(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の電極体は、前記ビーム進行方向および前記スリット幅方向により規定される断面視において、各電極体のビーム測定面がV字状または逆V字状に並ぶように配置されることを特徴とする請求項1に記載のイオン注入装置。
前記複数の電極体は、前記スリット幅方向に前記ビーム測定面が隣接する少なくとも一組の電極体が前記ビーム進行方向に重なるように配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のイオン注入装置。
前記複数の電極体は、前記ビーム進行方向の上流側に位置するビーム測定面を有する電極体よりも、前記ビーム進行方向の下流側に位置するビーム測定面を有する電極体が前記スリット幅方向に長いことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
前記複数の電極体の少なくとも一つは、前記ビーム測定面の前記スリット幅方向の長さが前記スリットのスリット幅と同じであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
前記ビーム測定面の前記スリット幅方向の長さが前記スリットのスリット幅と同じである少なくとも一つの電極体は、他の少なくとも一つの電極体よりも前記ビーム進行方向の上流側に位置するビーム測定面を有することを特徴とする請求項5に記載のイオン注入装置。
前記他の少なくとも一つの電極体は、前記ビーム測定面の前記スリット幅方向の長さが前記スリットのスリット幅よりも長いことを特徴とする請求項6に記載のイオン注入装置。
前記複数の電極体は、前記スリット幅方向に隣接するビーム測定面の前記ビーム進行方向の位置ずれ量が前記スリットのスリット幅よりも小さいことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
前記複数の電極体は、各電極体のビーム測定面が前記スリットを通過するイオンビームから見て隙間なく前記スリット幅方向に並ぶように配置されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
前記複数の電極体の少なくとも一つは、前記スリット幅方向の長さが前記ビーム進行方向に向けて小さくなる形状を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
前記複数の電極体は、前記スリット幅方向に前記ビーム測定面が隣接する少なくとも一組の電極体が前記ビーム進行方向に重ならないように配置されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
前記複数の電極体のそれぞれは、前記スリットを通過したイオンビームについて、電極体ごとに異なる値に規定される角度中央値を含む所定の角度範囲に該当するビーム成分を測定するよう配置され、かつ、前記スリット幅方向に前記ビーム測定面が隣接する別の電極体に規定される角度中央値が前記所定の角度範囲の上限値または下限値となるよう配置されることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のイオン注入装置。
前記複数の電極体の少なくとも一つは、複数個の微小電極により前記ビーム測定面が構成され、前記複数個の微小電極は、前記ビーム進行方向にずれるように配置されることを特徴とする請求項12に記載のイオン注入装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0013】
図1は、実施の形態に係るイオン注入装置10を概略的に示す上面図であり、
図2は、イオン注入装置10の概略構成を示す側面図である。
【0014】
イオン注入装置10は、被処理物Wの表面にイオン注入処理をするよう構成されている。被処理物Wは、例えば基板であり、例えば半導体ウェハである。よって以下では説明の便宜のため被処理物WをウェハWと呼ぶことがあるが、これは注入処理の対象を特定の物体に限定することを意図していない。
【0015】
イオン注入装置10は、ビームを一方向に往復走査させ、ウェハWを該一方向と直交する方向に往復運動させることによりウェハWの全体にわたってイオンビームBを照射するよう構成されている。本書では説明の便宜上、設計上のビーム軌道を進むイオンビームBの進行方向をz方向とし、z方向に垂直な面をxy面と定義する。イオンビームBを被処理物Wに対し走査する場合において、ビームの走査方向をx方向とし、z方向及びx方向に垂直な方向をy方向とする。よって、ビームの往復走査はx方向に行われ、ウェハWの往復運動はy方向に行われる。
【0016】
イオン注入装置10は、イオン源12と、ビームライン装置14と、注入処理室16と、制御装置70とを備える。イオン源12は、イオンビームBをビームライン装置14に与えるよう構成されている。ビームライン装置14は、イオン源12から注入処理室16へとイオンを輸送するよう構成されている。また、イオン注入装置10は、イオン源12、ビームライン装置14、注入処理室16に所望の真空環境を提供するための真空排気系(図示せず)を備える。
【0017】
ビームライン装置14は、例えば、上流から順に、質量分析部18、可変アパチャ20、ビーム収束部22、第1ビーム計測器24、ビーム走査器26、平行化レンズ30又はビーム平行化装置、及び、角度エネルギーフィルタ(AEF;Angular Energy Filter)34を備える。なお、ビームライン装置14の上流とは、イオン源12に近い側を指し、下流とは注入処理室16(またはビームストッパ38)に近い側を指す。
【0018】
質量分析部18は、イオン源12の下流に設けられており、イオン源12から引き出されたイオンビームBから必要なイオン種を質量分析により選択するよう構成されている。
【0019】
可変アパチャ20は、開口幅が調整可能なアパチャであり、開口幅を変えることでアパチャを通過するイオンビームBのビーム電流量を調整する。可変アパチャ20は、例えば、ビームラインを挟んで上下に配置されるアパチャプレートを有し、アパチャプレートの間隔を変化させることによりビーム電流量を調整してもよい。
【0020】
ビーム収束部22は、四重極収束装置(Qレンズ)などの収束レンズを備えており、可変アパチャ20を通過したイオンビームBを所望の断面形状に整形するよう構成されている。ビーム収束部22は、電場式の三段四重極レンズ(トリプレットQレンズともいう)であり、上流側から順に第1四重極レンズ22a、第2四重極レンズ22b、第3四重極レンズ22cを有する。ビーム収束部22は、三つのレンズ装置22a,22b,22cを用いることにより、ウェハWに入射するイオンビームBのx方向およびy方向の収束または発散をそれぞれの方向について独立に調整しうる。ビーム収束部22は、磁場式のレンズ装置を含んでもよく、電場と磁場の双方を利用してビームを整形するレンズ装置を含んでもよい。
【0021】
第1ビーム計測器24は、ビームライン上に出し入れ可能に配置され、イオンビームの電流を測定するインジェクタフラグファラデーカップである。第1ビーム計測器24は、ビーム収束部22により整形されたイオンビームBのビーム電流を計測できるように構成される。第1ビーム計測器24は、ビーム電流を計測するファラデーカップ24bと、ファラデーカップ24bを上下に移動させる駆動部24aを有する。
図2の破線で示すように、ビームライン上にファラデーカップ24bを配置した場合、イオンビームBはファラデーカップ24bにより遮断される。一方、
図2の実線で示すように、ファラデーカップ24bをビームライン上から外した場合、イオンビームBの遮断が解除される。
【0022】
ビーム走査器26は、ビームの往復走査を提供するよう構成されており、整形されたイオンビームBをx方向に走査する偏向手段である。ビーム走査器26は、x方向に対向して設けられる走査電極対28を有する。走査電極対28は可変電圧電源(図示せず)に接続されており、走査電極対28に印加される電圧を周期的に変化させることにより、電極間に生じる電界を変化させてイオンビームBをさまざまな角度に偏向させる。こうして、イオンビームBは、x方向の走査範囲にわたって走査される。なお、
図1において矢印Xによりビームの走査方向及び走査範囲を例示し、走査範囲でのイオンビームBの複数の軌跡を一点鎖線で示している。
【0023】
平行化レンズ30は、走査されたイオンビームBの進行方向を設計上のビーム軌道と平行にするよう構成されている。平行化レンズ30は、中央部にイオンビームの通過スリットが設けられた円弧形状の複数のPレンズ電極32を有する。Pレンズ電極32は、高圧電源(図示せず)に接続されており、電圧印加により生じる電界をイオンビームBに作用させて、イオンビームBの進行方向を平行に揃える。なお、平行化レンズ30は他のビーム平行化装置で置き換えられてもよく、ビーム平行化装置は磁界を利用する磁石装置として構成されてもよい。平行化レンズ30の下流には、イオンビームBを加速または減速させるためのAD(Accel/Decel)コラム(図示せず)が設けられてもよい。
【0024】
角度エネルギーフィルタ(AEF)34は、イオンビームBのエネルギーを分析し必要なエネルギーのイオンを下方に偏向して注入処理室16に導くよう構成されている。角度エネルギーフィルタ34は、電界偏向用のAEF電極対36を有する。AEF電極対36は、高圧電源(図示せず)に接続される。
図2において、上側のAEF電極に正電圧、下側のAEF電極に負電圧を印加させることにより、イオンビームBをビーム軌道から下方に偏向させる。なお、角度エネルギーフィルタ34は、磁界偏向用の磁石装置で構成されてもよく、電界偏向用のAEF電極対と磁石装置の組み合わせで構成されてもよい。
【0025】
このようにして、ビームライン装置14は、ウェハWに照射されるべきイオンビームBを注入処理室16に供給する。
【0026】
注入処理室16は、
図2に示すように、1枚又は複数枚のウェハWを保持するプラテン駆動装置50を備える。プラテン駆動装置50は、ウェハ保持部52と、往復運動機構54と、ツイスト角調整機構56と、チルト角調整機構58とを含む。ウェハ保持部52は、ウェハWを保持するための静電チャック等を備える。往復運動機構54は、ビーム走査方向(x方向)と直交する往復運動方向(y方向)にウェハ保持部52を往復運動させることにより、ウェハ保持部52に保持されるウェハをy方向に往復運動させる。
図2において、矢印YによりウェハWの往復運動を例示する。
【0027】
ツイスト角調整機構56は、ウェハWの回転角を調整する機構であり、ウェハ処理面の法線を軸としてウェハWを回転させることにより、ウェハの外周部に設けられるアライメントマークと基準位置との間のツイスト角を調整する。ここで、ウェハのアライメントマークとは、ウェハの外周部に設けられるノッチやオリフラのことをいい、ウェハの結晶軸方向やウェハの周方向の角度位置の基準となるマークをいう。ツイスト角調整機構56は、図示されるようにウェハ保持部52と往復運動機構54の間に設けられ、ウェハ保持部52とともに往復運動される。
【0028】
チルト角調整機構58は、ウェハWの傾きを調整する機構であり、ウェハ処理面に向かうイオンビームBの進行方向とウェハ処理面の法線との間のチルト角を調整する。本実施の形態では、ウェハWの傾斜角のうち、x方向の軸を回転の中心軸とする角度をチルト角として調整する。チルト角調整機構58は、往復運動機構54と注入処理室16の壁面の間に設けられており、往復運動機構54を含むプラテン駆動装置50全体をR方向に回転させることでウェハWのチルト角を調整するように構成される。
【0029】
注入処理室16は、ビームストッパ38を備える。ビーム軌道上にウェハWが存在しない場合には、イオンビームBはビームストッパ38に入射する。また、注入処理室16には、イオンビームのビーム電流量やビーム電流密度分布を計測するための第2ビーム計測器44が設けられる。第2ビーム計測器44は、サイドカップ40R、40Lと、センターカップ42を有する。
【0030】
サイドカップ40R、40Lは、ウェハWに対してx方向にずれて配置されており、イオン注入時にウェハWに向かうイオンビームを遮らない位置に配置される。イオンビームBは、ウェハWが位置する範囲を超えてオーバースキャンされるため、イオン注入時においても走査されるビームの一部がサイドカップ40R、40Lに入射する。これにより、イオン注入処理中のビーム電流量を計測する。サイドカップ40R、40Lの計測値は、第2ビーム計測器44に送られる。
【0031】
センターカップ42は、ウェハWの表面(ウェハ処理面)におけるビーム電流量やビーム電流密度分布を計測するためのものである。センターカップ42は、可動式となっており、イオン注入時にはウェハ位置から待避され、ウェハWが照射位置にないときにウェハ位置に挿入される。センターカップ42は、x方向に移動しながらビーム電流量を計測して、ビーム走査方向のビーム電流密度分布を計測する。センターカップ42の計測値は、第2ビーム計測器44に送られる。なお、センターカップ42は、ビーム走査方向の複数の位置におけるイオン照射量を同時に計測可能となるように、複数のファラデーカップがx方向に並んだアレイ状に形成されていてもよい。
【0032】
制御装置70は、イオン注入装置10を構成する各機器の動作を制御する。制御装置70は、第2ビーム計測器44が計測したビームの強度や角度成分に関する情報を取得し、イオンビームの角度分布や角度重心を算出する。制御装置70は、算出したイオンビームの角度情報に基づいて、ビーム収束部22などの動作を制御し、所望の角度分布を有するイオンビームがウェハWに照射されるようにする。なお、イオンビームの角度分布や角度重心を算出する機能は、制御装置70ではなく、第2ビーム計測器44に設けられてもよい。
【0033】
図3は、往復運動されるウェハWと往復走査されるイオンビームBとの関係を示す正面図である。
図3において、イオンビームBは横方向(X方向)に往復走査され、ウエハWは往復運動機構54に保持されて縦方向(Y方向)に往復運動される。
図3では、最上位置のウェハW1と最下位置のウェハW2を図示することで、往復運動機構54の動作範囲を示している。
【0034】
また、ビーム走査器によって走査されるイオンビームBについて、走査端位置のイオンビームB
L、B
Rの位置を図示することでイオンビームの走査範囲Cを示している。イオンビームBは、プラテン駆動装置50に保持されるウェハWが配置される照射範囲C1を越えて、ウェハWにビームが照射されない非照射範囲C2までオーバースキャンが可能となるように構成される。なお、
図3では、横長のイオンビームBが走査される様子を示しているが、イオンビームBの形状は、縦長であってもよく、円形に近い形状であってもよい。
【0035】
図3は、X方向に移動可能に構成されるセンターカップ42の測定範囲を示している。センターカップ42は、少なくとも照射範囲C1にわたって測定可能となるように構成される。センターカップ42は、図示されるように強度測定装置46と角度測定装置48を含んでもよい。強度測定装置46は、主にイオンビームBの強度を計測するための測定装置であり、例えば、ファラデーカップにより構成される。角度測定装置48は、主にイオンビームBの角度分布を計測するための測定装置である。角度測定装置48の詳細については別途後述する。強度測定装置46および角度測定装置48は、いずれもz方向の計測位置がウェハWの被照射面と同じ位置となるように配置される。
【0036】
本実施の形態では、強度測定装置46と角度測定装置48を並べて配置するとともに、第2ビーム計測器44に設けられる駆動装置によりx方向に移動させることによって、イオンビームBの強度と角度分布を照射範囲C1にわたって同時に計測できるようにしている。第2ビーム計測器44は、照射範囲C1の一端から他端まで数秒程度、好ましくは、1〜2秒程度をかけて強度測定装置46および角度測定装置48を移動させる。これにより、照射範囲C1の全体にわたるビームの強度および角度分布を数秒以内で計測可能とする。なお、変形例においては、強度測定装置46が設けられず、角度測定装置48がビーム強度の計測を兼ねることとしてもよい。
【0037】
図4は、角度測定装置48の概略構成を示す斜視図であり、
図5は、角度測定装置48の概略構成を示す断面図である。角度測定装置48は、筐体60と、スリット62と、複数の電極体64a,64b,64c,64d,64e,64f,64g(以下、総称して電極体64ともいう)とを有する。角度測定装置48は、スリット62を通過するイオンビームについて、ビーム進行方向(z方向)に対する走査方向(x方向)の角度成分θxを検出するように構成されている。
【0038】
スリット62は、筐体60の上面60aに設けられる。スリット62は、スリット幅方向(短手方向)がx方向となるように形成され、y方向に細長い矩形状を有する。スリット62は、スリット幅Sがy方向に均一となるように形成されている。スリット62は、スリット幅Sがイオンビームのx方向のビーム径よりも小さくなるように形成されており、所定の大きさを有するビームの中から計測すべき一部分を切り出す。スリット62は、スリット62から電極体64に向けて斜めに入射するイオンを遮らないように、ビーム進行方向(+z方向)に向けてスリット幅方向(x方向)に広がるテーパー形状を有することが望ましい。一方、スリット62のy方向の長さは、イオンビームのy方向のビーム径よりも大きくなるように形成されており、y方向についてイオンビームの全体が計測対象となる。
【0039】
電極体64は、y方向に細長い形状を有し、スリット62が設けられる上面60aからz方向に離れて設けられる。電極体64は、スリット62を通過したイオンビームの全体を検出できるように、スリット62よりもy方向に長く設けられることが望ましい。本実施の形態では、7本の電極体64が設けられ、スリット62と対向する位置に設けられる第1電極体64aを中心として、左右に3本ずつの電極体64が配置される。第1電極体64aから+x方向に順に第2電極体64b、第3電極体64c、第4電極体64dが配置され、第1電極体64aから−x方向に順に第5電極体64e、第6電極体64f、第7電極体64gが配置される。図示する例において、各電極体64a〜64gはスリット62の位置を中心にスリット幅方向に対称(つまり、
図5の紙面上において左右対称)に配置されている。
【0040】
複数の電極体64a〜64gのそれぞれは、スリット62を通過したイオンビームに対して露出する領域であるビーム測定面65a,65b,65c,65d,65e,65f,65g(総称してビーム測定面65ともいう)を有する。複数の電極体64a〜64gは、各電極のビーム測定面65a〜65gがスリット幅方向(x方向)に順に並べられるとともに、x方向に隣接するビーム測定面65同士がビーム進行方向(z方向)にずれるように配置されている。図示する例において、第1電極体64aがスリット62からビーム進行方向に最も遠い位置に配置され、第2電極体64b、第3電極体64c、第4電極体64dの順にビーム進行方向の手前側に配置される。同様に、第5電極体64e、第6電極体64f、第7電極体64gの順にビーム進行方向の手前側に配置される。したがって、各電極のビーム測定面65a〜65gは、
図5に示すxz平面内の断面視において、V字状に並ぶように配置されている。また、各電極のビーム測定面65a〜65gは、スリット62を通過するイオンビームから見て隙間なくスリット幅方向に並ぶように配置されている。
【0041】
複数の電極体64a〜64gのそれぞれは、スリット62を通過したイオンビームについて、電極体ごとに異なる値に設定される所定の角度範囲に該当するビーム成分を測定するよう配置されている。第1電極体64aは、第1角度θ
a=0を角度中央値とする所定範囲のビーム成分を測定する。第2電極体64bは、第2角度θ
bを角度中央値とし、第3電極体64cは、第3角度θ
cを角度中央値とし、第4電極体64dは、第4角度θ
dを角度中央値とする所定範囲のビーム成分を測定する。同様に、第5電極体64eは、第5角度−θ
bを角度中央値とし、第6電極体64fは、第6角度−θ
cを角度中央値とし、第7電極体64gは、第7角度−θ
dを角度中央値とする所定範囲のビーム成分を測定する。
【0042】
第1電極体64aは、第1部分66aと第2部分67a1,67a2を有する。第1電極体64aの第1部分66aは、スリット62の開口領域を第1角度θ
a=0の方向(z方向)に平行移動した位置に設けられ、スリット幅方向の長さWa
1がスリット幅Sと同じである。第1電極体64aの第1部分66aには、スリット62を通過したイオンビームのうち、第1角度θ
a=0のビーム成分の全体が入射する。つまり、第1電極体64aの第1部分66aには、スリット62のスリット幅方向の中央部62cを通過する第1角度θ
a=0のビーム成分が入射するとともに、スリット62のスリット幅方向の両端62a,62bの近傍を通過する第1角度θ
a=0のビーム成分も入射する。その結果、スリット62を通過したイオンビームのうち第1角度θ
a=0のビーム成分は、実質的に全て第1電極体64aにて検出され、他の電極体では検出されない。
【0043】
第1電極体64aの第2部分67a1,67a2(総称して第2部分67aともいう)は、第1部分66aの左右に設けられる部分であり、隣接する第2電極体64bまたは第5電極体64eとビーム進行方向に重なる部分である。第1電極体64aの第2部分67aは、隣接する電極体の裏側に配置されるため、第1角度θ
a=0のビーム成分は入射しないが、第1角度θ
aとは異なる角度のビーム成分が斜めに入射しうる。例えば、第1部分66aの右側に設けられる第2部分67a1には、スリット62の左端62aの近傍を通過する第2角度θ
bに近い角度のビーム成分が入射しうる。同様に、第1部分66aの左側に設けられる第2部分67a2には、スリット62の右端62bの近傍を通過する第5角度−θ
bに近い角度のビーム成分が入射しうる。このように第1電極体64aの左右に第2部分67aを設けることで、隣接する電極体との間の隙間を抜けてしまうビーム成分が生じないようにし、スリット62を通過したイオンビームから見て隣接するビーム測定面の間に隙間が生じないようにしている。
【0044】
第1電極体64aの第2部分67aのスリット幅方向の長さWa
2は、第1電極体64aおよび第2電極体64bのビーム測定面のずれ量ΔL
1と、第2電極体64bの角度中央値である第2角度θ
bを用いて、Wa
2=ΔL
1・tan(θ
b)と表される。ビーム測定面のずれ量ΔL
1は、スリット62から第1ビーム測定面65aまでのz方向の距離L
1と、スリット62から第2ビーム測定面65bまでのz方向の距離L
2を用いてΔL
1=L
1−L
2と表される。また、第2角度θ
bは、tan(θ
b)=S/L
2と表される。したがって、第1電極体64aの全体の長さWaは、Wa=Wa
1+2Wa
2=S(2L
1−L
2)/L
2となる。したがって、第1ビーム測定面65aのスリット幅方向の長さWaは、スリット幅Sよりも長い。第1電極体64aをこのように構成することで、第1ビーム測定面65aは、第1角度θ
a=0を角度中央値として、第5角度−θ
bから第2角度θ
bまでの角度範囲のビーム成分を検出対象とする。
【0045】
第2電極体64bは、第1部分66bと第2部分67bを有し、第2ビーム測定面65bのビーム進行方向の位置(距離L
2)がスリット62の左端62aから第2角度θ
b方向に延ばした直線とスリット62の右端62bから第1角度θ
a=0方向に延ばした直線の交点と同じとなるように配置される。第2電極体64bの第1部分66bは、スリット62の開口領域を第2角度θ
bの方向に平行移動した位置に設けられ、スリット幅方向の長さWb
1がスリット幅Sと同じである。第2電極体64bの第1部分66bには、スリット62を通過したイオンビームのうち、第2角度θ
bのビーム成分の全体が入射する。つまり、第2電極体64bの第1部分66bには、スリット62のスリット幅方向の中央部62cを通過する第2角度θ
bのビーム成分が入射するとともに、スリット62のスリット幅方向の両端62a,62bの近傍を通過する第2角度θ
bのビーム成分も入射する。その結果、スリット62を通過したイオンビームのうち第2角度θ
bのビーム成分は、実質的に全て第2電極体64bにて検出され、他の電極体では検出されない。
【0046】
第2電極体64bの第2部分67bは、第1部分66bの右側に設けられ、隣接する第3電極体64cとビーム進行方向に重なる。第2電極体64bの第2部分67bは、第3電極体64cの裏側に配置されるため、第2角度θ
bのビーム成分は入射しないが、第2角度θ
bとは異なる角度のビーム成分が斜めに入射しうる。例えば、第2電極体64bの第2部分67bには、スリット62の左端62aの近傍を通過する第3角度θ
cに近い角度のビーム成分が入射しうる。一方、第2電極体64bの第1部分66bの左側には第2部分が設けられず、代わりに第1電極体64aの第2部分67a1に向けて斜めに入射するビーム成分を遮らないようにするためのテーパー部69bが設けられる。したがって、隣接する電極体がビーム進行方向の奥に位置する側(左側)にはテーパー部69bが設けられ、隣接する電極体がビーム進行方向の手前に位置する側(右側)には第1部分66bから延長される第2部分67bが設けられる。テーパー部69bが設けられるため、第2電極体64bは、ビーム進行方向に向けてスリット幅方向の長さが小さくなる形状を有する。
【0047】
第2電極体64bの第2部分67bのスリット幅方向の長さWb
2は、第2電極体64bおよび第3電極体64cのビーム測定面のずれ量ΔL
2と、第2電極体64bの角度中央値である第2角度θ
bと、第3電極体64cの角度中央値である第3角度θ
cを用いて、Wb
2=ΔL
2・{tan(θ
c)−tan(θ
b)}と表される。ビーム測定面のずれ量ΔL
2は、スリット62から第2ビーム測定面65bまでのz方向の距離L
2と、スリット62から第3ビーム測定面65cまでのz方向の距離L
3を用いてΔL
2=L
2−L
3と表される。また第3角度θ
cに関して、tan(θ
c)−tan(θ
b)=S/L
3と表される。したがって、第2電極体64bの全体の長さWbは、Wb=Wb
1+Wb
2=S・L
2/L
3となり、第2ビーム測定面65bのスリット幅方向の長さもスリット幅Sよりも長い。第2電極体64bをこのように構成することで、第2ビーム測定面65bは、第2角度θ
bを角度中央値として、第1角度θ
a=0から第3角度θ
cまでの角度範囲のビーム成分を検出対象とする。
【0048】
第3電極体64cは、第1部分66cと第2部分67cを有し、第3ビーム測定面65cのビーム進行方向の位置(距離L
3)がスリット62の左端62aから第3角度θ
c方向に延ばした直線とスリット62の右端62bから第2角度θ
b方向に延ばした直線の交点と同じとなるように配置される。第3電極体64cの第1部分66cは、スリット62の開口領域を第3角度θ
cの方向に平行移動した位置に設けられ、スリット幅方向の長さWc
1がスリット幅Sと同じである。第3電極体64cの第1部分66cには、スリット62を通過したイオンビームのうち、第3角度θ
cのビーム成分の全体が入射する。スリット62を通過したイオンビームのうち第3角度θ
cのビーム成分は、実質的に全て第3電極体64cにて検出され、他の電極体では検出されない。
【0049】
第3電極体64cの第2部分67cは、第1部分66cの右側に設けられ、隣接する第4電極体64dとビーム進行方向に重なる。第3電極体64cの第2部分67cは、第4電極体64dの裏側に配置されるため、第3角度θ
cのビーム成分は入射しないが、第3角度θ
cとは異なる角度のビーム成分が斜めに入射しうる。第3電極体64cの左側には第2電極体64bの第2部分67bに向けて斜めに入射するビーム成分を遮らないようにするためのテーパー部69cが設けられる。テーパー部69cが設けられるため、第3電極体64cは、ビーム進行方向に向けてスリット幅方向の長さが小さくなる形状を有する。
【0050】
第3電極体64cの第2部分67cのスリット幅方向の長さWc
2は、第3電極体64cおよび第4電極体64dのビーム測定面のずれ量ΔL
3と、第3電極体64cの角度中央値である第3角度θ
cと、第4電極体64dの角度中央値である第4角度θ
dを用いて、Wc
2=ΔL
3・{tan(θ
d)−tan(θ
c)}と表される。ビーム測定面のずれ量ΔL
3は、スリット62から第3ビーム測定面65cまでのz方向の距離L
3と、スリット62から第4ビーム測定面65dまでのz方向の距離L
4を用いてΔL
3=L
3−L
4と表される。また第4角度θ
dに関して、tan(θ
d)−tan(θ
c)=S/L
4と表される。したがって、第3電極体64cの全体の長さWcは、Wc=Wc
1+Wc
2=S・L
3/L
4となり、第3ビーム測定面65cのスリット幅方向の長さもスリット幅Sよりも長い。第3電極体64cをこのように構成することで、第3ビーム測定面65cは、第3角度θ
cを角度中央値として、第2角度θ
bから第4角度θ
dまでの角度範囲のビーム成分を検出対象とする。
【0051】
第4電極体64dは、第4ビーム測定面65dのビーム進行方向の位置(距離L
4)がスリット62の左端62aから第4角度θ
d方向に延ばした直線とスリット62の右端62bから第3角度θ
c方向に延ばした直線の交点と同じとなるように配置される。第4電極体64dは、スリット62の開口領域を第4角度θ
dの方向に平行移動した位置に設けられ、スリット幅方向の長さWdがスリット幅Sと同じである。第4電極体64dには、スリット62を通過したイオンビームのうち、第4角度θ
dのビーム成分の全体が入射する。スリット62を通過したイオンビームのうち第4角度θ
dのビーム成分は、実質的に全て第4電極体64dにて検出され、他の電極体では検出されない。
【0052】
第4電極体64dは、第1部分66dを有するが、他の電極体と同様の第2部分を有しない。第4電極体64dは、隣接する第3電極体64cよりもビーム進行方向に手前に配置される一方で、第4電極体64dより手前には隣接する電極体が設けられないからである。第4電極体64dの左側には第3電極体64cの第2部分67cに向けて斜めに入射するビーム成分を遮らないようにするためのテーパー部69dが設けられる。テーパー部69dが設けられるため、第4電極体64dは、ビーム進行方向に向けてスリット幅方向の長さが小さくなる形状を有する。第4電極体64dのスリット幅方向の長さWdは、スリット62のスリット幅Sと同じである。第4電極体64dの第4ビーム測定面65dは、第4角度θ
dを角度中央値として、第3角度θ
cを超える角度範囲のビーム成分を検出対象とする。
【0053】
第5電極体64eは、第2電極体64bと同様の形状を有し、第2電極体64bと左右対称となる位置に配置される。第5電極体64eは、第1部分66eと、第1部分66eの左側に設けられる第2部分67eとを有する。第5電極体64eの第1部分66eの右側には、第1電極体64aの第2部分67a2へ入射するビーム成分を遮らないようにするためのテーパー部69eが設けられる。第5電極体64eの第5ビーム測定面65eは、第5角度−θ
bを角度中央値として、第1角度θ
a=0から第6角度−θ
cまでの角度範囲のビーム成分を検出対象とする。
【0054】
第6電極体64fは、第3電極体64cと同様の形状を有し、第3電極体64cと左右対称となる位置に配置される。第6電極体64fは、第1部分66fと、第1部分66fの左側に設けられる第2部分67fとを有する。第6電極体64fの第1部分66fの右側には、第5電極体64eの第2部分67eへ入射するビーム成分を遮らないようにするためのテーパー部69fが設けられる。第6電極体64fの第6ビーム測定面65fは、第6角度−θ
cを角度中央値として、第5角度−θ
bから第7角度−θ
dまでの角度範囲のビーム成分を検出対象とする。
【0055】
第7電極体64gは、第4電極体64dと同様の形状を有し、第4電極体64dと左右対称となる位置に配置される。第7電極体64gは、第1部分66gを有し、第1部分66gの右側には、第6電極体64fの第2部分67fへ入射するビーム成分を遮らないようにするためのテーパー部69gが設けられる。第7電極体64gの第7ビーム測定面65gは、第7角度−θ
dを角度中央値として、絶対値において第6角度−θ
cを超える範囲のビーム成分を検出対象とする。
【0056】
各電極体64は、隣接する電極体間の電気的な絶縁を確保できる程度にビーム進行方向にずれて配置されることが好ましい。その一方で、角度測定装置48を小型化できるように隣接する電極体間のずれ量ΔL(ΔL
1,ΔL
2,ΔL
3)をある程度小さくすることが好ましい。具体的には、隣接する電極間のずれ量ΔLは、各電極体64のビーム進行方向の厚さより大きくてよく、各電極体64のビーム測定面のスリット幅方向の長さW(Wa,Wb,Wc,Wd)より小さくてよい。なお、本実施の形態では、いずれの電極体であっても隣接する一組の電極体がビーム進行方向に重なるように配置されている。
【0057】
角度測定装置48は、複数の電極体64a〜64gのそれぞれに接続される測定回路を有する。測定回路は、各電極体64にイオンが入射することにより生じる電流を測定し、複数の電極体64a〜64gのそれぞれからの電流値によりスリット62に入射するイオンビームBの角度分布を測定する。また、測定回路は、所定の計測時間にわたって電極体64からの電流の時間変化値を検出する機能を有する。これにより、スリット62に入射するイオンビームBに関する角度分布の時間変化値を計測可能とする。測定回路は、電極体64からの電流を計測時間にわたって積算することにより、ビームの角度分布の積算強度を検知する機能を有してもよい。
【0058】
図6(a)および
図6(b)は、角度測定装置48の角度特性を模式的に示すグラフである。
図6(a)は、各電極体64a〜64gのそれぞれの角度感度係数k(θ)を示し、
図6(b)は、角度測定装置48の全体としての角度感度係数K(θ)を示す。ここで角度測定装置48の全体としての角度感度係数K(θ)とは、スリット62を通過するイオンビームの角度θのビーム成分全体の強度I(θ)と、角度測定装置48により測定される角度θのビーム成分の測定強度I’(θ)とを用いて、K(θ)=I’(θ)/I(θ)と定義される。また、各電極体64a〜64gのそれぞれの角度感度係数k
i(θ)(ただしi=a〜g)は、各電極体64iにおいて測定される角度θのビーム成分の測定強度I
i’(θ)を用いて、k
i(θ)=I
i’(θ)/I(θ)と定義される。なお、角度測定装置48の角度感度係数K(θ)は、K(θ)=Σk
i(θ)と表される。
【0059】
各電極体64a〜64gの角度感度係数k
i(θ)は、
図6(a)に示すように三角形状のグラフで表され、角度θに対して直線的に増加する範囲と、直線的に減少する範囲とを含む。例えば、第1電極体64aの角度感度係数k
a(θ)は、第5角度−θ
bから第1角度θ
a=0に向けて直線的に増加し、角度中央値である第1角度θ
aにおいて最大となり、第1角度θ
aから第2角度θ
bに向けて直線的に減少する。他の電極体も同様の角度感度係数を有する。一般化して説明すると、i番目の電極体の角度感度係数k
i(θ)は、i番目の電極体の角度中央値をθ
iとし、i番目の電極体に隣接する左右の電極体の角度中央値θ
i−1,θ
i+1とすると、隣接する電極体の角度中央値θ
i−1,θ
i+1においてゼロとなり、i番目の電極体の角度中央値θ
iに向けて直線的に増加して角度中央値θ
iにて最大となる。
【0060】
図7は、i−1番目とi番目の電極体64(i−1),64(i)にて測定される角度θのビーム成分の測定強度I
i−1’(θ),I
i’(θ)を模式的に示す図である。図示する例では、角度θがθ
i−1<θ<θ
iの関係を満たす場合を示し、角度θのビーム成分の一部がi番目の電極体64(i)に入射し、残りが隣接するi−1番目の電極体64(i−1)に入射している。このとき、i番目の電極体64(i)および隣接するi−1番目の電極体64(i−1)の測定強度は、それぞれ以下の式(1)、(2)で表すことができる。なお、右辺に含まれるI’(θ)は、隣接する一組の電極体64(i)、64(i−1)にて測定される測定強度の和である。また、角度θについて、tanθ≒θの近似を用いている。
【0062】
上記式(1)、(2)は、測定しようとするビーム成分の角度θがi番目の電極体の角度中央値θ
iに近づけば、i番目の電極体64(i)で測定される割合が増える一方、角度θがi−1番目の電極体の角度中央値θ
i−1に近づけば、i番目の電極体64(i)で測定される割合が減ることを意味している。また、i番目の電極体64(i)にて測定されるビーム成分の測定強度I
i’(θ)は、測定しようとするビーム成分の角度θの一次関数で表される(または、一次関数で近似できる)ことを意味している。
【0063】
このとき、角度θのビーム成分は、隣接する電極体のいずれかによって測定されるから、隣接する電極体の測定強度の合計値I’(θ)と、スリット62を通過したイオンビーム全体の強度I(θ)は一致する。その結果、角度測定装置48の全体としての角度感度係数K(θ)は、
図6(b)に示すように、所定の角度範囲[−θ
d,θ
d]において一定値となる。つまり、角度測定装置48は、測定対象とする角度範囲において角度θに対して一定の感度でイオンビームを測定する。
【0064】
つづいて、角度測定装置48の測定結果を用いたイオンビームの角度重心の算出方法について説明する。スリット62を通過するイオンビームについて角度θに対する連続的な強度分布I(θ)が分かっている場合、そのイオンビームの角度重心θ
Gは、以下の式(3)で表される。
【0066】
しかしながら、実際にはイオンビームの角度θに対する連続的な強度分布I(θ)を測定することは困難であり、上記式(3)を離散化したデータからイオンビームの角度重心θ
Gが推定される。つまり、
図7に示す角度測定装置48のように、測定対象とする角度θ
iが異なる電極体64(i)を複数本配置し、各電極体64(i)にて測定されるビーム成分の積分強度I
i’を用いて、実際の測定により得られる角度重心θ
G’が算出される。測定により得られる角度重心θ
G’は、以下の式(4)で表される。なお、角度θ
iは、各電極体64(i)にて測定されるビーム成分の角度中央値に対応する。
【0068】
ここで、式(3)の右辺と、式(4)の右辺が一致すれば、測定により得られる角度重心θ
G’と、実際のイオンビームの角度重心θ
Gとが一致し、正確な角度重心を測定できることとなる。以下、角度測定装置48を用いて測定により得られる角度重心θ
G’と実際の角度重心θ
Gを比較し、角度測定装置48により得られる角度重心θ
G’の正確性について説明する。
【0069】
まず、各電極体64(i)により測定される積分強度I
i’について検討する。各電極体64(i)の積分強度I
i’は、上述した角度感度係数k
i(θ)を用いて以下の式(5)で表される。式(5)は、スリット62を通過したイオンビームの角度強度分布I(θ)と電極体64(i)の角度感度係数k
i(θ)の積を、測定対象となる角度範囲[θ
i−1,θ
i+1]にて積分すれば、電極体64(i)の積分強度I
i’となることを意味する。なお、各電極体64(i)により実際に得られる測定結果は、各ビーム測定面が受ける角度範囲にわたって積分された積分強度I
i’であり、特定の角度θに対応するビーム成分の測定強度I’(θ)を角度ごとに得ることはできない。
【0071】
上記式(5)を用いると、式(4)の分母の項は、以下の式(6)のように変形できる。角度測定装置48の角度測定範囲[−θ
d,θ
d]において、角度感度係数K(θ)は一定値Kとなるからである。したがって、式(4)の分母の項は、角度測定装置48の角度測定範囲[−θ
d,θ
d]において、式(3)の分母の項をK倍したものとなる。
【0073】
同様に、式(4)の分子の項は、上記式(5)を用いて、以下の式(7)のように変形できる。ここで、
図6に示される角度感度係数k
i(θ)は、以下の式(8)で表されるため、式(3)の分子の項は、以下の式(9)のように表すことができる。
【0075】
ここで、上記式(9)を計算するために、積分範囲が第1角度θ
aから第2角度θ
bとなる項について具体的に考察する。より詳細には、式(9)の右辺第1項についてはθ
i=θ
bとし、式(9)の右辺第2項についてはθ
i=θ
aとすることによって積分範囲が第1角度θ
aから第2角度θ
bとなる項のみを導出する。これらの項は、以下の式(10)で表される。
【0077】
上記式(10)は、角度θとイオンビームの強度I(θ)の積を角度θにて積分したものを表す。その結果、式(9)の積分範囲を角度測定装置48の角度測定範囲[−θ
d,θ
d]に拡張すると、式(4)の分子の項は、式(3)の分子の項をK倍したものに等しくなる。したがって、上記式(4)に示す測定により得られる角度重心θ
G’と、上記式(3)に示す実際の角度重心θ
Gとが等しくなる。以上より、本実施の形態に係る角度測定装置48によれば、少ない数(例えば、7本)の電極体64を用いて角度θに対して離散的に角度成分を測定しているにも拘わらず、イオンビームの角度重心θ
Gを正確に求めることができる。
【0078】
本実施の形態のように、イオンビームの正確な角度重心θ
Gを得るためには、角度測定装置48が備える各電極体64が
図6(a)に示すような角度感度係数k(θ)を有する必要がある。言いかえれば、各電極体64の角度感度係数k(θ)が三角形状であるという第1条件と、隣接する電極体間でビームの測定漏れが生じないように各電極体64を配置するという第2条件の双方を満たす必要がある。まず、第1条件として、各電極体64の角度感度係数k(θ)が三角形状となるようにするためには、電極体64の第1部分66のスリット幅方向の長さがスリット幅Sと同じである必要がある。仮に、電極体の第1部分のスリット幅方向の長さがスリット幅Sよりも短い場合や長い場合には、その電極体の角度感度係数は台形状となり、角度θに対して感度係数が一定となる範囲が生じてしまう。そうすると、上記式(10)が成立しなくなるため、実際の角度重心θ
Gと測定により得られる角度重心θ
G’の間に差が生じ、正確な角度重心θ
Gを得ることができない。同様にして、第2条件が満たされず、隣接する電極体間でビームの測定漏れが生じてしまうと、上記式(6)が成立しなくなるため、実際の角度重心θ
Gと測定により得られる角度重心θ
G’の間に差が生じてしまう。一方、本実施の形態によれば、これらの条件を満たすように各電極体64が配置されているため、正確な角度重心θ
Gを得ることができる。
【0079】
(変形例1)
図8は、変形例1に係る角度測定装置148の構成を模式的に示す断面図である。角度測定装置148は、複数の電極体164a,164b,164c,164d,164e,164f,164g(総称して電極体164ともいう)を有する。本変形例では、複数の電極体164a〜164gが山形(逆V字状)に配置される点で上述の実施の形態と相違する。本変形例について、上述の角度測定装置48との相違点を中心に説明する。
【0080】
複数の電極体164a〜164gのそれぞれは、スリット162を通過したイオンビームに対して露出する領域であるビーム測定面165a,165b,165c,165d,165e,165f,165g(総称してビーム測定面165ともいう)を有する。複数の電極体164a〜164gは、各電極のビーム測定面165a〜165gがスリット幅方向(x方向)に順に並べられるとともに、x方向に隣接するビーム測定面165同士がビーム進行方向(z方向)にずれるように配置されている。第1電極体164aは、スリット162からビーム進行方向に最も近い位置に配置され、第2電極体164b、第3電極体164c、第4電極体164dの順にビーム進行方向の奥側に配置される。同様に、第5電極体164e、第6電極体164f、第7電極体164gの順にビーム進行方向の奥側に配置される。
【0081】
第1電極体164aは、スリット幅方向の長さがスリット幅Sと同じ第1部分166aを有する。第2電極体164bは、スリット幅方向の長さがスリット幅Sと同じ第1部分166bと、第1部分166bの左側に設けられ、第1電極体164aとの間の隙間を埋めるための第2部分167bを有する。第3電極体164cは、スリット幅方向の長さがスリット幅Sと同じ第1部分166cと、第1部分166cの左側に設けられ、第2電極体164bとの間の隙間を埋めるための第2部分167cを有する。第4電極体164dは、スリット幅方向の長さがスリット幅Sと同じ第1部分166dと、第1部分166dの左側に設けられ、第3電極体164cとの間の隙間を埋めるための第2部分167dを有する。第5電極体164eは、第1部分166eと第2部分167eを有し、スリット162に対して第2電極体164bと左右対称になるように配置される。第6電極体164fは、第1部分166fと第2部分167fを有し、スリット162に対して第3電極体164cと左右対称になるように配置される。第7電極体164gは、第1部分166gと第2部分167gを有し、スリット162に対して第4電極体164dと左右対称になるように配置される。本変形例では、いずれの電極体であっても隣接する一組の電極体がビーム進行方向に重ならないように配置されている。これは、複数の電極体164a〜164gが山形(逆V字状)に配置されるためである。
【0082】
本変形例においても、各電極体164の角度感度係数k(θ)が三角形状となるようにし、かつ、隣接する電極体164間でビームの測定漏れが生じないように各電極体164を配置することができる。したがって、本変形例に係る角度測定装置148によれば、上述の実施の形態と同様に、スリット162から入射するイオンビームについて正確な角度重心θ
Gを得ることができる。
【0083】
(変形例2)
図9は、変形例2に係る角度測定装置248の構成を模式的に示す断面図である。角度測定装置248は、複数の電極体264a,264b,264c,264d,264e,264f,264g(総称して電極体264ともいう)を有する。本変形例では、複数の電極体264a〜264gがジグザグ状に互い違いに配置される点で上述の実施の形態と相違する。本変形例について、上述の角度測定装置48との相違点を中心に説明する。
【0084】
複数の電極体264a〜264gのそれぞれは、スリット262を通過したイオンビームに対して露出する領域であるビーム測定面265a,265b,265c,265d,265e,265f,265g(総称してビーム測定面265ともいう)を有する。複数の電極体264a〜264gは、各電極体のビーム測定面265a〜265gがスリット幅方向(x方向)に順に並べられるとともに、x方向に隣接するビーム測定面265同士がビーム進行方向(z方向)にずれるように配置されている。第1電極体264a、第3電極体264cおよび第6電極体264fは、スリット262から見てビーム進行方向の奥側に配置され、残りの第2電極体264b、第4電極体264d、第5電極体264eおよび第7電極体264gは、スリット262から見てビーム進行方向の手前側に配置される。
【0085】
第1電極体264aは、第1部分266aと第2部分267a1,267a2を有する。第2電極体264bは、第1部分266bを有し、左側にテーパー部269bが設けられる。第3電極体264cは、第1部分266cと第2部分267cを有する。第4電極体264dは、第1部分266dを有し、左側にテーパー部269dが設けられる。第5電極体264eは、第1部分266eを有し、右側にテーパー部269eが設けられる。第6電極体264fは、第1部分266fと第2部分267fを有する。第7電極体264gは、第1部分266gを有し、右側にテーパー部269gが設けられる。したがって、ビーム進行方向の奥側に配置される電極体には、第1部分と第2部分が設けられる。一方、ビーム進行方向の手前側に配置される電極体には、第1部分のみが設けられ、隣接する電極体の第2部分に向かうビーム成分を遮らないようにテーパー部が設けられる。
【0086】
本変形例においても、各電極体264の角度感度係数k(θ)が三角形状となるようにし、かつ、隣接する電極体264間でビームの測定漏れが生じないように各電極体264を配置することができる。したがって、本変形例に係る角度測定装置248によれば、上述の実施の形態と同様に、スリット262から入射するイオンビームについて正確な角度重心θ
Gを得ることができる。
【0087】
(変形例3)
図10は、変形例3に係る角度測定装置348の構成を模式的に示す断面図である。角度測定装置348は、複数の電極体364a,364b,364c,364d,364e,364f,364g(総称して電極体364ともいう)を有する。本変形例では、変形例2と同様に複数の電極体364a〜364gがジグザグ状に互い違いに配置される一方で、中央の第1電極体364aが手前側に配置される点で上述の変形例2と相違する。本変形例について、上述の変形例2に係る角度測定装置248との相違点を中心に説明する。
【0088】
複数の電極体364a〜364gのそれぞれは、スリット362を通過したイオンビームに対して露出する領域であるビーム測定面365a,365b,365c,365d,365e,365f,365g(総称してビーム測定面365ともいう)を有する。第1電極体364a、第3電極体364cおよび第6電極体364fは、スリット362から見てビーム進行方向の手前側に配置され、残りの第2電極体364b、第4電極体364d、第5電極体364eおよび第7電極体364gは、スリット362から見てビーム進行方向の奥側に配置される。
【0089】
第1電極体364aは、第1部分366aを有する。第2電極体364bは、第1部分366bと、左右両側に設けられる第2部分367b1,367b2を有する。第3電極体364cは、第1部分366cを有し、左側にテーパー部369cが設けられる。第4電極体364dは、第1部分366dと第2部分367dを有する。第5電極体364eは、第1部分366eと、左右両側に設けられる第2部分367e1,367e2を有する。第6電極体364fは、第1部分366fを有し、右側にテーパー部369fが設けられる。第7電極体364gは、第1部分366gと第2部分367gを有する。したがって、本変形例においても、ビーム進行方向の奥側に配置される電極体には、第1部分と第2部分が設けられる。一方、ビーム進行方向の手前側に配置される電極体には、第1部分のみが設けられ、隣接する電極体の第2部分に向かうビーム成分を遮らないようにテーパー部が設けられる。
【0090】
本変形例においても、各電極体364の角度感度係数k(θ)が三角形状となるようにし、かつ、隣接する電極体364間でビームの測定漏れが生じないように各電極体364を配置することができる。したがって、本変形例に係る角度測定装置348によれば、上述の実施の形態と同様に、スリット362から入射するイオンビームについて正確な角度重心θ
Gを得ることができる。
【0091】
(変形例4)
図11は、変形例4に係る角度測定装置448の構成を模式的に示す断面図である。角度測定装置448は、複数の電極体464a,464b,464c,464d,464e,464f,464g(総称して電極体464ともいう)を有する。本変形例では、各電極体464a〜464gのビーム測定面465a,465b,465c,465d,465e,465f,465g(総称してビーム測定面465ともいう)が上述の実施の形態と同様に構成される。その一方で、スリット462を通過したイオンビームに対して露出せず、ビーム測定面465として機能しない第3部分が電極体464の一部に設けられる点で上述の実施の形態と相違する。本変形例について、上述の実施の形態に係る角度測定装置48との相違点を中心に説明する。
【0092】
複数の電極体464a〜464gは、ビーム測定面465a〜465gがスリット幅方向(x方向)に順に並べられるとともに、x方向に隣接するビーム測定面465同士がビーム進行方向(z方向)にずれるように配置されている。具体的には、第1ビーム測定面465aがビーム進行方向の最も奥側に配置され、左右両端に配置される第4ビーム測定面465dおよび第7ビーム測定面465gがビーム進行方向の最も手前側に配置される。各ビーム測定面465a〜465gは、スリット幅方向がスリット幅Sと同じである第1部分のみにより構成されるか、または、第1部分と第1部分の隣に配置される第2部分とにより構成される。
【0093】
第1電極体464aは、第1部分466aと、第2部分467a1,467a2と、第3部分468a1,468a2を有する。第1電極体464aの第3部分468a1,468a2のそれぞれは、第2部分467a1,467a2の隣に配置される。第1電極体464aの第3部分468a1,468a2は、ビーム進行方向の手前側に配置される他の電極体464b〜464gの裏側に配置されるため、イオンビームが入射しない領域であり、イオンビームの測定結果に影響を与えない。しかしながら、第3部分468a1,468a2を設けることで第1電極体464aを支持するための構造の自由度を高めることができる。例えば、第3部分468a1,468a2の左右に設けられる支持構造(不図示)を用いて、第1電極体464aを所望の位置に固定することができる。
【0094】
第2電極体464bは、第1部分466bと、第2部分467bと、第3部分468bとを有し、左側にテーパー部469bが設けられる。第2電極体464bの第3部分468bは、ビーム進行方向の手前側に配置される第3電極体464cおよび第4電極体464dによりイオンビームの入射が遮られる位置に設けられる。第3電極体464cは、第1部分466cと、第2部分467cと、第3部分468cとを有し、左側にテーパー部469cが設けられる。第3電極体464cの第3部分468cは、ビーム進行方向の手前側に配置される第4電極体464dによりイオンビームの入射が遮られる位置に設けられる。第4電極体464dは、第1部分466dを有し、左側にテーパー部469dが設けられる。第4電極体464dは、ビーム進行方向の手前側に電極体が配置されないため、第3部分を有しない。
【0095】
第5電極体464eは、第1部分466eと、第2部分467eと、第3部分468eとを有し、右側にテーパー部469eが設けられる。第5電極体464eは、第2電極体464bと同様の形状を有し、スリット462に対して第2電極体464bと左右対称な位置に配置される。第6電極体464fは、第1部分466fと、第2部分467fと、第3部分468fとを有し、右側にテーパー部469fが設けられる。第6電極体464fは、第3電極体464cと同様の形状を有し、スリット462に対して第3電極体464cと左右対称な位置に配置される。第7電極体464gは、第1部分466gを有し、右側にテーパー部469gが設けられる。第7電極体464gは、スリット462に対して第4電極体464dと左右対称な位置に配置される。
【0096】
なお、各電極体464の第3部分のスリット幅方向の長さは任意であり、ビーム進行方向の手前側に配置される一以上の電極体に遮られる範囲内であれば図示する例より短くても長くてもよい。また、各電極体464の第3部分は、スリット462の長手方向(y方向)にわたって延在するように設けられてもよいし、スリット462の長手方向の一部範囲にのみ設けられてもよい。また第3部分は、第4電極体464dおよび第7電極体464gを除く全ての電極体464a,464b,464c,464e,464fに設けられなくてもよく、複数の電極体464の一部についてのみ設けられてもよい。
【0097】
本変形例においても、各電極体464の角度感度係数k(θ)が三角形状となるようにし、かつ、隣接する電極体464間でビームの測定漏れが生じないように各電極体464を配置することができる。したがって、本変形例に係る角度測定装置448によれば、上述の実施の形態と同様に、スリット462から入射するイオンビームについて正確な角度重心θ
Gを得ることができる。また、本変形例によれば、各電極体464を固定するための構造の自由度を高めることができる。
【0098】
(変形例5)
図12は、変形例5に係る角度測定装置548の構成を模式的に示す断面図である。角度測定装置548は、複数の電極体564a,564b,564c,564d,564e,564f,564g(総称して電極体564ともいう)を有する。本変形例では、各電極体564a〜564gのビーム測定面565a,565b,565c,565d,565e,565f,565g(総称してビーム測定面565ともいう)が変形例1と同様に構成される一方、スリット562を通過したイオンビームに対して露出しない第3部分が電極体564の一部に設けられる点で変形例1と相違する。本変形例について、上述の変形例1に係る角度測定装置148との相違点を中心に説明する。
【0099】
複数の電極体564a〜564gは、ビーム測定面565a〜565gがスリット幅方向(x方向)に順に並べられるとともに、x方向に隣接するビーム測定面565同士がビーム進行方向(z方向)にずれるように配置されている。具体的には、第1ビーム測定面565aがビーム進行方向の最も手前側に配置され、左右両端に配置される第4ビーム測定面565dおよび第7ビーム測定面565gがビーム進行方向の最も奥側に配置される。各ビーム測定面565a〜565gは、スリット幅方向がスリット幅Sと同じである第1部分のみにより構成されるか、または、第1部分と第1部分の隣に配置される第2部分とにより構成される。
【0100】
第1電極体564aは、第1部分566aを有する。第2電極体564bは、第1部分566bと、第2部分567bと、第3部分568bとを有する。第3電極体564cは、第1部分566cと、第2部分567cと、第3部分568cとを有する。第4電極体564dは、第1部分566dと、第2部分567dと、第3部分568dとを有する。第5電極体564eは、第1部分566eと、第2部分567eと、第3部分568eとを有し、第2電極体564bとの間に隙間が設けられるように配置される。第6電極体564fは、第1部分566fと、第2部分567fと、第3部分568fとを有し、第3電極体564cとの間に隙間が設けられるように配置される。第7電極体564gは、第1部分566gと、第2部分567gと、第3部分568gとを有し、第4電極体564dとの間に隙間が設けられるように配置される。
【0101】
本変形例においても、各電極体564の第3部分のスリット幅方向の長さは任意であり、ビーム進行方向の手前側に配置される一以上の電極体に遮られる範囲内であれば図示する例より短くても長くてもよい。また、各電極体564の第3部分は、スリット562の長手方向(y方向)にわたって延在するように設けられてもよいし、スリット562の長手方向の一部範囲にのみ設けられてもよい。また第3部分は、第1電極体564aを除く全ての電極体564b〜564gに設けられなくてもよく、複数の電極体564の一部のみに設けられてもよい。
【0102】
本変形例においても、各電極体564の角度感度係数k(θ)が三角形状となるようにし、かつ、隣接する電極体564間でビームの測定漏れが生じないように各電極体564を配置することができる。したがって、本変形例に係る角度測定装置548によれば、上述の実施の形態と同様に、スリット562から入射するイオンビームについて正確な角度重心θ
Gを得ることができる。
【0103】
(変形例6)
図13は、変形例6に係る角度測定装置648の構成を模式的に示す断面図である。角度測定装置648は、複数の電極体664a,664b,664c,664d,664e,664f,664g(総称して電極体664ともいう)を有する。本変形例では、各電極体664a〜664gのビーム測定面665a,665b,665c,665d,665e,665f,665g(総称してビーム測定面665ともいう)が変形例5と同様に構成される一方、一部の電極体664のビーム進行方向の厚さが大きい点で変形例5と相違する。本変形例について、上述の変形例5に係る角度測定装置548との相違点を中心に説明する。
【0104】
複数の電極体664a〜664gは、ビーム測定面665からビーム測定面665と反対側の裏面までのビーム進行方向の厚さが異なるように構成され、各電極体664の裏面の位置が揃うように構成されている。その結果、ビーム測定面665がスリット662に近い電極体664ほどビーム進行方向の厚さが大きく、ビーム測定面665がスリット662から遠い電極体664ほどビーム進行方向の厚さが小さい。図示されるように、中央に配置される第1電極体664aのビーム進行方向の厚さが大きく、左右両端に配置される第4電極体664dおよび第7電極体664gのビーム進行方向の厚さが小さい。
【0105】
第1電極体664aは、第1部分666aを有する。第2電極体664bは、第1部分666bと、第2部分667bとを有する。第3電極体664cは、第1部分666cと、第2部分667cと、第3部分668cとを有する。第4電極体664dは、第1部分666dと、第2部分667dと、第3部分668dとを有する。第5電極体664eは、第1部分666eと、第2部分667eとを有する。第6電極体664fは、第1部分666fと、第2部分667fと、第3部分668fとを有する。第7電極体664gは、第1部分666gと、第2部分667gと、第3部分668gとを有する。隣接する電極体664の間にはわずかな隙間が設けられる。この隙間は、電極体間の絶縁を確保するために必要であるが、正確な角度重心θ
Gを得るために可能な限り小さいことが好ましい。なお、第3電極体664c、第4電極体664d、第6電極体664fおよび第7電極体664gについては、第3部分のスリット幅方向の長さを小さくする、または、第3部分をなくすことにより隣接する電極体664間の隙間が確保されるようにしてもよい。
【0106】
本変形例においても、各電極体664の角度感度係数k(θ)が三角形状となるようにし、かつ、隣接する電極体664間でビームの測定漏れが生じないように各電極体664を配置することができる。したがって、本変形例に係る角度測定装置648によれば、上述の実施の形態と同様に、スリット662から入射するイオンビームについて正確な角度重心θ
Gを得ることができる。また、本変形例によれば、各電極体664の裏面が揃うように配置されているため、各電極体664の固定が容易となる。
【0107】
(変形例7)
図14は、変形例7に係る角度測定装置748の構成を模式的に示す断面図である。角度測定装置748は、複数の電極体764a,764b,764c,764d,764e,764f,764g(総称して電極体764ともいう)を有する。本変形例は、上述の実施の形態に係る電極体64a〜64gと同様の角度感度係数k(θ)が実現されるように各電極体764を配置しており、実施の形態に係る電極体64a〜64gの位置を破線で示している。本変形例では、各電極体764a〜764gのビーム測定面765a,765b,765c,765d,765e,765f,765g(総称してビーム測定面765ともいう)が電極体764の上面のみならず側面の一部により構成されている点で上述の実施の形態および変形例と相違する。本変形例について、上述の実施の形態に係る角度測定装置48との相違点を中心に説明する。
【0108】
複数の電極体764a〜764gは、ビーム進行方向の厚さが異なるように構成され、各電極体764の裏面の位置が揃うように構成されている。その結果、ビーム測定面765がスリット762に近い電極体764ほどビーム進行方向の厚さが大きく、ビーム測定面765がスリット762から遠い電極体764ほどビーム進行方向の厚さが小さい。図示されるように、中央に配置される第1電極体764aのビーム進行方向の厚さが小さく、左右両端に配置される第4電極体764dおよび第7電極体764gのビーム進行方向の厚さが大きい。
【0109】
各ビーム測定面765のそれぞれは、上述の実施の形態に係る電極体64a〜64gの対応するビーム測定面に入射するビーム成分のすべてを測定できるような位置に配置される。具体的には、第1ビーム測定面765aは、実施の形態に係る第2電極体64bと第5電極体64eの間を埋めるように配置される。第2ビーム測定面765bは、第1ビーム測定面765aと実施の形態に係る第3電極体64cの間を埋めるように配置される。第3ビーム測定面765cは、第2ビーム測定面765bと実施の形態に係る第4電極体64dの間を埋めるように配置される。第4ビーム測定面765dは、実施の形態に係る第4電極体64dに向かうビーム成分を全て遮るような位置に配置される。同様にして、第5ビーム測定面765eは、第1ビーム測定面765aと実施の形態に係る第6電極体64fの間を埋めるように配置される。第6ビーム測定面765fは、第5ビーム測定面765eと実施の形態に係る第7電極体64gの間を埋めるように配置される。第7ビーム測定面765gは、実施の形態に係る第7電極体64gに向かうビーム成分を全て遮るような位置に配置される。このように各電極体764を構成することで、実施の形態に係る角度測定装置48と同様の角度感度係数を有する角度測定装置748を実現できる。
【0110】
したがって、本変形例においても、各電極体764の角度感度係数k(θ)が三角形状となるようにし、かつ、隣接する電極体764間でビームの測定漏れが生じないように各電極体764を配置することができる。よって、上述の実施の形態と同様に、スリット762から入射するイオンビームについて正確な角度重心θ
Gを得ることができる。また、本変形例によれば、各電極体764の裏面が揃うように配置されているため、各電極体764の固定が容易となる。
【0111】
(変形例8)
図15は、変形例8に係る角度測定装置848の構成を模式的に示す断面図である。本変形例では、上述の実施の形態にて示した複数の電極体64a〜64gのそれぞれが複数の微小電極に分割されており、複数個の微小電極(微小電極群)により一つのビーム測定面が構成される。本変形例について、上述の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0112】
角度測定装置848は、複数の電極体864a,864b,864c,864d,864e,864f,864g(総称して電極体864ともいう)を有する。複数の電極体864a〜864gのそれぞれは、三つの微小電極を有する。各電極体864が有する三つの微小電極は、ビーム入射面がビーム進行方向にずれるように配置され、例えば、図示されるようにV字状に配置される。各電極体864a〜864gのビーム測定面865a,865b,865c,865d,865e,865f,865g(総称してビーム測定面865ともいう)のそれぞれは、各電極体864が有する三つの微小電極により構成される。その結果、各電極体864の角度感度係数k(θ)は、各微小電極の角度感度係数を合計したものに対応する。本変形例においても、各電極体864は、上述の実施の形態に係る電極体64と同様の角度感度係数k(θ)を有するように構成されるため、スリット862から入射するイオンビームについて正確な角度重心θ
Gを得ることができる。
【0113】
なお、各電極体864が有する微小電極数は、3個に限られず、2個であってもよいし、4個以上であってもよい。また、複数の電極体864a〜864gのそれぞれが有する微小電極数は同じであってもよいし、それぞれが異なる数の微小電極を有してもよい。また図示する例では、各電極体864がスリット幅方向(x方向)に分割される場合を示しているが、各電極体864をスリット862の長手方向に(y方向)分割してもよいし、スリット幅方向と長手方向の双方について各電極体864を分割してもよい。
【0114】
(変形例9)
図16は、変形例9に係る角度測定装置948の構成を模式的に示す断面図である。角度測定装置948は、複数の電極体964a,964b,964c,964d,964e,964f,964g(総称して電極体964ともいう)を有する。本変形例では、各電極体964a〜964gのビーム測定面965a,965b,965c,965d,965e,965f,965g(総称してビーム測定面965ともいう)がビーム進行方向の同じ位置(距離L)となるように配置されている点で上述の実施の形態および変形例と相違する。各ビーム測定面965は、スリット幅方向の長さがスリット幅Sと同じであり、隣接する電極体との間に隙間がほとんど生じないように配置される。本変形例においても、各電極体964が上述の実施の形態に係る電極体64と同様の角度感度係数k(θ)を有するように構成されるため、スリット962から入射するイオンビームについて正確な角度重心θ
Gを得ることができる。
【0115】
なお、さらなる変形例においては、各電極体964が複数の微小電極に分割されていてもよい。例えば、各電極体964がn個(nは2以上の整数)の微小電極に分割されることにより、各微小電極のスリット幅方向の長さがスリット幅Sの1/n倍(つまり、S/n)となるように構成されてもよい。各電極体964がn個の微小電極に分割される場合であっても、n個で構成で構成される微小電極群が上述の実施の形態に係る電極体64と同様の角度感度係数k(θ)を有するため、上記実施の形態と同様にイオンビームについての正確な角度重心θ
Gを得ることができる。
【0116】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれ得る。
【0117】
上述の実施の形態では、可動式のセンターカップ42に角度測定装置48が設けられる場合について示した。さらなる変形例においては、固定式のサイドカップ40(40R、40L)に上述の実施の形態または変形例に係る角度測定装置が設けられてもよい。
【0118】
上述の実施の形態および変形例においては、ビーム走査方向であるx方向の角度成分を測定するためにスリットのスリット幅方向がx方向となるように角度測定装置が配置される場合について示した。さらなる変形例においては、ビーム走査方向と直交するy方向の角度成分を測定するためにスリット幅方向がy方向となるように角度測定装置が配置されてもよい。また、x方向およびy方向のそれぞれの角度成分が測定可能となるように、スリット幅方向がx方向となるように配置される第1角度測定装置と、スリット幅方向がy方向となるように配置される第2角度測定装置とを組み合わせて用いてもよい。
【0119】
上述の実施の形態および変形例では、第1電極体がスリットの正面に配置され、スリットの中央部からビーム進行方向に延ばした平面に対して左右対称(面対称)となる電極体の配置について示した。さらなる変形例においては、各電極体がスリット位置を基準として対称となるように配置されてなくてもよい。例えば、スリットの正面に配置される第1電極体がスリットの中央部からずれた位置に配置されてもよい。また、設けられる電極体の数は奇数でなくてもよく、偶数であってもよい。