(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579806
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/14 20060101AFI20190912BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20190912BHJP
F25D 23/06 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
F25D21/14 R
F25D19/00 550F
F25D23/06 K
F25D21/14 E
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-114885(P2015-114885)
(22)【出願日】2015年6月5日
(65)【公開番号】特開2017-3143(P2017-3143A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】笹川 孝治
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 功博
【審査官】
五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−064200(JP,A)
【文献】
実開昭61−049284(JP,U)
【文献】
特開2001−124460(JP,A)
【文献】
特開2014−156958(JP,A)
【文献】
特開2003−343970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱箱体の内部に貯蔵空間が形成された冷蔵庫において、前記断熱箱体の側壁の外面下部に外方へ突出し前後方向に延びる突条と、前記断熱箱体の前方下部に設けられた受け皿とを備え、
前記受け皿が、前記断熱箱体より幅方向外方へ突出するとともに前記断熱箱体の前端より後方へ延びる水受部を備え、
前記突条は、前方に行くほど下方へ傾斜して設けられ、前記突条の下端が前記水受部の上方に位置している冷蔵庫。
【請求項2】
前記受け皿は、上下方向に貫通する手掛け孔を備える請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記受け皿の上面を覆うカバーを備え、前記カバーに通気孔が設けられている請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記断熱箱体は、背面底部に圧縮機と前記圧縮機へ送風する冷却ファンを収納する機械室と、前記機械室の底面に設けられた吸込口とを備え、前記冷却ファンの駆動により前記断熱箱体の下方の空気を前記吸込口から前記機械室へ取り込む請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
冷凍温度に冷却される冷凍室が前記貯蔵空間に区画され、
前記断熱箱体の側壁において前記冷凍室の側方を区画する位置、又はその位置より下方に前記突条が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記突条は前記側壁に着脱可能に固定される請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫は、外箱と内箱との間に形成された断熱空間に断熱材を設けた断熱箱体によって構成され、その断熱箱体の内部に貯蔵空間を形成しているが、外気と冷蔵庫内との温度差により断熱箱体の外面に生じる結露を防ぐため、外箱の断熱空間側に冷凍サイクルの一部を構成する放熱パイプや防露ヒータなどの熱源が設けられている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、冷蔵庫では、設置スペースに対する内容積の大容量化の要求が高く、断熱箱体の壁厚の薄肉化が進んでいることから、結露を防止するための熱源を断熱箱体の断熱空間へ配設しにくく、断熱箱体に結露が生じやすくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−57919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、万一、断熱箱体の外面に結露が生じても、生じた結露水が冷蔵庫の設置面まで流れ落ちることがなく設置面を水浸しにすることがない冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の冷蔵庫は、断熱箱体の内部に貯蔵空間が形成された冷蔵庫において、前記断熱箱体の側壁の外面下部に外方へ突出し前後方向に延びる突条
と、前記断熱箱体の前方下部に設けられた受け皿とを備え、前記受け皿が、前記断熱箱体より幅方向外方へ突出するとともに前記断熱箱体の前端より後方へ延びる水受部を備え、前記突条は、前方に行くほど下方へ傾斜して設けられ、前記突条の下端が前記水受部の上方に位置しているものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係る冷蔵庫の正面図である。
【
図3】
図1の冷蔵庫の冷凍サイクルを示す図である。
【
図5】扉を省略した
図1の冷蔵庫の前部を示す平面図である。
【
図7】本発明の変更例に係る冷蔵庫の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態について説明する。
【0009】
本実施形態に係る冷蔵庫1は、
図1及び
図2に示すように、前面に開口する断熱箱体2を備える。断熱箱体2は、鋼板製の外箱4と合成樹脂製の内箱6との間に形成された断熱空間7に真空断熱材や発泡断熱材等の断熱材を有して構成されている。断熱箱体2は内箱6の内側に複数の貯蔵空間が設けられており、具体的には、上段から順に、冷蔵室10、野菜室12が設けられ、その下方に製氷室14と小冷凍室16が左右に並べて設けられ、これらの下方に冷凍室18が設けられている。製氷室14内には、自動製氷装置が設けられている。
【0010】
冷蔵室10及び野菜室12は、いずれも冷蔵温度帯(例えば、1〜4℃)に冷却される貯蔵室であり、それらの間は、合成樹脂製の仕切壁13により上下に仕切られている。冷蔵室10の前面開口部には、ヒンジ8で枢支された回動式の断熱扉10aが設けられている。
【0011】
野菜室12の前面開口部には、引出し式の断熱扉12aが設けられている。この断熱扉12aの背面部には、貯蔵容器を構成する上下2段の収納ケース20が連結されている。
【0012】
製氷室14、小冷凍室16、及び冷凍室18は、いずれも冷凍温度帯(例えば、−10〜−20℃)に冷却される貯蔵室であり、野菜室12と製氷室14及び小冷凍室16との間は、内部に断熱材が設けられた断熱仕切壁22により上下に仕切られている。また、製氷室14、小冷凍室16、冷凍室18の前面開口部にも、引出し式の断熱扉14a、16a、18aが設けられており、各断熱扉14a、16a、18aの背面部に貯蔵容器24、28が連結されている。
【0013】
断熱箱体2の冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室10及び野菜室12)の奥部には、冷蔵冷却器室30及びダクト32が形成されている。冷蔵冷却器室30には、冷蔵冷却器52及び冷蔵ファン53が設けられており、冷蔵ファン53が、冷蔵冷却器52で冷却した冷蔵冷却器室30内の空気をダクト32を介して冷蔵室10及び野菜室12へ供給することで、これらの貯蔵室を冷却する。
【0014】
断熱箱体2の冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室14、小冷凍室16、冷凍室18)の奥部には、冷凍冷却器室34及びダクト36が設けられている。冷凍冷却器室34の内部には、冷凍冷却器54及び冷凍ファン55が設けられており、冷凍ファン55が、冷凍冷却器54で冷却した冷凍冷却器室34内の空気をダクト36を介して製氷室14、小冷凍室16、及び冷凍室18に供給することで、これらの貯蔵室を冷却する。
【0015】
冷蔵冷却器52及び冷凍冷却器54は、圧縮機56や凝縮器58とともに冷凍サイクル50を構成する。冷凍サイクル50は、
図3に示すように、高温高圧のガス状の冷媒を吐出する圧縮機56と、圧縮機56から吐出されるガス状の冷媒を受けて放熱液化する凝縮器58と、凝縮器58の出口側に設けられ冷媒流路を切り換える切替弁60と、冷蔵冷却器52及び冷凍冷却器54と、これらの冷却器52,54のための絞り手段としての冷蔵用減圧装置62及び冷凍用減圧装置64と、逆止弁66とを備え、これらを冷媒パイプによって配管接続することで、圧縮機56から吐出された冷媒を循環させて冷蔵冷却器52及び冷凍冷却器54を冷却する。
【0016】
冷凍サイクル50を構成する圧縮機56及び凝縮器58は、断熱箱体2の背面下部を上方に陥没させて形成した機械室38内に収納されている。具体的には、機械室38の幅方向一方側には、コンプ台68の上に防振ゴムを介して圧縮機56が載置されている。また、機械室38の幅方向他方側には、機械室38の前方を区画する前壁に沿って形成されたダクト70と、ダクト70の内部に収納された凝縮器58と、凝縮器58の後方に位置する放熱ファン72とが設けられている。そして、放熱ファン72の駆動により、庫外の空気が、断熱箱体2の前方から断熱箱体2の底面と冷蔵庫1の設置面との隙間を通って後方に流れ、機械室38の下方に開口する吸込口74からダクト70を介して機械室38へ取り込まれ、凝縮器58及び圧縮機56へ送風されこれらを冷却する。
【0017】
断熱箱体2の底面には、前側に設けられた左右一対の前足40と、後側に設けられた左右一対の後足41とが配され、断熱箱体2と床などの設置面との間に一定間隔の空間が設けられている。四隅に配された足のうち前方に位置する左右一対の前足40は、使用者によって高さが調節可能に設けられている。
【0018】
左右一対の前足40は、断熱箱体2の底面に固定され、断熱扉18aの厚さを越えない長さで断熱箱体2の底面から前方へ突出する左右一対の足取付部42と、設置面に当接する扁平な柱状をなした足部材44とを備える。左右一対の足取付部42には、足部材44に設けられた雄ねじが螺合するネジ孔が設けられており、足部材44を回転させることで断熱箱体2の高さ調整可能に設けられている。
【0019】
このような構成の冷蔵庫1では、断熱箱体2の左右の側壁の外面下部、好ましくは、断熱箱体2の左右の側壁において冷凍温度に冷却される冷凍室18の側方を区画する部分の下部又はその部分より下方に突条5が設けられている。突条5は、外箱4の左右の側板4aを外方へ突出変形させることで形成されている。突条5は、断熱箱体2の前後方向に沿って断熱箱体2の後端部から前端部まで外箱4の側板4aのほぼ全幅にわたって設けられている。この例では、突条5は前方に行くほど下方へ傾斜して設けられ、突条5の前端の下方に受け皿46が設けられている。
【0020】
受け皿46は、
図5及び
図6に示すように、上方に開口し下方に凹んだ皿状をなしており、左右一対の前足40の足取付部42と一体に設けられている。受け皿46は、左右一対の前足40の足取付部42を連結する連結部46aと、断熱箱体2より幅方向外方へ突出するとともに断熱箱体2の前端より後方へ延び外箱4の側板4aに設けられた突条5の前端の下方に位置する水受部46bと、連結部46aを上下方向に貫通する手掛け孔46cとが設けられている。
【0021】
左右一対の前足40及び受け皿46には、前足カバー48が取り付けられ、前足40及び受け皿46の上面及び前面を覆っている。前足カバー48は、受け皿46の前面又は上面に対向する位置に通気口48aが穿設されている。
【0022】
次の上記構成の冷蔵庫の作用について説明する。
【0023】
冷蔵庫1では、圧縮機56を駆動させて冷凍サイクル50の動作を開始するとともに、冷蔵ファン53及び冷凍ファン55を回転することで各貯蔵室に冷気を供給して冷却する。その際、外気と貯蔵室との温度差によって断熱箱体2の左右の側壁の外面に結露が生じると、側壁の外面を構成する外箱4の側板4aを伝って下方へ流れ落ちるが、側板4aの下部に設けられた突条5で下方へ流れ落ちる結露水が受け止められ、冷蔵庫1の設置面まで流れ落ちることがない。
【0024】
本実施形態では、突条5が前方に行くほど下方に傾斜して設けられているため、突条5で受け止められた結露水は、突条5の傾斜に沿って前方へ誘導され突条5の前端からその下方に配置された受け皿46の水受部46bへ流れ込み受け皿46で貯水されるため、結露量が多くなっても突条5から漏れ落ちて結露水が冷蔵庫1の設置面まで流れ落ちることがない。
【0025】
また、受け皿46には、連結部46aを上下方向に貫通する手掛け孔46cが設けられているため、手掛け部を断熱箱体2に別途設ける必要が無く部品点数を削減することができる。
【0026】
しかも、本実施形態では、前足40及び受け皿46を覆う前足カバー48に通気口48aが設けられており、外気が通気口48aを通って前足カバー48の内側へ流入するため、受け皿46に貯水された結露水が自然蒸発しやすくなる。特に、冷凍サイクル50の動作とともに放熱ファン72を回転することで、機械室38の下方の空気が吸込口74からダクト70に取り込まれ、ダクト70内部に設けられた凝縮器58を冷却しつつ後方へ流れ、機械室38内に設けられた圧縮機56を冷却するが、その際、外気が断熱箱体2の前方から断熱箱体2の底面と設置面との隙間を通って後方へ流れ吸込口74へ吸い込まれるため、受け皿46に貯水された結露水の自然蒸発を促進させることができる。
【0027】
また、本実施形態では、断熱箱体2において外気との温度差が大きく結露を起こしやすい冷凍室18の側方を区画する部分の下部又はその部分の下方に突条5が設けられているため、断熱箱体2の側壁に生じた結露水を確実に突条5で受け止めることができ、設置面が水浸しになるのを防ぐことができる。
【0028】
なお、上記した実施形態では、断熱箱体2の左右の側壁の外面下部に前後方向に沿って設けた突条5が、前方に行くほど下方へ傾斜させる場合について説明したが、
図7に示すように水平に設けてもよい。このように突条5を断熱箱体2の左右の側壁の外面下部に水平方向に沿って設けることでも、外箱4の側板4aを伝って下方へ流れ落ちる結露水を受け止めることができ、結露水が冷蔵庫1の設置面まで流れ落ちるのを防ぐことができる。
【0029】
また、上記した実施形態では、外箱4の左右の側板4aを外方へ突出変形させることで突条5を外箱4と一体に形成する場合について説明したが、例えば、突条5を外箱4と別体に設け、断熱箱体2の側壁外面に磁石などによって着脱可能に固定してもよい。このように突条5を断熱箱体2の側壁に対して着脱可能に固定する場合であると、不要な時に突条5を取り外して断熱箱体2の側壁を凹凸のないフラット平面にすることができ冷蔵庫の美観を向上させることができるとともに、清掃時に突条5を取り外すことで断熱箱体2の側壁や突条5を清掃しやすくなる。
【0030】
また、本実施形態では、前足40を構成する足取付部42と受け皿46とを一体に設ける場合について説明したが、受け皿46を足取付部42と別個に設けそれぞれ断熱箱体2の底面前部に取り付けてもよい。
【0031】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0032】
1…冷蔵庫、2…断熱箱体、4…外箱、4a…側板、5…突条、6…内箱、7…断熱空間、10…冷蔵室、12…野菜室、13…仕切壁、14…製氷室、16…小冷凍室、18…冷凍室、38…機械室、40…前足、42…足取付部、44…足部材、46…受け皿、46a…連結部、46b…水受部、46c…手掛け孔、48…前足カバー、48a…通気口、50…冷凍サイクル、52…冷蔵冷却器、54…冷凍冷却器、56…圧縮機、58…凝縮器、60…切替弁、68…コンプ台、70…ダクト、72…放熱ファン、74…吸込口