(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
加熱能力が複数レベルのうちのいずれかに設定された複数の加熱部を有する加熱調理器と、該加熱調理器との間で通信を行う通信端末とを備えた加熱調理システムであって、
前記通信端末は、
特定レシピに応じた加熱調理を前記複数レベルのうちのいずれかの加熱能力を有する加熱部によって実行する際に使用される調理条件データが、前記複数レベル毎に設定された複数加熱能力用調理条件データを保持したレシピデータベースにアクセスして、該複数加熱能力用調理条件データを取得する調理条件データ取得部と、
使用者によるレシピ選択操作に応じて、前記加熱調理器で実行する加熱調理のレシピを選択するレシピ選択部と、
使用者による前記加熱部の配置箇所の指定操作に応じて、加熱調理に用いる前記加熱部の配置箇所を指定する加熱部配置箇所指定部と、
前記レシピ選択部により前記特定レシピが選択されたときに、前記調理条件データ取得部により前記複数加熱能力用調理条件データを取得し、また、前記加熱部配置箇所指定部により加熱調理に用いる前記加熱部の配置箇所が指定されたときに、該配置箇所を示す配置箇所データを生成して、該配置箇所データ及び前記複数加熱能力用調理条件データを、前記加熱調理器に送信する調理条件データ送信部と
を備え、
前記加熱調理器は、
前記複数の加熱部の配置箇所と加熱能力のレベルとを対応付けた加熱部仕様データを保持した加熱部仕様データ保持部と、
前記通信端末から前記配置箇所データ及び前記複数加熱能力用調理条件データを受信したときに、前記加熱部仕様データを参照して、前記配置箇所データにより示される配置箇所に配置された前記加熱部の加熱能力のレベルを認識すると共に、該認識した加熱能力のレベル用の調理条件データを前記複数加熱能力用調理条件データから抽出し、該抽出した調理条件データに基づいて、前記配置箇所データにより示される箇所に配置された前記加熱部を用いて加熱調理を実行する加熱調理制御部と
を備えることを特徴とする加熱調理システム。
加熱能力が複数レベルのうちのいずれかに設定された複数の加熱部を有する加熱調理器との間で、通信を行う通信端末に備えられたCPUにより実行されるプログラムであって、前記CPUを、
特定レシピに応じた加熱調理を前記複数レベルのうちのいずれかの加熱能力を有する加熱部によって実行する際に使用される調理条件データが、前記複数レベル毎に設定された複数加熱能力用調理条件データを保持したレシピデータベースにアクセスして、該複数加熱能力用調理条件データを取得する調理条件データ取得部と、
使用者によるレシピ選択操作に応じて、前記加熱調理器で実行する加熱調理のレシピを選択するレシピ選択部と、
使用者による加熱部の指定操作に応じて、加熱調理に用いる前記加熱部の配置箇所を指定する加熱部配置箇所指定部と、
前記レシピ選択部により前記特定レシピが選択されたときに、前記調理条件データ取得部により前記複数加熱能力用調理条件データを取得し、また、前記加熱部配置箇所指定部により加熱調理に用いる前記加熱部の配置箇所が指定されたときに、該配置箇所を示す配置箇所データを生成して、該配置箇所データ及び前記複数加熱能力用調理条件データを、前記加熱調理器に送信する調理条件データ送信部と
して機能させることを特徴とする通信端末用プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された加熱調理システムのように、特定の加熱部(グリルヒータ)を用いることが決まっているレシピについては、通信端末でレシピに対応した加熱調理に使用する加熱部を選択する必要がない。それに対して、加熱能力が異なる複数の加熱部のいずれを用いることも可能なレシピについては、加熱調理に使用する加熱部用の調理条件データを加熱調理器に送信する必要がある。
【0007】
そこで、特許文献2に記載されている加熱調理システムにおいては、通信端末で調理レシピを選択する際に、左コンロと右コンロのうちのどちらを用いて加熱調理を行うかを使用者が指定し、指定されたコンロ用の調理条件データを加熱調理器に送信するようにしている。
【0008】
しかしながら、例えばガスコンロにおいては、ガスコンロの設置場所に対応するために、左コンロと右コンロの加熱能力が異なる仕様が用意されている。すなわち、左コンロの加熱能力が右コンロよりも高いLタイプ、右コンロの加熱能力が左コンロよりも高いRタイプ、及び左コンロと右コンロの加熱能力が等しいダブルタイプが用意されている。
【0009】
そして、この場合に、Lタイプ、Rタイプ、及びダブルタイプのガスコンロを別機種として扱って、タイプ別に調理条件データを準備することにすると、調理条件データの量が膨大になり、調理条件データを保持するDB(データベース)の記憶容量が大きくなるという不都合がある。
【0010】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、仕様により加熱能力のレベルが異なる複数の加熱部を備えた加熱調理器について、準備する調理条件データの量を低減することができる加熱調理システム、加熱調理器、及び通信端末用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の加熱調理システムは、
加熱能力が複数レベルのうちのいずれかである複数の加熱部を有する加熱調理器と、該加熱調理器との間で通信を行う通信端末とを備えた加熱調理システムであって、
前記通信端末は、
特定レシピに応じた加熱調理を前記複数レベルのうちのいずれかの加熱能力を有する加熱部によって実行する際に使用される調理条件データが、前記複数レベル毎に設定された複数加熱能力用調理条件データを保持したレシピデータベースにアクセスして、該複数加熱能力用調理条件データを取得する調理条件データ取得部と、
使用者によるレシピ選択操作に応じて、前記加熱調理器で実行する加熱調理のレシピを選択するレシピ選択部と、
使用者による加熱部の指定操作に応じて、加熱調理に用いる前記加熱部の配置箇所を指定する加熱部配置箇所指定部と、
前記レシピ選択部により前記特定レシピが選択されたときに、前記調理条件データ取得部により前記複数加熱能力用調理条件データを取得し、また、前記加熱部配置箇所指定部により加熱調理に用いる前記加熱部の配置箇所が指定されたときに、該配置箇所を示す配置箇所データを生成して、該配置箇所データ及び前記複数加熱能力用調理条件データを、前記加熱調理器に送信する調理条件データ送信部と
を備え、
前記加熱調理器は、
前記複数の加熱部の配置箇所と加熱能力とを対応付けた加熱部仕様データを保持した加熱仕様データ保持部と、
前記通信端末から前記配置箇所データ及び前記複数加熱能力用調理条件データを受信したときに、前記加熱部仕様データを参照して、前記配置箇所データにより示される箇所に配置された前記加熱部の加熱能力のレベルを認識すると共に、該認識した加熱能力のレベル用の調理条件データを前記複数加熱能力用調理条件データから抽出し、該抽出した調理条件データに基づいて、前記配置箇所データにより示される箇所に配置された前記加熱部を用いて加熱調理を実行する加熱調理制御部と
を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の加熱調理システムによれば、通信端末は、加熱調理を行う使用者によって、加熱調理のレシピの選択と加熱調理に用いる加熱部の配置箇所の指定がなされると、レシピに対応した複数レベルの加熱能力用の調理条件データを含む複数加熱能力用調理条件データと、加熱部の配置箇所を示す配置箇所データとを、加熱調理器に送信する。例えば、加熱調理器が左コンロと右コンロを有するガスコンロであるときには、使用者は、加熱調理に使用するコンロを、その配置箇所(左、又は右)により指定する。
【0013】
また、加熱調理器は、複数の加熱部の配置箇所と加熱能力のレベルとを対応付けた加熱部仕様データを保持した加熱仕様データ保持部を有している。そして、加熱調理制御部は、通信端末から複数加熱能力用調理条件データ及び配置箇所データを受信したときに、加熱部仕様データを参照して、配置箇所データにより示される配置箇所に配置された加熱部の加熱能力のレベルを認識すると共に、認識した加熱能力のレベル用の調理条件データを複数加熱能力用調理条件データから抽出し、抽出した調理条件データに基づいて、配置箇所データにより示される配置箇所に配置された加熱部を用いて加熱調理を実行する。
【0014】
この場合、通信端末においては、複数の加熱部の加熱能力のレベルが異なる複数の仕様を有する加熱調理器に対して、一つの複数加熱能力用調理条件データを準備すればよく、各仕様毎に調理条件データを準備する必要がない。そのため、準備する調理条件データの量を低減することができる。
【0015】
次に、本発明の加熱調理器は、
通信端末との間で通信を行う通信部と、
加熱能力が複数レベルのうちのいずれかである複数の加熱部と、
前記複数の加熱部の配置箇所と加熱能力のレベルとを対応付けた加熱部仕様データを保持した加熱部仕様データ保持部と、
特定レシピに対応した加熱調理を、前記複数レベルのうちのいずれかの加熱能力を有する前記加熱部によって実行する際に使用される調理条件データが、前記複数レベル毎に設定された複数加熱能力用調理条件データと、加熱調理に用いる前記加熱部の配置箇所を示す配置箇所データとを、前記通信部を介して前記通信端末から受信したときに、前記加熱部仕様データを参照して、前記配置箇所データにより示される配置箇所に配置された前記加熱部の加熱能力のレベルを認識すると共に、該認識した加熱能力のレベル用の調理条件データを前記複数加熱能力用調理条件データから抽出し、該抽出した調理条件データに基づいて、前記配置箇所データにより示される配置箇所に配置された前記加熱部を用いて加熱調理を実行する加熱調理制御部と
を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の加熱調理器は、複数の加熱部の配置箇所と加熱能力のレベルとを対応付けた加熱部仕様データが、加熱部仕様データ保持部に保持されている。そして、加熱調理制御部は、通信端末から複数加熱能力用調理条件データ及び配置箇所データを受信したときに、加熱部仕様データを参照して、配置箇所データにより示される配置箇所に配置された加熱部の加熱能力のレベルを認識すると共に、該認識した加熱能力のレベル用の調理条件データを複数加熱能力用条件データから抽出し、該抽出した調理条件データに基づいて、配置箇所データにより示される配置箇所に配置された加熱部を用いて加熱調理を実行する。
【0017】
この場合、通信端末においては、複数の加熱部の加熱能力のレベルが異なる複数の仕様を有する加熱調理器に対して、一つの複数加熱能力用調理条件データを準備すればよく、各仕様毎に調理条件データを準備する必要がない。そのため、準備する調理条件データの量を低減することができる。
【0018】
次に、本発明の通信端末用プログラムは、
加熱能力が異なる複数の加熱部を有する加熱調理器との間で、通信を行う通信端末に備えられたCPUにより実行されるプログラムであって、前記CPUを、
特定レシピに応じた加熱調理を前記複数レベルのうちのいずれかの加熱能力を有する加熱部によって実行する際に使用される調理条件データが、前記複数レベル毎に設定された複数加熱能力用調理条件データを保持したレシピデータベースにアクセスして、該複数加熱能力用調理条件データを取得する調理条件データ取得部と、
使用者によるレシピ選択操作に応じて、前記加熱調理器で実行する加熱調理のレシピを選択するレシピ選択部と、
使用者による加熱部の指定操作に応じて、加熱調理に用いる前記加熱部の配置箇所を指定する加熱部配置箇所指定部と、
前記レシピ選択部により前記特定レシピが選択されたときに、前記調理条件データ取得部により前記複数加熱能力用調理条件データを取得し、また、前記加熱部配置箇所指定部により加熱調理に用いる前記加熱部の配置箇所が指定されたときに、該配置箇所を示す配置箇所データを生成して、該配置箇所データ及び前記複数加熱能力用調理条件データを、前記加熱調理器に送信する調理条件データ送信部と
して機能させることを特徴とする。
【0019】
本発明の通信端末用プログラムを通信端末のCPUに実行させることにより、上述した本発明の加熱調理システムに備えられた通信端末の構成を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態の一例について、
図1〜
図10を参照して説明する。
【0022】
[1.加熱調理システムの構成]
図1を参照して、本実施形態の加熱調理システムは、ガスコンロ1(本発明の加熱調理器に相当する)と、ガスコンロ1との間で無線通信を行う機能を有するスマートフォン50(本発明の通信端末に相当する)とを備えて構成されている。
【0023】
スマートフォン50は、無線ルータ70との間でWiFi(登録商標)等による無線通信82を行い、無線ルータ70及びインターネット等のネットワーク80を介してサーバ90にアクセスする。また、スマートフォン50は、ガスコンロ1との間でBluetooth(登録商標)等による無線通信81を行う。
【0024】
サーバ90には、種々の調理レシピのデータが保持されたレシピDB(データベース)91が備えられ、スマートフォン50は、サーバ90により運用されるレシピ提供サイトにアクセスして、レシピDB91から種々のレシピデータを取得(ダウンロード)する。
【0025】
ガスコンロ1は、加熱部として、左コンロ10a、右コンロ10b、後コンロ10c、及びグリル20を備えている。各コンロ10a,10b,10cには、載置される調理容器の底部の温度を検出する温度センサ15a,15b,15cが設けられている。
【0026】
ガスコンロ1の前面には、左コンロ10aの点火/消火と火力変更を行うための左コンロ用操作ボタン11a、右コンロ10bの点火/消火と火力変更を行うための右コンロ用操作ボタン11b、後コンロ10cの点火/消火と火力変更を行うための後コンロ用操作ボタン11c、及びグリル20の点火/消火と火力変更を行うためのグリル用操作ボタン21が設けられている。
【0027】
さらに、ガスコンロ1の前面には、プッシュオープン式のコンロ操作部12とグリル操作部22とが設けられており、使用者Pがコンロ操作部12を押し操作するとコンロ操作部12が開いてコンロ操作パネル13が現れる。コンロ操作パネル13は、左コンロ10a用の左コンロ操作部13aと、右コンロ10b用の右コンロ操作部13bと、後コンロ10c用の後コンロ操作部13cとを備えている。同様に、使用者Pがグリル操作部22を押し操作するとグリル操作部22が開いてグリル操作パネル23が現れる。
【0028】
ガスコンロ1は、スマートフォン50により選択されたレシピに対応した調理条件データを、スマートフォン50から受信して、調理条件データに基づく自動加熱調理を行う機能を有している。使用者Pは、この機能を利用するために、レシピ提供サイトにアクセスしてレシピ選択用のアプリケーション(以下、レシピ選択アプリという)を、スマートフォン50にインストールする。
【0029】
使用者Pは、レシピ選択アプリをインストールしたときに、初期設定としてガスコンロ1の機種名を登録する操作を行う。この登録により、ガスコンロ1の仕様(各コンロ10a,10b,10c,グリル20の加熱能力等)に対応した調理条件データを、レシピ選択サイトから取得することが可能となる。
【0030】
ここで、ガスコンロ1における左コンロ10a及び右コンロ10bの加熱能力は、H(High)又はM(Middle)のいずれかのレベルに設定される。そして、加熱能力のレベル(H,M)の違いにより、ガスコンロ1の仕様として、以下の三つのタイプが用意されている。
(1) 左コンロ10aの加熱能力(最大火力)が右コンロ10bよりも高いRタイプ。
(2) 右コンロ10bの加熱能力(最大火力)が左コンロ10aよりも高いLタイプ。
(3) 左コンロ10aの加熱能力(最大火力)が右コンロ10bと等しいDタイプ(ダブルタイプ)。
【0031】
この(1)〜(3)のタイプの違いを識別するために、例えば機種名の最後に−L,−R,−Dの文字が追加されている。しかしながら、このような左コンロ10a及び右コンロ10bの加熱能力のみが異なるガスコンロを別機種として扱うと、3機種分の調理条件データをレシピDB91に保持するために、レシピDB91の記憶容量が大きくなる。
【0032】
そこで、本実施形態では、上記(1)〜(3)の三つのタイプを1機種としてまとめて扱い、三つのタイプに共通な一つの調理条件データを設定してレシピDB91に保持し、これにより、レシピDB91の記憶容量の低減を図っている。調理条件データの詳細については後述する。
【0033】
また、使用者Pは、レシピ選択アプリにより、スマートフォン50とガスコンロ1のペアリングを行って、スマートフォン50とガスコンロ1間の無線通信81を確立する。
【0034】
[2.ガスコンロ1とスマートフォン50の構成]
次に、
図2を参照して、ガスコンロ1には、ガスコンロ1の全体的な作動を制御するコンロコントローラ30と、スピーカ26と、通信回路27(本発明の通信部に相当する)が備えられている。
【0035】
コンロコントローラ30は、CPU、メモリ、各種インターフェース回路等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持されたガスコンロ1の制御用プログラムをCPUにより実行することによって、調理条件データ保持部31、及び加熱調理制御部32として機能する。また、コンロコントローラ30のメモリには、加熱部仕様データ33が保持されている。なお、メモリに加熱部仕様データ33を保持する構成は、本発明の加熱部仕様データ保持部に相当する。
【0036】
加熱部仕様データ33は、
図3に示したように、左コンロ10a、右コンロ10b、及び後コンロ10cに対して、各コンロの加熱能力のレベル(H、M,S、H>M>S)を対応付けたものとなっている。
【0037】
ガスコンロ1がLタイプであるときには、Lタイプ用の加熱部仕様データ33aがメモリに保持されている。ガスコンロ1がRタイプであるときは、Rタイプ用の加熱部仕様データ33bがメモリに保持されている。ガスコンロ1がDタイプであるときは、Dタイプ用の加熱部仕様データ33cがメモリに保持されている。
【0038】
加熱調理制御部32は、加熱部仕様データ33(33a〜33cのいずれか)を参照して、左コンロ10a、右コンロ10b、及び後コンロ10cの加熱能力(最大火力)が、H,M,Sのどのレベルであるかを認識する。
【0039】
コンロコントローラ30には、温度センサ15a,15b,15cの検出信号と、操作ボタン(左コンロ用操作ボタン11a、右コンロ用操作ボタン11b、後コンロ用操作ボタン11c、グリル用操作ボタン21)の操作信号と、操作パネル(コンロ操作パネル13、グリル操作パネル23)の操作信号と、通信回路27により受信された信号とが入力される。
【0040】
また、コンロコントローラ30から出力される制御信号によって、左コンロ10a、右コンロ10b、後コンロ10c、グリル20、操作パネル(コンロ操作パネル13、グリル操作パネル23)の表示、スピーカ26からの音出力、及び通信回路27による信号の送信が制御される。
【0041】
スマートフォン50には、スマートフォン50の全体的な作動を制御するスマホコントローラ60が備えられている。スマホコントローラ60は、CPU、メモリ、各種インターフェース回路等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持されたスマートフォン50の制御用プログラム(本発明の通信端末用プログラムに相当する)を、CPUにより実行することによって、調理条件データ取得部61、レシピ選択部62、加熱部配置箇所指定部63、及び調理条件データ送信部64として機能する。
【0042】
また、スマートフォン50には、使用者Pによりタッチ操作されると共に各種の画面が表示されるタッチパネル51と、音声等が出力されるスピーカ52と、ガスコンロ1及びサーバ90との間で通信を行う通信回路53とが備えられている。
【0043】
スマホコントローラ60には、タッチパネル51におけるタッチ操作信号と、通信回路53により受信された信号が入力される。また、スマホコントローラ60から送信される制御信号によって、タッチパネル51の画面表示、スピーカ52からの音出力、及び通信回路53による信号の送信が制御される。
【0044】
[3.スマートフォンによるレシピ選択処理]
次に、
図4に示したフローチャートに従って、スマートフォン50におけるレシピの選択処理と調理条件データの送信処理について説明する。
【0045】
使用者Pがスマートフォン50を操作してレシピ選択アプリを起動すると、スマホコントローラ60は、
図4のフローチャートによる処理を開始し、STEP1で、タッチパネル51に
図5Aに示したレシピ選択画面D1を表示する。
【0046】
レシピ選択画面D1には、レシピ名100、レシピ料理画像101、調理時間102、材料103、ガスコンロ1に対する調理条件データの送信を指示するレシピ送信ボタン104、レシピ提供サイトのホーム画面への移行を指示するホームボタン105、レシピの探索画面への移行を指示するレシピ探索ボタン106、マイメニュー(詳細は後述する)への登録を指示するマイメニュー登録ボタン107、過去に選択されたレシピの履歴を表示する画面への移行を指示する履歴ボタン108、及び材料リストの表示画面への移行を指示する材料リストボタン109が表示される。
【0047】
ここで、マイメニューとは、ガスコンロ1のコンロコントローラ30で保存可能な10個分のレシピである。使用者Pがマイメニュー登録ボタン107にタッチすると、
図5Bに示したマイメニュー登録画面D2が表示され、使用者Pは、新たに選択したレシピを1〜10の登録番号が付されたレシピ欄110〜119のいずれかに登録することができる。そして、使用者Pがマイメニュー送信ボタン120にタッチすると、マイメニューに登録されたレシピの調理条件データが、ガスコンロ1に送信される。
【0048】
STEP2で、使用者Pがレシピ探索ボタン106にタッチしてレシピの探索操作を行うと、レシピの探索画面(図示しない)に切り替わり、レシピ選択部62がサーバ90のレシピDB91にアクセスしてレシピを探索する。そして、STEP10で、レシピ選択部62が、使用者Pのレシピ選択操作に応じてレシピを選択し、調理条件データ取得部61が、選択されたレシピの調理条件データをレシピDB91から取得(ダウンロード)する。
【0049】
続くSTEP11で、スマホコントローラ60は、レシピ選択部62により選択されたレシピ用のレシピ選択画面D1をタッチパネル51に表示してSTEP3に進む。使用者Pは、レシピ選択画面D1によりレシピの内容を確認することができる。
【0050】
使用者Pがレシピ選択画面D1でレシピ送信ボタン104をタッチ操作したときに、STEP3からSTEP20に分岐する。STEP20及びSTEP25は、加熱部配置箇所指定部63による処理である。
【0051】
加熱部配置箇所指定部63は、STEP20で、選択されたレシピが加熱調理に用いるコンロの指定が可能なレシピであるか否かを判断する。そして、コンロの指定が可能なレシピであるときはSTEP25に分岐し、コンロの指定が不能なレシピであるときにはSTEP21に進む。
【0052】
STEP25で、加熱部配置箇所指定部63は、コンロ指定処理を実行する。加熱部配置箇所指定部63は、先ず、
図6に示したコンロ指定画面D3をタッチパネル51に表示する。コンロ指定画面D3には、左コンロ10aの指定ボタン130、右コンロ10bの指定ボタン131、後コンロ10cの指定ボタン132、及びコンロ指定の完了を指示するOKボタン133が表示される。
【0053】
なお、選択されたレシピにおいて指定可能なコンロの指定ボタンを強調表示するようにしてもよい。例えば、左コンロ10aと右コンロ10bの指定が可能なときには、左コンロ10aの指定ボタン130と右コンロ10bの指定ボタン131を、後コンロ10cの指定ボタン132と異なる色で表示してもよい。
【0054】
そして、使用者Pが指定ボタン130〜132のいずれかをタッチ操作(指定操作)した後に、OKボタン133をタッチ操作したときに、加熱部配置箇所指定部63は、指定された配置箇所(左、右、後のいずれか)を示す配置箇所データを生成して、STEP21に進む。
【0055】
STEP21は調理条件データ送信部64による処理である。調理条件データ送信部64は、調理条件データをガスコンロ1に送信する。また、STEP25で配置箇所データが生成されたときには、調理条件データ送信部64は、配置箇所データも併せて送信する。
【0056】
続くSTEP4で、スマホコントローラ60は、使用者Pによりレシピ選択アプリの終了操作がなされたか否かを判断する。そして、終了操作がなされていないときはSTEP2に戻り、終了操作がなされたときにはSTEP5に進んで、スマホコントローラ60はレシピ選択アプリを終了する。
【0057】
[4.調理条件データの説明]
ここで、
図8〜
図9を参照して調理条件データについて説明する。コンロコントローラ30に備えられた加熱調理制御部32は、左コンロ10a、右コンロ10b、後コンロ10c、及びグリル20の火力を調節して被調理物を加熱する自動加熱調理を実行するが、自動加熱調理の実行条件は調理条件データに基づいて決定される。
【0058】
調理条件データには、例えば、
図8Aに示した後コンロ10c用の調理条件データC1と、
図8Bに示したグリル20用の調理条件データC2と、
図9に示した左コンロ10a及び右コンロ10b用の調理条件データ(複数加熱能力用調理条件データ)C3とが含まれる。
【0059】
複数加熱能力用調理条件データC3には、配置箇所データ(データ番号1)が含まれている。なお、配置箇所データを複数加熱能力用調理条件データC3とは別のデータとしてもよい。また、左コンロ10a及び右コンロ10bのどちらを用いても加熱調理を行うことができるレシピが、本発明の特定レシピに相当する。
【0060】
後コンロ10cを使用する自動加熱調理は1工程で実行され、後コンロ10c用の調理条件データは、
図8Aに示したように、データ番号1〜6の6項目によって構成されている。グリル20を使用する自動加熱調理も1工程で実行され、グリル20用の調理条件データC2は、
図8Bに示したように、データ1〜8の8項目によって構成されている。
【0061】
左コンロ10a又は右コンロ10bを使用する自動加熱調理は、
図7に示したように最大で3工程(ステップ1〜3)により実行され、加熱調理に用いられるコンロの配置箇所(左又は右)、各工程の実施の有無、各工程における調理モード、各工程における設定温度、及び各工程の実行時間等が、複数加熱能力用調理条件データC3によって設定される。
【0062】
本実施形態のガスコンロ1は、上述したように、左コンロ10aと右コンロ10bの加熱能力の違いによって、Lタイプ、Rタイプ、Dタイプという三つの仕様があり、この仕様によって左コンロ10aと右コンロ10bの加熱能力のレベルがH又はMに設定されている。
【0063】
そこで、複数加熱能力用調理条件データC3は、
図9に示したように、左コンロ又は右コンロの指定(加熱調理に用いるコンロの配置箇所の指定)を示す配所箇所データ(データ番号1)と、加熱能力のレベルH,Mに共通な7項目(データ番号2〜8)と、H用の12項目(データ番号9〜20)と、M用の12項目(データ番号21〜32)とによって構成されている。
【0064】
加熱調理制御部32は、加熱部仕様データ33(
図2、
図3参照)と、配置箇所データ(複数加熱能力用調理条件データC3のデータ番号1のデータ)とを参照して、配置箇所データが示す配置箇所(左又は右)に配置されたコンロの加熱能力のレベル(H又はM)を認識する。そして、加熱調理制御部32は、認識した加熱能力のレベル用の調理条件データを使用して、配置箇所データが示す配置箇所に配置されたコンロを用いて自動加熱調理を実行する。
【0065】
例えば、ガスコンロ1がLタイプ(メモリに、
図3の加熱部仕様データ33aが保持されている)であって、配置箇所データにより左コンロが指定されているときには、加熱調理制御部32は、左コンロ10aを用いて、H用の調理条件データ(複数加熱能力用調理条件データC3のデータ番号9〜20の調理条件データ)を使用して自動加熱調理を実行する。
【0066】
また、ガスコンロ1がRタイプ(メモリに、
図3の加熱部仕様データ33bが保持されている)であって、配置箇所データにより右コンロが指定されているときには、加熱調理制御部32は、右コンロ10bを用いて、H用の調理条件データを使用して自動加熱調理を実行する。
【0067】
H用の調理条件データ(複数加熱能力用調理条件データC3のデータ番号9〜20のデータ)、又はM用の調理条件データ(複数加熱能力用調理条件データC3のデータ番号21〜32)により、
図7に示したように、自動加熱調理におけるステップ1〜3の実行条件が設定される。
【0068】
図7は、縦軸を温度に設定し、横軸を時間に設定して自動加熱調理中の被加熱物の温度変化を例示したものである。ステップ1は、調理モードが「一定火力」、火力が「X」、時間が「T1」に設定され、ステップ2は、調理モードが「温度調節(温調)」、温度が「A℃」、火力が「Y」、時間が「T2」に設定され、ステップ3は、調理モードが「一定火力」、火力が「Z」、時間が「T3」に設定されている。
【0069】
図7の設定による自動加熱調理を左コンロ10aによって行う場合、加熱調理制御部32は、ステップ1では、左コンロ10aの火力をX(一定)にしてT1時間の加熱を行う。また、ステップ2において、加熱調理制御部32は、温度センサ15aの検出温度がA+α(αは温度の制御幅)以上になったときに左コンロ10aの火力を最小にし、温度センサ15aの検出温度がA−α以下になったときに左コンロ10aの火力をYにして、温度センサ15aの検出温度がA±αの範囲内に収める処理をT2時間繰り返し実行する。
【0070】
また、ステップ3において、加熱調理制御部32は、左コンロ10aの火力をZ(一定)にしてT3時間の加熱を行う。
【0071】
なお、調理モードが「湯沸し」であるときは、加熱調理制御部32は、温度センサによる検出温度から被調理物の沸騰が認識されるまで、コンロの火力を一定にして被調理物を加熱し、沸騰が検知された後は、火力を下げる処理を行う。また、調理モードが「茹で物」であるときは、加熱調理制御部32は、沸騰が検知された後に、所定周期でコンロの火力を大火と小火に切り替える処理を行う。
【0072】
[5.ガスコンロにおける調理条件データの受信と自動加熱調理の実行処理]
次に、
図10に示したフローチャートに従って、ガスコンロ1における調理条件データの受信と自動加熱調理レシピの実行手順について説明する。
【0073】
コンロコントローラ30に備えられた調理条件データ保持部31は、スマートフォン50から送信される種々のレシピ用の調理条件データを随時受信し、マイメニュー登録がされたレシピ用の調理条件データについては、不揮発性メモリ(EEPROM、フラッシュメモリ、バッテリバックアップされたRAM等)に保持する。また、マイメニュー登録がされていないレシピ用の調理条件データについては、調理条件データ保持部31は、一時記憶用のRAMに保持する。
【0074】
不揮発性メモリに保持された調理条件データ(マイメニュー登録がされたレシピ用の調理条件データ)については、繰り返し使用してレシピに対応した自動加熱調理を行うことができる。また、一時記憶用のRAMに保持された調理条件データについては、1度のみ使用が可能である。
【0075】
図10のフローチャートは、マイメニュー登録がされていないレシピ用の調理条件データを受信して、自動加熱調理を実行する処理を示している。
【0076】
加熱調理制御部32は、STEP30で、スマートフォン50から調理条件データを受信したときにSTEP31に進み、調理条件データに配置箇所データが含まれているか(複数加熱能力用調理条件データであるか否か)を判断する。
【0077】
そして、配置箇所データが含まれているときはSTEP40に分岐し、配置箇所データが含まれていないときにはSTEP32に進む。配置箇所データが含まれていないときは、
図8Aに示した後コンロ10c専用の調理条件データC1や、
図8Bに示したグリル20専用の調理条件データC2のように、自動加熱調理に用いる加熱部(左コンロ10a又は右コンロ10b)を指定する必要がない。
【0078】
そのため、STEP32で、加熱調理制御部32は、受信した調理条件データを自動加熱調理に使用する調理条件データとしてそのまま設定する。
【0079】
一方、調理条件データに配置箇所データが含まれていたときには、配置箇所データにより指定された配置箇所に配置された加熱部(左コンロ10a又は右コンロ10b)を用いて、自動加熱調理を実行する必要がある。
【0080】
そのため、STEP40で、加熱調理制御部32は、加熱部仕様データ33(
図3の33a〜33cのうちのいずれか)と、配置箇所データを参照して、配置箇所データにより指定された配置箇所に配置されたコンロの加熱能力のレベル(H又はM)を認識する。続くSTEP41で、加熱調理制御部32は、STEP40で認識した加熱能力のレベル用の調理条件データを複数加熱能力用調理条件データC3から抽出し、自動加熱調理に使用する調理条件データとして設定してSTEP33に進む。
【0081】
STEP33で、加熱調理制御部32は、調理条件データにより特定されたか、或いは配置箇所データにより指定されたコンロ(左コンロ10a、右コンロ10b、又は後コンロ10c)又はグリル20の点火操作がなされたときにSTEP34に進む。
【0082】
STEP34で、加熱調理制御部32は、STEP33で点火操作を確認したコンロ又はグリル34の点火処理を行い、STEP32又はSTEP41で設定した調理条件データを使用して、自動加熱調理を実行する。
【0083】
[6.他の実施形態]
本実施形態では、スマートフォン50が、サーバ90にアクセスしてレシピDB91から調理条件データを取得する構成を示したが、スマートフォン50にレシピDBを備える構成としてもよい。この場合、調理条件データ取得部61は、スマートフォン50の内蔵メモリ又はスマートフォン50に接続されたメモリカードに保持されたレシピDBから、調理条件データを読み出す。
【0084】
また、本実施形態では、本発明の加熱調理器としてガスコンロ1を示したが、仕様に応じて加熱能力のレベルが異なる加熱部を備えた加熱調理器であれば、IHクッキングヒータ等の他の種類の加熱調理器に対しても本発明の適用が可能である。
【0085】
また、本実施形態では、本発明の通信端末として、スマートフォン50を示したが、ガスコンロ1との間で通信を行う機能を有する通信端末であればよく、携帯電話、タブレット、パソコン等を用いることができる。