【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、天然由来の精油と、揮発防止剤とを含有する繊維処理剤である。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明者らは、鋭意検討の結果、天然由来の精油を単独で用いるのではなく、揮発防止剤と併用した繊維処理剤を用いることにより、容易に繊維製品に天然由来の精油を付着させた繊維製品を得ることができ、かつ、比較的長時間にわたって該精油の香りを楽しめることを見出し、本発明を完成した。このような処理を行った繊維製品において、天然由来の精油は化学的に結合しているわけではないことから、洗濯によって容易に除去することができる。
【0009】
本発明の繊維処理剤は、天然由来の精油(以下、単に「精油」ともいう。)と、揮発防止剤とを含有する。
上記精油は、天然由来のものであれば特に限定されず、例えば、オレンジ、グレープフルーツ、シトロネラ、ベルガモット、マンダリン、ライム、リツェアクベバ、レモン、レモングラス等の柑橘系の精油や、アンジェリカ、キャロットシード、クラリセージ、タイム、バジル、フェンネル、ペパーミント、マージョラム、ローズマリー等のハーブ系の精油や、カモミール、ジャスミン、ゼラニウム、ネロリ、ヘリクリサム、ラベンダー、リンデン、ローズ等の花系の精油や、イランイラン、サンダルウッド、パチュリー、パルマローザ、ベチバー等のエキゾチック系の精油や、エレミ、ガルバナム、ファー、フランキンセンス、ベンゾイン、ミルラ等の樹脂系の精油や、アニス、カルダモン、クローブ、コリアンダー、シナモン、ジンジャー、ブラックペッパー、ローレル等のシナモン系の精油や、サイプレス、シダーウッド、ジュニパー、パイン、プチグレン、マートル、ユーカリ、ローズウッド等の樹木系の精油等が挙げられる。
なかでも、柑橘系やハーブ系の精油は、リモネン、1,8−シネオール、ミルセン、ピネン、サビネン、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール等のテルペノイド類又はその類縁の化合物を含有するが、特に揮発性が高く、短時間で香りが気散してしまうことが知られている。本発明の繊維処理剤を用いれば、このようなテルペノイド類又はその類縁の化合物を含有する精油であっても、比較的長時間にわたって香りを楽しめることから特に好適である。
なお、本明細書においてテルペノイド類の類縁の化合物とは、上記テルペノイド類の誘導体であって、炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、オキシド類、エステル類、ラクトン類、カルボン酸類を意味する。
【0010】
上記揮発防止剤は、上記精油と併用することにより、繊維製品に付着した精油が気散するのを防止する効果を有する。
上記揮発防止剤は、上記精油揮発防止効果を発揮するものであれば特に限定されないが、例えば、安息香酸エステル等の従来から揮発防止剤として知られている化合物のほか、エチレングリコール等の多価アルコールや、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、Tween20、Tween40、Tween60、Tween80等の界面活性剤が挙げられる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルは、上記テルペノイド類を含有する精油と組み合わせたときに、特に高い精油揮発防止効果を発揮できることから好適である。
【0011】
本発明の繊維処理剤中の上記揮発防止剤の配合量は特に限定されないが、上記精油100重量部に対する好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は30重量部である。上記揮発防止剤の配合量がこの範囲内であると、充分な精油揮発防止効果を発揮することができる。上記揮発防止剤の配合量のより好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は20重量部である。
【0012】
本発明の繊維処理剤は、必要に応じて、溶媒を含有してもよい。上記溶媒としては、上記精油及び上記揮発防止剤を溶解、又は、良好に懸濁できるものであれば特に限定されないが、取り扱い性に優れることから、水、エタノール、メタノール等の水系溶媒が好適である。
【0013】
本発明の繊維処理剤は、更に必要に応じて、乳化剤、分散剤等の添加剤を含有してもよい。
【0014】
本発明の繊維処理剤を製造する方法は特に限定されず、上記精油、揮発防止剤、溶媒及び必要に応じて添加する添加剤を混合する方法が挙げられる。
【0015】
本発明の繊維処理剤を用いて繊維製品を処理することにより、該繊維製品に天然由来の精油及び揮発防止剤が付着した天然由来精油付繊維製品を得ることができる。
このような天然由来精油付繊維製品は、長時間にわたって天然由来の精油の香りを楽しめる一方、洗濯によって容易に該精油を除去することができる。これは、上記揮発防止剤を併用することにより精油の揮発が抑制されて、より長時間精油が残留する一方、精油が繊維製品に化学的に結合されていないことから、洗濯によって容易に精油を除去できるためと考えられる。従って、いったん精油を繊維製品に処理しても、日によっては香りを抑えたり、日毎に違う香りを楽しんだりすることもできる。
繊維製品と、該繊維製品に付着した天然由来の精油及び揮発防止剤とからなる天然由来精油付繊維製品もまた、本発明の1つである。
【0016】
上記繊維製品としては特に限定されず、綿(セルロース系繊維)、麻、絹、羊毛等の天然繊維からなるもの、ポリエチレンテレフタレート、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテート、ナイロン、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、アクリル、アクリル系、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等の合成繊維からなるものであってもよく、これらの混合繊維からなるものであってもよい。なかでも、綿布は、肌着等をはじめとする繊維製品の多くに用いられるものであり、本発明の繊維処理剤で処理したときに、特に長時間にわたって精油の香りを楽しめることから好適である。
なお、上記繊維製品は、例えば、繊維製品を構成する分子に、カルボキシル基、アミノ基、スルホン基、水酸基、リン酸基、エポキシ基、エーテル残基等の極性基又はこれらの基を有する基等の親水基を結合させた、親水化処理が施されたものであってもよい。親水化処理が施された繊維製品では、更に長時間にわたって精油の香りを楽しむことができる。
【0017】
本発明の天然由来精油付繊維製品としては特に限定されず、衣料の他、ハンカチ、タオル、ふとん等も好適である。なかでも、肌着や、敷ふとん、敷マット、敷布、毛布・タオルケット、ふとんカバー、掛けふとんの襟掛け、枕、枕カバー、パジャマ等の就寝用品等に精油を付着させた場合には、意識せずとも長時間にわたって精油の香りを吸入することになることから、極めて高い効果が期待できる。
【0018】
本発明の天然由来精油付繊維製品を製造する方法としては特に限定されず、例えば、本発明の繊維処理剤中に繊維製品を浸漬又はパディングする方法が挙げられる。