特許第6580136号(P6580136)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ルノー エス.ア.エス.の特許一覧

特許6580136キャニスタのパージの動作を診断するための方法
<>
  • 特許6580136-キャニスタのパージの動作を診断するための方法 図000002
  • 特許6580136-キャニスタのパージの動作を診断するための方法 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6580136
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】キャニスタのパージの動作を診断するための方法
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20190912BHJP
【FI】
   F02M25/08 Z
   F02M25/08 301Z
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-523257(P2017-523257)
(86)(22)【出願日】2015年10月23日
(65)【公表番号】特表2017-532500(P2017-532500A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(86)【国際出願番号】FR2015052858
(87)【国際公開番号】WO2016066937
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2018年7月13日
(31)【優先権主張番号】1460526
(32)【優先日】2014年10月31日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】イサーテル, ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】ハーター, セドリック
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 仏国実用新案証公開第2989166(FR,A3)
【文献】 特開2005−256781(JP,A)
【文献】 特開2011−252399(JP,A)
【文献】 特開平10−213022(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0245347(US,A1)
【文献】 欧州特許第3212920(EP,B1)
【文献】 米国特許第10202944(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(1)の燃料蒸気フィルター(15)のパージ弁(152)の動作を診断するための方法であって、前記パージ弁(152)が前記フィルターの貯蔵室(150)と前記機関(1)の吸気マニホールド(13)との間に要求に応じて流体連通を確立し、パージの最中に実行される前記方法が、以下のステップ、
a)時点t0で、事前に設定された前記パージ弁(152)のあるレベルの開口であって、それに基づいて前記パージ弁(152)が十分に開いていると見なされる開口を検出するステップ、
b)時点t2で、前記パージ弁(152)の強制かつ瞬間閉口を実行するステップ、
c)前記時点t0と前記時点t2との間の時点t1で、前記吸気マニホールド(13)の内部で優勢である前記マニホールドの第1の圧力P1mを測定し、かつ前記機関(1)の動作点に従って前記マニホールドの前記圧力の第1のモデル化値P1cを計算するステップ、
d)前記時点t2の後の時点t3で、前記マニホールドの第2の圧力P2mを測定し、かつ前記機関(1)の動作点に従って前記マニホールドの前記圧力の第2のモデル化値P2cを計算するステップ、
e)前記測定された圧力P1mと前記計算された圧力P1cとの第1の偏差(E1)を計算し、かつ前記測定された圧力P2mと前記計算された圧力P2cとの第2の偏差E2を計算するステップ、
f)前記第1の偏差E1と前記第2の偏差E2との差異に対応する基準(C)を計算するステップ、
g)前記基準(C)が既定の閾値(Cs)を下回る場合に前記パージ弁(152)の故障を診断するステップ
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記パージ弁が十分に開いていると見なされる前記レベルの開口が、前記パージ弁の70%以上の開口であることを特徴とする、請求項1に記載の診断のための方法。
【請求項3】
前記パージ弁が十分に開いていると見なされる前記レベルの開口が、前記パージ弁の90%未満の開口であることを特徴とする、請求項1または2に記載の診断のための方法。
【請求項4】
前記時点t0と前記時点t1との前記偏差が前記マニホールド圧力の安定化時間に対応することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の診断のための方法。
【請求項5】
前記時点t0と時点t1との間の時間が1秒から3秒の間にあることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の診断のための方法。
【請求項6】
前記時点t2と前記時点t3との前記偏差が前記強制かつ瞬間閉口の後の前記マニホールド圧力の安定化時間に対応する、請求項1から5のいずれか一項に記載の診断のための方法。
【請求項7】
前記時点t2と前記時点t3との間の時間が0.5秒から2秒の間にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の診断のための方法。
【請求項8】
前記時点t0と前記時点t1との間で、前記マニホールド圧力が予め決められた最大値Pmaxを下回ること、および前記機関の前記動作点が安定していることが確認されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の診断のための方法。
【請求項9】
前記時点t2と前記時点t3との間で、前記マニホールド圧力が予め決められた最大値Pmaxを下回ること、および前記機関の前記動作点が安定していることが確認されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の診断のための方法。
【請求項10】
前記時点t1が前記時点t2と等しく、前記パージ弁(152)の前記強制かつ瞬間閉口が前記測定された圧力P1mおよび前記計算された圧力P1cの記録の直後に実行されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の診断のための方法。
【請求項11】
前記ステップa)〜f)が少なくとも1回繰り返され、かつそれぞれの場合における前記基準(C)が前記閾値(Cs)を下回る場合に、前記パージ弁(152)の故障が存在すると結論付けられることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の診断のための方法。
【請求項12】
前記モデル化された圧力が理論部および補正部を含み、前記補正部が、前記理論部とージフェーズ外で測定される前記圧力との前記偏差に従って学習プロセスによって決定されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の診断のための方法。
【請求項13】
吸気マニホールド(13)と、燃料蒸気フィルター(15)と、前記フィルターの貯蔵室(150)と前記機関(1)の前記吸気マニホールド(13)との間に要求に応じて流体連通を確立するパージ弁(152)と、前記吸気マニホールド(13)の内部で優勢であるマニホールド圧力を測定する手段と、制御ユニットを含む内燃機関であって、前記制御ユニットは、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実行するプログラムを実装している、内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関自動車の燃料蒸気フィルターのパージ弁の動作を診断するための方法に関する。本発明はまた、本方法を実装する機関に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、汚染規制基準により、自動車は、燃料蒸気フィルターのパージの動作の診断を可能にする手段を搭載しなければならないと規定されている。
【0003】
「キャニスタ」とも呼ばれるそのような種類のフィルターは、内燃機関およびガソリンなどの燃料の貯蔵容器を含む自動車に、この貯蔵容器から出るいかなる蒸気も大気中に排出させないために取り付けられる。貯蔵容器は、運転の最中に自動様式で、定期的にパージされる。このパージは、蒸気が燃料と共に燃焼室で燃やされるように、フィルターの貯蔵室への空気吸入口と機関の吸気マニホールドとの間の循環路を確立することによって起こる。パージ弁は、フィルターを吸気マニホールドに接続する管に取り付けられる。通常動作中、機関の制御ユニットによって制御されるパージ弁は、パージの開始時に漸進的に開き、パージの終了まで開いたままであり、次いで同様に漸進的に再び閉まる。開口は、機関の動作パラメータが燃料および空気のこの追加流入に適合する時間を有するように漸進的である。
【0004】
このパージ弁が開いたままであるとき、再び閉まらないとき、または部分的にのみ再び閉まるとき、これは故障と呼ばれる。
【0005】
そのような故障を検出するために、先行技術の方法は、自動車がアイドリングモードにあるときにパージ弁の動作を試験する。
【0006】
診断のための方法のうちの1つは、パージ弁の開口中に機関の動作を観察することに関与する。例として、文書FR2 900 982 A1は、機関がアイドリングしているときにキャニスタのパージを実施し、例えば、PID(Proportional Integral Derivative)型の制御器に基づいた、アイドリング速度制御器の動きを観察することを提案する。パージ前およびパージ後の制御器のパラメータの比較が、パージ弁の開口が起きたか、または起きなかったかを診断することを可能にする。
【0007】
しかしながら、そのような種類の方法は、自動停止始動機能(スタート&ストップ)を搭載した自動車の場合には、適用不可能である。実際、この種の自動車には、アイドリングフェーズが実質的には存在しない。したがって、アイドリング速度外で動作する新しい方法を開発することが必要になっている。
【発明の概要】
【0008】
この必要性に応えるために、本発明は、アイドリング速度およびアイドリング速度外の両方で動作するキャニスタのパージ弁の動作を診断するための方法を提案する。
【0009】
本発明は、内燃機関の燃料蒸気フィルターのパージ弁の動作を診断するための方法に関し、本パージ弁は、フィルターの貯蔵室と機関の吸気マニホールドとの間に要求に応じて流体連通を確立し、パージの最中に実行される前記方法は、以下のステップ、
a)時点t0で、事前に設定された前記パージ弁のあるレベルの開口(それに基づいて前記パージ弁が十分に開いていると見なされる)を検出するステップ、
b)時点t2で、前記パージ弁の強制かつ瞬間閉口を実行するステップ、
c)時点t0と時点t2との間の時点t1で、吸気マニホールドの内部で優勢であるマニホールドの第1の圧力P1mを測定し、かつ機関の動作点に従ってマニホールドの前記圧力の第1のモデル化値P1cを計算するステップ、
d)時点t2の後の時点t3で、マニホールドの第2の圧力P2mを測定し、かつ機関の動作点に従ってマニホールドの前記圧力の第2のモデル化値P2cを計算するステップ、
e)測定された圧力P1mと計算された圧力P1cとの第1の偏差E1を計算し、かつ測定された圧力P2mと計算された圧力P2cとの第2の偏差E2を計算するステップ、
f)第1の偏差E1と第2の偏差E2との差異に対応する基準Cを計算するステップ、
g)基準Cが既定の閾値Csを下回る場合に前記パージ弁の故障を診断するステップ
を含むことを特徴とする。
【0010】
故に、本発明に従うパージ弁の動作の診断の実装は、アイドリングフェーズに限定されず、パージが開始されるいかなる時にも作動され得る。実際、本方法はマニホールド圧力のモデル化に基づくため、任意の時に吸気マニホールドの内側の優勢な圧力を測定して、それを同時に得られるモデル化された圧力(理論的には、パージフェーズ外での吸気マニホールドの内側の優勢な圧力に対応する)と比較することが可能である。故に、モデル化された圧力と関連した測定された圧力の変動が、パージ弁の開口および閉口に関する情報を提供することを可能にする。
【0011】
本方法は簡便であり、例えば機関の制御ユニット内のプログラム以外には、その実装のために特定の手段を必要としない。本方法は、パージフェーズが進行中であることを検出する、マニホールド圧力を測定し、かつ同時にモデル化された圧力の値を決定する、次いで前記パージ弁の強制かつ瞬間閉口を命令するのには十分である。この閉口後、マニホールド圧力を測定し、かつ同時にモデル化された圧力の値を決定することが同様に必要である。瞬間閉口前後の測定された圧力の値とモデル化された圧力との偏差の比較が、いかなる故障も検出されることを可能にする。実際、このパージ弁の通常動作の場合、マニホールド圧力の急激な減少がこの瞬間閉口に続いて起きるはずである。しかしながら、これは、式C=E1−E2(式中、E1=E1m−E1cおよびE2=E2m−E2c)によって計算される基準が高くなるという事実をもたらす。反対に、正しく動作しない、即ち、開口または閉口位置に閉塞される弁の場合、E1およびE2の値が近くなるため、この基準は低くなる。
【0012】
本方法の実装は、吸気マニホールドの内側の圧力の測定を可能にするセンサが現在すでに内燃機関で利用可能であるため、測定の特定の手段の導入を必要としない。モデル化は、限定するものではないが、例えば、機関の速度、バタフライ弁の開口の度合い、機関の温度、および気圧など、従来のパラメータに基づいて行われる。機関の動作点の変化によって引き起こされるパージ流量に起因する圧力の変動を特定するために、モデルは、パージ流量を考慮に入れず、その結果、機関の動作点にのみ従って変化する。
【0013】
加えて、偏差E1とE2との差異の計算は、測定された圧力とモデル化された圧力との間の系統的な偏差を考慮に入れないことを可能にする。実際、系統的な偏差は一定であるため、偏差間の差異の提供が、系統的な偏差の影響を打ち消す。
【0014】
一実施形態に従って、パージ弁が十分に開いていると見なされる開口のレベルは、前記パージ弁の70%以上の開口である。この条件は、測定の信頼性を確実にすることを可能にする。実際、弁の開口のレベルが大きいほど、基準Cはより正確になる。これは、吸気マニホールド内に流入する空気および燃料蒸気の流れが、パージ弁の開口のレベルの増大と共に増大するという事実によって説明される。その結果、瞬間閉口前の測定された圧力とこの瞬間閉口後に測定された圧力との偏差はより大きい。モデル化された圧力の値は、モデルが機関の動作点にのみ従って変化するために、この開口のレベルとは独立している。
【0015】
加えて、運転の最中に実施される診断の数を制限しないようにするために、パージ弁が十分に開いていると見なされる開口のレベルは、前記パージ弁の90%未満の開口であることが推奨される。
【0016】
好ましい実施形態に従って、時点t0と時点t1との偏差は、マニホールド圧力の安定化時間に対応する。故に、時点t0で、パージ弁の開口が検出されるとすぐに、マニホールド圧力の安定化を可能にするために、時点t1に至るまでわずかな遅延が開始され、その後で実際の圧力P1mが測定され、対応するモデル化された圧力P1cが計算される。この安定化は、特に、P1mのより正確な値が得られることを可能にする。
【0017】
有利に、時点t0と時点t1の間の時間は、1秒〜3秒の間にある。
【0018】
好ましい実施形態に従って、時点t2と時点t3との偏差は、強制かつ瞬間閉口の後のマニホールド圧力の安定化時間に対応する。故に、時点t2で、強制かつ瞬間閉口が起こるとすぐに、マニホールド圧力の安定化を可能にするために、時点t3に至るまでわずかな遅延が開始され、その後で実際の圧力P2mが測定され、対応するモデル化された圧力P2cが計算される。この安定化は、特に、P2mのより正確な値が得られることを可能にする。
【0019】
有利に、時点t2と時点t3の間の時間は、0.5秒〜2秒の間にある。
【0020】
一実施形態に従って、時点t0と時点t1との間で、マニホールド圧力が、予め決められた最大値Pmax、例えば、800hPaを下回ることが確認される。マニホールド圧力の変動が、絶対値として、予め決められた最大値、例えば、20hPa/秒を下回ることを確かめることにより、機関の動作点が安定していることが同様に確認される。
【0021】
別の実施形態に従って、時点t2と時点t3との間で、マニホールド圧力が、予め決められた最大値Pmaxを下回ること、および機関の動作点が安定していることも確認される。時点t2と時点t3との間での圧力の変動が、予め設定された閾値、約100hPaを超える場合、診断は、汚染されている危険があることから停止される。
【0022】
優先的に、時点t1は時点t2と等しく、パージ弁の強制かつ瞬間閉口は、測定された圧力P1mおよび計算された圧力P1cの記録の直後に実行される。圧力P1mの測定および圧力P1cの計算の直後に瞬間閉口を開始するという事実が、診断に必要な時間を減少させることを可能にする。同じパージの最中に可能な診断の数は、この結果として増加する。これは、パージ弁の瞬間閉口中、機関の制御ユニットが、パージの持続時間が十分でなかったことを検出した場合に、前記パージ弁が自動的に再び開くという事実により説明される。
【0023】
改善された実施形態に従って、ステップa)からg)が少なくとも1回繰り返され、基準Cがそれぞれの場合において閾値Csを下回る場合に、パージ弁の故障が存在すると結論付けられる。これは、より大きな信頼性を診断に付与することを可能にし、誤警報が生じるリスクを制限する。例えば、診断の第1の実装が故障を検出した場合、ステップa)からg)が既定の回数、例えば、2〜4回繰り返される。結果がこれらのステップが繰り返されるそれぞれの場合において同じである場合、およびそのような場合に限り、パージ弁の故障が存在すると結論付けられる。
【0024】
別の改善された実施形態に従って、モデル化された圧力は、理論部および補正部を含み、この補正部は、理論部とパージフェーズ外で測定される圧力との偏差に従って学習プロセスによって決定される。この学習プロセスは、機関の動作の理論モデルと関連する系統的な変動性を考慮に入れることを可能にする。これらの変動性は、例えば、機械加工の不正確さ、センサの交換、または汚染に由来する。補正部は、機関の動作点を特徴付ける少なくとも特定のパラメータに応じて、全体的または優先的のいずれかで決定される。
【0025】
本発明はまた、吸気マニホールドと、燃料蒸気フィルターと、フィルターの貯蔵室と機関の吸気マニホールドとの間に要求に応じて流体連通を確立するパージ弁と、吸気マニホールドの内部で優勢なマニホールド圧力を測定する手段とを含む内燃機関であって、先に記載されるような方法を実装することを特徴とする、内燃機関を本発明の対象として有する。
【0026】
図面を参照した以下の説明の熟読により、本発明はより容易に理解され、かつ他の機能および利点が理解される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に従う、診断のための方法を実装する燃料蒸気フィルターを含む内燃機関の概略図である。
図2】本方法の好ましい実施形態に従う、強制閉口を伴うパージの最中に測定およびモデル化されるマニホールド圧力の変化を示す時間図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に表されるような内燃機関1は、火花点火式のものである。それは、エアフィルター11、続いてバタフライ弁12および吸気マニホールド13を介して、空気および燃料の混合物が供給される一連の燃焼室10を含む。機関1の他の機能的要素は、本発明に関係がないため、ここには表されない。
【0029】
機関1は、加えて、燃料の貯蔵容器14および燃料蒸気のフィルター15を含む。燃料蒸気のフィルター15は、第1の管16を介して貯蔵容器14の上方部に接続される貯蔵室150を含む。貯蔵室150は同様に、第2の管17およびパージ弁152によって、空気取入口151および吸気マニホールド13に接続される。
【0030】
機関1は、例えば電子マイクロプロセッサカードである制御ユニット18を含む。そのような種類の制御ユニット18は、慣習的であるため、ここでは詳しく記載されない。
【0031】
制御ユニット18は、機関1上に位置するセンサから、特に、機関クランク軸の回転速度用のセンサ、温度センサ、酸素プローブ(これらはここでは表されない)、および吸気マニホールド13の内側の圧力を測定するための圧力センサ19を用いて、情報を受信する。
【0032】
制御ユニット18は同様にパージ弁152を制御する。パージが制御され、本発明に従う診断方法の実装外にあるとき、パージ弁152は、それが完全に開くまで漸進的に開く。それはある特定の時間は開き続け、次いで同様に漸進的に再び閉まる。弁が開いているとき、空気取入口151と吸気マニホールド13との間にガス流が確立され、その結果、貯蔵室150内に含まれる燃料蒸気が吸気マニホールド13に向かって運ばれ、燃焼室10内で燃やされる。
【0033】
図2は、パージフェーズ中の本発明に従う方法の実装の最中におけるパージ弁152の位置を、その開口のパーセンテージで、曲線20として示す。このパージ弁152の位置の変化は、完全開口までの漸進的開口のフェーズ201、開口位置を維持しているフェーズ202、および瞬間閉口203を含む。
【0034】
パージ弁152の位置のこの変化の間、制御ユニット18は、パージフェーズ外の吸気マニホールド13の内側の圧力に理論的に対応するモデル化された圧力を決定する。モデル化された圧力は、図2の曲線21によって表される。モデル化された圧力は、パージ期間外の学習プロセスによって得られる理論部および補正部を含む。同時に、圧力センサ19が、吸気マニホールド13の内側の圧力を測定する。この測定の結果は、図2の曲線22によって示される。
【0035】
パージ弁152が閉塞されるとき、吸気マニホールドの内側で測定される圧力は、同じように変化しない。曲線23は、パージ弁152が閉口位置で閉塞されるときの測定された圧力の変化を表す。この場合、吸気マニホールド13の内側の圧力は、モデル化された圧力の非常に近くを維持する。偏差Dが、モデル化された圧力と測定された圧力との間に存在し得るが、この偏差は実質的に一定である。
【0036】
本発明に従って診断を実施するために、制御ユニット18は、時点t0で、パージ弁が開いていることを、その開口が、開口が十分であると見なされるものを超えて特定の開口のパーセンテージに達したときに検出する。この開口パーセンテージは、好ましくは、70%〜90%開口である。これが、P1mの正確な測定値を有すること、および単一パージの最中に可能な診断の数を制限しないことの両方を可能にする。
【0037】
次いで、吸気マニホールド内の圧力の安定化を可能にするために、第1の遅延が開始される。この遅延の持続時間は、例えば、1秒〜3秒である。この第1の遅延の最後に、時点t1で、制御ユニット18は、マニホールドの内側で測定された圧力P1mの値、および機関1の動作点に従うモデル化された圧力の計算された値P1cを記憶する。これら2つの値は、次いで、第1の偏差E1=P1m−P1cを計算するのに用いられる。
【0038】
パージ弁152の強制かつ瞬間閉口が、続いて、時点t1のわずかに後にある時点t2で実施され、その結果、制御ユニット18はこのインターバル中にすでに圧力値P1mおよびP1cを記憶している。ここには表されない変異形として、時点t2は時点t1と同じであってもよい。
【0039】
第2の遅延は、マニホールド圧力の安定化を可能にするために、時点t2でのパージ弁のこの瞬間閉口の後に開始される。この遅延の持続時間は、例えば、0.5秒〜2秒の間にある。この遅延の最後に、時点t3で、制御ユニット18は、マニホールドの内側の測定された圧力P2mの値、および機関1の新しい動作点に従うモデル化された圧力P2cの計算された値を記憶し、次いで第2の偏差E2=P2m−P2cを計算する。次いで、制御ユニット18は、以下の式、
C=E1−E2、
に従って基準Cを確立し、次いで基準Cは、既定の閾値Csと比較される。基準CがCsを上回る場合、弁は正しく機能していたことになる。そうでない場合は、診断は1回以上繰り返される。結果が特定の回数、例えば、2〜4回の後に変化しない場合、即ち、それぞれの場合における基準Cが閾値Csを下回る場合、パージ弁152の故障が発生していると結論付けられる。一方、基準Cが少なくとも1回閾値Csを上回る場合、故障は起きていないと結論付けられる。
図1
図2