(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
車両用キーレスシステムでは、種々の車載装置の制御がコマンド対象として可能である。
以下の説明では、ドアの施錠・解錠を主なコマンド対象とするキーレスエントリーシステムの場合を例に挙げて説明する。
図1は、キーレスエントリーシステム1の全体構成を示すブロック図である。
【0015】
キーレスエントリーシステム1は、車両を使用する人(以下、ユーザとも標記する)が携帯する携帯機2と、車両に搭載された車載機10とから構成されており、この車載機10は、携帯機2からのコマンド信号を受信すると、受信したコマンド信号に基づいて、車両側のドアを施錠・解錠するドアアクチュエータ18や、ドアウインドウを開・閉するウインドウアクチュエータ19などに、駆動信号を出力するように構成されている。
【0016】
携帯機2は、制御部としてのCPU3と、操作部4と、EEPROM5と、RAM6と、送信部7と、を主要構成として有している。
操作部4は、ユーザにより操作されるキーボタン8を有しており、携帯機2では、このキーボタン8として、施錠ボタン8aと、解錠ボタン8bとが設けられている。なお、以下の説明では、施錠ボタン8aと解錠ボタン8bとを特に区別しない場合には、説明の便宜上、キーボタン8と標記する。
EEPROM5には、CPU3を作動させる処理プログラムやID(識別)情報が格納されている。
CPU3は、キーボタン8の操作に基づいてコマンド信号を生成する処理を行い、生成したコマンド信号を送信部7へ出力する。
RAM6は、CPU3が処理作業する間、データ等を一時的に記憶する。
送信部7は、図示省略の発振回路や変調回路を含み、CPU3で生成されたコマンド信号を電波として送信する。
【0017】
車載機10は、受信部11と、制御部としてのCPU13と、EEPROM14と、RAM15と、を主要構成として有している。
受信部11は、携帯機2から送信されたコマンド信号を受信する。受信部11は、コマンド信号を順次に一時記憶するメモリとしてのリングバッファ12を備え、受信したコマンド信号のデータを格納する。リングバッファ12は、順次に格納したデータを時系列に取り出し可能で、後述の単位コマンド信号を少なくとも2個格納可能となっている。
CPU13は、後述するカウンタ16を備えている。
EEPROM14には、CPU13を作動させる処理プログラムやID情報が格納されている。
RAM15は、CPU13が処理作業する間一時的にデータ等を記憶する。
【0018】
CPU13は、SPI(Serial Peripheral Interface)モードによる取り込み通信によりリングバッファ12に格納されたコマンド信号を取り込み、コマンド信号に基づいて照合処理やコマンド処理等を実施する。
そして、CPU13は、照合処理やコマンド処理等に基づいて、ドアアクチュエータ18やウインドウアクチュエータ19への駆動信号などのコマンド指令を出力する。
CPU13は、受信部11を含む車載機10内全般の制御も行う。
なお、図示省略しているが、車載機10は、CPU13とドアアクチュエータ18およびウインドウアクチュエータ19との間に、上記コマンド指令を伝送するためのインタフェースを備えている。
【0019】
つぎに、キーレスエントリーシステム1の動作の概要について、
図2を用いて説明する。
ユーザが携帯機2のキーボタン8を押下すると、携帯機2から車載機10に対して、
図2の(a)に示す信号が送信される。
この信号は、受信部11を起動させるためのウェイクアップ信号WKと、CPU13が押下されたキーボタン8に応じてコマンド処理を実行するためのメイン信号MS(単位コマンド信号RC)と、信号送信の完了を表す終了信号ENDと、が時系列に送信されたものである。
【0020】
実施の形態では、キーボタン8の操作態様として、キーボタン8を単純に押し下げる操作(第1の操作)と、キーボタン8を長押しする特殊態様の操作(第2の操作)とが、用意されている。
そのため、ユーザが携帯機2のキーボタン8を長押しした場合(第2の操作が行われた場合)、上記信号は、
図2の(a)に示す通り、単位コマンド信号RCと終了信号ENDとの間に、サブ信号LPを更に含んだものとなる。
【0021】
ここで、前記した単位コマンド信号RCは、複数の単位コマンド信号RCからなり、実施の形態では、3つの単位コマンド信号RC(RC(1)、RC(2)、RC(3))が、例えば5msなどの所定の時間間隔(第1の時間間隔S1)で送信される。
単位コマンド信号RCは、携帯機2に固有に割り当てられたID情報や、押されたキーボタン8(施錠ボタン8aまたは解錠ボタン8b)に対応するコマンド情報を示すコードデータで形成されており、キーボタン8が押されて生成される各単位コマンド信号RC(RC(1)、RC(2)、RC(3))は、同一の内容となっている。
なお、以下の説明においては、上述の3つの単位コマンド信号RC(1)、RC(2)、RC(3)を、総称してメイン信号MSとも標記する。
【0022】
ここで、前記した特殊態様の操作(第2の操作)を説明する。
例えば、解錠ボタン8bを単純に押し下げる操作(第1の操作)が行われた場合、この第1の操作により生成される単位コマンド信号RCは、ドアの解錠を要求するコマンド情報を含んでいる。
また、解錠ボタン8bを長押しする特殊態様の操作(第2の操作)が行われた場合、この第2の操作により生成される単位コマンド信号RCは、例えば、ドアウインドウを開くコマンド情報を含んだものとなる。
【0023】
実施の形態では、解錠ボタン8bが長押しされたことを車載機10側で確認できるようにするために、キーボタン8が押し続けられている場合には、上述のメイン信号MSの後、第1の時間間隔S1より長い第2の時間間隔S2で、メイン信号MSと同一の単位コマンド信号(RC)がサブ信号として送信される。
なお、以下の説明では、メイン信号MSと区別するため、第2の時間間隔S2で送信される単位コマンド信号を、サブ信号LPと呼ぶ。
そして、キーボタン8の押し下げ操作が終了すると、前記したID情報を含む終了信号ENDが、送信部7から送信される。
ここで、単位コマンド信号RCのデータ長は、あらかじめ設定されており、車載機10のEEPROM14にも記憶されている。
【0024】
図2の(a)、(b)に示すように、車載機10の受信部11は、携帯機2からのウェイクアップ信号WKを受信するまでは、間欠的に動作するスリープ状態である。
そして、受信部11は、動作のタイミングでウェイクアップ信号WKを受信すると、スリープ状態から稼動状態になって、その後に携帯機2側から送信されるメイン信号MSなどを常時受信可能な状態となる。
このため、ウェイクアップ信号WKの長さは、受信部11の間欠動作時の間欠間隔T1よりも大きく設定されている(
図2の(a)、(b))。
そして、受信部11の間欠動作時の間欠間隔T1は、その動作タイミングがサブ信号LPと重ならない値に設定されている。
【0025】
以下、キーレスエントリーシステム1の動作の詳細を、実施例により説明する。
【実施例1】
【0026】
あらためて、
図2は、車載機10における第1の実施例の動作のタイムチャートである。
図2の(a)は、携帯機2から受信部11への到来信号(携帯機からの送信信号)を示しており、(b)は、受信部11の状態変化を示しており、(c)は、受信部11でリングバッファ12へ格納される受信信号を示しており、(d)は、受信部11が出力する割り込み信号BQを示している。
なお、この
図2においては、2つのサブ信号LPを受信した後に、終了信号ENDが受信された状態を示している。
【0027】
受信部11は、
図2の(a)に示すウェイクアップ信号WKを受けて、(b)のように、時刻t0に稼動状態になったのち、(c)のように、単位コマンド信号RCなどの受信信号のデータを、リングバッファ12に時系列に順次格納する。
そして、受信部11は、各受信信号の格納を完了する都度、
図2の(d)のように、CPU13へ割り込み信号BQを出力する。この割り込み信号BQの出力は、メイン信号MSの場合もサブ信号LPの場合も同じである。
【0028】
図2の(e)は、CPU13の状態変化を示している。
メイン信号MSの1番目の単位コマンド信号RC(1)が、リングバッファ12に格納されると、格納が完了した時刻t1において、最先(1度目)の割り込み信号BQ(1)が、CPU13に入力される。これにより、CPU13の状態が、間欠動作のスリープ状態から、稼動状態へ移行する。
【0029】
CPU13は、稼動状態にある間、割り込み信号BQを受ける都度、受信部11のリングバッファ12に格納されている受信信号を、取り込み通信により取り込む。
図2の(f)は、この取り込み通信のタイミングを示すが、(e)とともにその詳細は後掲の
図3に譲る。
CPU13は、取り込んだ受信信号をRAM15に記憶させると共に、受信信号のコード分析を行って抽出したID情報やコマンド情報などの分析結果も、RAM15に記憶させる。
【0030】
ここで、
図3は、
図2におけるメイン信号MS(単位コマンド信号RC(1)〜RC(3))部分の要部を抜き出して、時間軸を拡大して示したタイムチャートである。
図3の(c)は、リングバッファ12へ格納される受信信号を示しており、(d)は、割り込み信号BQを示しており、(e)は、CPU13の状態変化を示しており、(f)は、リングバッファ12からの取り込みタイミングを示している。
【0031】
CPU13は、1番目の単位コマンド信号RC(1)のリングバッファ12への格納が完了すると、この格納完了に伴う最先の割り込み信号BQ(1)を受けて、スリープ状態から稼動状態へ移行する。
しかし、CPU13のスリープ状態から稼動状態への状態移行に時間を要するため、
図3の(e)に示すように、リングバッファ12からの取り込み通信が可能になるまでに例えば6ms程度の遷移遅れT3が生じる。
【0032】
このため、CPU13が、リングバッファ12に格納された1番目の単位コマンド信号RC(1)を、最先の割り込み信号BQ(1)に応答して取り込もうとすると、その取り込み通信の開始は、時刻t2まで遅れてしまう。
そのため、
図3の(c)、(f)に示すように、割り込み信号BQ(1)の受信時刻t1から取り込み通信が開始される時刻t2までの間に、2番目の単位コマンド信号RC(2)が、受信部11で受信されると、受信した2番目の単位コマンド信号RC(2)のリングバッファ12への格納が開始されることになる。
なお、2番目の単位コマンド信号RC(2)のリングバッファ12への格納完了に伴って、2度目の割り込み信号BQ(2)がCPU13に入力されることになるが、2度目の割り込み信号BQ(2)を受信した時点(時刻t3)において、CPU13は、既に稼動状態になっているので、上記したリングバッファ12からの取り込み通信は、前記した遷移遅れの問題を生じることなく、速やかに実行されることになる。
そして、3度目の割り込み信号BQ(3)の受信に伴うリングバッファ12からの取り込み通信もまた、前記した遷移遅れの問題を生じることなく、速やかに実行されることになる。
【0033】
本実施例では、
図3の(f)に示すように、CPU13は、取り込み通信を実行する際に、予め設定された取り込み通信時間X内で、リングバッファ12に格納されているすべてのデータを取り込むようになっている。
しかし、図示の通り、設定された取り込み通信時間Xが終了するまでに、総ての2番目の単位コマンド信号RC(2)のリングバッファ12への格納が完了していないので、CPU13に取り込まれるデータは、1番目の単位コマンド信号RC(1)と、2番目の単位コマンド信号RC(2)の一部とが連続して結合された状態のデータとなる。
なお、
図3の(f)における各単位コマンド信号の幅は、取り込まれるデータのボリューム比を示すイメージであって、時間長を表すものではない。
【0034】
ここで、CPU13は、上記取り込んだデータより、以下の通りに各々の単位コマンド信号RCを取得する。
はじめに、単位コマンド信号RCのデータ長は既知であるから、CPU13は、上記既知のデータ長から1番目の単位コマンド信号RC(1)と、2番目の単位コマンド信号RC(2)の一部とを、識別して分離する。
これにより、コード分析に必要な総てのデータが揃った1番目の単位コマンド信号RC(1)が取得される。
【0035】
そして、CPU13は、2番目の単位コマンド信号RC(2)のリングバッファ12への格納完了に伴う時刻t3の2度目の割り込み信号BQ(2)に応答して、リングバッファ12から、2番目の単位コマンド信号RC(2)の残りを取り込む。
そして、CPU13は、取り込んだ2番目の単位コマンド信号RC(2)の残りと、先に分離した2番目の単位コマンド信号RC(2)の一部とを結合して、コード分析に必要な総てのデータが揃った2番目の単位コマンド信号RC(2)を取得する。
【0036】
3番目の単位コマンド信号RC(3)については、CPU13が、3番目の単位コマンド信号RC(3)のリングバッファ12への格納完了に伴う3度目の割り込み信号BQ(3)に応答して、取り込み通信を実行することにより、コード分析に必要な総てのデータが揃った3番目の単位コマンド信号RC(3)が、データが分断されることなくCPU13に取得されることになる。
【0037】
そして、CPU13は、取得した単位コマンド信号RCのコード分析により、ID情報やコマンド情報を抽出する。
そして、抽出したID情報がEEPROM14に記憶されたID情報と一致し、かつ各信号がすべて同一である場合に、CPU13が、単位コマンド信号RCのコマンド情報に基づく第1のコマンド処理を行って、例えば、ドアアクチュエータ18へコマンド指令が出力されることになる。
ここで、コマンド指令は、例えば、携帯機2で解錠ボタン8bが押された場合であれば、ドアロックの解錠指令となり、携帯機2の施錠ボタン8aが押された場合であれば、ドアロックの施錠指令となる。
【0038】
図2のタイムチャートに戻って、受信部11は、メイン信号MSの受信後、稼動状態である間にサブ信号LPを受信すると、受信したサブ信号LPを、リングバッファ12に格納する。
これにより、サブ信号LPのリングバッファ12への格納完了に伴う割り込み信号BQが、CPU13に入力されることになる。サブ信号LPを複数回受信した場合には、受信する度に、サブ信号LPのリングバッファ12への格納完了に伴う割り込み信号BQが、CPU13に入力されることになる。
【0039】
そのため、CPU13は、その割り込み信号BQが入力される度に、リングバッファ12から当該サブ信号LPを取り込むことになる。
ここで、CPU13は、サブ信号LPを取り込んだ数(回数)をカウントするカウンタ16を備えており、取り込んだサブ信号LPの数があらかじめ設定された所定数Nに達したか否かを判断する。
そして、CPU13は、取り込んだサブ信号LPの数が所定数Nに達したと判断すると、特殊態様の操作としてのキーボタン8の長押しがなされたものと判定して、第2のコマンド処理を行って、例えば、ウインドウアクチュエータ19へのコマンド指令(サイドガラスを開方向に移動させる指令など)が出力されることになる。
【0040】
図4から
図6は、第1の実施例の場合における車載機10での処理の流れを示すフローチャートである。
なお、各ステップの左肩には当該ステップの処理主体を記しているが、直前のステップと処理主体が同一であるステップについては記載を省略している。他の実施例のフローチャートにおいても同様である。
【0041】
まず、車載機10の受信部11とCPU13は、携帯機2からの信号の送信がない間、間欠動作のスリープ状態にある。
ステップ100において、携帯機2からのウェイクアップ信号WKを受けて、受信部11が起動すると、受信部11の状態が、スリープ状態から稼動状態になる。
そして、ステップ101において、受信部11が、ウェイクアップ信号WKに続く1番目の単位コマンド信号RC(1)を受信して、受信した1番目の単位コマンド信号RC(1)のリングバッファ12への格納が完了すると、受信部11が、1度目の割り込み信号BQ(1)をCPU13に出力する。
【0042】
ステップ102において、CPU13が、1度目の割り込み信号BQ(1)を受けて、スリープ状態から稼動状態への移行処理を開始する。
このスリープ状態から稼動状態への遷移遅れT3の間に、ステップ103において、受信部11において2番目の単位コマンド信号RC(2)の受信が開始されて、受信された2番目の単位コマンド信号RC(2)のリングバッファ12への格納が開始されることになる。
【0043】
ステップ102にて開始した移行処理が完了すると、ステップ104において、稼動状態になったCPU13が、リングバッファ12に格納されている1番目の単位コマンド信号RC(1)と2番目の単位コマンド信号RC(2)の一部とを取り込むことになる。
【0044】
続くステップ105において、CPU13は、1番目の単位コマンド信号RC(1)を、2番目の単位コマンド信号RC(2)の一部から分離する。
そして、ステップ106において、CPU13は、分離した1番目の単位コマンド信号RC(1)のコード分析を行って、ID情報やコマンド情報などを取得する。
【0045】
コード分析が完了すると、ステップ107において、CPU13は、コード分析の結果に基づいて、単位コマンド信号RC(1)から取得したID情報と、EEPROM14に記憶されているID情報とを照合する。
そして、照合の結果、ID情報を取得した単位コマンド信号RC(1)が、自車両向けの単位コマンド信号RC(1)であると判断した場合には(ステップ107、Y)、CPU13は、ステップ108へ進み、自車両向けの単位コマンド信号RC(1)でないと判断した場合には(ステップ107、N)、ステップ124へ進む。
【0046】
ステップ108において、受信部11は、2番目の単位コマンド信号RC(2)のリングバッファ12への格納を完了すると、2度目の割り込み信号BQ(2)をCPU13に出力する。
ステップ109において、2度目の割り込み信号BQ(2)を受けたCPU13は、リングバッファ12に格納されている2番目の単位コマンド信号RC(2)の残りのデータを取り込む。
次いで、ステップ110において、CPU13は、前記したステップ105にて分離した2番目の単位コマンド信号RC(2)の一部と、前記したステップ109で取り込んだ残りのデータとを結合して、コード分析に必要な総てのデータが揃った2番目の単位コマンド信号RC(2)のデータを取得する。
これにより、続くステップ111において、CPU13は、2番目の単位コマンド信号RC(2)のコード分析を行って、ID情報やコマンド情報などを取得することになる。
【0047】
そして、ステップ112において、受信部11が、3番目の単位コマンド信号RC(3)を受信すると、受信した3番目の単位コマンド信号RC(3)のリングバッファ12への格納が実施されて、リングバッファ12への格納の完了に伴って、3度目の割り込み信号BQ(3)が、CPU13に出力されることになる。
【0048】
ステップ113において、3度目の割り込み信号BQ(3)を受けたCPU13は、リングバッファ12に格納されている3番目の単位コマンド信号RC(3)を取り込む。
そして、ステップ114において、CPU13は、3番目の単位コマンド信号RC(3)のコード分析を行って、ID情報やコマンド情報などを取得することになる。
【0049】
続くステップ115において、CPU13は、前記した各ステップ(ステップ106、ステップ101、ステップ114)におけるコード分析の結果に基づいて、各単位コマンド信号RC(1)〜RC(3)が、同一の内容であるか否かをチェックする。
そして、CPU13は、各単位コマンド信号RC(1)〜RC(3)が、同一の内容である場合には(ステップ115、Y)、ステップ116の処理へ進み、同一の内容でないと判断した場合には(ステップ115、N)、ステップ124の処理へ進む。
【0050】
ステップ116において、CPU13は、コード分析により取得されたコマンド情報に基づくコマンド処理を行って、例えば、ドアアクチュエータ18に対し、ドアロックの施錠・解錠のコマンド指令を出力する。
そして、ステップ117において、CPU13は、サブ信号LPのカウンタ16を初期化する。
ここで、受信部11は、携帯機2から送信された信号を受信可能な状態(稼動状態)で保持されているので、ステップ118において、受信部11は、受信した受信信号のリングバッファ12への格納を完了すると、割り込み信号BQをCPU13に出力する。
【0051】
ステップ119において、割り込み信号BQを受けたCPU13は、リングバッファ12に格納されている受信信号を取り込む。
なお、コード分析や、コマンド処理によるコマンド指令の出力までに時間がかかる場合、CPU13は、これらの処理を、割り込み信号BQに応じて実行される受信信号の取り込みと並行して行うことができる。
そして、CPU13は、ステップ120において、ステップ119にて取り込んだ受信信号のコード分析を行って、当該受信信号が自車両向けの終了信号ENDであるかどうかをチェックする。
CPU13は、ステップ120において受信信号が終了信号ENDであると判断した場合には(ステップ120、Y)、ステップ124の処理へ進み、受信信号が終了信号ENDではなくサブ信号LPであると判断した場合には(ステップ120、N)、ステップ121の処理へ進む。
【0052】
ステップ121において、CPU13は、サブ信号LPのカウンタ16の値nをインクリメントする。そして、ステップ122において、CPU13は、カウンタ値nが所定数Nに達したかどうかをチェックする。
CPU13は、カウンタ値nが所定数Nに達したと判断した場合には(ステップ122、Y)、ステップ123の処理へ進み、所定数Nに達していないと判断した場合には(ステップ122、N)ステップ118の処理へ戻る。
【0053】
ステップ123において、CPU13は、コマンド処理を実施して、ウインドウアクチュエータ19を駆動するためのコマンド指令であって、ドアウインドウの開・閉を指示するコマンド指令を、ウインドウアクチュエータ19に出力する。
そして、ウインドウアクチュエータ19を駆動するためのコマンド指令が出力されたのちは、CPU13は、終了信号ENDの受信を待たずに、ステップ124において、受信部11へスリープ指令を出力する。
【0054】
これにより、受信部11の状態が、稼動状態からスリープ状態に変更されることになる。
そして、続くステップ125において、CPU13は、当該CPU13の状態を、稼動状態からスリープ状態に変更して、携帯機2から送信された信号(ウェイクアップ信号WK)に基づく一連の処理を終了する。
よって、前記したステップ100おいて、間欠的に動作するスリープ状態となった受信部11が、携帯機2から新たに送信された信号(ウェイクアップ信号WK)を受信するまでの間、車載機10の受信部11とCPU13の状態が、スリープ状態のままで保持されることになる。
【0055】
本制御フローでは、ドアアクチュエータ19へのコマンド指令の出力(ステップ116)後に受信した受信信号がサブ信号である場合には(ステップ120、N)、CPU13が、リングバッファ12からサブ信号LPを取り込んだ回数(カウンタ値n)を、サブ信号を取り込む度に「1」ずつインクリメントするようになっている(ステップ121)。
そのため、サブ信号LPを取り込んだ回数(カウンタ値n)が、所定数Nになるまで(ステップ122)の間は、CPU13が、ステップ118からステップ122の処理を繰り返し実行することになる。
【0056】
そして、CPU13は、リングバッファ12から取り込んだサブ信号LPが累積していく途中で、カウンタ値nが所定数Nに達する前に、リングバッファ12から取り込んだ受信信号が終了信号ENDであった場合(ステップ120、Y)には、ステップ124の処理に移行する。
【0057】
この場合には、ステップ124においてCPU13が、スリープ指令CSを受信部11に出力して、稼動状態の受信部11をスリープ状態にしたのち(ステップ124、
図2:時刻t4参照)、CPU13は、当該CPU13の状態を、稼動状態からスリープ状態に変更して(ステップ125)、携帯機2から送信された信号(ウェイクアップ信号WK)に基づく一連の処理を終了する。
つまり、CPU13は、ウインドウアクチュエータ19へのコマンド指令を出力することなくこの段階で処理を終了させる。
図2のタイムチャートはこの場合を示している。
【0058】
また、車載機10にはメイン信号MSかサブ信号LPかにかかわらず他車両向けのコマンド信号も到来する。
そのため、CPU13は、前記したステップ107におけるID情報照合の処理において、メイン信号MSが自車両向けでないと判断した場合(ステップ107、N)、ステップ124の処理へ進む。
【0059】
図7のタイムチャートは、ステップ107におけるID情報照合の結果、メイン信号MSが自車両向けでないと判断した場合(ステップ107、N)における処理の流れ(ステップ107、ステップ124、ステップ125)を示している。
【0060】
つまり、CPU13は、メイン信号MSが自車両向けでないと判断した場合(ステップ107、N)、受信部11がサブ信号LPを受信する前の時刻t6において、スリープ指令CSを受信部11に対して送信して(ステップ124;状態移行処理、受信部制御処理)、受信部11の状態を、稼働状態からスリープ状態(省電力状態)に移行させる。
【0061】
ここで、スリープ指令CSは、携帯機2より間欠送信されるサブ信号LPが受信部11にて受信されるタイミングとは異なるタイミングで、CPU13が受信部11を間欠駆動させるための指令である。
すなわち、スリープ指令CSによりスリープ状態に移行した受信部11は、
図7の(b)に示す時刻t8やt9のタイミングにて間欠駆動するが、これらのタイミングは、
図7の(c)の破線で示すサブ信号LPを受信部11が受信するタイミングと異なるものである。
したがって、スリープ指令CSを受信した後の受信部11は、他車両向けのサブ信号LPを受信すること無く、スリープ状態を維持できる。
【0062】
また、スリープ指令CSにおいて、受信部11が間欠駆動する際の間欠時間長である時間T4(
図7の(b)参照)は、ウェイクアップ信号WK(受信部起動信号)の時間長(
図1の(a)参照)よりも短く設定されている。
そのため、上記スリープ指令CSを受信した後の受信部11は、他車両向けのサブ信号LPを受信しない一方で、携帯機2より新たなウェイクアップ信号WKが発信された場合には、当該ウェイクアップ信号WKを受信して、スリープ状態から稼動状態へ確実に移行(復帰)できるようになっている。
【0063】
次いで、CPU13は、
図7の(e)に示すように、時刻t6よりも後の時刻t7において、当該CPU13の状態を、稼動状態からスリープ状態へ移行させる処理を行う(ステップ125;状態移行処理)。
この際、CPU13は、受信部11より他車両向けのサブ信号LPに基づく割り込み信号BQが入力されることは無いので、スリープ状態を維持することが出来る。
【0064】
以上のように、本実施例によれば、CPU13は、単位コマンド信号RC(2)を取り込むタイミングを、1度目の割り込み信号BQ(1)を入力したタイミングと、2度目の割り込み信号BQ(2)を入力したタイミングとに分散する。
そして、CPU13は、各々のタイミングにて、リングバッファ12より単位コマンド信号RC(2)のデータの一部(断片)を取り込み、それらを結合することで、コード分析に必要な総てのデータが揃った単位コマンド信号RC(2)の取得を実現する。
【0065】
その結果、CPU13は、1番目から3番目の単位コマンド信号RC(1)〜RC(3)の総てを確実に取得することができ、取得した単位コマンド信号RC(1)〜RC(3)の各々に対してコード分析を行うことができる。
したがって、キーレスエントリーシステム1は、メイン信号MSについて冗長性付与による高い通信精度を得て、携帯機2の操作されたキーボタン8に対応するコマンドを高い信頼性をもって実行できる。
そして、キーレスエントリーシステム1は、キーボタン8の長押しによって別のコマンドも実行でき、利便性が向上する。
また、キーレスエントリーシステム1は、サブ信号LPについてもその所定数Nをカウントすることにより冗長性が付与され、高い通信精度が得られる。
【0066】
また、他車両向けのコマンド信号に対しては、受信部11およびCPU13がスリープ状態になるので、受信部11が他車両向けのサブ信号LP受信の都度割り込み信号BQを出力し、さらにその割り込み信号に応じてCPU13がリングバッファ12からのデータ取り込みを繰り返すような事態が回避される。そしてこの処理はとくにメイン信号MSの中でも1番目の単位コマンド信号RC(1)のID情報に基づいて行うので実行タイミングが最も早く、受信部11およびCPU13の無駄な電力消費が最大限に抑えられる。
【実施例2】
【0067】
以下、キーレスエントリーシステム1の動作の第2の実施例を説明する。
図8は、第2の実施例を示すタイムチャートであり、前記した
図3のタイムチャートに対応するものである。
図8の(c)は、受信信号を示しており、(d)は、割り込み信号を示しており、(e)は、CPU13の状態変化を示しており、これら
図8の(c)〜(e)は、それぞれ、前記した
図3の(c)〜(e)と同じである。
また、
図8の(f)は、本実施例におけるリングバッファ12からの取り込みタイミングを示している。
【0068】
第2の実施例は、車載機10のCPU13におけるメイン信号MSの取得方法が、前記した第1の実施例と異なっている。
【0069】
第2の実施例では、
図8の(f)に示すように、割り込み信号BQ(1)が、1番目の単位コマンド信号RC(1)のリングバッファ12への格納完了に伴ってCPU13に入力されても、CPU13は、割り込み信号BQ(1)に応答した受信信号のリングバッファ12からの取り込みを行わないようになっている。
その代わりに、2度目の割り込み信号BQ(2)が受信部11から入力されるのを待って、CPU13が、リングバッファ12からの一度目の受信信号の取り込みを実施するようになっている。
【0070】
つまり、CPU13が2度目の割り込み信号BQ(2)を受けた時点で、リングバッファ12には、1番目の単位コマンド信号RC(1)と2番目の単位コマンド信号RC(2)とが格納されているので、CPU13へ取り込まれたデータは、1番目の単位コマンド信号RC(1)と2番目の単位コマンド信号RC(2)が結合したものとなっている。
なお、リングバッファ12に格納されて連続している1番目の単位コマンド信号RC(1)と2番目の単位コマンド信号RC(2)のデータは、取り込み通信時間X内にすべて取り込み可能である。
【0071】
CPU13は、上記結合したコマンド信号に対して、既定のデータ長から1番目の単位コマンド信号RC(1)と2番目の単位コマンド信号RC(2)を識別分離することにより、それぞれ独立したメイン信号MSとして取得する。
なお、CPU13による3番目の単位コマンド信号RC(3)の取り込みは、第1の実施例における処理と同じである。
【0072】
図9から
図11は、第2の実施例にかかる処理を車載機10において実施する場合での処理の流れを示すフローチャートである。
【0073】
ここで、
図9のステップ200からステップ203までの各処理は、前記した第1の実施例における
図4のステップ100からステップ103までの各処理と、それぞれ同じである。
ステップ202において、CPU13のスリープ状態から稼動状態への移行が開始されると、稼働状態への移行の開始から完了までの遷移遅れT3の間に、ステップ203の2番目の単位コマンド信号RC(2)の受信部11での受信が開始されると共に、受信された受信信号のリングバッファ12への格納が開始される。
【0074】
そして、2番目の単位コマンド信号RC(2)のリングバッファ12への格納の途中で、ステップ202にて開始した移行処理が完了して稼動状態に移行したCPU13は、リングバッファ12からの取り込みを行うことなく、ステップ204において、次回(2度目)の割り込み信号BQ(2)入力まで待機する。
【0075】
ステップ205において、受信部11は、2番目の単位コマンド信号RC(2)のリングバッファ12への格納が完了すると、この格納が完了した時刻t3で、2度目の割り込み信号BQ(2)をCPU13に出力する。
【0076】
ステップ206において、CPU13は、2度目の割り込み信号BQ(2)を受けて、リングバッファ12に格納されている1番目の単位コマンド信号RC(1)と、2番目の単位コマンド信号RC(2)の両方を取り込む。
ここで取り込んだデータは、1番目の単位コマンド信号RC(1)と、2番目の単位コマンド信号RC(2)とが結合したものである。
そのため、続くステップ207において、CPU13は、取り込んだデータにおいて、1番目の単位コマンド信号RC(1)の部分と、2番目の単位コマンド信号RC(2)の部分とを識別したうえで、1番目の単位コマンド信号RC(1)と、2番目の単位コマンド信号RC(2)に分離させる。
そして、
図10に示すステップ208において、CPU13は、1番目の単位コマンド信号RC(1)と、2番目の単位コマンド信号RC(2)の各々に対してコード分析を実施して、ID情報やコマンド情報などを取得する。
【0077】
ステップ209において、CPU13は、コード分析の結果に基づいて、単位コマンド信号RC(1)から取得したID情報と、EEPROM14に記憶されているID情報とを照合する。
そして、照合の結果、ID情報を取得した単位コマンド信号RC(1)が、自車両向けの単位コマンド信号RC(1)であると判断した場合に(ステップ209、Y)、ステップ210へ進み、自車両向けの単位コマンド信号RC(1)でないと判断した場合には(ステップ209、N)、ステップ222へ進む。
【0078】
ステップ210において、受信部11は、3番目の単位コマンド信号RC(3)を受信して、リングバッファ12への格納が完了すると、3度目の割り込み信号BQ(3)をCPU13に出力する。
このステップ210からステップ223までの各処理は、前記した第1の実施例におけるステップ112(
図5参照)からステップ125(
図6参照)までの各処理と、それぞれ同じであり、以下においては、これらの処理の説明を省略する。
その他の構成は第1の実施例と同じである。
【0079】
以上から、本実施例によれば、CPU13は、単位コマンド信号RC(1)を取り込むタイミングを、2度目の割り込み信号BQ(2)を入力したタイミングへずらして、単位コマンド信号RC(1)と単位コマンド信号RC(2)とを一緒に、リングバッファ12より取り込む。
そして、CPU13は、取り込んだ単位コマンド信号RC(1)と単位コマンド信号RC(2)を分離することにより、全部のデータが揃った単位コマンド信号RC(2)の取得を実現する。
その結果、CPU13は、メイン信号MSである3つの単位コマンド信号RC(1)〜RC(3)すべてを確実に取得し、それぞれをコード分析することができる。
したがって、キーレスエントリーシステム1は、メイン信号MSについて冗長性付与による高い通信精度を得て、携帯機2の操作されたキーボタン8に対応するコマンドを高い信頼性をもって実行できる。
そして、キーレスエントリーシステム1は、キーボタン8の長押しによって別のコマンドも実行でき、利便性が向上する。
また、キーレスエントリーシステム1は、サブ信号LPについてもその所定数Nをカウントすることにより冗長性が付与され、高い通信精度が得られる。
【0080】
また、前記したステップ107において、受信した単位コマンド信号RC(1)が、他車両向けのコマンド信号であることが確認された場合には、受信部11とCPU13が、それぞれスリープ状態になる(ステップ124、ステップ125)。
そのため、受信部11が、他車両向けのサブ信号LPを受信する度に、割り込み信号BQを出力し、さらにその割り込み信号に応じてCPU13が、リングバッファ12からのデータ取り込みを繰り返すような事態が回避される。
【0081】
また、CPU13では2度目の割り込み信号BQ(2)に応答して行う取り込み後に、1回目の取り込みによる2番目の単位コマンド信号RC(2)の一部と2回目の取り込みによる2番目の単位コマンド信号RC(2)の残りとを結合する処理が不要となり、第1の実施例に対して、制御速度が速まる。
さらに、受信部が2番目の単位コマンド信号RC(2)を受信している間、CPU13は待機しているので、リングバッファ12からの取り込み時にCPU13が発生するノイズによって受信部の受信が阻害されるおそれがない。
【実施例3】
【0082】
以下、キーレスエントリーシステム1の動作の第2の実施例を説明する。
図12は、第3の実施例を示すタイムチャートであり、前記した
図3のタイムチャートに対応するものである。
図12の(c)は、受信信号を示しており、(d)は、割り込み信号を示しており、(e)は、CPU13の状態変化を示しており、これら
図8の(c)〜(e)は、それぞれ、前記した
図3の(c)〜(e)と同じである。
また、
図12の(f)は、本実施例におけるリングバッファ12からの取り込みタイミングを示している。
【0083】
第3の実施例は、車載機10のCPU13におけるメイン信号の取得方法が、前記した第1の実施例や第2の実施例と異なっている。
【0084】
第3の実施例では、
図12の(d)、(e)に示すように、1番目の単位コマンド信号RC(1)のリングバッファ12への格納完了(時刻t1)に伴って、1度目の割り込み信号BQ(1)がCPU13に入力されると、CPU13のスリープ状態から稼動状態への移行が開始されて、遷移遅れT3が経過した時刻t2に、CPU13が稼動状態となる。
【0085】
そして、稼動状態になった時刻t2以降、CPU13は、リングバッファ12からデータの取り込みを行える状態になる。
【0086】
前記した第1の実施例では、遷移遅れT3が経過したあとに稼動状態になったCPU13が、稼動状態になった時刻t2から、1番目の単位コマンド信号RC(1)の取り込みを開始すると、時刻t2から開始される規定の取り込み通信時間X内で、2番目の単位コマンド信号RC(2)の一部もまた、1番目の単位コマンド信号RC(1)と一緒に受信されて、リングバッファ12に格納される。
【0087】
これに対して、第3の実施例では、
図12の(f)に示すように、CPU13は、1度目の割り込み信号BQ(1)に応じて開始される取り込み通信時において、リングバッファ12に格納された単位コマンド信号RCのうち、2番目の単位コマンド信号RC(2)は残して、まず1番目の単位コマンド信号RC(1)のみを取り込む。
【0088】
そして、CPU13は、2番目の単位コマンド信号RC(2)のリングバッファ12への格納完了に伴う時刻t3の2度目の割り込み信号BQ(2)に応答して、リングバッファ12から2番目の単位コマンド信号RC(2)全部のデータを取り込む。
なお、CPU13による3番目の単位コマンド信号RC(3)の取り込みは、第1の実施例における処理と同じである。
【0089】
図13から
図15は、第3の実施例にかかる処理を車載機10において実施する場合での処理の流れを示すフローチャートである。
【0090】
ここで、
図13のステップ300からステップ303までの各処理は、前記した第1の実施例における
図4のステップ100からステップ103までの各処理と、それぞれ同じである。
ステップ302において、CPU13のスリープ状態から稼動状態への移行が開始されると、稼働状態への移行の開始から完了までの遷移遅れT3の間に、ステップ303の2番目の単位コマンド信号RC(2)の受信部11での受信が開始されると共に、受信された受信信号のリングバッファ12への格納が開始される。
【0091】
そして、2番目の単位コマンド信号RC(2)のリングバッファ12への格納の途中で、ステップ202にて開始した移行処理が完了して稼動状態に移行したCPU13は、ステップ304において、リングバッファ12に格納されている1番目の単位コマンド信号RC(1)のみの取り込みを実施する。
ここで、CPU13の稼動状態への移行が完了した時点(時刻t2)では、コード分析に必要な総てのデータが揃った1番目の単位コマンド信号RC(1)と、2番目の単位コマンド信号RC(2)の一部とが、リングバッファ122が格納されており、2番目の単位コマンド信号RC(2)の一部は、コード分析に必要な総てのデータが揃っていない不完全なデータである。
【0092】
1番目の単位コマンド信号RC(1)のみが取り込まれると、ステップ305において、CPU13は、1番目の単位コマンド信号RC(1)のコード分析を行って、ID情報やコマンド情報などを取得する。
【0093】
コード分析が完了すると、ステップ306において、CPU13は、コード分析の結果に基づいて、単位コマンド信号RC(1)から取得したID情報と、EEPROM14に記憶されているID情報とを照合する。
そして、照合の結果、IDを取得した単位コマンド信号RC(1)が、自車両向けの単位コマンド信号RC(1)であると判断した場合には(ステップ306、Y)、CPU13は、ステップ307へ進み、自車両向けの単位コマンド信号RC(1)でないと判断した場合には(ステップ306、N)、ステップ322へ進む。
【0094】
ステップ307において、受信部11は、2番目の単位コマンド信号RC(2)のリングバッファ12への格納を完了すると、CPU13へ2度目の割り込み信号BQ(2)を出力する。
ステップ308において、2度目の割り込み信号BQ(2)を受けたCPU13は、リングバッファ12から2番目の単位コマンド信号RC(2)を取り込む。
次いで、ステップ309において、CPU13は、2番目の単位コマンド信号RC(2)のコード分析を行って、ID情報やコマンド情報などを取得する。
【0095】
そして、ステップ310において受信部11が、3番目の単位コマンド信号RC(3)を受信すると、受信した3番目の単位コマンド信号RC(3)のリングバッファ12への格納が実施されて、リングバッファ12への格納の完了に伴って、3度目の割り込み信号BQ(3)が、CPU13に出力されることになる。
【0096】
このステップ310からステップ323までの各処理は、前記した第1の実施例におけるステップ112(
図5参照)からステップ125(
図6参照)までの各処理と、それぞれ同じであり、以下においては、これらの処理の説明を省略する。
【0097】
以上のように、本実施例によれば、CPU13は、1度目の割り込み信号BQ(1)を入力したタイミングと2度目の割り込み信号BQ(2)を入力したタイミングとでリングバッファ12から取り込むデータ量を調整する。すなわち、CPU13は、1度目の割り込み信号BQ(1)を入力したタイミングでは単位コマンド信号RC(1)のデータのみをリングバッファ12より取り込み、2度目の割り込み信号BQ(2)を入力したタイミングで単位コマンド信号RC(2)のデータをリングバッファ12より取り込む。これにより、CPU13は、全部のデータが揃った単位コマンド信号RC(2)の取得を実現する。その結果、CPU13は、メイン信号MSである3つの単位コマンド信号RC(1)〜RC(3)全てを確実に取得し、それぞれをコード分析することができる。
したがって、キーレスエントリーシステム1は、メイン信号MSについて冗長性付与による高い通信精度を得て、携帯機2の操作されたキーボタン8に対応するコマンドを高い信頼性をもって実行できる。
そして、キーレスエントリーシステム1は、キーボタン8の長押しによって別のコマンドも実行でき、利便性が向上する。
また、キーレスエントリーシステム1は、サブ信号LPについてもその所定数Nをカウントすることにより冗長性が付与され、高い通信精度が得られる。
【0098】
また、前記したステップ306において、受信した単位コマンド信号RC(1)が、他車両向けのコマンド信号であることが確認された場合には、受信部11とCPU13が、それぞれスリープ状態になる(ステップ322、ステップ323)。
そのため、受信部11が、他車両向けのサブ信号LPを受信する度に、割り込み信号BQを出力し、さらにその割り込み信号に応じてCPU13がリングバッファ12からのデータ取り込みを繰り返すような事態が回避される。
【0099】
そして、この処理はとくにメイン信号MSの中でも1番目の単位コマンド信号RC(1)のID情報に基づいて行うので実行タイミングが最も早く、受信部11およびCPU13の無駄な電力消費が最大限に抑えられる。
さらにまた、CPU13では2度目の割り込み信号BQ(2)に応答して行う取り込み後に、1回目の取り込みによる2番目の単位コマンド信号RC(2)の一部と2回目の取り込みによる2番目の単位コマンド信号RC(2)の残りとを結合する処理が不要となり、第1の実施例に対して、制御速度が速まる。
【0100】
本実施の形態では、ドアアクチュエータ18、ウインドウアクチュエータ19が発明における車載装置に該当し、CPU3が、携帯側制御部に、CPU13が、車載機側制御部に該当する。EEPROM14が、記憶部に該当する。
そして、1番目の単位コマンド信号RC(1)が発明における最先で受信したメイン信号に相当する。
【0101】
そして、
図7に示すタイムチャートにおいて、時刻t6における受信部11の稼動状態からスリープ状態への移行が、受信部制御処理に該当し、時刻t7におけるCPU13自身のスリープ状態への移行が状態移行処理に該当する。
【0102】
以上の通り、実施の形態では、
(1)コマンド信号を送信する携帯機2と、
携帯機2より送信されたコマンド信号を受信すると共に、受信したコマンド信号に応じて車載装置(ドアアクチュエータ18、ウインドウアクチュエータ19)を制御する車載機10と、を有する車両用キーレスシステム1であって、
携帯機2は、
操作部4と、CPU3(携帯側制御部)と、送信部7とを有すると共に、
CPU3は、
操作部4が操作されると、携帯機2に固有のID情報を含む単位コマンド信号RC(1)〜RC(3)をメイン信号MSとして送信部7から送信すると共に、
操作部4の操作に続く操作部4の操作態様が、特殊態様の要件(例えば、長押し)を満たした場合に、ID情報を含む単位コマンド信号RCをサブ信号LPとして、メイン信号MSに続いて送信部7から送信し、
車載機10は、
コマンド信号(メイン信号MS、サブ信号LPとして送信された単位コマンド信号RCを含む)を受信する受信部11と、
受信部11で受信したコマンド信号に基づいて車載装置を制御するためのコマンド処理を実行するCPU13(車載機側制御部)と、
車載機10を利用可能な携帯機2に固有のID情報を記憶するEEPROM14(記憶部)と、を有すると共に、
CPU13は、
メイン信号MSとして送信された単位コマンド信号RC(1)〜RC(3)を受信すると、受信したメイン信号MSに含まれるID情報が、EEPROM14に記憶されているID情報と一致しない場合に、
車載機10のCPU13を、間欠動作するスリープ状態(省電力状態)に移行させる状態移行処理を実行して、メイン信号に続いて送信されるサブ信号の処理を行わないようにした。
【0103】
このように構成すると、メイン信号MSとして送信された他車両向けの単位コマンド信号を車載機10が受信すると、受信したコマンド信号に含まれるID情報が、EEPROM14に記憶されているID情報と異なるので、車載機10では、メイン信号MSを受信した時点でCPU13がスリープモードに移行して、メイン信号MSに続いて送信されるサブ信号LPの処理が行われないことになる。
そのため、車載機10のCPU13では、サブ信号LPとして送信された他車両向けの単位コマンド信号RCにかかわる処理が行われないので、車載機10における消費電力が低減されて、無駄な電力が消費されないことになる。
【0104】
(2)メイン信号MSは、所定時間間隔で連続する複数の同一信号である単位コマンド信号RC(1)〜RC(3)を含んでおり、
CPU13は、最先で受信したメイン信号の単位コマンド信号RC(1)に含まれるID情報と、EEPROM14に記憶されているID情報とが一致しない場合に、車載機10のCPUをスリープ状態に移行させる状態移行処理を実行する構成とした。
【0105】
このように構成すると、車載機10のCPU13がスリープ状態に移行するのが、複数の単位コマンド信号RC(1)〜RC(3)の中でも、一番目に受信した単位コマンド信号RC(1)に含まれるID情報が、EEPROM14に記憶されているID情報とが一致しないことが判明した時点であるので、車載機10が他車両向けのメイン信号MSを受信した場合には、最短の時間で、CPU13をスリープ状態に移行させることができる。
これにより、車載機10における無駄な電力の消費を、最も早いタイミングで抑制できる。
【0106】
(3)サブ信号LPは、間欠送信される複数の同一信号である単位コマンド信号RCからなり、
車載機10の受信部11は、サブ信号LPを受信する度に、サブ信号LPのリングバッファ12からの取り込みを指示する割り込み信号BQをCPU13に出力するように構成されており、
CPU13は、受信したメイン信号MSに含まれるID情報が、EEPROM14に記憶されているID情報と一致しないために、CPU13をスリープ状態に移行させる際に、さらに受信部11をスリープ状態(省電力状態)に移行させる受信部制御処理を実行する構成とした。
【0107】
このように構成すると、車載機10が他車両向けのメイン信号MSを受信した場合には、車載機10のCPU13をスリープ状態に移行させる際に、受信部11もまたスリープ状態に移行することになる。
これにより、他車両向けのメイン信号MSに続いて送信される他車両向けのサブ信号LPを、受信部11が受信することがないので、受信部10がサブ信号LPを受信して、受信したサブ信号LPのリングバッファ12への格納が完了した時点で、割り込み信号BQが、CPU13に向けて出力されることもない。
そのため、スリープ状態のCPU13が、割り込み信号の入力を受けて、起動状態になることなく、スリープ状態で保持されることになる。よって、割り込み信号に応じてCPU13が起動状態になることがないので、CPU13での無駄な電力消費を好適に防止できる。
さらに、受信部11もまたスリープ状態になるので、受信部11における電力消費も抑制できることになる。
【0108】
すなわち、他車両向けのコマンド信号に対しては、受信部11およびCPU13がスリープ状態になるので、受信部11が他車両向けのサブ信号LP受信の都度割り込み信号BQを出力し、さらにその割り込み信号に応じてCPU13がリングバッファ12からのデータ取り込みを繰り返すような事態が回避される。
そしてこの処理はとくにメイン信号MSの中でも1番目の単位コマンド信号RC(1)のID情報に基づいて行うので実行タイミングが最も早く、受信部11およびCPU13の無駄な電力消費が最大限に抑えられる。
【0109】
(4)CPU13が、前記した受信部制御処理を実行すると、受信部11は、間欠送信される複数単位コマンド信号RCからなるサブ信号LPとは、異なるタイミングで間欠動作するスリープ状態に移行する構成とした。
【0110】
このように構成すると、スリープ状態に移行した受信部11は、間欠送信されるサブ信号LPの送信タイミングとは異なるタイミングで間欠動作することになる。
よって、他車両向けのメイン信号MSを受信したと判定されて、受信部11がスリープ状態に移行した場合には、他車両向けのメイン信号MS受信した後であると判定されたメイン信号MSに続いて送信される他車両向けのサブ信号LPを、間欠動作する受信部11が受信することがない。
これにより、受信部11が、他車両向けのメイン信号MSに続いて送信されるサブ信号LPを受信して、割り込み信号をCPU13に出力することがないので、他車両向けのサブ信号LPにより、スリープ状態のCPUが起動状態になることを好適に防止できる。
このようにすることによっても、車載機10(CPU13)での電力消費を抑制できる。
【0111】
携帯機2のCPU3は、メイン信号MSよりも先に、車載機10の受信部11を起動させるウェイクアップ信号WK(受信部起動信号)を送信するように構成されており、
車載機10の受信部11がスリープ状態であるときに、受信部10が間欠動作する際の間欠時間長T1は、ウェイクアップ信号WKの時間長よりも短いものとした。
【0112】
このように構成すると、携帯機2は、ウェイクアップ信号WKを一回送信するだけで、スリープ状態の車載機10側の受信部10を起動状態にすることができる。
よって、ウェイクアップ信号WKに続いて送信されるメイン信号MSを、車載機10側で確実に受信させることができる。
また、受信部11はスリープ状態に移行したあとでも携帯機2から新たなコマンド信号が送信されたときには、確実に再起動することができる。
【0113】
CPU13は、
当該CPU13を、間欠動作するスリープ状態(省電力状態)に移行させる状態移行処理を実施する際に、受信部11をスリープ状態(省電力状態)に移行させる受信部制御処理も実行する場合には、受信部11をスリープ状態への移行後に、CPU13のスリープ状態への移行を開始する構成とした。
【0114】
CPU13のスリープ状態への移行を、受信部11のスリープ状態への移行よりも先に行うと、受信部11のスリープ状態への移行が完了する前に、受信部11がコマンド信号(ウェイクアップ信号WK、メイン信号MS)を受信した場合には、CPU13がスリープ状態になった直後に、稼動状態にする必要が生じる場合がある。
上記のように構成して受信部11を先にスリープ状態にすることで、CPU13の状態の切り替えに伴う電力消費の抑制が可能となる。
【0115】
実施の形態は主なコマンド対象をドアの施錠・解錠とするキーレスエントリーシステムを例に説明したが、コマンド対象はこれに限定されず、例えばエンジン始動・停止など任意の制御を対象とすることができる。
また携帯機2の特殊態様の操作もキーボタン8の長押しに限定されず、複数回の断続操作など任意の態様を採用することができる。
特殊態様の操作によるコマンド対象もドアウインドウの開・閉に限定されない。
【0116】
なお、実施の形態では、車載機10がメイン信号MSに応答して主コマンド対象のドアの施錠・解錠を実行するほか、サブ信号LPに応答して他のコマンド対象であるドアウインドウの開・閉も実行可能なものとしたが、車両によって車載機10がサブ信号LPに基づく他のコマンドを実行しない仕様である場合にも、メイン信号MSが自車両向けでないときに受信部11およびCPU13がスリープする処理は有効であり、他車両向けのサブ信号LPが到来する都度受信部11およびCPU13の動作が繰り返される事態が回避される。
【0117】
また、各実施例では各単位コマンド信号RCを取得する都度そのコード分析を行うものとしたが、メイン信号MSの3つの単位コマンド信号については全部取得したあとでまとめてコード分析を行ってもよい。
さらには、メイン信号MSは冗長性付与のため3つの単位コマンド信号RC(1)−RC(3)で形成したが、これに限定されず、2つ以上の任意の個数でよい。