特許第6579811号(P6579811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579811
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】定量注出口装置および定量吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/06 20060101AFI20190912BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   B65D83/06 R
   B65D33/38
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-117899(P2015-117899)
(22)【出願日】2015年6月11日
(65)【公開番号】特開2017-1707(P2017-1707A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 文恵
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−146754(JP,U)
【文献】 実開昭58−102448(JP,U)
【文献】 特開平10−278947(JP,A)
【文献】 実公昭48−027482(JP,Y1)
【文献】 米国特許第05411186(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/38−83/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を定量に注出することが可能な定量注出口装置であって、
軸心方向の一端部が吐出口として開口されている筒状部と、
前記筒状部の内壁面から傾斜する姿勢で突出された複数の遮蔽板と、を有し、
隣り合う遮蔽板は、前記筒状部の内壁面における互いに対向する面から吐出口とは反対側の向きへ傾斜する姿勢で配設され、
遮蔽板同士の少なくとも先端部の位置が、前記筒状部の軸心方向に対して異なっており、
各遮蔽板は、前記筒状部の開口部における、前記筒状部の内壁面に続く接続部から先端部に至るまでの全幅を覆い、
吐出口に最も近接する遮蔽板の少なくとも一部が、粗面加工されていることを特徴とする定量注出口装置。
【請求項2】
前記粗面加工は、遮蔽板の少なくとも一部に、微細な凹凸部を形成することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の定量注出口装置。
【請求項3】
吐出口に最も近い遮蔽板を含む複数の遮蔽板の少なくとも一部が、粗面加工されていることを特徴とする請求項1または2に記載の定量注出口装置。
【請求項4】
粉粒体を定量に注出することが可能な定量注出口装置であって、
軸心方向の一端部が吐出口として開口されている筒状部と、
前記筒状部の内壁面から傾斜する姿勢で突出された複数の遮蔽板と、を有し、
隣り合う遮蔽板は、前記筒状部の内壁面における互いに対向する面から吐出口とは反対側の向きへ傾斜する姿勢で配設され、
遮蔽板同士の少なくとも先端部の位置が、前記筒状部の軸心方向に対して異なっており、
各遮蔽板は、前記筒状部の開口部における、前記筒状部の内壁面に続く接続部から先端部に至るまでの全幅を覆い、
前記筒状部の内壁面とこの内壁面に続く遮蔽板との接続部が湾曲して窪む形状で接続されていることを特徴とする定量注出口装置。
【請求項5】
各遮蔽板の先端部が、筒状部の軸心方向に見て軸心を通る直径方向に沿う位置に配設されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の定量注出口装置。
【請求項6】
各遮蔽板の先端部が、筒状部の軸心方向に見て軸心を通る直径方向に対して平行となる線に沿う位置に配設されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の定量注出口装置。
【請求項7】
吐出口に最も近接する遮蔽板は、筒状部の内壁面において吐出時に下方となる箇所から突出するように配設されている請求項1〜6の何れか1項に記載の定量注出口装置。
【請求項8】
遮蔽板は2つであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の定量注出口装置。
【請求項9】
当該定量注出口装置がスパウトであることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の定量注出口装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の定量注出口装置と、この定量注出口装置が装着される容器本体とを備えた定量吐出容器。
【請求項11】
筒状部の一端部に設けた吐出口が斜め上方に向く姿勢で、定量注出口装置が容器本体に装着されていることを特徴とする請求項10に記載の定量吐出容器。
【請求項12】
容器本体がパウチであることを特徴とする請求項10または11に記載の定量吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に収容した粉粒体を、定量に注出(吐出)することが可能な定量注出口装置および定量吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉粒体からなる内容物が容器の内部に収容され、この容器から一定量の粉粒体を吐出することができる定量吐出容器が、例えば特許文献1に開示されている。図12に示すように、この定量吐出容器80は、容器本体81と、この容器本体81の上部に装着された定量吐出部82とから構成されている。また、定量吐出部82には、上方に開口して容器からの抽出口となる開口筒体83が形成された底部材84と、この底部材84の周縁から上方に延びる外筒部85と、粉粒体の吐出口88が形成されているとともに定量吐出部82の上面を覆う天板部86と、定量吐出部82の外周をなすスカート部87と、粉粒体の吐出口88を開閉自在とされたキャップ89とが設けられている。
【0003】
そして、粉粒体fを吐出させる場合には、図13(a)に示すように、まず、定量吐出容器80を倒立させて、開口筒体83を通して粉粒体fを外筒部85に溜め、次に、図13(b)に示すように、定量吐出容器80を正立させて、外筒部85に溜められていた粉粒体fを、底部材84とスカート部87との間に溜め、この後、キャップ89を開けた状態で、図13(c)に示すように、定量吐出容器80を再度、倒立(傾斜)させて、吐出口88から粉粒体fを吐出させるよう構成されている(なお、図13(c)はキャップ89を開ける前の状態を示している)。
【0004】
また、他の定量吐出容器が、例えば特許文献2に開示されている。図14に示すように、この定量吐出容器90は、容器本体91と、この容器本体91に装着された円筒形状のキャップ92とからなり、キャップ92の内部には、キャップ92の下部内面より斜め上方に延びる第1の傾斜隔壁93と、この第1の傾斜隔壁93の中央部近傍箇所上方より、第1の傾斜隔壁93とは逆方向に斜め上方に延びる第2の傾斜隔壁94とが形成されている。また、第1の傾斜隔壁93の上端部とキャップ92の内部の上部隅部との間には、第1のオリフィス(隙間部)95が形成され、また、第1の傾斜隔壁93の中央部と第2の傾斜隔壁94の下端部との間には第2のオリフィス(隙間部)96が形成されている。さらに、第2の傾斜隔壁94の上端部は、キャップ92の内部の上部隅部に固着され、この固着箇所近傍のキャップ92の側面上部に、吐出口97が形成されている。
【0005】
この定量吐出容器90において、粉粒体fを吐出させる場合には、図15に示すように、まず、定量吐出容器90を倒立させて、第1のオリフィス(隙間部)95を通して粉粒体fを第1の傾斜隔壁93と第2の傾斜隔壁94との間のキャップ92の天面近傍箇所に溜め、次に、図16に示すように、定量吐出容器90を正立させて、第1の傾斜隔壁93の上方における吐出口97に臨む箇所に溜め、この後、定量吐出容器90を再度、倒立(傾斜)させて、吐出口97から粉粒体fを吐出させるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−301404号公報
【特許文献2】実開昭62−146754号公報
【特許文献3】特開2013−82492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記特許文献1に開示された従来の定量吐出容器80では、定量吐出部82の構造が極めて複雑であり、部品点数も多いため、製造コストが高価となってしまう難点がある。また、粉粒体fを吐出させる際には、定量吐出容器80の倒立動作(第1動作)、定量吐出容器80の正立動作(第2動作)、定量吐出容器80の再度の倒立(傾斜)動作(第3動作)の、合計3回の回動動作が必要となるため、この定量吐出容器80の利用者に対して、多くの手間をかけてしまう難点もある。
【0008】
これに対して、前記特許文献2に開示された従来の定量吐出容器90では、キャップ92の構造が簡単であるため、製造コストを安価に済ませることができる。しかしながら、内容物を排出する際には、定量吐出容器90の倒立動作(第1動作)、定量吐出容器90の正立動作(第2動作)、定量吐出容器90の再度の倒立(傾斜)動作(第3動作)の、合計3回の回動動作が必要となるため、この定量吐出容器90の利用者に対して、多くの手間をかけてしまう。
【0009】
また、前記特許文献1に開示された従来の定量吐出容器80や前記特許文献2に開示された従来の定量吐出容器90では、粉粒体fとして吸湿性が比較的大きい性質を有する場合、粉粒体fを湯気が出ている箇所などに吐出させた際に、粉粒体fが吐出箇所に付着して固着してしまい、吐出量が極めて少なくなったり、出なくなったりする不具合を生じるおそれがあった。
【0010】
前記不具合を解消するものとして、図17図18に示すように、粉粒体fを掻き取るスクレーパ片103を蓋104の内面に形成し、吐出口101に取り付けられた閉塞壁102に粉粒体fが付着した場合でも、この粉粒体fを前記スクレーパ片103で掻き取る構造が開示されている(特許文献3)。なお、図17は蓋104の底面図、図18は蓋104を容器に装着して粉粒体fを前記スクレーパ片103で掻き取る様子を示した平面断面図である。蓋104の中央部には下方に突出する支持柱105が一体形成され、さらにこの支持柱105の外周面に当角度間隔で4つのスクレーパ片103が一体形成されている。各スクレーパ片103は支持柱105の外周面から半径方向外方に円弧形状に、図18に示すように、蓋104を離脱せしめる際の回転方向に見て下流側が凹状である円弧形状(略風車形状)に、延出せしめられている。加えて、各スクレーパ片103は延出方向に向かって若干下方に漸次傾斜して延出せしめられている。
【0011】
この構成によれば、蓋104を回転させた際に、吐出口101に付着した粉粒体fを、スクレーパ片103により掻き取ることができるので、吐出量が極めて少なくなったり、出なくなったりする不具合を生じることを防止できる。
【0012】
しかしながら、前記スクレーパ片103は複雑な形状をしているため、このような複雑な形状のスクレーパ片103を製造するために、特殊な型を設けたり、製造工程を工夫したりすることが必要となったりして、ひいては製造コストが大幅に増加してしまう。また、吐出口101に粉粒体fが付着すること自体を防止するものではないため、蓋104を開けた際に、掻き取ったスクレーパ片103に付着した粉粒体fが大きな塊となって外部に落下するおそれがある。
【0013】
本発明は上記課題を解決するもので、製造コストを安価に済ませることができると同時に、粉粒体を少ない手間で吐出させることができ、しかも、吐出する箇所に粉粒体が付着し難い定量注出口装置および定量吐出容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の定量注出口装置の共通構成は、粉粒体を定量に注出することが可能な定量注出口装置であって、軸心方向の一端部が吐出口として開口され
ている筒状部と、前記筒状部の内壁面から傾斜する姿勢で突出された複数の遮蔽板と、を有し、隣り合う遮蔽板は、前記筒状部の内壁面における互いに対向する面から吐出口とは反対側の向きへ傾斜する姿勢で配設され、遮蔽板同士の少なくとも先端部の位置が、前記筒状壁部の軸心方向に対して異なっており、各遮蔽板は、前記筒状部の開口部における、前記筒状部の内壁面に続く接続部から先端部に至るまでの全幅を覆っていることを特徴とする
【0015】
この構成において、定量注出口装置を容器に装着し、粉粒体を収容した状態で容器ごと傾けると、吐出口とは反対側の向きへ傾斜する姿勢で配設された遮蔽板に粉粒体が徐々に溜まった後、複数の遮蔽板を乗り越えながら、遮蔽板同士の間の隙間を通って所定量の粉粒体だけが外部に吐出される。この後、遮蔽板によって堰き止められる粉粒体の量が増加して、その堰き止められた粉粒体の重量が遮蔽板近傍の粉粒体に作用して押圧されることで、狭い領域に粉粒体同士が密接して詰まった状態となって、遮蔽板同士の間の隙間からも粉粒体が吐出しなくなる。このようにして、定量の粉粒体が吐出される。
【0016】
また、本発明の定量注出口装置は、吐出口に最も近接する遮蔽板の少なくとも一部が、シボ加工などの粗面加工されていることを特徴とする。なお、吐出口に最も近い遮蔽板を含む複数の遮蔽板の少なくとも一部が、粗面加工されているよう構成してもよい。ここで、前記粗面加工は、遮蔽板の少なくとも一部に、微細な凹凸部を形成することにより行うことが好適である。
【0017】
この構成によれば、遮蔽板の少なくとも一部が粗面加工されているため、湯気が出ている箇所などに粉粒体を吐出させた際でも、粉粒体が遮蔽板に付着し難くなり、吐出量が極めて少なくなったり、出なくなったりする不具合を生じ難くなる。
【0018】
また、本発明の定量注出口装置は、前記筒状部の内壁面とこの内壁面に続く遮蔽板との接続部が湾曲して窪む形状(円弧形状)で接続されていることを特徴とする。この構成によれば、前記筒状部の内壁面とこの内壁面に続く遮蔽板との接続部が直線形状で接続されている場合と比較して、湯気が出ている箇所などに粉粒体を吐出させた際でも、粉粒体が筒状部の内壁面と遮蔽板との接続部に付着し難くなり、吐出量が極めて少なくなったり、出なくなったりする不具合を生じ難くなる。
【0019】
ここで、各遮蔽板の先端部を、筒状部の軸心方向に見て軸心を通る直径方向に沿う位置に配設したり、あるいは、筒状部の軸心方向に見て軸心を通る直径方向に対して平行となる線に沿う位置に配設したりする。これにより、比較的安定した吐出量で抽出することができる。
【0020】
なお、吐出口に最も近接する遮蔽板を、筒状部の内壁面において吐出時に下方となる箇所から突出するように配設すると好適であり、このように構成すると、より安定した量で吐出できる。
【0021】
また、遮蔽板は2つであると好適である。さらに、この注出口装置をスパウトで形成すると好適である。また、この定量注出口装置を容器本体に装着してなる定量吐出容器を構成してもよい。
【0022】
また、定量吐出容器として用いる場合に、筒状部の一端部に設けた吐出口が斜め上方に向く姿勢で、定量注出口装置を容器本体に装着していると好適である。つまり、このように、筒状部の吐出口が傾斜する姿勢で配設されていると、内容物である粉粒体を吐出させる際に、前記傾斜している側にさらに当該定量吐出容器を傾斜させて吐出させる動作を行う場合が多くなるため、より安定した量で粉粒体を吐出できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の定量注出口装置によれば、筒状部と複数の遮蔽板とを有し、隣り合う遮蔽板は、前記筒状部の内壁面における互いに対向する面から吐出口とは反対側の向きへ傾斜する姿勢で配設され、遮蔽板同士の少なくとも先端部の位置が、前記筒状部の軸心方向に対して異ならして配置することにより、定量の粉粒体を吐出できるとともに、筒状部の内部に複数の遮蔽板を配設しただけの極めて簡単で部品点数も少なくできる構造であるので、製造コストを安価に済ませることができる。しかも、傾ける動作を1回行うだけで定量の粉粒体を吐出できて、粉粒体を少ない手間で吐出させることができ、利便性が向上する。
【0024】
また、吐出口に最も近接する遮蔽板の少なくとも一部を粗面加工したり、吐出口に最も近い遮蔽板を含む複数の遮蔽板の少なくとも一部を粗面加工したりすることで、湯気が出ている箇所などに粉粒体を吐出させた際でも、粉粒体が遮蔽板に付着し難くなり、吐出量が極めて少なくなったり、出なくなったりする不具合を生じ難くなり、信頼性が向上する。また、遮蔽板の少なくとも一部を粗面加工するだけの簡単な構成であるので、特殊な型を設けたり、製造工程を工夫したりしなくても済み、製造コストの増加を最小限で済ますことができる。また、遮蔽板に粉粒体が付着すること自体が最小限に抑えられるため、前記特許文献3の構成を採用した場合のように、掻き取ったスクレーパ片に付着した粉粒体が大きな塊となって蓋を開けた際に外部に落下する不具合も生じ難くなる。
【0025】
また、前記筒状部の内壁面とこの内壁面に続く遮蔽板との接続部を湾曲して窪む形状(円弧形状)で接続することにより、湯気が出ている箇所などに粉粒体を吐出させた際でも、粉粒体が内壁面と遮蔽板との接続部に付着し難くなり、吐出量が極めて少なくなったり、出なくなったりする不具合を生じ難くなり、信頼性が向上する。また、筒状部の内壁面と遮蔽板との接続部を湾曲して窪む形状(円弧形状)にするだけの簡単な構成であるので、特殊な型を設けたり、製造工程を工夫したりしなくても済み、製造コストの増加を最小限で済ますことができる。また、粉粒体が筒状部の内壁面と遮蔽板との接続部に付着し難くなるため、前記特許文献3の構成を採用した場合のように、掻き取ったスクレーパ片に付着した粉粒体が大きな塊となって蓋を開けた際に外部に落下する不具合も生じ難くなる。
【0026】
また、各遮蔽板の先端部を、筒状部の軸心方向に見て軸心を通る直径方向に沿う位置に配設したり、あるいは、各遮蔽板の先端部を、筒状部の軸心方向に見て軸心を通る直径方向に対して平行となる線に沿う位置に配設したりすることにより、比較的安定した吐出量で抽出することができると同時に、筒状部および複数の遮蔽板を射出成形するなどして、当該定量注出口装置を安価に樹脂成形することが可能となる。
【0027】
また、吐出口に最も近接する遮蔽板を、筒状部の内壁面において吐出時に下方となる箇所から突出するように配設すると好適であり、このように構成すると、より安定した量で吐出できて、信頼性が向上する。
【0028】
また、定量吐出容器として用いる場合に、筒状部の一端部に設けた吐出口が斜め上方に向く姿勢で、定量注出口装置を容器本体に装着していると、粉粒体を吐出させる際に、前記傾斜している側にさらに当該定量吐出容器を傾斜させて吐出させる動作を行う場合が多くなるため、より安定した量で粉粒体を吐出でき、これによっても信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施の形態に係る定量注出口装置(スパウト)を備えた定量吐出容器の全体斜視図である。
図2】同定量吐出容器における定量注出口装置が設けられている箇所の要部拡大斜視図である。なお、粗面加工を行っている箇所の凹凸部を誇張して示している。
図3】同定量吐出容器におけるキャップが装着された定量注出口装置の部分切欠底面図(軸心に対して直交するように下方から見た図)である。
図4】同定量吐出容器における定量注出口装置の部分切欠側面図である。なお、粗面加工を行っている箇所の凹凸部を誇張して示している。
図5】同定量注出口装置の平面図(軸心に沿う方向に斜め上方から見た図)である。なお、粗面加工を行っている箇所の凹凸部を誇張して示している。
図6】(a)〜(c)はそれぞれ、同定量注出口装置により粉粒体を定量的に吐出する状態を示す簡略的な断面図である。なお、粗面加工を行っている箇所の凹凸部を誇張して示している。
図7】(a)、(b)はそれぞれ、同定量注出口装置により粉粒体を定量的に吐出する状態を示す簡略的な断面図である。なお、粗面加工を行っている箇所の凹凸部を誇張して示している。
図8】定量注出口装置の変形例の部分切欠側面図である。なお、粗面加工を行っている箇所の凹凸部を誇張して示している。
図9】定量注出口装置の他の変形例の部分切欠側面図である。なお、粗面加工を行っている箇所の凹凸部を誇張して示している。
図10】(a)および(b)は本発明の他の実施の形態に係る定量注出口装置の部分切欠側面図および平面図である。なお、粗面加工を行っている箇所の凹凸部を誇張して示している。
図11】(a)および(b)は本発明のその他の実施の形態に係る定量注出口装置の部分切欠側面図および平面図である。なお、粗面加工を行っている箇所の凹凸部を誇張して示している。
図12】従来の定量吐出容器の断面図である。
図13】(a)〜(c)はそれぞれ同従来の定量吐出容器により粉粒体を吐出する手順を示す簡略的な断面図である。
図14】他の従来の定量吐出容器の断面図である。
図15】同定量吐出容器の粉粒体を吐出する手順を示す簡略的な断面図である。
図16】同定量吐出容器の粉粒体を吐出する手順を示す簡略的な断面図である。
図17】さらに他の従来の吐出容器の蓋の底面図である。
図18】同吐出容器に蓋を装着して粉粒体をスクレーパ片で掻き取る様子を示した平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態に係る定量吐出容器および定量注出口装置を図面に基づき説明する。なお、本実施の形態においては、容器本体がパウチであり、このパウチに定量注出口装置としてのスパウトが装着された定量吐出容器について以下に説明するが、これに限るものではない。
【0031】
図1における1は本発明の実施の形態に係る定量吐出容器、2はスパウトからなる定量注出口装置10が装着される容器本体であり、容器本体2内には、内容物である粉粒体fが収容されている。容器本体2は、例えば合成樹脂などからなる2枚のフレキシブルシートの周縁部を相互に熱溶着するなどして形成されたパウチで構成されている。容器本体2には、上部における片側に、定量注出口装置10としてのスパウトが、2枚のフレキシブルシートにより挟持された状態で熱溶着されている。
【0032】
図1図4などに示すように、定量注出口装置10は、容器本体2に溶着される複数の溶着用リブ11aを有する取付部11に、筒状部12が立設された状態で一体形成されており、筒状部12の軸心X方向(詳しくは、後述する吐出口21)が容器本体2に対して斜め上方に向いた傾斜姿勢で配設されている。定量注出口装置10の先端部外周には、キャップ5が螺合されるねじ面13が形成されている。なお、図1などにおける6は、開封履歴を明示させるための開封確認用リングである。
【0033】
ここで、この実施の形態においては、図2図5に示すように、定量注出口装置10は、上述した取付部11、筒状部12、ねじ面13などが一体形成されてなる注出口本体15と、この注出口本体15の筒状部12の内壁面から傾斜する姿勢で突出された複数の遮蔽板16とから構成されている。そして、筒状部12の軸心方向の一端部(先端部)が吐出口21として開口されている。
【0034】
本実施の形態では、遮蔽板16は、筒状部12内を内容物である粉粒体fが流れる方向に対して上流側である第1の遮蔽板16Aと、下流側である第2の遮蔽板16Bとが、筒状部12と一体形成された状態(すなわち、注出口本体15と一体形成された状態)で設けられている。そして、これらの第1、第2の遮蔽板16A、16Bは、筒状部12の内壁面における互いに対向する面から、吐出口21とは反対側の向きへ傾斜する姿勢(すなわち、容器本体2内から流れてきた粉粒体fを堰き止めるような姿勢)で配設されている。また、遮蔽板16A、16B同士の少なくとも先端部の位置が、筒状部12の軸心方向に対して異なっており、これらの遮蔽板16A、16Bの先端部の間に隙間が形成されている。この実施の形態では、その先端部も含めて、第1の遮蔽板16Aの全体が第2の遮蔽板16Bよりも上流側に配設されている。なお、本実施の形態では、各遮蔽板16A、16Bも注出口本体15と一体形成されているが、注出口本体15の筒状部12に装着される筒状壁部を別に設けて、この筒状壁部に各遮蔽板16A、16Bを一体形成してもよい。
【0035】
また、この実施の形態では、各遮蔽板16A、16Bの先端部が、筒状部12の軸心Xに沿った平面で2分割し、各遮蔽板16A、16Bの先端部同士が、吐出口21の軸心方向に見てほぼ一致する位置に配設されている。図5などに示すように、この実施の形態では、各遮蔽板16A、16Bが吐出口21の軸心方向に見てそれぞれ半円形とされ、各遮蔽板16A、16Bの先端部は、前記軸心X方向に見ると、軸心Xを通る直径方向に沿う位置に配設されており、各遮蔽板16A、16Bの先端部がほぼ一致している。そして、粉粒体fを吐出させる際には、図6(a)〜(c)、図7(a)、(b)に示すように、吐出口21が下になるように傾斜させるが、吐出口21に最も近接する遮蔽板16(この実施の形態では第2の遮蔽板16B)は、筒状部12の内壁面において吐出時に下方となる箇所から斜め上方に向けて突出するように配設され、上流側の遮蔽板16(この実施の形態では第1の遮蔽板16A)は、筒状部12の内壁面におけるこれよりも上方の位置の反対側(例えば左右反対側)の箇所から斜め上方に向けて突出するように配設されている。
【0036】
上記構成に加えて、この実施の形態では、吐出口21に最も近接する第2の遮蔽板16Bにおける吐出口21に臨む表面部(いわゆる上面部)16Baが粗面加工(いわゆるシボ加工)されている。また、筒状部12の内壁面とこの内壁面に続く第2の遮蔽板16B(詳しくは、第2の遮蔽板16Bの表面部(上面部)16Baの基端部)との接続部22が湾曲して窪む形状(曲率半径の大きな円弧凹形状で、いわゆるR形状)で接続されている。なお、前記粗面加工(いわゆるシボ加工)は、例えば、遮蔽板を成形する金型の表面に、エッチング加工、放電加工、ブラスト加工などにより、微細な凹凸部を無数(多数)形成し、この金型で樹脂成形することにより、微細な凹凸部を転写させて製造されるが、これに限るものではない。また、この実施の形態では、第2の遮蔽板16Bにおける表面部16Baと反対側の裏面部16Bbや第1の遮蔽板16Aには粗面加工(いわゆるシボ加工)されていない。なお、図2図4図7などにおいては、第2の遮蔽板16Bの表面部(いわゆる上面部)16Baに粗面加工をしている状態を示しているが、粗面加工を施していることがわかりやすくなるように、粗面加工の微細な凹凸部を強調して大きめに図示している。
【0037】
この構成において、粉粒体fを吐出させる際には、キャップ5を開けた状態で、図6(a)〜(c)、図7(a)、(b)に示すように、斜め上方に向いている吐出口21が側方から下方に向くように定量吐出容器1全体を徐々に回転させるようにして傾斜させる。すなわち、図6(a)、(b)に示すように、まず、吐出口21が下方に向くように定量吐出容器1を傾斜し始めると、下側となる第2の遮蔽板16Bにより粉粒体fが堰き止められてまず溜まり始め、さらに、上側の第1の遮蔽板16Aにも一部の粉粒体fが堰き止められて溜まり始めるが、この際には、第2の遮蔽板16Bや第1の遮蔽板16Aに溜まっている量が少ないため、図6(c)に示すように、第2の遮蔽板16Bの先端部と第1の遮蔽板16Aの先端部との間の隙間を通って粉粒体fが所定量吐出される。
【0038】
しかしながら、さらに定量吐出容器1を傾斜させると、図6(c)に示すように、第2の遮蔽板16B上に溜まっていた粉粒体fと第2の遮蔽板16B上に溜まっていた粉粒体fとが増加して、これらの粉粒体f同士がつながり、吐出口21がほぼ下方に向くように傾斜させた時点で、つながった粉粒体fの上にさらに多くの粉粒体fが載せられた状態となる。そして、堰き止められた粉粒体fの重量が遮蔽板16A、16Bの近傍の(すぐ上の)粉粒体fに作用して押圧することで、粉粒体f同士が密接して詰まった状態となって、遮蔽板16A、16B同士の間の隙間からも粉粒体fが吐出しなくなる。このようにして、定量の粉粒体fが吐出される。
【0039】
この構成によれば、概略的に定量の粉粒体fを吐出できながら、筒状部12の内部に2つの遮蔽板16(16A、16B)を配設しただけの極めて簡単で部品点数も少ない構造であるので、定量注出口装置10、ひいては定量吐出容器1の製造コストを安価に済ませることができる。しかも、傾ける動作を1回行うだけで定量の粉粒体fを吐出できて、粉粒体fを極めて少ない手間で吐出させることができ、利便性が向上する。
【0040】
また、上記構成によれば、吐出口21に最も近接する第2の遮蔽板16Bにおける吐出口21に臨む表面部(上面部)16Baが粗面加工されているので、粉粒体fが比較的大きい吸湿性を有する場合において湯気が出ている箇所などに粉粒体fを吐出させた際でも、粉粒体fが第2の遮蔽板16Bの表面部(上面部)16Baに付着し難くなる。また、筒状部12の内壁面とこの内壁面に続く第2の遮蔽板16B(すなわち、第2の遮蔽板16Bの基端部)との接続部22が湾曲して窪む形状で接続されているので、筒状部12の内壁面と第2の遮蔽板16Bとの接続部が直線形状で接続されている場合と比較して、粉粒体fが比較的大きい吸湿性を有する場合において湯気が出ている箇所などに粉粒体fを吐出させた際でも、粉粒体fが筒状部12の内壁面と第2の遮蔽板16Bとの接続部22に付着し難くなる。これにより、定量注出口装置10からの吐出量が極めて少なくなったり、出なくなったりする不具合を生じ難くなり、信頼性が向上する。また、第2の遮蔽板16Bの表面部(上面部)16Baを粗面加工したり、筒状部12の内壁面と第2の遮蔽板16Bとの接続部22を湾曲形状とするだけの簡単な構成であるので、特殊な型を設けたり、製造工程を工夫したりしなくても済み、製造コストの増加を最小限で済ますことができる。なお、筒状部12の内壁面と第2の遮蔽板16Bとの接続部22は、例えば半径2〜4mmの湾曲形状とすれば好適であるが、これに限るものではない。
【0041】
また、第2の遮蔽板16Bの表面部(上面部)16Baの粗面加工や、第2の遮蔽板16Bの接続部22を湾曲形状で接続したことにより、これらの箇所に粉粒体fが付着すること自体が最小限に抑えられるため、前記特許文献3の構成を採用した場合のように、掻き取ったスクレーパ片に付着した粉粒体が大きな塊となって蓋を開けた際に外部に落下する不具合も生じ難くなり、これによっても信頼性が向上する。
【0042】
また、上記構成によれば、概略的に定量の粉粒体fを吐出できながら、筒状部12の内部に2つの遮蔽板16(16A、16B)を配設しただけの極めて簡単で部品点数も少ない構造であるので、定量注出口装置10、ひいては定量吐出容器1の製造コストを安価に済ませることができる。しかも、傾ける動作を1回行うだけで定量の粉粒体fを吐出できて、粉粒体fを極めて少ない手間で吐出させることができ、利便性が向上する。
【0043】
また、上記構成によれば、各遮蔽板16(16A、16B)の先端部が、筒状部12の軸心方向に沿うとともに、筒状部12の軸心方向に見てほぼ軸心Xを通る直径方向に沿う位置に配設されている(すなわち、複数の遮蔽板16(16A、16B)の先端部同士が、吐出口21の軸心方向に見てほぼ一致する位置に配設されている)ので、粉粒体fが流れ続けることを防止しながら、比較的安定した吐出量で注出することができる。また、複数の遮蔽板の先端部同士が、吐出口の軸心方向に見て重なるような形状であると、筒状部12および遮蔽板16を有する定量注出口装置10を、射出成形により製造することが困難となるおそれがあるが、上記のように、各遮蔽板16(16A、16B)の先端部が、筒状部12の軸心方向に沿うとともに、筒状部12の軸心方向に見てほぼ軸心Xを通る直径方向に沿う位置(すなわち、複数の遮蔽板16(16A、16B)の先端部同士が、吐出口21の軸心方向に見てほぼ一致する位置)に配置することで、定量注出口装置10を射出成形するなどにより、安価に樹脂成形することが可能となり、ひいては、当該定量注出口装置10や定量吐出容器1の製造コストをさらに安価に製造することができる。
【0044】
また、上記のように、吐出口21に最も近接する遮蔽板16(この実施の形態では第2の遮蔽板16B)を、筒状部12の内壁面において吐出時に下方となる箇所から突出するように配設することにより、粉粒体fが安定して堰き止められて、より安定した量で吐出できる。また、上記のように、定量吐出容器1をテーブルなどの上に載置している状態において、筒状部12の軸心方向が容器本体2に対して傾斜し、筒状部12の吐出口21が斜め上方に向く姿勢で、定量注出口装置10を容器本体2に装着していると、粉粒体fを吐出させる際に、この定量吐出容器1の利用者が、図6(a)〜(c)、図7(a)、(b)に示すように、斜め上方に向いている吐出口21が側方から下方に向くように定量吐出容器1全体を徐々に回転させるようにして傾斜させる動作を行う可能性が大きいため、粉粒体fをより安定した状態で吐出できて、信頼性が向上する。
【0045】
上記の実施の形態では、吐出口21に最も近接する第2の遮蔽板16Bにおける表面部(いわゆる上面部)16Baだけを粗面加工(いわゆるシボ加工)した場合を述べた。しかし、これに限るものではなく、図8に示すように、第2の遮蔽板16Bにおける表面部(いわゆる上面部)16Baに加えて、この表面部16Baとは反対側の裏面部(いわゆる下面部)16Bbも粗面加工(いわゆるシボ加工)してもよい。また、第2の遮蔽板16Bにおける表面部(いわゆる上面部)16Baとは逆の裏面部(いわゆる下面部)と筒状部12の内壁面との接続部23を、湾曲して窪む形状(曲率半径の大きな湾曲形状、いわゆるR形状)で接続してもよい。
【0046】
この構成によれば、吐出口21に最も近接する第2の遮蔽板16Bにおける吐出口21に臨む表面部(上面部)16Baおよび裏面部(下面部)16Bbが粗面加工されているので、粉粒体fが比較的大きい吸湿性を有する場合において湯気が出ている箇所などに粉粒体fを吐出させた際でも、粉粒体fが第2の遮蔽板16Bの表面部(上面部)16Baだけでなく裏面部(下面部)16Bbにも付着し難くなる。また、筒状部12の内壁面とこの内壁面に続く第2の遮蔽板16B(すなわち、第2の遮蔽板16Bの基端部)との接続部22だけでなく、第2の遮蔽板16Bにおける裏面部(下面部)16Bbと筒状部12の内壁面との接続部23も、湾曲して窪む形状(曲率半径の大きな湾曲形状、いわゆるR形状)で接続されているので、第2の遮蔽板16Bにおける裏面部(下面部)と筒状部12の内壁面との接続部が直線形状で接続されている場合と比較して、粉粒体fが比較的大きい吸湿性を有する場合において湯気が出ている箇所などに粉粒体fを吐出させた際でも、粉粒体fが筒状部12の内壁面と第2の遮蔽板16Bの裏面部(下面部)16Bbとの接続部23も付着し難くなる。これにより、定量注出口装置10からの吐出量が極めて少なくなったり、出なくなったりする不具合がさらに生じ難くなり、信頼性が一層向上する。また、第2の遮蔽板16Bの裏面部(下面部)16Bbを粗面加工したり、第2の遮蔽板16Bにおける裏面部(下面部)16Bbと筒状部12の内壁面との接続部23を湾曲形状とするだけの簡単な構成であるので、特殊な型を設けたり、製造工程を工夫したりしなくても済み、製造コストの増加を最小限で済ますことができる。
【0047】
また、第2の遮蔽板16Bの裏面部(下面部)16Bbの粗面加工や、第2の遮蔽板16Bの裏面部(下面部)16Bbとの接続部23を湾曲形状で接続したことにより、これらの箇所に粉粒体fが付着することが最小限に抑えられるため、前記特許文献3の構成を採用した場合のように、掻き取ったスクレーパ片に付着した粉粒体が大きな塊となって蓋を開けた際に外部に落下する不具合も生じ難くなり、これによっても信頼性が向上する。
【0048】
上記の実施の形態では、吐出口21に最も近接する第2の遮蔽板16Bにおける表面部(いわゆる上面部)16Baや裏面部(いわゆる下面部)16Bbを粗面加工(いわゆるシボ加工)した場合を述べた。しかし、これに限るものではなく、図9に示すように、吐出口21に最も近接する第2の遮蔽板16Bだけでなく、吐出口21から離れている第1の遮蔽板16Aについても、表面部16Aaを粗面加工したり(図9参照)、表面部16Aaおよび裏面部16Abを粗面加工したり(図示せず)してもよい。
【0049】
この構成によれば、吐出口21に最も近接する第2の遮蔽板16Bだけでなく、第1の遮蔽板16Aについても、粉粒体fが第1の遮蔽板16Aの表面部(上面部)16Aaだけでなく裏面部(下面部)16Abにも付着し難くなる。これにより、定量注出口装置10からの、粉粒体fの吐出量が極めて少なくなったり、出なくなったりする不具合がさらに生じ難くなり、信頼性が一層向上する。
【0050】
また、図9に示すように、第1の遮蔽板16Aと筒状部12の内壁面との接続部(第1の遮蔽板16Aの表面部との接続部24や裏面部との接続部)も湾曲して窪む形状(曲率半径の大きな湾曲形状、いわゆるR形状)で接続してもよい。この構成によれば、吐出口21に最も近接する第2の遮蔽板16Bと筒状部12の内壁面との接続部22、23だけでなく、第1の遮蔽板16Aと筒状部12の内壁面との接続部24についても、粉粒体fが付着し難くなる。これにより、定量注出口装置10からの吐出量が極めて少なくなったり、出なくなったりする不具合がさらに生じ難くなり、信頼性が一層向上する。
【0051】
なお、上記実施の形態では、粗面加工を表面部(いわゆる上面部)16Baや裏面部(いわゆる下面部)16Bbのそれぞれ全面に施した場合を述べたが、これに限るものではなく、表面部(いわゆる上面部)16Baや裏面部(いわゆる下面部)16Bbの一部のみ粗面加工するようにしてもよく、この構成によっても、全く粗面加工しない場合と比較すると、粉粒体fが付着し難くなり、定量注出口装置10からの、粉粒体fの吐出量が極めて少なくなったり、出なくなったりする不具合が発生することを低減させることができる。
【0052】
また、さらに、筒状部12の内壁面の少なくとも一部(例えば、吐出口21に臨んで、キャップ5を開けた状態で外部に露出する箇所)を粗面加工してもよく、これによれば、さらに、筒状部12の内壁面に粉粒体fが付着することを低減させることができる。
【0053】
なお、上記実施の形態では、図4などに、第1の遮蔽板16Aと第2の遮蔽板16Bとの間の間隔hが比較的広い(大きい)場合を図示したが、これに限るものではなく、第1の遮蔽板16Aと第2の遮蔽板16Bとの間の間隔hを狭く(小さく)形成してもよい。すなわち、粘着性の大きい粉粒体fや体積当たりの重量が比較的大きな粉粒体fなどは、前記間隔hが小さいと詰まりやすくなるため、比較的前記間隔hを広めにすることが好ましく、これとは反対に、粘着性の小さい粉粒体fや体積当たりの重量が小さい粉粒体fなどは、前記間隔hが大きいと流れが止まらなくなるおそれがあるため、比較的前記間隔hを狭く(小さく)することが好ましい。また、吐出させる量を少なくする場合には前記間隔hを小さく形成し、吐出させる量を多くする場合には前記間隔hを大きく形成すればよい。
【0054】
また、遮蔽板16(16A、16B)の筒状部12に対する傾斜角度は、粘着性の大きい粉粒体fなどの流れ難い粉粒体fに対しては、小さめに形成し、粘着性の小さい粉粒体fなどの流れ易い粉粒体fに対しては、大きめに形成することが好ましい。
【0055】
また、上記の実施の形態では、各遮蔽板16A、16Bの先端部が、筒状部12の軸心Xに沿った平面で同じ大きさに2分割し、筒状部12の軸心方向に見て軸心Xを通る直径方向に沿う位置に配設されている場合を述べたが、これに限るものではなく、図10(a)、(b)、図11(a)、(b)に示すように、各遮蔽板16A、16Bの先端部が、筒状部12の軸心Xに平行な線に沿うような位置であるとともに、筒状部12の軸心X方向に見て軸心Xを通る直径方向に対して平行となる線に沿う位置に配設してもよい。この場合には、一方の遮蔽板16を大きく、他方の遮蔽板16を小さく形成することとなる。図10(a)、(b)に示すように、吐出口21に近接する第2の遮蔽板16Bより、吐出口21から離れた第1の遮蔽板16Aを、筒状部12から内径方向に大きく突出させたり、筒状部12の軸心方向に見て大きい面積となるように形成したりしてもよいが、これに限るものではない。好ましくは、吐出口21に近接する第2の遮蔽板16Bを、吐出口21から離れた第1の遮蔽板16Aよりも、筒状部12から内径方向に大きく突出させたり、筒状部12の軸心方向に見て大きい面積となるように形成したりするとよく、この構成によれば、一度の吐出量をさらに安定させることができる。
【0056】
また、上記の実施の形態では、キャップ5がスクリュー式である場合を述べたが、これに限るものではなく、キャップ31としてスクリュー式のものを用いる代わりにヒンジ式のものを用いてもよい(図示せず)。なお、この場合には、筒状部における、ヒンジが設けられている側に上流側の第1の遮蔽板16Aが配設され、ヒンジが設けられている側とは反対側に下流側の第2の遮蔽板16Bが配設されるように形成することが好ましく、これによれば、当該容器を、ヒンジが設けられている側とは反対側に傾斜させることで、定量の粉粒体fを良好に吐出させることができる。
【0057】
また、上記の実施の形態では、筒状部12(筒状部12)に対して何れも遮蔽板16(16A、16B)が2つ(2枚)設けられる場合を述べたが、これに限るものではなく、遮蔽板16を3つ(3枚)以上設けてもよい。
【0058】
また、上記の実施の形態では、定量注出口装置10がスパウトであり、容器本体2がパウチである場合を述べたが、これに限るものではなく、例えば、容器本体として瓶型容器などを用いてもよく、定量注出口装置としては、円筒形状や角筒形状などの各種の筒状壁部に複数の遮蔽板を設けたものであればよい。
【符号の説明】
【0059】
1 定量吐出容器
2 容器本体(パウチ)
5、31 キャップ
10 定量注出口装置(スパウト)
11 取付部
12 筒状部
15 注出口本体
16A 第1の遮蔽板
16B 第2の遮蔽板
21 吐出口
22〜24 接続部
f 粉粒体
X 軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図18