特許第6579880号(P6579880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6579880-微細粒の充填剤を有する固定系 図000010
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579880
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】微細粒の充填剤を有する固定系
(51)【国際特許分類】
   C04B 26/16 20060101AFI20190912BHJP
   C08G 18/34 20060101ALI20190912BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20190912BHJP
   C08G 59/00 20060101ALI20190912BHJP
   C04B 26/14 20060101ALI20190912BHJP
   C04B 14/30 20060101ALI20190912BHJP
   C04B 14/06 20060101ALI20190912BHJP
   C04B 20/00 20060101ALI20190912BHJP
   C04B 24/42 20060101ALI20190912BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   C04B26/16
   C08G18/34
   C08F290/06
   C08G59/00
   C04B26/14
   C04B14/30
   C04B14/06 Z
   C04B20/00 B
   C04B24/42 Z
   C09K3/10 D
   C09K3/10 E
   C09K3/10 L
   C09K3/10 Q
   C09K3/10 G
【請求項の数】16
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-185131(P2015-185131)
(22)【出願日】2015年9月18日
(65)【公開番号】特開2016-69270(P2016-69270A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2018年5月24日
(31)【優先権主張番号】10 2014 013 800.3
(32)【優先日】2014年9月23日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】10 2015 113 352.0
(32)【優先日】2015年8月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514271866
【氏名又は名称】フィッシャーヴェルケ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】fischerwerke GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン グリューン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン フォーゲル
(72)【発明者】
【氏名】クレメンス シュミット
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン シュレンク
【審査官】 田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−009738(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0045630(US,A1)
【文献】 特開2000−169820(JP,A)
【文献】 特表2014−503612(JP,A)
【文献】 特許第5710777(JP,B2)
【文献】 特表2013−527261(JP,A)
【文献】 特開平03−177343(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0131106(US,A1)
【文献】 特表2016−508162(JP,A)
【文献】 特表2016−532742(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2826796(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 26/16
C08F 290/06
C08G 18/34
C08G 59/00
C09K 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多成分の固定樹脂モルタル系、特に建築基材にアンカーエレメントを固定するための多成分の固定樹脂モルタル系において、1つの成分中に、(i)ウレタン(メタ)アクリラートを基礎とする、(ii)エポキシ樹脂を基礎とする又は(iii)ラジカル硬化する(又は硬化可能な)不飽和反応性樹脂を基礎とする反応性合成樹脂を内包し、他の成分中に硬化剤及び、ケイ素及びアルミニウムの酸化物、又は他のカチオンの存在での混合酸化物から選択される、平均粒径d50が40μm以下である少なくとも1つの充填剤を内包し、かつ他の添加物として、3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、グリシジルオキシメチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビス−(3−トリアルコキシシリルプロピル)アミン、3−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルトリアルコキシシラン、3−(メタ)アクリロイル−オキシメチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイル−オキシメチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、エチルポリシリケート、プロピルポリシリケート、又はこれらのシラン2種類以上の混合物から選択されるシランを含有しているか、あるいは前記充填剤が前記のシラン又はこれらのシラン2種類以上の混合物により変性された形で存在している多成分の固定樹脂モルタル系。
【請求項2】
前記充填剤は、混合酸化物を除く上述のものから選択されている、請求項1に記載の多成分の固定樹脂モルタル系。
【請求項3】
前記少なくとも1つの充填剤は、20μm以下の平均粒径d50を有することを特徴とする、請求項に記載の固定樹脂モルタル系。
【請求項4】
前記少なくとも1つの充填剤は、10μm以下の平均粒径d50を有することを特徴とする、請求項に記載の固定樹脂モルタル系。
【請求項5】
前記少なくとも1つの充填剤は、5μm以下の平均粒径d50を有することを特徴とする、請求項1に記載の固定樹脂モルタル系。
【請求項6】
前記少なくとも1つの充填剤は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はカルシウム、チタン、鉄、ナトリウムなどからなる金属の群の酸化物から選択される1つ又は複数の酸化物の付加的存在でのこれらの混合酸化物からなる群から選択されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の固定樹脂モルタル系。
【請求項7】
前記少なくとも1つの充填剤は、石英、ケイ酸塩又は酸化アルミニウムからなる群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の固定樹脂モルタル系。
【請求項8】
他の添加物として、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン及び3−アミノプロピル−トリエトキシシランから選択されるシランを含有しているか、あるいは前記充填剤が前記のシラン1種類により変性された形で存在していることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の固定樹脂モルタル系。
【請求項9】
シランとして、3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルトリメトキシシラン又は3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルトリエトキシシラン3−(メタ)アクリロイル−オキシメチルトリメトキシシラン3−(メタ)アクリロイル−オキシメチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランビニルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランテトラプロポキシシラン、又はこれらの2種類以上の混合物が存在する、及び/又は前記充填剤がこれらにより表面改質されていることを特徴とする、請求項に記載の固定樹脂モルタル系。
【請求項10】
反応性合成樹脂として、(ii)エポキシ樹脂を基礎とするか又は(iii)ラジカル硬化性の(又は硬化可能な)不飽和反応性樹脂を基礎とする反応性合成樹脂を使用することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の固定樹脂モルタル系。
【請求項11】
反応性合成樹脂として、ウレタン(メタ)アクリラートを基礎とする反応性合成樹脂が存在することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の固定樹脂モルタル系。
【請求項12】
ウレタン(メタ)アクリラートを基礎とする前記反応性合成樹脂は、予備延長された、モノマーのジイソシアナート又はポリイソシアナートと、及び/又はポリマーのジイソシアナート又はポリイソシアナートと、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート又はヒドロキシプロピル(メタ)アクリラートとの反応から得られたものであることを特徴とする、請求項11に記載の固定樹脂モルタル系。
【請求項13】
二成分系の形の、請求項1から12までのいずれか1項に記載の固定樹脂モルタル系。
【請求項14】
建築基材の穴又は隙間にアンカーエレメントを固定するための、請求項1から13までのいずれか1項に記載の固定樹脂モルタル系の使用。
【請求項15】
建築基材の穴又は隙間にアンカーエレメントを固定する方法において、請求項1から13までのいずれか1項に記載の多成分の固定樹脂モルタル系及びアンカーエレメントを、前記穴又は隙間に導入し、硬化させる、建築基材の穴又は隙間にアンカーエレメントを固定する方法。
【請求項16】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の多成分の固定樹脂モルタル系中の充填剤としての、平均粒径d50が40μm以下である、ケイ素及びアルミニウムの酸化物、又は他のカチオンの存在での混合酸化物から選択される少なくとも1つの充填剤の、40μmより大きな平均粒径d50を有する充填剤と比べて結合応力を向上させるための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つの成分中に、(i)ウレタン(メタ)アクリラートを基礎とする(特に好ましい)、(ii)エポキシ樹脂を基礎とする又は(iii)ラジカル硬化する(又は硬化性の)不飽和反応性樹脂を基礎とする反応性合成樹脂を内包し、他の成分中に、後に詳細に記載する硬化剤を内包する、多成分の固定樹脂モルタル系、特に建築基材にアンカーエレメントを固定するための多成分の固定樹脂モルタル系、並びにその製造方法、及び固定技術における、特に建築基材にアンカーエレメントを固定するためのその使用、更に相応する方法及び多成分キットに関する。
【背景技術】
【0002】
建築分野では、例えば穿孔中にアンカーエレメントを固定するために、二成分カートリッジ又は二室型カートリッジの形状で、1種以上の成分を有するポリマー形成する化学的なアンカー材料(しばしば、「ケミカルジベル」ともいわれる)中で使用するための粉末状の充填剤の形の骨材(Zuschlagstoffe)は公知である。しばしば、この充填剤の種類は、これが、セメントのように、それ自体例えば水硬性に硬化することにより固定に寄与するような充填剤である場合には、あまり重視されない。例えば特許文献1は、充填材の種類は重要でなく、一連の可能な充填剤が挙げられることを明確に述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP 0 150 555 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
永久的な課題は、特に良好な特性、例えば高い引張強さ及び圧縮強さを示しかつ特に建築分野における高い要求を満たすことができるこの種の固定系を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
意外にも、極めて小さな粒子サイズを有する充填剤を使用する場合に、より大きな粒子サイズを有する充填剤と比較して意外にも特に良好な引張強さ及び圧縮強さを達成できることが見出された。
【0006】
従って、本発明は、第1の実施態様の場合に、一つの成分に、(i)ウレタン(メタ)アクリラートを基礎とする(特に好ましい)、(ii)エポキシ樹脂を基礎とする又は(iii)ラジカル硬化する(又は硬化性)の不飽和反応性樹脂を基礎とする反応性合成樹脂を内包し、他の成分中に硬化剤を内包する、多成分の固定樹脂モルタル系、特に建築機材中にアンカーエレメントを固定するための多成分の固定樹脂モルタル系において、ケイ素(好ましい)及びアルミニウムの酸化物、又は他のカチオンの存在での混合酸化物から選択される少なくとも1種の充填剤を内包し、前記充填剤の平均粒径d50は、50μm以下、特に40μm以下、好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下、例えば好ましくは10μm以下、極めて好ましくは5μm以下、殊に2.5μm以下、最も好ましくは1μm以下であることを特徴とする、多成分の固定樹脂モルタル系に関する。
【0007】
前節で(又は後節で)定義された多成分の固定樹脂モルタル系の、建築基材の穴又は隙間にアンカーエレメントを固定するための使用も、本発明の主題である。
【0008】
本発明による多成分の固定樹脂モルタル系及びアンカーエレメントを穴又は隙間に導入しかつ硬化させる、建築基材の穴又は隙間にアンカーエレメントを固定する方法も、本発明の主題を形成する。
【0009】
最後に、上記又は下記に定義されたような多成分の固定樹脂モルタル系中の充填剤として、平均粒径d50が50μm以下、特に40μm以下、好ましくは30μm以下、特に好ましくは25μm以下、例えば好ましくは20μm以下、極めて好ましくは10μm以下、殊に5μm以下、最も好ましくは1μm以下である、ケイ素(好ましい)及びアルミニウムの酸化物、又は他のカチオンの存在での混合酸化物から選択される少なくとも1種の充填剤の、より大きな平均粒径を有する充填剤と比較して結合応力(Verbundspannung)の向上のための使用も本発明の実施態様を形成する。
【0010】
好ましくは、本発明による固定樹脂モルタル系又は本発明により使用される固定樹脂モルタル系は、更に、少なくとも1つのSi結合した加水分解可能な基を内包するシランを添加物として有するか、又は充填剤が添加の前にこの種のシランで変性されていて、この場合、シランは、特に、アンカー材料の重合時に反応性の基(例えば相応するエポキシを基礎とするアンカー材料についてはエポキシ基又はアミノ基、又は更に、相応するラジカル硬化可能なアンカー材料についてはオレフィン系二重結合、例えば(メタ)アクリラート基)を内包し、他方でSi結合した加水分解可能な基、例えばアルコキシ(例えば1〜7個の炭素原子を有する)又はハロゲノ、例えばクロロを内包するシランである。この表面変性は、例えば、1つ以上の加水分解可能な基、例えばアルコキシ基、例えばメトキシ基又はエトキシ基をケイ素原子に結合して含有するシランを用いて、例えば、3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、例えば3−アミノプロピル−トリメトキシシラン又は3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン(特に好ましくはエポキシを基礎とする系の場合)、例えば3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン又は3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、グリシジルオキシメチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビス−(3−トリアルコキシシリルプロピル)アミン、例えばビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン又はビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、3−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及び(特別な態様として、特に不飽和の反応性合成樹脂を基礎とする系の場合)3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルトリアルコキシシラン、例えば3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルトリメトキシシラン又は3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルトリエトキシシラン又は3−(メタ)アクリロイル−オキシメチルトリメトキシシラン又は3−(メタ)アクリロイル−オキシメチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルメチルジメトキシシラン及びアルケニルアルコキシシラン、例えばビニルアルコキシシラン、例えばビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシラン、及び/又は更に全ての実施態様の場合にテトラアルコキシシラン、例えばテトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン又はテトラプロポキシシラン又はアルコキシポリシリケート((ポリ)ケイ酸のエステル)、例えばエチルポリシリケート又はプロピルポリシリケート、これらの2以上の混合物の群から選択されるシランを用いて実施されていてもよいか又は使用時に(例えばアンカーエレメントの固定のために)実施してもよい。DE 10 2014 109353.4の出願(出願日2014年7月4日)(この出願はここで引用によって組み込まれる)に記載されているようなオリゴマーのシランも使用できるか又は水(系中に拡散する水又は残留水)との反応によって生じることがある。
【0011】
本発明の特別な実施態様の場合に、添加物としての、少なくとも1つのSi結合した加水分解可能な基を内包するシランは、又はシランの添加の前に充填剤の変性のために使用されるシランは、特に、アンカー材料の重合時に反応性の基(例えばエポキシ基又はアミノ基、(例えば相応するエポキシを基礎とするアンカー材料について)、他方で加水分解可能な、Si結合した基、例えばアルコキシ(例えば1〜7個の炭素原子を有する)又はハロゲノ、例えばクロロを内包するシランから選択される。1以上の加水分解可能な基、例えばアルコキシ基、例えばメトキシ基又はエトキシ基をケイ素原子に結合して含有するシランは、例えば、3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、例えば3−アミノプロピル−トリメトキシシラン又は3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン(特に好ましくはエポキシを基礎とする系の場合)、例えば3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン又は3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、グリシジルオキシメチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビス−(3−トリアルコキシシリルプロピル)アミン、例えばビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン又はビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、及び3−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及び/又は更に全ての実施態様の場合に、テトラアルコキシシラン、例えばテトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン又はテトラプロポキシシラン又はアルコキシポリシリケート((ポリ)ケイ酸のエステル))、例えばエチルポリシリケート、又はプロピルポリシリケート;又はこれらの2以上の混合物の群から選択される。
【0012】
他方で、本発明の主題の特別な実施態様の場合に、3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルトリアルコキシシラン、例えば3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルトリメトキシシラン又は3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルトリエトキシシラン、又は3−(メタ)アクリロイル−オキシメチルトリメトキシシラン又は3−(メタ)アクリロイル−オキシメチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルメチルジメトキシシラン又は更にアルケニルアルコキシシラン、例えばビニルアルコキシシラン、例えばビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランがこの種のシランとして好ましいことがある。
【0013】
この種のシランは、二成分又は多成分の固定樹脂モルタル系少なくとも1つの成分にそれ自体添加されていてもよい。その際、この表面変性は、場合により、混合プロセス、貯蔵及び/又は、固定の際の成分の混合及び引き続く硬化の範囲内で行うことができる。加水分解可能な基を有するシランは、本発明により使用されるべきアンカー材料中に、例えば、0.01〜50質量%、特に0.1質量%以上、例えば1〜30質量%、好ましくは2質量%以上、例えば2〜30質量%又は15質量%まで、3質量%以上、例えば3〜20質量%又は10質量%まで、更に好ましくは3.5質量%以上、例えば3.5〜20質量%又は8質量%までの質量割合で予定されていてもよい。
【0014】
上述及び後述の一般的な概念又は特徴は、それぞれ特別に(特に次に)挙げられた定義により、単独で、複数で又は全て置き換えることができ、これらは本発明の特別な、特に好ましい実施態様を生じさせる。
【0015】
平均粒径(Mittelkorn)d50は、粒子の50質量%が、記載された粒子サイズd50よりも小さい粒度として定義されている。多様でかつ技術的に一般に認められたd50の測定方法、例えば典型的に篩を用いる粒度曲線測定又は例えば(特に1μm未満の直径を有する小さな粒子の場合)レーザー粒度分析による測定方法が存在する。
【0016】
実施例に挙げられたd50値は、製造元の表示に対応する。
【0017】
「ein」又は「eine」が使用されている場合、これは(例えば「少なくとも」の前置きにより明示されていない限り)まずは不定冠詞であると解釈され、かつ「ein(数詞の1) oder mehrere」の場合では1つ(数詞の1)を内包する。他に表現すると、「1つ」又は「1つ以上、例えば2つ又は3つ」を意味する。
【0018】
上述又は後述のパーセントで示す割合又は含有率の記載は、他に記載又は明示がない限り、それぞれ本発明による樹脂組成物(包装材は含まない)の全ての内容物質を基準とした質量パーセント(質量%)又は相対的な質量割合を意味する。
【0019】
「及び/又は」は、記載された特徴/物質が、それぞれ単独で、又は、それぞれ記載された特徴/物質の2以上の組合せで存在してもよいことを意味する。
【0020】
「内包する(beinhalten)」又は「含む(umfassen)」は、記載された成分又は特徴の他に、他の成分又は特徴が存在してもよいことを意味し、つまり非制限的列挙を表すが、それに対して「含有する(enthalten)」は、その使用の際に列挙された成分又は特徴の制限的列挙を意味する。
【0021】
付加語の「更に」が記載されている場合には、この付加語なしの特徴がより好ましいことがあることを意味する。
【0022】
(メタ)アクリルとは、アクリル、メタクリル又はアクリル及びメタクリル(混合物として)を意味する。
【0023】
ケイ素(好ましい)又はアルミニウムの酸化物は、まず、二酸化ケイ素(特に好ましい)又は「酸化アルミニウム」(Al23)である。(更に存在する)混合酸化物は、特に、カルシウム、チタン、鉄、ナトリウム等からなる金属の群の酸化物から選択される1つ又は複数の酸化物が付加的に存在する形のこれらの酸化物である。特に好ましいのは、二酸化ケイ素、特に石英、ケイ酸塩、又は酸化アルミニウム、特にα−酸化アルミニウムである。ケイ素の酸化物又はケイ素とアルミニウムとの混合酸化物は特に好ましく、ケイ素の酸化物がより好ましい。
【0024】
特に石膏、チョーク及び水酸化アルミニウムは、単独の充填剤として除外される、というのも、これらの場合、今までの結果によると、粒子サイズの影響が見られないためである。
【0025】
反応性合成樹脂は、好ましくは次に定義されている:
(i) 本発明の特別な及び好ましい実施態様の場合に存在する又は使用される、本発明による固定樹脂モルタル系中のウレタンメタクリラート(「ビニルエステルウレタン」)を基礎とする反応性合成樹脂中のウレタン(メタ)アクリラートの例は、一方で、予備延長させたモノマーのジイソシアナート又はポリイソシアナートの及び/又は他方でポリマーのジイソシアナート又はポリイソシアナート(例えばPMDI、MDI)の、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリラート又はヒドロキシプロピル(メタ)アクリラートとの反応から生じるものである。予備延長反応(Vorverlaengerungsreaktionen)を実施するための方法様式及び多数の予備延長反応法は当業者に公知であり、ここでは全てを詳細に記載しない。ここでは、例示的にEP 0508183 A1、EP 0432087 A1明細書及び出願番号DE 10 2014 101 861.3の2014年2月14日付けの未公開の明細書を指摘する。
【0026】
特別な実施態様は、DE 10 2013 101 861.3に示された方法により又はこれに類似する方法により製造することができる(製造可能であるか又は特に製造された)ウレタン(メタ)アクリラート樹脂に関し、この方法を次に簡潔に述べる:
ビニルエステルウレタン樹脂、特にウレタン(メタ)アクリラート樹脂(以後U(M)A樹脂ともいう)の製造方法は、ビニルエステルウレタン樹脂、特にU(M)A樹脂の製造のための出発物質として、平均官能価が2又はそれ未満又は特に2を越える(これは、2未満の官能価のイソシアナートと2を越える官能価のイソシアナートとの混合によっても達成できる)、例えば2.0又は特に2.1〜5、例えば2.2〜4、好ましくは例えば2.3〜3.5のイソシアナートを、少なくとも1つのC−C二重結合(非共役のオレフィン性結合)を有する脂肪族アルコール、特にヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、好ましくはヒドロキシ低級アルキル(メタ)アクリラート、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリラート又は特にヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、好ましくは2−ヒドロキシプロピルメタクリラート(HPMA)と反応させることを特徴とする。工業的に提供可能なHPMAは、この場合、2−ヒドロキシプロピルメタクリラートとヒドロキシイソプロピルメタクリラートとの混合物と見なされ、他の1つのオレフィン性結合を有する脂肪族アルコールも、工業的な異性体混合物として又は純粋な異性体としても存在することができる。
【0027】
平均官能価が2未満又は2又は特に2を越える、例えば2.1〜5、例えば2.2〜4、好ましくは例えば2.3〜3.5のイソシアナートとは、例えばウレトジオン構造、イソシアヌラート構造、イミノオキサジアジノン構造、ウレトンイミン構造、ビウレット構造、アロファナート構造及び/又はカルボジイミド構造を有するポリイソシアナート(好ましくは、単一の分子種が50質量%より多くは存在せずかつ同時に鎖の50質量%より多くが少なくとも3+1の共有結合したモノマー単位/反応体から構成されているような分子量分布を有する(REACHによる正確なポリマーの定義を参照))であるか又は好ましくは(例えば工業的製造プロセスにおいて典型的に生じるか又は次のように(例えばモノマー又はモノマー混合物の添加及び/又は蒸留により)意図的に調節された)、(i)1以上のモノマーのモノイソシアナート又は特にジイソシアナート、例えばジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、特に4,4′−ジフェニルメチルジイソシアナート又は2,2′−ジフェニルメタンジイソシアナート又は上述のようなジフェニルメタンジイソシアナート異性体の混合物(フェニル核に異なる位置でイソシアナート基を有する)と、(ii)1以上の「ポリマーの」ジフェニルメタンジイソシアナート(PMDI)、つまり好ましくは、複数の異性体及び高い官能性の同族体を有し(つまり内包し)かつ例えば200〜800g/molのオーダーの平均分子量及び上述のような官能価を有する、例えば平均分子量280〜500、例えば310〜480及び官能価2.4〜3.4、例えば3.2を有する粗製MDI(MDIの工業的に製造された、個々の異性体を例えば蒸留により分離していない粗製生成物)との混合物である。粗製MDI自体又は粗製MDIから例えばモノマーMDIの蒸留及び/又は添加により得られかつ310〜450の平均分子量を有しかつウレトジオン構造、イソシアヌラート構造、イミノオキサジアジノン構造、ウレトンイミン構造、ビウレット構造、アロファナート構造及び/又はカルボジイミド構造を内包することができる市場で通常のPMDIが好ましい。特に、単一の分子種が50質量%より多く存在しないような分子量分布を有する市場で通常のPMDIが好ましい。
【0028】
「官能価」とは、1分子当たりのイソシアナート基の数であると解釈され、ジフェニルメタンジイソシアナートの場合には、この官能価は(主に、つまり不純物による差異を除いて)2であり、PMDIの場合には、次の式
【数1】
(f=官能価、ni=官能価fiの分子の数)
により計算することができかつ2未満又は2又は特に好ましくは2を越える、例えば2.1〜5.0又は上述の範囲内にある(一般に製造元により表示された)平均官能価である。
【0029】
ウレタン(メタ)アクリラート樹脂の製造方法は、好ましくは触媒の存在で(この場合、ヒドロキシル基とイソシアナート基との反応を触媒する相応する触媒は、当業者に十分に公知であり、例えば第3級アミン、例えば1,2−ジメチルイミダゾール、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノナン、又は有機金属化合物(例えばK、Sn、Pb、Bi、Al及び特に遷移金属、例えばTi、Zr、Fe、Zn、Cuの有機金属化合物);並びにこれらの2以上の混合物である)、例えば(反応混合物を基準として)0.001〜2.5質量%の割合で、好ましくは安定剤(禁止剤)、例えばフェノチアジン、TEMPO、TEMPOL、ヒドロキノン、ジメチルヒドロキノン、トリフェニルホスフィット、tert−ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル、tert−ブチルピロカテキン及び/又はp−ベンゾキノン又はこれらの2以上の混合物の存在で、例えば反応混合物を基準として0.0001〜2.5質量%の量で、例えば0〜120℃の好ましい温度で、特に50〜95℃で行われる。
【0030】
適切な触媒及び安定剤の例は当業者に公知であり、例えばBecker, G.W.; Braun, D.; Oertel, G.著、「Polyurethane Kunststoff-Handbuch 7(ポリウレタンプラスチックハンドブック7)」、第3版、Carl Hanser Verlag, 1993から明白である。
【0031】
この反応は、溶剤なしで(少なくとも1つのC−C二重結合を有する脂肪族アルコール、特にヒドロキシ(低級)アルキル(メタ)アクリラート自体は溶剤として利用されるか)又は適切な溶剤、例えば他の反応性希釈剤の存在で実施することができる。ここで、「反応性」とは、接着剤の調整及びその硬化に関しており、アルコールのイソシアナートへの付加に関するものではない。
【0032】
この反応は、予備延長によりプレポリマーを生成し、その後に初めて、残りのイソシアナート基を少なくとも1つのC−C二重結合を有する脂肪族アルコール、ヒドロキシ(低級)アルキル(メタ)アクリラートと、上述又は後述のように反応させることにより行うこともできる。
【0033】
プレポリマーの製造について、この場合、2未満、2又は特に2を越える平均イソシアナート官能価の達成のために、上述のイソシアナートと、1分子当たり2以上のヒドロキシ基を有するポリオール及び/又は1分子当たり2以上のアミノ基を有するポリアミン又は1分子当たり2以上のアミノ基及びヒドロキシ基を有するアミノールを使用するか、又は官能価2のイソシアナートを、2を越える平均OH官能価及び/又はアミノ官能価を有するポリオール、ポリアミン又はアミノールと共に使用する。
【0034】
ポリオール(二官能性又は多官能性アルコール)は、この場合、特に二官能性又は多官能性のアルコール、例えば酸化エチレン又は酸化プロピレンの後続生成物、例えばエタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ジプロピレングリコール、他のジオール、例えば1,2−、1,3−又は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチルプロパン−1,3−ジオール又は2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、トリエタノールアミン、ビスフェノールA又はビスフェノールF、又はこれらのオキシエチル化生成物、水素化生成物及び/又はハロゲン化生成物、多価アルコール、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール及びペンタエリトリット、ヒドロキシを有するポリエーテル、例えば脂肪族又は芳香族のオキシラン及び/又は高級環状エーテル、例えば酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化スチレン又はフランのオリゴマー、主鎖内に芳香族構造単位を含有するそれぞれ末端にヒドロキシを有するポリエーテル、例えばビスフェノールA又はF、上述のアルコール若しくはポリエーテルとジカルボン酸又はその無水物、例えばアジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸などを基礎とするヒドロキシル基末端のポリエステルである。鎖の補強に作用する芳香族構造単位を有するヒドロキシ化合物、架橋密度を高めるための不飽和成分を有するヒドロキシ化合物、例えばフマル酸、又は分枝した又は星形のヒドロキシ化合物、特に3官能性又はより高い官能性のアルコール及び/又はこれらの構造単位を含有するポリエーテル又はポリエステルが特に好ましい。特に、低級アルカンジオール(二価の基−O−低級アルキレン−O−を生じる)が好ましい。
【0035】
アミノール(アミノアルコール)は、特に1つの同じ分子中に1以上のヒドロキシ基及び1以上のアミノ基を含有する化合物である。好ましい例は、脂肪族アミノール、特にヒドロキシ低級アルキルアミン(基−NH−低級アルキレン−O−又は−O−低級アルキレン−NH−を生じる)、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン又は3−アミノプロパノール、又は芳香族アミノール、例えば2−、3−又は4−アミノフェノールである。
【0036】
ポリアミン(二官能性又は多官能性アミン)は、2以上のアミノ基を有する有機アミノ化合物、特にヒドラジン、N,N′−ジメチルヒドラジン、脂肪族ジアミン又は脂肪族ポリアミン、特に低級アルカンジアミン(基−NH−低級アルキル−NH−を生じる)、例えばエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン又はジエチレントリアミン、又は芳香族ジアミン又は芳香族ポリアミン、例えばフェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン又は4,4′−ジアミノジフェニルメタン、ポリエーテルジアミン(末端アミノ基を有するポリエチレンオキシド)又はアニリンとホルムアルデヒドとの縮合により得られるポリフェニル/ポリメチレン−ポリアミンである。
【0037】
1種以上のイソシアナートの遊離イソシアナート基の、1種以上のヒドロキシ低級アルキル(メタ)アクリラートのヒドロキシ基に対する比の値は、好ましくはイソシアナート基の迅速でかつ完全な反応が生じるように選択され、つまり、ヒドロキシ基のモル量(及びヒドロキシ低級アルキル(メタ)アクリラートの関連するモル量)が、イソシアナート基のモル量よりも大きく、例えば1.03〜5倍大きく、例えば1.05〜4倍大きく又は1.1〜3倍大きくなるように選択される。過剰量のヒドロキシ低級アルキル(メタ)アクリラートは、反応性希釈剤として利用される。
【0038】
この方法により得られるU(M)A樹脂は、ウレタン(メタ)アクリラートを基礎とする反応性合成樹脂中の本発明により使用可能な又は存在するウレタン(メタ)アクリラート樹脂である。
【0039】
「ウレタン(メタ)アクリラートを基礎とする」とは、本発明による固定樹脂モルタル系が、今までに挙げられた成分の他に、更に通常の成分(例えば混和剤(Additive)又は他の上述の成分)を内包してもよいことを意味する。この他の成分は、例えば合計で80質量%まで、好ましくは0.01〜65質量%の量で存在してもよい。明確に「基礎とする」と述べられていない場合でも、この種の通常の成分は可能である。
【0040】
ウレタン(メタ)アクリラートを基礎とする反応性合成樹脂又はこれを内包する固定樹脂モルタル系の他の内容物の例は、ここでは金属塩を基礎とするか又は好ましくはアミン系の促進剤、禁止剤、非反応性希釈剤、反応性希釈剤、チキソトロピー剤、本発明により使用可能な他の充填剤及び/又は他の混和剤(Additive)、又はこれらの内容物の2以上の混合物である。
【0041】
金属塩を基礎とする促進剤として、Cu塩、Co塩、Mn塩、Sn塩又はCe塩、例えばオクタン酸銅が挙げられる。アミン系促進剤として、十分高い活性を有する促進剤が挙げられ、例えば特に、エポキシアルキル化アニリン、トルイジン又はキシリジン、例えばエトキシル化トルイジン、アニリン又はキシリジン、例えばN,N−ビス(ヒドロキシプロピル又はヒドロキシエチル)−トルイジン又は−キシリジン、例えばN,N−ビス(ヒドロキシプロピル又はヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)−キシリジン及び特に好ましくは相応する高級アルコキシル化された工業的生成物からなる群から選択された(好ましくは第3級、特にヒドロキシアルキルアミノ基置換された)芳香族アミンが挙げられる。1以上のこの種の促進剤も可能である。この促進剤は、好ましくは、0.005〜10、特に0.1〜5質量%の割合(濃度)を有する。
【0042】
禁止剤として、例えば非フェノール系(嫌気)及び/又はフェノール系の禁止剤を添加することができる。
【0043】
フェノール系禁止剤(これは、しばしば市販のラジカル硬化性反応性樹脂の既に混合された成分として予定されているが、更にはなくてもよい)として、(非アルキル化又はアルキル化)ヒドロキノン類、例えばヒドロキノン、更にはモノメチルヒドロキノン、ジメチルヒドロキノン又はトリメチルヒドロキノン、(非アルキル化又はアルキル化)フェノール、例えば4,4′−メチレン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン、(非アルキル化又はアルキル化)ピロカテキン、例えばtert−ブチルピロカテキン、3,5−ジ−tert−ブチル−1,2−ベンゼンジオール、又は特に4−メトキシフェノール、又はこれらの2以上の混合物が挙げられる。これらは、好ましくは1質量%までの割合で、特に存在する場合には0.0001〜0.5質量%、例えば0.01〜0.1質量%の割合を有する。
【0044】
非フェノール系又は嫌気性の(つまりフェノール系禁止剤とは反対に酸素なしでも有効な)禁止剤(これは、特に硬化時間にほとんど影響しない)として、好ましくは、フェノチアジン又は有機ニトロキシルラジカルが挙げられる。有機ニトロキシルラジカルとして、例えば、DE 199 56 509(ここで特にここに挙げられた化合物に関して引用により組み込まれる)に記載されているようなもの、特に1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール(「4−OH−TEMPO」又は「TEMPOL」)を添加することができる。非フェノール系禁止剤の質量割合は、(存在する場合に)好ましくは、反応性樹脂調製物を基礎として、1ppm(質量基準)〜2質量%の範囲内、特に例えば5ppm〜1質量%の範囲内にある。
【0045】
非反応性希釈剤として、例えば植物油、例えばヒマシ油又は更にはバイオアルコール及び脂肪酸及びこれらのエステル、又はこれらの2以上の混合物を、例えば3〜60質量%、例えば4〜55質量%の割合で添加することができる。
【0046】
チキソトロピー剤として、通常のチキソトロピーを引き起こすレオロジー調整助剤、例えば熱分解ケイ酸又は(例えばシランで)表面処理されたケイ酸を使用することができる。これらは、例えば0.01〜50質量%、例えば0.5〜20質量%の質量割合で添加することができる。
【0047】
本発明による充填剤の他に使用可能な他の充填剤として、更に、比較的大きな平均粒径を有する通常の充填剤、特にチョーク、石英砂、石英粉、コランダム等(これらは粉末として粒状の形で又は成形体の形で添加することができる)を使用できるか、又は他の充填剤、例えば生物起源の炭素割合が高い植物由来の種又は殻の粉末、例えばオリーブ種粉末、ココナッツ殻粉末、又は更にはクルミ殻粉末、又は上述のエポキシドで記載されたような水硬性充填剤、又はこれらの混合物(この場合、これらの充填剤は更に又は特にシラン化されていてもよい)が使用できる。これらの充填剤は、本発明による多成分の固定樹脂モルタル系の1以上の成分中に、例えば相応する二成分キットの一方の成分又は両方の成分中に存在してもよい;充填剤の割合は、好ましくは0〜90質量%、例えば10〜50質量%である(この場合、アンカーエレメントの導入の際に破壊されるカバー材料(例えば粉砕されたガラス又は粉砕されたプラスチック)、例えばカートリッジの破片も、充填剤として考慮することができる)。上述の1以上の充填剤に加えて更に又はこれとは別に、更に水硬性に硬化可能な充填剤、例えば石膏、生石灰又はセメント(例えばアルミナセメント又はポートランドセメント)、水ガラス又は活性水酸化アルミニウム、又はこれらの2以上が添加されていてもよい。
【0048】
他の充填剤として、通常の充填剤、特にセメント(例えばポートランドセメント又はアルミナ溶融セメント)、チョーク、砂、石英砂、石英粉等(これらは粉末として、粒状の形で又は成形品の形で添加されていてもよい)、又はこれらの2以上の混合物が使用でき、この場合、これらの充填剤は更に又は特にシラン化されていてもよい。
【0049】
他の混和剤、例えば可塑剤、非反応性希釈剤、柔軟剤、安定剤、レオロジー調整助剤、湿潤剤、分散剤、着色添加物、例えば着色剤又は特に顔料(例えば成分の混合をより良好に制御するために成分の多様な着色のため)など、これらの2以上の混合物も添加してもよい。この種の他の添加物は、好ましくは全体で、0〜90質量%、例えば0〜40質量%の質量割合で添加されていてもよい。
【0050】
「反応性希釈剤」として、付加的に、生物起源の形で又は非生物起源の形の1以上のラジカル硬化性不飽和反応性希釈剤も添加することができ、この反応性希釈剤とは、まず、ラジカル硬化性(これは、「(例えば硬化剤添加前に)硬化可能な」を含める)成分として、不飽和(例えばオレフィン性の)基を有する有機化合物を内包するか又は特にこのような化合物からなようなものと解釈され、例えば特に(メタ)アクリラートモノマー又は(メタ)アクリルアミドモノマー、例えばアクリル酸及び/又はメタクリル酸又は好ましくはこれらのエステル((メタ)アクリラートとも言われる)又はアミド、特に(メタ)アクリラート、例えばモノ−、ジ−、トリ−又はポリ(メタ)アクリラート(本発明によるU(M)A樹脂製造からも既に過剰量で反応性希釈剤として内包されていることがあるヒドロキシ低級アルキル(メタ)アクリラートを含める)、例えばヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート又はヒドロキシエチル(メチル)アクリラート、1〜10個の(メタ)アクリラート基を有するアルキル(メタ)アクリラート、例えばモノ−、ジー、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−又はポリ(メタ)アクリラート、例えばアルキルジ−又はトリ(メタ)アクリラート、例えば1,2−エタンジオールジ(メタ)アクリラート、ブタンジオール(メタ)アクリラート、例えば1,3−又は特に1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリラート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリラート、ジエチルグリコールジ(メタ)アクリラート、特に好ましくはオリゴアルキレングリコールジ(メタ)アクリラート、例えばDE 10 2014 109355.0(出願日2014年、7月4日)に記載されている、この出願はここで引用によって取り込まれる、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、グリセリントリ(メタ)アクリラート、ポリグリセリンポリ(メタ)アクリラート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、シクロアルキル−、ビシクロアルキル−又はヘテロサイクリル(メタ)アクリラート、この場合、シクロアルキル又はビシクロアルキルは更に置換されていてもよくかつ5〜7個の環炭素原子を有し、ヘテロサイクリルは5又は6個の環原子を有し、更に置換基を有していてもよくかつN、O及びSから選択される1又は2個の環原子を有する、例えばテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリラート又はイソボルニル(メタ)アクリラート、又はアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリラート;又は更にスチレン類、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、tert−ブチルスチレン及び/又はジビニルベンゼン;又はこれらの2以上の混合物が、ラジカル硬化性不飽和反応性樹脂と同時に硬化する成分として、例えば(存在する場合に)、充填剤なしであるが、場合により他の添加剤を有する、ビニルエステルウレタン樹脂と反応性希釈剤との混合物の全質量を基準としてそれぞれ、0.1〜90質量%、例えば10〜80質量%、30〜70質量%又は40〜60質量%の質量割合で存在している。
【0051】
上述のラジカル硬化可能なオリゴアルキレングリコールジ(メタ)アクリラートは、特に式Iのものであり、
【化1】
上記式中、基Rは、互いに無関係に、C1〜C7−アルキル、特にメチルを表し、nは、平均で2.5〜13、好ましくは3.5〜10、特に4〜8、とりわけ4.2〜7、殊に4.5及び6を表す。
【0052】
相応する化合物の例は、特にトリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート(TIEGDMA)、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリラート(TTEGDMA)、ポリエチレングリコール200−ジ(メタ)アクリラート(PEG200DMA)(平均値n≒4.5)(最も好ましい)、ポリエチレングリコール400−ジ(メタ)アクリラート(PEG400DMA)(平均値n=9)、更にポリエチレングリコール600−ジ(メタ)アクリラート(PEG600DMA)(平均値n=13)である。
【0053】
(ii) 本発明による固定樹脂モルタル系の使用の際又は本発明による固定樹脂モルタル系中で使用する際に使用可能な又は予定される、エポキシドを基礎とする反応性合成樹脂は、好ましくはグリシジル化合物を基礎とするエポキシド成分、例えば平均のグリシジル基官能価が1.5以上、特に2以上、例えば2〜10のエポキシド成分を内包し、これは任意に他のグリシジルエーテルを反応性希釈剤として内包していてもよい。エポキシド成分のエポキシドは、好ましくは、少なくとも1つの多価アルコール又はフェノール、例えばノボラック、ビスフェノールF又はビスフェノールAのポリ(ジを含む)グリシジルエーテル、又はこれらのエポキシドの混合物であり、例えば相応する多価アルコールとエピクロロヒドリンとの反応により得られる。この例は、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ノボラック−エポキシ樹脂、ビスフェノールAエピクロロヒドリン樹脂及び/又はビスフェノールFエピクロロヒドリン樹脂であり、例えば平均分子量≦2000を有する。エポキシ樹脂は、例えばエポキシ当量120〜2000、好ましくは130〜400、特に155〜195、例えば165〜185を有することができる。固定樹脂モルタル系のエポキシド成分の割合は、好ましくは5〜100質量%未満、特に10〜80質量%、10〜70質量%、又は10〜60質量%である。これらのエポキシ成分の2以上の混合物も可能である。適切なエポキシ樹脂、反応性希釈剤及び硬化剤は、基本文献Lee H及びNeville K著、「Handbook of Epoxy Resins」(New. York: McGraw-Hill)、1982に記載されている(これらの化合物は、ここで引用によって取り込まれる)。
【0054】
「エポキシドを基礎とする」とは、本発明による固定樹脂モルタル系が、今までに挙げられた成分の他に、更に通常の成分(例えば混和剤又は他の上述の成分)を内包してもよいことを意味する。この他の成分は、例えば合計で80質量%まで、好ましくは0.01〜65質量%の量で存在してもよい。明確に「基礎とする」と述べられていない場合でも、この種の通常の成分は可能である。
【0055】
他の成分についての重要な例は、促進剤、反応性希釈剤、チキソトロピー剤、本発明による場合の他に存在又は使用される他の充填剤及び他の混和剤から選択される1つ以上である。
【0056】
促進剤として、例えばtert−アミン、例えばイミダゾール又はtert−アミノフェノール、例えばトリス−2,4,6−ジメチルアミノメチルフェノール、オルガノホスフィン又はルイス塩基又はルイス酸、例えばリン酸エステル、又はこれらの2以上の混合物を、1つの成分の形で又は(特に多成分系の場合に)これらの成分の複数で、好ましくはそれぞれ硬化剤成分中で、例えば0.001〜15質量%の質量割合で内包されていてもよい。
【0057】
チキソトロピー剤として、通常のレオロジー調整助剤、例えば熱分解ケイ酸を使用することができる。これらは、例えば0.001〜50質量%、例えば1〜20質量%の質量割合で添加することができる。
【0058】
他の充填剤として、更に、上述のウレタンメタクリラート樹脂について述べた充填剤を使用することができる。
【0059】
他の混和剤、例えば可塑剤、非反応性希釈剤、柔軟剤、レオロジー調整助剤、湿潤剤、着色添加物、例えば着色剤又は特に顔料(例えば成分の混合を良好に制御するために成分の多様な着色のため)など、又はこれらの2以上の混合物も添加又は内包されていてもよい。(残留)含水量は、ここでも同様に除外されない。同様に他の物質、例えばガス又は特に気体の状態の物質が貯蔵の間に加わることがある。この種の他の添加物は、好ましくは全体で、0〜90質量%、例えば0〜40質量%の質量割合で添加されていてもよい。
【0060】
エポキシドの定義の際に挙げられた所定の化合物、例えば芳香族基を含むエポキシドよりも低い粘度を有するトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル又はヘキサンジオールジグリシジルエーテルは、反応性希釈剤として、例えば0.1〜90質量%、例えば0.5〜75質量%、又は1〜40質量%の質量割合で使用されていてもよい。
【0061】
同じ又は場合により異なるエポキシド官能価の、これらの反応性希釈剤の2以上の混合物も可能である。
【0062】
硬化剤は、少なくとも1つの、エポキシド硬化のために常用の化合物(重付加の場合の反応体)を内包する。「硬化剤」の概念は、この場合、好ましくは、充填剤の添加及び/又は他の添加剤、例えば水、増粘剤及び/又は他の添加物あり又はなしの、少なくとも1つの、エポキシド硬化のために常用の化合物を意味し、換言すると完全な硬化剤成分を意味する。硬化剤は、別々の成分として及び/又は(特に保護された形で、つまり例えばマイクロカプセル化された形で)反応性樹脂調製物(硬化可能な成分として、つまりマイクロカプセルの包皮が破壊され硬化剤と混合されることにより重合によって硬化する成分)中にも導入することができる。常用の添加物、例えば充填剤(特に上述に定義されたような)及び/又は(特にペースト又はエマルションの製造のため)溶剤、例えばベンジルアルコール及び/又は水が添加されていてもよく、この場合、水は、加水分解可能な基を内包するシラン又はシロキサンの加水分解のための反応体として利用することができ、かつ硬化剤成分がその他にシラン又はシロキサンを含まない場合には、単に含まれているだけでもよい。エポキシドを基礎とする、本発明による固定樹脂モルタル系の硬化剤成分の他の添加物は、例えば、硬化剤成分を基準として、合計で0.01〜70質量%、例えば1〜40質量%の質量割合で予定されていてもよい。
【0063】
エポキシド硬化のために常用の化合物(この化合物は重付加の際の反応体として機能する)は、特に、アミノ、イミノ及びメルカプトから選択される2以上の基を有する化合物、例えばLee H及びNeville K著、「Handbook of Epoxy Resins」(New. York: McGraw-Hill)、1982(これはここでこれについて引用によって組み込まれる)に挙げられているような例えば相応するアミン(好ましい)、チオール、又はアミノチオール、又はこれらの混合物、例えばその中に挙げられたジアミン又はポリアミン、及び/又はジチオール又はポリチオールである。好ましくは、エポキシド硬化のために常用の化合物は、ゴム変性剤又は他の耐衝撃性変性剤(例えばアミノ官能化されたブタジエンポリマー又はブタジエンアクリルニトリルポリマー)を有しない。
【0064】
エポキシド硬化のために(一般的に)常用の化合物は、例えば本発明の実施態様において、次のものを有する
− ジアミン又はポリアミン、例えば特に脂肪族(例えばエチレンジアミン)、ヘテロ脂肪族(例えば4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン)、脂環式(例えば1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン)、複素脂環式(例えばアミノエチルピペラジン)、芳香族脂肪族(例えばメタ−キシリレンジアミン)及び芳香族のジアミン又はポリアミン、アミドアミン、アミン付加物(例えば文献EP 0 824 124に開示されたようなBucherer付加物)、ポリエーテルジアミン又はポリフェニル/ポリメチレンポリアミン、マンニッヒ塩基(特に、例えば文献WO 2005/090433の、特に第3頁最後の段落〜第6頁第2段落に開示されている、例えばその実施例1又は特に2、又は例えば文献EP 0 645 408に又は特に所定のアミン及びスチレン化フェノールを基礎とするもの又はスチレン化フェノールと低分子量のアミンとの混合物の形のその前駆体、これはドイツ国特許出願DE 10 2013 113 465.3に開示、WO 2014/090382としても公開、これらはここでこれに関して引用により取り込まれる、つまりフェノール類(例えばフェノール、ピロカテキン、レゾルシン、ヒドロキノン、ヒドロキシヒドロキノン、フロログルシン、ピロガロール、o−クレゾール、m−クレゾール又はp−クレゾール、特にフェノール)と、スチレン又はスチレン類似体、例えばビニルトルエン、ジビニルベンゼン又は4−ビニルピリジン、特にスチレン、例えばスチレン化フェノール、スチレン化レゾルシン、スチレン化ビスフェノールA又はスチレン化ビスフェノールFとの求電子置換生成物;単独又は他の1以上のジアミン又はポリアミンとの混合物の形)、ポリアミドなど;
− ジチオール又はポリチオール;例えばチオール末端基を有するモノオール、ジオール、トリオール、テトラオール、ペンタオール及び/又は他のポリオールからなるエトキシル化及び/又はプロポキシル化されたアルコール(例えばCognis社のCapcure 3-800)及び/又は例えば特にエステル基を内包するチオール。例えば、ジオール、トリオール、テトラオール、ペンタオール又は他のポリオールのα−メルカプトアセタート又はβ−メルカプトプロピオナートのエステルであることができる。
【0065】
「脂肪族」とは、この場合、例えば1〜20の鎖原子(炭素又は(例えばO、S及びNから相互に無関係に選択される(例えば1〜3の)ヘテロ原子)を意味することができる。
【0066】
エポキシド硬化のために常用の上記の化合物の2以上の混合物が使用されるか又は内包されていてもよい。
【0067】
このエポキシド硬化のために常用の化合物は、好ましくは95質量%まで、好ましくは2〜70質量%、例えば10〜50%の量で存在する。
【0068】
この硬化剤成分を基準にして、これらの化合物の割合は、本発明の可能な好ましい実施態様の場合に、1〜100質量%、例えば3〜95質量%、例えば4〜95質量%、5〜90質量%又は10〜80質量%である。
【0069】
(iii) ラジカル硬化性の(又は硬化可能な)不飽和の反応性合成樹脂とは、まず、ラジカル硬化性(これは(例えば硬化剤添加前に)硬化可能なを含む)成分として、不飽和(例えばオレフィン性)の基を有する有機化合物を内包するか又はその有機化合物からなるもの、特に不飽和カルボン酸基を有する硬化可能なエステルを有するものと解釈され、例えば、特に(メタ)アクリラートモノマー又は(メタ)アクリルアミドモノマー、例えばアクリル酸及び/又はメタクリル酸又は好ましくはこれらのエステル((メタ)アクリラートとする)又はアミド、特に(メタ)アクリラート、例えばモノ−、ジ−、トリ−又はポリ(メタ)アクリラート(ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、エチレングリコールジ(メタ)アクリラート、ブタンジオールジ(メタ)アクリラート、ヘキサンジオールジメタクリラート、特に好ましくはオリゴアルキレングリコールジ(メタ)アクリラート、例えば上記された又はDE 10 2014 109355.0(特に上述に式Iで述べられている)に記載されている、又は(好ましくは、それぞれプロポキシル化又は特にエトキシル化された)芳香族ジオールの、例えばビスフェノールAの、ビスフェノールFの又はノボラックの(特にジ−)(メタ)アクリラートを含める)、エポキシ(メタ)アクリラート(特に、ジエポキシド又はポリエポキシド、例えばビスフェノールAの、ビスフェノールFの又はノボラックのジ−及び/又は−ポリ−グリシジルエーテルと、不飽和カルボン酸、例えばC2〜C7−アルケンカルボン酸、例えば特に(メタ)アクリル酸との反応生成物の形)、ウレタン(メタ)アクリラート及び/又は尿素(メタ)アクリラート(これは、例えば当業者に公知の予備延長された及び/又はオリゴマーのウレタン(メタ)アクリラート及び/又は尿素(メタ)アクリラートを含む)、及び/又は不飽和ポリエステル樹脂など;又はこれらの硬化可能な不飽和の有機成分の2以上の混合物。
【0070】
本発明の特別な実施態様の場合に存在又は使用されるエポキシ(メタ)アクリラートの例は、式のものである
【化2】
前記式中、nは1より大又は1に等しい数を表す(異なるn値を有する多様な分子の混合物が存在しかつこの式により表されている場合、平均値として整数でないこともあり得る)。
【0071】
本発明の特別な実施態様の場合に有用なプロポキシル化又は特にエトキシル化された芳香族ジオールの、例えばビスフェノールAの、ビスフェノールFの又はノボラックの(特にジ−)(メタ)アクリラートの例は、式のものである
【化3】
前記式中、a及びbは、それぞれ相互に無関係に、0より大か又は0に等しい数を表し、ただし、好ましくは少なくとも一方は、0より大の値であり、好ましくは両方とも1以上である(異なる(a及びb)の値を有する異なる分子の混合物が存在しかつこの式により表される場合、平均値として整数でないこともあり得る)。
【0072】
他の内容物の重要な例は、ここではアミン系促進剤、禁止剤、非反応性又は他の(生物起源を除く)反応性希釈剤、チキソトロピー剤、本発明によるものとは他の充填剤及び/又は他の混和剤である。
【0073】
反応性又は非反応性希釈剤、促進剤、禁止剤、チキソトロピー剤、混和剤、充填剤又は他の充填剤及び他の内容物質として、既に(i)に示された全てが挙げられる。
【0074】
(i)〜(iii)による反応性合成樹脂用の硬化剤は、本来の開始剤としての少なくとも1つのペルオキシドを内包する。「硬化剤」の概念は、この場合、好ましくは上述の又は後述の純粋な開始剤又は充填剤添加された又は添加なしの減感された開始剤、及び/又は他の添加物、例えば水、増粘剤及び/又は他の添加剤、例えば着色剤、顔料、混和剤などを意味し、換言すると完全な硬化剤成分を意味する。減感のために、通常の添加物、例えば石膏、チョーク、熱分解(好ましくは表面処理された、例えば疎水化された)ケイ酸、フタラート、クロロパラフィンなどが添加されていてもよい。その他にも充填剤及び/又は(特にペースト又はエマルションの製造のための)溶剤(非反応性希釈剤、例えば液状の(例えばエポキシ化された又はヒドロキシル基を有する)油、例えばヒマシ油、又は水、増粘剤、充填剤(例えば上述のもの)及び上述のものとは他の添加物を添加することもできる。全ての添加物の割合は、例えば全体で0.1〜99.5質量%、例えば1〜99.5質量%の質量割合であってもよい。
【0075】
本発明による反応性樹脂調製物の硬化剤用の開始剤として、ラジカル重合の場合に、例えばラジカル形成するペルオキシド、例えば有機ペルオキシド、例えばジアシルペルオキシド、例えばベンゾイルペルオキシド、ケトンペルオキシド、例えばメチルエチルケトンペルオキシド又はシクロヘキサノンペルオキシド、又はアルキルペルエステル、例えばtert−ブチルペルベンゾアート、無機ペルオキシド、例えば過硫酸塩又は過ホウ酸塩、並びにこれらの混合物が使用される。
【0076】
これとは別に、本発明による固定樹脂モルタル系の硬化のために、硬化剤系を使用することができ、これは次の成分:
a) 金属塩の形の少なくとも1つの活性剤
b) ラジカル連鎖反応開始剤として少なくとも1つのチオール基及び/又はチオールエステル基を内包する化合物を
開始剤として内包する。この両方の成分の組み合わせ若しくは混合により、ラジカルを生成することができ、このラジカルは今まで通常のラジカル生成剤(例えばペルオキシド)の代わりに、非芳香族二重結合、例えばオレフィン性二重結合、例えばアクリラート又はメタクリラートの重合を引き起こすことができる。ここで、2031年12月16日の特許出願DE 10 2013 114 061.0が指摘され、これはここでこれに関して参照により取り込まれる。
【0077】
同様に、これとは別に、開始剤として次の成分を内包するものを硬化剤系として使用することができるか又は予定されていてもよい:
a) 金属塩の形の少なくとも1つの活性剤及び
b) ラジカル連鎖反応開始剤として式I
【化4】
[式中、
(i)
−A−は、−C(R1)(R2)−を表し、
−X−は、結合、−NR3−又は−(CR45p−を表すか、又は−O−を表し、
Yは、NR6又は(CR78qを表すか、又は−O−を表し、
この場合、XがOを表す場合に、YもOを表し、
この場合、好ましくはXは(CR45pを表し、かつYはCR78を表すか、又はXはNR3及びYはNR6を表し、
1は、O、S、S=O又はS(=O)2を表し、
2は、O、S、S=O又はS(=O)2を表し、
3は、O、S、S=O又はS(=O)2を表すか又はR9又はR10を表し、
pは、1、2又は3を表し、好ましくは1又は2を表し、
qは、1、2又は3を表し、好ましくは1を表し、
及び、基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、相互に無関係に、水素、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルを表し、かつそれぞれ非置換であるか又は置換されていてもよく及び/又はヘテロ原子(C原子の代わりに;好ましくはO、N、例えばNH又はN−アルキル、及びSから選択される)を有するが、ただし基R1及びR2の少なくとも一方は水素を意味する]の少なくとも1つのCH活性化合物
又は
(ii) 開鎖の化合物、
その際、架橋を形成する構成員−C(=Z3)−が欠けていて、
−A−は、−C(R1)(R2)−を表し、X及びYは、相互に無関係に、それぞれ非分枝であるか又は分枝されていて、非置換であるか又は置換されていて、場合によりヘテロ原子(C原子の代わり;特にO、N、例えばNH又はN−アルキル、及びSから選択される)を有するC1〜C4−アルキル基又はC1〜C4−アルコキシ基又はC1〜C4−アルコキシカルボニルメチル基又はC1〜C4−アルキルカルボニルメチル基を表し、
1及びR2は、両方とも水素を意味しかつ
1及びZ2は、上述の意味を有し;
又は、Xは、それぞれ非分枝の又は分枝した、非置換の又は置換された、場合によりヘテロ原子(C原子の代わり;特にO、N、例えばNH又はN−アルキル、及びSから選択された)を有するC1〜C4−アルキル基又はC1〜C4−アルコキシ基又はC1〜C4−アルコキシカルボニルメチル基又はC1〜C4−アルキルカルボニルメチル基を表し、
Y及びZ2は、結合する炭素原子と一緒になって−CNを意味し、
1は、上述の意味を有し、かつ
1及びR2は、それぞれ上述に定義されているが、ただしこれらの基の少なくとも一方は水素を意味し;
及び/又はこれらの塩を内包する。これらの化合物の好ましい例は、2,4,6−ピリミジントリオン誘導体であり、バルビツル酸(2,4,6−ピリミジントリオン)自体、1−ベンジル−5−フェニルバルビツル酸(1−(フェニルメチル)−5−フェニル−2,4,6−ピリジントリオン)、5−ブチルバルビツル酸(5−ブチル−2,4,6−ピリミジントリオン)、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツル酸(1−シクロヘキシル−5−エチル−2,4,6−ピリミジントリオン)又は2−チオバルビツル酸(4,6−ジヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン)、1,3−シクロヘキサンジオン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、2−メチル−1,3−シクロペンタンジオン、4,4−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン(ジメドン)、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン又は2,2,5−トリメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、3−オキソグルタル酸ジメチルエステル、及び/又はジエチル−1,3−アセトンジカルボキシラート、エチルシアノアセタート、メチルシアノアセタート又は2−エチルヘキシルシアノアセタート、又はDE 10 2011 078 785に挙げられたような1,3−ジオキソ化合物である。ここで、2014年4月11日のドイツ国特許出願DE 10 2014 105 202.1が指摘され、これはここでこれに関して参照により取り込まれる。
【0078】
上述の硬化剤系は、仕上げられた硬化剤組成物として(例えばマイクロカプセル化された成分a)及びb)と共に存在するか、又は好ましくは合成樹脂組成物(ある意味では組成物(混合物))の他の成分と混合する際、例えば使用する際に初めて仕上げられてもよい。
【0079】
硬化剤成分を基準にして、開始剤(本来の硬化剤)の割合は、ここでは、本発明の可能な好ましい実施態様の場合に、0.5〜90質量%、特に0.9〜30質量%である。
【0080】
本発明による合成樹脂固定モルタルに関する硬化剤の割合は、この場合、好ましくは、包装材なしの全ての反応体及び添加物の質量(重量)を基準として、1〜60質量%、例えば2〜50質量%の範囲内にあり、この場合、過酸化物の割合は、同様に全体の所属する反応樹脂調製物の質量(100%)を基準として、0.1質量%以上、特に好ましい実施態様の場合には0.1〜<1質量%、更には1〜10質量%であることもできる。
【0081】
ラジカル硬化可能な不飽和反応性樹脂(又はこれらの成分の全体量)は、例えば5〜99.5%の質量割合で、例えば10〜98.5、例えば10〜89.5%の質量割合で予定されている。
【0082】
「基礎とする」とは、本発明による固定樹脂モルタル系が、記載された成分の他に、他の通常の内容物質(例えば、混和剤又は他の上述又は後述の成分)を内包することができることを意味する。これらの他の内容物質は、一緒に例えば、合計で80質量%まで、好ましくは0.01〜65質量%の量で存在してもよい。明確に「基礎とする」と述べられていない場合でも、この種の通常の内容物質は内包されている。
【0083】
非反応性希釈剤として、上記された全ての反応性合成樹脂、例えば植物油、ヒマシ油、又は更にバイオアルコール及び脂肪酸及びそれらのエステル、又はこれらの2以上の混合物を、例えば3〜60質量%、例えば4〜55質量%の割合で添加することができる。
【0084】
アルキル(アルキレン又はアラルキル又はシクロアルキルアルキルの場合も)は、この開示の中では、特に、例えば1〜20個、好ましくは1〜10個の炭素原子、例えば1〜4個の炭素原子を有する、非分枝又は1箇所又は数箇所分枝したアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル又はtert−ブチルを表す。「低級アルキル」とは、1〜7、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキルを意味する。
【0085】
シクロアルキル(同様にシクロアルキルアルキルの場合も)は、特に単環式、二環式又は三環式の、好ましくは単環式の、環中に3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル、好ましくは3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル、特にシクロペンチル又はシクロヘキシルを表す。
【0086】
アリール(同様にアリールアルキル、アラルキルの場合も)は、単環式、二環式又は三環式の、好ましくは単環式の、不飽和の環式炭化水素基を表し、例えば特にフェニル又はナフチルを表し、この場合、アリールは非置換であるか、又は例えば1以上の、例えば3つまでのC1〜C7−アルキル基によって置換されていてもよい。
【0087】
穴又は隙間とは、建築基材中に存在しかつ外側から到達できる穴又は隙間であると解釈され、例えば穿孔又はセメント又は石膏によるモルタル塗りの場合に空間が空いた領域などであると解釈される。
【0088】
本発明の特に好ましい実施態様の場合に、1つ又は複数の反応性合成樹脂(例えば成分Aとして)及び硬化剤(例えば成分Bとして)は、所望の箇所(例えば穴又は隙間で又は穴又は隙間中で、例えば穿孔中で)で互いに混合される前には、二成分系又は多成分系の場合に互いに別々に貯蔵されている。
【0089】
特に、成分A対成分Bの質量比が99:1〜1:99、99:1〜50:50、99:1〜60:40又は99:1〜70:30である二成分系が挙げられる。
【0090】
相互に不所望に反応しかねない成分、例えば水と本発明による使用されるシランの加水分解可能基又は水とセメントは、この場合、好ましくは穴又は隙間に使用する前には相互に隔てられていなければならない。
【0091】
従って、例えば、このような二成分系又は更に多成分系の成分(A)は、1以上の反応性合成樹脂を内包し、成分(B)は、硬化剤を内包する。シランは、独立して第3の成分として予定することができるか、又は反応性合成樹脂成分及び/又は硬化剤成分の構成成分であることができる。全ての場合に、シランが存在している成分は、Si結合した加水分解可能な基による不所望な加水分解及び架橋の原因とならないために、水を十分に不含に保たなければならない(例えば、それぞれの成分の全質量を基準として、水0.1質量%未満、特に0.05質量%未満)か、又はシランと水とを(例えばマイクロカプセル化により)相互に隔てておかなければならない。これとは別に、シランはオリゴマー化された形で存在していてもよい(例えば、貯蔵の間に存在する水との反応により生じるか又は、例えばDE 10 2011 086 862 A1に示された方法によるか又はこの方法と同様に、上述の(主にモノマーの)シランから予め製造される)。
【0092】
本発明による注入型合成樹脂系は、従って、一成分系(他に存在する成分と反応する成分、例えば硬化剤は保護されている、例えばカプセル化されている)として、又は好ましくは多成分系(多成分キット)として予定されていてもよくかつ使用してもよい。
【0093】
多成分キットとは、特に上述又は後述のような複数の反応性合成樹脂を内包する成分(A)と、硬化剤(成分(B))とを有し、その際、更なる添加物は上記成分の一方又は両方中に予定されていてもよい二成分キット又は多成分キット(好ましくは二成分キット)、好ましくは二室型又は更に多室型装置であると解釈され、この場合、相互に反応性の成分(A)と(B)と、場合により他の別個の成分は、これらが貯蔵の間に相互に反応できないように含有されていて、好ましくはこれらは使用の前には互いに接触しないが、成分(A)及び(B)及び場合により他の成分は所望な箇所での固定のために、例えば穴の直前又は穴の中で混合されかつ必要な場合に導入され、そこで硬化反応を行うことができるように含有されている。例えばプラスチック、セラミック又は特にガラス製のカートリッジも適していて、このカートリッジ内にこれらの成分は、(例えばアンカーエレメントを穴又は隙間、例えば穿孔に取り付ける際に)破壊可能な仕切り壁部によって又は組み込まれた別々の破壊可能な容器によって互いに隔てられて配置されていて、例えば互いに入り組んだカートリッジ、例えばアンプルとして配置されている;並びに特に多成分カートリッジ又は特に二成分カートリッジ(これらは同様に特に好ましい)は、利用の前の貯蔵のために、このカートリッジの複数の室内に、上述及び後述に挙げられた組成物を有する本発明による固定モルタルの複数の又は好ましくは2つの成分(特に(A)及び(B))が含有されていて、この場合にスタティックミキサも所望のキットに所属している。
【0094】
本発明による固定モルタルを所望の使用箇所に使用することは、特に穴の付近又は穴の直前又は(例えば特にスタティックミキサを使用する場合又は相応するカートリッジを破壊する場合に)穴又は隙間、例えば穿孔の内部で、所属する成分の混合により行われる。
【0095】
「モルタル結合(Einmoerteln)」とは、特に金属製アンカーエレメント(例えばアンダーカットアンカー、ネジ付きロッド、ネジ、穿孔アンカー、ボルト)又は更に他の材料、例えばプラスチック又は木材からなるアンカーエレメントの(固体の)建築基材中での、特に穴、例えば穿孔中での(素材の結び付きによる及び/又は形状の噛み合いによる)固定であると解釈され、この建築基材には、コンクリート又は組積が該当し、特に、この建築基材が、人工的に構築された建築基材の構成要素である場合に、特に組積、屋根、壁、床、板、柱(例えば、コンクリート、天然石、中実レンガ又は穴あきレンガからなる組積、更にプラスチック又は木材などである。
【0096】
このアンカーエレメントを用いて、例えば手すり、カバーエレメント、例えばプレート、ファッサード又は他の建築エレメントを固定することができる。
【0097】
1つ又は複数のアンカーエレメントの導入は、好ましくは、本発明による固定樹脂モルタル系の成分の混合後に既に短時間で、好ましくは30分以下で行われる。詳細には:アンカーエレメント個固定すべき所望の箇所に又は所望の箇所内に、特に穴、例えば穿孔に、上記成分を混合及び導入すると共に、複数の、ほぼ並行して及び/又は僅かに時間的にずれて行われる反応、特に重合が開始する。最終的な硬化はその場(in situ)で行われる。
【0098】
本発明の好ましい実施態様は、請求項(特に従属請求項)に記載されていて、これらは実施例の場合も同様に、ここで引用によって組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
図1】実施例1の使用された粒子の平均粒径(Mittelkorn)への結合応力(Verbundspannung)の依存性を示す。
【0100】
次の実施例は、本発明の説明のために利用されるが、本発明の範囲を制限するものではない。
【0101】
実施例1:本発明による及び比較例による2成分固定樹脂モルタル系
実施例2により製造されたウレタンメタクリラート樹脂の使用下で、本発明による2成分固定樹脂モルタル系のためにそれぞれ次の2成分を製造した:
【表1】
【0102】
「充填剤」について、石英、α−酸化アルミニウム、石膏、チョーク及び水酸化アルミニウムを、それぞれの配合で記載された微粉度で使用する。
【0103】
これらの合成樹脂成分及び硬化剤を市販のカートリッジに5:1の混合比で充填する。
【0104】
次の測定結果が得られた:
【表2】
*) サイズ効果なしの比較例
σは、引張強さ及び圧縮強さを表し、εは、破断時の伸び率又は圧縮率(Stauchung)を表す。
【0105】
結合応力についての値は、図1でもグラフにより図示されている。丸印は、サイズ効果なしの材料を表す。
【0106】
試験方法:
これらの成分は、この場合、市販のスタティックミキサ付きの二室型カートリッジを用いて、欧州技術認証機構(「European Organisation for Technical Approvals」)(EOTA)(2001):ETAG番号001、2006年11月発行のガイドライン、コンクリート中のアンカーのための金属ジベルについての欧州技術認証(Leitlinie fuer die europaeische technische Zulassung fuer Metallduedbel zur Verankerung im Beton)第5部:複合ジベル、2013年4月のガイドラインに記載された条件で、粘着破壊試験を行い、かつ75mmのアンカー深さでM12ボルトについての5つの試験からの接着破壊荷重の平均値を測定する(穿孔の清掃 ブロア2回、ブラシ2回、ブロア2回、硬化時間23℃で24時間)。
【0107】
引張強さは、DIN EN ISO 527による試験体タイプ1BAのダンベルについて、圧縮強さは、DIN EN ISO 604により、23℃で24時間の硬化時間の後にそれぞれ測定する。
【0108】
実施例2:(A)ウレタンメタクリラート樹脂の製造:
乾燥器管を備えた還流冷却器、撹拌機、滴下漏斗及び温度計を備えた1000mlガラスフラスコ中に、HPMA 191g、BDDMA 174g、BDDMA中に溶かした安定剤及び触媒の混合物2.15gを装入し、油浴で60℃に加熱した。PMDI(平均官能価=約2.9)132gをこの反応混合物にゆっくりと、温度が90℃を越えて上昇しないように滴加した。PMDIを完全に添加した後、更に80℃で30分間撹拌して、反応を完全にした。この完全な反応(IR分光分析によって検出可能なイソシアナート基の不含)を、FT−IRによって調査した。
【0109】
PMDI:異性体及び高官能性同族体を含むジフェニルメタンジイソシアナート、分子量430g/mol、官能価3.2(製造元の記載)
BDDMA:1,4−ブタンジオール−ジメタクリラート(工業製品)
【0110】
実施例3:エポキシ樹脂組成物の例
【表3】
【0111】
これらの成分を3:1カートリッジ中に充填し、fischerwerke GmbH & Co. KG社のFIS EM 390 S製品に対して試験した。この場合に、結合応力を10%を越えて向上させることができた。
【0112】
[本発明の態様]
1. 多成分の固定樹脂モルタル系、特に建築基材にアンカーエレメントを固定するための多成分の固定樹脂モルタル系において、一つの成分中に、(i)ウレタン(メタ)アクリラートを基礎とする、(ii)エポキシ樹脂を基礎とする又は(iii)ラジカル硬化する(硬化性の)不飽和反応性樹脂を基礎とする反応性合成樹脂を内包し、他の成分中に硬化剤及び、ケイ素及びアルミニウムの酸化物、又は他のカチオンの存在での混合酸化物から選択される、平均粒径d50が50μm以下である少なくとも1つの充填剤を内包する、多成分の固定樹脂モルタル系。
2. 前記充填剤は、混合酸化物を除く上述のものから選択されている、前記1に記載の多成分の固定樹脂モルタル系。
3. 前記少なくとも1つの充填剤は、40μm以下の、好ましくは20μm以下の平均粒径d50を有することを特徴とする、前記1又は2に記載の固定樹脂モルタル系。
4. 前記少なくとも1つの充填剤は、10μm以下の、好ましくは5μm以下の、更に好ましくは2.5μm以下の、最も好ましくは1μm以下の平均粒径を有することを特徴とする、前記1から3までのいずれか1に記載の固定樹脂モルタル系。
5. 前記少なくとも1つの充填剤は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又は、金属の、特にカルシウム、チタン、鉄、ナトリウムなどからなる金属の群の酸化物から選択される1つ又は複数の酸化物の付加的存在でのこれらの混合酸化物からなる群から選択される、特に石英、ケイ酸塩又は酸化アルミニウム、特にα−酸化アルミニウムから選択されることを特徴とする、前記1から4までのいずれか1に記載の固定樹脂モルタル系。
6. 他の添加物として、少なくとも1つのSi結合した加水分解可能基を内包する少なくとも1つのシランを内包するか、又は前記充填剤がこの種のシランで変性された形で存在することを特徴とする、前記1から5までのいずれか1に記載の固定樹脂モルタル系。
7. シランとして、3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルトリアルコキシシラン、例えば3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルトリメトキシシラン又は3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルトリエトキシシラン又は3−(メタ)アクリロイル−オキシメチルトリメトキシシラン又は3−(メタ)アクリロイル−オキシメチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイル−オキシプロピルメチルジメトキシシラン、アルケニルアルコキシシラン、例えばビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシラン、及び/又はテトラアルコキシシラン、例えばテトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン又はテトラプロポキシシラン、又はこれらの2つ以上の混合物が存在する、及び/又は前記充填剤がこれらにより表面改質されていることを特徴とする、前記6に記載の固定樹脂モルタル系。
8. 反応性合成樹脂として、(ii)エポキシ樹脂を基礎とするか又は特に(iii)ラジカル硬化性の(又は硬化可能な)不飽和反応性樹脂を基礎とする反応性合成樹脂を使用することを特徴とする、前記1から7までのいずれか1に記載の固定樹脂モルタル系。
9. 反応性合成樹脂として、ウレタン(メタ)アクリラートを基礎とする反応性合成樹脂が存在することを特徴とする、前記1から7までのいずれか1に記載の固定樹脂モルタル系。
10. ウレタン(メタ)アクリラートを基礎とする前記反応性合成樹脂は、予備延長された、モノマーのジイソシアナート又はポリイソシアナートと、及び/又はポリマーのジイソシアナート又はポリイソシアナートと、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート又はヒドロキシプロピル(メタ)アクリラートとの反応から得られたものであることを特徴とする、前記9に記載の固定樹脂モルタル系。
11. 二成分系の形の、前記1から10までのいずれか1に記載の固定樹脂モルタル系。
12. 建築基材の穴又は隙間にアンカーエレメントを固定するための、前記1から11までのいずれか1に記載の固定樹脂モルタル系の使用。
13. 建築基材の穴又は隙間にアンカーエレメントを固定する方法において、前記1から11までのいずれか1に記載の多成分の固定樹脂モルタル系及びアンカーエレメントを、前記穴又は隙間に導入し、硬化させる、建築基材の穴又は隙間にアンカーエレメントを固定する方法。
14. 前記1から11までのいずれか1に定義されたような多成分の固定樹脂モルタル系中の充填剤としての、平均粒径d50が50μm以下、特に40μm以下、好ましくは30μm以下、有利に25μm以下、例えば好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下、第一に好ましくは5μm以下、最も好ましくは1μm以下である、ケイ素及びアルミニウムの酸化物、又は他のカチオンの存在での混合酸化物から選択される少なくとも1つの充填剤の、より大きな平均粒径を有する充填剤と比べて結合応力を向上させるための使用。
図1