特許第6579967号(P6579967)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579967
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 23/26 20060101AFI20190912BHJP
   H02K 3/28 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   H02K23/26
   H02K3/28 Z
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-8886(P2016-8886)
(22)【出願日】2016年1月20日
(65)【公開番号】特開2017-131035(P2017-131035A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】田村 夏海
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−096859(JP,A)
【文献】 特開2008−113485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 23/26
H02K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁極を有するモータハウジングと、
前記モータハウジングに回転自在に支持される回転軸と、
前記回転軸に固定され、巻線が集中巻方式により巻回される6個のティースを有するアーマチュアコアと、
前記回転軸に前記アーマチュアコアと隣接して固定され、12個のセグメントが周方向に並んで配置されているコンミテータと、
前記コンミテータに摺接され、前記巻線に給電を行うブラシと、を備え、
前記セグメントは、前記巻線が掛け回されるライザを有し、
前記アーマチュアコアから引き出される前記巻線は、前記回転軸に同一方向に掛け回された掛け回し部を形成し、該掛け回し部を介して前記コンミテータに向かって引き出されており、
前記ライザに掛け回された前記巻線は、掛け回された前記ライザの前記アーマチュアコア側で交差してライザ側交差部を形成し
前記ティースに周回り方向に1から6まで順に番号を付すると共に、前記セグメントに周回り方向に1から12まで順に番号を付したとき、
前記巻線は、
巻き始め端が7番セグメントに接続され、
7番セグメントから1番セグメントに接続され、
1番セグメントから1番ティースに順方向に巻回され、
1番ティースから2番セグメントに接続され、
2番セグメントから8番セグメントに接続され、
8番セグメントから3番ティースに逆方向に巻回され、
3番ティースから3番セグメントに接続され、
3番セグメントから9番セグメントに接続され、
9番セグメントから5番ティースに順方向に巻回され、
5番ティースから10番セグメントに接続され、
10番セグメントから4番セグメントに接続され、
4番セグメントから1番ティースに逆方向に巻回され、
1番ティースから11番セグメントに接続され、
11番セグメントから5番セグメントに接続され、
5番セグメントから3番ティースに順方向に巻回され、
3番ティースから6番セグメントに接続され、
6番セグメントから12番セグメントに接続され、
12番セグメントから5番ティースに逆方向に巻回され、
5番ティースから引きだれた巻き終わり端が再び7番セグメントに接続されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
複数の磁極を有するモータハウジングと、
前記モータハウジングに回転自在に支持される回転軸と、
前記回転軸に固定され、巻線が集中巻方式により巻回される6個のティースを有するアーマチュアコアと、
前記回転軸に前記アーマチュアコアと隣接して固定され、12個のセグメントが周方向に並んで配置されているコンミテータと、
前記コンミテータに摺接され、前記巻線に給電を行うブラシと、を備え、
各前記ティースの両側から引き出される前記巻線の2本の引出線は、互いに交差してティース側交差部を形成し
前記ティースに周回り方向に1から6まで順に番号を付すると共に、前記セグメントに周回り方向に1から12まで順に番号を付したとき、
前記巻線は、
巻き始め端が7番セグメントに接続され、
7番セグメントから1番セグメントに接続され、
1番セグメントから1番ティースに順方向に巻回され、
1番ティースから2番セグメントに接続され、
2番セグメントから8番セグメントに接続され、
8番セグメントから3番ティースに逆方向に巻回され、
3番ティースから3番セグメントに接続され、
3番セグメントから9番セグメントに接続され、
9番セグメントから5番ティースに順方向に巻回され、
5番ティースから10番セグメントに接続され、
10番セグメントから4番セグメントに接続され、
4番セグメントから1番ティースに逆方向に巻回され、
1番ティースから11番セグメントに接続され、
11番セグメントから5番セグメントに接続され、
5番セグメントから3番ティースに順方向に巻回され、
3番ティースから6番セグメントに接続され、
6番セグメントから12番セグメントに接続され、
12番セグメントから5番ティースに逆方向に巻回され、
5番ティースから引きだれた巻き終わり端が再び7番セグメントに接続されていることを特徴とするモータ。
【請求項3】
前記ティースの数が6、前記セグメントの数が12に設定されており、
同電位とする前記セグメント同士を短絡する短絡部材を備え、
各前記ティースは、
互いに隣接する前記セグメントの一方のセグメントに前記巻線の巻き始め端が接続されると共に、他方の前記セグメントまたは該他方のセグメントに短絡したセグメントに前記巻線の巻き終わり端が接続され、同じ相に相当する前記ティース同士に連続するように順方向に前記巻線を巻回してなる第1コイルと、
互いに隣接する他の前記セグメントの一方のセグメントに前記巻線の巻き始め端が接続されると共に、他方の前記セグメントまたは該他方のセグメントに短絡したセグメントに前記巻線の巻き終わり端が接続され、同じ相に相当するティース同士に連続するように逆方向に前記巻線を巻回してなる第2コイルと、
を備え、
各前記ティースを周回り方向にU相、V相、W相の順で割り当て、各相に巻回されている前記第1コイルをそれぞれU相、V相、W相のコイルとし、各相に巻回されている前記第2コイルをそれぞれ−U相、−V相、−W相のコイルとしたとき、
隣接する前記セグメント間に、U相、−W相、V相、−U相、W相、−V相のコイルをこの順で電気的に接続することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記巻線が、前記回転軸を中心に点対称に巻回されていることを特徴とする請求項1〜請求項の何れか1項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両等に搭載されるブラシ付きの3相直流の電動モータは、内周面に永久磁石を取り付けた円筒状のモータハウジングの内側に、アーマチュアが回転自在に支持された構成になっている。アーマチュアは、回転軸と、回転軸に外嵌固定されたアーマチュアコアと、回転軸に外嵌固定されたコンミテータとを有している。
【0003】
アーマチュアコアには、軸方向に長いティースが放射状に複数形成され、各ティース間に、軸方向に長いスロットが形成されている。アーマチュアコアは磁気回路として機能し、アーマチュアコアの各ティースに、スロットを介して巻線が巻回される。コンミテータには、複数のセグメントが周方向に沿って配置されており、各セグメントに巻線が接続されている。各セグメントはブラシと摺接可能になっており、このブラシからセグメントに電圧を印加することによって巻線に電流が供給される。
【0004】
ところで、電動モータの小型化、軽量化を図ろうとした場合の手段として、永久磁石の多極化が考えられる。多極化することによって磁極の1極当たりの有効磁束量を低減することが可能になり、この結果、磁気回路を形成するアーマチュアコアの小型化、軽量化を図ることができる。
ここで、単純に多極化しようとするとスロット数が多くなるので、アーマチュアコアの外径を一定に保とうとすると、スロットが小さくなってしまい、巻線の巻回作業が困難になってしまう。
【0005】
このため、所定のティースに、巻線を巻回してアーマチュアコイルを形成すると共に、同電位となるセグメント同士を巻線で短絡して接続線を形成し、アーマチュアコイルおよび接続線を、1本の巻線で一連に形成し、複数のセグメントのうち、ティースから引き出した巻線が接続されるセグメントを第1セグメントとし、ティースに引き込む巻線が接続されるセグメントを第2セグメントとしたとき、これら第1セグメントと第2セグメントとが隣り合うように配置され、第1セグメントに接続されている巻線と、第2セグメントに接続されている巻線とが、コンミテータとアーマチュアコアとの間で交差して複数の交差部を形成している技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−96859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで近年、さらなる小型化の要望が高まっている。また、上述の従来技術では、巻線の引き回し方向が常に一定にならず、巻線工数を減少するのに限界があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、さらなる小型化を図ることができると共に、巻線工数を減少することが可能なモータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係るモータは、複数の磁極を有するモータハウジングと、前記モータハウジングに回転自在に支持される回転軸と、前記回転軸に固定され、巻線が集中巻方式により巻回される6個のティースを有するアーマチュアコアと、前記回転軸に前記アーマチュアコアと隣接して固定され、12個のセグメントが周方向に並んで配置されているコンミテータと、前記コンミテータに摺接され、前記巻線に給電を行うブラシと、を備え、前記セグメントは、前記巻線が掛け回されるライザを有し、前記アーマチュアコアから引き出される前記巻線は、前記回転軸に同一方向に掛け回された掛け回し部を形成し、該掛け回し部を介して前記コンミテータに向かって引き出されており、前記ライザに掛け回された前記巻線は、掛け回された前記ライザの前記アーマチュアコア側で交差してライザ側交差部を形成し、前記ティースに周回り方向に1から6まで順に番号を付すると共に、前記セグメントに周回り方向に1から12まで順に番号を付したとき、前記巻線は、巻き始め端が7番セグメントに接続され、7番セグメントから1番セグメントに接続され、1番セグメントから1番ティースに順方向に巻回され、1番ティースから2番セグメントに接続され、2番セグメントから8番セグメントに接続され、8番セグメントから3番ティースに逆方向に巻回され、3番ティースから3番セグメントに接続され、3番セグメントから9番セグメントに接続され、9番セグメントから5番ティースに順方向に巻回され、5番ティースから10番セグメントに接続され、10番セグメントから4番セグメントに接続され、4番セグメントから1番ティースに逆方向に巻回され、1番ティースから11番セグメントに接続され、11番セグメントから5番セグメントに接続され、5番セグメントから3番ティースに順方向に巻回され、3番ティースから6番セグメントに接続され、6番セグメントから12番セグメントに接続され、12番セグメントから5番ティースに逆方向に巻回され、5番ティースから引きだれた巻き終わり端が再び7番セグメントに接続されていることを特徴とする。
【0010】
このように、ライザに掛け回された巻線を、ライザのアーマチュアコア側で交差させてライザ側交差部を形成することにより、コンミテータの首下の巻線の弛みを防止できる。このため、コンミテータの首下における巻線の巻太りが解消され、モータの小型化を図ることができる。
また、アーマチュアコアから引き出された巻線を回転軸に掛け回すことにより、アーマチュアコアとコンミテータとの間に配線される巻線の弛みも防止でき、モータをさらに小型化できる。さらに、アーマチュアコアから巻線を引き出す際、同一方向に引き回しているので、巻線の巻回作業を効率よく行うことができ、巻線工数を減少できる。
【0011】
本発明に係るモータは、複数の磁極を有するモータハウジングと、前記モータハウジングに回転自在に支持される回転軸と、前記回転軸に固定され、巻線が集中巻方式により巻回される6個のティースを有するアーマチュアコアと、前記回転軸に前記アーマチュアコアと隣接して固定され、12個のセグメントが周方向に並んで配置されているコンミテータと、前記コンミテータに摺接され、前記巻線に給電を行うブラシと、を備え、各前記ティースの両側から引き出される前記巻線の2本の引出線は、互いに交差してティース側交差部を形成し、前記ティースに周回り方向に1から6まで順に番号を付すると共に、前記セグメントに周回り方向に1から12まで順に番号を付したとき、前記巻線は、巻き始め端が7番セグメントに接続され、7番セグメントから1番セグメントに接続され、1番セグメントから1番ティースに順方向に巻回され、1番ティースから2番セグメントに接続され、2番セグメントから8番セグメントに接続され、8番セグメントから3番ティースに逆方向に巻回され、3番ティースから3番セグメントに接続され、3番セグメントから9番セグメントに接続され、9番セグメントから5番ティースに順方向に巻回され、5番ティースから10番セグメントに接続され、10番セグメントから4番セグメントに接続され、4番セグメントから1番ティースに逆方向に巻回され、1番ティースから11番セグメントに接続され、11番セグメントから5番セグメントに接続され、5番セグメントから3番ティースに順方向に巻回され、3番ティースから6番セグメントに接続され、6番セグメントから12番セグメントに接続され、12番セグメントから5番ティースに逆方向に巻回され、5番ティースから引きだれた巻き終わり端が再び7番セグメントに接続されていることを特徴とする。
【0012】
このように構成することで、ティース近傍の巻線の弛みを防止でき、モータの小型化を図ることができる。
【0013】
本発明に係るモータは、前記ティースの数が6、前記セグメントの数が12に設定されており、同電位とする前記セグメント同士を短絡する短絡部材を備え、各前記ティースは、互いに隣接する前記セグメントの一方のセグメントに前記巻線の巻き始め端が接続されると共に、他方の前記セグメントまたは該他方のセグメントに短絡したセグメントに前記巻線の巻き終わり端が接続され、同じ相に相当する前記ティース同士に連続するように順方向に前記巻線を巻回してなる第1コイルと、互いに隣接する他の前記セグメントの一方のセグメントに前記巻線の巻き始め端が接続されると共に、他方の前記セグメントまたは該他方のセグメントに短絡したセグメントに前記巻線の巻き終わり端が接続され、同じ相に相当するティース同士に連続するように逆方向に前記巻線を巻回してなる第2コイルと、を備え、各前記ティースを周回り方向にU相、V相、W相の順で割り当て、各相に巻回されている前記第1コイルをそれぞれU相、V相、W相のコイルとし、各相に巻回されている前記第2コイルをそれぞれ−U相、−V相、−W相のコイルとしたとき、隣接する前記セグメント間に、U相、−W相、V相、−U相、W相、−V相のコイルをこの順で電気的に接続することを特徴とする。
【0015】
このように構成することで、さらなる小型化を図ることができると共に、巻線工数を減少することが可能なモータを提供できる。
【0016】
本発明に係るモータは、前記巻線が、前記回転軸を中心に点対称に巻回されていることを特徴とする。
【0017】
このように構成することで、コイルを形成する際に用いるフライヤの数を2つに増大し、一度に2つのコイルを形成する、いわゆるダブルフライヤ方式が採用できる。このため、巻線工数をさらに減少することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ライザに掛け回された巻線を、ライザのアーマチュアコア側で交差させてライザ側交差部を形成することにより、コンミテータの首下の巻線の弛みを防止できる。このため、コンミテータの首下における巻線の巻太りが解消され、モータの小型化を図ることができる。
また、アーマチュアコアから引き出された巻線を回転軸に掛け回すことにより、アーマチュアコアとコンミテータとの間に配線される巻線の弛みも防止でき、モータをさらに小型化できる。さらに、アーマチュアコアから巻線を引き出す際、同一方向に引き回しているので、巻線の巻回作業を効率よく行うことができ、巻線工数を減少できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態におけるモータの縦断面図である。
図2】本発明の実施形態におけるモータの横断面図である。
図3】本発明の第1実施形態におけるアーマチュアの展開図である。
図4】本発明の第1実施形態におけるライザへの巻線の掛け回し状態を示す説明図である。
図5】本発明の第2実施形態におけるアーマチュアの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(モータ)
図1は、モータ1の縦断面図、図2は、モータ1の横断面図である。
図1図2に示すように、モータ1は、車両に搭載する電装品(例えば、ラジエータファン)の駆動源となるものであって、有底円筒形状のモータハウジング2内にアーマチュア3を回転自在に配置している。モータハウジング2の内周面には周方向に永久磁石4が4つ固定されている。つまり、モータ1は、磁極が4極に設定されている。
【0022】
アーマチュア3は、回転軸5に外嵌固定されたアーマチュアコア6と、アーマチュアコア6に巻回された巻線7と、回転軸5の一端側にアーマチュアコア6と隣接するように外嵌固定されたコンミテータ13と、を備えている。
アーマチュアコア6は、リング状の金属板8を軸方向に複数枚積層したものである。金属板8の外周部にはT字型のティース9(図2参照)が周方向に沿って等間隔に6つ放射状に形成されている。複数枚の金属板8を積層することにより、アーマチュアコア6の外周には、各ティース9間に蟻溝状のスロット11が形成される。スロット11は軸方向に沿って延びており、周方向に沿って等間隔に6つ形成されている。そして、スロット11を通して各ティース9に巻線7が巻回される(巻線7の巻回方法についての詳細は後述する)。
【0023】
アーマチュアコア6に隣接配置されたコンミテータ13の外周面には、導電材で形成されたセグメント14が12個取り付けられている。すなわち、コンミテータ13には、スロット11の個数に対して2倍の数のセグメント14が設けられている。
セグメント14は軸方向に長い板状の金属片からなり、互いに絶縁された状態で周方向に沿って等間隔に固定されている。各セグメント14のアーマチュアコア6側の端部には、外径側に折り返す形で折り曲げられたライザ15が一体形成されている。このライザ15に、アーマチュアコア6から引き出された巻線7が掛け回わされる。そして、ヒュージング等により、ライザ15に巻線7が固定されることで、セグメント14と巻線7とが電気的に接続される。
【0024】
また、図2に示すように、同電位となるセグメント14(本実施形態では5つ置きのセグメント14)に対応するライザ15にも巻線7が掛け回され、ヒュージング等により固定される。同電位となるセグメント14同士を接続する巻線7は、同電位となるセグメント14同士を短絡する接続線25とされる。この接続線25は、コンミテータ13とアーマチュアコア6との間に配線される。
【0025】
図1に示すように、回転軸5の他端側は、モータハウジング2に突出形成されたボス内の軸受16によって回転自在に支持されている。また、モータハウジング2の開口端にはカバー17が設けられている。このカバー17の内側には、ホルダーステー18が取り付けられている。ホルダーステー18には、周回り方向に90°の間隔を開けて一対のブラシホルダ19が設けられている。
【0026】
各ブラシホルダ19には、それぞれブラシ21がスプリング29を介して付勢された状態で出没自在に内装されている。各ブラシ21の先端部は、スプリング29によって付勢されているためコンミテータ13のセグメント14に摺接している。また、各ブラシ21の基端側には、ピグテール22が接続されている。このピグテール22は、不図示の外部電源に電気的に接続されている。これにより、外部電源の電力が、ピグテール22、ブラシ21、セグメント14を介して巻線7に供給される。
【0027】
このように、永久磁石4(磁極)が4つ(磁極数が4極)、スロット11が6つ、セグメント14が12個設けられたいわゆる4極6スロット12セグメントのブラシ付きのモータ1には、アーマチュアコア6およびライザ15に、以下のように巻線7が巻回されている。
【0028】
(第1実施形態)
(巻線の巻回方法)
図3は、アーマチュア3のセグメント14(ライザ15)、およびティース9を展開した図であり、隣接するティース9間の空隙がスロット11に相当している。なお、以下の図面においては、各ティース9および各セグメント14に、順に番号を付して説明する。つまり、ティース9には、1〜6番まで番号を付し、セグメント14には1〜12番まで番号を付して説明する。
【0029】
ここで、巻線7の巻回作業に用いられる巻線機(不図示)には、巻線7を繰出すフライヤ(不図示)を2つ備えた、いわゆるダブルフライヤ方式が採用されている。そして、回転軸5を中心に、点対称に巻線7が2箇所同時に巻回されていく。以下の説明では、2箇所(2つのフライヤ)のうち、1箇所(第1フライヤ)の巻線7の巻回方法を詳述し、もう1箇所(第2フライヤ)の巻線7の巻回方法については、1箇所の巻線7と同一作業なので、説明を簡単にする。
【0030】
図3に示すように、各ティース9は、それぞれU,V,W相がこの順で割り当てられている。つまり、1番、4番ティース9がU相、2番、5番ティース9がV相、3番、6番ティース9がW相になっている。
巻線7は、例えば、その巻き始め端7aが7番セグメント14より巻き始められた場合、まず、7番セグメント14のライザ15に掛け回された後、一方向(図3における左から右に向かう方向)に引き回され、7番セグメント14と同電位となる1番セグメント14のライザ15に掛け回される。
【0031】
続いて、アーマチュアコア6とコンミテータ13との間の回転軸5(図3では不図示)に、巻線7を一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。そして、1番セグメント14の近傍に存在する1−6番ティース9の間のスロット11に、巻線7を引き込む。この後、1番ティース9に、巻線7をN/2回順方向に集中巻方式により巻回し、順巻きコイル71aを形成する。
【0032】
なお、以下の巻線7の巻回方法の説明では、説明を分かり易くするために、アーマチュアコア6とコンミテータ13との間の回転軸5を、単に回転軸5と称して説明する。
また、上述のN回とは、各ティース9に巻回する巻線7の所望の巻回数である。すなわち、N/2回とは、所望の巻回数の半分ということになる。さらに、本実施形態では、順方向とは、図3における時計回り方向をいい、反時計回りを逆方向という。しかしながら、これに限られるものではなく、順方向を、図3における反時計回り方向とし、逆方向を図3における時計回り方向としてもよい。
【0033】
続いて、1−2番ティース9の間のスロット11から巻線7を引き出し、この巻線7を回転軸5に一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、1番セグメント14に隣接する2番セグメント14のライザ15に掛け回す。次に、巻線7を一方向に引き回し、2番セグメント14と同電位となる8番セグメント14のライザ15に掛け回す。この後、回転軸5に巻線7を一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、3−4番ティース9の間のスロット11に引き込む。そして、3番ティース9に、巻線7をN/2回逆方向に集中巻方式により巻回し、逆巻きコイル73bを形成する。
【0034】
続いて、2−3番ティース9の間のスロット11から巻線7を引き出し、この巻線7を回転軸5に一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、2番セグメント14に隣接する3番セグメント14のライザ15に掛け回す。次に、巻線7を一方向に引き回し、3番セグメント14と同電位となる9番セグメント14のライザ15に掛け回す。この後、回転軸5に巻線7を一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、4−5番ティース9の間のスロット11に引き込む。そして、5番ティース9に、巻線7をN/2回順方向に集中巻方式により巻回し、順巻きコイル75aを形成する。
【0035】
続いて、5−6番ティース9の間のスロット11から巻線7を引き出し、この巻線7を回転軸5に一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、9番セグメント14に隣接する10番セグメント14のライザ15に掛け回す。次に、巻線7を一方向に引き回し、10番セグメント14と同電位となる4番セグメント14のライザ15に掛け回す。この後、回転軸5に巻線7を一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、1−2番ティース9の間のスロット11に引き込む。そして、1番ティース9に、巻線7をN/2回逆方向に集中巻方式により巻回し、逆巻きコイル71bを形成する。
【0036】
続いて、1−6番ティース9の間のスロット11から巻線7を引き出し、この巻線7を回転軸5に一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、10番セグメント14に隣接する11番セグメント14のライザ15に掛け回す。次に、巻線7を一方向に引き回し、11番セグメント14と同電位となる5番セグメント14のライザ15に掛け回す。この後、回転軸5に巻線7を一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、2−3番ティース9の間のスロット11に引き込む。そして、3番ティース9に、巻線7をN/2回順方向に集中巻方式により巻回し、順巻きコイル73aを形成する。
【0037】
続いて、3−4番ティース9の間のスロット11から巻線7を引き出し、この巻線7を回転軸5に一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、5番セグメント14に隣接する6番セグメント14のライザ15に掛け回す。次に、巻線7を一方向に引き回し、6番セグメント14と同電位となる12番セグメント14のライザ15に掛け回す。この後、回転軸5に巻線7を一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、5−6番ティース9の間のスロット11に引き込む。そして、5番ティース9に、巻線7をN/2回逆方向に集中巻方式により巻回し、逆巻きコイル75bを形成する。
【0038】
続いて、4−5番ティース9の間のスロット11から巻線7を引き出し、この巻線7を回転軸5に一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、6番セグメント14に隣接する7番セグメント14のライザ15に、巻き終わり端7bを掛け回す。
【0039】
これにより、1番ティース9にU相の順巻きコイル(U)71a、および逆巻きコイル(−U)71bが形成される。そして、1番ティース9のU相の順巻きコイル71aの端末は、1−2番セグメント14に接続される。1番ティース9のU相の逆巻きコイル71bの端末は、4番セグメント14と11番セグメント14とに接続される。ここで、11番セグメント14は、接続線25により5番セグメント14と短絡されているので、1番ティース9のU相の逆巻きコイル71bの端末は、4−5番セグメント14に接続されているのと同じである。
【0040】
また、3番ティース9に順巻きコイル(W)73a、および逆巻きコイル(−W)73bが形成される。そして、3番ティース9のW相の順巻きコイル73aの端末は、5−6番セグメント14に接続される。3番ティース9のW相の逆巻きコイル73bの端末は、3番セグメント14と8番セグメント14とに接続される。8番セグメント14は、接続線25により2番セグメント14と短絡されているので、3番ティース9のW相の逆巻きコイル73bの端末は、2−3番セグメント14に接続されているのと同じである。
【0041】
さらに、5番ティース9に順巻きコイル(V)75a、および逆巻きコイル(−V)75bが形成される。そして、5番ティース9のV相の順巻きコイル75aの端末は、9−10番セグメント14に接続される。5番ティース9のW相の逆巻きコイル75bの端末は、7番セグメント14と12番セグメント14とに接続される。12番セグメント14は、接続線25により6番セグメント14と短絡されているので、5番ティース9のV相の逆巻きコイル75bの端末は、6−7番セグメント14に接続されているのと同じである。
【0042】
一方、もう1箇所(第2フライヤ)における巻線7の巻回作業は、1箇所目(第1フライヤ)の巻き始め端7aが接続された7番セグメント14とは回転軸5を中心にして点対称の位置に存在する1番セグメント14から開始される。つまり、巻線7は、巻き始め端7aが1番セグメント14のライザ15に掛け回された後、上記第1フライヤにおける巻線7とは回転軸5を中心にして点対称に巻回作業が進められる。
【0043】
これにより、2番ティース9にV相の順巻きコイル(V)72a、および逆巻きコイル(−U)72bが形成される。また、4番ティース9に順巻きコイル(U)74a、および逆巻きコイル(−U)74bが形成される。さらに、6番ティース9に順巻きコイル(W)76a、および逆巻きコイル(−W)76bが形成される。そして、これらコイル72a〜76bの端末は、所定のセグメント14間に接続される。
この結果、各々隣接するセグメント14間には、両隣が互いに異相、且つ順逆交互となるようにU,−W,V,−U,W,−V相のコイル(各相のコイル71a〜76b)がこの順で電気的に順次接続される。
【0044】
ここで、図4に基づいて、各セグメント14のライザ15に掛け回される巻線7の状態について詳述する。
図4は、ライザ15への巻線7の掛け回し状態を示す説明図である。
上述の巻線の巻回方法で説明したように、巻線7は、常に一方向(図3における左から右に向かう方向)に引き回される。このため、図4に示すように、一方向からライザ15に引き込まれた巻線7は、ライザ15に掛け回された後、さらに一方向へと引き出される。このため、巻線7は、ライザ15のアーマチュアコア6側(図4における上側)で交差し、ライザ側交差部77を形成する。換言すれば、ライザ15に、巻線7がα巻方式によって掛け回される。
【0045】
このような構成のもと、各ブラシ21間に電圧を印加すると、各コイル71a〜76bに所定の向きの電流が供給される。そして、所定のティース9に所定の向きの磁界が発生し、この磁界とモータハウジング2の永久磁石4との間で磁気的な吸引力や反発力が生じ、アーマチュア3が回転する。この回転によって、ブラシ21が摺接するセグメント14が順次変更され、各コイル71a〜76bに流れる電流の向きが切替えられる、いわゆる整流が行われる。このため、アーマチュア3が継続的に回転する。
【0046】
このように上述の第1実施形態では、アーマチュアコア6から引き出される巻線7は、回転軸5に一方向(図3における左から右に向かう方向)に掛け回して掛け回し部80を形成する。そして、この掛け回し部80を介し、巻線7をコンミテータ13に向かって引き出さしている。そして、ライザ15に掛け回された巻線7は、その掛け回されたライザ15のアーマチュアコア6側で交差してライザ側交差部77を形成している。このため、コンミテータ13の首下の巻線7の弛みを防止できる。よって、コンミテー13首下における巻線7の巻太りが解消され、モータ1の小型化を図ることができる。
【0047】
また、アーマチュアコア6から引き出された巻線7を回転軸5に掛け回して掛け回し部80を形成することにより、アーマチュアコア6とコンミテータ13との間に配線される巻線7の弛みも防止でき、モータ1をさらに小型化できる。さらに、アーマチュアコア6から巻線7を引き出す際、同一方向(図3における右方向)に引き回しているので、巻線7の巻回作業を効率よく行うことができ、巻線工数を減少できる。
【0048】
また、巻線7の巻回構造は、回転軸5を中心に、点対称に巻線7が2箇所同時に巻回できる構造になっているので、巻線7を繰出すフライヤ(不図示)を2つ備えた、いわゆるダブルフライヤ方式を採用できる。このため、巻線工数をさらに減少することができる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、図5に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明する。
図5は、第2実施形態におけるアーマチュア3のセグメント14(ライザ15)、およびティース9を展開した図であり、隣接するティース9間の空隙がスロット11に相当している。
【0050】
同図に示すように、この第2実施形態において、モータ1は、モータハウジング2とアーマチュア3とを備えている点、モータ1は、いわゆる4極6スロット12セグメントのブラシ付きのモータ1である点、各ティース9に巻線7が集中巻方式にて巻回されている点、各々隣接するセグメント14間には、両隣が互いに異相、且つ順逆交互となるようにU,−W,V,−U,W,−V相のコイル(各相のコイル71a〜76b)がこの順で電気的に順次接続される点の基本的構成は、前述の第1実施形態と同様である。
【0051】
(巻線の巻回方法)
ここで、第1実施形態と第2実施形態との相違点は、巻線7の引き回し方法が異なる点にある。以下、第2実施形態の巻線7の引き回し方法について詳述する。
巻線7は、例えば、その巻き始め端7aが7番セグメント14より巻き始められた場合、まず、7番セグメント14のライザ15に掛け回された後、一方向(図3における左から右に向かう方向)に引き回され、7番セグメント14と同電位となる1番セグメント14のライザ15に掛け回される。
【0052】
続いて、アーマチュアコア6とコンミテータ13との間の回転軸5(図3では不図示)に、巻線7を他方向(図3における右から左に向かう方向)に掛け回して掛け回し部80を形成する。そして、1番セグメント14の近傍に存在する1−6番ティース9の間のスロット11に、巻線7を引き込む。この後、1番ティース9に、巻線7をN/2回順方向に集中巻方式により巻回し、順巻きコイル71aを形成する。
【0053】
続いて、1−2番ティース9の間のスロット11から巻線7を引き出し、この巻線7を回転軸5に他方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、1番セグメント14に隣接する2番セグメント14のライザ15に掛け回す。次に、巻線7を一方向に引き回し、2番セグメント14と同電位となる8番セグメント14のライザ15に掛け回す。この後、回転軸5に巻線7を一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、3−4番ティース9の間のスロット11に引き込む。そして、3番ティース9に、巻線7をN/2回逆方向に集中巻方式により巻回し、逆巻きコイル73bを形成する。
【0054】
続いて、2−3番ティース9の間のスロット11から巻線7を引き出し、この巻線7を回転軸5に一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、2番セグメント14に隣接する3番セグメント14のライザ15に掛け回す。次に、巻線7を一方向に引き回し、3番セグメント14と同電位となる9番セグメント14のライザ15に掛け回す。この後、回転軸5に巻線7を他方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、4−5番ティース9の間のスロット11に引き込む。そして、5番ティース9に、巻線7をN/2回順方向に集中巻方式により巻回し、順巻きコイル75aを形成する。
【0055】
続いて、5−6番ティース9の間のスロット11から巻線7を引き出し、この巻線7を回転軸5に他方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、9番セグメント14に隣接する10番セグメント14のライザ15に掛け回す。次に、巻線7を一方向に引き回し、10番セグメント14と同電位となる4番セグメント14のライザ15に掛け回す。この後、回転軸5に巻線7を一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、1−2番ティース9の間のスロット11に引き込む。そして、1番ティース9に、巻線7をN/2回逆方向に集中巻方式により巻回し、逆巻きコイル71bを形成する。
【0056】
続いて、1−6番ティース9の間のスロット11から巻線7を引き出し、この巻線7を回転軸5に一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、10番セグメント14に隣接する11番セグメント14のライザ15に掛け回す。次に、巻線7を一方向に引き回し、11番セグメント14と同電位となる5番セグメント14のライザ15に掛け回す。この後、回転軸5に巻線7を他方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、2−3番ティース9の間のスロット11に引き込む。そして、3番ティース9に、巻線7をN/2回順方向に集中巻方式により巻回し、順巻きコイル73aを形成する。
【0057】
続いて、3−4番ティース9の間のスロット11から巻線7を引き出し、この巻線7を回転軸5に他方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、5番セグメント14に隣接する6番セグメント14のライザ15に掛け回す。次に、巻線7を一方向に引き回し、6番セグメント14と同電位となる12番セグメント14のライザ15に掛け回す。この後、回転軸5に巻線7を一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに、5−6番ティース9の間のスロット11に引き込む。そして、5番ティース9に、巻線7をN/2回逆方向に集中巻方式により巻回し、逆巻きコイル75bを形成する。
【0058】
続いて、4−5番ティース9の間のスロット11から巻線7を引き出し、この巻線7を回転軸5に一方向に掛け回して掛け回し部80を形成する。さらに6番セグメント14に隣接する7番セグメント14のライザ15に、巻き終わり端7bを掛け回す。
【0059】
これにより、1番ティース9にU相の順巻きコイル(U)71a、および逆巻きコイル(−U)71bが形成される。そして、1番ティース9のU相の順巻きコイル71aの端末は、1−2番セグメント14に接続される。1番ティース9のU相の逆巻きコイル71bの端末は、4番セグメント14と11番セグメント14とに接続される。
また、3番ティース9に順巻きコイル(W)73a、および逆巻きコイル(−W)73bが形成される。そして、3番ティース9のW相の順巻きコイル73aの端末は、5−6番セグメント14に接続される。3番ティース9のW相の逆巻きコイル73bの端末は、3番セグメント14と8番セグメント14とに接続される。
【0060】
さらに、5番ティース9に順巻きコイル(V)75a、および逆巻きコイル(−V)75bが形成される。そして、5番ティース9のV相の順巻きコイル75aの端末は、9−10番セグメント14に接続される。5番ティース9のW相の逆巻きコイル75bの端末は、7番セグメント14と12番セグメント14とに接続される。
【0061】
一方、もう1箇所(第2フライヤ)における巻線7の巻回作業は、1箇所目(第1フライヤ)の巻き始め端7aが接続された7番セグメント14とは回転軸5を中心にして点対称の位置に存在する1番セグメント14から開始される。つまり、巻線7は、巻き始め端7aが1番セグメント14のライザ15に掛け回された後、上記第1フライヤにおける巻線7とは回転軸5を中心にして点対称に巻回作業が進められる。
【0062】
これにより、2番ティース9にV相の順巻きコイル(V)72a、および逆巻きコイル(−U)72bが形成される。また、4番ティース9に順巻きコイル(U)74a、および逆巻きコイル(−U)74bが形成される。さらに、6番ティース9に順巻きコイル(W)76a、および逆巻きコイル(−W)76bが形成される。そして、これらコイル72a〜76bの端末は、所定のセグメント14間に接続される。
この結果、各々隣接するセグメント14間には、両隣が互いに異相、且つ順逆交互となるようにU,−W,V,−U,W,−V相のコイル(各相のコイル71a〜76b)がこの順で電気的に順次接続される。
【0063】
このように巻線7を引き回すことにより、各ティース9の両側から引き出される巻線7は、引き出されたティース9の近傍で必ず互いに交差してティース側交差部78を形成する。
したがって、上述の第2実施形態によれば、ティース9近傍の巻線7の弛みを防止でき、ティース9とコンミテータ13との間の巻線7の巻太りを解消できる。このため、モータ1の小型化を図ることができる。
【0064】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば上述の実施形態では、モータ1は、車両に搭載する電装品(例えば、ラジエータファン)の駆動源となるものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、さまざまな装置の駆動源として、上述のモータ1を適用することが可能である。
【0065】
また、上述の実施形態では、モータ1は、永久磁石4(磁極)が4つ(磁極数が4極)、スロット11が6つ、セグメント14が12個設けられたいわゆる4極6スロット12セグメントのブラシ付きのモータ1である場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、さまざまな磁極数、スロット数、セグメント数のモータに上述の実施形態を適用することが可能である。
【0066】
すなわち、4極6スロット12セグメント以外のモータでは、上述の第1実施形態のように、アーマチュアコア6から引き出される巻線7を、回転軸5に同一方向に掛け回して掛け回し部80を形成し、この掛け回し部80を介してコンミテータ13に向かって引き出せばよい。そして、ライザ15に、α巻方式によって巻線7を掛け回し、ライザ側交差部77を形成すればよい。
また、上述の第2実施形態のように、各ティース9の両側から引き出される巻線7が、互いに交差してティース側交差部78を形成するように構成すればよい。
【0067】
また、上述の実施形態では、アーマチュアコア6は、リング状の金属板8を軸方向に複数枚積層したものであって、金属板8の外周部にはT字型のティース9が周方向に沿って等間隔に複数個放射状に形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、アーマチュアコア6を、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよいし、周方向に分割可能な分割コア方式としてもよい。さらに、ティース9は、軸方向に対して捩れつつ傾斜するように所定のスキュー角を有していてもよい。
【0068】
また、上述の実施形態では、同電位となるセグメント14同士を短絡するために、接続線25を用いた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、同電位となるセグメント14同士を短絡できる導電性の部材であればよい。
さらに、上述の実施形態では、いわゆるダブルフライヤ方式により、アーマチュアコア6に巻線7を巻回した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、巻線7を繰出すフライヤ(不図示)が1つだけの、いわゆるシングルフライヤ方式により、アーマチュアコア6に巻線7を巻回してもよい。この場合、ダブルフライヤ方式における1箇所目(第1フライヤ)の巻線7の巻回作業と、もう1箇所(第2フライヤ)の巻線7の巻回作業とを連続して行えばよい。
【符号の説明】
【0069】
1…モータ
2…モータハウジング
3…アーマチュア
4…永久磁石(磁極)
5…回転軸
6…アーマチュアコア
7…巻線
9…ティース
11…スロット
13…コンミテータ
14…セグメント
15…ライザ
21…ブラシ
25…接続線(短絡部材)
71a,73a,75a…順巻きコイル
71b,73b,75b…逆巻きコイル
77…ライザ側交差部
78…ティース側交差部
80…掛け回し部
図1
図2
図3
図4
図5