特許第6579863号(P6579863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579863
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】読取装置および透過光源ユニット
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20190912BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20190912BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20190912BHJP
   G03B 27/54 20060101ALI20190912BHJP
   G03B 27/50 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   H04N1/04 101
   H04N1/028 H
   G06T1/00 420C
   G03B27/54 A
   G03B27/50 A
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-168270(P2015-168270)
(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公開番号】特開2017-46241(P2017-46241A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104629
【氏名又は名称】キヤノン・コンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英将
【審査官】 橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−232184(JP,A)
【文献】 特開2008−270885(JP,A)
【文献】 特開平11−055464(JP,A)
【文献】 特開2008−140726(JP,A)
【文献】 特開2009−130785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/024− 1/207
G06T 1/00
G03B27/50 −27/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象物を読み取る読取装置であって、
1の光源部が射出する光を前記読取対象物に向けて導く第1の導光体と、前記第1の導光体を収容する第1のフレームと、を有する透過光源ユニットと、
2の光源部が射出する光を前記読取対象物に向けて導く第2の導光体を有する反射光源ユニットと、
前記第1の光源部から出射して前記読取対象物を透過した光および前記第2の光源部から出射して前記読取対象物で反射した光を検出するように配置されたイメージセンサと、
を有し、
前記第1の導光体は、前記第1の光源部から出射した光を拡散する第1の光拡散面と、該第1の光拡散面で拡散された光を前記読取対象物に向けて射出する第1の光出射面と、を有し、
前記第1のフレームの内周面のうち、該第1の光拡散面と対向する面が黒色であり、
前記第1の光拡散面には、前記第1の光出射面の法線に対して傾斜する傾斜面を有する凹部と凸部の少なくとも一方が設けられる
ことを特徴とする取装置。
【請求項2】
前記凹部は、断面が字形状または弧形状で、前記第1の導光体の長手方向に直交する方向または傾斜する方向に延伸する溝であり、
前記凸部は、断面が角形または弧形状で、前記第1の導光体の長手方向に直交する方向または傾斜する方向に延伸する突起状の構造物である
ことを特徴とする請求項1に記載の取装置。
【請求項3】
前記第1の導光体の長手方向の一方の端面には、前記第1の光源部から出射した光が入射する第1の光入射面が設けられ、
前記凹部または前記凸部の間隔は、前記第1の光入射面から離れるにしたがって小さくなる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の取装置。
【請求項4】
前記第1の導光体の長手方向の両方の端面には、前記第1の光源部から出射した光が入射する第1の光入射面が設けられ、
前記凹部または前記凸部の間隔は、前記長手方向の両方の端面から長手方向の中央に向かうにしたがって小さくなる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の取装置。
【請求項5】
第2の光源部が射出する光を読取対象物に向けて導く第2の導光体を有する反射光源ユニットと、透過光源ユニットから出射され前記読取対象物を透過した光および前記第2の光源部から出射して前記読取対象物で反射した光を検出するように配置されたイメージセンサと、を有する読取装置に用いられる前記透過光源ユニットであって、
第1の光源部が射出する光を前記読取対象物に向けて導く第1の導光体と、
前記第1の導光体を収容する第1のフレームと、を備え、
前記第1の導光体は、前記第1の光源部から出射した光を拡散する第1の光拡散面と、該第1の光拡散面で拡散された光を前記読取対象物に向けて射出する第1の光出射面と、を有し、
前記第1のフレームの内周面のうち、該第1の光拡散面と対向する面が黒色であり、
前記第1の光拡散面には、前記第1の光出射面の法線に対して傾斜する傾斜面を有する凹部と凸部の少なくとも一方が設けられる
ことを特徴とする透過光源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取装置および透過光源ユニットに関する
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣などの紙葉類を読取る画像読取装置は、紙葉類からの光を検出して電気信号に変換するイメージセンサユニットを有する。このような画像読取装置に適用されるイメージセンサユニットは、例えば、紙葉類に線状光を照射する線状光源と、紙葉類からの反射光を検出して電気信号に変換するイメージセンサとを有する。そして、イメージセンサユニットは、線状光源によって紙葉類に光を照射し、その反射光をイメージセンサによって検出することによって、紙葉類の反射読取を行う。
【0003】
さらに、紙葉類の透過読取が可能な画像読取装置には、透過読取のため光源装置として、透過光源ユニットを有するものがある。このような透過光源ユニットは、例えば、LEDなどの点状光源と、点状光源が発する光を線状化する(点光源を線光源化する)棒状の導光体を有する。そして、透過光源ユニットは、紙葉類の搬送経路を挟んで、イメージセンサユニットに対向して配置される。イメージセンサユニットのイメージセンサは、透過光源ユニットが出射して紙葉類を透過した光を検出し、検出した光を電気信号に変換する。このように、イメージセンサユニットは、透過光源ユニットが発する光を用いて、紙葉類の透過読取を行う。
【0004】
ところで、反射読取を行う際には、紙葉類の範囲(外形の輪郭)の識別精度の向上のため、紙葉類とその周囲外側(以下、背景と称する)とのコントラストが高いことが好ましい。特に、輝度の高い紙葉類を読み取る場合には、背景の輝度は紙葉類に比較して低いことが好ましく、黒色であることがより好ましい。しかしながら、透過光源ユニットがイメージセンサユニットに対向して配置される構成では、イメージセンサユニットの線状光源が出射した光が透過光源ユニットの導光体に入射し、導光体に入射した光がイメージセンサユニットに向けて出射することがある。このような光を、照り返し光と称する。照り返し光がイメージセンサユニットに入射すると、イメージセンサが出力する画像は、紙葉類の存在しない箇所(すなわち背景)の輝度が高くなり、画像の紙葉類と背景とのコントラストが低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−55646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紙葉類と背景とのコントラストの低下を防止する構成としては、特許文献1には、イメージセンサユニットの線状光源と透過光源ユニットの導光体との間に、偏光フィルタや遮光シートを配置する構成が開示されている。しかしながら、このような構成では、偏光フィルタや遮光シートが必要になるため、部品点数の増加や構成の複雑化を招くことになる。
【0007】
上述した実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、部品点数の増加や構成の複雑化を招くことなく、照り返し光を低減して紙葉類と背景とのコントラストの向上を図ることができる画像読取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、読取対象物を読み取る読取装置であって、1の光源部が射出する光を前記読取対象物に向けて導く第1の導光体と、前記第1の導光体を収容する第1のフレームと、を有する透過光源ユニットと、第2の光源部が射出する光を前記読取対象物に向けて導く第2の導光体を有する反射光源ユニットと、前記第1の光源部から出射して前記読取対象物を透過した光および前記第2の光源部から出射して前記読取対象物で反射した光を検出するように配置されたイメージセンサと、を有し、前記第1の導光体は、前記第1の光源部から出射した光を拡散する第1の光拡散面と、該第1の光拡散面で拡散された光を前記読取対象物に向けて射出する第1の光出射面と、を有し、前記第1のフレームの内周面のうち、該第1の光拡散面と対向する面が黒色であり、前記第1の光拡散面には、前記第1の光出射面の法線に対して傾斜する傾斜面を有する凹部と凸部の少なくとも一方が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、イメージセンサユニットから透過光源ユニットの第1の導光体に入射した光は、第1の導光体に設けられる凹部または凸部の傾斜面において、第1の光出射面とは異なる方向に向けて反射する。このため、照り返し光を抑制して画像のコントラストを高めることができる。そして、第1の導光体に凹部や凸部を設けるのみでよいから、画像読取装置の部品点数の増加を招かない。このように、部品点数の増加を招くことなく、照り返し光を抑制して画像のコントラストを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、画像読取装置の要部の構成例を模式的に示す図である。
図2図2は、透過光源ユニットの構成例を模式的に示す分解斜視図である。
図3図3は、透過光源ユニットの構成例を模式的に示す外観斜視図である。
図4A図4Aは、第1の導光体の構成例を示す外観斜視図である。
図4B図4B図4AのIVB−IVB線断面図である。
図5A図5Aは、第1の導光体の構成例を示す外観斜視図である。
図5B図5B図5AのVB−VB線断面図である。
図6A図6Aは、凸部の変形例を模式的に示す断面図である。
図6B図6Bは、凹部の変形例を模式的に示す断面図である。
図7A図7Aは、複数の光反射部どうしの間隔を模式的に示す図である。
図7B図7Bは、複数の光反射部どうしの間隔を模式的に示す図である。
図8図8は、イメージセンサユニットの構成例を模式的に示す分解斜視図である。
図9図9は、イメージセンサユニットの構成例を模式的に示す外観斜視図である。
図10図10は、実施例と比較例のシミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用できる実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施形態では、透過光源ユニットとイメージセンサユニットとを有する画像読取装置を示す。各図においては、透過光源ユニットとイメージセンサユニットの三次元の各方向を、X,Y,Zの各矢印で示す。X方向は主走査方向であり、Y方向は副走査方向であり、Z方向は上下方向である。なお、上下方向については、紙葉類Sの搬送経路Pから見て透過光源ユニットが配置される側を上側とし、イメージセンサユニットが配置される側を下側とする。本発明において、「光」とは、可視光のみならず、可視光以外の波長域の電磁波(例えば、赤外線や紫外線)も含むものとする。
【0012】
<画像読取装置>
まず、画像読取装置1の要部の構成例について、図1を参照して説明する。図1は、画像読取装置1の要部の構成例を模式的に示す図であり、主走査方向に直角な面で切断した断面構造を示す図である。図1に示すように、画像読取装置1は、透過光源ユニット2と、イメージセンサユニット3と、搬送ローラー11と、制御部12と、画像識別部13とを有する。画像読取装置1には、読取対象物である紙葉類Sの搬送経路Pが設定される。そして、透過光源ユニット2とイメージセンサユニット3は、紙葉類Sの搬送経路Pを挟み、所定の間隔をおいて対向して配置される。すなわち、透過光源ユニット2とイメージセンサユニット3との間の隙間が、紙葉類Sの搬送経路Pとなる。制御部12は、透過光源ユニット2と、イメージセンサユニット3と、搬送ローラー11の図略の駆動力源を制御する。また、制御部12は、画像読取装置1の図略の各部を制御する。搬送ローラー11は、図略の駆動力源によって回転し、紙葉類Sを副走査方向に搬送する。
【0013】
なお、画像読取装置1が、透過光源ユニット2とイメージセンサユニット3を副走査方向に移動させる駆動機構を有し、紙葉類Sに対して透過光源ユニット2とイメージセンサユニット3とを副走査方向に移動させる構成であってもよい。要は、透過光源ユニット2およびイメージセンサユニット3と、読取対象物である紙葉類Sとを、副走査方向に相対的に移動させる構成であればよい。
【0014】
透過光源ユニット2は、第1の光源部201を有しており、搬送経路Pを搬送される紙葉類Sに向けて上側から光を照射する。イメージセンサユニット3は、第2の光源部301を有しており、搬送経路Pを搬送される紙葉類Sに向けて下側から光を照射する。透過光源ユニット2の第1の光源部201から紙葉類Sに照射された光は、紙葉類Sを透過してイメージセンサユニット3に入射する。イメージセンサユニット3の第2の光源部301から紙葉類Sに照射された光は、紙葉類Sで反射してイメージセンサユニット3に入射する。イメージセンサユニット3に設けられるイメージセンサ341は、第1の光源部201が出射して紙葉類Sを透過した光と、第2の光源部301が出射して紙葉類Sで反射した光を検出し、電気信号である画像信号に変換する。画像識別部13は、イメージセンサ341が出力した画像信号を用いて、搬送経路Pを搬送される紙葉類Sを識別する。なお、画像読取装置1の動作の詳細については後述する。
【0015】
<透過光源ユニット>
次に、透過光源ユニット2の構成例について、図2図3を参照して説明する。図2は、透過光源ユニット2の構成例を模式的に示す分解斜視図である。図3は、透過光源ユニット2の構成例を模式的に示す外観斜視図である。図2図3に示すように、透過光源ユニット2は、第1の光源部201と、第1のフレーム23と、第1のカバー部材24とを有する。第1の光源部201は、さらに、点状光を出射する第1の光源22と、第1の光源22が出射した光を線状化する(線光源化する)第1の導光体4とを有する。そして、第1の光源部201は、紙葉類Sの搬送経路Pに向けて、すなわちイメージセンサユニット3に向けて、主走査方向に長い線状光を出射する。
【0016】
第1の光源部201の第1の光源22には、例えば、赤(R)と緑(G)と青(B)と赤外線(Ir)と紫外線(UV)の各波長域の光を発する発光素子を有する光源が適用できる。具体的には、第1の光源22には、前述の各波長域のLEDが纏めてパッケージされた多色LEDなどが適用できる。なお、第1の光源22の具体的な構成は特に限定されるものではなく、画像読取装置1の仕様などに応じて適宜設定される。例えば、第1の光源22の発光波長の帯域は特に限定されない。第1の光源22は、前述の各波長域の光を発する発光素子の全てを有していてもよく、一部のみを有していてもよい。また、図2においては、透過光源ユニット2が2つの第1の光源22を有する構成を示すが、1つの第1の光源22を有する構成であってもよい。
【0017】
第1の導光体4は、第1の光源22が出射する光を線状化(線光源化)する光学部材である。第1の導光体4は、主走査方向に長い棒状の構成を有し、アクリル系の樹脂材料などといった、透明な材料により一体に形成される。第1の導光体4の長手方向(主走査方向)の一方の端面または両方の端面には、第1の光源22が出射する光を入射させる第1の光入射面41が設けられる。第1の導光体4の側面には、入射した光を拡散させる第1の光拡散面42と、拡散した光を外部(すなわち、紙葉類Sの搬送経路Pに向けて出射する第1の光出射面43とが設けられる。なお、第1の導光体4の構成の詳細については後述する。
【0018】
第1のフレーム23は、透過光源ユニット2の筐体の例である。第1のフレーム23は、主走査方向に長い直方体状の形状を有しており、遮光性を有する材料により一体に形成される。例えば、第1のフレーム23は、黒色に着色された(黒色の塗料を含有する)ポリカーボネートにより一体に形成される。
【0019】
第1のフレーム23には、第1の導光体収容室231と、第1の光源22の数に応じた数の第1の光源収容室232が設けられる。第1の導光体収容室231は、第1の導光体4が収容される領域であり、主走査方向に長く下側が開口する溝状の構成を有する。第1の光源収容室232は、第1の光源22が収容される領域であり、第1の導光体収容室231の主走査方向(長手方向)の外側に設けられ、第1の導光体収容室231と繋がっている。なお、第1の導光体4の長手方向の両方の端面に第1の光入射面41が設けられる構成であれば、第1の光源収容室232は、第1の導光体収容室231の両方の端部の主走査方向の外側に設けられる。第1の導光体4の長手方向の一方の端部にのみ第1の光入射面41が設けられる構成であれば、第1の光源収容室232は、第1の導光体収容室231の一方(第1の光入射面41が位置する側)の端部の主走査方向の外側にのみ設けられる。
【0020】
第1のカバー部材24は、第1のフレーム23の下側(搬送経路Pの側)に取り付けられる板状の部材である。第1のカバー部材24は、第1のフレーム23に収容される各部材を保護する機能や、第1のフレーム23の内部に塵埃などの異物が侵入することを防止する機能や、紙葉類Sを平面状に保持する機能などを有する。第1のカバー部材24は、全体が透明であるか、または透明な部分を有する。第1のカバー部材24は、例えば、アクリルなどの透明な樹脂材料から形成される。
【0021】
<第1の導光体>
ここで、第1の導光体4の構成例について、図4A図5Bを参照して説明する。図4A図5Aは、第1の導光体4の構成例を示す外観斜視図であり、長手方向の端部近傍を拡大して示す図である。図4B図4AのIVB−IVB線断面図であり、図5B図5AのVB−VB線断面図であり、いずれも第1の導光体4を副走査方向に直角な平面で切断した断面を示す図である。
【0022】
第1の導光体4は、主走査方向に長い棒状の構成を有する(図2参照)。第1の導光体4の長手方向の両方または一方の端面には、第1の光入射面41が設けられる。なお、長手方向の端面の一部分に第1の光入射面41が設けられる構成であってもよく、端面の全域が第1の光入射面41である構成であってもよい。そして、図4A図5Aに示すように、第1の導光体4の側面の下側(搬送経路Pに対向する側)には、搬送経路Pの読取ラインOに向けて光を出射する第1の光出射面43が設けられる。第1の光出射面43は、読取ラインOに向けて線状光を出射できるように、主走査方向に長く、主走査方向視で下側に向かって凸となる円弧状の断面を有する。第1の光出射面43の主走査方向の長さは、画像読取装置1が対応する紙葉類Sの幅(主走査方向の寸法)に応じて設定される。例えば、A3サイズの紙葉類Sの読取に対応する場合には、第1の光出射面43の長手方向寸法は、A3サイズの紙葉類Sの幅に応じた寸法に設定される。
【0023】
第1の導光体4の側面の上側、すなわち、第1の光出射面43の反対側には、第1の光拡散面42が設けられる。第1の光拡散面42は、第1の光出射面43から出射される光の強度の主走査方向分布を均一化する機能を有する。第1の光拡散面42は、主走査方向に長い帯状に形成される面である。本実施形態では、第1の光拡散面42は、主走査方向および副走査方向に平行な平面である構成を示す。ただし、第1の光拡散面42は曲面であってもよい。第1の光拡散面42には、図4A図4Bに示すように、複数の光反射部44の例である複数の凹部45が設けられるか、図5A図5Bに示すように、複数の光反射部44の例である複数の凸部46が設けられる。これらの光反射部44の例である凹部45と凸部46は、第1の導光体4の内部を進行する光を反射する機能を有する。なお、図4A図4Bは、第1の光拡散面42に光反射部44として凹部45のみが設けられる構成を示し、図5A図5Bは、第1の光拡散面42に光反射部44として凸部46のみが設けられる構成を示すが、これらの構成に限定されない。第1の光拡散面42には、複数の光反射部44が設けられ、複数の光反射部44には、凹部45と凸部46の少なくとも一方が含まれる構成であればよい。すなわち、第1の光拡散面42には、複数の光反射部44として、凹部45と凸部46の両方が設けられる(凹部45と凸部46が混在する)構成であってもよい。
【0024】
図4A図4Bに示すように、凹部45は、断面が略「V」字形状の溝が適用される。また、図5A図5Bに示すように、凸部46は、断面が略三角形の突起状の構造物が適用される。そして、凹部45と凸部46は、第1の導光体4の長手方向(主走査方向)に直交する方向に延伸するか、または、長手方向に対して傾斜する方向に延伸する。図4A図5Aでは、凹部45と凸部46が、それぞれ第1の導光体4の長手方向に直交する方向に延伸する構成を例に示すが、第1の導光体4の長手方向に対して傾斜する方向に延伸する構成であってもよい。凹部45と凸部46は、第1の導光体4の長手方向とは平行ではない方向に延伸する構成であればよい。なお、凹部45と凸部46の具体的な寸法は限定されないが、例えば、幅は2mmで深さまたは高さは1mmが適用できる。
【0025】
図4Bに示すように、凹部45は、副走査方向視で、上下方向(すなわち、副走査方向視における第1の光出射面43の法線方向)および第1の導光体4の長手方向(主走査方向)に対して傾斜する複数の傾斜面451(本実施形態では2つの傾斜面451)を有する。また、図5Bに示すように、凸部46も、副走査方向視で、上下方向および第1の導光体4の長手方向に対して傾斜する複数の傾斜面461(本実施形態では2つの傾斜面461)を有する。このような構成によれば、第1の光入射面41から入射して第1の導光体4の内部を進行する光を、第1の光出射面43の側に向けて反射させることができる。このため、第1の光入射面41から入射して光反射部44(凹部45や凸部46の傾斜面451,461)で反射した光は、第1の光出射面43から下側に向かって出射する。
【0026】
このように、光反射部44の例である凹部45と凸部46は、それぞれ、上下方向および第1の導光体4の長手方向に対して傾斜する傾斜面451,461を有する構成であればよい。また、これらの傾斜面451,461は平面に限られず、曲面であってもよい。例えば、凹部45と凸部46は、断面形状が略円弧形状であってもよい。このような構成であれば、第1の光入射面41から入射して第1の導光体4の内部を進行する光を、第1の光出射面43の側に向けて反射させることができる。
【0027】
なお、光反射部44である凹部45は、図4Bに示すような「V」字形状の溝に限定されない。同様に、光反射部44である凸部46も、断面略三角形の突起状の構造物に限定されない。図6Aは、凹部45の変形例を模式的に示す断面図であり、図4Bに対応する図である。図6Bは、凸部46の変形例を模式的に示す断面図であり、図5Bに対応する図である。凹部45は、図6Aに示すように、断面略円弧形状(例えば半円形状)の溝であってもよい。また、凸部46は、図6Bに示すように、断面略円弧形状の突起状の構造物であってもよい。さらに、凹部45と凸部46は、断面略円弧形状以外の形状であってもよい。要は、光反射部44(凹部45と凸部46)は、副走査方向視で、上下方向および主走査方向に対して傾斜する傾斜面451,461を有する構成であればよい。そして、これらの傾斜面451,461は、平面ではなく曲面であってもよい。このような構成であっても、前述の効果を奏することができる。
【0028】
ここで、図7A図7Bを参照して、光反射部44どうしの間隔の例について説明する。図7A図7Bは、複数の光反射部44どうしの間隔を模式的に示す図である。なお、図7Aは、長手方向の両方の端面に第1の光入射面41が設けられる場合を示し、図7Bは、長手方向の一方の端面に第1の光入射面41が設けられる場合を示す。
【0029】
図7Aに示すように、長手方向の両方の端面に第1の光入射面41が設けられる構成においては、光反射部44(凹部45と凸部46)どうしの間隔は、長手方向の端部(図中のA部とC部)において最も大きく、長手方向の中央部(図中のB部)において最も小さい。このような構成であると、第1の光出射面43から出射される光の強度の主走査方向分布の不均一の抑制を図ることができる。すなわち、長手方向の両方の端面に設けられる2つの第1の光入射面41のそれぞれから光が入射する構成であると、第1の光入射面41から入射して第1の導光体4の内部を進行する光の強度は、長手方向の両方の端部において最も強く、中央部において最も弱くなる。このため、例えば、第1の光拡散面42に光反射部44が設けられない構成や、光反射部44どうしの間隔が均一な構成であると、第1の光出射面43から出射される光の強度は、長手方向の両方の端部において最も強くなり、中央部において最も弱くなる。
【0030】
そこで、本実施形態のように、光反射部44どうしの間隔を、長手方向の中央部において小さくし、長手方向の両端部において中央部よりも大きくする。なお、光反射部44どうしの間隔は、長手方向の端部から中央部に向かって、連続的にまたは段階的に徐々に小さくなる構成が適用できる。このような構成であると、長手方向の中央部において第1の光出射面43に向かって反射する光量を、長手方向の両方の端部よりも多くできる。したがって、第1の光出射面43から出射される光の強度の主走査方向分布の不均一の抑制を図ることができる。このように、光反射部44どうしの間隔は、第1の導光体4の第1の光入射面41から離れるにしたがって大きくなる構成であればよい。
【0031】
また、図7Bに示すように、長手方向の一方の端面に第1の光入射面41が設けられる構成においては、光反射部44どうしの間隔は、第1の光入射面41が設けられる側の端部(図中のD部)において最も大きく、その反対側の端部(図中のF部)において最も小さい。また、長手方向の中央部(図中のE部)における光反射部44どうしの間隔は、第1の光入射面41が設けられる側の端部(図中のD部)における間隔より小さく、反対側の端部(図中のF部)における間隔よりも大きい。このように、光反射部44どうしの間隔は、第1の導光体4の第1の光入射面41から離れるにしたがって大きくなる構成であればよい。このような構成によれば、前記同様の理由により、第1の光出射面43から出射される光の強度の主走査方向分布の不均一の抑制を図ることができる。
【0032】
さらに、光反射部44の例である凹部45と凸部46が、前述のような傾斜面451,461を有する構成であると、照り返し光の抑制を図ることができる。詳細は後述する。なお、照り返し光とは、第2の光源部301から出射して第1の光源部201の第1の導光体4に入射し、第1の導光体4の内部や透過光源ユニット2の各部で反射して第1の導光体4からイメージセンサユニット3に向けて出射する光をいうものとする。
【0033】
<透過光源ユニットの組み付け構成>
ここで、透過光源ユニット2の組み付け構成について説明する。第1の導光体4は、第1のフレーム23の第1の導光体収容室231に、第1の光出射面43が下側を向く姿勢で収容される。このような構成であると、第1の導光体4の第1の光拡散面42は、第1の導光体収容室231の内周面に対向する。前述のとおり、第1のフレーム23は黒色に着色された樹脂材料により形成される。このため、第1の導光体収容室231の内周面の全体が黒色である。したがって、第1の導光体4の第1の光拡散面42は、黒色の面に対向することになる。なお、第1のフレーム23は、全体が黒色でなくてもよい。照り返し光の抑制を図るためには、第1の導光体収容室231の内周面のうち、少なくとも、第1の導光体4の第1の光拡散面42と対向する面が黒色であればよい。
【0034】
第1の光源22は、第1の光源収容室232に収容される。前述のとおり、第1の光源収容室232と第1の導光体収容室231とは繋がっている。このため、第1の光源収容室232に収容された第1の光源22が出射する光は、第1の導光体収容室231に収容された第1の導光体4の第1の光入射面41に入射する。第1のフレーム23の下側には、第1のカバー部材24が取付けられる。第1の導光体4の第1の光出射面43から出射した光は、第1のカバー部材24を透過して、透過光源ユニット2の下側に向かって出射する。
【0035】
<イメージセンサユニット>
次に、イメージセンサユニット3の構成例について、図8図9を参照して説明する。図8は、イメージセンサユニット3の構成例を模式的に示す分解斜視図である。図9は、イメージセンサユニット3の構成例を模式的に示す外観斜視図である。イメージセンサユニット3は、搬送経路Pを搬送される紙葉類Sに向けて下側から光を照射する。そして、イメージセンサユニット3は、イメージセンサユニット3が照射して紙葉類Sで反射した反射光と、透過光源ユニット2が照射して紙葉類Sを透過した透過光を検出して、紙葉類Sの反射光と透過光の画像を得る。
【0036】
図8に示すように、イメージセンサユニット3は、2組の第2の光源部301と、集光体33と、回路基板34と、筐体の例である第2のフレーム35と、第2のカバー部材36とを有する。2組の第2の光源部301は、それぞれ、第2の光源31と、第2の光源31が発する光を線状化する(線光源化する)第2の導光体32とを有する。
【0037】
第2の光源31には、第1の光源22と同じ構成が適用される。このため、説明は省略する。第2の導光体32は、第2の光源31が発する光を線状化(線光源化)する光学部材である。第2の導光体32は、主走査方向に長い棒状の構成を有し、アクリル系の樹脂材料などといった透明な材料により一体に形成される。第2の導光体32の長手方向(主走査方向)の端面には、第2の光源31が発する光を入射させる第2の光入射面321が設けられる。なお、長手方向の端面の一部分に第2の光入射面321が設けられる構成であってもよく、長手方向の端面の全域が第2の光入射面321として機能する構成であってもよい。さらに、第2の光入射面321は、第2の導光体32の長手方向の両方の端面に設けられる構成であってもよく、一方の端面にのみ設けられる構成であってもよい。
【0038】
第2の導光体32の側面の搬送経路Pを向く側には、第2の光出射面322が設けられる。第2の光出射面322は、搬送経路Pの読取ラインOに向けて線状光を出射する面である。第2の光出射面322は、主走査方向に細長い帯状の形状を有する。第2の光出射面322の主走査方向の長さは、第1の導光体4の第1の光出射面43と同様に、画像読取装置1が対応する紙葉類Sの幅(主走査方向の寸法)に応じて設定される。そして、第2の光出射面322は、紙葉類Sの読取ラインO(図1参照)に向けて光を出射するように、主走査方向視において、紙葉類Sの読取ラインOに向かって凸となる曲面に形成される。
【0039】
第2の導光体32の側面のうち、第2の光出射面322の反対側には、第2の光入射面321から入射した光を拡散させる第2の光拡散面323が設けられる(図1参照)。第2の光拡散面323は、第2の光出射面322と同様に、主走査方向に細長い帯状の形状を有する。第2の光拡散面323には、第2の光入射面321から入射した光を拡散するための拡散パターンが設けられる。このような拡散パターンとしては、例えば、光を乱反射する塗料、例えば白色のインクにより印刷されたドットパターンなどが適用される。
【0040】
集光体33は、紙葉類Sからの透過光と反射光をイメージセンサ341の表面に結像する光学部材である。集光体33には、例えば、複数の正立等倍結像型の結像素子(ロッドレンズ)が主走査方向に直線状に配列された構成のロッドレンズアレイが適用される。なお、集光体33は、結像素子が長手方向に直線的に配列される構成を有していればよい。例えば、集光体33は、結像素子が複数列配列されている構成であってもよい。なお、集光体33には、各種マイクロレンズアレイなど、従来公知の各種集光機能を有する光学部材が適用できる。
【0041】
回路基板34は、主走査方向に長い矩形状の構成を有する。回路基板34の上面には、イメージセンサ341が設けられるとともに、第2の光源31が実装される。回路基板34の下面には、外部(例えば、制御部12として機能する制御回路や、画像識別部13として機能する演算回路)と電気的に接続するためのコネクタ342が実装される。
【0042】
イメージセンサ341は、集光体33により結像した光を電気信号(画像信号)に変換して出力する。イメージセンサ341は、集光体33からの光を受光できるように、受光面(受光素子が光を検出する面)を上側に向けて実装される。イメージセンサ341には、例えば、イメージセンサICアレイが適用される。イメージセンサICアレイは、複数のイメージセンサICが回路基板34の上面に主走査方向に直線状に実装されることによって構成される。イメージセンサICは、イメージセンサユニット3の読取の解像度に応じた複数の受光素子(光電変換素子と称することもある)から構成される。このように、イメージセンサ341は、複数のイメージセンサIC(受光素子)が、主走査方向に直線状に配列されて構成される。なお、イメージセンサ341は、複数のイメージセンサICが直線状に配列される構成であればよく、それ以外の構成は特に限定されない。例えば、イメージセンサICが千鳥配列のように複数列配列される構成であってもよい。なお、イメージセンサ341を構成するイメージセンサICには、従来公知の各種イメージセンサICが適用できる。
【0043】
第2のフレーム35は、イメージセンサユニット3の筐体の例である。第2のフレーム35は、例えば、主走査方向に長い直方体状の形状を有しており、第1のフレーム23と同様に、遮光性を有する樹脂材料により一体に形成される。
【0044】
第2のフレーム35には、2つの第2の導光体収容室351と、第2の光源31に応じた数の第2の光源収容室352と、集光体収容室353と、回路基板収容室354(図1参照)とが設けられる。2つの第2の導光体収容室351は、2つの第2の導光体32のそれぞれが収容される領域であり、いずれも、主走査方向に長く上側が開口する溝状の領域である。集光体収容室353は、集光体33が収容される領域であり、主走査方向に長く上下方向に貫通するスリット穴状の領域である。回路基板収容室354は、回路基板34を収容する領域であり、下側が開口する領域である。そして、2つの第2の導光体収容室351は、副走査方向に所定の距離をおいて互いに平行に設けられる。集光体収容室353は、2つの第2の導光体収容室351の間に設けられる。なお、2つの第2の導光体収容室351と集光体収容室353は、いずれも、長手方向が主走査方向に平行である。
【0045】
複数の第2の光源収容室352は、第2の光源31が収容される領域であり、第2の導光体収容室351の主走査方向(長手方向)の外側に設けられ、第2の導光体収容室351と繋がっている。なお、第2の導光体32の長手方向の両方の端部に第2の光入射面321が設けられる構成であれば、第2の光源収容室352は、第2の導光体収容室351の長手方向の両側に設けられる。第2の導光体32の長手方向の一方の端部に第2の光入射面321が設けられる構成であれば、第2の光源収容室352は、第2の導光体収容室351の長手方向の一方の端部であって、第2の光入射面321が位置する側に設けられる。回路基板収容室354は、第2のフレーム35の下部、特に集光体収容室353よりも下側に設けられる。そして、回路基板収容室354と集光体収容室353とは、主走査方向に長いスリット穴状の開口部によって、光が通過可能に連通している。
【0046】
このほか、第2のフレーム35には、画像読取装置1に取り付けるための図略の取付部などが設けられる。なお、取付部の構成は、特に限定されない。取付部は、第2のフレーム35を画像読取装置1に取り付けることができる構成であればよい。
【0047】
第2のカバー部材36は、第2のフレーム35の上側(搬送経路Pの側)に取り付けられる板状の部材である。第2のカバー部材36は、全体が透明であるか、または、透明な部分を有する。第2のカバー部材36は、例えば、アクリルなどの透明な樹脂材料から形成される。第2のカバー部材36は、第2のフレーム35に収容される各部材を保護する機能や、第2のフレーム35の内部に塵埃などの異物が侵入することを防止する機能や、紙葉類Sを平面状に保持する機能などを有する。
【0048】
<イメージセンサユニットの組み付け構成>
ここで、イメージセンサユニット3の組み付け構成について、図1を参照して説明する。集光体33は、第2のフレーム35の集光体収容室353に収容され、第2のフレーム35に接着されて固定される。集光体33を接着する接着剤には、例えば公知の各種紫外線硬化型の接着剤が適用される。図1に示すように、集光体収容室353に収容された集光体33の主走査方向視での光軸Lは、上下方向に平行で搬送経路P(紙葉類Sの搬送方向)と直交する。そして、主走査方向視における搬送経路Pと集光体33の光軸Lとの交点(主走査方向に延伸する直線)が、イメージセンサユニット3が紙葉類Sを読取る位置である読取ラインOとなる。
【0049】
第2の導光体32は、第2のフレーム35の2つの第2の導光体収容室351のそれぞれに収容される。第2のフレーム35には、副走査方向に弾性変形可能な押さえ片355が設けられる。第2の導光体収容室351に収容された第2の導光体32は、これらの押さえ片355によって、集光体収容室353に近い側の内周面に付勢されて当接する。これにより、第2の導光体32は、第2のフレーム35に位置決めされた状態に維持される。なお、第2の導光体32は、搬送経路Pの読取ラインOに向けて光を出射できるように、第2の光出射面322から出射される光軸Mは、集光体33の光軸Lに対して所定の角度をもって傾斜している。
【0050】
第2の光源31は、第2の光源収容室352に収容される。第2の光源収容室352は、第2の導光体収容室351の長手方向の外側に設けられ、第2の導光体収容室351と繋がっている。このような構成であると、第2の光源31が第2の光源収容室352に収容されると、第2の光源31が第2の導光体収容室351に収容された第2の導光体32の第2の光入射面321に対向する。このため、第2の光源31が出射する光は、第2の導光体32の第2の光入射面321に照射され、第2の光入射面321から第2の導光体32の内部に入射する。
【0051】
回路基板34は、第2のフレーム35の下側から回路基板収容室354に収容され、第2のフレーム35に固定される。回路基板34が回路基板収容室354に収容された状態では、イメージセンサ341の受光面は、集光体33の光軸L上で、かつ集光体33の下側の焦点に位置する。これにより、読取ラインOからの光は、集光体33を通過してイメージセンサ341の受光面に結像する。また、第2の光源収容室352に収容された第2の光源31は、回路基板34に接続される。これにより、第2の光源31は、回路基板34を通じて動作用の電力が供給されて発光する。
【0052】
<画像読取装置の動作>
次に、画像読取装置1の動作について説明する。図1に示すように、画像読取装置1においては、透過光源ユニット2とイメージセンサユニット3とが、紙葉類Sの搬送経路Pを挟んで対向して配置される。そして、主走査方向視において、透過光源ユニット2の第1の光源部201が出射する光軸Nと、イメージセンサユニット3の集光体33の光軸Lとは一致する。画像読取装置1は、対向して配置されるイメージセンサユニット3と透過光源ユニット2とによって、紙葉類Sの反射読取と透過読取の両方を行うことができる。ここでは、画像読取装置1が紙葉類Sを識別する機能を有する紙葉類識別装置である例を示し、読取対象物(識別対象物)の紙葉類Sとして紙幣を例に示す。
【0053】
画像読取装置1の制御部12は、図略の駆動機構を制御して搬送ローラー11を回転させ、搬送ローラー11によって紙幣(紙葉類S)を副走査方向に搬送する。すなわち本実施形態では、紙幣を副走査方向に搬送することにより、紙幣と透過光源ユニット2およびイメージセンサユニット3とを副走査方向に相対的に移動させる。そして、画像読取装置1は、紙幣を副走査方向に搬送しつつ、透過光源ユニット2とイメージセンサユニット3とにより、紙幣(紙葉類S)の透過読取と反射読取とを行う。
【0054】
画像読取装置1の制御部12は、紙幣を読取る場合には、透過光源ユニット2の第1の光源22とイメージセンサユニット3の第2の光源31の各色の発光素子を順次点灯する。第1の光源22が出射する光は、第1の導光体4の第1の光入射面41からその内部に入射して内部を進行する。そして、第1の光拡散面42の光反射部44で反射するなどし、第1の光出射面43から読取ラインOに向けて出射する。第1の光出射面43は主走査方向に長いことから、第1の光源22が出射する光は第1の導光体4によって線状化(線光源化)される。読取ラインOに紙幣が存在する場合には、第1の導光体4から出射された光は、紙幣を透過し、イメージセンサユニット3の集光体33に入射し、集光体33によってイメージセンサ341の受光面に結像する。イメージセンサ341は、集光体33によって結像した光を電気信号(画像信号)に変換して出力する。画像読取装置1は、このようにして紙幣の透過読取を行う。
【0055】
イメージセンサユニット3の第2の光源31が出射した光は、第2の導光体32の第2の光入射面321から内部に入射して内部を進行する。そして、第2の光拡散面323で反射するなどし、第2の光出射面322から読取ラインOに向けて出射する。読取ラインOに紙幣が存在する場合には、第2の導光体32から出射された光は、紙幣で反射してイメージセンサユニット3の集光体33に入射し、集光体33によってイメージセンサ341の受光面に結像する。イメージセンサ341は、集光体33によって結像した光を電気信号(画像信号)に変換して出力する。画像読取装置1は、このようにして紙幣の反射読取を行う。
【0056】
そして、画像読取装置1は、第1の光源22の各色の発光素子が発する各色の透過光と、第2の光源31の各色の発光素子が発する各色の反射光とを全て読取ることで、1走査ラインの読取動作を完了する。画像読取装置1は、搬送ローラー11を回転させて紙幣を搬送し、紙幣の全体にわたって透過読取と反射読取を行う。例えば、可視光を照射して紙幣に設けられる所定のパターンを可視光画像として読み取るとともに、赤外線を照射して紙幣を赤外画像として読取る。
【0057】
その後、画像識別部13は、紙幣の真贋判定を行う。例えば、画像識別部13は、予め用意された真券である紙幣に可視光線および赤外線を照射することで得られた真券紙幣画像と、真贋判定時に判定対象となる紙幣の可視光画像と赤外画像とを比較することで行う。これは、真券である紙幣には、可視光下と、赤外光下とから得られる画像がそれぞれ異なるような領域が設けられているためである。
【0058】
<照り返し光の抑制>
ここで、照り返し光を抑制するメカニズムについて説明する。前述のとおり、照り返し光とは、第2の光源部301から出射して第1の光源部201の第1の導光体4に入射し、第1の導光体4の内部や透過光源ユニット2の各部で反射して第1の導光体4からイメージセンサユニット3に向けて出射する光をいう。反射読取を行う際には、紙葉類Sとその周囲外側(すなわち背景)とのコントラストが高いことが好ましい。特に、輝度の高い紙葉類Sを読取る場合には、紙葉類Sの周囲外側の輝度は、紙葉類Sに比較して低いことが好ましく、黒色にあることがより好ましい。そこで、本実施形態では、照り返し光を抑制してコントラストを高める。
【0059】
透過光源ユニット2とイメージセンサユニット3とが紙葉類Sの搬送経路Pを挟んで対向して配置される構成であると、読取ラインOに紙葉類Sが存在しない場合には、イメージセンサユニット3の第2の光源部301が出射した光は、第1の導光体4の第1の光出射面43に入射する。また、紙葉類Sの幅(主走査方向寸法)が第2の導光体32の第2の光出射面322の長さより小さい場合には、紙葉類Sの幅方向外側を通過した光は、第1の導光体4の第1の光出射面43に入射する。
【0060】
第1の導光体4において、第1の光出射面43から入射した光が第1の光拡散面42で反射すると、第1の光出射面43から下側に向かって出射する。この光が照り返し光として集光体33に入射し、イメージセンサ341によって検出されることになる。このため、照り返し光が生じると、イメージセンサ341が出力する画像は、紙葉類Sの周囲外側の領域の輝度が高くなる。その結果、イメージセンサ341が出力する画像は、紙葉類Sの内側の領域と外側の領域とのコントラストが低くなる。したがって、読取品位が低下する。例えば、紙葉類Sの例である紙幣を識別する際に、紙葉類Sの外縁(輪郭)の認識の精度が低下することがある。
【0061】
これに対して、本実施形態の構成によれば、第1の光出射面43に入射した光のうち、第1の光拡散面42の光反射部44(凹部45や凸部46)に到達した光は、傾斜面451,461において反射する。これらの傾斜面451,461は、前述のとおり、上下方向(副走査方向視における第1の光出射面43の法線方向)に対して傾斜している。このため、上下方向に平行な方向に進む光や、上下方向に平行に近い方向に進む光は、傾斜面451,461において、上下方向とは異なる方向に反射する。すなわち、傾斜面451,461で反射した光が、直接的に第1の光出射面43に到達することが抑制される。したがって、照り返し光を抑制できる。
【0062】
また、光反射部44ではない部分、すなわち、第1の光拡散面42の平面の部分に到達した光は、第1の光拡散面42から外部(上側)に出射する。第1の光拡散面42は、第1の導光体収容室231の内周面に対向している。第1の導光体収容室231の内周面は黒色であるから、第1の光拡散面42から出射した光が第1の導光体収容室231の内周面で反射して再び第1の光拡散面42から内部に入射することが抑制される。第1の光拡散面42から入射した光が第1の光出射面43から出射すると、照り返し光となってイメージセンサユニット3の集光体33に入射することがあるが、第1の導光体収容室231の内周面での反射が抑制されるから、照り返し光が抑制される。
【0063】
このように、本実施形態によれば、照り返し光を抑制して、イメージセンサ341が出力する画像の紙葉類Sが写っている領域とその周囲外側の領域とのコントラストを高めることができる。特に、照り返し光を抑制できるから、紙葉類Sの周囲外側の輝度を紙葉類Sに比較して低くし、黒色に近付けることができる。このため、例えば、輝度の高い紙葉類Sの読取りにおいて、読取の精度(紙葉類Sの範囲の認識の精度)を高めることができる。そして、本実施形態によれば、照り返し光の抑制のために遮光板などを設けなくてもよいから、部品点数の増加や構成の複雑化を招くことがない。さらに、本実施形態によれば、第1の導光体4から出射される光の強度の主走査方向分布の不均一の抑制を図ることができるから、透過読取の画質の向上を図ることができる。
【0064】
なお、説明および図示を省略した部分については、従来の画像読取装置1と同じ構成が適用できる。また、画像識別部13は回路基板34に設けられる構成であってもよい。このほか、本実施形態においては、可視光線および赤外線を照射することで紙幣を可視光画像および赤外画像として読み取る構成を示したが、この構成に限定されない。例えば、紫外線を照射する構成であっても構わない。また、紙葉類Sの例として紙幣を示したが、紙葉類Sの種類は限定されるものではない。例えば、紙葉類Sとしては、各種有価証券やIDカードなどが適用できる。
【0065】
<実施例>
次いで、本発明の実施例について説明する。本発明者は、第2の光源31により光を出射させた場合にイメージセンサにより検出される光の強度(輝度値)の主走査方向分布を、シミュレーションにより計算した。図10は、実施例と比較例のシミュレーション結果を示すグラフである。本発明の第1の実施例として、第1の導光体4に凹部45が設けられる例を示し、第2の実施例として凸部46が設けられる例を示す。凹部45は断面略「V」字形状の溝であり、凸部46は断面略三角形の突起状の構造物である。一方、比較例として、第1の光拡散面42に白色のインクによりドットパターンが印刷された例を示す。
【0066】
比較例では、輝度値が主走査方向の中央部で高くなり、両端部で低くなるという結果が得られた。このように、比較例では、光の強度の主走査方向分布が不均一になるという結果となった。これに対して、第1の実施例は、比較例と比べて、輝度値が全体的に低く、かつ、光の強度の主走査方向分布が均一であるという結果が得られた。また、第2の実施例は、比較例と比較して、輝度値が全体的に低くなるという結果が得られた。このように、本発明の実施例によれば、白色のインクによりドットパターンが印刷された従来例の構成に比較して、照り返し光を抑制(低減)できることが確認された。
【0067】
以上、本発明の実施形態および実施例について詳細に説明したが、前述の実施形態および実施例は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、前述の実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
【0068】
例えば、前記実施形態では、画像読取装置の例として、紙葉類識別装置を示したが、画像読取装置は紙葉類識別装置に限定されない。透過読取に対応する画像読取装置であれば、各種スキャナーやコピー機などであってもよい。透過読取に対応する画像読取の機能を有する画像読取装置であれば、種類を問わずに適用できる。
【0069】
また、前記実施形態では、イメージセンサユニットが2組の第2の光源部を有する構成を示したが、イメージセンサユニットが有する第2の光源部の数は限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、透過光源ユニットとイメージセンサユニットを有する画像読取装置に有効に利用できるものである。このような画像読取装置としては、例えば、イメージスキャナー、ファクシミリ、複写機、複合機、紙幣の識別装置などが挙げられる。そして、本発明によれば、部品点数の増加を招くことなく、照り返し光の抑制を図ることができ、読取品位の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0071】
1:画像読取装置、2:透過光源ユニット、201:第1の光源部、22:第1の光源、23:第1のフレーム、231:第1の導光体収容室、232:第1の光源収容室、24:第1のカバー部材、3:イメージセンサユニット、4:第1の導光体、41:第1の光入射面、42:第1の光拡散面、43:第1の光出射面、44:光反射部、45:凹部、451:傾斜面、46:凸部、461:傾斜面、S:紙葉類、P:搬送経路、L:集光体の光軸、M:第2の導光体の光出射面の光軸、N:第1の光出射面から出射される光軸、O:読取ライン
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10