する演算方法が次式のとおりであって、
ΔVn−1=α・ΔLn−1=α・(L−Ln−1
式中のΔVn−1が、第n−1列発光素子に対して第n列を補償する第n−1電圧値であって、ΔLn−1が、第n列発光素子の輝度Lと第n−1列発光素子の輝度Ln−1の輝度との階差であ
ことを特徴とするAMOLED電源電圧降下の補償方法。
【請求項8】
請求項7に記載のAMOLED電源電圧降下の補償方法において、
前記補償する電圧値を直接前記データ電圧に加える
ことを特徴とするAMOLED電源電圧降下の補償方法。
【請求項9】
請求項7に記載のAMOLED電源電圧降下の補償方法において、
前記ステップ3において得た隣り合う2列毎の発光素子の間で補償する電圧値は記憶素子に保存する
ことを特徴とするAMOLED電源電圧降下の補償方法。
【請求項10】
請求項7に記載のAMOLED電源電圧降下の補償方法において、
前記AMOLED電源電圧降下の補償方法が、OVDD単一方向駆動AMOLED表示装置か、又はOVDD両方向駆動AMOLED表示装置に応用される
ことを特徴とするAMOLED電源電圧降下の補償方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスプレー技術に関し、特にAMOLED電源電圧降下の補償方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス表示装置(Organic Light−Emitting Display,OLED)は、電場で励起有した有機半導体発光材料に荷電粒子を注入し複合することで発光する現象を応用したものであって、その発光の原理はインジウムスズ金属酸化物(Indium Tin Oxides,ITO)を利用し、透明電極と金属電極とをそれぞれデバイスのプラス極とマイナス極とにし、一定の電圧で駆動し、電子と正孔とをそれぞれプラス極とマイナス極から電子と正孔との伝送層へ注入し、かつ電子と正孔とをそれぞれ電子と正孔との伝送層から発光層に移動させ、発光層において結合させて励起子を形成することで発光分子を励起し、さらに放射を緩和して可視光線を放出する。
【0003】
OLEDは、さらに薄く、さらに軽く、能動的に発光する(バックライト光源を必要としない)、反応速度が速い、消費電力が小さい、使用温度の範囲が広い、耐震能力が強い、製造コストが低い、フレキシブル・ディスプレーを実現するなどの長所を有する。
【0004】
OLEDは、駆動方式によってパッシブマトリクス駆動と、アクティブマトリクス駆動との二種類に大別することができる。即ち、直接アドレッシングと、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor,TFT)マトリクスの二種類である。アクティブマトリクス駆動(Active Matrix,AM)方式は、AMOLEDの内のそれぞれの発光素子が、いずれもTFTアドレッシングによって独立して制御される。発光素子とTFTアドレッシングとによってなる画素の構造は、電源信号線を介して直流電源信号(OVDD)を印加することで駆動する。
【0005】
然しながら、大サイズのAMOLED表示装置において、バックボード電源信号線に一定の電気抵抗が存在することは不可避である。しかもすべての画素の駆動電流はOVDDから提供される。よって、OVDDの位置に近い領域の電源電圧は、OVDDの位置から離れた領域の電源電圧よりも高くなる。係る現象をIRドロップ(IR Drop)と称する。OVDDの電圧と電流に関連することから、IRドロップは異なる領域において電流の差異を生じさせる。ここから表示の際の輝度のむらを招く。
【0006】
目下、AMOLEDの補償方法には、内部補償と外部補償とがある。AMOLED内部補償はTFTの閾値電圧(Vth)か、又はチャネル移動度(μ)について補償を行う。但し、IRドロップを保証することはできない。外部補償は光学補償と電気的補償とに分けられる。電気的補償はTFTの駆動とOLEDの閾値電圧についてのみ補償を行い、IRドロップを保証することはできない。高額補償はIRドロップに対して補償を行うことができるものの、リアルタイム補償を行うことはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、大サイズAMOLED表示装置において、IRドロップによって起きる輝度のむらを改善するAMOLED電源電圧降下の補償方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述する課題を解決するために、この発明によるAMOLED電源電圧降下の補償方法は、次に掲げるステップを含む。
【0009】
ステップ1においてAMOLEDのCOF端からパネルの一列毎の発光素子の輝度値(L)を測定する。
【0010】
ステップ2において該ステップ1で測定したパネルの一列毎の発光素子の輝度値(L)に基づいて、IRドロップによってそれぞれの列の発光素子に発生する輝度の変化の曲線を描く。
【0011】
ステップ3において輝度差(ΔL)と電圧差(ΔV)との間の比例に基づき関係を転換し、即ち、ΔV=α・ΔLであって、かつ該αが比例の因子の一つであって、隣り合う2列毎の発光素子の間の輝度値の階差から、隣り合う2列毎の発光素子の間で補償する必要のある電圧値を計算する。
【0012】
第1列発光素子に対して第2列が補償を必要とする電圧値は第1補償値(ΔV1)であって、第2列発光素子に対して第3列が補償を必要とする電圧値を第2補償値(ΔV2)とし、最後の一列に至るまで、以上を以て類推する。
【0013】
ステップ4において、タイムコントロールレジスタがデータ電圧信号を送信して画面に表示する場合、第1列発光素子のデータ電圧は補償せず、第2列発光素子のデータ電圧には第1補償値(ΔV1)を加え、第3列発光素子のデータ電圧には、第1と第2補償値との和(ΔV1+ΔV2)を加え、最後の1列に至るまで以上を以て類推する。
【0014】
該ステップ2における輝度の変化の曲線が、発光素子の存在する列が長くなるにつれて、測定したそれぞれの列の発光素子の輝度値がより一層低くなる。
【0015】
前記ステップ3において採用する演算方法が次に掲げる数1のとおりである。
【0016】
【数1】
【0017】
数式中ΔV n-1が、第n列と第n−1列発光素子が補償を必要とする第n−1電圧値であって、ΔLn-1が、第n列発光素子の輝度Lnと第n−1列発光素子の輝度Ln-1の輝度との階差であり、かつnが1より大きい正の整数である。
【0018】
前記ステップ4において採用する演算方式が次に掲げる数2のとおりである。
【0019】
【数2】
【0020】
数式中Vnが、第n列発光素子が最終的に必要とする電圧を表し、かつVdataがデータ電圧を表すとともに、nが1より大きい正の整数である。
【0021】
該AMOLED電源電圧降下の補償方法において、補償を必要とする電圧値を直接データ電圧に加え、余剰の補償回路を必要としない。
【0022】
該ステップ3において得た隣り合う2列毎の発光素子の間で補償する必要のある電圧値は記憶素子に保存する。
【0023】
該AMOLED電源電圧降下の補償方法が、OVDD単一方向駆動AMOLED表示装置か、又はOVDD両方向駆動AMOLED表示装置に応用される。
【発明の効果】
【0024】
この発明によるAMOLED電源電圧降下の補償方法は、IRドロップによって引き起こされる輝度の差を電圧差に転換し、かつ1列毎のデータ電圧に対して相応の補償を行うことで、大サイズAMOLED表示装置において.IRドロップによって輝度のむらが生じるという問題を解決する。さらには演算の複雑性が低く、余剰の回路を必要としないことから、回路の面積を減少することができ、開口率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明によるAMOLED電源電圧降下の補償方法を示したフローチャートである。
図2】この発明によるAMOLED電源電圧降下の補償方法を応用したOVDD単一方向AMOLED表示装置を示した説明図である。
図3図2に開示するOVDD単一方向AMOLED表示装置の輝度の変化を曲線で示した説明図である。
図4】この発明によるAMOLED電源電圧降下の補償方法を応用したOVDD両方向AMOLED表示装置を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明における技術手段とその効果を詳述するために、図面を参照して、優先的に実施する実施例を挙げて如何に説明する。
【実施例】
【0027】
図1に開示するように、この発明によるAMOLED電源電圧降下の補償方法は、次に掲げるステップを含む。
【0028】
ステップ1において、チップオンフィルム端(Chip On Film,COF)からパネルの一列毎の発光素子の輝度値Lを測定する。
【0029】
図2に、この発明によるAMOLED電源電圧降下の補償方法を応用したOVDD単一方向駆動AMOLED表示装置を開示する。図面に開示するOVDD単一方向駆動AMOLED表示装置は、表示パネル1と、OVDD電源線2と、Xボード(Xboard)3と、COF端4とを含む。図2を参照して説明すると、前記ステップ1においてパネルの一列毎の発光素子の輝度値Lを測定する場合は、COF端4から始まり、OVDD電源線2の配線方向に沿って左から右に向かって、一列毎の発光素子の輝度値を測定する。
【0030】
ステップ2において、ステップ1で測定したパネルの一列毎の発光素子の輝度値Lに基づいて、IRドロップによってそれぞれの列の発光素子に発生する輝度の変化の曲線を描く。
【0031】
図3は、図2に対応したOVDD単一方向駆動AMOLED表示装置の輝度の変化を表した曲線である。図示のX軸は測定した発光素子の列の数であって、Y軸は輝度値Lである。図3から明らかなように、発光素子の存在する列が長くなるにつれて、OVDD電源線2の長さが継続的に延長することにより、IRドロップの影響を受けて、測定したそれぞれの列の発光素子の輝度値はより一層低くなる。
【0032】
ステップ3において、輝度差ΔLと電圧差ΔVとの間の比例に基づき関係を転換する。即ち、「ΔV=α・ΔL」である。ここにおける「α」は比例の因子の一つである。隣り合う2列毎の発光素子の間の輝度値の階差から、隣り合う2列毎の発光素子の間で補償する必要のある電圧値を計算する。
【0033】
具体的には、第1列発光素子に対して第2列が補償を必要とする電圧値は第1補償値ΔV1であって、第2列発光素子に対して第3列が補償を必要とする電圧値を第2補償値ΔV2とし、最後の一列に至るまで、以上を以て類推する。
【0034】
即ち、次に掲げる数1が成り立つ。
【0035】
【数1】
【0036】
数1における「ΔV n-1」は、第n列と第n−1列発光素子が補償を必要とする第n−1電圧値であって、「ΔLn-1」は、第n列発光素子の輝度「Ln」と第n−1列発光素子の輝度「Ln-1」の輝度との階差である。「n」は1より大きい正の整数である。
【0037】
ステップ3において得た隣り合う2列毎の発光素子の間で補償する必要のある電圧値は記憶素子に保存する。
【0038】
ステップ4において、タイムコントロールレジスタ(Time Controller Register、TCOM)がデータ電圧信号を送信して画面に表示される場合、第1列発光素子のデータ電圧は補償しない。第2列発光素子のデータ電圧には第1補償値ΔV1を加える。第3列発光素子のデータ電圧には、第1と第2補償値との和(ΔV1+ΔV2)を加え、最後の1列に至るまで以上を以て類推する。即ち、次に掲げる数2のとおりである。
【0039】
【数2】
【0040】
数2における「Vn」は、第n列発光素子が最終的に必要とする電圧を表し、「Vdata」は、データ電圧を表す。「n」は1より大きい正の整数である。
【0041】
ステップ4では1列毎の発光素子が必要とする補償電圧をデータ電圧に加える。よって、余剰の補償回路を必要とせず、このため回路の面積を減少させ、開口率を高めることができる。
【0042】
上述する4つのステップを経て、1列毎の発光素子に電圧の補償が行われ、AMOLEDの電圧降下を効率よく達成することができ、大サイズのAMOLED表示装置において、IRドロップによって引き起こされる表示輝度にむらが出るという問題を解決することができる。
【0043】
図4は、この発明によるAMOLED電源電圧降下の補償方法を応用したOVDD両方向駆動AMOLED表示装置を示した説明図である。図2に開示する。OVDD単一方向駆動AMOLED表示装置に比して、図4に開示するOVDD両方向駆動AMOLED表示装置は、第2Xボード3'と第2COF端4'とを追加し、双方向の走査駆動を採用している。順方向に走査駆動する場合はXボード3とCOF端4を応用する。このため上述するステップ1は左から右に1列毎の発光素子の輝度値を測定する。発光素子の存在する列の数は左から右へと長さが増す。逆方向に走査駆動する場合は第2Xボード3'と第2COF端4'とを応用する。このため上述するステップ1は右から左に1列毎の発光素子の輝度値を順に測定する。発光素子の存在する列の数は右から左へと長さが増す。他のステップは同一であって、変わらない。よって、その他については詳述しない。
【0044】
以上をまとめると、この発明によるAMOLED電源電圧降下の補償方法は、IRドロップによって引き起こされる輝度値の差を電圧値の差に転換し、かつ1列毎の発光素子のデータ電圧に対して相応の電圧を補償することで、大サイズAMOLED表示装置においてIRドロップによって輝度のむらが引き起こされるという問題を解決するとともに、演算の複雑性が低いことから、余剰の回路を必要とせず、回路の面積を減少させて、開口率を高めることができる。
【0045】
以上述べた内容について、当業者であればこの発明の技術プランと技術思想に基づいてその他各種の対応する変更、改変を想到することができる。但し、これら変更、改変は、いずれもこの発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0046】
1 表示パネル
2 OVDD電源線
3 Xボード
3' 第2Xボード
4 COF端
4' 第2COF端
L 輝度値
図1
図2
図3
図4