特許第6579888号(P6579888)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6579888電気銅メッキ浴の製造方法並びに当該銅メッキ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579888
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】電気銅メッキ浴の製造方法並びに当該銅メッキ方法
(51)【国際特許分類】
   C25D 3/38 20060101AFI20190912BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20190912BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   C25D3/38 101
   C25D7/00 J
   H05K3/18 G
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-190919(P2015-190919)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2017-66448(P2017-66448A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000197975
【氏名又は名称】石原ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092439
【弁理士】
【氏名又は名称】豊永 博隆
(72)【発明者】
【氏名】藤原 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】榮川 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】山口 翔平
【審査官】 ▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−023693(JP,A)
【文献】 特開2006−037232(JP,A)
【文献】 特開2003−253490(JP,A)
【文献】 特開2007−107074(JP,A)
【文献】 特開2014−185390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 3/38
C25D 7/00
H05K 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶性銅塩と、酸又はその塩と、平滑剤とを含有する電気銅メッキ浴であって
(A)アミン化合物と、
(B)一端又は両端に反応性基を有してC2〜C4オキシアルキレン単位が連続するポリアルキレンオキシド化合物とを原料とし、
C2〜C4オキシアルキレン鎖とその末端に結合したアミン化合物とを構成単位とした繰り返し構造を有するアミン結合型オキシアルキレン反復化合物を生成物として製造して、
このアミン結合型オキシアルキレン反復化合物を上記平滑剤とすることを特徴とする電気銅メッキ浴の製造方法
【請求項2】
上記生成物が、両末端にアミン構造を有するアミン結合型オキシアルキレン反復化合物であることを特徴とする請求項1に記載の電気銅メッキ浴の製造方法
【請求項3】
ポリアルキレンオキシド化合物(B)の末端の反応性基がメシル基、トシル基、ハロゲンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気銅メッキ浴の製造方法
【請求項4】
アミン化合物(A)が、アンモニア、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、ピリミジン、C1〜C12モノアルキルアミン、C1〜C12ジアルキルアミン、C1〜C12トリアルキルアミン、C1〜C12モノアリールアミン、C1〜C12ジアリールアミン、C1〜C12トリアリールアミン、イミノ二酢酸、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、トリメチルエチレンジアミン、N,N′-ジメチルエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチル-2-ブテン-1,4-ジアミン、テトラメチルキシレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリアミンよりなる群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気銅メッキ浴の製造方法
【請求項5】
さらに、光沢剤、ポリマー、塩素イオンを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気銅メッキ浴の製造方法
【請求項6】
光沢剤が、ビス(3-スルホプロピル)ジスルフィド、ビス(2-スルホプロピル)ジスルフィド、ビス(3-スル-2-ヒドロキシプロピル)ジスルフィド、ビス(4-スルホプロピル)ジスルフィド、ビス(p-スルホフェニル)ジスルフィド、3-ベンゾチアゾリル-2-チオ)プロパンスルホン酸、N,N-ジメチル-ジチオカルバミルプロパンスルホン酸、N,N-ジメチル-ジチオカルバミルプロパンスルホン酸、N,N-ジメチル-ジチオカルバミン酸-(3-スルホプロピル)-エステル、3-[(アミノイミノメチル)チオ]-1-プロパンスルホン酸、o-エチル-ジエチル炭酸-S-(3-スルホプロピル)エステル、メルカプトメタンスルホン酸、メルカプトエタンスルホン酸、メルカプトプロパンスルホン酸及びこれらの塩よりなる群から選ばれた含イオウ化合物の少なくとも一種であることを特徴とする請求項5に記載の電気銅メッキ浴の製造方法
【請求項7】
界面活性剤よりなるポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プルロニック型界面活性剤、テトロニック型界面活性剤、ポリエチレングリコール・グリセリルエーテル、スルホン酸基含有ポリアルキレンオキシド付加型アミン類、ノニオン性ポリエーテル系高分子界面活性剤よりなる群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項5又は6に記載の電気銅メッキ浴の製造方法
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項の製造方法で得られた電気銅メッキ浴を用いて、ビアホール及びスルーホールの少なくともいずれかを有する被メッキ物に電気メッキを施し、被メッキ物のビアホール及び/又はスルーホールに銅を析出させることを特徴とする電気銅メッキ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気銅メッキ浴の製造方法並びに当該銅メッキ方法に関して、配線板のビアホール、スルーホール共に良好に銅充填できるものを提供する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板においては、導体パターンを形成した基板を2枚以上の各プリプレグを挟んでプレス成形し、基板の両面だけでなく内部にも3層以上の導体パターンが存在する多層プリント配線板があるが、この多層プリント配線板を製造する場合、電気銅メッキにより、配線板に形成した小径のビアホール(有底のホール)を銅充填するとともに、小径のスルホール(底のない貫通孔)の角隅部及び内壁面に銅を析出することで、内層配線と外層配線又は内層配線同士の層間を電気的に接続している。
【0003】
そこで、上記プリント配線板の銅充填に適用できる電気銅メッキ浴の従来技術を挙げると、次の通りである。
(1)特許文献1
イミダゾール環結合型オキシアルキレン化合物及び当該化合物を含有する電気メッキ浴であり(請求項1〜6)、当該メッキ浴を電気銅メッキに適用した場合、上記化合物の水溶性の改善により電気メッキ処理を容易にできるとともに、界面活性剤の作用とレベリング作用を兼備できる(段落5、14)。
【0004】
(2)特許文献2
ビアやトレンチなどに対する銅充填用の電気銅メッキ液であり、銅メッキ液に、カチオン種(窒素含有基)に共有結合的に結合したポリエーテル抑制剤を含有することを特徴とし、このカチオン性ポリエーテル抑制剤は、プロピレンオキシド(PO)の連鎖とエチレンオキシド(EO)の連鎖を特定比率で組み合わせるとともに、特定の分子量を有する化合物である(請求項1〜7、段落22〜25)。
上記カチオン種には、エチレンジアミン、トリエチレングリコールジアミンが例示され(請求項7)、これに対応したカチオン性ポリエーテル抑制剤として構造式(5)、構造式(9)(請求項11、26〜27、段落33、38)が開示される。
実施例1〜3、5には、上記構造式(5)(BASF社、Tetronic 504、704、段落33)を含有する電気銅メッキ浴の具体例が開示され、実施例4には、上記構造式(9)(ハルツマン LLC、Jeffamine XTJ-504、段落38)を含有する電気銅メッキ浴の具体例が開示される。
【0005】
(3)特許文献3
ボイドの発生を防止して平滑性を有する銅堆積物を得ることを目的として(段落7)、アミン類とポリエポキシド化合物とを反応させた生成物を平滑剤として含有する電気銅メッキ浴である(請求項1〜4、段落8、55〜64)。
上記アミン類にはイミダゾール、ピリジンが好適であり(段落21)、上記ポリエポキシド化合物には1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(段落58の構造式参照)、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどが例示される(段落21、24)。
一方、当該特許文献3と同じく、アミン化合物とエポキシド化合物とを反応させた生成物を平滑剤として電気銅メッキに用いるものとして、次の類似文献(a)〜(c)がある。
(a)特開2012−127003号公報
平滑剤の限定はないが、アミン類とエポキシド化合物との生成物を例示する(段落23、25)。
(b)特開2012−213717号公報
ベンゾイミダゾール類とエポキシド含有化合物とを反応させた生成物を開示する(請求項1、表1)。
(c)特開2011−190260号公報
イミダゾール類とエポキシド含有化合物とを反応させた生成物を開示する(請求項1、5、段落24〜26)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−023693号公報
【特許文献2】特表2008−519908号公報
【特許文献3】特開2012−149351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、ビアホールとスルーホールを兼備する配線板では、ビアホールのアスペクト比が大きいほど、ボイド(空隙)を発生させることなく銅充填して表面を平滑化することは容易でなく、また、スルーホールの径が小さいほど、ホール開口の角隅部から深い内壁面にかけて均一に銅を析出させることは容易でない。
上記特許文献2〜3の銅メッキ浴ではこの点で不充分な面があり、特許文献1でも水への溶解性の改善を主眼とすることから課題が残る。
本発明は電気銅メッキによりビアホール、スルーホール共に良好に銅充填することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記特許文献、特に同文献1のイミダゾール環結合型オキシアルキレン化合物を出発点として、アミンとポリオキシアルキレン鎖の結合構造と、当該構造を有する化合物を含む銅メッキ浴での電着性状との関係に着目し、鋭意研究を重ねた。
その結果、アミン化合物と、反応性基を有するC2〜C4のポリアルキレンオキシド化合物との反応で得られ、且つ、C2〜C4オキシアルキレン鎖の末端にアミン化合物が結合した単位構造を繰り返すアミン結合型オキシアルキレン反復化合物を平滑剤として電気銅メッキ浴に含有すると、ビアホールを確実に銅メッキで充填して表面を平滑化し、スルーホールの角隅部や内壁面に銅を均一に析出できることを見い出して、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明1は、可溶性銅塩と、酸又はその塩と、平滑剤とを含有する電気銅メッキ浴であって
(A)アミン化合物と、
(B)一端又は両端に反応性基を有してC2〜C4オキシアルキレン単位が連続するポリアルキレンオキシド化合物とを原料とし、
C2〜C4オキシアルキレン鎖とその末端に結合したアミン化合物とを構成単位とした繰り返し構造を有するアミン結合型オキシアルキレン反復化合物を生成物として製造して、
このアミン結合型オキシアルキレン反復化合物を上記平滑剤とすることを特徴とする電気銅メッキ浴の製造方法である
【0010】
本発明2は、上記本発明1において、上記生成物が、両末端にアミン構造を有するアミン結合型オキシアルキレン反復化合物であることを特徴とする電気銅メッキ浴の製造方法である
【0011】
本発明3は、上記本発明1又は2において、ポリアルキレンオキシド化合物(B)の末端の反応性基がメシル基、トシル基、ハロゲンであることを特徴とする電気銅メッキ浴の製造方法である
【0012】
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかにおいて、アミン化合物(A)が、アンモニア、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、ピリミジン、C1〜C12モノアルキルアミン、C1〜C12ジアルキルアミン、C1〜C12トリアルキルアミン、C1〜C12モノアリールアミン、C1〜C12ジアリールアミン、C1〜C12トリアリールアミン、イミノ二酢酸、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、トリメチルエチレンジアミン、N,N′-ジメチルエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチル-2-ブテン-1,4-ジアミン、テトラメチルキシレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリアミンよりなる群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする電気銅メッキ浴の製造方法である
【0013】
本発明5は、上記本発明1〜4のいずれか1項において、さらに、光沢剤、ポリマー、塩化物を含有することを特徴とする電気銅メッキ浴の製造方法である
【0014】
本発明6は、上記本発明5において、光沢剤が、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド、ビス(2−スルホプロピル)ジスルフィド、ビス(3−スル−2−ヒドロキシプロピル)ジスルフィド、ビス(4−スルホプロピル)ジスルフィド、ビス(p−スルホフェニル)ジスルフィド、3−ベンゾチアゾリル−2−チオ)プロパンスルホン酸、N,N−ジメチル-ジチオカルバミルプロパンスルホン酸、N,N−ジメチル-ジチオカルバミルプロパンスルホン酸、N,N−ジメチル-ジチオカルバミン酸−(3−スルホプロピル)−エステル、3−[(アミノイミノメチル)チオ]−1−プロパンスルホン酸、o−エチル-ジエチル炭酸−S−(3−スルホプロピル)エステル、メルカプトメタンスルホン酸、メルカプトエタンスルホン酸、メルカプトプロパンスルホン酸及びこれらの塩よりなる群から選ばれた含イオウ化合物の少なくとも一種であることを特徴とする電気銅メッキ浴の製造方法である
【0015】
本発明7は、上記本発明5又は6において、界面活性剤よりなるポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プルロニック型界面活性剤、テトロニック型界面活性剤、ポリエチレングリコール・グリセリルエーテル、スルホン酸基含有ポリアルキレンオキシド付加型アミン類、ノニオン性ポリエーテル系高分子界面活性剤よりなる群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする電気銅メッキ浴の製造方法である
【0016】
本発明8は、上記本発明1〜7のいずれかの方法で得られた電気銅メッキ浴を用いて、ビアホール及びスルーホールの少なくともいずれかを有する被メッキ物に電気メッキを施し、被メッキ物のビアホール及び/又はスルーホールに銅を析出させることを特徴とする電気銅メッキ方法である
【発明の効果】
【0017】
本発明の電気銅メッキ浴においては、C2〜C4オキシアルキレン鎖とその末端に結合したアミノ基を構成単位とした構造を繰り返すアミン結合型オキシアルキレン反復化合物を平滑剤として含有するため、当該銅メッキ浴によりプリント配線板を電気メッキすると、アスペクト比が大きいビアホールであっても、ビアホール表面部の銅析出を抑制し、ビアホールを良好に充填して表面を平滑化できる。
また、スルーホールの角隅部での銅析出を抑制する一方、内壁面での銅析出を促進して、スルーホールの角隅部と内壁面に銅を均一に析出させることができる。
この場合、本発明の反復化合物にあっては、両末端がアミン構造に閉じた場合、或は、一端が反応性基のまま残存する場合のいずれの末端構造をとることも可能であるが、このいずれであっても、ビアホールの充填性とスルーホールの均一析出性をともに有効に発揮できるが、両末端にアミン構造を有する生成物を選択すると、末端が反応性基のまま残存する生成物に比して、充填及び析出均一性がさらに向上する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、第一に、アミン化合物と、反応性基を有するC2〜C4のポリアルキレンオキシド化合物とを原料とし、C2〜C4オキシアルキレン鎖の末端にアミン化合物が結合した単位構造を繰り返すアミン結合型オキシアルキレン反復化合物を生成物として製造し、この反復化合物を平滑剤として含有する電気銅メッキ浴の製造方法であり、第二に、第一の方法で得られた電気銅メッキ浴を用いてビアホール及び/又はスルーホールを有する被メッキ物に電気銅メッキを施す方法である。
【0019】
本発明の電気銅メッキ浴は可溶性銅塩と、酸又はその塩と、所定のアミン結合型オキシアルキレン反復化合物からなる平滑剤とを必須成分とする。
上記可溶性銅塩は、水溶液中で第一又は第二銅イオンを発生させる可溶性の塩であれば任意のものが使用でき、特段の制限はなく、難溶性塩をも排除しない。具体的には、硫酸銅、酸化銅、塩化銅、ピロリン酸銅、炭酸銅、或いは酢酸銅、シュウ酸銅及びクエン酸銅等のカルボン酸銅塩、又はメタンスルホン酸銅及びヒドロキシエタンスルホン酸銅等の有機スルホン酸銅塩などが挙げられ、硫酸銅、クエン酸銅、メタンスルホン酸銅が好ましい。
上記酸又はその塩において、酸は無機酸又は有機酸から選択でき、無機酸は硫酸、塩酸、ピロリン酸、ホウフッ酸などであり、有機酸はグリコール酸、酒石酸、クエン酸等のオキシカルボン酸、メタンスルホン酸や2―ヒドロキシエタンスルホン酸等の有機スルホン酸、酢酸等のカルボン酸などが挙げられる。
上記可溶性銅塩の含有量はメッキ浴に対して150〜300g/L、好ましくは160〜270g/Lである。
上記酸又はその塩の含有量はメッキ浴に対して20〜150g/L、好ましくは30〜130g/Lである。
【0020】
上記平滑剤としてのアミン結合型オキシアルキレン反復化合物は、
(A)アミン化合物と、
(B)一端又は両端に反応性基を有してC2〜C4オキシアルキレン単位が連続するポリアルキレンオキシド化合物とを原料として得られる生成物であり、
当該生成物は、C2〜C4オキシアルキレン鎖とその末端に結合したアミン化合物とを構成単位とした繰り返し構造を有する化合物である。
本発明の反復化合物において、一方の反応物であるアミン化合物(A)は、アンモニア、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、ピリミジン、C1〜C12モノアルキルアミン、C1〜C12ジアルキルアミン、C1〜C12トリアルキルアミン、C1〜C12モノアリールアミン、C1〜C12ジアリールアミン、C1〜C12トリアリールアミン、イミノ二酢酸、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、トリメチルエチレンジアミン、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチル−2−ブテン−1,4−ジアミン、テトラメチルキシレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリアミンなどから選択し、これらを単用又は併用できる。アミン化合物としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピペリジン、ジエタノールアミン、テトラメチルエチレンジアミン、モルホリンなどが好ましい。
この場合、上記イミダゾールはアルキル置換したイミダゾール、アリール置換したイミダゾールを含む。ポリアミンはアルキル化ポリアミンを含み、この点は、トリアゾール、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ピペリジン、モルホリン、ポリアミンなども同様である。
また、他方の反応物である反応性基を有するポリアルキレンオキシド化合物(B)は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドから選ばれたC2〜C4オキシアルキレン単位が直鎖結合したもので、具体的には、反応性基を有するポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリブチレングリコールなどが挙げられる。

【0021】
C2〜C4オキシアルキレン単位に具備した反応性基はメシル基、トシル基、ハロゲンなどであり、反応性基は化合物(B)の両端又は一端に具備すれば良い。
即ち、本発明の平滑剤は、オキシアルキレン鎖の末端にアミン化合物が結合した単位を繰り返す反復構造を必須とするが、平滑剤分子の末端の一方にアミノ構造を有しても、また、両末端にアミノ構造を有しても良く、これらの両方を包含する概念である。
【0022】
上記化合物(B)の両端に反応性基を具備する場合、当該化合物(B)とアミン化合物(A)が反応すると、化合物(B)の反応性基がアミン構造に置き換えられ(下式(a)参照)、このアミン構造を有する中間生成物が化合物(B)の反応性基と逐次反応し(下式(b)参照)、結合単位が反復成長するとともに、生成した反復化合物の両端にはアミノ基が位置する(下式(c)参照)。
そこで、この一連の反応を、例えば、後述する製造例2に基づいて説明する。
(1)反応の第1段はポリプロピレングリコール(PPG)の両末端メシラート化物と、ジメチルアミン(HN-Me2)との反応である。
(a) MsO-(PPG)-OMs + 2HN-Me2 → Me2N-(PPG)-NMe2 + 2MsO-H
(上式(a)のMsはメシル基、Meはメチル基、MsO-Hはメタンスルホン酸を表す。)
この場合、PPGの部位をオキシプロピレン構造(-(OP)m-)として表すと、上式(a)では、-(OP)m-の一端のO原子が外れ、残ったP(プロピレン)の炭素原子とジメチルアミンの窒素原子が結合してMe2N-(PPG)〜となる一方、メシル基(Ms-)と前述の外れたO原子が結合してMsO-(メシラート・アニオン)となり、これにジメチルアミンから外れたプロトンが結合してMsO-H(メタンスルホン酸)が生成する。
(2)第2段はポリプロピレングリコール(PPG)の両末端アミノ化物と、ポリエチレングリコール(PEG)の両末端メシラート化物との反応である。
(b)Me2N-(PPG)-NMe2 + MsO-(PEG)-OMs
→MsO-[-N+(MsO-)Me2-(PPG)-N+(MsO-)Me2-(PEG)-]n-OMs
(上式(b)のN+(MsO-)は4級アンモニウム塩構造のカチオン電荷を帯びた窒素原子とその対イオンであるメシラート・アニオン(MsO-)を表す。Me2は上記窒素原子に結合する2個のメチル基である。nはアミノ構造とポリオキシアルキレン鎖の結合単位の繰り返しを表す。)
(3)第3段は上記第2段反応の生成物にトリエチルアミン(N-Et3、Etはエチル基)が結合して、末端がアミノ構造に変化する反応である。
(c)MsO-[-N(±)-(PPG)-N(±)-(PEG)-]n-OMs+ N-Et3
→Et3-N-[-N(±)-(PPG)-N(±)-(PEG)-]n-N-Et3
(上式(c)のN(±)は第4アンモニウム塩構造の窒素原子にメシラート・アニオンが対イオンで配位し、当該窒素原子に2個のメチル基が結合した構造、即ち、上式(b)のうちの(-N+(MsO-)Me2-)を表す。)
【0023】
他方、化合物(B)の一端に反応性基を有する場合には、当該化合物(B)とアミン化合物(A)が反応すると、化合物(B)の一端側の反応性基がアミン構造に置き換えられ、このアミン構造と化合物(B)との結合単位が一端側で反復成長し、生成した反復化合物の末端の一方にアミノ基が位置する。
【0024】
本発明の平滑剤が上記反復構造を有する点は上記反応式から明らかであるが、この反復構造は反応物と生成物の平均分子量からも推測することができる。
例えば、後述の製造例1に基づいて説明すると、当該製造例1には、イミダゾール(アミン化合物)とメシラート化ポリアルキレンオキシド化合物とを反応させて得られた生成物が記載されるが、生成物(即ち、本発明の平滑剤)の平均分子量MW=26000(PEG換算)である。
先ず、イミダゾールと両末端メシラート化ポリプロピレングリコールが反応して両末端イミダゾール化ポリプロピレングリコール(PPG)が生成し、次いで、この平均分子量2134の両末端イミダゾール化PPG(以下、原料1という)と、平均分子量2163の両末端メシラート化ポリエチレングリコール(PEG)(以下、原料2という)が反応するが、この反応では、原料1の片方のイミダゾールの窒素原子が、原料2の片方のメシラート基と結合した炭素原子を攻撃し、4級イミダゾリウム塩が生成する。
さらに、原料1のもう片方のイミダゾールの窒素原子が、別の原料2のメシラート基に結合した炭素原子を攻撃する形で反応が進行していく。
このため、生成物は、原料1−原料2−原料1−原料2−原料1−原料2−が順次連鎖して繰り返す反復構造をとり、当該反復構造をとりながら分子が成長し、分子量を増していくものと推測される。
上記製造例1の場合、上述した通り、生成物の平均分子量は26000、同じく両末端イミダゾール化PPGは2134、両末端イミダゾール化PEGは2163であり、原料1及び原料2を単位ブロックとして換算すれば、26000/(2134+2163)≒6であることから、原料1と原料2が約3モルずつ反復して結合した構造をとっているものと判断できる。
本発明の平滑剤の重量平均分子量は100〜1千万であり、好ましくは200〜50万、より好ましくは1,000〜20万である。
【0025】
本発明の平滑剤は上記成分(A)と(B)を反応させた生成物であり、C2〜C4オキシアルキレン鎖の末端にアミン化合物が結合した単位構造を繰り返すアミン結合型オキシアルキレン反復化合物を特徴とする。
従って、冒述の特許文献1のイミダゾール環結合型オキシアルキレン化合物、特許文献2のカチオン性ポリエーテル抑制剤は、アミン化合物とポリオキシアルキレン化合物が結合した構造を有する点で本発明の平滑剤と共通する部分があるが、特許文献1〜2の化合物はこの結合した単位構造が繰り返す反復構造を具備しない点で、上記単位構造の繰り返しを具備する本発明の平滑剤とは異なる。
【0026】
本発明の平滑剤であるアミン結合型オキシアルキレン反復化合物の具体的な製造方法は後述するが、アミン化合物と反応性基を有するポリアルキレンオキシド化合物とを反応させると、上述の通り、ポリアルキレンオキシド化合物の反応性基の部位がアミン化合物のアミノ基で置き換えられ、このオキシアルキレン鎖とその末端に結合したアミノ基を構成単位とした構造が繰り返すことになる。
この場合、ポリアルキレンオキシド化合物は1種類の化合物を単用しても良いし、2種以上の化合物(例えば、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシド)を併用しても良い。
また、アミン化合物とポリアルキレンオキシド化合物との反応では、アミン化合物をポリアルキレンオキシド化合物に対して当量以下で反応させると、生成物の両末端の少なくとも一方がアミノ構造ではなく、ポリアルキレンオキシド化合物の反応性基の構造のまま残る可能性が高くなるので、アミン化合物をポリアルキレンオキシド化合物に対して過剰当量で反応させると、両末端がアミノ構造の生成物が得られる。
本発明の反復構造物からなる平滑剤では、両末端の一方がアミノ構造を具備すれば、ビアホールの充填性とスルーホールの均一析出性の両性能を良好に兼備できるが、両末端共にアミノ構造を具備すれば、上記両性能をさらに向上できる。
【0027】
本発明の電気銅メッキ浴には、上記必須成分の外に、光沢剤、ポリマー、塩化物を含有できることは勿論である。また、本発明の平滑剤に従来公知の平滑剤を併用することを排除するものではない。
上記光沢剤は、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド、ビス(2−スルホプロピル)ジスルフィド、ビス(3−スル−2−ヒドロキシプロピル)ジスルフィド、ビス(4−スルホプロピル)ジスルフィド、ビス(p−スルホフェニル)ジスルフィド、3−ベンゾチアゾリル−2−チオ)プロパンスルホン酸、N,N−ジメチル-ジチオカルバミルプロパンスルホン酸、N,N−ジメチル-ジチオカルバミルプロパンスルホン酸、N,N−ジメチル-ジチオカルバミン酸−(3−スルホプロピル)−エステル、3−[(アミノイミノメチル)チオ]−1−プロパンスルホン酸、o−エチル-ジエチル炭酸−S−(3−スルホプロピル)エステル、メルカプトメタンスルホン酸、メルカプトエタンスルホン酸、メルカプトプロパンスルホン酸及びこれらの塩などである。
【0028】
上記ポリマー(界面活性剤)は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プルロニック型界面活性剤、テトロニック型界面活性剤、ポリエチレングリコール・グリセリルエーテル、スルホン酸基含有ポリアルキレンオキシド付加型アミン類、ノニオン性ポリエーテル系高分子界面活性剤などである。
【0029】
上記塩化物はメッキ浴中に塩素イオンを供給可能な化合物を意味し、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化水素、塩化アンモニウム、塩化銅、塩素などである。
【0030】
本発明の平滑剤と併用しても良い公知の平滑剤には、染料を主とする窒素系有機化合物などである。上記ポリマーも平滑作用を奏するため公知の平滑剤に分類できる。
上記染料を主とする窒素系有機化合物は、染料或はその誘導体を初め、アミド系化合物、チオアミド系化合物、アニリン又はピリジン環を有する化合物、各種複素単環式化合物、各種縮合複素環式化合物、アミノカルボン酸類などである。
具体例としては、C.I.(Color Index)ベーシックレッド2、トルイジンブルーなどのトルイジン系染料、C.I.ダイレクトイエロー1、C.I.ベーシックブラック2などのアゾ系染料、3−アミノ−6−ジメチルアミノ−2−メチルフェナジン一塩酸などのフェナジン系染料、コハク酸イミド、2′−ビス(2−イミダゾリン)などのイミダゾリン類、イミダゾール類、ベンゾイミダゾール類、インドール類、2−ビニルピリジン、4−アセチルピリジン、4−メルカプト−2−カルボキシルピリジン、2,2′−ビピリジル、フェナントロリンなどのピリジン類、キノリン類、イソキノリン類、アニリン、チオ尿素、ジメチルチオ尿素などのチオ尿素類、3,3′,3′′−ニトリロ三プロピオン酸、ジアミノメチレンアミノ酢酸、グリシン、N−メチルグリシン、ジメチルグリシン、β−アラニン、システイン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アミノ吉草酸、オルニチンなどが挙げられる。好ましい例は、C.I.ベーシックレッド2、ヤヌスグリーンB、トルイジンブルー、コハク酸イミドが挙げられる。
【0031】
電気銅メッキ浴において、本発明の平滑剤とポリマーは銅の析出を抑制する作用をし、特に、塩素イオンの共存下でポリマーの抑制作用は広い電流密度領域に及ぶものと推定される。
本発明の平滑剤の含有量はメッキ浴に対して0.0001〜10g/L、好ましくは0.0005〜2g/L、より好ましくは0.001〜1g/Lである。
上記平滑剤が適正範囲より少ないとビアホールへの平滑性に優れた銅充填、スルーホールへの均一な銅析出が困難になり、適正範囲を越えるとビアホールへの銅充填が低下する恐れがある。
一方、光沢剤は銅の析出を促進するものと推定される。
【0032】
本発明の電気銅メッキ浴の好ましいpHは3以下、より好ましくはpH2以下である。メッキ浴が酸性側に過剰に傾くと銅の成膜が妨げられたり、被メッキ物が侵食される懸念があり、アルカリ側に過剰に傾くとメッキ未着が生じたり、密着性が低下する恐れがある。
本発明の銅メッキ浴を用いて電気メッキを行う際の浴温は一般に70℃以下であり、20〜50℃程度が好ましく、40〜50℃程度がより好ましい。
陰極電流密度は0.01〜150A/dm2、好ましくは0.1〜10A/dm2であり、本発明のメッキ方法では、低電流密度から高電流密度までの広い領域で密着性に優れた銅の電着皮膜が得られる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の平滑剤の製造例、当該製造例で得られた平滑剤を含有する電気銅メッキ浴の実施例、ビアホールの銅充填性及びスルーホールの均一析出性の評価試験例を順次説明する。
尚、本発明は下記の製造例、実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0034】
《平滑剤の製造例》
製造例1〜9のうち、製造例1はイミダゾールと両末端メシラート化ポリアルキレンオキシド化合物(ポリアルキレンオキシド化合物はポリプロピレンオキシド化合物並びにポリエチレンオキシド化合物の併用、基本的に以下の製造例も同じ)とを反応させた例である。製造例2はジメチルアミンと両末端メシラート化ポリアルキレンオキシド化合物とトリエチルアミンを反応させた例である。製造例3はピペリジンと両末端トシラート化ポリアルキレンオキシド化合物とを反応させた例である。製造例4〜5、7〜8は上記製造例1を基本として、イミダゾールを他のアミン化合物に夫々代替したもので、製造例4はジエタノールアミンに代替した例、製造例5はテトラメチルエチレンジアミンに代替した例、
製造例7はテトラメチルキシレンジアミンに代替した例、製造例8はベンズイミダゾールに代替した例である。製造例6はモルホリンと両末端クロロ化ポリアルキレンオキシド化合物とを反応させた例である。製造例9はジメチルアミンと両末端メシラート化ポリアルキレンオキシドとを反応させて、いわば、上記製造例2の中間段階の生成物を得た例である。
【0035】
(1)製造例1
温度計、撹拌機を取り付けた1Lの3つ口フラスコに、ポリプロピレングリコール(重量平均分子量2000)の両末端メシレート化物100gと約5倍当量のイミダゾール15.8g及びエタノール500mLを加えた。系内を窒素置換した後、撹拌下、70℃で48時間反応させた。反応終了後、エバポレーターを用いて溶媒留去し、得られた残渣に塩化メチレン200gを加え、白色析出物をろ過した。ろ液を分液ロート移し、8Nの水酸化ナトリウム水溶液35.0gを加え、塩化メチレン層を分液した。さらに、イオン交換水100gを加えで塩化メチレン層を分液し、硫酸ナトリウム20gを加え、室温で撹拌し、脱水乾燥させた。反応液をろ過後、エバポレーターで溶媒留去し、ポリプロピレングリコールの両末端イミダゾール化物を105.0g得た。
次いで、温度計、撹拌機を取り付けた200mLの3つ口フラスコに、得られたポリプロピレングリコールの両末端イミダゾール化物を20.0gとポリエチレングリコール(重量平均分子量2000)の両末端メシラート化物20.3g、メチルセルロース20.0gを加え、系内を窒素置換した後、撹拌下、105℃で20時間反応させた。
反応終了後、60℃まで冷却し、イオン交換水20.3gを加え、イミダゾールと、両末端メシラート化ポリアルキレンオキシド化合物の反応物の50%水溶液を80.5g得た。
【0036】
(2)製造例2
温度計、撹拌機を取り付けた200mLの3つ口フラスコに、ポリプロピレングリコール(重量平均分子量1000)の両末端メシレート化物52.2gと約5倍当量のジメチルアミン11.0g、エタノール100mLを加えた。系内を窒素置換した後、撹拌下、70℃で15時間反応させた。反応終了後、エバポレーターを用いて溶媒留去し、得られた残渣に塩化メチレン100gを加え、白色析出物をろ過した。ろ液を分液ロート移し、8Nの水酸化ナトリウム水溶液35.0gを加え、塩化メチレン層を分液した。さらに、イオン交換水100gを加えで塩化メチレン層を分液し、硫酸ナトリウム27gを加え、室温で撹拌し、脱水乾燥させた。反応液をろ過後、エバポレーターで溶媒留去し、ポリプロピレングリコールの両末端ジメチルアミノ化物を51.0g得た。
次いで、温度計、撹拌機を取り付けた200mLの3つ口フラスコに、得られたポリプロピレングリコールの両末端ジメチルアミノ化物を31.5gとポリエチレングリコール(重量平均分子量1000)の両末端メシラート化物32.9g、メチルセルロース31.5g、トリエチルアミン1.0gを加え、系内を窒素置換した後、撹拌下、90℃で35時間反応させた。
反応終了後、60℃まで冷却し、イオン交換水32.9gを加え、ジメチルアミンと、両末端メシラート化ポリアルキレンオキシド化合物の反応物の50%水溶液を129.8g得た。
【0037】
(3)製造例3
温度計、撹拌機を取り付けた500mLの3つ口フラスコに、ポリプロピレングリコール(M.W.400)の両末端トシラート化物32.9gと約5倍当量のピペリジン19.6g、エタノール100mLを加えた。系内を窒素置換した後、撹拌下、70℃で24時間反応させた。反応終了後、エバポレーターを用いて溶媒留去し、得られた残渣に塩化メチレン100gを加え、白色析出物をろ過した。ろ液を分液ロート移し、8Nの水酸化ナトリウム水溶液35.0gを加え、塩化メチレン層を分液した。さらに、イオン交換水100gを加えで塩化メチレン層を分液し、硫酸ナトリウム20.0gを加え、室温で撹拌し、脱水乾燥させた。反応液をろ過後、エバポレーターで溶媒留去し、ポリプロピレングリコールの両末端ピペリジン化物を35.0g得た。
温度計、撹拌機を取り付けた200mLの3つ口フラスコに、得られたポリプロピレングリコールの両末端ピペリジン化物を14.8gとポリエチレングリコール(M.W.1000)の両末端メシラート化物29.5g、メチルセルロース14.8gを加え、系内を窒素置換した後、撹拌下、100℃で24時間反応させた。
反応終了後、50℃まで冷却し、イオン交換水29.5gを加え、ピペリジンと、両末端メシラート化ポリアルキレンオキシド化合物の反応物の50%水溶液を88.6g得た。
【0038】
(4)製造例4
温度計、撹拌機を取り付けた500mLの3つ口フラスコに、ポリプロピレングリコール(M.W.1000)の両末端メシレート化物52.2gと約5倍当量のジエタノールアミン5.0g、エタノール100mLを加えた。系内を窒素置換した後、撹拌下、65℃で30時間反応させた。反応終了後、エバポレーターを用いて溶媒留去し、得られた残渣に塩化メチレン100gを加え、白色析出物をろ過した。ろ液を分液ロート移し、8Nの水酸化ナトリウム水溶液35.0gを加え、塩化メチレン層を分液した。さらに、イオン交換水100gを加えで塩化メチレン層を分液し、硫酸ナトリウム30.0gを加え、室温で撹拌し、脱水乾燥させた。反応液をろ過後、エバポレーターで溶媒留去し、ポリプロピレングリコールの両末端ジエタノールアミノ化物を50.5g得た。
温度計、撹拌機を取り付けた200mLの3つ口フラスコに、得られたポリプロピレングリコールの両末端ジエタノールアミノ化物を29.8gとポリエチレングリコール(M.W.800)の両末端メシラート化物26.0g、メチルセルロース29.8gを加え、系内を窒素置換した後、撹拌下、102℃で36時間反応させた。
反応終了後、50℃まで冷却し、イオン交換水26gを加え、ジエタノールアミンと、両末端メシラート化ポリアルキレンオキシド化合物の反応物の50%水溶液を111.6g得た。
【0039】
(5)製造例5
温度計、撹拌機を取り付けた500mLの3つ口フラスコに、ポリプロピレングリコール(M.W.1000)の両末端メシレート化物52.1gと約5倍当量のテトラメチルエチレンジアミン26.7g、エタノール100mLを加えた。系内を窒素置換した後、撹拌下、70℃で20時間反応させた。反応終了後、エバポレーターを用いて溶媒留去し、得られた残渣に塩化メチレン100gを加え、白色析出物をろ過した。ろ液を分液ロート移し、8Nの水酸化ナトリウム水溶液35gを加え、塩化メチレン層を分液した。さらに、イオン交換水100gを加えで塩化メチレン層を分液し、硫酸ナトリウム25gを加え、室温で撹拌し、脱水乾燥させた。反応液をろ過後、エバポレーターで溶媒留去し、ポリプロピレングリコールの両末端テトラメチルエチレンジアミノ化物を65.3g得た。
温度計、撹拌機を取り付けた200mLの3つ口フラスコに、得られたポリプロピレングリコールの両末端テトラメチルエチレンジアミノ化物を37.0gとポリエチレングリコール(M.W.400)の両末端メシラート化物13.6g、メチルセルロース37gを加え、系内を窒素置換した後、撹拌下、90℃で30時間反応させた。
反応終了後、50℃まで冷却し、イオン交換水13.6gを加え、テトラメチルエチレンジアミンと、両末端メシラート化ポリアルキレンオキシド化合物の反応物の50%水溶液を101.2g得た。
【0040】
(6)製造例6
温度計、撹拌機を取り付けた200mLの3つ口フラスコに、ポリプロピレングリコール(M.W.400)の両末端クロロ化物24.0gと5倍当量のモルホリン20.0g、エタノール100mLを加えた。系内を窒素置換した後、撹拌下、70℃で48時間反応させた。反応終了後、エバポレーターを用いて溶媒留去し、得られた残渣に塩化メチレン100gを加え、白色析出物をろ過した。ろ液を分液ロート移し、8Nの水酸化ナトリウム水溶液35gを加え、塩化メチレン層を分液した。さらに、イオン交換水100gを加えで塩化メチレン層を分液し、硫酸ナトリウム30gを加え、室温で撹拌し、脱水乾燥させた。反応液をろ過後、エバポレーターで溶媒留去し、ポリプロピレングリコールの両末端モルホリン化物を26.4g得た。
温度計、撹拌機を取り付けた200mLの3つ口フラスコに、得られたポリプロピレングリコールの両末端モルホリン化物を14.8gとポリエチレングリコール(M.W.400)の両末端メシラート化物14.6g、メチルセルロース14.8gを加え、系内を窒素置換した後、撹拌下、102℃で36時間反応させた。
反応終了後、60℃まで冷却し、イオン交換水14.6gを加え、モルホリンと、両末端メシラート化ポリアルキレンオキシド化合物の反応物の50%水溶液を58.8g得た。
【0041】
(7)製造例7
温度計、撹拌機を取り付けた500mLの3つ口フラスコに、ポリプロピレングリコール(M.W.2000)の両末端メシレート化物92.0gと2倍当量のテトラメチルキシレンジアミン15.2g、エタノール100mLを加えた。系内を窒素置換した後、撹拌下、70℃で48時間反応させた。反応終了後、エバポレーターを用いて溶媒留去し、得られた残渣に塩化メチレン200gを加え、白色析出物をろ過した。ろ液を分液ロート移し、8Nの水酸化ナトリウム水溶液35gを加え、塩化メチレン層を分液した。さらに、イオン交換水100gを加えで塩化メチレン層を分液し、硫酸ナトリウム30gを加え、室温で撹拌し、脱水乾燥させた。反応液をろ過後、エバポレーターで溶媒留去し、ポリプロピレングリコールの両末端テトラメチルキシレンジアミン化物を60.0g得た。
温度計、撹拌機を取り付けた200mLの3つ口フラスコに、得られたポリプロピレングリコールの両末端テトラメチルキシレンジアミン化物を50.2gとポリエチレングリコール(M.W.2000)の両末端メシラート化物46.0g、メチルセルロース50.2gを加え、系内を窒素置換した後、撹拌下、110℃で47時間反応させた。
反応終了後、60℃まで冷却し、イオン交換水46.0gを加え、テトラメチルキシレンジアミンと、両末端メシラート化ポリアルキレンオキシド化合物の反応物の50%水溶液を192.3g得た。
【0042】
(8)製造例8
温度計、撹拌機を取り付けた500mLの3つ口フラスコに、ポリプロピレングリコール(M.W.700)の両末端メシレート化物38.4gと2倍当量のベンズイミダゾール10.9g、エタノール100mLを加えた。系内を窒素置換した後、撹拌下、70℃で48時間反応させた。反応終了後、エバポレーターを用いて溶媒留去し、得られた残渣に塩化メチレン100gを加え、白色析出物をろ過した。ろ液を分液ロート移し、8Nの水酸化ナトリウム水溶液35gを加え、塩化メチレン層を分液した。さらに、イオン交換水100gを加えで塩化メチレン層を分液し、硫酸ナトリウム30gを加え、室温で撹拌し、脱水乾燥させた。反応液をろ過後、エバポレーターで溶媒留去し、ポリプロピレングリコールの両末端ベンズイミダゾール化物を38.0g得た。
温度計、撹拌機を取り付けた200mLの3つ口フラスコに、得られたポリプロピレングリコールの両末端ベンズイミダゾール化物を22.4gとポリエチレングリコール(M.W.1500)の両末端メシラート化物22.5g、メチルセルロース22.4gを加え、系内を窒素置換した後、撹拌下、100℃で36時間反応させた。反応終了後、60℃まで冷却し、イオン交換水22.5gを加え、ベンズイミダゾールと、両末端メシラート化ポリアルキレンオキシド化合物の反応物の50%水溶液を89.8g得た。
【0043】
(9)製造例9
温度計、撹拌機を取り付けた500mLの3つ口フラスコに、ポリプロピレングリコール(M.W.1000)の両末端メシレート化物52.2gと約5倍当量のジメチルアミン11.0g、エタノール100mLを加えた。系内を窒素置換した後、撹拌下、70℃で48時間反応させた。反応終了後、エバポレーターを用いて溶媒留去し、得られた残渣に塩化メチレン100gを加え、白色析出物をろ過した。ろ液を分液ロート移し、8Nの水酸化ナトリウム水溶液35gを加え、塩化メチレン層を分液した。さらに、イオン交換水100gを加えで塩化メチレン層を分液し、硫酸ナトリウム35gを加え、室温で撹拌し、脱水乾燥させた。反応液をろ過後、エバポレーターで溶媒留去し、ポリプロピレングリコールの両末端ジメチルアミノ化物を50.4g得た。
温度計、撹拌機を取り付けた200mLの3つ口フラスコに、得られたポリプロピレングリコールの両末端ジメチルアミノ化物を31.5gとポリエチレングリコール(M.W.1000)の両末端メシラート化物33.0g、メチルセルロース31.5g、を加え、系内を窒素置換した後、撹拌下、97℃で48時間反応させた。
反応終了後、60℃まで冷却し、イオン交換水33.0gを加え、ジメチルアミンと、両末端メシラート化ポリアルキレンオキシド化合物の反応物の50%水溶液を129.0g得た。
【0044】
(10)比較製造例1
冒述の特許文献3の段落26には、アミンとエポキシドとを反応させる好適な方法として、アミン(例えば、イミダゾール)と、エポキシド(例えば、エピクロルヒドリン)とを、同じ溶媒中に所望の濃度で溶解させ、例えば、20〜240分間反応させた後、溶媒を真空下で除去して生成物を得ることが記載される。
そこで、この方法に準拠して、当該特許文献3の段落58に記載の化合物(1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル)と、イミダゾールとを反応させて生成物を得た。
【0045】
そこで、上記製造例1〜9で得られた各平滑剤(アミン結合型オキシアルキレン反復化合物)を含有する電気銅メッキ浴の実施例を述べる。
《電気銅メッキ浴の実施例》
下記の実施例1〜11のうち、実施例1は上記製造例1の平滑剤を使用した例である。
実施例2は実施例1を基本としてポリマーを変更した例である。実施例3は実施例1を基本として平滑剤を製造例2に変更し、ポリマーを実施例2で用いたものに変更した例である。実施例4は実施例3を基本としてポリマーを変更した例である。実施例5は実施例1を基本として平滑剤を製造例3に変更し、ポリマーを変更した例である。実施例6は実施例1を基本として平滑剤を製造例4に変更し、ポリマーを変更した例である。実施例7は実施例1を基本として平滑剤を製造例5に変更し、ポリマーを変更した例である。実施例8は実施例1を基本として平滑剤を製造例6に変更し、ポリマーを変更した例である。実施例9は実施例1を基本として平滑剤を製造例7に変更した例である。実施例10は実施例1を基本として平滑剤を製造例8に変更した例である。実施例11は実施例1を基本として平滑剤を製造例9に変更し、ポリマーを変更した例である。
【0046】
また、比較例1〜6のうち、比較例1は平滑剤として従来公知の平滑剤としてヤーナスグリーンを用いた例、比較例2は同じくジアリルアミンポリマーを用いた例である。比較例3は冒述の特許文献1に開示されたオキシアルキレン鎖の末端にイミダゾール環基が結合した化合物(製造例1)を平滑剤に用いた例であり、比較例4は同特許文献1の製造例2を平滑剤に用いた例である。比較例5は冒述の特許文献2に開示されたカチオン性ポリエーテル抑制剤(段落33のTetronic 704)を平滑剤に用いた例である。比較例6は冒述の特許文献3に開示されたアミン化合物とポリエポキシド化合物とを反応させた生成物(即ち、上記比較製造例1)を平滑剤に用いた例である。
【0047】
(1)実施例1
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
製造例1の平滑剤 1mg/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
ポリエチレングリコール(重量平均分子量4000) 1g/L
塩素 60g/L
【0048】
(2)実施例2
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
製造例1の平滑剤 1mg/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
テトラ-ポリプロポキシ-エトキシ-エチレンジアミン
-スルホコハク酸ナトリウム 1g/L
塩素 60g/L
上記テトラ-ポリプロポキシ-エトキシ-エチレンジアミン-スルホコハク酸ナトリウムはBASF社製のTPSO3以下の実施例も同じ)である。
【0049】
(3)実施例3
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
製造例2の平滑剤 1mg/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
テトラ-ポリプロポキシ-エトキシ-エチレンジアミン
-スルホコハク酸ナトリウム 1g/L
塩素 60g/L
【0050】
(4)実施例4
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
製造例2の平滑剤 1mg/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
テトラ-ポリプロポキシ-エトキシ-エチレンジアミン 1g/L
塩素 60g/L
上記テトラ-ポリプロポキシ-エトキシ-エチレンジアミンは(株)ADEKA製のプルロニックTR−704(以下の実施例も同じ)である。
【0051】
(5)実施例5
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
製造例3の平滑剤 1mg/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 1g/L
塩素 60g/L
上記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物は(株)ADEKA製のプルロニックL-64である。
【0052】
(6)実施例6
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
製造例4の平滑剤 1mg/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
テトラ-ポリプロポキシ-エトキシ-エチレンジアミン 1g/L
塩素 60g/L
【0053】
(7)実施例7
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
製造例5の平滑剤 1mg/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
テトラ-ポリプロポキシ-エトキシ-エチレンジアミン 1g/L
塩素 60g/L
【0054】
(8)実施例8
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
製造例6の平滑剤 1mg/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
テトラ-ポリプロポキシ-エトキシ-エチレンジアミン 1g/L
塩素 60g/L
【0055】
(9)実施例9
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
製造例7の平滑剤 1mg/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
ポリエチレングリコール(重量平均分子量4000) 1g/L
塩素 60g/L
【0056】
(10)実施例10
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
製造例8の平滑剤 1mg/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
ポリエチレングリコール(重量平均分子量4000) 1g/L
塩素 60g/L
【0057】
(11)実施例11
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
製造例9の平滑剤 1mg/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
テトラ-ポリプロポキシ-エトキシ-エチレンジアミン 1g/L
塩素 60g/L
【0058】
(12)比較例1
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
ヤヌスグリーン 1mg/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
ポリエチレングリコール(重量平均分子量4000) 1g/L
塩素 60g/L
【0059】
(13)比較例2
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
ジアリルアミンポリマー 1mg/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
ポリエチレングリコール(重量平均分子量4000) 1g/L
塩素 60g/L
上記ジアリルアミンポリマーはニットウボウメディカル社製のPAS-H-1Lである。
【0060】
(14)比較例3
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
特許文献1の製造例1の化合物 1mg/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
ポリエチレングリコール(重量平均分子量4000) 1g/L
塩素 60g/L
上記特許文献1の製造例1の化合物は同文献1の段落52に基づいて製造した。その具体的な製造例は次の通りである。
[製造例(特許文献1の製造例1に相当)]
温度計、撹拌機を取り付けた200mlの3つ口フラスコに、ω−クロロポリオキシエチレン(EO14)−α−ナフチルエーテル20g、1−ブチルイミダゾール3.18gおよびメチルセロソルブ20mlを加えた。系内を窒素置換した後、撹拌下、120℃で18時間反応させた。反応終了後、内容物を2N−水酸化ナトリウム水溶液と塩化メチレンで振り、塩化メチレン層を分液した。この塩化メチレン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去してω−(1−ブチルイミダゾリウムクロリド−3−イル)ポリオキシエチレン(EO14)−α−ナフチルエーテル21.5gを得た。
【0061】
(15)比較例4
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
特許文献1の製造例2の化合物 1mg/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
ポリエチレングリコール(重量平均分子量4000) 1g/L
塩素 60g/L
上記特許文献1の製造例2の化合物は同文献1の段落53に基づいて製造した。その具体的な製造例は次の通りである。
[製造例(特許文献1の製造例2に相当)]
温度計、撹拌機を取り付けた200mlの3つ口フラスコに、ビスフェノールAポリエトキシレート(EO14)−ω,ω′−ジメシレート20g、1−アリルイミダゾール4.32gおよびメチルセロソルブ20mlを加えた。系内を窒素置換した後、撹拌下、100℃で24時間反応させた。反応終了後、内容物を2N−水酸化ナトリウム水溶液と塩化メチレンで振り、塩化メチレン層を分液した。この塩化メチレン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去してω,ω′−ビス(1−アリルイミダゾリウムメタンスルホネート−3−イル)ビスフェノールAポリエトキシレート(EO14)23.8gを得た。
【0062】
(16)比較例5
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
特許文献2のカチオン性ポリエーテル抑制剤 1mg/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
ポリエチレングリコール(重量平均分子量4000) 1g/L
塩素 60g/L
上記特許文献2のカチオン性ポリエーテル抑制剤は段落33に記載のTetronic 704(BASF社)を用いた。
【0063】
(17)比較例6
下記の組成で電気銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅 200g/L
硫酸 80g/L
比較製造例1の平滑剤 1mg/L
ポリエチレングリコール(重量平均分子量4000) 1g/L
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド 1mg/L
塩素 60g/L
上記比較製造例1は特許文献3の実施例2(段落57)の化合物である。
【0064】
そこで、上記実施例1〜11及び比較例1〜6の各電気ニッケル系メッキ浴を用いて、ビアホール及びスルーホールを兼備した基板に電気メッキを施して、ビアホールでの充填性並びにスルーホールでの均一析出性の優劣を評価した。
《充填性並びに均一析出性の評価試験例》
ビアホール付きPCB基板(具体的には、4層ビルドアップ基板)を3分間、45±3℃で酸性脱脂し、30秒、45±3℃で温水洗浄し、30秒、20〜25℃で水洗した後、硫酸(98%)の10重量%溶液に1分間、20〜25℃で浸漬して酸活性処理を施した。
次いで、上記実施例1〜11及び比較例1〜6の各電気ニッケル系メッキ浴を用いて、電流密度1.5A/dm2、51分間(目標膜厚17μm)の条件で電気メッキを施した後、30秒、20〜25℃で水洗し、乾燥して、下記の通り、ビアホールでの充填性並びにスルーホールでの均一析出性を評価した。
【0065】
(1)ビアホール(VH)での充填性
ビアホールの断面を切断し、断面研磨後、顕微鏡にて微視観察し、図1に示す通り、ビアホールの開口部の窪み(Dimple)を測定し、下記の基準で充填性の優劣を評価した。
この場合、ビアホールの開口径は100μm、深さは80μmであった。
◎: ビアホールの窪み(Dimple)= 5μm未満
○:ビアホールの窪み(Dimple) =10μm未満
×:ビアホールの窪み(Dimple) =10μm以上
【0066】
(2)スルーホール(TH)での均一析出性
スルーホールの断面を切断し、断面研磨後、顕微鏡にて微視観察し、図2に示す通り、スルーホールのA〜Fの各部位の析出厚みを測定し、下式に基づいてスルーホールでの均一析出性、即ち、スローイングパワー(TH.P)(%)を算出し、下記の基準で均一析出性の優劣を評価した。
TH.P={[(C+D+E+F)/4]/[(A+B)/2]}×100
ちなみに、上記部位A、Bはスルーホールの外表面、部位C、Dはスルーホールの角隅部、部位E、Fはスルーホールの深さ方向中央部の内壁面である。また、スルーホールの開口径は250μm、基板厚みは1mmであった。
◎:TH.P =80%以上
○:TH.P =75%以上
×:TH.P =70%以下
【0067】
《試験結果》
下表はその試験結果である。
充填性 均一析出性 充填性 均一析出性
実施例1 ◎ ◎ 比較例1 × ×
実施例2 ◎ ◎ 比較例2 × ○
実施例3 ◎ ◎ 比較例3 × ×
実施例4 ◎ ◎ 比較例4 × ×
実施例5 ◎ ◎ 比較例5 × ×
実施例6 ◎ ◎ 比較例6 × ○
実施例7 ◎ ◎
実施例8 ◎ ◎
実施例9 ◎ ◎
実施例10 ◎ ◎
実施例11 ○ ○
【0068】
《充填性と均一析出性の総合評価》
上表によると、平滑剤に従来公知の化合物を用いた比較例1〜2を見ると、比較例2の一方の均一析出性は良好な評価であったが、他方の充填性に劣り、比較例1は両方で評価が劣ったことから、基板のビアホールの充填性とスルーホールの均一析出性を共に良好に達成できないことが分かる。
これに対して、本発明の反復化合物を平滑剤に用いた実施例1〜11では、全てに亘りビアホールの充填性とスルーホールの均一析出性を共に良好に達成することができ、特に、実施例1〜10では、ビアホールの充填性とスルーホールの均一析出性の両方に優れた評価であった。
【0069】
冒述の特許文献1の製造例1〜2を平滑剤に用いた各比較例3〜4では、基板のビアホールの充填性とスルーホールの均一析出性の両方で劣ることが分かる。
この比較例3〜4を実施例1〜11に対比すると、比較例3〜4の化合物はオキシアルキレン鎖の末端にイミダゾール環基が結合した構造を有するが、この結合を反復した構造を具備しない点で、当該反復構造を具備する本発明の平滑剤とは異なっている。
従って、この反復構造の有無が試験結果の差異となって顕現したものと考えられ、当該反復構造を有する本発明の平滑剤を含む電気銅メッキ浴の顕著な優位性が裏付けられた。
【0070】
冒述の特許文献2のカチオン性ポリエーテル抑制剤を平滑剤に用いた比較例5では、やはり、基板のビアホールの充填性とスルーホールの均一析出性の両方で劣ることが分かる。
この比較例5を実施例1〜11に対比すると、比較例5の化合物は特許文献2の化学式(5)(段落33)で表わされ、エチレンジアミンを中心に、当該アミンの窒素原子にポリオキシアルキレン鎖が結合したものであるが、この結合を反復した構造を具備しない点で、当該反復構造を具備する本発明の平滑剤とは異なる。
従って、上記比較例3〜4の場合と同じく、この反復構造の有無が試験結果の差異となって顕現したものと考えられ、当該反復構造を有する本発明の平滑剤を含む電気銅メッキ浴の顕著な優位性が裏付けられた。
【0071】
冒述の特許文献3に基づく化合物である比較製造例1を平滑剤に用いた比較例6では、比較例2と同じく、一方の均一析出性は良好であったが、他方の充填性に劣り、基板のビアホールの充填性とスルーホールの均一析出性の両方を良好に達成することはできない。
この比較例6を実施例1〜11に対比すると、比較製造例1はアミン化合物とポリエポキシド化合物とを反応させた生成物であり、ポリアルキレンオキシド鎖を必須構成単位としないうえ、本発明の平滑剤のような反復構造の具備も期待できないため、両者の間で上記試験結果の差異が顕現したものと考えられ、当該反復構造を有する本発明の平滑剤を含む電気銅メッキ浴の顕著な優位性が裏付けられた。
【0072】
そこで、実施例1〜11を詳細に検討する。
先ず、実施例5はトシル基を反応性基とするポリアルキレンオキシド化合物とアミン化合物とを反応させた生成物(製造例3)を平滑剤に用いた例であり、同じく実施例8はハロゲンを反応性基とした例(製造例6)であり、他の実施例はメシル基を反応性基とした例である。実施例1〜10を対比すると、共に、ビアホールの充填性とスルーホールの均一析出性に優れた効果を奏することが分かり、上記各種の反応性基を選択しても優れた効果に差異がないことが判断できる。
また、実施例1〜2はアミン化合物にイミダゾールを用いた生成物(製造例1)を平滑剤に用いた例、実施例3〜4は同じくアミン化合物にジメチルアミンとトリエチルアミンを併用した例、実施例5はアミン化合物にピペリジンを用いた例、実施例6はアミン化合物にジエタノールアミンを用いた例、実施例7はアミン化合物にテトラメチルエチレンジアミンを用いた例、実施例8はアミン化合物にモルホリンを用いた例、実施例9はアミン化合物にテトラメチルキシレンジアミンを用いた例、実施例10はアミン化合物にベンズイミダゾールを用いた例である。実施例1〜10を対比すると、共にビアホールの充填性とスルーホールの均一析出性に優れた効果を奏することが分かり、アミン化合物に上記各種の化合物を選択しても優れた効果に差異がないことが判断できる。
さらに、実施例3〜4はアミン化合物にジメチルアミンとトリエチルアミンを併用した例であり、前記反応式(a)〜(c)に示したように、反復化合物の両末端にアミン構造を有する。これに対して、実施例11はアミン化合物にジメチルアミンを単用した例であり、反復化合物の末端の少なくとも一方には反応性基が残存した構造を有する。実施例11では、ビアホールの充填性とスルーホールの均一析出性は共に○の評価であり、比較例1〜6との対比から、ビア充填並びにスルーホールへの銅析出は実用的なレベルを兼備できることが分かる一方、実施例1、或は他の実施例2〜10のように、反復化合物の両末端をアミン構造とすることにより、ビアホールの充填性とスルーホールの均一析出性をさらに改善できることが判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】ビアホールの充填性を示す基板の要部拡大縦断面図である。
図2】スルーホールの均一析出性を示す基板の要部拡大縦断面図である。
図1
図2