(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の移動手段と前記第2の移動手段の一方から他方へ敷板を移動できるように、該移動手段がそれぞれ設けられている、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の敷板用洗浄機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この敷板は、通常、工事現場等での使用後に回収し、洗浄した後に再利用されるが、工事現場等で敷かれて泥まみれになって帰ってきた大量の敷板の洗浄が問題となっている。
【0004】
工事現場等で用いられる敷板のほとんどは大サイズ・大重量であり、例えば、1枚39キロ、長さ2.4メートルといった敷板が広く用いられている。この大サイズ・大重量の敷板を、従来では1枚1枚、表裏と人力でひっくりかえして洗浄しているため、洗浄にかかる時間や人件費のほか、作業員の腰痛など健康面でも問題があった。
【0005】
このような問題点を解決すべく、洗浄機の開発が試みられているが、いまだかつてどの企業も、コストパフォーマンスにすぐれた洗浄機を開発できていない。
【0006】
そこで、上述した問題点に鑑み、本発明の目的は、工事現場などの各種作業現場で用いられる敷板を省力・短時間で効率よく洗浄することを可能にする洗浄機であって、低コストで製造可能な洗浄機を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、工事現場などの各種作業現場で用いられる敷板を省力・短時間で洗浄することを可能にする敷板洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、洗浄対象である敷板を移動可能にする第1の移動手段と、前記敷板を移動可能にする第2の移動手段と、第1の移動手段から第2の移動手段に向かう経路の途中に設けられた洗浄液噴射手段と、を具備する敷板用洗浄機によって達成される。
【発明の効果】
【0008】
<第2のローラーコンベアを回転可能にすることの効果>
第2のローラーコンベアとともに敷板を一体回転させることで、敷板洗浄後の水切りが容易になる。なお、従来方法による洗浄の場合、洗浄時の汚水が敷板の上に貯まってしまうという問題がある。
また、第2のローラーコンベアとともに敷板を反転させる(ひっくり返す)ことで、敷板の下面側の洗浄結果・洗浄具合を容易に確認できる。なお、従来方法による洗浄の場合、大重量・大サイズの敷板を人力だけでひっくり返すので、洗浄時の安全性・作業性に問題がある。
また、洗浄後の敷板をパレットに積み重ねる際に、(たとえば敷板すべて山型模様の面を下にするなど)敷板の表面と裏面の向きを統一することが容易になり、その結果、洗浄後すぐにレンタルもしくは収納できる。なお、敷板を現場ですぐに敷設できるように、敷板の表裏の向きを予め統一した状態で提供することが強く求められている。
【0009】
<キャスターにより洗浄液噴射装置を移動可能にすることの効果>
キャスターなどの移動手段を設けた事で洗浄機のどこでも洗浄液噴射装置の移動が可能になり、敷板の一部分のみを集中的に洗いたい様な場合でも簡単かつ迅速に対応できる。
また、裏面を確認して汚れが取れていない部分があった場合、洗浄液噴射装置を移動できるのでいちいち重い敷板を移動させる必要がないので、効率的な洗浄が可能になる。
【0010】
<噴射ノズルを移動可能にすることの効果>
ノズルが動くことによって少ないノズル数で全面を洗浄できるので、使用水量が減る。したがって、省資源・低コストでの洗浄が可能になる。
また、敷板洗浄の際の使用水量を減らすことで、レンタル会社などが所有する一般的なポンプが利用できる。
また、裏面を確認して汚れが取れていない部分があった場合、ノズルを移動できるのでいちいち重い敷板を移動させる必要がない。
【0011】
<回転調節式ノズルを採用することの効果>
回転ノズルを使うと噴射範囲が広がるので効率的な洗浄ができることになり、その結果装備すべきノズルの数を減らすことができ、結果的に洗浄に必要となる水量を軽減できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(添付図面が示す特徴の概要)
はじめに、添付図面に示された敷板用洗浄機の主な特徴について説明する。
図3には、本発明の第1実施形態に係る敷板用洗浄機の構成が示されている。また、
図4及び
図5には、主として次の特徴が記載されている。
【0014】
<第2のローラーコンベアを回転可能にする特徴>
図4(a)は、第2のローラーコンベア(第2の移動手段/搬送手段)の全体が、軸を中心に回転する仕組みを示している。
図4(b)は、上部ローラー(上面側ローラー)と下部ローラー(底面側ローラー)の間にプラスチック敷板をすべりこませる様子を示している。
図4(c)は、第2のローラーコンベアが使用していない時に回転しないよう、安全のための留具(回転防止部材)を具備する事を示している。
【0015】
<キャスターにより洗浄液噴射装置を移動可能にする特徴>
図4(d)は、噴射ノズルが設けられたアーチ部の両端の脚部下端に、キャスターを設けた事を示している。このキャスターにより洗浄液噴射装置が、敷板の移動方向(敷板縦方向)に沿って移動可能になる。洗浄液噴射装置の移動方法は、手動でもよく電動でもよい。
【0016】
<噴射ノズルを移動可能にする特徴>
図4(e)は、アーチ部に取り付けた噴射ノズルそのものが、矢印の方向(敷板横方向)に沿って移動することを示している。噴射ノズルの移動方法は、手動でもよく電動でもよい。
【0017】
<回転調節式ノズルに関する特徴>
図4(f)は、回転調節式ノズルからなる噴射ノズルを示している。このような回転調節式ノズルを洗浄液噴射装置に採用することで、噴射範囲が広がり効率的な洗浄ができる。
【0018】
以下、添付図面に基づいて本発明の具体的実施形態について説明する。
【0019】
(敷板用洗浄機の構成)
本発明の敷板用洗浄機は、例えば
図1や
図2に示されるようなプラスチック製の敷板の洗浄に用いられる。なお、本発明の洗浄機による洗浄対象は、必ずしもプラスチック製の敷板に限定されず、その他の材料からなる敷板の洗浄にも適用することができる。
【0020】
この敷板用洗浄機は、
図3及び
図4に示すとおり、
・ 複数の脚部を具備する外側フレームと、
・ 敷板の移動を可能にする第1のローラーコンベア(第1の移動手段/搬送手段)と、
・ 敷板の移動を可能にする第2のローラーコンベア(第2の移動手段/搬送手段)と、
・ 第1のローラーコンベアから第2のローラーコンベアに向かう経路の途中に設けられた上下の洗浄液噴射装置(洗浄液噴射手段)と、
・ 移動可能に設けられた上側の洗浄液噴射装置をガイドするガイド部材と、
を具備する。
【0021】
矩形の外側フレームは6本の脚部を有している。第1のローラーコンベアと第2のローラーコンベアは、この外側フレームの内側に設けられている。
【0022】
第1のローラーコンベアと第2のローラーコンベアは、
図5に示すとおり、該ローラーコンベアの一方から他方へ敷板を、滑らせるような感じで移動(搬送)できるように設けられている。また、第1のローラーコンベアと第2のローラーコンベアとの間には、間隙が設けられている。これにより、下側の洗浄液噴射装置から噴射される洗浄液によって、洗浄対象の敷板の下面側を洗い流すことができる。
【0023】
なお、本実施形態では、敷板移動手段の一例としてローラーコンベアを挙げているが、移動手段としてベルトコンベアを採用してもよく、その他、敷板を滑動させることが可能なあらゆる手段(例えば単なる格子状構造や梯子状構造の部材なども可)を採用することも可能である。また、敷板移動手段を利用した敷板の移動は、本実施形態のような手動(手押し)でもよく、あるいは自動(ローラの電動回転)でもよい。
【0024】
敷板移動手段である第1のローラーコンベアは、
図3及び
図4の右側に示すとおり複数のローラーを含んで構成され、これらのローラーは、外側フレームに対して回転自在に設けられている。この第1のローラーコンベアの上に敷板を載せると、該敷板を滑らせるように簡単に移動させることができる。
【0025】
敷板移動手段である第2のローラーコンベアはその全体が、敷板移動方向の軸を回転軸として、360°または180°自在回転できるように設けられている。また、第2のローラーコンベアは、敷板を載せた状態で該敷板を落下させることなく反転できるように構成されている。つまり、第2のローラーコンベアは、敷板を抱きかかえたような状態で該敷板とともに一体回転するように構成されている。したがって本発明によれば、敷板を洗浄機に敷板を載せたままの状態で、該敷板を回転させたり、ひっくり返したりすることが可能になる。
なお、第2のローラーコンベアの回転方向は、必ずしも図示するような方向に限定されず、例えば、敷板移動方向に対して交差する方向の軸を回転軸として、回転可能にすることも可能である。
【0026】
第2のローラーコンベアは、内側フレームと、該内側フレームに対して回転自在に設けられた複数のローラーと、第2のローラーコンベア全体を回転させるための回転軸とを含んで構成されている。内側フレームは、外側フレームに対して回転自在に設けられている。つまり、外側フレームは、第2のローラーコンベアの内側フレームを回転自在に支えている。
【0027】
第2のローラーコンベアの内側フレームには、
図3及び
図4に示すとおり、
敷板の底面側と対向するように設けられた複数の下部ローラー(底面側ローラー)と、
敷板の上面側と対向するように設けられた複数の上部ローラー(上面側ローラー)と、
が回転自在に設けられている。
そして、下部ローラーと上部ローラーとの間には、敷板を滑り込ませるように進入させるためのスペースが確保されている。このスペースには、第1のローラーコンベアから移動してきた敷板の全体を収容することが可能である。
【0028】
上部ローラーと下部ローラーはそれぞれ、敷板を支えることができるように設けられている。図示する状態で、上部ローラー・下部ローラーの間のスペースに敷板を滑り込ませると、下部ローラーが敷板を移動可能に支える。この状態から第2のローラーコンベアを反転(敷板とともに一体回転)させると、上部ローラーが下側にきて敷板を支えることになる。
【0029】
第2のローラーコンベアの側には、
図3及び
図4に示すとおり、洗浄時の安全性を確保するための留具(回転防止部材)が設けられている。この留具は、第2のローラーコンベアの回転が不要なときに、内側フレームと外側フレームの双方を貫通するように取り付けられる。これにより、第2のローラーコンベアの回転が不要なときにその回転を妨げることができる。一方、第2のローラーコンベアの回転が必要なときには、図示する状態から留具を引き抜いて、内側フレームが自在に回転できるようにする。
【0030】
上側の洗浄液噴射装置は、
図3及び
図4に示すとおり、
・ 洗浄液を噴射するための噴射ノズルと、
・ 噴射ノズルが取り付けられる略コ字状のアーチ部と、
・ このアーチ部の両端にある脚部下端に設けられたキャスター(移動手段)と、
を具備している。
【0031】
下側の洗浄液噴射装置は、
・ 洗浄液を噴射するための噴射ノズルと、
・ 噴射ノズルが取り付けられるステーと、
を具備している。
【0032】
上下の噴射ノズルは、敷板の上面側と底面側に対して洗浄液を噴射する役割を担っている。なお本発明において、噴射ノズルは、
図3及び
図4に示すように必ずしも上下両方に設ける必要はなく、上下の一方にのみ噴射ノズルを設ける態様も採用可能である。
【0033】
アーチ部の脚部下端に設けられたキャスターは、
図3及び
図4の矢印に示すように、上側の洗浄液噴射装置を敷板縦方向に沿って移動可能にする役割を担っている。これにより、上側の洗浄液噴射装置を自在に動かすことが可能になり、(敷板を動かすことなく)敷板上面側の任意の位置に対して洗浄液を噴射することができる。
【0034】
外側フレームの長手側(長いフレーム部分の両側)の上面には、ガイド部材が設けられている。このガイド部材をフレーム上面に立設することで、該フレームの上面が上側洗浄液噴射装置のガイドレールとして機能するようになる。つまり、上側の洗浄液噴射装置は、ガイド部材に沿って、外側フレームの上を移動することができる。
【0035】
また、洗浄液噴射装置が具備するノズルは、
図3及び
図4の矢印に示すように、敷板の任意の位置に洗浄液を噴射することができるように、敷板横方向に沿って移動可能に設けられている。
【0036】
また、上下の噴射ノズルは回転調節式のノズルで構成され、洗浄液の噴射圧力や噴射圧力を自在に調節できるように設けられている。この回転式ノズルを採用することで、例えば、噴射圧力が高まってより広範囲に洗浄液を噴射することが可能になる。
【0037】
各噴射ノズルにはホースが接続されており、またこのホースは、洗浄液圧送用のポンプに接続されている。
【0038】
(敷板用洗浄機を使った敷板洗浄方法)
上記構成の敷板用洗浄機を使った敷板洗浄方法は、
図5に概略的に示されている。
【0039】
本発明の敷板洗浄方法は、主として、次の各工程を含んでいる。
(1)工事現場等で使用され回収されてきた汚れた敷板(洗浄対象)を、第1のローラーコンベアに載せる工程。なお、泥などが付着して汚れた敷板は、表面と裏面が不統一で返却されるのが通常である。
(2)敷板を第1のローラーコンベアから第2のローラーコンベアに向かって移動させる工程。なお、本実施形態では、ローラーコンベアの上に載せた敷板を手で押して移動させる。
(3)敷板の移動途中、移動前、移動後の少なくとも何れかのタイミングで、洗浄液噴射手段により敷板の片面または両面を洗浄する工程。なお、
図5では、敷板の移動途中で洗浄する様子が例示的に示されている。洗浄液には、水のほか、洗浄剤を含んだ水を利用することができる。
(4)洗浄液噴射手段により洗浄された敷板を、第2のローラーコンベアの上部ローラー・下部ローラーの間にすべり込ませる工程。
(5)敷板に付着した洗浄液が除去されるように、第2のローラーコンベアとともに敷板を一体回転させる工程。
(6)第2のローラーコンベアに至った敷板の上下方向の向き(表裏の向き)が、予め定めた向きと一致する場合に、該敷板を第2のローラーコンベアから降ろして、トレーに積み上げる工程。
【0040】
また、第2のローラーコンベアに至った敷板の表裏の向きが、予め定めた向きと一致しない場合に、該第2のローラーコンベアを回転させて敷板を反転させることも可能である。
【0041】
また、第2のローラーコンベアを回転させることによって敷板を反転させ、該敷板の反対面の洗浄具合を確認することも可能である。
【0042】
また、敷板の洗浄すべき部位に向かって洗浄液噴射装置を移動させることも可能である。
【0043】
また、敷板の洗浄すべき部位に向かって洗浄液噴射装置のノズルを移動させることも可能である。
【0044】
なお、本実施形態では、上下の両方に洗浄液噴射装置を設けて、敷板の両面を同時に洗浄しているが、洗浄液噴射装置を上下の一方だけに設けて、敷板の片側だけを洗浄することも可能である。
【0045】
(本発明の効果)
上述した本発明によれば、例えば次のような格別の効果が達成される。
【0046】
<第2のローラーコンベアを回転可能にすることの効果>
第2のローラーコンベアとともに敷板を一体回転させることで、敷板洗浄後の水切りが容易になる。なお、従来方法による洗浄の場合、洗浄時の汚水が敷板の上に貯まってしまうという問題がある。
また、第2のローラーコンベアとともに敷板を反転させる(ひっくり返す)ことで、敷板の下面側の洗浄結果・洗浄具合を容易に確認できる。なお、従来方法による洗浄の場合、大重量・大サイズの敷板を人力で持ち上げてひっくり返すので、洗浄時の安全性・作業性に問題がある。
また、洗浄後の敷板をパレットに積み重ねる際に、(たとえば敷板すべて山型模様の面を下にするなど)敷板の表面と裏面の向きを統一することが容易になり、その結果、洗浄後すぐにレンタルもしくは収納できる。なお、敷板を現場ですぐに敷設できるように、敷板の表裏の向きを予め統一した状態で提供することが強く求められている。
【0047】
<キャスターにより洗浄液噴射装置を移動可能にすることの効果>
キャスターなどの移動手段を設けた事で洗浄機のどこでも洗浄液噴射装置の移動が可能になり、敷板の一部分のみを集中的に洗いたい様な場合でも簡単かつ迅速に対応できる。
また、裏面を確認して汚れが取れていない部分があった場合、洗浄液噴射装置を移動できるのでいちいち重い敷板を移動させる必要がないので、効率的な洗浄が可能になる。
【0048】
<噴射ノズルを移動可能にすることの効果>
ノズルが動くことによって、少ないノズル数で全面を洗浄できるので、使用水量が減る。したがって、省資源・低コストでの洗浄が可能になる。
また、敷板洗浄の際の使用水量を減らすことで、レンタル会社などが所有する一般的なポンプが利用できる。
また、裏面を確認して汚れが取れていない部分があった場合、ノズルを移動できるのでいちいち重い敷板を移動させる必要がない。
【0049】
<回転調節式ノズルを採用することの効果>
回転ノズルを使うと噴射範囲が広がるので、効率的な洗浄ができることになり、その結果装備すべきノズルの数を減らすことができ、結果的に洗浄に必要となる水量を軽減できる。
【0050】
(むすび)
特許請求の範囲の記載の本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態を採用することも可能である。例えば、上述した第1実施形態の洗浄機を簡素化し、
図6及び
図7に示すような構成とすることも可能である。つまり、
図6や
図7に示すような実施形態も本発明の技術的範囲に属するものである。