(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6580100
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
B66B 9/04 20060101AFI20190912BHJP
F15B 1/26 20060101ALN20190912BHJP
【FI】
B66B9/04 H
!F15B1/26
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-181116(P2017-181116)
(22)【出願日】2017年9月21日
(65)【公開番号】特開2019-55853(P2019-55853A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2018年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(74)【代理人】
【識別番号】100206782
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】近藤 利男
【審査官】
井上 信
(56)【参考文献】
【文献】
実開平4−109979(JP,U)
【文献】
実開平2−26082(JP,U)
【文献】
特開平9−2754(JP,A)
【文献】
実開昭50−103087(JP,U)
【文献】
特開昭54−52116(JP,A)
【文献】
特開2007−91319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油タンクよりも上方に設けられるポンプ装置と、
前記作動油タンクに設けられ、前記ポンプ装置を支持する基台と、
基端部が前記ポンプ装置に接続され、前記ポンプ装置から下方に向かって延び、先端部が前記作動油タンクの内部に挿入される吸引ホースと
を備え、
前記吸引ホースは、前記吸引ホースの先端部が前記作動油タンクの底面に達するように、上下方向に伸縮可能となっている油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置。
【請求項2】
前記吸引ホースの先端部には、先端面から基端部に向かって延びる溝が形成されている請求項1に記載の油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置。
【請求項3】
前記溝における作動油の流路総面積は、前記吸引ホースにおける作動油の流路面積以上となっている請求項2に記載の油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作動油が溜められた油圧エレベーターの作動油タンクから作動油を抜き取る際に用いられる油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作動油が溜められた油圧エレベーターの作動油タンクから作動油を吸引する油圧エレベーター作動油吸引用ポンプ装置であって、ポンプ装置と、基端部がポンプ装置に接続され、先端部が作動油タンクの内部に差し込まれる吸引ホースとを備え、ポンプ装置が駆動することによって、作動油タンクから作動油が吸引される油圧エレベーター作動油吸引用ポンプ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−161317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、吸引ホースの先端部が作動油タンクの底面まで達していない場合には、作動油タンクの底部分に溜められた作動油を抜き取ることができないという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、作動油タンクから作動油をより確実に抜き取ることができる油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置は、作動油タンクよりも上方に設けられるポンプ装置と、作動油タンクに設けられ、ポンプ装置を支持する基台と、基端部がポンプ装置に接続され、ポンプ装置から下方に向かって延び、先端部が作動油タンクの内部に挿入される吸引ホースとを備え、吸引ホースは、
吸引ホースの先端部が作動油タンクの底面に達するように、上下方向に伸縮可能となっている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置によれば、基端部がポンプに接続され、ポンプから下方に向かって延び、先端部が作動油タンクの内部に挿入される吸引ホースを備え、吸引ホースは、上下方向に伸縮可能となっているので、吸引ホースの先端部は、作動油タンクの底面まで確実に達することができる。その結果、作動油タンクから作動油をより確実に抜き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置を示す構成図である。
【
図2】
図1の油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置を示す平面図である。
【
図4】
図1の油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置を示す構成図である。
【
図6】
図1のポンプ装置、基台、吸引ホースおよび吐出ホースが収納される携帯型箱を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置を示す構成図、
図2は
図1の油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置を示す平面図である。油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置は、作動油タンク1に溜められた作動油を抜き取る際、作動油を交換する際などに用いられる。油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置は、作動油タンク1よりも上方に設けられるポンプ装置2と、作動油タンク1の上部に設けられ、ポンプ装置2を支持する基台3と、基端部がポンプ装置2に接続され、先端部が作動油タンク1の内部に挿入される吸引ホース4と、基端部がポンプ装置2に接続された吐出ホース5とを備えている。
図1では、作動油タンク1の断面も示している。なお、
図2では、吐出ホース5を示していない。
【0010】
ポンプ装置2は、ポンプ本体21と、基端部がポンプ本体21に接続され、先端部に吸引ホース4の基端部が接続された吸引エルボー管22と、基端部がポンプ本体21に接続され、先端部に吐出ホース5の基端部が接続された吐出エルボー管23とを備えている。吸引エルボー管22は、ポンプ本体21から水平方向に延び、さらに、中間部において折り曲げられて鉛直方向下方に延びるように配置されている。吐出エルボー管23は、ポンプ本体21から鉛直方向上方に延び、さらに、中間部において折り曲げられて水平方向に延びるように配置されている。吸引エルボー管22および吐出エルボー管23は、金属などの弾性変形しない材料から構成されている。また、吸引エルボー管22および吐出エルボー管23は、ポンプ本体21に対して着脱可能となっている。なお、
図2では、吐出エルボー管23を示していない。吸引ホース4は、吸引エルボー管22に対して着脱可能となっている。吐出ホース5は、吐出エルボー管23に対して着脱可能となっている。
【0011】
吸引ホース4は、吸引エルボー管22の先端部から下方に向かって延びて配置されている。吸引ホース4は、作動油タンク1の高さ方向の寸法に対応して、上下方向に伸縮可能となっている。吸引ホース4は、吸引エルボー管22の先端部に取り付けられる第1ホース部41と、第1ホース部41に摺動可能に設けられた第2ホース部42と、第2ホース部42に着脱可能に設けられたアタッチメント43とを有している。第2ホース部42は、第1ホース部41に対して、吸引ホース4の長手方向について摺動可能となっている。第2ホース部42が第1ホース部41に対して摺動することによって、吸引ホース4は上下方向に伸縮する。
【0012】
図3は
図1のアタッチメント43を示す拡大図である。アタッチメント43は、円筒形状に形成されている。また、アタッチメント43の先端部には、先端面から基端部に向かって延びる溝431が4個形成されている。4個の溝431は、周方向に並べて配置されている。4個の溝431における作動油の流路総面積は、吸引ホース4における作動油の流路面積以上となっている。したがって、アタッチメント43の先端部を作動油タンク1の底面に面接触させた場合に、ポンプ装置2の吸引力が低下することが抑制される。なお、溝431の数は、4個に限らず、その他の数であってもよい。
【0013】
作動油タンク1の底面には、図示しない排出口が形成されている。排出口には、図示しない栓が下方から嵌められている。排出口は、作動油タンク1に溜められた作動油のほとんどがポンプ装置2によって吸い上げられた場合に、作動油タンク1の底面部にわずかに残った作動油を作動油タンク1の底面部から抜き取るためのものである。アタッチメント43の先端部は、排出口に対して嵌め合い可能となるように形成されている。なお、アタッチメント43の先端部は、排出口に対して嵌め合い可能となる形状でなくてもよい。
【0014】
図1および
図2に示すように、基台3は、ロ字形状の基台本体31と、基台本体31に設けられ、作動油タンク1に対する基台本体31の移動を規制する4本のピン32と、基台本体31に設けられ、ポンプ装置2を支持する支持板33とを有している。4本のピン32は、作動油タンク1を幅方向Aに挟むように配置されている。これにより、作動油タンク1に対して、基台3が幅方向Aに移動することが防止される。
【0015】
図4は
図1の油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置を示す構成図である。油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置は、吐出ホース5から吐き出された作動油が溜められる外部タンク6と、外部タンク6に設けられ、外部タンク6に溜められた作動油の量が予め設定された量に達することを検出する油量検出装置7とをさらに備えている。油量検出装置7が検出する作動油についての予め設定された量とは、作動油が外部タンク6から溢れ出ることがない量となっている。
【0016】
図5は
図1のポンプ本体21を示すブロック図である。ポンプ本体21は、モータを有し駆動することによって作動油を吸い上げるポンプ駆動部211と、ポンプ駆動部211の駆動を制御するポンプ制御部212とを有している。ポンプ制御部212には、油量検出装置7の検出信号が入力されるようになっている。ポンプ制御部212は、ポンプ駆動部211が駆動している場合であって、外部タンク6に溜められている作動油の量が予め設定された量に達したことを油量検出装置7が検出した場合に、ポンプ駆動部211の駆動を停止させる。これにより、作動油が外部タンク6から溢れ出ることが防止される。
【0017】
図6は
図1のポンプ装置2、基台3、吸引ホース4および吐出ホース5が収納される携帯型箱を示す構成図である。油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置は、
図1のポンプ装置2、基台3、吸引ホース4および吐出ホース5が収納される携帯型箱8をさらに備えている。携帯型箱8は、上部に開口部811が形成された箱本体81と、箱本体81の開口部811を開閉する蓋部82とを有している。開口部811が開いている場合に、ポンプ装置2、基台3、吸引ホース4および吐出ホース5が箱本体81に対して出し入れ可能となる。作業者は、ポンプ装置2、基台3、吸引ホース4および吐出ホース5を移動させる場合に、ポンプ装置2、基台3、吸引ホース4および吐出ホース5が収納された携帯型箱8を持ち運ぶ。
【0018】
次に、油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置を用いて作動油タンク1から作動油を抜き取る手順について説明する。まず、基台3を作動油タンク1に取り付け、さらに、基台3にポンプ装置2を取り付ける。その後、吸引ホース4の基端部を吸引エルボー管22に接続し、吸引ホース4の先端部を作動油タンク1の内部に挿入する。このとき、吸引ホース4を上下方向に伸縮させて、アタッチメント43の先端部を作動油タンク1の底面に面接触させる。その後、吐出ホース5の基端部を吐出エルボー管23に接続し、吐出ホース5の先端部を外部タンク6の内部に挿入する。
【0019】
その後、ポンプ駆動部211を駆動させることによって、ポンプ本体21が吸引ホース4を介して作動油タンク1から作動油を吸い込み、ポンプ本体21が吐出ホース5を介して作動油を外部タンク6に吐き出す。
【0020】
外部タンク6に溜められた作動油の量が予め設定された量に達した場合には、ポンプ制御部212は、ポンプ駆動部211の駆動を停止させる。
【0021】
一方、外部タンク6に溜められた作動油の量が予め設定された量に達していない場合には、ポンプ本体21による作動油の吸い込みおよび吐き出しが継続される。作動油タンク1に溜められた作動油のほとんどがポンプ装置2によって吸い上げられ、作動油タンク1の底面部にわずかに作動油が残った場合には、アタッチメント43を作動油タンク1の底面の排出口に嵌め合せ、さらに、図示しないスクレーパを用いて、作動油タンク1の底面部に残った作動油を排出口に向かって移動させる。作動油タンク1に溜められた作動油が減少し、ポンプ装置2によって作動油の吸い上げができなくなった場合には、アタッチメント43を排出口から抜き取り、さらに、排出口に嵌められている栓を下方に引き抜いて、作動油タンク1の底面部に残った作動油を作動油タンク1から抜き取る。
【0022】
その後、吸引ホース4を吸引エルボー管22から取り外し、吐出ホース5を吐出エルボー管23から取り外し、ポンプ装置2を基台3から取り外し、基台3を作動油タンク1から取り外す。その後、ポンプ装置2および基台3を分解し、分解されたポンプ装置2および基台3を携帯型箱8に収納し、さらに、吸引ホース4および吐出ホース5を携帯型箱8に収納する。以上により、油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置を用いて作動油タンク1から作動油を抜き取る手順が終了する。
【0023】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る油圧エレベーター作動油抜取用ポンプ装置によれば、作動油タンクよりも上方に設けられるポンプ装置2と、作動油タンク1に設けられ、ポンプ装置2を支持する基台3と、基端部がポンプ装置2に接続され、ポンプ装置2から下方に向かって延び、先端部が作動油タンク1の内部に挿入される吸引ホース4とを備え、吸引ホース4は、上下方向に伸縮可能となっているので、吸引ホース4の先端部は、作動油タンク1の底面まで確実に達することができる。その結果、作動油タンク1から作動油をより確実に抜き取ることができる。また、吸引ホース4は、作動油タンク1よりも上方に設けられたポンプ装置2から下方に向かって延びているので、吸引ホース4が折り曲げられてつぶれることが防止される。これにより、ポンプ装置2による吸引力が低下することを抑制することができる。
【0024】
また、吸引ホース4の先端部には、先端面から基端部に向かって延びる溝431が形成されているので、吸引ホース4の先端部を作動油タンク1の底面に面接触させた場合に、ポンプ装置2による吸引力が低下することを抑制することができる。
【0025】
溝431における作動油の流路総面積は、吸引ホース4における作動油の流路面積以上となっているので、ポンプ装置2による吸引力が低下することをより確実に抑制することができる。
【0026】
なお、上記実施の形態1では、ポンプ駆動部211が駆動している場合であって、外部タンク6に溜められている作動油の量が予め設定された量に達したことを油量検出装置7が検出した場合に、ポンプ制御部212は、ポンプ駆動部211の駆動を停止させる構成について説明したが、外部タンク6に溜められている作動油の量が予め設定された量に達したことを油量検出装置7が検出した場合に、作業者に報知する報知装置を備えた構成であってもよい。
【0027】
また、上記実施の形態1では、吸引ホース4がアタッチメント43を有する構成について説明したが、吸引ホース4がアタッチメント43を有さない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 作動油タンク、2 ポンプ装置、3 基台、4 吸引ホース、5 吐出ホース、6 外部タンク、7 油量検出装置、8 携帯型箱、21 ポンプ本体、22 吸引エルボー管、23 吐出エルボー管、31 基台本体、32 ピン、33 支持板、41 第1ホース部、42 第2ホース部、43 アタッチメント、81 箱本体、82 蓋部、211 ポンプ駆動部、212 ポンプ制御部、431 溝、811 開口部。