(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トンネルの下部の幅方向における前記一方の端部側において、前記防水シートロール受台に載置される前記防水シートロールから引き出される前記防水シートを前記防水シート架台の外周面側に誘導する誘導ローラーが前記防水シート架台に設けられることを特徴とする請求項2記載の防水シートの敷設機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、防水シート敷設作業の効率化の観点から、特に特許文献1のようにシート架台を用いて防水シートを敷設する場合には、より幅広の防水シートを用いることが要求されている。例えば2.2m幅の不織布付の防水シートを5枚並列に並べて各シートの端部同士を重ねて溶着接合して形成された10.6m幅の防水シートのような幅広の防水シートが用いられている。斯様な幅広の防水シートは、直径150mmの紙製の芯管に巻き取って防水シートロールとされ、現場に搬送される。
【0006】
そして、
図10(a)に示すように、防水シートロール201の紙製の芯管203内に軸となる鋼管204を通し、鋼管204の両端部を軸受具205で受け、防水シートロール201から幅広の防水シート202を巻き出しながら、シート架台上に引っ張り上げることが行われている。
【0007】
しかしながら、10.6m幅シートでは軸となる鋼管204の長さが11mとなり、両端部を軸受具205、205で支持すると、鋼管204自体が撓んでしまう為、防水シートロール201も中央近傍が下方に撓み、シートの巻き出し作業が非常に困難となる。また、紙製の芯管203に巻かれた防水シートロール201は、
図10(b)に示すように、荷下ろし等で吊り具206で吊ったときに紙製の芯管203がバンド207のところで折れ曲がったり、現場に積み上げて保管している間に下段の防水シートロール201の紙管の芯管203が湿気等で弱くなって潰れたりすることがある。紙製の芯管203が折れ曲がったり、潰れた場合には芯管203に鋼管204を通すことができず、敷設作業ができなくなってしまう。
【0008】
この問題を回避する手段として、防水シートロール201の芯管203が折れ曲がらないように特殊な長尺荷下ろし治具を用いることや、防水シートロール201を積み上げずに保管することも考えられるが、特殊な荷下ろし治具の使用コスト、防水シートロール201の保管コストの増加で経済性が悪化してしまい、またトンネル施工現場では保管スペースも限られることから現実的には難しい。更に、仮に経済性、保管スペースの問題をクリアしたとしても、湿度による紙製の芯管203の弱体化の問題は残ってしまう。
【0009】
また、別の回避手段として、芯管203を強度の高いプラスチック製等にすれば、折れ曲がりや潰れる問題を解消することは可能であるが、別の問題として、廃棄物となるプラスチック製等の芯管の廃棄処理に大変な労力とコストを要することになる。
【0010】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、芯管のない防水シートロールを用いることを可能にし、低コスト、高効率で防水シートの敷設作業を確実に行うことを可能にする防水シートロール受台、防水シートの敷設機構及び敷設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の防水シートロール受台は、
トンネルの周面に略倣うように敷設される防水シートが引き出される防水シートロールが載置される防水シートロール受台であって、非動力で回転自在に軸支される送りローラーを有し、複数の前記送りローラーが、防水シートロールを載置可能で上方に凹の略弧状の仮想スロープを形成するように離間配置されている
と共に、前記送りローラーの軸方向と並行に延設されて前記防水シートロール受台を相互に連結する連結ロッドを保持するロッド保持部が設けられていることを特徴とする。
これによれば、防水シートロール受台の複数の送りローラーが防水シートロールの回転を外周面から補助し、防水シートロールの芯管の有無を問わずに防水シートロールの回転を補助することができる。従って、防水シートを敷設する際に芯管のない防水シートロールを用いることが可能となり、防水シートロールの荷下ろし、保管作業に芯管折れ曲がり防止用の特殊器具を用いる等の特別な配慮を行わずとも、低コスト、高効率で防水シートの敷設作業を確実に行うことが可能となる。また、芯管のない防水シートロールを用いることが可能となるから、防水シートロールの嵩張りが減った分だけトラックへの積載本数を増やして輸送コストを低減し、芯管のコストを低減することができると共に、芯管の折れ曲がりや潰れで防水シートロールを無駄にすることがなく、歩留まりの高い作業が可能となり、更に、芯管のない防水シートロールは保管時に楕円状に潰れるので、積上段数を多くする等で保管場所での保管本数を増やすことができる。更に、芯管のない防水シートロールを用いることが可能となるから、芯管の廃棄処理が全く不要となる。
また、連結ロッド及びロッド保持部で一体化した複数の防水シートロール受台で幅広の防水シートロールの回転を補助し、幅広の防水シートを安定して引き出すことができる。また、防水シートの幅や重さに合わせて自在に一体的に設ける防水シートロール受台の設置個数を調整することが可能となる。また、送りローラーは非動力で設けられることから、防水シートロール受台を複数設けても駆動同期させる調整作業は不要である。
【0012】
本発明の防水シートの敷設機構は、トンネルの周面に略倣う形状の外周面を有する防水シート架台と、前記トンネルの下部の幅方向における一方の端部近傍に設けられ、前記送りローラーの軸方向が前記トンネルの延長方向と略並行となるように設置される本発明の防水シートロール受台と、前記トンネルの下部の幅方向における他方の端部側から前記一方の端部側へと前記防水シート架台の外周に架け渡され、先端側が前記防水シートロール受台に載置される前記防水シートロールの巻き終わり端に取り付けられる牽引索と、前記牽引索を前記他方の端部側に引っ張るウィンチとを備
え、前記防水シートロール受台が前記トンネルの延長方向に間隔を開けて設けられ、前記連結ロッドが前記送りローラーの軸方向と並行に延設され、前記間隔を開けて設けられている複数の前記防水シートロール受台の前記ロッド保持部の各々で前記連結ロッドが保持されることを特徴とする。
これによれば、本発明の防水シートロール受台と同様の効果を奏すると共に、防水シートロールの芯管の有無を問わずに、トンネルの周面に略倣うようにして平滑に防水シートを展張することができる。
また、連結ロッド及びロッド保持部で一体化した複数の防水シートロール受台で幅広の防水シートロールの回転を補助し、幅広の防水シートを安定して引き出すことができる。また、防水シートの幅や重さに合わせて自在に一体的に設ける防水シートロール受台の設置個数を調整することが可能となる。また、送りローラーは非動力で設けられることから、防水シートロール受台を複数設けても駆動同期させる調整作業は不要である。
【0013】
本発明の防水シートの敷設機構は、前記トンネルの下部の幅方向における前記一方の端部側において、前記防水シートロール受台に載置される前記防水シートロールから引き出される前記防水シートを前記防水シート架台の外周面側に誘導する誘導ローラーが
前記防水シート架台に設けられることを特徴とする。
これによれば、防水シートロールから防水シートが引き出されて防水シート架台の外周面側に導かれる際に、防水シート架台の構成部品等と防水シートが接触して破損することを防止することができる。
【0014】
本発明の防水シートの敷設方法は、本発明の防水シートの敷設機構を用いて防水シートを敷設する方法であって、芯管無しで巻き始め端から巻かれた防水シートロールを前記防水シートロール受台に載置し、前記牽引索の先端側を前記防水シートロールの巻き終わり端に取り付け、前記ウィンチで前記牽引索を引っ張って前記防水シートロールから防水シートを引き出し、前記防水シート架台の外周面に略沿うように展張する工程を備えることを特徴とする。
これによれば、本発明の防水シートの敷設機構と同様の効果を奏すると共に、芯管のない防水シートロールをトンネルの周面に略倣うようにして平滑に展張することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、芯管のない防水シートロールを用いることが可能となり、低コスト、高効率で防水シートの敷設作業を確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による実施形態の防水シートロール受台を示す斜視図。
【
図2】
図1の防水シートロール受台に防水シートロールを載置した状態の側面図。
【
図3】本発明による実施形態の防水シートの敷設機構を示す断面説明図。
【
図4】離間配置された防水シートロール受台を示す斜視説明図。
【
図5】離間配置されて連結ロッドで連結された防水シートロール受台の正面図。
【
図6】実施形態の防水シートの敷設機構における防水シートロール受台の周辺を示す断面説明図。
【
図7】(a)〜(c)は地山にロックボルトを打設して二次覆工型枠を配置するまでの施工工程を示す説明図。
【
図8】実施形態の防水シートの敷設機構で敷設された防水シート、充填された充填材及びシート架台の一部を示す断面説明図。
【
図9】芯管のない防水シートロールを積み上げて保管している状態を示す斜視説明図。
【
図10】(a)従来例の防水シートロールの芯管に挿通された鋼管を軸受具で支持している状態を示す斜視説明図、(b)従来例の防水シートロールを吊り具で吊った状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施形態の防水シートロール受台、防水シートの敷設機構及び敷設方法〕
本発明による実施形態の防水シートロール受台1は、防水シート10aが引き出される防水シートロール10が載置されるものであり、
図1及び
図2に示すように、一対の側板11・11を有する。一対の側板11・11は、それぞれ上端面に弧状部111・111が形成されており、弧状部111は、正面側の上端が背面側の上端よりも低くなるようにして形成されている。一対の側板11・11は、弧状部111・111の高さを揃えるようにして所定間隔を開けて対向配置されている。
【0018】
一対の側板11・11の正面側と背面側には、略L字状の支持部材12が側板11・11間を架け渡すようにそれぞれ設けられ、側板11・11の端面に両端部を溶接等で固定されている。更に、一対の側板11・11の正面側と背面側における略L字状の支持部材12よりも上方位置には、細長板状の支持部材13が側板11・11間を架け渡すようにそれぞれ設けられ、側板11・11の端面に両端部を溶接等で固定されている。
【0019】
側板11の前端近傍の下部内面と後端近傍の下部内面には、それぞれ支持脚14が溶接等で固定されており、離間して固定されている一対の側板11・11の全体で、四隅の下部から突出するように4個の支持脚14が設けられている。
【0020】
正面側の支持部材13には、前方に突出するクランプ状のロッド保持部15が設けられ、背面側の支持部材13には、後方に突出するクランプ状のロッド保持部15が設けられており、略弧状の把持部を閉じてネジ留め或いはボルト締めすることにより、挿入される連結ロッド6を保持するようになっている。連結ロッド6は、間隔を開けて配置される複数の防水シートロール受台1を相互に連結する際に用いられ、後述する送りローラー16の軸方向と並行に延設され、正面側のロッド保持部15に、若しくは背面側のロッド保持部15に、若しくは正面側と背面側のロッド保持部15の双方に、挿入するようにして設けられる(
図4、
図5参照)。
【0021】
尚、図示例では各支持部材13に設けられるロッド保持部15を2個としたが、単数若しくは3個以上の複数とすることも可能であり、例えばより幅広の把持部を有するクランプ状のロッド保持部15を単数で設けてもよい。また、ロッド保持部15は、クランプ状に限定されず、連結ロッド6を保持可能な構成であれば適宜である。また、ロッド保持部15は、防水シートロール受台1の正面側若しくは背面側の一方にのみ設ける構成とすることも可能である。
【0022】
一対の側板11、11の間には、複数の送りローラー16が非動力で回転自在に軸支され、相互に間隔を開けて並行に設けられている。送りローラー16の軸端部を側板11で回転可能に支持する構成は適宜であり、例えば側板11の内面に形成された有底凹部に軸端部を嵌める、若しくは側板11に形成された貫通孔に軸端部を挿通する、若しくは側板11に形成された貫通孔に軸端部を挿通し、側板11の外側で軸端部にナット等の環状部材を外周に固定して抜け止めする構成等とすることが可能である。
【0023】
複数の送りローラー16は、防水シートロールを載置可能で上方に凹の略弧状の仮想スロープを形成するように離間配置されており、各送りローラー16の一部が、一対の側板11・11の弧状部111・111から内側に突出するようにして設けられている。この各送りローラー16の突出部分にて載置される防水シートロール10を支持することで、載置された防水シートロール10が側板11・11に接触しないようになっている。
【0024】
上記防水シートロール受台1を用いて防水シート10aの敷設機構を構成する際には、例えば
図3及び
図6に示すように、防水シートロール受台1、防水シート架台2、牽引索3、ウィンチ4、誘導ローラー5とから構成する。本例は、トンネル掘削面から地山101にロックボルト103が放射状に打設されていると共に、トンネル掘削面を覆うように内側に吹付コンクリート102が設けられ、吹付コンクリート102の内側に離間して防水シート10aを展張して敷設する場合の敷設機構である。
【0025】
本敷設機構では、トンネルの周面に略倣う形状の外周面を有する防水シート架台2の外周面が、吹付コンクリート102の内周面から離間するように配置され、更に防水シート架台2の外周面が吹付コンクリート102の内周面に略倣うように配置される。防水シート架台2は、内側の架台支持フレーム21と架台支持脚22で支持される。
【0026】
防水シートロール受台1は、トンネルの下部の幅方向における一方の端部近傍に設けられ、送りローラー16の軸方向がトンネルの延長方向と略並行となるように設置される。本例では、複数の防水シートロール受台1がトンネルの延長方向に間隔を開けて設けられており、単独で一体的な管状若しくは棒状の連結ロッド6が送りローラーの軸方向と並行に延設され、複数の防水シートロール受台1の正面側のロッド保持部15の各々で連結ロッド6が保持されている(
図4、
図5参照)。連結ロッド6の長さは、トンネルの延長方向に間隔を開けて設置する防水シートロール受台1の個数や間隔に対応して適宜調整することが可能である。
【0027】
牽引索3は、トンネルの下部の幅方向における他方の端部側から、防水シートロール受台1が配置されている一方の端部側へと防水シート架台1の外周に架け渡されるように設けられ、先端側が防水シートロール受台1に載置される防水シートロール10の巻き終わり端に取り付けられる。牽引索3の先端側を取り付ける構成は防水シート10aを破損させずに牽引できるように取り付ける構成であれば適宜であり、例えば
図4に示すように防水シート10aの巻き終わり端を挟持する取付具31を介して取り付け、取付具31を巻き終わり端を挟み込むように取り付け、取付具31を先端部分で分岐した牽引索3で牽引するようにしてもよい。尚、牽引索3は、防水シートロール10から防水シート10aを引き出すように牽引可能な索体であれば適宜であり、例えば所要強度を有するワイヤ、チェーン、ロープ或いは帯体等とすることが可能である。
【0028】
牽引索3の基端側は、トンネルの下部の幅方向における他方の端部側に配置されるウィンチ4に取り付けられ、ウィンチ4を駆動することにより、防水シート架台1の外周に架け渡されている牽引索3を他方の端部側に引っ張り、牽引索3の先端側に取り付けられている防水シート10aを他方の端部側に引っ張ることが可能になっている。ウィンチ4、牽引索3による防水シート10aの牽引により、防水シートロール10は防水シートロール受台1の送りローラー16上で送りローラー16の回転による補助で回転し、防水シート10aがスムーズに引き出されていく。
【0029】
更に、本例の敷設機構では、トンネルの下部の幅方向における一方の端部側において、防水シートロール受台1に載置される防水シートロール10から引き出される防水シート10aを、防水シート架台2の外周面側に誘導する誘導ローラー5が設けられる。誘導ローラー5は、防水シートロール受台1から離間した位置で防水シート架台2の外周面より下方の位置に防水シート10aの移動に応じて回転可能に設けられ、図示例では、防水シート架台2に固定されている支持体に軸支されている。
【0030】
また、図示例の防水シート10aが引き出される防水シートロール10は、芯管がなく巻き始め端から巻き終わり端まで防水シート10aが巻き込まれたものである。また、本例の防水シート10aは、防水シート本体と不織布が積層されたものであり、その幅は防水シート架台2の幅に対応して例えば10.6m幅とされる。この防水シート10aは、不織布側がトンネル掘削面側或いは吹付コンクリート102側となるように防水シートロール10から引き出され、防水シート架台2の外周面にて、不織布側をトンネル掘削面側或いは吹付コンクリート102側となるようにして展張される。
【0031】
本例の防水シートロール10は、芯管がないことから芯管の潰れないように管理する必要が無く、又、
図9に示すように、保管場所に積み上げたときに防水シートロール10が扁平になるので積み上げた際の高さ、容積が少なくなる。また、芯管がない分、同一長さの防水シート10aを芯管を用いてロールにする場合に比べ、個々の防水シートロール10の容積も小さくすることができる。
【0032】
次に、本敷設機構によって防水シート10aを展張、固定して敷設する工程例について説明する。まず、
図7(a)に示すように、トンネル掘削面を覆うように内側に吹付コンクリート102を設けると共に、吹付コンクリート面から地山101にロックボルト103を放射状に打設する。その後、
図3〜
図6に示すように、複数の防水シートロール受台1を連結ロッド6で連結して設置し、防水シートロール受台1の送りローラー16上に芯管無しで巻き始め端から巻かれた防水シートロール10を載置すると共に、防水シート架台2、牽引索3、ウィンチ4、誘導ローラー5を配置し、牽引索3の先端側を防水シートロール10の巻き終わり端に取り付ける。そして、ウィンチ4を駆動して牽引索3を引っ張って防水シートロール10から防水シート10aを引き出し、防水シート10aを防水シート架台2の外周面に沿うようにして展張する。
【0033】
その後、
図6に示すトンネルの下部の幅方向における両端部の吹付コンクリート102に取り付けられているエアバルク7と、
図8に示す防水シート架台1のトンネル掘進方向の先端部の褄部23に設けられているエアバルク7aをエア供給して膨らませ、エアバルク7、7aで展張した防水シート10aの下端部と吹付コンクリート102との間、防水シート10aの先端部と吹付コンクリート102との間を閉塞する。尚、展張された防水シート10aの後端部と吹付コンクリート102との間は、トンネル掘進方向の後側で既に敷設された防水シート10aの先端部に設けられたエアバルク7a或いは既敷設の防水シート10aの背面側に充填された充填材8で閉塞され、既設置のエアバルク7a或いは既充填の充填材8と当該箇所で連結される。尚、エアバルク7、7aはシート敷設作業時に傷付けられることがないように不織布71等で保護されている。
【0034】
そして、膨らませたエアバルク7、7aで漏出を防止するようにして、展張した防水シート10aと吹付コンクリート102との間の充填材充填用空間104にモルタル等の充填材8を充填する。充填した充填材8は、防水シート10aの不織布と吹付コンクリート102とに固着するようにして硬化し、展張した防水シート10aが展張状態を維持するようにして固定され、平滑に敷設される(
図7(b)、
図8参照)。尚、
図8の105は支保工、81は充填材8の注入管、82は充填材8の充填時に充填材充填用空間104からエアを排気する排気管である。
【0035】
その後、
図7(c)に示すように、敷設した防水シート10aの内方に二次覆工型枠9を設置し、二次覆工型枠9と敷設した防水シート10aとの間に二次覆工コンクリートを打設する。この際、必要に応じ、コンクリート補強鉄筋を建て込んで、トンネル構造を形成する。
【0036】
本実施形態によれば、防水シートロール受台1の複数の送りローラー16が防水シートロール10の回転を外周面から補助し、防水シートロール10の芯管の有無を問わずに防水シートロール10の回転を補助することができる。従って、防水シート10aを敷設する際に芯管のない防水シートロール10を用いることができ、防水シートロール10の荷下ろし、保管作業に芯管折れ曲がり防止用の特殊器具を用いる等の特別な配慮を行わずとも、低コスト、高効率で防水シート10aの敷設作業を確実に行うことが可能となる。
【0037】
また、芯管のない防水シートロール10により、防水シートロール10の嵩張りが減った分だけトラックへの積載本数を増やして輸送コストを低減し、芯管のコストを低減することができると共に、芯管の折れ曲がりや潰れで防水シートロール10を無駄にすることがなく、歩留まりの高い作業が可能となる。更に、芯管のない防水シートロール10は保管時に楕円状に潰れるので、積上段数を多くする等で保管場所での保管本数を増やすことができる。更に、芯管の廃棄処理が全く不要となる。
【0038】
また、防水シートロール受台1を相互に連結することにより、連結ロッド6及びロッド保持部15で一体化した複数の防水シートロール受台1で幅広の防水シートロール10の回転を補助し、幅広の防水シート10aを安定して引き出すことができる。また、防水シート10aの幅や重さに合わせて自在に一体的に設ける防水シートロール受台1の設置個数を調整することが可能となる。また、送りローラー16は非動力で設けられることから、防水シートロール受台1を複数設けても駆動同期させる調整作業は不要である。
【0039】
また、誘導ローラー5により、防水シートロール10から防水シート10aが引き出されて防水シート架台2の外周面側に導かれる際に、防水シート架台2の構成部品等と防水シート10aが接触して防水シート10aが破損することを防止することができる。
【0040】
また、本実施形態の敷設機構或いは敷設方法により、防水シートロール10の芯管の有無を問わずに、トンネルの周面に略倣うようにして平滑に防水シート10aを展張し、敷設することができる。
【0041】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明は、各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含むものであり、下記変形例も包含する。
【0042】
例えば上記実施形態では、芯管のない防水シートロール10の防水シート10aを防水シートロール受台1、敷設機構、敷設方法で展張、敷設する場合について説明したが、本発明の防水シートロール受1台、敷設機構、敷設方法は、芯管のある防水シートロールから防水シートを引き出して敷設する場合にも適用可能である。また、本発明で敷設する防水シートは、不織布と防水シート本体を積層したもの以外にも防水機能を有する適宜のシートとすることが可能である。
【0043】
また、上記実施形態では、トンネルのアーチ部に防水シート10aを施工する場合について説明したが、下側のインバート部に防水シート10aを敷設する場合にも、例えば防水シートロール受台1、牽引索3、ウィンチ4で構成される敷設機構で敷設することが可能である。また、使用する防水シートロール10の防水シート10aの長さはトンネル周方向における敷設長分とし、例えばアーチ部とインバート部を別々に施工する際には、アーチ部の長さ、インバート部の長さとする。
【0044】
また、本発明の防水シートロール受台は、防水シート10a等を防水シート架台2上に展張し、そのままの状態でシート背面と吹付コンクリート面102との間の隙間に充填材8を充填し、防水シート10a等を平滑に敷設する場合に適用は限定されず、例えば防水シート10a等を引き出し仮保持しておいて釘やディスクを用いて点止めしていく施工の場合にも適用することが可能である。