特許第6580010号(P6580010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6580010
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】電力用電子デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20190912BHJP
【FI】
   H02M3/155 H
   H02M3/155 C
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-175112(P2016-175112)
(22)【出願日】2016年9月8日
(65)【公開番号】特開2017-60393(P2017-60393A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2016年11月1日
(31)【優先権主張番号】14/856,286
(32)【優先日】2015年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ピエールイジ・テンカ
(72)【発明者】
【氏名】パオロ・ソルディ
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ・カラストロ
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−086750(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/144249(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/004120(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0285014(US,A1)
【文献】 特表2016−513949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキャパシタが直列に接続された入力側の第1のキャパシタの第1の中点に一端が、複数のキャパシタが直列に接続された出力側の第2のキャパシタの第2の中点に他端が結合するように構成された少なくとも1つのインダクタと、
前記インダクタを流れる第1の電流と、前記インダクタを流れる第2の電流と、を制御するように構成されたコントローラと、
を含み、
前記第1の電流および前記第2の電流は、互いに逆方向に流れ、
前記コントローラは、前記インダクタを流れる電流の平均値がほぼ0で、主として奇数次高調波を含むように、前記第1の電流および前記第2の電流を制御する、
DC−DCコンバータ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのインダクタは、単一のインダクタである、請求項1に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項3】
少なくとも2つのスイッチング期間の時間間隔において整流するように構成された第1のスイッチおよび第2のスイッチを含み、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの一端が、それぞれ第1のキャパシタの一端および他端に、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの他端が第1の中点に結合された、
請求項1または2に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第1の電流が存在する場合には、第1の期間に前記インダクタを充電させ、前記第2の電流が存在する場合には、第2の期間に前記インダクタを充電させるように構成され、
前記第1の期間および前記第2の期間は、互いにほぼ等しい時間である、
請求項1から3のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1の電流および前記第2の電流を制御することにより、インダクタを流れる電流の高調波成分を制御するように構成される、請求項1から4のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。
【請求項6】
前記第1の電流および前記第2の電流は、半波対称性を含む、請求項1から5のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。
【請求項7】
前記第1のキャパシタの第3の中点と前記第2のキャパシタが第4の中点とが互いに結合されている、請求項1から6のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。
【請求項8】
前記コントローラは、前記第1の電流が、前記第2の電流と振幅の時間的変化がほぼ等しく位相が異なるように制御する、請求項1から7のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。
【請求項9】
一端が前記第1の中点に、他端が前記第2の中点に結合するように構成された、第1のインダクタとは異なる第2のインダクタをさらに含み、
前記コントローラは、前記第2のインダクタを流れる第3の電流と、前記第2のインダクタを流れる第4の電流と、を制御するように構成され、
前記第3の電流および前記第4の電流は、互いに逆方向に流れ、
前記コントローラは、前記第2のインダクタを流れる電流の平均値がほぼ0で、主として奇数次高調波を含むように、前記第3の電流および前記第4の電流を制御する、
請求項1から8のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。
【請求項10】
前記コントローラは、前記第1の電流の位相と前記第3の電流の位相とをずらすように制御する、請求項9に記載のDC−DCコンバータ。
【請求項11】
前記コントローラは、前記DC−DCコンバータのスイッチを対称に開閉することにより、加熱を低減するように構成される、請求項1から10のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。
【請求項12】
前記第1のキャパシタは、DC電源に結合するように構成され、
前記第2のキャパシタは、DC負荷に結合するように構成される、
請求項1から11のいずれかに記載のDC−DCコンバータ。
【請求項13】
複数のキャパシタが直列に接続された入力側の第1のキャパシタの第1の中点に一端が、複数のキャパシタが直列に接続された出力側の第2のキャパシタの第2の中点に他端が結合するように構成された少なくとも1つのインダクタを備えるDC−DCコンバータを制御する方法であって、
前記インダクタを流れる電流の平均値がほぼ0で、主として奇数次高調波を含むように、前記インダクタを逆方向に流れる第1の電流および第2の電流を制御するステップを含む、
方法。
【請求項14】
前記第1の電流により前記インダクタを充電するステップと、
前記第1の電流により前記インダクタを放電するステップと、
前記第2の電流により前記インダクタを充放電するステップと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記インダクタに直列に結合された電流調整キャパシタの電圧信号に基づいて、第1の方向に前記インダクタを通る電流の存在を検出するステップと、
前記第1の方向に前記インダクタを通る電流を、逆方向に前記インダクタを通る電流相殺するステップと、
を含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
車両であって、
直流バスに結合されたエネルギー源、および前記直流バスに結合されたDC−DCコンバータを有する電気推進システムであって、前記DC−DCコンバータは、複数のキャパシタが直列に接続された入力側の第1のキャパシタの第1の中点に一端が、複数のキャパシタが直列に接続された出力側の第2のキャパシタの第2の中点に他端が結合された少なくとも1つのインダクタを含む、電気推進システムと、
前記少なくとも1つのインダクタを流れる第1の電流と、前記少なくとも1つのインダクタを流れる第2の電流とを制御するように動作可能なコントローラと、
を含み、
前記第1の電流および前記第2の電流は、互いに逆方向に流れ、
前記コントローラは、前記インダクタを流れる電流の平均値がほぼ0で、主として奇数次高調波を含むように、前記第1の電流および前記第2の電流を生じさせる、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、電力変換に関し、より具体的には、2つ以上の直流(DC)電圧の間でエネルギーを変換するための電力用電子デバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの回路は、様々な動作特性に耐えるように設計することができる。電力変換は、運輸業界を含む様々な産業において役割を担っている。電力を変換する1つの方法は、DC−DCコンバータである。しかし、DC−DCコンバータは、複数のインダクタを含む場合があり、このインダクタは、DC−DCコンバータ内に特定量の持続するDC電流を生じさせるおそれがある。このような構成は、非効率的であり、DC−DCコンバータのスイッチの過熱を引き起こす。
【0003】
以上に鑑みて、電力変換のための現在の解決策および技術に関連する重大な問題および欠点があり得ることが理解されよう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2015/004120号明細書
【発明の概要】
【0005】
第1の実施形態では、電力用電子デバイスは、第1のキャパシタおよび第2のキャパシタに結合するように構成された少なくとも1つのインダクタと、インダクタを流れる第1の電流と、インダクタを流れる第2の電流と、を制御するように構成されたコントローラと、を含み、第1の電流および第2の電流は、互いに逆方向に流れ、第1の電流および第2の電流は、インダクタを通る正味の直流(DC)成分がほぼ0になるように、インダクタを通して互いに相互作用する。
【0006】
第2の実施形態では、方法は、インダクタを逆方向に流れる第1の電流の第1の流れおよび第2の電流の第2の流れを、インダクタを通る正味の電流が主に奇数次高調波を含むように制御するステップを含む。
【0007】
第3の実施形態では、車両は、直流(DC)バスに結合されたエネルギー源、およびDCバスに結合された電力用電子デバイスを有する電気推進システムであって、電力用電子デバイスは、第1のキャパシタおよび第2のキャパシタに結合された少なくとも1つのインダクタを含む、電気推進システムと、前記少なくとも1つのインダクタを流れる第1の電流と、前記少なくとも1つのインダクタを流れる第2の電流と、を生じさせるように動作可能なコントローラと、を含み、第1の電流および第2の電流は、互いに逆方向に流れ、第1の電流および第2の電流は、少なくとも1つのインダクタを通る正味のDC成分がほぼ0になるように、少なくとも1つのインダクタを通して互いに相互作用する。
【0008】
本開示のこれらのおよび他の特徴ならびに態様について添付の図面を参照して説明するが、図面の全体にわたって、類似する符号は類似する部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】1つの電圧から別の電圧へDC電力を変換する中点コンバータの一実施形態の回路図である。
図2図1の中点コンバータの一実施形態におけるインダクタの電力特性を示す一組のグラフである。
図3】中点コンバータの別の実施形態の回路図である。
図4】多相モジュールを有する中点コンバータの一実施形態の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で開示される主題は、電力変換に関し、より具体的には、2つ以上の直流(DC)電圧の間でエネルギーを変換するための電力用電子デバイスおよび方法に関する。
【0011】
本明細書で説明するシステムおよび方法は、より小型で、信頼性が高く、および/または手頃なDC−DC電力コンバータを提供する電力コンバータを目的とする。本開示の実施形態は、中点単一出力コンバータを目的とする。一実施形態では、中点コンバータの単一インダクタは、対称スイッチング動作モードを有することにより、ほぼ0またはその近傍の電流のDC成分で動作し、それによって、他のコンバータのインダクタと比較してより小さな空間を占める単一インダクタを使用することを可能にする。さらに、本開示のいくつかの実施形態は、単一ACインダクタを用いることにより、改良された保護を提供することができる。さらに、本コンバータはより少数のスイッチ対を利用することができ、他のコンバータよりも炭化ケイ素(SiC)技術により適している可能性がある。
【0012】
以上を念頭に置いて、一実施形態では、電力用電子デバイスは、中点単一出力コンバータを含むことができる。これは、他のタイプのコンバータと比較して、空間、重量、電気的損失、部品数を節約することができる。この実施形態は、非チェーンリンクコンバータなど、使用する部品をより少なくすることができる低電圧および中電圧設定で有用であり得る。本明細書で使用する低電圧は、たとえば、約10Vから約2,000Vとすることができ、中間電圧は、たとえば、約2,000Vから約10,000Vとすることができる。図1を参照すると、中点コンバータ40の一実施形態の回路図が示され、それは1つの電圧のDC電源42からの電力をDC負荷44へ別の電圧に変換する。すなわち、Vin46は、Vout48に増加または減少することができる。
【0013】
図1に示すように、コンバータ40は、入力電圧Vin46を出力電圧Vout48に変換する降圧型コンバータであってもよい。コンバータ40は、1つまたは複数のキャパシタ(たとえば、CIN50、52、COUT54、56)によりDC電源42およびDC負荷44に結合することができる。入力側58では、第1のDC電圧(たとえば、CIN50の両端の電圧)および第2のDC電圧(たとえば、CIN52の両端の電圧)は、第1の共通基準点62に対して反対の極性を有することができる。すなわち、中点コンバータ40は、中心点(たとえば、共通基準点62)に対して、正電圧(たとえば、CIN50の両端)および負電圧(たとえば、CIN52の両端)を有することができる。同様に、出力側60では、第3のDC電圧(たとえば、COUT54の両端の電圧)および第4のDC電圧(たとえば、COUT56の両端の電圧)は、第2の共通基準点64に対して反対の極性を有することができる。入力側58と同様に、中点コンバータ40の出力側60もまた、中心点(たとえば、共通基準点62)に対して正電圧(たとえば、COUT54の両端)および負電圧(たとえば、COUT56の両端)を有することができる。さらに、第1および第2の共通基準点62、64は、グランド66に結合することができる。場合によっては、正電圧および負電圧が互いに異なっていてもよいし、あるいは電圧が互いに等しくてもよい。中点コンバータ40は、入力電圧レベルVin46を出力電圧レベルVout48に変換するための1つまたは複数の位相モジュール68を含むことができる。
【0014】
位相モジュール68は、入力側58と出力側60との間に単一インダクタ70を含むことができる。さらに、位相モジュール68は、入力側58に1つまたは複数のスイッチを含むことができる。たとえば、位相モジュール68は、正極側に第1のスイッチ76および負極側に第2のスイッチ78を含むことができる。単一インダクタ70を通る電流ILB72は、スイッチ76または78が開いているか閉じているかに応じて変化する。図1に示すように、位相モジュール68は、入力側58にスイッチ76、78を有する2レベルモジュール74を含むことができる。場合によっては、スイッチ76、78を有するモジュールは、差動電圧用の定格であってもよい。他の適切な電圧および用途は、ケイ素デバイスとは異なる電圧能力を有する炭化ケイ素(SiC)デバイスの電圧特性を含むことができる。
【0015】
位相モジュール68は、出力側60に少なくとも2つのスイッチおよび/またはダイオードを含むことができる。たとえば、出力側60は、正極側に第1のダイオード80および負極側に第2のダイオード82を含むことができる。適切なスイッチとしては、機械的スイッチ、電子的スイッチ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、電界効果トランジスタ(FET)などを挙げることができる。本明細書で使用されるように、ダイオードは、スイッチと相互に交換可能に呼ぶことができる。すなわち、本明細書で使用されるスイッチという用語は、ダイオードまたは他の同様の部品を意味するが、それは、ダイオードが電流の流れ(たとえば、逆バイアスまたは順バイアス)に基づいて開閉することにより動作することができ、スイッチが開閉することができるからである。入力側58が短絡した場合に、出力側60のダイオードおよび/またはスイッチの存在によって、入力側58が出力キャパシタCOUT54、56のうちの1つまたは複数に蓄積されたエネルギーを受け取らないように保護することができる。すなわち、障害発生時には、出力側60のスイッチおよび/またはダイオードの転流(たとえばダイオードが逆バイアスされ、開回路として機能する)によって、入力側58を保護することができる。
【0016】
位相モジュール68のインダクタ70は、1つまたは複数の端子を含むことができる。図示する実施形態では、2つの端子71、73を示す。第1の端子71は、入力側58のスイッチに結合することができる。第1の端子71は、第1のスイッチ76と第2のスイッチ78との間に結合することができる。同様に、第2の端子73は、出力側78のスイッチおよび/またはダイオード(たとえばダイオード80、82)に結合することができる。具体的には、第2の端子73は、第1のダイオード80と第2のダイオード82との間に結合することができる。第1の端子71および第2の端子73は、スイッチ76、78および/またはダイオード80、82を介してキャパシタCIN50、52および/またはCOUT54、56に結合することができる(たとえば、スイッチおよび/またはダイオードを介してキャパシタに間接的に結合される)。
【0017】
スイッチ76、78は、開閉することができる。このような動作は、コントローラまたは制御回路77によって制御されたデューティサイクルに基づくことができる。制御回路77は、プロセッサ79もしくは複数のプロセッサおよびメモリ81を含むことができる。プロセッサ79は、本明細書で説明する技術を実施するための命令を実行するために、メモリ81に動作可能に結合することができる。これらの命令は、メモリ81および/または他の記憶装置などの有形の非一時的コンピュータ可読媒体に格納されるプログラムまたはコードに符号化することができる。プロセッサ79は、汎用プロセッサ、システムオンチップ(SoC)デバイス、もしくは特定用途向け集積回路、または他の何らかのプロセッサ構成であってもよい。
【0018】
これら様々なコンピューティング要素、コンピュータ、および/または構成要素は、1つまたは複数のモジュールまたは追加の構成要素を含むことができることを理解されたい。本明細書中で使用される「モジュール」という用語は、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、クラウドベースの処理システム、および/またはこれらの様々な組み合わせを意味すると理解することができる。しかし、モジュールは、ハードウェア、ファームウェア上に実装されていない、またはプロセッサにより読み取り可能で記録可能な記憶媒体に記録されていないソフトウェアとして解釈すべきではない(すなわち、モジュールは、ソフトウェア自体ではない)。モジュールは例示的なものであることに留意されたい。モジュールは、様々な用途をサポートするために、組み合わされ、一体化され、分離され、および/または重複されてもよい。また、特定のモジュールで実行されるものとして本明細書で説明した機能は、特定のモジュールで実行される機能の代わりに、またはそれに加えて、1つもしくは複数の他のモジュールおよび/または1つもしくは複数の他のデバイスによって実行されてもよい。さらに、モジュールは、互いにローカルもしくはリモートの複数の装置および/または他の構成要素にわたって実装することができる。さらに、モジュールは、1つの装置から移動して、別の装置に付加することができ、および/または両方の装置に含めることができる。
【0019】
本実施形態では、メモリ81はコンピュータ可読媒体を含み、それはたとえば、限定はしないが、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、フロッピーディスク、フラッシュドライブ、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ならびに/または、プロセッサ79が命令および/もしくはデータを記憶、検索、および/もしくは実行することを可能にする任意の適切な記憶装置などである。メモリ81は、1つまたは複数のローカルおよび/またはリモートの記憶装置を含むことができる。制御回路77は、スイッチ76、78を開閉するゲートに信号を送信することによりデューティサイクルを制御することができる。デューティサイクルは、スイッチのON期間と三角キャリア基本周期(1/周波数)との比とすることができ、それは0〜1の範囲であり得る。デューティサイクルは、制御回路77への入力に基づいて、またはメモリ81に記憶されているデータにより、変化することができる。
【0020】
コンバータ40の制御回路77は、いくつかの異なるスイッチングモードの間で循環することができる。図2は、中点コンバータ40のインダクタ12の一実施形態の、インダクタの両端の電圧(グラフ92)、インダクタを通る電流(グラフ94)、およびスイッチ76、78を開閉するためのスイッチングコマンド(グラフ96)を示す一組のグラフである。たとえば、第1のモードは、スイッチ76を閉じ、スイッチ78を開き、ダイオード82を逆バイアスに保持することを含むことができる。グラフ94に示すように、第1のモードの間では、インダクタ70を通る正電流(ILB72>0)が増加する。第2のモードは、スイッチ76、78を開き、ダイオード82を逆バイアスにして、インダクタ70が負方向に放電するように保持することを含むことができる。グラフ94に示すように、キャパシタ50、52がインダクタ70を充電するように接続されないので、インダクタ70を通る電流ILB72は減少する。第2のモードでは、インダクタ70を通る正電流があり、インダクタ70は電流ILB72を放電している。第3のモードは、スイッチ76を開き、スイッチ78を閉じ、ダイオード80を逆バイアスにすることを含むことができる。グラフ94に示すように、モード3の間では、インダクタ70を通る電流ILB72は逆方向に増加する。すなわち、インダクタ70が充電されており、インダクタ70を通る負電流(すなわち、iLB72<0)がある。第4のモードは、スイッチ76、78を開き、ダイオード80を逆バイアスにすることを含むことができる。グラフ94に示すように、インダクタ70は、逆方向に電流ILB72を放電している。第5のモードは、スイッチ76、78の両方を開くことを含むことができる。モード1および2では、ダイオード82は逆バイアスであってもよい。モード3および4では、ダイオード80は逆バイアスであってもよい。図2に示すように、非0のインダクタ電流を有するモードは、グランド51に対して2×2の対称性を有する。すなわち、第1のモードおよび第2のモードは、第3のモードおよび第4のモードと対称である。たとえば、インダクタ70は、同様の時間および/または振幅で反対方向に電流ILB72により充電するので、第1のモードは第3のモードと対称である。同様に、インダクタ70は、同様の時間および/または振幅で反対方向に電流ILB72により放電するので、第2のモードは第4のモードと対称である。このように、第1、第2、第3、および第4のモードは、順方向および逆方向に対称的に動作する。これは、グランド51に対する容量性および誘導性結合の対称的な挙動を生成する。
【0021】
インダクタ中の電流の平均値は、0またはほぼ0であってもよい。これは、対称なインダクタ電流72を生じる動作時のスイッチングモードの対称性によるものであり得る。さらに、グラフ94に示すインダクタ70を通る電流ILB72が半波対称性を有するので、電流72は、偶数次および奇数次の両方の高調波とは対照的に、主として奇数次高調波を含むことができる。このように、入力側58および出力側60からの電流によって生じるインダクタ70中の電流の平均値は、インダクタ70内の構成的高調波のレベルを制御することができる。このように、インダクタ70は、低減された高調波を含むことができ、中点コンバータ40の半波対称性によって、より良好な電力品質、および複数のインダクタを用いたものと同一の電力を提供するために使用可能なより小型でおよび/またはより手頃なインダクタを得ることができる。このように、単一インダクタ70を用いた位相モジュール68を利用するコンバータ40は、半波対称性およびその結果生じる比較的低減された高調波により、少なくとも部分的に、有用であり得る異なるインダクタを可能にすることができる。さらに、インダクタ電流の対称的な挙動は、電磁干渉(EMI)を低減することができる。入力側スイッチ76、78の対称的な使用は、位相モジュール68の熱応力が正極側および負極側のスイッチ76、78の間で均一に分配されることを可能にし、それによって、位相モジュール68内の熱機械的歪みを低減することができる。他のタイプのコンバータと比較して、コンバータ40の対称性は、制御可能なスイッチ76、78および逆並列ダイオード116の対を含むことができる標準的なパッケージにより、より少ないスイッチ対、ダイオード、または他の部品を可能にすることができる。
【0022】
図3は、電圧を増加または減少させるために使用することができる位相モジュール108を有する降圧昇圧型中点コンバータ106の回路図である。降圧昇圧型中点コンバータ106は、入力側58にスイッチ110、112および出力側60にスイッチ114、116を含むことができる。システムが降圧モードである(すなわち、入力側58から出力側60へ電圧を減少させる)場合には、入力側58のスイッチ110、112を利用することができ、システムが昇圧モードである(すなわち、入力側58から出力側60へ電圧を増加させる)場合には、出力側60のスイッチ114、116を利用することができる。いくつかの実施形態では、入力側スイッチが使用されるか、あるいは出力側スイッチが用いられる。
【0023】
特定の実施形態では、位相モジュール108は、1つまたは複数の閉じた経路118を含むことができる。適切な閉じた経路は、回路ループを含むことができる。たとえば、図3では、4つの閉じた経路118があり、閉じた経路118は、それぞれ1つのスイッチ110、112、114、もしくは116および1つのダイオード120(たとえば、環流ダイオード)を含む。同様に、図1では2つの閉じた経路があり、閉じた経路は、それぞれ1つのスイッチおよび1つのダイオードを含む。
【0024】
再び図3を参照すると、位相モジュール108は、インダクタ124と直列に電流調整キャパシタ122(たとえば、大容量で低電圧のキャパシタ、またはスーパーキャパシタ)を含むことができる。さらに、バリスタおよび/またはトランゾーブ126をキャパシタに並列に接続して、過渡現象および/または故障に起因して過電圧状態が発生した場合に、キャパシタ電圧を制限し、バリスタおよび/またはトランゾーブ126に電流を転流することができる。電流調整キャパシタ122は、制御回路77とともに使用される場合に、インダクタ124を通る電流ILB128がほぼ0の平均値を有することを保証することができる。たとえば、キャパシタ122の両端の電圧を制御回路77によってある期間にわたってモニタし、インダクタ124の特性(たとえば、インダクタの設計)および/またはインダクタ124の所望の動作に対応するしきい値と比較することができる。モニタされた電圧がこれらのしきい値を超えた場合には、得られた平均インダクタ電流ILB128を相殺するように、制御回路77により調整(たとえば、スイッチ110、112、114、および/または116のデューティサイクルの変化)を採用することができる。さらに、電流調整キャパシタ122は、位相モジュール108が共振モードで動作することを可能にし、共振モードでは、制御回路77が相殺を採用すべきか否かを識別することを可能にするように、インダクタ124を通る電流ILB128が調整(たとえば、平滑化)される。
【0025】
いくつかの実施形態では、入力側58に接続されたスイッチまたは出力側60に接続されたスイッチのいずれかが、2つのスイッチング期間から成る時間間隔にわたって転流され得る。すなわち、電力がいずれかの方向に転送され、受電側のスイッチは開いたままである。たとえば、スイッチ110および112は、少なくとも2つの期間(たとえば、電源から負荷に電力を転送する場合)の時間間隔にわたって開くことができ、一方、スイッチ114、116は、上述した動作モードに応じて開き、および/または閉じる。あるいは、スイッチ114および116は、少なくとも2つの期間(たとえば、負荷から電源に電力を転送する場合)の時間間隔にわたって開くことができ、一方、スイッチ110、112は、上述した動作モードに応じて開き、および/または閉じる。このように、コンバータ106は、降圧コンバータまたは昇圧コンバータのいずれかとして動作することができる。
【0026】
インダクタ124を通る電流ILB128は、非0のインダクタ電流値の持続時間が1/周波数に達するまでは、不連続導通モードであってもよい。インダクタンス、周波数、Vin、Voutに基づいて、最大転送平均電力は、このような境界条件に対する限界に達するが、それは、各半周期において、電流が0から上昇して0に戻るための時間がないからである。すなわち、コンバータは、最大電力に達するまでは、単一の不連続モードで動作することができ、コンバータは、境界条件の下で電力を転送することができる。
【0027】
特定の実施形態では、2つ以上の位相モジュールが並列に接続されてもよい。図4に示すように、第1の位相モジュール148は、図1の位相モジュール68または図3の位相モジュール108と同様の部品(たとえば、スイッチ150、152、インダクタ154、ダイオード156、158)を含むことができる。第1の位相モジュール148は、第1の位相モジュール148と同様の部品(たとえば、スイッチ162、164、インダクタ166、ダイオード168、170)を有する第2の位相モジュール160に並列に結合することができ、それは1つまたは複数の他の位相モジュールに(たとえば、並列に)結合することができる。複数の位相モジュール148、160を用いることにより、コンバータ171は、位相モジュール148、160のインダクタ154、166を通る電流ILB172、174の間の位相シフトがある場合に対する時間インターリーブにより、キャパシタ54、56の電流のスペクトルを作成することができる。たとえば、3相モジュールの実施形態の1つまたは複数のインダクタの第3高調波の影響を、2/周波数の周期で2π/9ラジアン(40度)だけ3つの位相を位相シフトすることによって緩和することができる。
【0028】
本明細書では、様々な実施形態について、添付の図面を参照して説明してきた。しかし、様々な修正および変更をそれに加えることができることは明らかであろうし、添付の特許請求の範囲に記載された本開示のより広い範囲から逸脱することなく、追加の実施形態を実施することができる。したがって、明細書および図面は、限定的ではなく、例示的な意味で考えられるべきである。
【0029】
この点で、本明細書に記載した発電装置および方法は、固定または移動用途で使用することができることに留意されたい。固定用途に関して、好適なシステムとしては発電を挙げることができる。好適な発電システムとしては、燃料エンジン駆動システム、風力発電システム、太陽光システム、および水力発電システムなどを挙げることができる。好適な移動用途としては、車両および携帯装置を挙げることができる。車両としては、乗用車、商用車、機関車、オフハイウェイおよび採鉱車両、農業用車両、船舶、ならびに航空機を挙げることができる。たとえば、車両は、DCバスに接続されたエネルギー源を有する電気推進システムを含むことができる。車両は、電力コンバータ40、106のうちの1つまたは複数などの電力用電子デバイスをさらに含むことができる。電力用電子デバイスは、電気推進システムのモータに電力を供給することができる。
【0030】
本明細書に記載した発電装置および方法は、入力データの処理および出力データの生成をある程度含む場合があることを理解されたい。この入力データの処理および出力データの生成は、ハードウェアまたはソフトウェアで実施することができる。たとえば、特定の電子部品は、上述したように改良された発電の提供に関連する類似または関連する回路に用いることができる。そのような場合に、そのような命令を、1つまたは複数のプロセッサ可読記憶媒体に格納することができ、あるいは1つまたは複数のプロセッサに送信することができるということは、本開示の範囲内である。
【0031】
本明細書は、当業者が、任意の装置もしくはシステムを作成し用いること、および任意の方法を実行することを含んで本開示を実施することができるように、実施例を用いている。本開示の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、特許請求の範囲の文言との差がない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言との実質的な差がない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0032】
12 インダクタ
40 中点コンバータ、電力コンバータ
42 DC電源
44 DC負荷
48 出力電圧Vout
50 キャパシタ
51 グランド
52 キャパシタ
54 出力キャパシタCOUT
56 出力キャパシタCOUT
58 入力側
60 出力側
62 第1の共通基準点
64 第2の共通基準点
66 グランド
68 位相モジュール
70 単一インダクタ
71 第1の端子
72 電流ILB
73 第2の端子
74 2レベルモジュール
76 第1のスイッチ、入力側スイッチ
77 コントローラまたは制御回路
78 第2のスイッチ、入力側スイッチ、出力側
79 プロセッサ
80 第1のダイオード
81 メモリ
82 第2のダイオード
92 グラフ
94 グラフ
96 グラフ
106 降圧昇圧型中点コンバータ、電力コンバータ
108 位相モジュール
110 スイッチ
112 スイッチ
114 スイッチ
116 スイッチ、逆並列ダイオード
118 閉じた経路
120 ダイオード
122 電流調整キャパシタ
124 インダクタ
126 バリスタおよび/またはトランゾーブ
148 第1の位相モジュール
150 スイッチ
152 スイッチ
154 インダクタ
156 ダイオード
158 ダイオード
160 第2の位相モジュール
162 スイッチ
164 スイッチ
166 インダクタ
168 ダイオード
170 ダイオード
171 コンバータ
174 電流ILB
図1
図2
図3
図4