(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された加熱調理システムのように、特定の加熱部(グリルヒータ)を用いることが決まっているレシピについては、通信端末でレシピに対応した加熱調理に使用する加熱部を選択する必要がない。それに対して、加熱能力が異なる複数の加熱部のいずれを用いることも可能なレシピについては、加熱調理に使用する加熱部用の調理条件データを加熱調理器に送信する必要がある。
【0007】
そこで、特許文献2に記載されている加熱調理システムにおいては、通信端末で調理レシピを選択する際に、どの加熱部を使用するかを使用者が指定するようにしている。しかしながら、レシピを選択する段階では、使用者がどの加熱部を用いて加熱調理を行うかについて意識しておらず、実際に加熱調理を開始する段階になってから、加熱調理に用いる加熱部を使用者が決定する場合も多い。
【0008】
そして、この場合に、レシピ選択時に指定した加熱部と実際に用いる加熱部が異なっていると、使用者は、再び通信端末を操作して加熱部の指定をし直さなければならないという煩わしさがある。
【0009】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、通信端末から加熱調理器に対してレシピの調理条件データを送信して、レシピに対応した加熱調理を実行する際に、用いる加熱部を容易に指定することができる加熱調理システムと、この加熱調理システムを構成する加熱調理器及び通信端末用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の加熱調理システムは、
加熱能力が異なる複数の加熱部を有する加熱調理器と、該加熱調理器との間で通信を行う通信端末とを備えた加熱調理システムであって、
前記通信端末は、
特定レシピに応じた加熱調理を前記複数の加熱部のいずれかによって実行する際に使用される調理条件データが、前記複数の加熱部毎に設定された複数加熱部用調理条件データを保持したレシピデータベースにアクセスして、該複数加熱部用調理条件データを取得する調理条件データ取得部と、
使用者によるレシピ選択操作に応じて、前記加熱調理器で実行する加熱調理のレシピを選択するレシピ選択部と、
前記レシピ選択部により前記特定レシピが選択されたときに、前記調理条件データ取得部により前記複数加熱部用調理条件データを取得して、該取得した前記複数加熱部用調理条件データを前記加熱調理器に送信する調理条件データ送信部と
を備え、
前記加熱調理器は、
前記通信端末から受信した前記複数加熱部用調理条件データを保持する調理条件データ保持部と、
使用者による選択操作に応じて、前記複数の加熱部の中から加熱調理に使用する加熱部を選択する使用加熱部選択部と、
使用者による前記特定レシピに対応した加熱調理の開始操作に応じて、前記複数加熱部用調理条件データに含まれる前記使用加熱部選択部により選択された加熱部用の調理条件データを用いて、前記使用加熱部選択部により選択された加熱部により加熱調理を実行する加熱調理制御部と
を備えることを特徴とする。
【0011】
かかる本発明の加熱調理システムによれば、加熱調理器は加熱能力が異なる複数の加熱部を有しており、調理レシピによっては、使用者は、2以上の加熱部のいずれかを選択して加熱調理を行うことができる。
【0012】
そして、使用者が通信端末を操作して特定レシピを選択したときに、通信端末のレシピ選択部が、調理条件データ取得部によりレシピデータベースから複数加熱部用調理条件データを取得する。また、調理条件データ送信部が、複数加熱部用調理条件データを加熱調理器に送信する。
【0013】
また、加熱調理器においては、調理条件データ保持部が、通信端末から受信した複数加熱部用調理条件データを保持する。そして、使用者による選択操作に応じて、使用加熱部選択部が、加熱調理に使用する加熱部を選択し、使用者による特定レシピに対応した加熱調理の開始操作に応じて、加熱調理制御部が、複数加熱部用調理条件データに含まれる使用加熱部選択部により選択された加熱部用の調理条件データを用いて、使用加熱部選択部により選択された加熱部により加熱調理を実行する。
【0014】
この場合、使用者は、特定レシピに対応した加熱調理を開始する時に、使用する加熱部を加熱調理器において選択することができる。そのため、使用者は、通信端末によりレシピを選択するときに加熱調理に用いる加熱部を予め指定する必要がなく、レシピに対応した加熱調理を開始する段階で、加熱調理に用いる加熱部を容易に指定することができる。
【0015】
次に、本発明の加熱調理器は、
通信端末との間で通信を行う通信部と、
加熱能力が異なる複数の加熱部と、
特定レシピに対応した加熱調理を、前記複数の加熱部のいずれかによって実行するための調理条件データが、前記複数の加熱部毎に設定された複数加熱部用調理条件データを、前記通信部を介して前記通信端末から受信して、該受信した複数加熱部用調理条件データを保持する調理条件データ保持部と、
使用者による選択操作に応じて、前記複数の加熱部の中から、前記特定レシピに対応した加熱調理に使用する加熱部を選択する使用加熱部選択部と、
使用者による前記特定レシピに対応した加熱調理の開始指示に応じて、前記複数加熱部用調理条件データに含まれる前記使用加熱部選択部により選択された加熱部用の調理条件データを用いて、前記使用加熱部選択部により選択された加熱部によって加熱調理を実行する加熱調理制御部と
を備えたことを特徴とする。
【0016】
かかる本発明の加熱調理器は、加熱能力が異なる複数の加熱部を有しており、調理レシピによっては、使用者は、2以上の加熱部のいずれかを選択して加熱調理を行うことができる。また、調理条件データ保持部は、通信部を介して通信端末から受信した複数加熱部用調理条件データを保持する。
【0017】
そして、使用者による選択操作に応じて、使用加熱部選択部により、複数の加熱部の中から、特定レシピに対応した加熱調理に用いられる加熱部が選択される。また、使用者による特定レシピに対応した加熱調理の開始指示に応じて、加熱調理制御部により、複数加熱部用調理条件データに含まれる使用加熱部選択部により選択された加熱部用の調理条件データを用いて、使用加熱部選択部により選択された加熱部を用いて加熱調理が実行される。
【0018】
この場合、通信端末においては特定レシピに対応した加熱調理に使用する加熱部を予め指定する必要がなく、加熱調理器側で、加熱調理に用いられる加熱部を選択することができる。そのため、使用者は、特定レシピに対応した加熱調理を開始する段階で、加熱調理に用いる加熱部を容易に指定することができる。
【0019】
次に、本発明の通信端末用プログラムは、
加熱能力が異なる複数の加熱部を有する加熱調理器との間で、通信を行う通信端末に備えられたCPUにより実行されるプログラムであって、前記CPUを、
特定レシピに応じた加熱調理を前記複数の加熱部のうちのいずれかによって実行する際に使用される調理条件データが、前記複数の加熱部毎に設定された複数加熱部用調理条件データを保持したレシピデータベースにアクセスして、該複数加熱部用調理条件データを取得する調理条件データ取得部と、
使用者によるレシピの選択操作に応じて、前記加熱調理器で実行される加熱調理のレシピを選択するレシピ選択部と、
前記レシピ選択部により前記特定レシピが選択されたときに、前記調理条件データ取得部により前記複数加熱部用調理条件データを取得して、該取得した前記複数加熱部用調理条件データを前記加熱調理器に送信する調理条件データ送信部と
して機能させることを特徴とする。
【0020】
かかる本発明の通信端末用プログラムを通信端末のCPUにより実行して、CPUを調理条件データ取得部、レシピ選択部、及び調理条件データ送信部として機能させることにより、上述した加熱調理システムにおける通信端末の構成を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態の一例について、
図1〜
図8を参照して説明する。
【0023】
[1.加熱調理システムの構成]
図1を参照して、本実施形態の加熱調理システムは、ガスコンロ1(本発明の加熱調理器に相当する)と、ガスコンロ1との間で無線通信を行う機能を有するスマートフォン50(本発明の通信端末に相当する)とを備えて構成されている。
【0024】
スマートフォン50は、無線ルータ70との間でWiFi(登録商標)等による無線通信82を行い、無線ルータ70及びインターネット等のネットワーク80を介してサーバ90にアクセスする。また、スマートフォン50は、ガスコンロ1との間でBluetooth(登録商標)等による無線通信81を行う。
【0025】
サーバ90には、種々の調理レシピのデータが保持されたレシピDB(データベース)91が備えられ、スマートフォン50は、サーバ90により運用されるレシピ提供サイトにアクセスして、レシピDB91から種々のレシピデータを取得(ダウンロード)する。
【0026】
ガスコンロ1は、加熱部として、左コンロ10a、右コンロ10b、後コンロ10c、及びグリル20を備えている。各コンロ10a,10b,10cには、載置される調理容器の底部の温度を検出する温度センサ15a,15b,15cが設けられている。
【0027】
ガスコンロ1の前面には、左コンロ10aの点火/消火と火力変更を行うための左コンロ用操作ボタン11a、右コンロ10bの点火/消火と火力変更を行うための右コンロ用操作ボタン11b、後コンロ10cの点火/消火と火力変更を行うための後コンロ用操作ボタン11c、及びグリル20の点火/消火と火力変更を行うためのグリル用操作ボタン21が設けられている。
【0028】
さらに、ガスコンロ1の前面には、プッシュオープン式のコンロ操作部12とグリル操作部22とが設けられており、使用者Pがコンロ操作部12を押し操作するとコンロ操作部12が開いてコンロ操作パネル13が現れる。コンロ操作パネル13は、左コンロ10a用の左コンロ操作部13aと、右コンロ10b用の右コンロ操作部13bと、後コンロ10c用の後コンロ操作部13cとを備えている。同様に、使用者Pがグリル操作部22を押し操作するとグリル操作部22が開いてグリル操作パネル23が現れる。
【0029】
ガスコンロ1は、スマートフォン50により選択されたレシピに対応した調理条件データを、スマートフォン50から受信して、調理条件データに基づく自動加熱調理を行う機能を有している。使用者Pは、この機能を利用するために、レシピ提供サイトにアクセスしてレシピ選択用のアプリケーション(以下、レシピ選択アプリという)を、スマートフォン50にインストールする。
【0030】
使用者Pは、レシピ選択アプリをインストールしたときに、初期設定としてガスコンロ1の機種名を登録する操作を行う。この登録により、ガスコンロ1の仕様(各コンロ10a,10b,10c,グリル20の加熱能力等)に対応した調理条件データを、レシピ選択サイトから取得することが可能となる。
【0031】
また、使用者Pは、レシピ選択アプリにより、スマートフォン50とガスコンロ1のペアリングを行って、スマートフォン50とガスコンロ1間の無線通信81を確立する。
【0032】
[2.ガスコンロ1とスマートフォン50の構成]
次に、
図2を参照して、ガスコンロ1には、ガスコンロ1の全体的な作動を制御するコンロコントローラ30と、スピーカ26と、通信回路27(本発明の通信部に相当する)が備えられている。
【0033】
コンロコントローラ30は、CPU、メモリ、各種インターフェース回路等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持されたガスコンロ1の制御用プログラムをCPUにより実行することによって、調理条件データ保持部31、使用コンロ選択部32(本発明の使用加熱部選択部に相当する)、及び加熱調理制御部33として機能する。
【0034】
コンロコントローラ30には、温度センサ15a,15b,15cの検出信号と、操作ボタン(左コンロ用操作ボタン11a、右コンロ用操作ボタン11b、後コンロ用操作ボタン11c、グリル用操作ボタン21)の操作信号と、操作パネル(コンロ操作パネル13、グリル操作パネル23)の操作信号と、通信回路27により受信された信号とが入力される。
【0035】
また、コンロコントローラ30から出力される制御信号によって、左コンロ10a、右コンロ10b、後コンロ10c、グリル20、操作パネル(コンロ操作パネル13、グリル操作パネル23)の表示、スピーカ26からの音出力、及び通信回路27による信号の送信が制御される。
【0036】
スマートフォン50には、スマートフォン50の全体的な作動を制御するスマホコントローラ60が備えられている。スマホコントローラ60は、CPU、メモリ、各種インターフェース回路等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持されたスマートフォン50の制御用プログラム(本発明の通信端末用プログラムに相当する)を、CPUにより実行することによって、調理条件データ取得部61、レシピ選択部62、及び調理条件データ送信部63として機能する。
【0037】
また、スマートフォン50には、使用者Pによりタッチ操作されると共に各種の画面が表示されるタッチパネル51と、音声等が出力されるスピーカ52と、ガスコンロ1及びサーバ90との間で通信を行う通信回路53とが備えられている。
【0038】
スマホコントローラ60には、タッチパネル51におけるタッチ操作信号と、通信回路53により受信された信号が入力される。また、スマホコントローラ60から送信される制御信号によって、タッチパネル51の画面表示と、通信回路53による信号の送信が制御される。
【0039】
[3.スマートフォンによるレシピ選択処理]
次に、
図3に示したフローチャートに従って、スマートフォン50におけるレシピの選択と調理条件データの送信処理について説明する。
【0040】
使用者Pがスマートフォン50を操作してレシピ選択アプリを起動すると、スマホコントローラ60は、
図3のフローチャートによる処理を開始し、STEP1で、タッチパネル51に
図4Aに示したレシピ選択画面D1をタッチパネル51に表示する。
【0041】
レシピ選択画面D1には、レシピ名100、レシピ料理画像101、調理時間102、材料103、ガスコンロ1に対する調理条件データの送信を指示するレシピ送信ボタン104、レシピ提供サイトのホーム画面への移行を指示するホームボタン105、レシピの探索画面への移行を指示するレシピ探索ボタン106、マイメニュー(詳細は後述する)への登録を指示するマイメニュー登録ボタン107、過去に選択されたレシピの履歴を表示する画面への移行を指示する履歴ボタン108、及び材料リストの表示画面への移行を指示する材料リストボタン109が表示される。
【0042】
ここで、マイメニューとは、ガスコンロ1のコンロコントローラ30で保存可能な10個分のレシピである。使用者Pがマイメニュー登録ボタン107にタッチすると、
図4Bに示したマイメニュー登録画面D2が表示され、使用者Pは、新たに選択したレシピを1〜10の登録番号が付されたレシピ欄110〜119のいずれかに登録することができる。そして、使用者Pがマイメニュー送信ボタン120にタッチすると、マイメニューに登録されたレシピの調理条件データが、ガスコンロ1に送信される。
【0043】
STEP2で、使用者Pがレシピ探索ボタン106にタッチしてレシピの探索操作を行うと、レシピの探索画面(図示しない)に切り替わり、レシピ選択部62がサーバ90のレシピDB91にアクセスしてレシピを探索する。そして、STEP10で、レシピ選択部62が、使用者Pのレシピ選択操作に応じてレシピを選択し、調理条件データ取得部61が、選択されたレシピの調理条件データをレシピDB91から取得(ダウンロード)する。
【0044】
続くSTEP11で、スマホコントローラ60は、レシピ選択部62により選択されたレシピ用のレシピ選択画面D1をタッチパネル51に表示してSTEP3に進む。使用者Pは、レシピ選択画面D1によりレシピの内容を確認することができる。
【0045】
使用者Pがレシピ選択画面D1でレシピ送信ボタン104をタッチ操作したとき、又は使用者Pがマイメニュー登録画面D2でマイメニュー送信ボタン120をタッチ操作したときに、STEP3からSTEP20に分岐する。STEP20は調理条件データ送信部63による処理である。調理条件データ送信部63は、選択されたレシピ用の調理条件データをガスコンロ1に送信して、STEP4に進む。
【0046】
STEP4で、スマホコントローラ60は、使用者Pによりレシピ選択アプリの終了操作がなされたか否かを判断する。そして、終了操作がなされていないときはSTEP2に戻り、終了操作がなされたときにはSTEP5に進んで、スマホコントローラ60はレシピ選択アプリを終了する。
【0047】
[4.調理条件データの説明]
ここで、
図5〜
図7を参照して調理条件データについて説明する。コンロコントローラ30に備えられた加熱調理制御部33は、左コンロ10a、右コンロ10b、後コンロ10c、及びグリル20の火力を調節して被調理物を加熱する自動加熱調理を実行するが、自動加熱調理の実行条件は調理条件データに従って決定される。
【0048】
調理条件データには、
図6Aに示した後コンロ10c用の調理条件データC1と、
図6Bに示したグリル20用の調理条件データC2と、
図7に示した左コンロ10a及び右コンロ10b用の調理条件データC3(本発明の複数加熱部用調理条件データに相当する)とが含まれる。
【0049】
なお、左コンロ10a及び右コンロ10bのどちらでも加熱調理を行うことができるレシピが、本発明の特定レシピに相当する。
【0050】
後コンロ10cを使用する自動加熱調理は1工程で実行され、後コンロ10c用の調理条件データは、
図6Aに示したように、データ番号1〜6の6項目によって構成されている。グリル20を使用する自動加熱調理も1工程で実行され、グリル20用の調理条件データC2は、
図6Bに示したように、データ1〜8の8項目によって構成されている。
【0051】
左コンロ10a又は右コンロ10bを使用する自動加熱調理は、
図5に示したように最大で3工程(ステップ1〜3)により実行され、各工程の実施の有無と、各工程における調理モード、設定温度、火力、及び各工程の実行時間が、左コンロ10a又は右コンロ10b用の調理条件データC3によって指定される。
【0052】
左コンロ10a又は右コンロ10b用の調理条件データC3は、
図7に示したように、左コンロ10a及び右コンロ10bに共通の8項目(データ番号1〜8)と、左コンロ10a用の12項目(データ番号9〜20)と、右コンロ10b用の12項目(データ番号21〜32)とによって構成されている。
【0053】
本実施形態のガスコンロ1では、左コンロ10aにHバーナ(大バーナ)が搭載され、右コンロ10bにHバーナよりも最大火力が小さいMバーナ(標準バーナ)が搭載されている。そのため、左コンロ10a用の項目(データ番号9〜20)の名称には「H」が付され、右コンロ10b用の項目(データ番号21〜32)の名称には「M」が付されている。
【0054】
なお、左コンロ10aにMバーナを搭載され、右コンロ10bにHバーナが搭載された構成であってもよい。また、左コンロ10aと右コンロ10bに加熱能力が等しいバーナが搭載されている場合(共にHバーナを搭載している場合等)には、左コンロ10a用の調理条件データと右コンロ10b用の調理条件データは同一になる。
【0055】
加熱調理制御部33は、左コンロ10aを用いて自動加熱調理を実行するときは、左コンロ10a用の調理条件データ(データ番号9〜20)を使用し、右コンロ10bを用いて自動加熱調理を実行するときには、右コンロ10b用の調理条件データ(データ番号21〜32)を使用する。
【0056】
左コンロ10a又は右コンロ10b用の調理条件データC3により、
図5に示したように、ステップ1〜3の実行条件が設定される。
図5は、縦軸を温度に設定し、横軸を時間に設定して自動加熱調理中の被加熱物の温度変化を示したものである。ステップ1は、調理モードが「一定火力」、火力が「X」、時間が「T1」に設定され、ステップ2は、調理モードが「温度制御」、温度が「A℃」、火力が「Y」、時間が「T2」に設定され、STEP3は、調理モードが「一定火力」、火力が「Z」、時間が「T3」に設定されている。
【0057】
図5の設定による自動加熱調理を左コンロ10aによって行う場合、加熱調理制御部33は、ステップ1では、左コンロ10aの火力をX(一定)にしてT1時間の加熱を行う。また、ステップ2において、加熱調理制御部33は、温度センサ15aの検出温度がA+α(αは温度の制御幅)以上になったときに左コンロ10aの火力を最小にし、温度センサ15aの検出温度がA−α以下になったときに左コンロ10aの火力をYにして、温度センサ15aの検出温度がA±αの範囲内に収める処理をT2時間繰り返し実行する。
【0058】
また、ステップ3において、加熱調理制御部33は、左コンロ10aの火力をZ(一定)にしてT3時間の加熱を行う。
【0059】
なお、調理モードが「湯沸し」であるときは、加熱調理制御部33は、温度センサによる検出温度から被調理物の沸騰が認識されるまで、コンロの火力を一定にして被調理物を加熱し、沸騰が検知された後は、火力を下げる処理を行う。また、調理モードが「茹で物」であるときは、加熱調理制御部33は、沸騰が検知された後に、所定周期でコンロの火力を大火と小火に切り替える処理を行う。
【0060】
[5.ガスコンロにおけるレシピ選択処理]
次に、
図8に示したフローチャートに従って、ガスコンロ1におけるレシピの選択処理について説明する。
【0061】
コンロコントローラ30に備えられた調理条件データ保持部31は、スマートフォン50から送信される種々のレシピ用の調理条件データを随時受信し、マイメニュー登録がされたレシピ用の調理条件データについては、不揮発性メモリ(EEPROM、フラッシュメモリ、バッテリバックアップされたRAM等)に保持する。また、マイメニュー登録がされていないレシピ用の調理条件データについては、調理条件データ保持部31は、一時記憶用のRAMに保持する。
【0062】
不揮発性メモリに保持された調理条件データ(マイメニュー登録がされたレシピ用の調理条件データ)については、繰り返し使用してレシピに対応した自動加熱調理を行うことができる。また、一時記憶用のRAMに保持された調理用データについては、1度のみ使用が可能である。
【0063】
コンロコントローラ30は、不揮発性メモリにマイメニュー登録がされたレシピに対応した調理条件データが保持されているときに、STEP30で、使用者Pにより、コンロ操作パネル13又はグリル操作パネル23が操作されて、いずれかのレシピが選択されたときにSTEP31に進む。また、一時記憶用のRAMにスマートフォン50から受信した調理条件データが保持されたときには、STEP30でレシピの選択操作を待つことなくSTEP31に進む。
【0064】
STEP31及びSTEP31から分岐したSTEP40は、使用コンロ選択部32による処理である。使用コンロ選択部32は、STEP31で、選択されたレシピが、コンロの選択(左コンロ10a又は右コンロ10bの選択)が可能なレシピであるか否かを判断する。そして、コンロの選択が可能なレシピであるときはSTEP40に分岐し、コンロの選択が不能なレシピであるときにはSTEP32に進む。
【0065】
STEP40で、使用コンロ選択部32は、レシピの選択操作が左コンロ操作部13a(
図1参照)でなされたときは、左コンロ10aを自動加熱調理に用いるコンロとして選択する。一方、レシピの選択操作が右コンロ操作部13b(
図1参照)でなされたときには、使用コンロ選択部32は、右コンロ10bを自動加熱調理に用いるコンロとして選択する。
【0066】
続くSTEP41、及びSTEP32〜STEP34は、加熱調理制御部33による処理である。加熱調理制御部33は、STEP41で、選択されたコンロ用の調理条件データをメモリから読み出して、自動加熱調理の各ステップの実行条件を設定し、STEP33に進む。
【0067】
また、STEP32において、加熱調理制御部33は、選択されたレシピ用の調理条件データをメモリから読み出して、自動加熱調理の実行条件を設定し、STEP33に進む。
【0068】
STEP33において、自動加熱調理を行うコンロ又はグリルの点火操作(自動加熱調理の開始操作)がなされたときにSTEP34に進み、加熱調理制御部33は、調理条件データにより設定された自動加熱調理の条件に従って、自動加熱調理を実行する。
【0069】
[6.他の実施形態]
本実施形態では、スマートフォン50が、サーバ90にアクセスしてレシピDB91から調理条件データを取得する構成を示したが、スマートフォン50にレシピDBを備える構成としてもよい。この場合、調理条件データ取得部61は、スマートフォン50の内蔵メモリ又はスマートフォン50に接続されたメモリカードに保持されたレシピDBから、調理条件データを読み出す。
【0070】
また、本実施形態では、本発明の加熱調理器としてガスコンロ1を示したが、加熱能力が異なる複数の加熱部を備えた加熱調理器であれば、IHクッキングヒータ等の他の種類の加熱調理器に対しても本発明の適用が可能である。
【0071】
また、本実施形態では、本発明の通信端末として、スマートフォン50を示したが、ガスコンロ1との間で通信を行う機能を有する通信端末であればよく、携帯電話、タブレット、パソコン等を用いることができる。