【実施例1】
【0037】
図1に示すように、クレーン装置10は、増築された建物B内に設置されており、既設の第1建物部B1の柱に架設されてX方向(第一方向)に延在する第1クレーンガータ21と、第1建物部B1の揺れが伝わらないように第1建物部B1とは構造上切り離された新設の第2建物部B2の柱に架設されてX方向に延在する第2クレーンガータ22とを有している。クレーン装置10は、第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22とが同一線上に設けられ、これら第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22の上側にX方向に延在するレール30が敷設され、そのレール30の上面をクレーン走行体40が走行する構成とされている。
【0038】
図2に示すように、第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22とは、建物Bを上方より平面視して、それぞれ平行に(
図2において紙面上下に)2つずつ設けられている。したがって、レール30も対で敷設され、各レール30には、上面をX方向に走行するレール走行部41がそれぞれ載置されている。これら一対のレール走行部41を跨ぐようにして梁部42が架設され、梁部42にはトロリ43がY方向(第二方向)に走行可能に設置されている。トロリ43は昇降可能なフックFを有し、吊荷Mを懸吊しつつトロリ43とレール走行部41の走行により吊荷Mが搬送されるようになっている。レール走行部41、梁部42及びフックFを有したトロリ43は、全体でクレーン走行体40を構成している。
【0039】
第1クレーンガータ21の第2クレーンガータ22側の端部21Tには、第1クレーンガータ21から第2クレーンガータ22に向けてガータ延長部23が突設され、その第2クレーンガータ22側の端面と当該端面に対向する第2クレーンガータ22の端部22Tの端面との間に隙間L
0が形成されている。ガータ延長部23は、第1クレーンガータ21の端部21Tの下側だけが第2クレーンガータ22に向けて延出した態様に構成され、その上側には水平な上面が形成されている。
【0040】
第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22の間のガータ延長部23の上面には、中間クレーンガータ50がX方向に移動可能に載置され、その上面側において第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22の間に延びるレール30が支承されている。レール支承装置11は、これら第1クレーンガータ21、第2クレーンガータ22及び中間クレーンガータ50を有して構成されている。
【0041】
レール30は、レール支承装置11に支承されている。すなわち、レール30は、第1クレーンガータ21、第2クレーンガータ23及び中間クレーンガータ23の上面側にそれぞれ固定されている。そして、レール30の第1クレーンガータ21側の一部には、レール30に所定の応力が加わると、一部が脱落するレール脱落部R(レールを非連続にする部位)が設けられている(
図10参照)。
【0042】
上記レール支承装置11の基本的な動作について、一例として地震により建物が揺れる場合を想定して、
図3及び
図4を参照しながら説明する。なお、
図3及び
図4は、レール支承装置11の動作を原理的に説明するための図であるので、レール支承装置11において本質的な構成のみを概略的に示し、その余の構成については省いて示している。例えば、ガータ延長部23は、中間クレーンガータ50を移動可能に支持する構成として代替的な構成が考えられる(後述の
図12及び
図13に関する記載等を参照。)ので、ここでは図示していない。
図3は、第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22とが相対変位することなく定位置で静止している場合の状態を示す図である。中間クレーンガータ50は、第1クレーンガータ21の端面(端部21Tの端面)からクリアランスL
1(衝突防止クリアランス)だけ離間されるとともに、第2クレーンガータ22の端面(端部22Tの端面)からクリアランスL
2(衝突防止クリアランス)だけ離間されるようにして、第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22との間に配置されている。クリアランスL
1とクリアランスL
2とは、本実施例においては、両者を足し合わせたときにちょうど上記隙間L
0に等しくなるように設定されている。隙間L
0は、レベル2地震動で予想されるX方向の相対変位量Δx(予想値)よりも若干大きめ(例えば60cm)に設定されている。クリアランスL
1とクリアランスL
2とは、本実施例においては同じ大きさに設定され、
図3に示すように、クリアランスL
1とクリアランスL
2に渡されたレール30の上を吊荷搬送中のクレーン走行体40が通過しても、その重さによってレール30が撓み過ぎることがなく、クレーン走行体40の走行が可能となるように設定されている。例えば、クリアランスL
1とクリアランスL
2は、クレーン走行体40の仕様にもよるが、クレーン走行体40の通過に伴うレールの鉛直変位をδとするとき、δ/L
1,2<1/1000(ここで、L
1,2はL
1又はL
2を意味する。)を満たすように設定されている。
【0043】
図4には、第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22とが予想された相対変位量Δxだけ変位し、第1クレーンガータ21に向けて第2クレーンガータ22が接近した様子が示されている。このとき、X方向に移動可能とされた中間クレーンガータ50は、第2クレーンガータ22に押されて第1クレーンガータ21に向かって移動し、第1クレーンガータ21と中間クレーンガータ50との間に形成されていたクリアランスL
1のうち、中間クレーンガータ50が移動した分が、第2クレーンガータ22と中間クレーンガータ50との間に形成されていたクリアランスL
2に足し合わされたのと同じような状態(当初に第2クレーンガータ22と中間クレーンガータ50との間にL
2+Δxの隙間が設けられていた場合と同じ状態)を実現する。本実施例では、クリアランスL
1とクリアランスL
2とを全て足し合わせると相対変位量Δxより若干大きめに設定されたL
0(L
0>Δx)になるように設定されているので、第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22とが相対変位量Δxだけ変位した状態でも依然として第1クレーンガータ21と中間クレーンガータ50との間に隙間(L
0−Δx)が残されることになる。これにより、第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22とが予想された相対変位量Δx変位しても、第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22とが互いに力を及ぼし合うような関係にならない。こうして、従来のような第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22との衝突による破損の問題が回避できる。
【0044】
次に、
図5乃至
図10を参照しながら、本実施例を詳細に説明する。
【0045】
図5は、本実施例のクレーン装置の要部、すなわちレール支承装置11の要部を拡大して示す正面図であり、
図6はその平面図である。
図5において、中間クレーンガータ50は、ガータ延長部23の上面にX方向に移動可能に載置されている。中間クレーンガータ50の図中左側の端面と第1クレーンガータ21の図中右側の端面との間には、クリアランスL
1が形成されている。その一方で、中間クレーンガータ50の図中右側の端面と第2クレーンガータ22の図中左側の端面との間には、クリアランスL
2が形成されている。中間クレーンガータ50の右側の端部の下方には、ガータ延長部23の右側の端面と第2クレーンガータ22の左側の端面との間の隙間L
0が形成され、本実施例においては、L
1=L
2かつL
0=L
1+L
2に設定されている。従って、中間クレーンガータ50が第1クレーンガータ21に当接するまで移動すると、中間クレーンガータ50の右側の端面とガータ延長部23の右側の端面とが概ね揃うことになる。
【0046】
中間クレーンガータ50は、ガータ延長部23に載置される略矩形状の底部511と、底部511と同形かつレール30を支持する上面側の上部512と、底部511と上部512とを接続するために、底部511のY方向中央位置に垂直に立設されたX方向に延びる接続部513とからなる本体部51を有している。
【0047】
ガータ延長部23の上面には、中間クレーンガータ50の底部511をY方向における両側から挟み込むようして一対をなすX方向案内部52(中間クレーンガータ案内手段)がX方向前後に2対ほど配設されている。これらX方向案内部52は、一対でY方向に中間クレーンガータ50を挟み込むことでY方向への中間クレーンガータ50の移動を規制する一方、X方向へは中間クレーンガータ50の摺動を許し、中間クレーンガータ50がX方向案内部52に対してX方向に移動可能とされている。X方向前後に配置されたX方向案内部52の配置によって、中間クレーンガータ50の移動方向がX方向に平行に保たれるようになっている。
【0048】
中間クレーンガータ50のX方向中央付近には、底部511から上部512にかけて垂直に取付梁53が延在し、この取付梁53の垂直方向中央やや下寄りの位置に中間クレーンガータ50の外側に向けてX方向移動開始調整片54(中間クレーンガータ移動開始調整手段)が突設されている。一方、ガータ延長部23の上面には、中間クレーンガータ50のX方向中央付近に対応する位置に、Γ字状の当接片55が、自身の水平に延びる当接面部分551を中間クレーンガータ50側に向けるようにして立設されているとともに、中間クレーンガータ50側から延びる上記X方向移動開始調整片54に上記当接面部分551が対面するように配置されている。ここで、X方向移動開始調整片54は、真っ直ぐな状態では当接片55の通過を許さないが、所定の閾値以上の力がX方向に加わると折れ曲がり、この折れ曲がった状態では当接片55が素通りできるようになっている。このX方向移動開始調整片54は容易に交換が可能で、折れ曲がったものと新しいものとを直ぐに取り替えることができる。X方向移動開始調整片54が折れ曲がるときの力の閾値は、X方向移動開始調整片54の板厚や幅を調整することで適宜設定することができる。
【0049】
当接片55の当接面部分551の下側縁(上下動規制手段)は、中間クレーンガータ50の底部511の上面よりやや上側に位置し、若干の隙間を形成している。
【0050】
中間クレーンガータ50の底部511の上面には、当接片55の当接面部分551を上記X方向移動開始調整片54とともに挟み込むようにして逆走防止片56(飛び出し防止手段)が固設されており、中間クレーンガータ50が第2クレーンガータ22の方に移動しようとしても、逆走防止片56が当接片55の当接面部分551に妨げられて第2クレーンガータ22側に飛び出さないようになっている。
【0051】
中間クレーンガータ50の底部511の上面には、第1クレーンガータ21側の端部に、傾倒防止くさび対57(傾倒防止手段)が配置されている。傾倒防止くさび対57は、上くさび571(固定くさび)と下くさび572(移動くさび)とからなり、上くさび571がくさび固定バー573によってガータ延長部23に対して固定されている一方、下くさび572は中間クレーンガータ50の底部511の上面に固定されて中間クレーンガータ50と一体で移動可能とされている。上くさび571と下くさび572とは、
図5中右下がりの傾斜当接面(傾斜面)にて互いに当接しており、中間クレーンガータ50が第1クレーンガータ21側に移動するときは上くさび571と下くさび572とが離間し、中間クレーンガータ50が第2クレーンガータ22側に移動するときは上くさび571と下くさび572とが傾斜当接面にて一層強く密着する。中間クレーンガータ50を第2クレーンガータ22側に移動させようとすると、下くさび572が傾斜当接面を介して上くさび571から下向き成分の力を受け、中間クレーンガータ50がガータ延長部23の上面に一層強く押さえつけられることで中間クレーンガータ50の傾倒が防止されるようになっている。また、傾倒が防止されるときに上部512が慣性により上方に向かおうとするのを支えるため、底部511から上部512にかけて垂直に補強梁58が延在している。
【0052】
中間クレーンガータ50の上部512の上面には、上部512と同形のレール取付板60が当該上面に対して摺動可能に載置され、第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22の上面と面一とされたレール取付板60の上面にレール30が固定されている。
【0053】
中間クレーンガータ50の上部512には、レール取付板60に取り付けられた断面コ字状のY方向案内部61(レール取付板案内手段)が、レール取付板60のX方向両側において対をなして上部512を挟み込むように係合している。X方向に対をなしたY方向案内部61は、Y方向に前後2か所に設けられ、合計4か所に配置されたY方向案内部61が、レール取付板60をY方向のみに案内するように構成されている。Y方向案内部61は、本実施例ではレール取付板60側に固定され、レール取付板60とともに一体で移動する。ここで、接続部513のY方向案内部61が通過する部位は切り欠かれており、Y方向案内部61の上部512に対する動きを妨げないようになっている。Y方向案内部61は、基本的には、レール取付板60又は上部512のどちらか一方に固定されて他方に対して摺動を許すものであればよいが、本実施例の構成にすると、Y方向案内部61が、レール30の固定されたレール取付板60とともに移動するので、Y方向案内部61がレール30の可動域を狭めない(Y方向案内部61が上部512に固定された場合、レール取付板60が大きく移動すると、レール30がY方向案内部61に衝突する。)。
【0054】
中間クレーンガータ50の上部512の下面のY方向端面側の位置に、Y方向に対をなすようにしてX方向に前後2か所、2対の取付片62が下方に向けて延出し、この取付片62にそれぞれY方向移動開始調整片63(レール取付板移動開始調整手段)が取り付けられている。Y方向移動開始調整片63は、上方に延在してその上端部がレール取付板60のY方向端面に当接している。ここで、Y方向移動開始調整片63は、真っ直ぐな状態ではレール取付板60の通過を許さないが、所定の閾値以上の力がY方向に加わると、折れ曲がり、この折れ曲がった状態ではレール取付板60が素通りできるようになっている。このY方向移動開始調整片63は容易に交換が可能で、折れ曲がったものと新しいものとを直ぐに取り替えることができる。Y方向移動開始調整片63が折れ曲がるときの力の閾値は、Y方向移動開始調整片63の板厚や幅を調整することで適宜設定することができる。
【0055】
中間クレーンガータ50の底部511の上面と、レール取付板60の上面と、ガータ延長部23の上面のそれぞれには、落下防止用ワイヤ取付金具70が立設され、落下防止用ワイヤWがこれらの間を繋いでいる。
【0056】
以上の構成とされた本実施例のクレーン装置10及びその要部を構成するレール支承装置11は、以下のように動作する。
【0057】
第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22とが相対変位することなく定位置で静止している場合、第1クレーンガータ21と中間クレーンガータ50との間に形成されたクリアランスL
1のX方向の長さと、第2クレーンガータ22と中間クレーンガータ50との間に形成されたクリアランスL
2のX方向の長さは、レール30がクレーン走行体40の重さで下方に撓んでも、クレーン走行体40の走行が可能となる程度に設定されているので、クレーン走行体40は、吊荷Mを懸吊しながらレール30上を支障なく行き来する。
【0058】
次に、例えば地震が発生する等して第1建物部B1と第2建物部B2とが異なる揺れ方をし、第1建物部B1に設置された第1クレーンガータ21と第2建物部B2に設置された第2クレーンガータ22とが相対変位するとき、揺れがそれほど大きくなく、その大きさがクリアランスL
0よりも十分小さいような場合には、中間クレーンガータ50は、逆走防止片56とX方向移動開始調整片54とが、ガータ延長部23に固定された当接片55の当接面部551を挟んでいるため、ガータ延長部23上でX方向に移動しない。これにより、中小規模の地震等が発生したぐらいでは、中間クレーンガータ50は移動せず、そのため、揺れが収まった後、中間クレーンガータ50の位置を修正する作業等は発生しない。
【0059】
しかしながら、例えば震度6以上といった大規模地震等により激しい揺れが生じて中間クレーンガータ50に慣性力が働く、あるいは相対変位してきた第2クレーンガータ22が中間クレーンガータ50に当たる等して、X方向移動開始調整片54に働くX方向の力の大きさが所定の閾値を超えると、X方向移動開始調整片54が当接片55の当接面部分551に押されて折れ曲がり、この状態でX方向移動開始調整片54が当接面部分551を素通りできるようになるので、中間クレーンガータ50が第1クレーンガータ21に向かって移動できるようになる。これにより、第1クレーンガータ21に向かって第2クレーンガータ22が接近するように変位してきたときには、中間クレーンガータ50は、第2クレーンガータ22に押されて第1クレーンガータ21に向かって移動することができる。
【0060】
他方、逆走防止片56は、依然として当接片55の当接面部分551に当接して第2クレーンガータ22に向かう中間クレーンガータ50の移動を禁止しているので、揺れにより中間クレーンガータ50が第2クレーンガータ22の方に動いていきガータ延長部23から飛び出して下に落下することが防止される。
【0061】
当接片55の当接面部分551の下側縁と、中間クレーンガータ50の底部511の上面との間には、若干の隙間が形成されているので、中間クレーンガータ50が移動するときに、摩擦のない円滑な移動を保証する一方、中間クレーンガータ50がガータ延長部23の上面から上がろうとするときには、当接面部分551の下側縁に中間クレーンガータ50の底部511の上面がぶつかって、それ以上、中間クレーンガータ50がガータ延長部23から上方に離れることがない。
【0062】
中間クレーンガータ50が第1クレーンガータ21に向かって移動するときには、Y方向の揺れにもかかわらず、X方向案内部52により、Y方向への移動が規制されつつ、ガータ延長部23上においてX方向にのみ移動する。これにより、中間クレーンガータ50がガータ延長部23のY方向両端から下に落下することが防止されるとともに、第2クレーンガータ22から押されたときには、X方向に沿って円滑に第1クレーンガータ21に向けて移動することができる。
【0063】
中間クレーンガータ50が第2クレーンガータ22に向かって移動するときには、上記逆走防止片56の他、傾倒防止くさび対57もその移動を規制する。中間クレーンガータ50が第2クレーンガータ22側に移動するときは上くさび571と下くさび572とが傾斜当接面にて密着し、それ以上の移動を規制するとともに、上くさび571により中間クレーンガータ50がガータ延長部23の上面に押さえつけられることで中間クレーンガータ50の傾倒が防止される。これにより、中間クレーンガータ50が第2クレーンガータ22側に傾くようにして隙間L
0から下方に滑り落ちることがない。逆に、中間クレーンガータ50が第1クレーンガータ21に向かって移動するときには、くさび571と下くさび572とが傾斜当接面にて直ちに離間し、摩擦等によって中間クレーンガータ50の移動を妨げることがない。
【0064】
地震が発生する等して第1建物部B1と第2建物部B2とが異なる揺れ方をするときには、第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22とは、上述のようにX方向に相対変位するだけでなく、Y方向にも相対変位する。このとき、プレート取付板6は、Y方向移動開始調整片63によりY方向両側で挟持されているため、揺れがそれほど大きくないときには、中間クレーンガータ50に対してY方向に移動することがない。これにより、中小規模の地震等が発生したぐらいでは、プレート取付板6は移動せず、そのため、揺れが収まった後、プレート取付板6の位置を修正する作業等は発生しない。
【0065】
しかしながら、例えば震度6以上といった大規模地震等による激しい揺れが生じて第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22とがY方向に大きくずれるときには、仮にレール30が中間クレーンガータ50に対して全く移動できないとすると、中間クレーンガータ50と第2クレーンガータ22の間の衝突防止クリアランスL
2でのレール30の変形しか許されないことになり、レール30に局所的な応力が加わることになる。そこで、このような大きなY方向の変位が生じるときには、プレート取付板6は、閾値を上回る大きさのY方向の力でY方向移動開始調整片63を折り曲げ、Y方向移動開始調整片63を素通りしてY方向に移動する。レール30が第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22のY方向における中間位置に向けて横ずれすることにより、レール30の変形は、第1クレーンガータ21から第2クレーンガータ22にわたる比較的広い範囲にわたり、レール30に加わるY方向の力を所定長さに亘って分散させることができる。
【0066】
また、レール30は、第1クレーンガータ21の上側の一部にレール脱落部Rが形成されており、例えば
図10に示すように、X方向に所定の力が働くとレール脱落部Rがレール30から外れ、レール30をこの部分で非連続にするので、第1建物部B1と第2建物部B2がレール30を介して揺れを伝えることが防止できる。
【0067】
以上の構成とされた中間クレーンガータ50がそれでもガータ延長部23から落下するような万が一の場合に備えて、中間クレーンガータ50及びガータ延長部23並びにレール取付板60及びガータ延長部23は、落下防止用ワイヤ取付金具70を介して落下防止用ワイヤWによってそれぞれ繋げられており、中間クレーンガータ50及びレール取付板60の落下が防止できる。
【0068】
以上のとおり、本発明の第一実施例に係るレール支承装置11及び当該レール支承装置11を備えたクレーン装置10によれば、互いに相対変位する第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22との間のクリアランスL
1,L
2により互いの衝突を防止するとともに、クレーン走行体40がクリアランスL
1,L
2に渡されたレール30の上を走行するとき、中間クレーンガータ50のおかげでレール30の変形がクレーン走行体40の走行を可能ならしめる程度に抑えられるにようにできる。そして、X方向移動開始調整片54により、中小規模の地震の揺れの程度では中間クレーンガータ50は動かず、特に事後的な調整作業は不要である一方、いざ大地震が起きたときに匹敵する揺れが発生したときには、X方向移動開始調整片54が折曲して中間クレーンガータ50の移動を許して上述の効果を発揮せしめ、復旧に際しては、移動した中間クレーンガータ50の位置調整を行って、折曲したX方向移動開始調整片54を新しいものと交換するだけで済むから、概ね当日のうちに復旧作業を終了させることができる。このことは、レール取付板60とY方向移動開始調整片63についても言える。
【0069】
本発明の一実施例は、上述の構成とされているが、その構成は、本発明の技術的思想を実現する様々な態様に変更できることは言うまでもない。例えば、中間クレーンガータ案内手段、上下動規制手段及び傾倒防止手段は、
図11に示すような態様で実施することもできる。この変形例では、中間クレーンガータ50の底部511の下面に、断面逆T字状かつX方向に所定長さ延在する係合部80が突設される一方、ガータ延長部23側には、係合部80がX方向に摺動可能に嵌合する案内孔90が上面側から穿設されている。係合部80と案内孔90とが協働して、中間クレーンガータ50のY方向への移動を規制しながらX方向に案内し、上下動を規制し、傾倒を防止する。また、中間クレーンガータ50は、案内孔90に導かれてX方向に自在に摺動するが、第2クレーンガータ22側への飛び出しを防止するように、係合部80の第2クレーンガータ22への移動を禁止する不図示の飛び出し防止部が飛び出し防止手段として案内孔90内に設けられている。これは、例えば、係合部80の端面に当接するように案内孔90内に突設された当接片といった態様で実現できる。また、係合部80と案内孔90の表面に粗面部を設けておき、所定の力が加わったときのみ静止摩擦力を上回って中間クレーンガータ50が第1クレーンガータ21に向かって移動開始するようにして中間クレーンガータ移動開始調整手段を実施することもできる。また、地震発生時の建物の揺れ等により第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22との間の相対変位が生じることを想定して本発明の動作を説明したが、地震以外の台風その他の原因による第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22との間の相対変位が生じる場合にも本発明が適用できることは言うまでもない。
【実施例2】
【0070】
次に、本発明の第二の実施例について
図12乃至
図13を参照しながら説明する。
図12及び
図13は、本発明の要部のみ示すものであるので、クレーン装置10の全体構成については、
図1及び
図2を援用する。また、本発明の第一の実施例と同じ構成については、見やすくする目的で一部図示を省略し、図示された部材のうち同一符号が付された部材は、第一の実施例と同じ作用効果を奏するものである。
【0071】
本実施例におけるレール支承装置11を備えたクレーン装置10は、第1クレーンガータ21のY方向両側面からX方向に突設された一対のアーム型ガータ延長部230と、アーム型ガータ延長部230にX方向に摺動可能に嵌合する支持アーム110を介してそれぞれ保持された二つの中間クレーンガータ50a,50bとを有している。本実施例においては、アーム型ガータ延長部230と支持アーム110との摺動可能な嵌合により、中間クレーンガータ案内手段、上下動規制手段及び傾倒防止手段が実現されている。
【0072】
第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22とが相対変位することなく定位置で静止している状態で、第1クレーンガータ21の
図12中右側端面と中間クレーンガータ50aの左側端面との間はクリアランスL
1だけ離間されている。中間クレーンガータ50aの右側端面と中間クレーンガータ50bの左側端面との間はクリアランスL
2だけ離間されている。そして、中間クレーンガータ50bの右側端面と第2クレーンガータ22の左側端面との間はクリアランスL
3だけ離間されている。クリアランスL
1、クリアランスL
2及びクリアランスL
3は、本実施例においてはそれぞれ等しく設定され、クリアランスL
1、クリアランスL
2及びクリアランスL
3に渡されたレール30の上を吊荷搬送中のクレーン走行体40が通過しても、その重さによってレール30が撓み過ぎることがなく、クレーン走行体40の走行が可能となるように設定されている。
【0073】
クリアランスL
1、クリアランスL
2及びクリアランスL
3は、全て足し合わせたときにちょうどレベル2地震動で予想されるX方向の相対変位量Δx(予想値)よりも若干大きめとなる(例えば60cm)ように設定されている。
【0074】
中間クレーンガータ50a,50bが
図12の状態に配置されているときに、中間クレーンガータ50a,50bが第2クレーンガータ22側に移動しないように、アーム型ガータ延長部230に逆走防止片120(飛び出し防止手段)が固設され、支持アーム110の右側の面に当接している。
【0075】
また、アーム型ガータ延長部230の支持アーム110の左側の面から支持アーム110の摺動面に接触する位置にかけて粗面部130(中間クレーンガータ移動開始調整手段)が形成されており、中間クレーンガータ50a,50bに所定の閾値以上のX方向の力が加わったときのみ、中間クレーンガータ50a,50bが静止摩擦力に打ち勝って第1クレーンガータ21に向けて移動することができるようになっている。
【0076】
本実施例においても、通常時には、クレーン走行体40のレール30上の走行が可能とされている。そして、地震発生時を例に取るなら、中小規模の地震の発生時には粗面部130によって中間クレーンガータ50a,50bの移動が抑えられる一方、例えば震度6以上の大規模な地震の発生時には、中間クレーンガータ50a,50bが逆走防止片120によって第2クレーンガータ22側への移動を禁止されながら、静止摩擦力に打ち勝って粗面部130を乗り越えることで第1クレーンガータ21側に移動可能となり、クリアランスL
1、L
2及びL
3によって、第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22との相対変位による衝突を防止する。
【0077】
したがって、本発明の第二実施例に係るレール支承装置11を備えたクレーン装置10によれば、互いに相対変位する第1クレーンガータ21と第2クレーンガータ22との間のクリアランスL
1、L
2及びL
3により互いの衝突を防止するとともに、クレーン走行体40がクリアランスL
1、L
2及びL
3に渡されたレール30の上を走行するとき、中間クレーンガータ50a,50bのおかげでレール30の変形がクレーン走行体40の走行を可能ならしめる程度に抑えられるにようにできる。そして、本実施例によれば、中間クレーンガータ50a,50bのX方向の移動開始を調整するに際して破損する部材がないので、復旧に要する時間がさらに短縮できる。
【0078】
以上述べてきたように、本発明によれば、互いに相対変位する第1クレーンガータと第2クレーンガータとの間の衝突防止クリアランスにより衝突を防止するとともに、クレーン走行体がその隙間に渡されたレールの上を走行するとき、レールの変形が中間クレーンガータによりクレーン走行体の走行を可能ならしめる程度に抑えられるにようにできる。
【0079】
なお、本発明のレール支承装置は、クレーン装置だけでなく、レールを支承する二つの支承体の間に隙間を有するものについては全て応用できるものである。例えば、構造上切り離された二つの橋梁間に架け渡されたレールを、二つの橋梁の間に配置した中間支承体で支承する構造とすれば、二つの橋梁が地震等で振動する等して二つの橋梁間の距離が変化しても、橋梁同志がぶつかり合って破損することがなく、レールが走行体の重さで変形破損することもない。このようなレール支承装置は、例えば、走行体としての列車が走行する鉄橋や遊園地におけるジェットコースターといった遊戯機等に用いられると好適である。