(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
板状の多孔質カーボンであって、板状の形態が、面方向の広がり(L)が1〜100μm、厚み(D)が0.03〜5μmの結晶であり、メソ孔を有し、比表面積が400m2/g以上であることを特徴とする多孔質カーボン。
板状の多孔質カーボンの製造方法であって、ポリイミドの分子鎖が結晶の厚み方向に配向した板状のポリイミド結晶を、非酸化性雰囲気で加熱焼成することを特徴とする多孔質カーボンの製造方法。
【背景技術】
【0002】
形態や細孔構造を制御した多孔質カーボン材料は、各種電池材料をはじめ、触媒担体、ガス吸着材料等、様々な用途に利用されている。
【0003】
ここで、これら多孔質カーボンを製造する方法としては、これまでいくつかの方法が提案されており、例えば、残炭率の高いポリイミド材料と、酸化マグネシウムのようなアルカリ土類金属の酸化物からなる鋳型粒子とを混合後、該混合物を非酸化性雰囲気で加熱焼成、鋳型粒子を除去することで三次元網目構造を有する多孔質体が調製でき、さらには鋳型粒子の径を変えることで細孔径や細孔分布を制御できることが提案されている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、本手法は、焼結後の鋳型粒子の除去工程が必要となり、生産性が低いほか、多孔質カーボンの細孔構造は制御可能であるものの、その形態の制御は困難である。
【0005】
また、他の方法として、高結晶性の芳香族ポリイミドの微粒子を原料とし、非酸化性雰囲気下、焼成することにより、鱗片状の多孔質平面構造体が放射状にヒダのように集まった球晶状の多孔質カーボンが調製できることが報告されている(特許文献2)。
【0006】
本手法は、ユニークな形態の多孔質カーボンが得られるものの、得られる多孔質カーボンの比表面積が300m
2/g未満と低いことが課題であった。
【0007】
このように、従来技術として多孔質カーボンの形態や細孔構造制御に関する種々の提案がなされているが、従来法では、多孔質カーボンの形態と細孔構造を同時に制御することが困難である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
多孔質カーボン
本発明により得られる多孔質カーボンは、板状の形態を示し、板状結晶の面方向の長さ(L)は、1〜100μmであり、厚み(D)は0.03〜5μmである。また、該多孔質カーボンは、BET比表面積測定における比表面積が400m
2/gであり、3〜40nmのメソ孔も有することを特徴とする多孔質カーボンである。また、板状の多孔質カーボンにおいては、メソ孔がその厚み方向に伸びたような回転楕円体構造を示し、それらが連通した構造を示すことを特徴として有する。なお、メソ孔の状態については、3次元透過型電子顕微鏡観察により観察可能である。
【0016】
多孔質カーボンの製造方法
本発明の多孔質カーボンは、分子鎖が結晶の厚み方向に高度に配向し、面方向の長さ(L)が1〜100μm、厚み(D)が0.03〜5μmの板状のポリイミド結晶を非酸化性雰囲気下、焼成させて製造することを特徴とする。
本発明に使用される板状のポリイミド結晶は、焼成によってほとんど減容せずそのままの外形形状を保ったまま多孔質カーボンを製造することができる。
【0017】
本発明の多孔質カーボンの製造方法は、(a)板状のポリイミド結晶を調製、分離する第一工程、及び(b)得られたポリイミド結晶を非酸化性雰囲気下、焼成する第二工程を含む。
【0018】
第一工程
分子鎖が結晶の厚み方向に高度に配向した板状のポリイミド結晶の製造方法としては、分子鎖が結晶の厚み方向に配向した高結晶性のポリイミド結晶が調製できる限り、特に制限されないが、具体的な方法としては、芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミンの水溶液または溶液を混合して得られるモノマー塩結晶を、常圧下、固相重合させる方法及び水溶性の芳香族テトラカルボン酸エステルと芳香族ジアミンを水中で重合、結晶化することにより調製する方法がある。
【0019】
(モノマー塩結晶の固相重合によるポリイミド結晶の調製)
モノマー塩結晶の固相重合によるポリイミド結晶は、芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミンの水溶液または溶液を混合して得られる塩モノマー結晶を常圧下、固相重合を行うことにより、調製することができる。
【0020】
モノマー塩結晶の生成に用いられる芳香族テトラカルボン酸としては、下記式(2)で表される芳香族テトラカルボン酸がある。
【化2】
【0021】
また、モノマー塩結晶の生成に用いられる芳香族ジアミンとしては、下記式(3)で表される芳香族ジアミンがある。
【化3】
【0022】
式(2)の芳香族テトラカルボン酸は、水溶性もしくは溶媒に可溶であれば特に制限されず、一般的なものが利用できる。例えば、ピロメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7− ナフタレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を用いることができる。本発明では、生成するモノマー塩の結晶性の観点より、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸が好ましく、特にピロメリット酸が好ましく、芳香族テトラカルボン酸としては1種に限定することが好ましい。
【0023】
式(3)の芳香族ジアミンは、水もしくは溶媒に可溶であれば特に制限されず、一般的なものが利用できる。例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4−4’−ジアミノジフェニルエーテル、4−4’−ジアミノジフェニルメタン、4−4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4−4’ジアミノジフェニルスルホン、4−4’−ジアミノジフェニルエーテル、4−4’−ジアミノベンゾフェノン等が挙げられる。これらは、単独または二種以上の混合物で用いることができる。本発明では、生成するモノマー塩結晶の結晶性の観点より、p−フェニレンジアミンが好ましく、芳香族ジアミンとしては1種に限定することが好ましい。
【0024】
モノマー塩結晶の生成に用いる溶媒については一般的なものが利用できる。例えば、水、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ジエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、N−メチルピロリドンなどのピロリドン系溶媒、アセトンなどのケトン系溶媒が挙げられる。これらは、単独または二種以上の混合物で用いることができる。また、水とその他の溶媒を混合溶媒として利用する場合の混合比は水が0.1〜99.9wt%であり、環境負荷低減の観点からは、好ましくは20〜99.9wt%、より好ましくは50〜99.9wt%である。
【0025】
芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミンの水溶液もしくは溶液から、ポリイミド前駆体であるモノマー塩結晶を生成する条件は、板状のモノマー塩結晶が生成される限りどのような条件・態様であっても良いが、得られるポリイミド結晶の形態、サイズは、本モノマー塩結晶の形態、サイズで決定されるため、目的に応じ、適宜条件、手法を調整する必要がある。
【0026】
本手法により得られるモノマー塩結晶は、芳香族同士のπ‐π相互作用や水素結合のような分子間相互作用が強く働くため、結晶成長においては沿面方向への結晶成長が早く、結果として
図1に記載するようにモノマー塩が配列した板状のモノマー塩結晶が得られる。
【0027】
得られた板状のモノマー塩結晶の固相重合過程においては、縮合反応による副生成物として水が抜けるため、面内方向の秩序性に乱れは生じるものの、分子鎖の配列が大きく変わるほどのコンフォメーション変化は生じ得ない。そのため、モノマー塩結晶の固相重合により得られるポリイミド結晶中のポリイミド分子は、モノマー塩の配列を維持しており、結果として分子鎖が結晶の厚み方向に配向したポリイミド結晶が得られる。
【0028】
モノマー塩結晶を調整する手法としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸の溶液へ、芳香族ジアミンを固体で添加、溶解し、モノマー塩結晶を得る方法、また芳香族テトラカルボン酸の溶液と芳香族ジアミンの溶液を混合し、モノマー塩結晶を得る方法などが挙げられるが、この限りでない。この場合の溶液としては、水溶液が好ましい。
【0029】
モノマー塩結晶の形態、サイズを制御する上では、特に芳香族テトラカルボン酸、芳香族ジアミン等の原料溶液を混合した際の過飽和度を制御することが重要である。過飽和度を制御するうえでは、溶媒の選択はもちろん、混合する際の濃度や混合速度が重要なファクターであり、モノマー塩の溶解性が低いほど、原料濃度が高いほど、また原料を混合する速度が早いほど、得られるモノマー塩結晶のサイズは小さくなる。ただし、モノマー塩の溶解性が著しく低い場合には、過飽和度が高いがゆえに結晶表面や内部に欠陥が生じ、欠陥を起点に結晶成長が生じるような現象も起こるため、結果としてサイズが大きくなることもある。この際、芳香族テトラカルボン酸の溶液と芳香族ジアミンの溶液を混合する方法において、得られるモノマー塩結晶が板状結晶の集合体となることを回避し、独立した板状結晶を得るためには、モノマー原料濃度が1mol/L未満であることが好ましく、500mmol/L未満であることがより好ましく、100mmol/L未満の濃度であることがより好ましい。また、芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミンの混合方法としては、芳香族テトラカルボン酸の溶液へ撹拌下、等当量の芳香族ジアミンの溶液をゆっくりと添加、混合を行うことが、独立した板状結晶が得るうえで好ましい。
【0030】
得られたモノマー塩結晶は、濾過および遠心分離等の分離方法により液中から回収し、その後、乾燥を行う事で得られる。この際、乾燥温度は表面に付着した溶媒による再溶解や、重合の進行を阻止する上で、20〜170℃、好ましくは、30〜140℃、より好ましくは50〜100℃の乾燥条件にて乾燥することが好ましい。
【0031】
固相重合過程では、得られたモノマー塩結晶を常圧下、重合を行う。本発明における重合条件は、モノマー塩結晶からそのまま形態変化を伴うことなく、分子鎖が結晶の厚み方向に配向したポリイミド結晶が得られる限りは特に制限されないが、200℃〜400℃まで適宜加熱を行うことが好ましい。
【0032】
(水中からの結晶化を利用したポリイミド結晶の調製)
また、より高結晶、且つ分子鎖がその結晶の厚み方向に配向した板状のポリイミド結晶を調製する方法として、水溶性の芳香族テトラカルボン酸エステルと芳香族ジアミンを水中で重合、結晶化することにより調製する方法がある。一般的に、ポリイミドの合成は、縮合反応であるため、水中で重合することは困難であるものの、本手法では、結晶化という物理現象を利用することにより、重合過程で、反応場が水溶液中から固相へ転移し、高重合度のポリイミド結晶が調製可能である。また、結晶表面では、加水分解反応も並行して生じているため、加水分解反応に耐えうるような高結晶性のポリイミド成分のみが選択的に調製できるといった特徴を有する。
【0033】
芳香族テトラカルボン酸エステルおよび芳香族ジアミンは、両方を水中に溶解させた際、塩を形成して析出することがなければ特に制限されず、一般的なものが利用できる。例えば、芳香族テトラカルボン酸エステルとして、下記式(4)の化合物が挙げられ、等当量のp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4−4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンとを水に溶解した際、均一な溶液とできるため好適である。
【化4】
【0034】
水中での重合は、100℃以上、好ましくは180℃以上、より好ましくは240℃以上であることが好ましく、高温高圧での反応であることから、反応容器として密閉したステンレスチューブや、オートクレーブなどを用いることが好ましい。
【0035】
ポリイミド結晶は、反応溶液の冷却後、濾過および遠心分離等の分離方法により液中から回収し、その後、乾燥を行う事で得られる。この際、乾燥温度は該ポリイミド結晶が分解しない温度範囲であれば、特に制限されない。
【0036】
(ポリイミド結晶の構造分析)
多孔質カーボン前駆体として利用するポリイミド結晶は、高結晶性且つ、分子鎖がその結晶の厚み方向に配向していることが重要である。ポリイミド結晶の結晶性は、2θ=5〜50°の範囲でX線回折測定を実施することにより得られるプロファイルのバックグラウンド部が、非晶質部位による非干渉性散乱として仮定して、全プロファイルの面積に対する全回折線の面積の割合から算出される結晶化度が高いほど好ましく、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。また、板状のポリイミド結晶における分子鎖の配向状態は、透過型電子顕微鏡による該結晶の制限視野回折像を撮ることにより、明らかにすることができる。
【0037】
第二工程
第二工程では、第一工程で得られたポリイミド結晶を非酸化性雰囲気化、焼成を行う。本発明における焼成条件は、ポリマー結晶からそのまま形態変化を伴うことなく、多孔質カーボンが得られる限りは特に制限されないが、形態を維持するという観点からは、700〜1000℃にかけて100℃/min以下、好ましくは30℃/min以下、より好ましくは10℃/min以下の昇温速度で昇温し、焼成することが好ましい。この加熱により、分解物が発生するため、第二工程ではこれらを反応系外に除去しながら反応を実施することが好ましい。
本発明では、上記の方法を用いることによって、長径(L)1〜100μm、厚み(D)0.03〜5μmの板状の形態を有する多孔質カーボンであって、2〜40nmのメソ孔を有し、且つ比表面積が400m
2/g以上有する多孔質カーボンを調製することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0039】
〔製造例1〕
34mmolのピロメリット酸(以下PMA)を溶解した水溶液500g中へ、等当量のパラフェニレンジアミン(以下PPDA)を溶解した水溶液500gを撹拌下、約30秒かけてゆっくりと添加、混合したところ、該水溶液中へ白色の沈殿が生じた。本スラリーを濾過し、白色の結晶を回収したところ、その収率は88.7wt%であった。得られた白色結晶のFT−IR測定結果からは、2500〜3500cm
−1にかけてブロードな塩由来の特性吸収帯が観測され、PMAとPPDAからなるモノマー塩結晶であることが確認された。次に、該モノマー塩結晶10.63gをアクセル炉(デンケン・ハイデンタル(株)製、KDF−MASTER−ACCEL−21)にて、2L/minのアルゴンガス気流下、2℃/minの昇温速度で昇温しながら、途中220℃で3h、400℃で1h保持することで、8.65gのポリイミド結晶(以下PI−1)を得た。得られた結晶の走査型電子顕微鏡観察結果、広角X線回折測定結果より、明瞭な菱形形状を有する面方向の広がり(L)が10〜40μm、厚み(D)が1〜5μmの板状結晶であり、結晶化度が98%であることが確認された(
図2、
図3)。
【0040】
〔合成例1〕
60g(0.275mol)のピロメリット酸無水物と72.7g(0.605mol)のジエチレングリコールモノメチルエーテル、40mlのテトラヒドロフラン(THF)をナスフラスコ中で混合し、該混合物を24h還流した。その後、THFをエバポレータにより除去したところ、白色の固体と粘調な液体からなるスラリー状の混合物が得られた。次に、該混合物を100mlの純水に分散、ろ過する操作を3回実施し、乾燥することで白色の固体を得た(以下、PMDA−DEGM)。本化合物を
1H−NMR、
13C−NMR、元素分析により分析したところ、目的の化合物(下記式(4))であることが確認された。
1H−NMR(400MHz、DMDO−d6,δ):8.01(s、2H、Ar
H)、4.38(t、4H、J=46Hz、‐C
H2‐CH2‐O‐CH2‐CH2‐O‐CH3)、3.71(t、4H、J=46Hz、‐CH2‐C
H2‐O‐CH2‐CH2‐O‐CH3)、3.56(t、4H、J=48Hz、‐CH2‐CH2‐O‐C
H2‐CH2‐O‐CH3)、3.44(t、4H、J=46Hz、‐CH2‐CH2‐O‐CH2‐C
H2‐O‐CH3)、3.22(s、6H、‐O‐C
H3);
13C−NMR(100MHz、CDCl3、δ)168.2、165.9、135.8、133.2、129.7、72.2、69.4、68.6、65.1; Anal.Calcd. for C20H26O12(%):C 52.40、H 5.72、N 41.88;found:C 52.43、H 5.47、N 42.10.
【化4】
【0041】
〔製造例2〕
1.03g(2.25mmol)のPMDA−DEGMと0.243g(2.25mmol)のPPDA、および15mlの純水をフラスコに入れた後、アルゴン雰囲気下、80℃にて5分かけて均一、透明な溶液とした。該溶液を10ml、ステンレス製チューブ(外径:12.7mm、内径:10.2mm、長さ:200mm、容積:16.4ml)にアルゴン雰囲気下投入し、密閉した。溶液が封入されたステンレスチューブを280℃に加温した溶融塩中に投入し、10分間反応を行った。その後、該ステンレスチューブを取出し、氷水中に投入することで急冷することで、反応を停止させ、ろ過により茶色の結晶を回収した(収率:95.5%)。得られた茶色結晶のFT−IR測定結果からは、1722cm−1と1784cm
−1にイミドのC=Oに特徴的な吸収ピークが、1380cm−1にイミドのC−Nに特徴的な吸収ピークが確認されており、ポリイミド結晶であることが確認された(以下、PI−2)。また、得られた黄色結晶の走査型電子顕微鏡観察結果と広角X線回折測定により、結晶化度が100%と、非常に結晶性の高い面方向の広がり(L)が1〜5μm、厚み(D)が0.04〜0.07μmの板状の結晶であることが確認された(
図4、
図5)。また、得られた結晶の透過型電子顕微鏡による制限視野回折像(
図6)から、結晶のa、b面由来の明瞭なスポットが見られており、結晶のc軸(分子鎖方向の軸)が該板状結晶の厚み方向に配向していることが確認された。
【0042】
〔実施例1〕
製造例1にて調製したPI−1、8.65gをアクセル炉にて、2L/minのアルゴンガス気流下、2℃/minの昇温速度で昇温しながら、1000℃まで焼成処理を行うことで、4.15gの黒色結晶を得た(収率:48wt%)。得られた黒色結晶の走査型電子顕微鏡観察を行ったところ、PI−1と同じ明瞭な菱形形状を有する面方向の広がり(L)が10〜40μm、厚み(D)が1〜5μmの板状結晶であることが確認された(
図7)。また、窒素ガスにより細孔分布測定を行ったところ、明確なヒステリシス曲線を描き(
図8)、2〜20nmにかけてメソポアを有することが確認され、BET比表面積が610m2/gであることが確認された。さらに、詳細な細孔構造を評価するため、透過型電子顕微鏡による、板状結晶の断面観察(
図9)と3次元透過型電子顕微鏡観察を行ったところ、短径が2〜4nm、長径が10〜20nmの長いメソ孔が結晶の厚み方向にかけて成長していることが確認された。
【0043】
〔実施例2〕
製造例2にて調製したPI−2、0.5gをアクセル炉にて、2L/minのアルゴンガス気流下、2℃/minの昇温速度で昇温しながら、1000℃まで焼成処理を行うことで、0.23gの黒色結晶を得た(収率:46wt%)。得られた黒色結晶の走査型電子顕微鏡観察を行ったところ、PI−2と同じ、面方向の広がり(L)が1〜5μm、厚み(D)が0.03〜0.07μmの板状結晶であることが確認された(
図10)。また、窒素ガスにより細孔分布測定を行ったところ、明確なヒステリシス曲線を描き(
図11)、2〜20nmにかけてメソポアを有することが確認され、BET比表面積が808m
2/gであることが確認された。