(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置決め機構は、前記第一内側継手及び前記第二内側継手のそれぞれの対向面に備えられた孔部と、前記孔部に挿通される位置決めピンとから構成されている請求項4に記載の鋼管杭。
隣り合う管体どうしを互いに抜け止め状態に接続自在な抜け止め機構と、接続した管体どうしの軸心周りにおける相対回転を防止する回り止め機構とが同一部材で形成されている請求項15に記載の鋼管杭。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ネジ継手による接続は、製作が面倒でコスト高になる。しかも、管体の接続は、下管体に上管体を吊り下ろして行うため、吊り下ろしながら螺合のために回転させることは極めて困難な作業となる。しかも、管体を回転圧入により沈設する工法においては、施工時に逆回転させることがあり、そのような場合にはネジが緩んでしまうため、このネジ螺合による接続方法は採用することができない。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたもので、溶接やネジ螺合による接続にかえて、接続が、特殊な機械や技能を用いることなく、強固にかつ簡便に行えるとともに、上管体と下管体との相対回転を防止して一体回転可能に結合でき、中掘工法、ソイルセメント合成杭工法、回転埋設杭工法等にも使用することのできる、機械的手段によって接続可能な鋼管杭を安価に提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するための、本発明に係る鋼管杭の特徴は、管体の両端部それぞれに、隣り合う管体どうしを接続する接続部を設け、管体の軸心方向で隣り合う管体の前記接続部どうしを接続自在に構成してある鋼管杭であって、前記接続部はストレートシーム鋼管から形成され、前記接続部は、隣り合う管体どうしを互いに抜け止め状態に接続自在な抜け止め機構と、接続した管体どうしの軸心周りにおける相対回転を防止する回り止め機構とを備え、前記ストレートシーム鋼管が有する接合部は、少なくとも前記抜け止め機構又は前記回り止め機構を構成する部分のうち、周方向における剛性がその他の部分よりも低い低剛性部ではない位置に配設されている点にある。
【0009】
上述の構成によれば、隣り合う管体どうしを互いに抜け止め状態に接続自在な抜け止め機構と、接続した管体どうしの軸心周りにおける相対回転を防止する回り止め機構とを、前記接続部に備えてあるから、隣り合う管体どうしの相対回転を防止した状態で接続することが可能となった。
つまり、抜け止め機構によって対向する管体どうしが接続されるとともに、管体を回転圧入により沈設する工法において、管体を逆回転させたとしても前記回り止め機構によって管体どうしの相対回転を防止することができる。
その結果、管体に挿入したオーガーで掘削しながら管体を回転圧入していく中堀工法、ソイルセメント合成杭工法、回転埋設杭工法等にも使用することができるようになった。
【0010】
ストレートシーム鋼管は、板巻加工法を用いて製造される。板巻加工法は、シームレス鋼管を製造するリング鍛造などの工法にくらべて安価である。接続部をストレートシーム鋼管から形成することによって、安価に接続部が得られる。
しかし、ストレートシーム鋼管はその長手方向に沿って接合部を有し、シームレス鋼管のように周方向に均質ではないため、周方向において同一の剛性が得られず、内圧やねじれに弱い。
また、前記接続部のうち、少なくとも前記抜け止め機構又は前記回り止め機構を構成する部分が有する低剛性部は、その箇所においてその他の部分よりも周方向における剛性が低い。
そこで、低剛性部は、ストレートシーム鋼管が有する接合部を跨ぐ位置ではない位置となるように接続部に設けられる。
低剛性部と接合部とが、ストレートシーム鋼管の長手方向に沿って重ならないようにすることによって、接続部において一部がその他の部分よりも剛性が低くなりすぎることを防止できる。
【0011】
本発明においては、前記接続部は、前記管体の一端に設けられた第一内側継手と、他端に設けられた第二内側継手と、隣り合う管体のうち、一方の管体に設けられた前記第一内側継手と他方の管体に設けられた前記第二内側継手とを隣接させた状態において、前記第一内側継手と前記第二内側継手とに跨って周設される外側継手とを備え、前記外側継手は、前記第一内側継手及び前記第二内側継手の周囲に並設される複数の単位部材を備え、前記単位部材は、標準単位部材と閉鎖単位部材とを含んで構成され、前記標準単位部材は、前記第一内側継手側の端部と前記第二内側継手側の端部とに係合凸部を備え、前記第一内側継手及び前記第二内側継手には、前記係合凸部と係合して前記標準単位部材の外方への脱落を防止する係合凹部が備えられ、前記係合凹部を構成する壁面の少なくとも一部には、前記標準単位部材の前記係合凸部を前記係合凹部に対応する位置まで挿通可能な切欠部が備えられ、前記閉鎖単位部材は、前記係合凸部を備えておらず、前記切欠部内に配置したときに前記切欠部の周囲の外周面と面一となる形状に構成され、少なくとも前記第一内側継手又は前記第二内側継手は、前記閉鎖単位部材を固定する固定機構を備えており、前記抜け止め機構は、前記第一内側継手及び前記第二内側継手のそれぞれの外周と、前記外側継手の内周のいずれか一方に備えられた係合部と、他方に備えられた、前記係合部が係合する被係合部とを含んで構成され、前記回り止め機構は、前記閉鎖単位部材と前記切欠部とを含んで構成され、前記接合部は、前記第一内側継手及び前記第二内側継手のうち前記切欠部とは重ならない位置に配設されていると好ましい。
【0012】
上述の構成によれば、一方の管体の一端に設けられた第一内側継手と他方の鋼管の他端に設けられた第二内側継手とを隣接させて、前記第一内側継手と前記第二内側継手とに跨って外側継手を周設するにあたって、前記外側継手を構成する複数の単位部材のうち前記第一内側継手側の端部と前記第二内側継手側の端部とに係合凸部が備えられた標準単位部材を前記切欠部を介して挿通し、係合部と被係合部とを係合させることができる。
前記切欠部を介して、第一内側継手と第二内側継手とに跨って周設された標準単位部材は、前記係合部と前記被係合部との係合を維持させたまま前記係合凸部を前記第一内側継手及び前記第二内側継手に備えられた係合凹部に沿って前記鋼管の周方向にスライドさせることによって、前記第一内側継手及び前記第二内側継手の所定位置に配置される。
閉鎖単位部材を、第一内側継手及び第二内側継手に固定することによって、切欠部が閉鎖される。また、外側継手を介して連結された第一内側継手及び第二内側継手の周方向の相対移動も抑止される。
外側継手を、例えば作業員が手を用いて持ち上げることができる程度の大きさの複数の単位部材から構成することによって、クレーン等の機械による吊り上げ作業が不要となるため、鋼管の連結の作業性が向上する。
また、第一内側継手と第二内側継手とを同じ形状に構成できるため、加工コストの低減も図ることができる。
【0013】
第一内側継手及び第二内側継手のうち切欠部が形成されている周方向部分は、その箇所において材料が少ないため、その他の周方向部分にくらべて剛性が低い。つまり、切欠部が形成されている周方向部分が低剛性部である。
そこで、切欠部は、ストレートシーム鋼管が有する接合部を跨ぐ位置ではない位置となるように第一内側継手及び第二内側継手に設けられる。
切欠部と接合部とが、ストレートシーム鋼管の長手方向に沿って重ならないようにすることによって、第一内側継手及び第二内側継手において一部がその他の部分よりも剛性が低くなりすぎることを防止できる。
【0014】
本発明においては、前記接続部は、前記管体の一端に設けられた第一内側継手と、他端に設けられた第二内側継手と、隣り合う管体のうち、一方の管体に設けられた前記第一内側継手と他方の管体に設けられた前記第二内側継手とを隣接させた状態において、前記第一内側継手と前記第二内側継手とに跨って周設される外側継手とを備え、前記外側継手は、前記第一内側継手及び前記第二内側継手の周囲に並設される複数の単位部材を備え、前記単位部材は、標準単位部材と閉鎖単位部材とを含んで構成され、前記標準単位部材は、前記第一内側継手側の端部と前記第二内側継手側の端部とに係合凸部を備え、前記第一内側継手及び前記第二内側継手には、前記係合凸部と係合して前記標準単位部材の外方への脱落を防止する係合凹部が備えられ、前記係合凹部を構成する壁面の少なくとも一部には、前記標準単位部材の前記係合凸部を前記係合凹部に対応する位置まで挿通可能な切欠部が備えられ、前記閉鎖単位部材は、前記係合凸部を備えておらず、前記切欠部内に配置したときに前記切欠部の周囲の外周面と面一となる形状に構成され、少なくとも前記第一内側継手又は前記第二内側継手は、前記閉鎖単位部材を固定する固定機構を備えており、前記抜け止め機構は、前記第一内側継手及び前記第二内側継手のそれぞれの外周と、前記外側継手の内周のいずれか一方に備えられた係合部と、他方に備えられた、前記係合部が係合する被係合部とを含んで構成され、前記回り止め機構は、前記閉鎖単位部材と前記切欠部とを含んで構成され、前記接合部は、前記外側継手のうち前記標準単位部材に配設されていると好ましい。
【0015】
外側継手のうち閉鎖単位部材は、第一内側継手及び第二内側継手の切欠部に配設される。閉鎖単位部材に接合部を配設すると、接合部を有する閉鎖単位部材が配設される切欠部において剛性が低い。つまり、閉鎖単位部材が低剛性部である。
そこで、接合部は、標準単位部材に設けられる。
閉鎖単位部材と接合部とが、ストレートシーム鋼管の長手方向に沿って重ならないようにすることによって、継手機構において一部がその他の部分よりも剛性が低くなりすぎることを防止できる。
【0016】
本発明においては、前記切欠部は、前記第一内側継手に備えられた第一切欠部と前記第二内側継手に備えられた第二切欠部とから構成され、前記第一内側継手と前記第二内側継手には、一方の管体に設けられた前記第一内側継手と他方の管体に設けられた前記第二内側継手とを隣接させたときに互いに嵌合して、前記第一切欠部と前記第二切欠部とを前記鋼管の長手方向に沿って対向する位置に位置決めする位置決め機構が備えられていると好ましい。
【0017】
上述の構成によれば、隣り合う管体を連結する際に、位置決め機構によって、第一切欠部と第二切欠部とを前記鋼管の長手方向に沿って対向するように容易に位置決めできる。
【0018】
本発明においては、前記位置決め機構は、前記第一内側継手及び前記第二内側継手のそれぞれの対向面に備えられた孔部と、前記孔部に挿通される位置決めピンとから構成されていると好ましい。
【0019】
上述の構成によれば、前記第一内側継手及び前記第二内側継手のそれぞれの対向面に備えられた孔部と、前記孔部に挿通される位置決めピンといった簡単な構成によって、確実な位置決めを安価に実現できる。
【0020】
本発明においては、前記被係合部は、前記第一内側継手及び前記第二内側継手のそれぞれの外周に備えられた外向き周溝であり、前記係合部は、前記外側継手の内周に備えられた、前記外向き周溝に係合する内向きキー部であると好ましい。
【0021】
上述の構成によれば、内向きキー部と外向き周溝を係合させるという簡単な構成であるため、従来の継手機構のように、予めキー部材を内向き周溝内に内蔵しておく必要がない分、外側継手の厚みを薄くすることができ、材料コストの低減を図ることができる。また、第一内側継手と第二内側継手とを同じ形状に構成できるため、加工コストの低減も図ることができる。
【0022】
本発明においては、前記係合部は、前記第一内側継手及び前記第二内側継手のそれぞれの外周に備えられた外向きキー部であり、前記被係合部は、前記外側継手の内周に備えられた、前記外向キー部が係合する内向き周溝であるであると好ましい。
【0023】
上述の構成によれば、外向きキー部と内向き周溝を係合させるという簡単な構成であるため、従来の継手機構のように、予めキー部材を内向き周溝内に内蔵しておく必要がない分、外側継手の厚みを薄くすることができ、材料コストの低減を図ることができる。また、第一内側継手と第二内側継手とを同じ形状に構成できるため、加工コストの低減も図ることができる。
【0024】
本発明においては、前記接続部は、前記管体の一端に設けられた第一内側継手と、他端に設けられた第二内側継手と、隣り合う管体のうち、一方の管体に設けられた前記第一内側継手と他方の管体に設けられた前記第二内側継手とを隣接させた状態において、前記第一内側継手と前記第二内側継手とに跨って周設される外側継手とを備え、前記第一内側継手及び前記第二内側継手のそれぞれの外周には外向き周溝が備えられ、前記外側継手の内周には、前記第一内側継手及び前記第二内側継手のそれぞれの外周に備えられた前記外向き周溝と対向する内向き周溝が備えられ、前記外向き周溝と前記内向き周溝とから構成されるキー溝に係合するキー部材が備えられ、前記外側継手には、前記キー溝に前記キー部材を挿通可能な開口部が備えられ、前記キー部材は、円環の一部を構成する複数の分割キー部材と、前記分割キー部材の機能を有するとともに前記開口部を閉鎖する機能を有する閉鎖部材とを備え、前記閉鎖部材を、前記開口部に挿通したあとに、前記第一内側継手又は前記第二内側継手に対して固定する固定機構を備え、前記抜け止め機構は、前記外向き周溝と前記内向き周溝と前記キー部材とを含んで構成され、前記回り止め機構は、前記閉鎖部材と前記開口部と前記固定機構とを含んで構成され、前記接合部は、前記外側継手のうち前記開口部とは重ならない位置に配設されていると好ましい。
【0025】
上述の構成によれば、一方の鋼管の一端に設けられた第一内側継手と他方の鋼管の他端に設けられた第二内側継手とを隣接させるとともに、前記第一内側継手と前記第二内側継手とに跨って外側継手を周設したあとに、前記外側継手に形成された開口部を介して、キー部材を、前記外側継手の外周面から、外向き周溝と内向き周溝とから形成されるキー溝に配置することができる。
開口部には、分割キー部材と同様に前記隣り合う管体どうしが該管体の長手方向に相対移動することを防止する機能を有する閉鎖部材を配置することによって、キー溝に配置された前記分割キー部材が前記開口部から外に抜け落ちることを防ぐことができる。
また、第一内側継手と第二内側継手とを同じ形状に構成することができるため、加工コストの低減も図ることができる。
【0026】
外側継手のうち開口部が形成されている周方向部分は、その箇所において材料が少ないため、その他の周方向部分にくらべて剛性が低い。つまり、開口部が形成されている周方向部分が低剛性部である。
そこで、開口部は、ストレートシーム鋼管が有する接合部を跨ぐ位置ではない位置となるように外側継手に設けられる。
開口部が形成されている周方向部分と接合部とが、ストレートシーム鋼管の長手方向に沿って重ならないようにすることによって、外側継手において一部がその他の部分よりも剛性が低くなりすぎることを防止できる。
【0027】
本発明においては、前記接続部は、前記管体の一端に設けられた第一内側継手と、他端に設けられた第二内側継手と、隣り合う管体のうち、一方の管体に設けられた前記第一内側継手と他方の管体に設けられた前記第二内側継手とを隣接させた状態において、前記第一内側継手と前記第二内側継手とに跨って周設される外側継手とを備え、前記第一内側継手及び前記第二内側継手のそれぞれの外周には外向き周溝が備えられ、前記外側継手の内周には、前記第一内側継手及び前記第二内側継手のそれぞれの外周に備えられた前記外向き周溝と対向する内向き周溝が備えられ、前記外向き周溝と前記内向き周溝とから構成されるキー溝に係合するキー部材が備えられ、前記外側継手には、前記キー溝に前記キー部材を挿通可能な開口部が備えられ、前記キー部材は、円環の一部を構成する複数の分割キー部材と、前記分割キー部材の機能を有するとともに前記開口部を閉鎖する機能を有する閉鎖部材とを備え、前記閉鎖部材を、前記開口部に挿通したあとに、前記第一内側継手又は前記第二内側継手に対して固定する固定機構を備え、前記抜け止め機構は、前記外向き周溝と前記内向き周溝と前記キー部材とを含んで構成され、前記回り止め機構は、前記閉鎖部材と前記開口部と前記固定機構とを含んで構成され、前記接合部は、前記内側継手における前記閉鎖部材を固定する位置とは重ならない位置に配設されていると好ましい。
【0028】
上述の構成によれば、一方の鋼管の一端に設けられた第一内側継手と他方の鋼管の他端に設けられた第二内側継手とを隣接させるとともに、前記第一内側継手と前記第二内側継手とに跨って外側継手を周設したあとに、前記外側継手に形成された開口部を介して、キー部材を、前記外側継手の外周面から、外向き周溝と内向き周溝とから形成されるキー溝に配置することができる。
開口部には、分割キー部材と同様に前記隣り合う管体どうしが該管体の長手方向に相対移動することを防止する機能を有する閉鎖部材を配置することによって、キー溝に配置された前記分割キー部材が前記開口部から外に抜け落ちることを防ぐことができる。
また、第一内側継手と第二内側継手とを同じ形状に構成することができるため、加工コストの低減も図ることができる。
【0029】
内側継手における前記閉鎖部材を固定する位置には、固定機構としての例えばボルトを固定するためのボルト穴が形成されておりその位置の周方向部分は、その箇所において材料が少ないため、その他の周方向部分にくらべて剛性が低い。つまり、内側継手における前記閉鎖部材を固定する位置が低剛性部である。
そこで、内側継手における前記閉鎖部材を固定する位置は、ストレートシーム鋼管が有する接合部を跨ぐ位置ではない位置となるように内側継手に設けられる。
内側継手における前記閉鎖部材を固定する位置と接合部とが、ストレートシーム鋼管の長手方向に沿って重ならないようにすることによって、内側継手において一部がその他の部分よりも剛性が低くなりすぎることを防止できる。
【0030】
本発明においては、前記接続部は、前記管体の一端に設けられた第一内側継手と、他端に設けられた第二内側継手と、隣り合う管体のうち、一方の管体に設けられた前記第一内側継手と他方の管体に設けられた前記第二内側継手とを隣接させた状態において、前記第一内側継手と前記第二内側継手とに跨って周設される外側継手とを備え、前記第一内側継手及び前記第二内側継手のそれぞれの外周には外向き周溝が備えられ、前記外側継手の内周には、前記第一内側継手及び前記第二内側継手のそれぞれの外周に備えられた前記外向き周溝と対向する内向き周溝が備えられ、前記外向き周溝と前記内向き周溝とから構成されるキー溝に係合するキー部材が備えられ、前記外側継手には、前記キー溝に前記キー部材を挿通可能な開口部が備えられ、前記キー部材は、円環の一部を構成する複数の分割キー部材と、前記分割キー部材の機能を有するとともに前記開口部を閉鎖する機能を有する閉鎖部材とを備え、前記閉鎖部材を、前記開口部に挿通したあとに、前記第一内側継手又は前記第二内側継手に対して固定する固定機構を備え、前記抜け止め機構は、前記外向き周溝と前記内向き周溝と前記キー部材とを含んで構成され、前記回り止め機構は、前記閉鎖部材と前記開口部と前記固定機構とを含んで構成され、前記接合部は、回転抑止キー溝を構成する前記内側継手に形成された座ぐり部及び前記外側継手に形成された座ぐり部とは重ならない位置に配設されていると好適である。
【0031】
上述の構成によれば、一方の鋼管の一端に設けられた第一内側継手と他方の鋼管の他端に設けられた第二内側継手とを隣接させるとともに、前記第一内側継手と前記第二内側継手とに跨って外側継手を周設したあとに、前記外側継手に形成された開口部を介して、キー部材を、前記外側継手の外周面から、外向き周溝と内向き周溝とから形成されるキー溝に配置することができる。
開口部には、分割キー部材と同様に前記隣り合う管体どうしが該管体の長手方向に相対移動することを防止する機能を有する閉鎖部材を配置することによって、キー溝に配置された前記分割キー部材が前記開口部から外に抜け落ちることを防ぐことができる。
また、第一内側継手と第二内側継手とを同じ形状に構成することができるため、加工コストの低減も図ることができる。
【0032】
回転抑止キー溝を構成する前記内側継手に形成された座ぐり部及び前記外側継手に形成された座ぐり部が形成されている周方向部分は、その箇所において材料が少ないため、その他の周方向部分にくらべて剛性が低い。つまり、回転抑止キー溝を構成する前記内側継手に形成された座ぐり部及び前記外側継手に形成された座ぐり部が形成されている周方向部分が低剛性部である。
そこで、回転抑止キー溝を構成する前記内側継手に形成された座ぐり部及び前記外側継手に形成された座ぐり部は、ストレートシーム鋼管が有する接合部を跨ぐ位置ではない位置となるように内側継手及び外側継手に設けられる。
回転抑止キー溝を構成する前記内側継手に形成された座ぐり部及び前記外側継手に形成された座ぐり部が形成されている周方向部分と接合部とが、ストレートシーム鋼管の長手方向に沿って重ならないようにすることによって、内側継手及び外側継手において一部がその他の部分よりも剛性が低くなりすぎることを防止できる。
【0033】
本発明においては、前記外側継手は、前記第一内側継手及び前記第二内側継手の周囲に並設される複数の単位部材から構成されていると好ましい。
【0034】
上述の構成によれば、外側継手を、例えば作業員が手を用いて持ち上げることができる程度の大きさの複数の単位部材から構成することによって、クレーン等の機械による吊り上げ作業が不要となるため、鋼管の連結の作業性が向上する。
【0035】
本発明においては、前記複数の単位部材は、前記開口部が備えられている開口単位部材と、前記開口部が備えられていない標準単位部材とを含んでいると好ましい。
【0036】
上述の構成によれば、キー部材を挿通可能な開口部を備える開口単位部材を任意の箇所に配置することができる。すなわち現場の作業スペース等の事情にあわせてキー部材をキー溝に挿通する開口部を任意に設定することができる点で作業性がよい。
【0037】
本発明においては、前記複数の単位部材は、前記第一内側継手と前記第二内側継手とを当接させた状態において、前記第一内側継手と前記第二内側継手とに跨って周設される基準単位部材と、前記第一内側継手と前記第二内側継手とを離間させた状態において、前記第一内側継手と前記第二内側継手とに跨って周設される延長単位部材とを含んでいると好ましい。
【0038】
上述の構成によれば、前記第一内側継手と前記第二内側継手とに跨って周設される前記外側継手のうち一部を基準単位部材から構成し、他部を延長単位部材から構成することによって、前記一方の鋼管の軸心と、前記他方の鋼管の軸心とを傾けることができる。
【0039】
すなわち、鋼管を上下に連結しながら地中に打ち込むにあたり、先行して地中に打ち込んだ鋼管の姿勢が所定姿勢、例えば鉛直姿勢から外れているときは、軸心どうしを相対的に傾けて、その鋼管に連結される後続の鋼管の姿勢が所定姿勢、例えば鉛直姿勢に近い姿勢になるように修正しながら、隣り合う管体を連結することができる。
【0040】
本発明においては、前記第一内側継手及び前記第二内側継手は、それぞれ、基部と前記基部に延設された内嵌部を備え、前記基部の前記内嵌部に臨む端面には係合凹部が円環状に備えられ、前記内嵌部の外周に前記外向き周溝が円環状に備えられ、前記基準単位部材及び前記延長単位部材の上下端部には、前記基準単位部材及び前記延長単位部材を前記第一内側継手及び前記第二内側継手とに跨って周設したときに前記係合凹部に係合可能な一対の係合凸部が備えられ、前記基準単位部材及び前記延長単位部材の内周に一対の前記外向き周溝に対向する一対の前記内向き周溝が備えられ、前記基準単位部材の一対の前記内向き周溝間の距離は、前記第一内側継手と前記第二内側継手とが当接したときの、前記一対の外向き周溝間の距離と同じ距離に設定され、前記延長単位部材の一対の前記内向き周溝間の距離は、前記第一内側継手と前記第二内側継手とが離間したときの、前記一対の外向き周溝間と同じ距離に設定されていると好ましい。
【0041】
上述の構成によれば、前記基準単位部材や前記延長単位部材を前記第一内側継手及び前記第二内側継手とに跨って周設したときに、係合凸部と係合凹部とが係合することによって前記基準単位部材や前記延長単位部材が外方へ脱落することが防止される。前記一方の鋼管の軸心と、前記他方の鋼管の軸心とを傾けたときであっても、キー部材をキー溝に挿通することができる。
【0042】
本発明においては、前記接続部は、前記管体の両端部に設けた前記両接続部の一方を筒部に形成するとともに、他方を前記筒部に内嵌可能な軸部に形成して、隣り合う管体どうしが嵌合可能に形成され、前記筒部の筒部内周面部に、内向き溝部を形成するとともに、前記軸部の軸部外周面部に外向き溝部を、その軸部外周面部に嵌合した前記筒部内周面部の前記内向き溝部に対向するように形成し、前記抜け止め機構は、互いに対向する前記内向き溝部と前記外向き溝部とに跨る状態に嵌め込んで、互いに嵌合した隣り合う管体の前記筒部と前記軸部とを抜け止め状態に接続するキー部材を設けて構成してあり、前記回り止め機構は、前記筒部と前記軸部の内のいずれか一方ないしは両方に凹部を形成し、隣り合う管体の前記筒部と前記軸部とを互いに嵌合接続した状態で、前記凹部に嵌合し、接続した管体どうしの軸心周りにおける相対回転を防止する嵌合キー部材を設けて構成してあり、前記接合部は、前記筒部及び前記軸部のうち前記凹部とは重ならない位置に配設されていると好ましい。
【0043】
上述の構成によれば、前記接続部を、隣り合うものどうしが嵌合可能に形成し、隣り合う管体どうしを互いに抜け止め状態に接続自在な抜け止め機構と、接続した管体どうしの軸心周りにおける相対回転を防止する回り止め機構とを、前記接続部に備えてあるから、隣り合う管体どうしの相対回転を防止した状態で接続することが可能となった。
つまり、前記抜け止め機構によって対向する管体どうしが接続されるとともに、管体を回転圧入により沈設する工法において、管体を逆回転させたとしても前記回り止め機構によって管体どうしの相対回転を防止することができる。
その結果、管体に挿入したオーガーで掘削しながら管体を回転圧入していく中堀工法、ソイルセメント合成杭工法、回転埋設杭工法等にも使用することができるようになった。
【0044】
さらに、前記管体の両端部に設けた前記両接続部の一方を筒部に形成するとともに、他方を前記筒部に内嵌可能な軸部に形成して、前記筒部の筒部内周面部に、内向き溝部を形成するとともに、前記軸部の軸部外周面部に外向き溝部を、その軸部外周面部に嵌合した前記筒部内周面部の前記内向き溝部に対向するように形成し、互いに対向する前記内向き溝部と前記外向き溝部とに跨る状態に嵌め込んで、互いに嵌合した隣り合う管体の前記筒部と前記軸部とを抜け止め状態に接続するキー部材を設けて抜け止め機構を構成してあるから、管体の接続作業の作業性を向上させることができるようになった。
つまり、管体の軸心方向で隣り合う管体の筒部と軸部とを嵌合し、互いに対向する内向き溝部と外向き溝部とに跨る状態にキー部材を嵌め込むだけの操作で、隣り合う管体どうしを抜け止め状態に接続することができる。
その結果、溶接やネジ継手によって管体を接続する構成のものに比して、管体どうしの接続作業の作業性を向上させることができ、管体接続のための作業時間を短縮することができるようになった。
【0045】
さらに、前記筒部と前記軸部の内のいずれか一方ないしは両方に凹部を形成し、隣り合う管体の前記筒部と前記軸部とを互いに嵌合接続した状態で、前記凹部に嵌合し、接続した管体どうしの軸心周りにおける相対回転を防止する嵌合キー部材を設けて回り止め機構を構成してあるから、簡便な作業により、接続した管体どうしの軸心周りにおける相対回転を防止することが可能となった。
つまり、例えば、隣り合う管体の管体端部どうしを溶接接続してその相対回転を防止する構成のものだと、溶接作業に多くの時間を要するとともに、溶接部の品質が天候に左右されるばかりでなく、熟練した溶接工が必要となるが、本件のものだと、例えば、互いに対向する筒部と軸部とを嵌合接続したときに、前記筒部と前記軸部の対向する位置に筒部凹部と軸部凹部とをそれぞれ形成し、前記筒部凹部と前記軸部凹部とに跨る状態に嵌合キー部材を嵌合させる構成を採った場合、筒部と軸部とを嵌合接続する際に、前記両凹部が対向する位置になるように嵌合させて、前記両凹部に跨る状態に嵌合キー部材を嵌合して固着するという簡便な作業により、隣り合う管体どうしの軸心周りにおける相対回転を防止することができる。
また、筒部もしくは軸部のいずれか一方に凹部を形成し、他方に前記凹部に嵌合する嵌合キー部材を設けて、前記筒部と前記軸部とを互いに嵌合接続したときに前記凹部に前記嵌合キー部材が嵌合する構成を採った場合、管体どうしを軸心方向へ移動させて前記凹部に前記嵌合キー部材の対向位置を合わせた状態のまま筒部と軸部とを嵌合させる嵌合操作を行うだけで、隣り合う管体どうしの軸心周りにおける相対回転を防止することができる。
その結果、熟練者でなくても簡便に管体どうしの相対回転を防止するのに必要な回り止め機構のセッティング作業ができるから、その作業性を向上させることができるようになった。
【0046】
筒部及び軸部のうち、凹部が形成されている周方向部分は、その箇所において材料が少ないため、その他の周方向部分にくらべて剛性が低い。つまり、凹部が形成されている周方向部分が低剛性部である。
そこで、凹部は、ストレートシーム鋼管が有する接合部を跨ぐ位置ではない位置となるように筒部及び軸部に設けられる。
凹部が形成されている周方向部分と接合部とが、ストレートシーム鋼管の長手方向に沿って重ならないようにすることによって、筒部及び軸部において一部がその他の部分よりも剛性が低くなりすぎることを防止できる。
【0047】
本発明においては、隣り合う管体どうしを互いに抜け止め状態に接続自在な抜け止め機構と、接続した管体どうしの軸心周りにおける相対回転を防止する回り止め機構とが同一部材で形成されていると好ましい。
【0048】
上述の構成によれば、隣り合う管体どうしを互いに抜け止め状態に接続自在な抜け止め機構と、接続した管体どうしの軸心周りにおける相対回転を防止する回り止め機構とが同一部材で形成されているから、隣り合う管体どうしを互いに抜け止め状態に接続する接続作業と、管体どうしの軸心方向における相対回転を防止する回り止め作業とを同時に行うことができるようになった。
つまり、管体抜け止め機構と回り止め機構とが同一部材で形成されているから、軸心方向で隣り合う管体の対向するそれぞれの管体接続部に対して、前記管体抜け止め機構と回り止め機構とを一体に形成した部材を取付けるだけで、同時に隣り合う管体どうしを互いに抜け止め状態に接続することができるとともに、軸心方向における相対回転を防止することができる。
その結果、隣り合う管体どうしを互いに抜け止め状態に接続するとともに、管体どうしの軸心周りにおける相対回転を防止するのに要する作業時間を短縮でき、作業効率を向上させることができるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下に、本発明による鋼管杭について説明する。
まず、本発明による鋼管杭の第一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、鋼管杭の一例としての、油圧ハンマー、圧入機、回転圧入機などによって地中に打ち込まれる外周面形状が円筒状の鋼管杭1を示している。なお、すべての鋼管杭1は同一の構成であるが、隣り合う鋼管杭1のうち、一方の鋼管杭1と他方の鋼管杭1を区別して説明する必要があるところについては、一方の鋼管杭1側の各構成の符号に添え字Aを付し、他方の鋼管杭1側の各構成の符号に添え字Bを付している。
【0051】
鋼管杭1(1A,1B)は、管体2(2A,2B)の両端部にストレートシーム鋼管から形成された内側継手10を同芯状に溶接して構成してある。管体2(2A,2B)の両端部に溶接される内側継手10は同一の構成であるが、鋼管杭1を地中に打ち込む際に下側に位置する内側継手10側の各構成に添え字Aを付し、上側に位置する内側継手10側の各構成に添え字Bを付している。すなわち、一対の内側継手10A,10Bのいずれか一方が第一内側継手であり他方が第二内側継手である。前記第一内側継手と前記第二内側継手とを同一の構成とすることによって、別の構成とする場合にくらべて製造コストを低減できる。
【0052】
図2に示すように、内側継手10は、管体2の外径よりやや大きい外径の基部11に、その基部11よりも外径が小径の内嵌部12を延設してある。本実施形態においては、基部11の外径は、管体2の外径より18mm程度大きい。
内嵌部12の外周には、後述する内向きキー部23を係合するための一条の外向き周溝13を円環状に形成してある。基部11の内嵌部12側に臨む端面には、後述する外側継手20の端部に備えられた係合凸部24を係合させるための係合凹部14を円環状に形成してある(
図1参照)。
【0053】
図1に示すように、係合凹部14を構成する壁面は、本実施形態においては、周方向に等間隔に4箇所に、切欠部15が備えられている。
【0054】
内側継手10Aと、内側継手10Bには、互いの当接面の所定位置に孔部18が形成されている。この孔部18には位置決めピン19が挿通される。
図3に示すように、内側継手10Aと内側継手10Bとを連結する際に、位置決めピン19を、内側継手10Aに形成された孔部18Aと、内側継手10Bに形成された孔部18Bとに挿通することによって、内側継手10Aに備えられた切欠部15Aと、内側継手10Bに備えられた切欠部15Bとが、鋼管杭1の長手方向に対向する位置に位置決めされる。
【0055】
図1に示すように、外側継手20は、管体2の外径よりやや大きい外径と、内側継手10を嵌挿可能な大きさの内径を有するストレートシーム鋼管を、周方向に8等分に分割することによって形成される8個の単位部材21から構成されている。本実施形態においては、外側継手20の外径は、管体2の外径より18mm程度大きい。
【0056】
なお、8等分は例示であり、分割によって得られる単位部材21の数は8個より少なくても多くてもよいが、分割された各単位部材21の大きさが、作業員が手を用いて持ち上げることができる程度の大きさであることが好ましい。また、単位部材21は、ストレートシーム鋼管を分割するという簡単な製造方法を用いることによって、例えば鉄板を曲げ加工するなどして一つずつ製造する場合にくらべて製造コストを低減できる。
【0057】
8個の単位部材21から構成される外側継手20の内周には、内側継手10A及び内側継手10Bのそれぞれに備えられた外向き周溝13(13A,13B)に係合することができる、並行な二条の円環状の内向きキー部23(23A,23B)が、外側継手20を内側継手10(10A,10B)の内嵌部12(12A,12B)に周設させた状態であるときに、外向き周溝13(13A,13B)に係合可能な位置に備えてある。
【0058】
各単位部材21のうち4個の単位部材21には、図中の上下端部に係合凸部24を形成してある。これらの単位部材21が標準単位部材21Aである。標準単位部材21Aは、切欠部15を介して、内向きキー部23が内側継手10の外向き周溝13に係合するように配設したあとに周方向に沿ってスライドさせることによって、係合凸部24と係合凹部14とが係合して、標準単位部材21Aが外方へ脱落することが防止される。
【0059】
あとの4個の単位部材21は、係合凸部24を備えていないかわりに、切欠部15内に配置したときに切欠部15の周囲の外周面と面一となる形状となっている。これらの単位部材21が閉鎖単位部材21Bである。閉鎖単位部材21Bは、標準単位部材21Aのように、内側継手10の係合凹部14と係合する係合凸部24を備えていないかわりに、ボルトを挿通可能な開口が形成されている。第一内側継手20A及び第二内側継手20Bには、前記開口と対応する位置にボルト穴16(16A,16B)が形成されている。閉鎖単位部材21Bは固定機構としてのボルト33を用いて、第一内側継手20A及び第二内側継手20Bに固定できるようになっている。
【0060】
閉鎖単位部材21Bを、ボルト33を用いて第一内側継手20A及び第二内側継手20Bに固定することによって、外側継手20を介して連結された内側継手10Aと内側継手10Bの周方向の相対移動も抑止される。
【0061】
本実施形態においては、内側継手10A及び内側継手10Bに備えられた係合部としての外向き周溝13(13A,13B)と、外側継手20に備えられた被係合部としての内向きキー部23(23A,23B)とが抜け止め機構を構成する。さらに、閉鎖単位部材21Bと切欠部15A,15Bとが回り止め機構を構成する。
【0062】
本実施形態においては、それぞれ4個ずつの標準単位部材21A及び閉鎖単位部材21Bが、内側継手10の周囲に交互に並設され円筒状の外側継手20を構成する。本実施形態においては、内側継手10Aと、内側継手10Bと、外側継手20が接続部を構成する。
【0063】
なお、上述したとおり、内側継手10及び外側継手20は、ストレートシーム鋼管から形成されている。なお、管体2は、例えばスパイラル鋼管から形成することができる。
【0064】
ストレートシーム鋼管は、平板状の鋼板を、巨大なロールやプレスを用いて円筒状に成形し、接合部3を内外面から溶接する板巻加工法を用いて製造される。板巻加工法は、シームレス鋼管を製造するリング鍛造などの工法にくらべて安価である。内側継手10及び外側継手20をストレートシーム鋼管から形成することによって、安価に内側継手10及び外側継手20が得られる。
【0065】
しかし、ストレートシーム鋼管はその長手方向に沿って接合部3を有し、シームレス鋼管のように周方向に均質ではないため、周方向において同一の剛性が得られず、内圧やねじれに弱い。
また、内側継手10A及び内側継手10Bのうち切欠部15A,15Bが形成されている周方向部分は、その箇所において材料が少ないため、その他の周方向部分にくらべて剛性が低い。つまり、切欠部15A,15Bが形成されている周方向部分が低剛性部である。
そこで、切欠部15A,15Bが形成されている周方向部分は、ストレートシーム鋼管が有する接合部3を跨ぐ位置ではない位置となるように内側継手10A及び内側継手10Bに設けられる。
切欠部15A,15Bが形成されている周方向部分と接合部3とが、ストレートシーム鋼管の長手方向に沿って重ならないようにすることによって、内側継手10A及び内側継手10Bにおいて一部がその他の部分よりも剛性が低くなりすぎることを防止できる。
【0066】
なお、内側継手10A及び内側継手10Bは、それぞれの接合部3が、鋼管杭1の長手方向に沿って重ならないように連結されることが好ましい。
【0067】
また、外側継手20のうち閉鎖単位部材21Bは、内側継手10A及び内側継手10Bの切欠部15A,15Bに配設される。閉鎖単位部材21Bに接合部3を配設すると、接合部3を有する閉鎖単位部材21Bが配設される切欠部15A,15Bにおいて、剛性が低い。つまり、閉鎖単位部材21Bが低剛性部である。
そこで、接合部3は、標準単位部材21Aに設けられる。
閉鎖単位部材21Bと接合部3とが、ストレートシーム鋼管の長手方向に沿って重ならないようにすることによって、継手機構において一部がその他の部分よりも剛性が低くなりすぎることを防止できる。
【0068】
なお、複数の標準単位部材21Aのうち接合部3を有する標準単位部材21Aは、内側継手10A及び内側継手10に対して、内側継手10A及び内側継手10Bのうち接合部3が配設されている位置ではない位置に、周設されることが好ましい。
【0069】
次に、
図2から
図11に基づいて、油圧ハンマーなどを用いて地中に打ち込む工法において、先に打ち込まれている鋼管杭1Aに後続の鋼管杭1Bを連結する連結方法について説明する。
【0070】
この、隣り合う鋼管杭1A,1Bを連結する連結方法には上述の継手機構が用いられる。
まず、
図1、
図2及び
図3に示すように、先行して打ち込まれている一方の鋼管杭1Aの上端に設けられた内側継手10Aに、その下端に設けられた内側継手10Bが当接するように、鋼管杭1Bを吊り下ろす。このとき、内側継手10Aに形成された孔部18Aに位置決めピン19を予め挿通しておき、鋼管杭1Bを、クレーン等の機械を用いて、内側継手10Bに形成された孔部18Bに位置決めピン19が挿通されるのを確認しながら吊り下ろす。
【0071】
次に、
図4及び
図5に示すように、標準単位部材21Aを切欠部15A,15Bを介して、その内向きキー部23(23A,23B)が、内側継手10(10A,10B)の外向き周溝13(13A,13B)に係合するように周設する。
【0072】
そして、
図6、
図7及び
図8に示すように、標準単位部材21Aを係合凸部24と係合凹部14とが係合する位置まで周方向に沿ってスライドさせる。
【0073】
次に、
図9及び
図10に示すように、閉鎖単位部材21Bを切欠部15A,15Bを介して、その内向きキー部23(23A,23B)が、内側継手10(10A,10B)の外向き周溝13(13A,13B)に係合するように周設する。
【0074】
最後に、
図10及び
図11に示すように、ボルト33を用いて閉鎖単位部材21Bを内側継手10(10A,10B)に固定することによって、隣り合う鋼管杭1A,1Bを、鋼管杭1の長手方向へ相対移動しないように、かつ周方向へ相対移動しないよう連結できる。
【0075】
上述の説明では、内側継手10A及び内側継手10Bと、外側継手20とを係合する構成として、内側継手10A及び内側継手10Bのそれぞれの外周に、被係合部としての外向き周溝13を備え、外側継手の内周に、係合部としての内向きキー部23を備える構成について説明したが、係合部が、内側継手10A及び内側継手10Bのそれぞれの外周に備えられた外向きキー部であり、被係合部が、外側継手20の内周に備えられた、前記外向キー部が係合することによって、隣り合う鋼管杭1A,1Bどうしが鋼管杭1の長手方向に相対移動することを防止するための内向き周溝であってもよい。
【0076】
次に、本発明による鋼管杭の第二実施形態を図面に基づいて説明する。
図12は、鋼管の一例としての、油圧ハンマー、圧入機、回転圧入機などを用いて地中に打ち込まれる外周面形状が円筒状の鋼管杭101を示している。なお、すべての鋼管杭101は同一の構成であるが、隣り合う鋼管杭101のうち、一方の鋼管杭101と他方の鋼管杭101を区別して説明する必要があるところについては、一方の鋼管杭101側の各構成の符号に添え字Aを付し、他方の鋼管杭101側の各構成の符号に添え字Bを付している。
【0077】
鋼管杭101(101A,101B)は、管体102(102A,102B)の両端部にストレートシーム鋼管から形成された内側継手110を同芯状に溶接して構成してある。
【0078】
図12に示すように、内側継手110は、管体102の外径よりやや大きい外径の基部111に、その基部111よりも外径が小径の内嵌部112を延設してある。本実施形態においては、基部111の外径は、管体102の外径より18mm程度大きい。
内嵌部112の外周には、後述する円環状のキー部材130を係合するための一条の外向き周溝113を円環状に形成してある。基部111の内嵌部112に臨む端面には、後述する外側継手120の端部に備えられた係合凸部124を係合させるための係合凹部114を円環状に形成してある。
【0079】
なお、管体102の両端部に溶接される内側継手110は同一の構成であるが、鋼管杭101を地中に打ち込む際に下側に位置する内側継手110側の各構成に添え字Aを付し、上側に位置する内側継手110側の各構成に添え字Bを付している。すなわち、一対の内側継手110A,110Bのいずれか一方が第一内側継手であり他方が第二内側継手である。前記第一内側継手と前記第二内側継手とを同一の構成とすることによって、別の構成とする場合にくらべて製造コストを低減することができる。
【0080】
図12及び
図13に示すように、外側継手120は、管体102の外径よりやや大きい外径と、内側継手110を嵌挿可能な大きさの内径を有するストレートシーム鋼管を、周方向に8等分に分割することによって形成される8個の単位部材121から構成されている。本実施形態においては、外側継手120の外径は、管体102の外径より18mm程度大きい。
【0081】
なお、8等分は例示であり、分割によって得られる単位部材121の数は8個より少なくても多くてもよいが、分割された各単位部材121の大きさが、作業員が手を用いて持ち上げることができる程度の大きさであることが好ましい。また、単位部材121は、ストレートシーム鋼管を分割するという簡単な製造方法を用いることによって、例えば鉄板を曲げ加工するなどして一つずつ製造する場合にくらべて製造コストを低減できる
【0082】
8個の単位部材121から構成される外側継手120の内周には、内側継手110A及び内側継手110Bのそれぞれに備えられた外向き周溝113(113A,113B)と同じ程度の深さで、並行な二条の円環状の内向き周溝123(123A,123B)が、外側継手120を内側継手110(110A,110B)の内嵌部112(112A,112B)に周設させた状態であるときに、外向き周溝113(113A,113B)に対向可能な位置に備えてある。
【0083】
内側継手110に外側継手120を周設させた状態において、外向き周溝113と内向き周溝123とから構成される円環状の空間がキー部材130を嵌合するためのキー溝となる。
【0084】
このキー溝に、すなわち外向き周溝113と内向き周溝123とに亘ってキー部材130を係合することにより、内側継手110Aと外側継手120、及び内側継手110Bと外側継手120とが互いに係合され隣り合う鋼管杭101A,101Bが鋼管杭101の長手方向に連結される。したがって、本実施形態では、内側継手110A及び内側継手110Bに備えられた外向き周溝113(113A,113B)と、外側継手120に備えられた内向き周溝123(123A,123B)と、キー部材130とが抜け止め機構を構成する。
【0085】
各単位部材121には、図中の上下端部に係合凸部124(124A,124B)を形成してある。単位部材121を内側継手110に周設したときに、係合凸部124(124A,124B)が、内側継手110の係合凹部114(114A,114B)に係合することによって単位部材121が外方へ脱落することが防止される。
【0086】
8個の単位部材121のうち、4個の単位部材121には、内側継手110に外側継手120を周設させた状態において、キー部材130を外向き周溝113と内向き周溝123とから構成されるキー溝に配置するために、外向き周溝113(113A,113B)の溝の長手方向における一部を外向き周溝113(113A,13B)の全幅に亘って外方に臨ませるための2個の開口部122(122A,122B)を備えている。これらの単位部材121が開口単位部材121Aである。
【0087】
開口部122(122A,122B)は、各内向き周溝123(123A,123B)の形成箇所に沿って、内向き周溝123(123A,123B)の全幅に亘って切り取った形状に構成されている。
【0088】
開口部122(22A,22B)を介して、外側継手120の外周面から、外向き周溝113と内向き周溝123とから構成されるキー溝にキー部材130が挿通される。
【0089】
その他の4個の単位部材121は、開口部122(122A,122B)を備えていないことを除いて、開口単位部材121Aと同一の構成である。これらの単位部材121が標準単位部材121Bである。
【0090】
本実施形態においては、それぞれ4個ずつの開口単位部材121A及び標準単位部材121Bが、内側継手110の周囲に交互に並設され円筒状の外側継手120を構成する。開口単位部材121Aは開口部122が形成されているため、標準単位部材121Bよりも剛性が低い。そのため、開口単位部材121Aと標準単位部材121Bとを交互に並設することによって、外側継手120の全体としての剛性の均質化が図られる。
本実施形態においては、内側継手110Aと、内側継手110Bと、外側継手120が接続部を構成する。
【0091】
図12及び
図23に示すように、キー部材130は、前記キー溝内に配置される部材であって、円環状体を、周方向に16等分に分割したような複数個の円弧状の部材から構成されている。
ただし、16個の円弧状の部材のうち、12個はキー溝に配置されてキー部材130として機能する分割キー部材131であり、あとの4個はキー部材130としての機能を有するとともに開口部122を閉鎖する機能を有する閉鎖部材132である。
一条のキー溝あたりに、12個の分割キー部材131と4個の閉鎖部材132とが配置され、全体として円環状のキー部材130を構成する。
【0092】
分割キー部材131は、鋼管杭101の長手方向に沿った方向の寸法が開口部122の該方向の寸法より若干小さく設定され、鋼管杭101の周方向に沿った方向の寸法が開口部122の該方向の寸法より若干小さく設定され、鋼管杭101の径方向に沿った方向の寸法が、キー溝、すなわち外向き周溝113と内向き周溝123の該方向の寸法より若干小さく設定されている。
【0093】
閉鎖部材132は、鋼管杭101の長手方向に沿った方向の寸法が開口部122の該方向の寸法より若干小さく設定され、鋼管杭101の周方向に沿った方向の寸法が開口部122の該方向の寸法より若干小さく設定され、鋼管杭101の径方向に沿った方向の寸法が、外向き周溝113の底面から開口部122の表面までの寸法と略同じ大きさに設定されている。
【0094】
さらに、閉鎖部材132は、開口部122に挿通したあとに、ボルト133を用いて内側継手110に対して固定可能に構成されている。なお、閉鎖部材132は外側継手120に対して固定される構成であってもよい。
【0095】
さらに、内側継手110と外側継手120の外周面の境界部には、外側継手120を介して連結された内側継手110Aと内側継手110Bの周方向の相対移動を抑止するための回転抑止キーが配設されている。本実施形態においては、閉鎖部材132と開口部122に加えて回転抑止キーが回り止め機構を構成する。
【0096】
図示はしないが、前記回転抑止キーは、内側継手110の基部111の外周面に形成された座ぐり部と、前記座ぐり部に対向するように外側継手120の外周面に形成された座ぐり部とから構成される回転抑止キー溝に跨設される。なお、前記回転抑止キーや前記座ぐり部の寸法及び数は、鋼管杭101の施工方法に応じて適当に設定される。前記回転抑止キーは、内側継手110又は外側継手120の一方と一体に形成してもよく、この場合は他方にのみ座ぐり部が形成される。
【0097】
内側継手110Aと内側継手110Bの周方向の相対移動を抑止するための構成としては、前記回転抑止キーによるものに限らない。例えば、8個の単位部材121のうちの少なくとも1つの単位部材の係合凸部124と、該係合凸部124が係合する係合凹部114の、鋼管杭101の長手方向の長さを、その他の単位部材121の係合凸部124と異ならせる構成であってもよい。この場合は、単位部材121が回転抑止キーと同様の機能を果たす。
【0098】
なお、上述したとおり、内側継手110及び外側継手120は、ストレートシーム鋼管から形成されている。なお、管体102は、例えばスパイラル鋼管から形成することができる。
【0099】
ストレートシーム鋼管は、平板状の鋼板を、巨大なロールやプレスを用いて円筒状に成形し、接合部103を内外面から溶接する板巻加工法を用いて製造される。板巻加工法は、シームレス鋼管を製造するリング鍛造などの工法にくらべて安価である。内側継手110及び外側継手120をストレートシーム鋼管から形成することによって、安価に内側継手110及び外側継手120が得られる。
【0100】
しかし、ストレートシーム鋼管はその長手方向に沿って接合部103を有し、シームレス鋼管のように周方向に均質ではないため、周方向において同一の剛性が得られず、内圧やねじれに弱い。
【0101】
また、外側継手120を構成する開口単位部材121A及び標準単位部材121Bのうち、開口単位部材121Aは開口部122において材料が少ないため、開口単位部材121Aのうち開口部122が形成されていない周方向部分や、標準単位部材121Bにくらべて剛性が低い。つまり、開口部122が形成されている周方向部分が低剛性部である。
そこで、接合部103は、標準単位部材121Bに設けられる。
【0102】
開口部122が形成されている周方向部分と接合部103とが、ストレートシーム鋼管の長手方向に沿って重ならないようにすることによって、外側継手120において一部がその他の部分よりも剛性が低くなりすぎることを防止できる。
【0103】
また、外側継手120は、開口単位部材121Aのうち開口部122が形成されている周方向部分及び接合部103を有する標準単位部材121Bが、内側継手110A及び内側継手110に対して、内側継手110A及び内側継手110Bのうち接合部103が配設されている位置ではない位置となるように、周設されることが好ましい。
外側継手120のうちの剛性が低い周方向部分と、内側継手110A及び内側継手110Bのうちの剛性が低い周方向部分とが、ストレートシーム鋼管の長手方向に沿って重ならないようにすることによって、継手機構において一部がその他の部分よりも剛性が低くなりすぎることを防止できる。
【0104】
なお、内側継手110A及び内側継手110Bは、それぞれの接合部103が、鋼管杭101の長手方向に沿って重ならないように連結されることが好ましい。
【0105】
次に、
図14から
図23に基づいて、油圧ハンマーなどを用いて地中に打ち込む工法において、先に打ち込まれている鋼管杭101Aに後続の鋼管杭101Bを連結する連結方法を説明する。
【0106】
この、隣り合う鋼管杭101A,101Bを連結する連結方法には上述の継手機構が用いられる。
まず、
図12及び
図14に示すように、先行して打ち込まれている一方の鋼管杭101Aの上端に設けられた内側継手110Aの係合凹部114A(114)にそれぞれの係合凸部124A(124)を係合させながら、4個の開口単位部材121Aと4個の標準単位部材121Bを交互に並設し、
図4に示すように、内側継手110Aの周囲に円筒状の外側継手120を構成する。
【0107】
次に、
図16及び
図17に示すように、鋼管杭101Aに対して、他方の鋼管杭101Bを吊り下ろし、外側継手120を構成する開口単位部材121A及び標準単位部材121Bの係合凸部124B(124)を、内側継手110Bの係合凹部114B(114)の係合させることで、隣り合う鋼管杭101A,101Bの内側継手110A,110Bが外側継手120の内部の所定位置に配置される。
【0108】
次に、
図18から
図20に示すように、開口単位部材121Aの開口部122に分割キー部材131を挿入する。開口部122に挿入された分割キー部材131は、前記キー溝の長手方向に沿ってスライドさせる。そして、開口部122へ次の分割キー部材131を挿入する。
【0109】
所定数の分割キー部材131の挿入が終わると、
図21から
図23に示すように、開口部122に挿入した閉鎖部材132をボルト133を用いて固定して、開口部122を閉鎖する。
【0110】
以上のようにして、隣り合う鋼管杭101A,101Bを、鋼管杭101の長手方向へ相対移動しないよう連結することができる。
【0111】
最後に、前記回転抑止キーを内側継手110の基部111の外周面に形成された座ぐり部と、前記座ぐり部と対向するように外側継手120の外周面に形成された座ぐり部とで構成される回転抑止キー溝に跨設することによって、隣り合う鋼管杭101A,101Bは、鋼管杭101の周方向へも相対移動しないよう連結される。
【0112】
ところで、本発明による継手機構の外側継手120を複数の単位部材121で構成することによって、上述のように製造コストを低減することに加えて以下の利点もある。
【0113】
外側継手120を構成する単位部材121は、ストレートシーム鋼管を周方向に8等分に分割することによって形成される。
この単位部材121は、鋼管杭101の長手方向に沿った方向の高さが、内側継手110Aと内側継手110Bとを当接させた状態において、内側継手110Aと内側継手110Bとに跨って周設される基準距離を有するストレートシーム鋼管や、前記基準距離より僅かに、例えば0.5mm程度長い距離を有するストレートシーム鋼管や、1.0mm程度長い距離を有するストレートシーム鋼管から形成してもよい。なお、前記基準距離を有するストレートシーム鋼管から形成される単位部材121が基準単位部材121Cであり、前記基準距離より長い距離を有するストレートシーム鋼管から形成される単位部材121が延長単位部材121Dである。なお、基準単位部材121Cや延長単位部材121Dは、開口部122が備えられていれば開口単位部材121Aでもあり、開口部122が備えられていなければ標準単位部材121Bでもある。
【0114】
延長単位部材121Dの上下端部には、基準単位部材121Cと同様に、単位部材121を内側継手110に周設したときに、内側継手110の係合凹部114A,14Bに係合するための係合凸部124A,24Bが形成されている。延長単位部材121Dの内周には、基準単位部材121Cと同様に、二条の円環状の内向き周溝123(123A,123B)が形成されている。
【0115】
基準単位部材121Cの一対の内向き周溝123(123A,123B)間の距離は、内側継手110Aと内側継手110Bとが当接したときの、一対の外向き周溝113(13A,13B)間の距離と同じ距離に設定され、
延長単位部材121Dの一対の内向き周溝123(123A,123B)間の距離は、内側継手110Aと内側継手110Bとが離間したときの、一対の外向き周溝113(13A,13B)間と同じ距離に設定されている。
延長単位部材121Dの内向き周溝123(123A,123B)間の距離は、前記基準距離より0.5mmや1.0mmだけ広くなるように形成する。
すなわち、延長単位部材121Dは、内向き周溝123(123A,123B)間の距離が、基準単位部材121Cの内向き周溝123(123A,123B)間の距離より長く構成されている。なお、前記0.5mm及び1.0mmは例示であり、実際には鋼管杭101の直径や、寸法公差に基づいて適当な値が設定される。
【0116】
基準単位部材121Cから外側継手120を構成すると、連結される鋼管杭101Aの内側継手110Aと鋼管杭101Bの内側継手110Bとの対向面どうしは当接する。
一方、前記基準距離より0.5mm長い距離をもった延長単位部材121Dで外側継手120を構成すると、鋼管杭101Aの内側継手110Aと鋼管杭101Bの内側継手110Bとの対向面の間に0.5mmの間隙が生じ、前記基準距離より1.0mm長い距離をもった延長単位部材121Dで外側継手120を構成すると、鋼管杭101Aの内側継手110Aと鋼管杭101Bの内側継手110Bとの対向面の間に1.0mmの間隙が生じることとなる。
【0117】
このような、鋼管杭101の長手方向の長さの異なる外側継手120群を用意しておくと、例えば、
図24に示すように、先行して打ち込まれている鋼管杭101Aの姿勢が鉛直方向に沿う姿勢から外れている場合に、その鋼管杭101Aに鋼管杭101Bを連結する際に、基準単位部材121Cと延長単位部材121Dとを組み合わせて、例えば図中左側に基準単位部材121Cを配設し、図中右側に延長単位部材121Dを配設することによって、後続する鋼管杭101Bの姿勢を、鉛直方向に沿った姿勢に打ち込むことができる。鋼管杭101A,101Bどうしを、鉛直な姿勢に近い姿勢となるように修正しながら連結できる。内向き周溝123(123A,123B)は、分割キー部材131に対して若干余裕をもった幅に構成されているため、鋼管杭101A,101Bどうしを傾けたときも、分割キー部材131のキー溝の長手方向に沿ったスライドは阻害されない。
【0118】
上述の実施形態においては、外側継手120の開口部122は、開口単位部材121Aの中央に備えられていたが、開口部122は例えば
図25に示すように、隣り合う2個の単位部材121に跨って形成されてもよい。また、
図26に示すように、開口単位部材121Aの中において上下の位置が異なるように形成されてもよい。
図26に示すように、開口部122の形成位置を左右にずらすことによって、開口部122が上下に並んで形成される場合にくらべて、開口単位部材121Aの剛性の低下を抑えることができる。
【0119】
上述の実施形態においては、外側継手120を構成する単位部材121の分割面を平面に構成したが、
図27や
図28に示すように、隣り合う単位部材121の対向面どうしに互い係合する係合部を備えてもよい。係合凸部124の係合凹部114への係合のみならず、隣り合う単位部材121どうしが互いに係合することによって単位部材121が外方へ脱落することが防止される。
【0120】
上述の実施形態においては、外側継手120を、8等分に分割された単位部材121から構成したが、外側継手120は、
図29に示すように、円筒状のまま構成してもよい。この場合、
図30に示すように、内側継手110は係合凹部114を備えなくてもよい。だだし、鋼管杭101Aと鋼管杭101Bを連結する作業において、分割キー部材131をキー溝に挿通するまでは、外側継手120を内側継手110の周囲に保持しておく機構及び作業が必要となる。
【0121】
この点を解決するために、
図31に示すように、少なくとも鋼管杭101Aの内側継手110Aに、外側継手120を内側継手110の周囲に保持するための係合段部115を備えてもよい。
【0122】
また、
図32に示すように、外側継手120の外周面は、内側継手110の基部111の外周面と面一となるように形成していなくてもよい。
【0123】
以下に本発明による鋼管杭の第三実施形態を図面に基づいて説明する。
図33から
図37は、本発明による鋼管杭の第三実施形態の第一の態様を示し、
図38は同第二の態様を示し、
図39は同第三の態様を示し、
図40は同第四の態様を示し、
図41は同第五の態様を示し、
図42は同第六の態様を示し、
図43は前記第六の態様の変形を示し、
図44は同第七の態様を示し、
図45は同第八の態様を示し、
図46は同第九の態様を示し、
図47は同第十の態様を示したものである。
【0124】
まず、第一の態様について説明する。
図33から
図37において、20A1は上管体であり、20A2は下管体である。上管体20A1には、下管体20A2と結合される下端に雌形の筒部201(接続部の一例)が溶接203により下方に突出して設けられ、また、下管体20A2には、上管体20A1と結合される上端に、上記筒部201に突入、嵌合する軸部202(接続部の一例)が溶接203により上方に突出して設けられている。
【0125】
筒部201は、外径が上管体20A1の外径と同径とした筒状をなしており、その内周は後述する軸部202が嵌合する垂直な筒部内周面部204に形成されているとともに、その筒部内周面部204における筒部201の基端側に形成の段部201Dには、周溝205が設けられている。そして、筒部内周面部204には、上下に間隔をおいて複数の内溝部206が周設されている。また、筒部201の下端には、周方向に間隔をおいて複数の切欠部207(凹部Eの一例)が設けられている。
【0126】
軸部202は、外径が下管体20A2の外径と同径とした基軸部208に続き、外周が筒部201の筒部内周面部204と係接する垂直の軸部外周面部210に形成した嵌挿部209により形成され、軸部先端部202Sには筒部201の周溝205と嵌合する突条211が設けられている。そして、嵌挿部209外周の軸部外周面部210には、筒部201の内溝部206と対応する位置に外溝部212が周設されている。また、基軸部208の上部には、筒部201の筒部先端部201Sと接合する接合凹部213が周設されているとともに、その周方向に間隔をおいて、筒部201の切欠部207と対応する位置に、切欠部207と同じ厚さで上下に所要の深さを有する切欠部214(凹部Eの一例)が設けられ、各切欠部214の奥壁部には複数のネジ孔215が設けられている。
【0127】
そして、上記の各内溝部206には、筒部201の外周より、周方向に間隔をおいて複数設けられたネジ孔216が連通されているとともに、その内溝部206内には、ネジ孔216に螺合させた、セットボルト217の操作によって、内溝部206内から、嵌挿部209の外溝部212内と内溝6内に跨る位置まで進退する円弧キー218(キー部材の一例)が収容されている。この円弧キー218を進退させる構造は、例えば
図37に示すように、セットボルト217により行う。セットボルト217は、その基端部にネジ孔216と螺合する右ネジの頭部217aを有し、先端部に円弧キー218に設けた左ネジ(逆ネジ)と螺合する尾部17bを有しており、セットボルト217を正(右)回転させてネジ込めば円弧キー218が前進し、逆(左)回転させれば円弧キー218が後退するようになっている。なお、円弧キー218を進退させる構造はこれに限定されるものではない。
【0128】
また、220は、上管体20A1の筒部201と下管体20A2の軸部202との相対回転を防止するための回転抑止キー(嵌合キー部材Hの一例)で、筒部201の切欠部207と軸部202の切欠部214とに亘って嵌合する形状に形成されているとともに、切欠部214に設けられたネジ孔215と対応する位置にボルト挿通孔221が設けられている。
【0129】
上管体20A1と下管体20A2とを縦継ぎするには、上管体20A1をクレーンで吊り上げ、下管体20A2の直上に運んで吊り下ろし、筒部201の中に軸部202を挿入していけば、筒部201の周溝205と軸部202の軸部先端部の突条211とが接合し、上管体20A1と下管体20A2とが嵌合されることになる。そして、上管体20A1の回転調整により、筒部201の切欠部207を軸部202の切欠部214に合致させる。
【0130】
その後は、切欠部207と切欠部214に亘って回転抑止キー220を嵌め込み、取付ボルト222をネジ孔215にネジ込んで固定する(回り止め機構Mの一例)。それにより上下両上管体20A1及び下管体20A2は回転不能に結合されることになる。続いて、セットボルト217を螺進させて、内溝部206に収まっている円弧キー218を外溝部212に向けて押し入れてやる(抜け止め機構Sの一例)。それによって、円弧キー218は
図37の鎖線で示すように、両溝部206,212に跨って係合することになり、両上管体20A1及び下管体20A2は円弧キー218を介して軸心X方向への抜き差しが不能に結合されることになる。
【0131】
この円弧キー218を介しての結合では、引張力は両溝部206,212と円弧キー218の側面の側圧応力で一方の筒部201又は軸部202から円弧キー218に伝達され、せん断力として円弧キー218の反対側に伝達される。そして、再び内、外溝部206,212と円弧キー218の側面の側圧応力によって他方の筒部201又は軸部202に伝達される。また、圧縮力は筒部201と軸部202の管軸に垂直な面で圧縮応力によって伝達される。
【0132】
筒部201及び軸部202は、ストレートシーム鋼管から形成される。
ストレートシーム鋼管は、平板状の鋼板を、巨大なロールやプレスを用いて円筒状に成形し、接合部303を内外面から溶接する板巻加工法を用いて製造される。板巻加工法は、シームレス鋼管を製造するリング鍛造などの工法にくらべて安価である。筒部201及び軸部202をストレートシーム鋼管から形成することによって、安価に筒部201及び軸部202が得られる。なお、上管体20A1及び下管体20A2はスパイラル鋼管から形成することが好ましい。
【0133】
しかし、ストレートシーム鋼管はその長手方向に沿って接合部303を有し、シームレス鋼管のように周方向に均質ではないため、周方向において同一の剛性が得られず、内圧やねじれに弱い。
また、筒部201及び軸部202のうち、切欠部207,214が形成されている周方向部分は、その箇所において材料が少ないため、その他の周方向部分にくらべて剛性が低い。さらに、筒部201のセットボルト217が配設されている周方向部分は、その他の周方向部分にくらべて剛性が低い。つまり、切欠部207,214、すなわち凹部Eが形成されている周方向部分及びセットボルト217が配設されている部分が低剛性部である。
そこで、切欠部207,214は、ストレートシーム鋼管が有する接合部303を跨ぐ位置ではない位置となるように筒部201及び軸部202に設けられる。また、セットボルト217は、ストレートシーム鋼管が有する接合部303と重ならない位置となるように筒部201及び軸部202に設けられる。
切欠部207,214及びセットボルト217と接合部303とが、ストレートシーム鋼管の長手方向に沿って重ならないようにすることによって、筒部201及び軸部202において一部がその他の部分よりも剛性が低くなりすぎることを防止できる。
【0134】
次に、第二の態様について説明する。この態様による鋼管杭は、先の鋼管杭に対し、筒部201と軸部202の筒部内周面部204,軸部外周面部210の形状を異にしたもので、筒部201の筒部内周面部204が先広がりの円錐面204aに形成され、軸部202の軸部内周面はその円錐面204aと合致する先細りの円錐面210aに形成されている。そして、内溝部206及び外溝部212は、それら円錐面204a,210aに上下に間隔をおいて複数周設されている。
上記構成だと、ネジ嵌合のもののように、上管体20A1及び下管体20A2どうしを相対回転させながら徐々に近接させるような手間のかかる作業を必要とせず、軸心X方向で隣り合う上管体20A1及び下管体20A2の筒部201に軸部202を挿入する際に、筒部201の軸心位置と軸部202の軸心位置がズレていたとしても、前記円錐面204a,210aどうしを接触させたまま軸心X方向に近接移動させるだけの操作で筒部201と軸部202とが同芯状に嵌合されるように案内することができる。
なお、その他の構造及び施工の要領については先の鋼管杭におけると同様であるから、その説明は省略する。
【0135】
次に、第三の態様について説明する。この態様による鋼管杭は、筒部201の筒部内周面部204の形状が、逐次段階的に先広がりとなる筒部内周面部204bに形成され、これに対する軸部202の軸部外周面部210の形状が、上記筒部内周面部204bに合致する、段階的に先細りとなる軸部外周面部210bに形成されている。そして、それら筒部内周面部204bと軸部外周面部210bには、その垂直面に内溝部206及び外溝部212が周設されている。
上記構成だと、軸心X方向に近接移動させるだけの操作で筒部と軸部とを嵌合させることができ、その際、筒部内周面部204bと軸部外周面部210bの形状を互いに合致する段部形状に形成してあるから、対応する筒部内周面部204bと軸部外周面部210bとが接当するまでの嵌合操作を抵抗なく行うことができるため嵌め易くなる。
その他の構造及び施工の要領については、上記第一の態様及び第二の態様におけるものと同様であるから、その説明は省略する。
【0136】
次に、
図40に示す第四の態様について説明する。先の鋼管杭に対し、Oリング225を設けたことを異にしたもので、上管体20A1の外径と同径とした筒部201の筒部外周面部201Gには、その周方向に間隔をおいて筒部外周面の一部を切欠いた複数の切欠部207(凹部Eの一例)を形成するとともに、筒部内周面部204における筒部基端側に形成の段部201Dには周溝205が設けられている。
軸部202には、外径が下管体20A2の外径と同径とした基軸部208に続き、外周が筒部201の筒部内周面部204と係接する垂直の軸部外周面部210に形成した嵌挿部209により形成されるとともに、軸部先端部202Sには筒部201の周溝205と嵌合する突条211が設けられている。基軸部208の上部には、筒部201の筒部先端部201Sと接合する接合凹部213が周設されている。接合凹部213にはOリング225が設けられ、筒部201と軸部202とを嵌合させたときに、Oリング225に阻害されることなく、内向き溝部206と外向き溝部212との対向位置を合わすことができ、円弧キー218を係合させる係合操作が確実に行われるように、筒部先端部201Sと接合凹部213との間には、Oリング225の弾性変形を許容するとともに、シールを確実にできる程度の大きさの空間が設定形成されている。また、基軸部208の外周面には、その周方向に間隔をおいて、筒部201の切欠部207と対応する位置に、切欠部207と同じ厚さで上下に所用の深さを有する切欠部214が設けられており、切欠部207と切欠部214に亘って回転抑止キー220(嵌合キー部材Hの一例)を嵌め込み取付ボルト222をネジ孔215にネジ込んで固定する。
上記構成だと、上管体20A1及び下管体20A2どうしの軸心X周りにおける相対回転を防止することができるとともに、筒部内周面部204と軸部外周面部210の接当面、及び、内向き溝部206と外向き溝部212、及び、円弧キー218に対する水の侵入を防止し易くなる。
なお、その他の構造及び施工の要領については先の鋼管杭におけるものと同様であるから、その説明は省略する。
また、前記Oリング225は、特に必要がなければ設けなくてもよい。
【0137】
次に、
図41に示す第五の態様について説明する。この態様による鋼管杭は、先の鋼管杭に対し、回り止め機構Mの形状を異にしたもので、上管体20A1の外径と同径とした筒部201の筒部外周面部201Gには、その周方向に間隔をおいて筒部外周面部201Gの一部を切欠き、対向する接続部Bの軸部202側に向けて開口する複数の切欠凹部223(凹部Eの一例)を形成するとともに、筒部内周面部204における筒部基端側に形成の段部201Dには周溝205が設けられている。
軸部202には、外径が下管体20A2の外径と同径とした基軸部208に続き、外周が筒部201の筒部内周面部204と係接する垂直の軸部外周面部210に形成した嵌挿部209により形成されるとともに、軸部先端部202Sには筒部201の周溝205と嵌合する突条211が設けられている。また、基軸部208の上部には、筒部201の筒部先端部201Sと接合する接合凹部213が周設されているとともに、基軸部208における筒部201に対向する端面部201Tの周方向に間隔をおいて筒部201に形成の切欠凹部223に対応する位置に、切欠凹部223に嵌合して係合する形状の係合突起224(嵌合キー部材Hの一例)を形成してある。
そして、筒部201に軸部202を嵌合する際に、切欠凹部223に対向する位置に係合突起224を位置させながら嵌合操作を行うと、軸部先端部202Sに設けた突条211が周溝205に嵌合するとともに、筒部先端部201Sが接合凹部213に嵌合し、同時に切欠凹部223に係合突起224が嵌合係合される。
上記構成だと、切欠凹部223に嵌合する係合突起224の嵌合状態を目視確認できながら操作できるとともに、上管体20A1及び下管体20A2どうしの近接移動による嵌合操作だけで、上管体20A1及び下管体20A2どうしの軸心X周りにおける相対回転を防止することができる。
なお、その他の構造及び施工の要領については先の鋼管杭におけるものと同様であるから、その説明は省略する。
【0138】
次に、
図42に示す第六の態様について説明する。この態様による鋼管杭は、先の鋼管杭に対し、回り止め機構Mの形状を異にしたもので、筒部201には、筒部先端部201Sに突条211を周設し、突条211の周方向に間隔をおいて、対向する接続部Bの軸部202側に向けて突設した複数の係合突起226(嵌合キー部材Hの一例)を形成するとともに、筒部内周面部204における筒部基端側に形成の段部201Dには周溝205が設けられている。
軸部202には、外径が上管体20A1の外径と同径とした基軸部208に続き、外周が筒部201の筒部内周面部204と係接する垂直の軸部外周面部210に形成した嵌挿部209により形成されるとともに、軸部先端部202Sには筒部201の周溝205と嵌合する突条211が設けられている。また、基軸部208の上部には、筒部201の筒部先端部201Sと接合する接合凹部213が周設されているとともに、基軸部208における筒部201に対向する端面部202Tの周方向に間隔をおいて筒部201に形成の係合突起226に対応する位置に、係合突起226が嵌入係合する形状のほぞ穴227(凹部Eの一例)を形成してある。
そして、筒部201に軸部202を嵌合する際に、係合突起226に対向する位置にほぞ穴227を位置させながら嵌合操作を行うと、筒部先端部201Sに設けた突条211が周溝205に嵌合するとともに、筒部先端部201Sが接合凹部213に嵌合し、同時にほぞ穴227内に係合突起226が嵌入係合される。
上記構成だと、例えば、筒部201及び軸部202の外周面に嵌合凸部と嵌合凹部を形成して回り止めを行う構成のものに比して、外周面に形成される接合ラインを少なくできるから、水の侵入を防止し易くできるとともに、上管体20A1及び下管体20A2どうしの近接移動による嵌合操作だけで、上管体20A1及び下管体20A2どうしの軸心X周りにおける相対回転を防止することができる。
係合突起226は、上記態様のごとく突条211と一体に形成されたものの他、
図43に示すように、別体に形成した係合突起226をボルト228等で取付けていく構成のものであってもよい。
これだと、ほぞ穴227に係合突起226を嵌合係合させる際に、接触により破損して使えなくなった係合突起226が生じたとしても、その箇所の係合突起226を新しいものに付け換えることができる。
なおその他の構造及び施工の要領については、先の鋼管杭におけるものと同様であるから、その説明は省略する。
【0139】
次に、
図44に示す第七の態様について説明する。この態様による鋼管杭は、先の鋼管杭に対し、回り止め機構Mの形状を異にしたもので、筒部201には、筒部先端部201Sに突条211を周設し、筒部内周面部204における筒部基端側に形成の段部201Dには周溝205を設けるとともに、筒部基端側の内周面の周方向に間隔をおいて、筒部先端側に向けて開口する複数の取付凹部229を形成し、取付凹部229に、筒部基端側に形成の段部201Dから、対向する接続部Bの軸部202側に向けて係合板材230(嵌合キー部材Hの一例)を突出するように取付けてある。
軸部202には、外径が上管体20A1の外径と同径とした基軸部208に続き、外周が筒部201の筒部内周面部204と係接する垂直の軸部外周面部210に形成した嵌挿部209により形成されるとともに、基軸部208の上部には、筒部201の筒部先端部201Sの突条211と接合する接合凹部213が周設され、軸部202における筒部201に対向する端面部202Tの周方向に間隔をおいて筒部201に取付けた係合板材230に対向する位置に、係合板材230が嵌入係合する形状の切欠凹部231(凹部Eの一例)を形成してある。
そして、筒部201に軸部202を嵌合する際に、係合板材230に対向する位置に切欠凹部231を位置させながら嵌合操作を行うと、軸部先端部202Sに設けた突条211が周溝205に嵌合するとともに、筒部先端部201Sに設けた突条211が接合凹部213に嵌合し、同時に切欠凹部231内に係合板材230が嵌入係合される。
上記構成だと、別体に形成した係合板材230を取付けるだけで嵌合キー部材Hを形成することができるから、例えば、削り出し作業で嵌合キー部材Hを形成するものに比して、筒部201内に嵌合キー部材Hを形成する形成作業が容易となるとともに、上管体20A1及び下管体20A2どうしの近接移動による嵌合操作だけで、上管体20A1及び下管体20A2どうしの軸心X周りにおける相対回転を防止することができる。
なお、その他の構造及び施工の要領については、先の鋼管杭におけるものと同様であるから、その説明は省略する。
【0140】
次に、
図45に示す第八の態様について説明する。この態様による鋼管杭は、先の鋼管杭に対し、回り止め機構Mの形状を異にしたもので、筒部201には、筒部内周面部204における筒部基端側に形成の段部201Dに周溝205を設け、筒部内周面部204の内径と筒部外周面部201Gの外径との間の内径を有した多角形状の内周面により形成される嵌合段部204c(凹部Eの一例)を、対向する接続部Bの軸部202側に開口するように筒部先端部201Sの内周部に形成するとともに、嵌合段部204cの軸部202側に対向する端面部201Tに突条211を周設してある。
軸部202には、外径が上管体20A1の外径と同径とした基軸部208と、外周が筒部201の筒部内周面部204と係接する垂直の軸部外周面部210に形成した嵌挿部209と嵌合軸部202J(嵌合キー部材Hの一例)とが形成されている。前記嵌合軸部202Jは、基軸部208の上部に、筒部201の筒部先端部201Sの内周部に形成した嵌合段部204cに嵌合係止する外周形状を有した形状に形成されている。
そして、筒部201に軸部202を嵌合する嵌合操作を行うと、筒部基端側に形成の周溝205に軸部先端部202Sに形成の突条211が嵌合するとともに、軸部202の筒部201側に対向する端面部202Tの接合凹部213に筒部端面部201Tの突条211が嵌合し、同時に嵌合段部204c内に嵌合軸部202Jが嵌入係合される。
上記構成だと、上管体20A1及び下管体20A2どうしの近接移動による嵌合操作だけで、上管体20A1及び下管体20A2どうしの軸心X周りにおける相対回転を防止することができる。
また、嵌合段部204cの内周面の形状及び嵌合軸部202Jの外周面の形状を、点対称の多角形状にしておけば、嵌合段部204cに対する嵌合軸部202Jの対向位置がズレていて嵌合しなかったとしても、嵌合段部204cに嵌合軸部202Jを接当させたままいずれかの管体を回転操作することにより両者を嵌合接続することができる。
さらに、嵌合段部204cの内周面の形状及び嵌合軸部202Jの外周面の形状を、非対称の多角形状にしておけば、決まった位置でしか嵌合しないため、上管体20A1及び下管体20A2どうしの向きを合わせたい場合等に好都合となる。
なお、その他の構造及び施工の要領については、先の鋼管杭におけるものと同様であるから、その説明は省略する。
【0141】
次に、
図46に示す第九の態様について説明する。この態様による鋼管杭は、先の鋼管杭に対し、回り止め機構Mの形状を異にしたもので、筒部内周面部204における筒部基端側に形成の段部201Dには周溝205が設けられるとともに、筒部先端部201Sは、筒部基端側の外周径よりも小さくなる外周径の段部形状に形成され、筒部先端部201Sの周方向における複数箇所にボルト挿通孔232(凹部Eの一例)が設けられている。
軸部202には、外径が上管体20A1の外径と同径とした基軸部208に続き、外周が筒部201の筒部内周面部204と係接する垂直の軸部外周面部210に形成した嵌挿部209により形成されるとともに、軸部先端部202Sには筒部201の周溝205と嵌合する突条211が設けられている。また、基軸部208の上部には、筒部201の筒部先端部201Sと接合する接合凹部213が周設されているとともに、基軸部208の外周面から接合凹部213を挟んで軸部内周面に至るボルト挿通孔233の複数が、筒部先端部201Sに設けたボルト挿通孔232に対応する位置に形成されている。
そして、筒部201に軸部202を嵌合する際に、筒部先端部201Sに設けたボルト挿通孔232を、基軸部208に形成のボルト挿通孔233(凹部Eの一例)のボルト挿通軸心に合わせた嵌合操作を行い、ボルト234(嵌合キー部材の一例)を挿通孔232から挿通孔233を介して軸部内周面に向けて螺合させると、軸部先端部202Sに設けた突条211が周溝205に嵌合するとともに、筒部先端部201Sが接合凹部213に嵌合した状態で筒部201と軸部202とを嵌合接続することができる。
上記構成だと、ボルト234により、上管体20A1及び下管体20A2どうしの軸心X周りにおける相対回転を防止することができるとともに、上管体20A1及び下管体20A2どうしの抜け止めを防止する働きをも併せ持つことになる。
なお、その他の構造及び施工の要領については先の鋼管杭におけるものと同様であるから、その説明は省略する。
【0142】
次に、
図47に示す第十の態様について説明する。この態様による鋼管杭は、先の鋼管杭に対し、回り止め機構Mの形状を異にしたもので、筒部201の筒部内周面部204に、内向き溝部206に直交する軸心X方向に延びる複数の筒部キー溝235を設けるとともに、軸部202の軸部外周面部202Gに、外向き溝部212に直交する軸心X方向に延びる複数の軸部キー溝236を筒部キー溝235に対向する位置に設け、キー溝235,236の一方にキープレート238を内嵌し、必要に応じてボルト237で止着する。このとき、接続部Bの径方向におけるキープレート238の厚みは、内嵌させたキー溝から対向するキー溝の深さ分だけ径方向に突出するように形成してある。
そして、筒部201に軸部202を嵌合する際に、キー溝235又は236に内嵌しているキープレート238に対向する位置に他方のキー溝235又は236を位置させながら嵌合操作を行うと、キープレート238が両キー溝235,236に跨る状態に挿入係合される。
上記構成だと、上管体20A1及び下管体20A2どうしの近接移動による嵌合操作だけで、上管体20A1及び下管体20A2どうしの軸心X方向における相対回転を防止することができる。
なおその他の構造及び施工の要領については、先の鋼管杭におけるものと同様であるから、その説明は省略する。
【0143】
次に、
図48に示す第十一の態様について説明する。この態様による鋼管杭は、先の鋼管杭に対し、抜け止め機構Sと回り止め機構Mの形状を異にしたもので、筒部201は、外径が上管体20A1の外径と同径とした筒状をなしており、その内周は軸部202が嵌合する垂直な筒部内周面部204に形成されているとともに、軸部外周面部1Gに貫通するボルト挿通孔240(凹部Eの一例)がその周方向に複数形成されている。また、筒部先端部201Sには、突条211が周設されている。
軸部202は、外径が下管体20A2の外径と同径とした基軸部208に続き、外周が筒部201の筒部内周面部204と係接する垂直の軸部外周面部210に形成した嵌挿部209により形成され、嵌挿部209には、嵌挿部209を筒部内周面部204内に嵌合させたときに、筒部201に形成したボルト挿通孔240に対向する位置にボルト挿通孔241(凹部Eの一例)が形成されている。また、軸部先端部202Sには筒部201の周溝205に嵌合する突条211が設けられているとともに、基軸部208の上部には、筒部201の筒部先端部201Sに形成の突条211と接合する接合凹部213が周接されている。
そして、筒部201に軸部202を嵌合する際に、筒部201に設けたボルト挿通孔240を、嵌挿部209に形成のボルト挿通孔241のボルト挿通軸心に合わせた嵌合操作を行い、ボルト242(嵌合キー部材Hの一例)を両挿通孔240、241に跨る状態に螺合接続させると、軸部先端部202Sに設けた突条211が周溝205に嵌合するとともに、筒部先端部201Sに形成の突条211が接合凹部213に嵌合した状態で筒部201と軸部202とを嵌合接続することができる。
上記構成だと、ボルト242の締め付け操作により、上管体20A1及び下管体20A2どうしの軸心X周りにおける相対回転を防止(回り止め機構Mの一例)することができるとともに、隣り合う管体どうしを互いに抜け止め状態に接続(抜け止め機構Sの一例)することができる。
【0144】
以下に第三実施形態のさらに他の態様を説明する。
〈1〉管体抜け止め機構、及び、回り止め機構は、上記構成のように別々に設けるものに限るものではなく、例えば、筒部に軸部を嵌合させたあとに、ボルト又はピン等(管体抜け止め機構と回り止め機構とが同一部材で形成されているものの一例)で筒部と軸部とをともに接合する構成のものであってもよい。これだと、筒部及び軸部に複雑な機構を設けることなく、挿通孔を形成してボルト又はピン等を挿通させるだけの簡単な構成で隣り合う管体どうしを互いに抜け止め状態に接続することができるとともに、管体どうしの相対回転を防止することができる。
〈2〉管体抜け止め機構に用いるキー部材は、先の実施形態で説明した円弧キーに限るものではなく、例えば、C形状の弾性リングキーを、内向き溝部もしくは外向き溝部内に収容しておき、筒部と軸部との嵌合操作に伴って、内向き溝部と外向き溝部内に跨る状態に嵌入する構成であってもよい。
これだと、筒部に対する軸部の嵌合操作だけで隣り合う管体どうしを互いに抜け止め状態に接続することができる。
〈3〉上記実施形態で上管体20A1及び下管体20A2について説明したが、本発明の適用は上管体20A1及び下管体20A2に限るものではなく、例えば、鋼管矢板等の鋼管を用いたものの他、コンクリート管体、合成管体等のように他の材質を用いて形成された管体においても、本件の構成のように形成した管体接続部を設けることが可能であるならば適用可能となる。
【0145】
上述した実施形態は、いずれも本発明の一例であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲において適宜変更設計可能である。