特許第6579927号(P6579927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579927
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】荷役機械の非常ブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/22 20060101AFI20190912BHJP
   B66C 23/94 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   B66C13/22 S
   B66C23/94 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-229329(P2015-229329)
(22)【出願日】2015年11月25日
(65)【公開番号】特開2017-95237(P2017-95237A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 正吉
(72)【発明者】
【氏名】藤井 孝夫
【審査官】 加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−003874(JP,A)
【文献】 特開2017−077943(JP,A)
【文献】 特開2010−006591(JP,A)
【文献】 特開平06−135680(JP,A)
【文献】 特開2000−211882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 9/00− 11/26
B66C 13/00− 15/06
B66C 17/00− 17/26
B66B 1/00− 1/52
B66B 11/00− 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電時には開状態で対象機器の動作を許容する一方、通電停止時には閉状態となって前記対象機器の制動を実行するブレーキを備えた荷役機械の非常ブレーキシステムであって、
停電時に前記ブレーキのうち少なくとも一部に通電を行う無停電電源装置を備え、前記ブレーキの開閉を制御して前記対象機器の制動を制御するよう構成し
前記荷役機械は旋回台を回転させる旋回装置を備え、該旋回装置の制動を行う旋回ブレーキに対して適用されることを特徴とする荷役機械の非常ブレーキシステム。
【請求項2】
前記荷役機械の走行装置の制動を行う走行ブレーキに適用した、請求項1に記載の荷役機械の非常ブレーキシステム。
【請求項3】
停電時、前記ブレーキのうち一部に通電することで前記対象機器の制動を制御するよう構成した、請求項1又は2に記載の荷役機械の非常ブレーキシステム。
【請求項4】
停電時、前記ブレーキのうち少なくとも一部に断続的に通電することで前記対象機器の制動を制御するよう構成した、請求項1又は2に記載の荷役機械の非常ブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役機械において非常時にブレーキを動作させるためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
図4図5は一般的な荷役機械の一例としてジブクレーンを示している。荷役機械(ジブクレーン)1は、港湾2における岸壁3に、図4の紙面と直交する方向へ延びるレール4を敷設し、該レール4に沿って転動自在な走行車輪5が配設された合計四台の走行装置6(走行装置6a,6b,6c,6d)を基台7の脚部7aに取り付けてなる。基台7上にはマスト8が立設され、該マスト8の上端には旋回装置9を介して旋回台10が旋回自在に配設され、該旋回台10にはジブ11が起伏自在に取り付けられると共に、前支柱12Fと後支柱12Rとを備えた上部フレーム12が立設されている。さらに、旋回台10には、吊荷用フック13を吊り下げる吊荷用ワイヤロープ14を巻上げ下げするための巻上装置15と、ジブ11の起伏用ワイヤロープ16を巻上げ下げするための起伏装置17とを備えている。尚、18はジブ11の基部付近に備えられた運転室である。
【0003】
こうした荷役機械1においては、走行装置6や旋回装置9、巻上装置15や起伏装置17等、各所にブレーキ装置が備えられている。そして、このようなブレーキ装置は、万一の停電時に確実に動作するよう、通電が途絶えた状態で走行装置の制動を行うように構成されている必要がある。
【0004】
特許文献1には、荷役機械の逸走を防止するために走行装置に取り付けられる非常ブレーキ装置が記載されている。該非常ブレーキ装置は、通常運転時には作動流体を蓄圧しておき、停電時には蓄圧した作動流体を流体圧シリンダへ導いて該流体圧シリンダを伸長させ、ブレーキパッドをレールの走行車輪転動面に押し付けるようになっている。
【0005】
特許文献2には、旋回装置(旋回テーブル)に取り付けられるブレーキ装置が記載されている。該ブレーキ装置は、旋回モータへの通電時には電磁石に通電してバネを後退させておき、通電が停止されると該バネがブレーキシューを旋回テーブルに進出させて押圧し、旋回を停止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−63384号公報
【特許文献2】特開平6−135680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、こうした非常ブレーキ装置では、停電が発生した時点で全ブレーキが同時に、瞬間的に動作するため、荷役機械に対して急制動がかかり、減速に伴う大きな加速度によって各所に負荷を与えてしまう。このため、荷役機械の構造に必要な強度が増加し、建造コストが嵩んでしまう問題があった。
【0008】
また、荷役機械で吊荷を運搬している最中に停電が発生した場合には、走行装置やジブの急減速により吊荷が大きく揺れ、荷役機械自身や周囲の設備等に接触する虞があるほか、荷役機械の構造に更に負荷をかける要因ともなっていた。
【0009】
本発明は、斯かる実情に鑑み、停電時の制動を制御し、減速度を調整して急減速を防止し得る荷役機械の非常ブレーキシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、通電時には開状態で対象機器の動作を許容する一方、通電停止時には閉状態となって前記対象機器の制動を実行するブレーキを備えた荷役機械の非常ブレーキシステムであって、
停電時に前記ブレーキのうち少なくとも一部に通電を行う無停電電源装置を備え、前記ブレーキの開閉を制御して前記対象機器の制動を制御するよう構成し
前記荷役機械は旋回台を回転させる旋回装置を備え、該旋回装置の制動を行う旋回ブレーキに対して適用されることを特徴とする荷役機械の非常ブレーキシステムにかかるものである。
【0011】
本発明の荷役機械の非常ブレーキシステムは、前記荷役機械の走行装置の制動を行う走行ブレーキに適用することができる。
【0013】
本発明の荷役機械の非常ブレーキシステムは、停電時、前記ブレーキのうち一部に通電することで前記対象機器の制動を制御するよう構成することができる。
【0014】
本発明の荷役機械の非常ブレーキシステムは、停電時、前記ブレーキのうち少なくとも一部に断続的に通電することで前記対象機器の制動を制御するよう構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の荷役機械の非常ブレーキシステムによれば、停電時の制動を制御し、減速度を調整して急減速を防止し得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施による荷役機械の非常ブレーキシステムの一例を示すブロック図である。
図2】本発明の参考例における荷役機械の非常ブレーキシステムの作動を説明する線図である。
図3】本発明の実施例における荷役機械の非常ブレーキシステムの作動を説明する線図である。
図4】荷役機械としてのジブクレーンの一例を示す概略側面図である。
図5】荷役機械としてのジブクレーンの一例を示す概略正面図であって、図4のV−V矢視相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1は本発明の実施による荷役機械の非常ブレーキシステムの一例を示すブロック図であり、図中、図4及び図5と同一の符号を付した部分は同一物を表している。本実施例の荷役機械(ジブクレーン)100の基本的な構成は図4及び図5に示した従来例と同様であるので、以下、必要に応じて図4及び図5をも参照しながら説明するものとする。
【0019】
本実施例のジブクレーン100(図4及び図5参照)では、合計四台の走行装置6(走行装置6a,6b,6c,6d)に各々複数備えられた走行車輪5のうち、一部の走行車輪5にモータ(走行モータ)19(図1参照)が備えられ、駆動車輪5a,5b,5c,5dとして構成されている。尚、ここでは各走行装置6に備えた走行車輪5のうち四つを駆動車輪5a,5b,5c,5dとして構成した場合を例示しているが、駆動車輪の数はこれに限定されない。例えば、各走行装置6の走行車輪5のうち一つだけを駆動車輪としても良いし、全走行車輪5を駆動車輪とすることもできる。
【0020】
各駆動車輪5a,5b,5c,5dには、それぞれ走行モータ19のほか、走行装置6の制動を行うブレーキ(走行ブレーキ)20や、走行モータ19の温度を感知するための温度センサ21が備えられている。
【0021】
旋回装置9(図4及び図5参照)には、該旋回装置9の旋回を駆動する二個のモータ(旋回モータ)22と、旋回装置9の制動を行う二個のブレーキ(旋回ブレーキ)23が備えられている(図1参照)。
【0022】
旋回装置9による旋回台10の旋回・制動や、走行装置6によるジブクレーン100の走行・制動といった動作は、運転室18(図4及び図5参照)に備えた制御器24から、旋回台10(図4及び図5参照)に備えた電気室の制御盤25を介して行われる(図1参照)。
【0023】
電気室の制御盤25のうち、走行装置制御盤26は、旋回装置9(図4及び図5参照)に備えたスリップリング27、基台7(図4及び図5参照)に備えた走行分岐盤28を介し、各走行装置6の駆動車輪5a,5b,5c,5dに備えられた走行モータ19や走行ブレーキ20の制御を行うようになっている。
【0024】
制御盤25のうち、旋回装置制御盤29は、旋回装置9の旋回モータ22や旋回ブレーキ23の制御を行うようになっている。
【0025】
本実施例のジブクレーン100に備えたブレーキ(走行ブレーキ20、旋回ブレーキ23)は、上記特許文献1、2に記載のブレーキ装置と同様、通電時には開状態で対象機器である走行装置6や旋回装置9の動作を許容し、通電停止時には閉状態となって対象機器である走行装置6や旋回装置9の制動を実行するようになっている。
【0026】
その他、制御盤25は、巻上装置や起伏装置のモータやブレーキ等、各機器の制御を行うようになっているが、ここでは詳細な図示は省略している。
【0027】
そして、本実施例においては、走行分岐盤28とは別に、走行装置6用の無停電電源装置(UPS)30及び減速度調整制御器31を備え、停電時、少なくとも一部の走行ブレーキ20に対して無停電電源装置30から電力を供給し、減速度調整制御器31により各走行装置6に備えた走行ブレーキ20の開閉を制御するようになっている。
【0028】
また、旋回装置9に関しても、停電時に動作する無停電電源装置(UPS)32及び減速度調整制御器33を備えており、停電時、少なくとも一部の旋回ブレーキ23に対して無停電電源装置32から電力を供給し、減速度調整制御器33から旋回装置制御盤29を介し、旋回装置9の旋回ブレーキ23の開閉を制御するようになっている。
【0029】
尚、走行装置6用の無停電電源装置30及び減速度調整制御器31は、図1中に実線で示す如く走行分岐盤28下流の各走行装置6との間に備えられていても良いし、一点鎖線で示す如く走行装置制御盤26の位置に備え、停電時には走行装置制御盤26及び走行分岐盤28を介して各走行装置6の走行ブレーキ20を制御するよう構成することもできる。
【0030】
次に、上記した本実施例の作動を説明する。
【0031】
ジブクレーン100の走行中、走行装置制御盤26、走行分岐盤28といった制御装置への通電が停止した場合、各走行装置6の駆動車輪5a,5b,5c,5dに備えた走行モータ19は動力を絶たれて停止するが、ジブクレーン100は慣性により走行を継続しようとする。一方で、走行装置6用の無停電電源装置30及び減速度調整制御器31が起動し、各走行装置6の走行ブレーキ20に通電して走行ブレーキ20の制御を行う。
【0032】
上記したように、走行ブレーキ20は通電時には開状態で走行装置6のレール4に沿った動きを許容するが、通電が停止すると閉状態となって走行装置6の制動を行う。ここで、停電時、仮に各走行ブレーキ20への通電が一斉に停止すると、全走行ブレーキ20が閉状態となり、各走行装置6を含む荷役機械(ジブクレーン)100全体に急制動がかかるが、本発明の場合、無停電電源装置30から少なくとも一部の走行ブレーキ20へ通電することにより、該走行ブレーキ20が開状態に保たれ、急制動が回避されることになる。
【0033】
すなわち、停電時、各走行ブレーキ20への通電が一斉に停止した場合には、全走行ブレーキ20が閉状態となって各走行装置6が大きな減速度αで制動され、図2に示す如く、停電から極めて短時間でジブクレーン100の走行速度Vがゼロになる。この際、大きな減速度αによってジブクレーン100各所の構造に大きな負荷がかかってしまう。
【0034】
ここで、本実施例の場合、停電時、減速度調整制御器31により、無停電電源装置30から、例えば各走行装置6の全駆動車輪5a,5b,5c,5dに備えた走行ブレーキ20のうち、一部の駆動車輪5a,5dの走行ブレーキ20へ通電が行われる。こうすることで、停電時においても全走行ブレーキ20が一斉に閉状態となることはなく、駆動車輪5b,5cの走行ブレーキ20のみが閉状態となる。この場合、全走行ブレーキ20が閉状態となる場合と比較して制動力は約2分の1となり、図3に示す如く、比較的小さな減速度αにより、ジブクレーン100の走行は緩やかに時間をかけて停止することになる。こうして、停電時の制動に伴いジブクレーン100各所の構造にかかる負荷を軽減することができる。
【0035】
また、吊荷の運搬中に停電が発生した場合、図2に示す如き急減速がかかると、減速による荷役機械(ジブクレーン)100の速度と吊荷の速度の乖離が大きくなり、走行方向に沿ったその後の吊荷の振れ角が大きくなってしまうが、図3に示す如く比較的緩やかに減速されれば、制動による吊荷の振れ角を最小限に保つことができる。したがって、ジブクレーン100自身や周囲の設備等への接触を抑止し、ジブクレーン100への負荷も小さくできる。
【0036】
尚、ここでは例として、停電時、各走行装置6の全駆動車輪5a,5b,5c,5dのうち一部の駆動車輪5a,5dの走行ブレーキ20に通電する場合を挙げているが、この他、例えば駆動車輪5a,5b,5cの走行ブレーキ20に通電するようにすることもできるし、例えば駆動車輪5aの走行ブレーキ20にのみ通電することもできる。また例えば、走行装置6a,6b,6c,6dのうち、走行装置6aと6cでは駆動車輪5aの走行ブレーキ20にのみ通電し、走行装置6bと6dでは駆動車輪5aと5dの走行ブレーキ20に通電するといったこともできる。
【0037】
あるいは、例えば停電から一定時間の間は各走行装置6の駆動車輪5a,5dの走行ブレーキ20に通電して減速度を軽減しておき、一定時間が経過してある程度速度が低下したタイミングで駆動車輪5a,5dの走行ブレーキ20への通電を停止して全走行ブレーキ20により制動をかけるといったこともできる。
【0038】
いずれにしても、停電時、どの走行ブレーキ20にどのように通電を行うかは、本発明の実施にあたり、荷役機械(ジブクレーン)100の具体的な構成その他の事情を考慮して個別に決定すれば良い。
【0039】
また、上では各走行ブレーキ20のうち、閉状態とする走行ブレーキ20の数を限定することにより減速度を調整する方式について述べたが、各走行ブレーキ20のうち少なくとも一部を断続的に閉状態とすることによって減速度を調整することも可能である。すなわち、停電時、例えば各駆動車輪5a,5b,5c,5dの走行ブレーキ20に対して断続的に通電を行うと、例えば自動車のアンチロック・ブレーキ・システムのように、各走行ブレーキ20が開状態と閉状態を繰り返すことにより、走行装置6に対し断続的に制動がかかる。このような方式によっても、減速度を軽減することができる。
【0040】
勿論、この走行ブレーキ20を断続的に閉状態とする方式と、閉状態とする走行ブレーキ20の数を限定する上記方式と組み合わせ、例えば停電時、各走行装置6の走行ブレーキ20のうち、駆動車輪5b,5cの走行ブレーキ20には連続的に通電して開状態としておきつつ、駆動車輪5a,5dの走行ブレーキ20には断続的に通電を行って開状態と閉状態を繰り返すようにすることもできる。
【0041】
さらに、本実施例の場合、上記の如く走行装置6の走行ブレーキ20に対して実行されるのと同様に、旋回装置9の旋回ブレーキ23に対しても、停電時には無停電電源装置32や減速度調整制御器33による制御が実行される。
【0042】
すなわち、旋回装置9の旋回中、制御盤25ないし旋回装置制御盤29といった制御装置への通電が停止した場合、旋回装置9に備えた旋回モータ22は動力を絶たれて停止するが、旋回台10は慣性により旋回動作を継続しようとする。一方で、旋回装置9用の無停電電源装置32及び減速度調整制御器33が起動し、旋回装置9の旋回ブレーキ23に通電して旋回ブレーキ23の制御を行う。
【0043】
本実施例では、旋回装置9には二個の旋回ブレーキ23が備えられている(図1参照)。停電発生時には、例えば、これら二個の旋回ブレーキ23のうち一個に通電して開状態にすることにより、両旋回ブレーキ23をいずれも閉状態とした場合と比較して減速を緩やかにすることができる。また例えば、両旋回ブレーキ23に断続的に通電し、開状態と閉状態を繰り返すようにすることもできる。あるいは、これら二個の旋回ブレーキ23のうち一個は連続的に閉状態あるいは開状態としつつ、もう一個には断続的に通電を実行して開状態と閉状態を繰り返すようにすることもできる。
【0044】
このように、旋回装置9に無停電電源装置32及び減速度調整制御器33を備え、停電時に少なくとも一部の旋回ブレーキ23に通電して制御することにより、比較的小さな減速度で旋回台10の旋回を緩やかに停止させることができる。こうすることで、停電時、旋回台10の制動に伴いジブクレーン100各所の構造にかかる負荷を軽減することができる。また、ジブクレーン100の走行方向のみならず、旋回台10の旋回方向に関しても、制動による吊荷の振れ角を最小限に保つことができ、ジブクレーン100自身や周囲の設備等への接触を抑止し、ジブクレーン100への負荷も小さくすることができる。
【0045】
したがって、上記本実施例によれば、停電時の制動を制御し、減速度を調整して急減速を防止し得る。
【0046】
尚、本発明の荷役機械の非常ブレーキシステムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
6 走行装置(対象機器)
6a 走行装置(対象機器)
6b 走行装置(対象機器)
6c 走行装置(対象機器)
6d 走行装置(対象機器)
9 旋回装置(対象機器)
10 旋回台
20 ブレーキ(走行ブレーキ)
23 ブレーキ(旋回ブレーキ)
30 無停電電源装置
32 無停電電源装置
100 ジブクレーン(荷役機械)
図1
図2
図3
図4
図5