(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記グリッド制御行動の前記時間的到達範囲と、前記グリッド制御行動の前記空間的到達範囲の両方の内部にあるデータを、前記有効性データを記憶するように構成されたデータベースに追加すること、を更に含む、請求項2に記載のコンピュータにより実施される方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ユーティリティグリッド運用は、比較的広範な運用範囲にわたってしばしば変更を加える、多数の個々の制御及び待ち行列挿入の決定を伴う。これらの個別の制御決定に制御及び調整を加えることによって、ユーティリティグリッドの最新の運用エンベロープ内で実験が可能となり、制御決定に対するグリッド応答の因果関係知識を構築することが可能となる。これによって、制御部が、グリッド障害に自動的に対処し、センサ及び構成要素の追加及び交換を含む将来のグリッド資産計画を支援するデータを創出し、実験最適化システムがグリッド運用の管理を通じてもたらす改善を検査及び検証することが可能となる。実験は、ユーティリティグリッド管理への最新の機械学習ベースのアプローチに存在する探索と活用の間のトレードオフに対処するための適応的実験のプロトコルを含んでもよい。
【0007】
図1は、本発明の方法例のフローチャートである。探索空間を受け取り100、時間的及び空間的不確定性を使用して実験単位を計算し102、能動的制御の機会を特定し104、それらの機会のための制御状態をランダム化手法で選択し106、少なくとも実験単位中にそれらの制御決定の影響のデータを収集し108、ステップ110にて実験単位から収集されたデータを使用してユーティリティグリッド上での制御決定の全体的な影響の知識データベースを更新する。
【0008】
探索空間を、ステップ100にて受け取る。探索空間は、システムによる能動的制御に利用可能なグリッド制御部であり、能動的制御によってその通常の運用エンベロープからグリッドが外れないことを確実にするように、又はグリッド制御状態の能動的操作によって危険な条件若しくは条件の組合せが作り出されないことを確実にするように制約されうる。好ましくは、探索空間は、多次元空間であり、利用可能な各制御部が1つの次元であり、1つの次元が、その制御部の可能な状態を表す複数の離散点を有する。探索空間は、例えば、利用可能なグリッド制御部及びそれらの状態をインデックス化し、連続している任意の制御状態を離散点の有限集合に低減し、次いで、グリッド運用履歴データに適用される機械学習などの解析技術を使用して、使用される運用履歴データにおけるグリッドの通常の運用中に生じるグリッド制御状態及びそれらの組合せのみを表す探索空間を作り出すことによって、決定されうる。探索空間は、実験を行い、知識を創出し及び/又はグリッド条件及び運用の改良を追求するように、グリッドの運用を調節するために、この例示的な方法に従って選択及び実施されうる、可能なグリッド制御状態及びそれらの組合せを表す。グリッド制御状態の組合せは、一度に単一の制御部の操作を通じて可能となるよりも強力又は精確なグリッドパラメータの制御を提供しうる。
【0009】
グリッド制御部は、可能な制御状態に加えて、それらに関連付けられた下位プロパティを有しうる。これらの関連付けは、下位プロパティをメタデータとして記憶すること、又はそれらを次元として個々の制御部に追加することによって行われ得る。これらの下位プロパティは、個々の制御部を修正する頻度を含んでもよく、システム内での実験のための独立変数として取り扱われ、例えば、特定されたいくつかの機会において同じ制御部を使用するが、その制御部の効果をテストするために割り当てられた様々な機会において制御部が能動化される頻度を変化させうる。この例では、制御部は選択されるが、変更を加える特定された機会に適用するために選択された変更は、制御部自体の様々なレベルではなく、関連する下位プロパティの異なるレベルである。連続している下位プロパティは、連続変数の特定の範囲をユークリッド空間内の個々の点にビニングすること、及び/又は強力にテストされうるレベルの数を電力解析により決定し、そのレベルの数を使用して連続範囲内でテストされる離散点を作り出すことによって、離散的なレベルに割り当てられうる。制御部のために特定された実験の機会へのその制御状態及び下位プロパティ状態の割当ての相対的な頻度を割り当てることを通じて、制御状態と下位プロパティ状態の両方を要因的な実験設計を使用して選択することによって、下位プロパティも、制御部の状態自体と共に実験設計に含まれうる。
【0010】
一部の実施形態では、グリッド制御部は、グリッドの要素に直接作用する自動化されたグリッド制御部に加えて又は代えて、メンテナンス、調査及び修繕タスクなどのヒューマン・イン・ザ・ループ・グリッド行動のスケジューリング及び/又は優先順位付けを含みうる。これらの場合、これらの制御部は、タスクの自動スケジューリング及びリソースの配分、並びにヒューマン・イン・ザ・ループ・グリッド行動を指示し、電子メール、テキストメッセージ又は同様の通信などの自動メッセージによってディスパッチャ又はグリッドメンテナンス作業員に伝達される待ち行列の順序又は命令を通じて、システムに適用される。制御部は、他のグリッド制御部と同じように、待ち行列を構築する際に使用されうる様々な優先順位値、又はヒューマン・イン・ザ・ループ・グリッド行動が実行される時間期間に対応する複数の点を有し、場合によっては、リソースがヒューマン・イン・ザ・ループ行動の実行を指示されない「何もしない」選択肢を表す点を有する次元として、探索空間内で表されうる。
【0011】
ステップ102にて複数の実験単位を構成するために、時間的及び空間的不確定性データが使用される。時間的及び空間的不確定性は、グリッド制御部の変化の近くの、その変化の効果が観測可能に生じうる時間的及び空間的領域である。電気グリッド上の時間的不確定性期間の例は、グリッド制御部が電力ラインの電流を増加させることにより温度を変化させ、それによってその電流増加を経験する電力ラインの弛みレベルを変化させる遅延影響に要する期間である。電力グリッド上の空間的不確定性エリアの例は、ラインの電流を増加させる制御部であり、制御部との近接度及びグリッドを通じた電流増加に基づいて、ラインが温度の変化を示し、それによる弛み挙動を示すエリアである。これらの不確定性値は、グリッド全体のものでもよく、又は、様々な制御部の可能な又は予想される遅延若しくは広域効果の顕著な差を有しうる、それらの異なる制御部に関連付けられた不確定性の差とより精確に一致させるために、特定の制御部の操作に特有のものでもよい。不確定性は、機械学習技術を使用して、過去のデータをマイニングして、グリッド制御部と相関する応答との間の繋がりを特定し、応答が観測される期間及びエリアを特定することを通じて決定されてもよく、又は、構成要素モデルを使用したグリッド応答のモデリングを通じて決定されてもよく、又は、個々のグリッド行動を推進し、測定されたグリッド応答を観測して、グリッド制御部に対する十分な量のグリッド応答を取り込みながら可能な限り小さな時間及び空間エリアを特定することによって、実験を通じてそれ自体が決定されてもよい。空間的及び/又は時間的不確定性期間内に取り込まれた応答の量は、時間及び/又は空間が応答を含む信頼区間として表現されてもよく、例えば、不確定性の決定への機械学習アプローチは、遅延/広域効果が生じる95%又は99%の信頼性がある時間量又は空間領域を特定しうる。この不確定性データから、制御部に変更を加えるときに、そのデータが隣接する時間及び空間で実行され、グリッド制御部の選択された変更に関連付けられたデータの収集に干渉する遅延及び/又は広域効果を作り出す、制御部の他の変化によって交絡されずに、そのデータを収集できることを確実にするように実験単位を構成することができる。実験単位は、グリッド制御部の周囲の空間エリア及び時間を定義し、もって、そのグリッド制御部がグリッドパラメータ及びグリッド条件へのグリッド制御部の効果のトライアルの一部として変更されたときに、それらの実験単位が、実験単位に重なり、よってトライアル中に収集されたデータを潜在的と交絡する場合に、他のトライアルが生じることが防止されうる。実験単位は、グリッド自体の全体的な空間範囲よりも小さくカバーしうる。実験単位の時間成分も、あるトライアルが、その効果がデータ収集期間内に取り込まれることを確実にし、よって、別のトライアルが実行されうる前に潜在的な持ち越し効果がクリアアウト(clearout)することを可能にすることによって、次のトライアルと交絡しないことを確実にする。
【0012】
制御部の組合せ理論を伴うトライアルは、例えば、組合せトライアル内の制御部のいずれかに関連付けられた最大エリア及び最長時間を取ることによって決定されたそれらの実験単位を有してもよく、又は、実験単位は、探索空間内の各点について個別に計算されてもよく、探索空間内の点は、グリッド制御状態の個々の組合せを表す。不確定性値及び実験単位は、同様に計算されてもよく、唯一の制御部の代わりに制御部の個々の組合せに関連付けられた結果を見出すように履歴データに機械学習を適用し、効果が観測されうる時間及びエリアを決定し、又は、グリッドモデル上の制御部の複合効果をモデリングし、又は関連するデータが収集される時間及び/又は空間に変化させながら制御部の組合せが実施される実験を行い、この情報を使用して、グリッド上の選択された制御部の組合せの効果を観測し、その制御部の組合せの個々のトライアルと交絡しうる他の制御選択を除外する期間を設定する。
【0013】
時間的及び空間的不確定性データ自体は、グリッド制御
の状態に変化を与
え、その変化の効果を異なる時間にわたって観測し、様々なレベルの空間的及び/又は時間的不確定性を実験の独立変数として取り扱うことによって、実験を通じて見出されうる。これらの実験では、変更を加えられる制
御は、それらの個々の時間的及び空間的不確定性を良好に理解するのに望ましい制
御である。これらの実験では、従属変数は、不確定性がテストされるグリッド行動から得られる全体の変化値の観測がベースラインとして使用されることを確実にするように選択された、より大きな時間的及び空間的不確定性値を有するトライアルによって決定されたベースライン変化値と比べた、グリッドの変化の程度である。実験の空間的及び/又は時間的不確定性内で観測された変化が、有意な閾値を超える量でベースライン値から外れることは、効果が捉えられていないか、又はデータ収集のより大きな部分が交絡による影響を受けていることを示す。有意な閾値は、制御されモニタリングされる個々の変数の基準値又は公差によって確立された信頼区間を使用して計算されうる。空間的及び/又は時間的不確定性は、遅延効果を取り込み顕著な交絡問題を回避する有効な標本を提供しながら不確定性の最小の期間及びエリアを提供し、よって実験の機会数を最大化するように、ベースラインからの分散が有意な閾値を超える点で選択されうる。
【0014】
空間的及び時間的不確定性を見出すトライアル設計の一例は、第1の制御行動の時間的不確定性を決定するために、同じ場所で又は制御行動の既知の若しくは予想される空間的不確定性内で第1の制御行動の直後に第2の制御行動を続け、第1の行動が第2に対するシステム応答に個々の有意な閾値を越えて作用しない期間が見つかるまで、2つの制御状態の変化の間の遅延を徐々に増加させることによる。空間的不確定性は、最も近い制御部同士を切り替て、次いで、空間的に近接した行動が有意な閾値を超えてシステム応答に互いに作用しない空間的距離が見出されるまで、代わりに切り替えられる更に離れた制御部を徐々に選択することによって、同様に見つけられうる。
【0015】
任意選択的に、不確定性の初期値は、例えば、時間を成分とする主成分分析を適用して、グリッド制御部に関連付けられた時間的及び空間的不確定性の推定値を作り出すことによって、グリッド行動及び応答の従前に収集された履歴データの分析から導出されうる。代わりに、従前のデータを使用せずに、実験から収集されたデータのみに基づく純粋に経験的なアプローチを使用してもよい。初期の不確定性値は、探索される探索空間を制限するために、不確定性値の人的予測の形式を取りうるか又はそのような実験の外側境界、例えば、その時間的不確定性値を実験的に見出すことを限定する最大限可能な時間的不確定性などを提供しうる、ヒューマン・イン・ザ・ループ入力によっても得られうる。任意選択的に、システム構成要素及びそれらの運用の物理に基づく計算により不確定性値を計算してもよい。
【0016】
任意選択的に、時間的及び空間的不確定性は、個々のグリッド行動によって影響される空間的及び/又は時間的エリアに影響しうるように調整された、時刻、周辺温度などの様々な外部条件、又は他のグリッド要素の状態及びそれらの組合せ、若しくは近隣の故障の有無などの内部条件に対応する、複数の値を有してもよい。これらの条件は、例えば、不確定性の個々の値を個々の条件に関連付ける、不確定性値のメタデータとして記憶されてもよく、メタデータは、選択された不確定性値を、それらの値が適用される条件にマッチングさせることによって、様々な可能な値から選択するため使用される。それらの条件は、機会を決定するとき又は実験単位を構成するときに、例えば、条件が時間帯である場合に、システムクロックを使用して時間帯を決定することによって、又は別の例では、関連する条件値を示すグリッドセンサからのデータを使用し、それらの条件値を不確定性のメタデータと比較して、時間及び/又は条件のために適切な不確定性値を選択することによって、参照されうる。
【0017】
任意選択的に、時間的及び空間的不確定性に加えて、実験単位を構成及び調整するために追加的な変数を使用してもよい。制御部によって影響されるグリッドパラメータなどの属性は、制御部の従前のトライアルによってパラメータが影響されるか否かを観測することによって特徴付けし、例えばメタデータとして、グリッド制御部の個々の変化に関連付けることができる。これらの属性は、時間的及び空間的不確定性の間の重なり及び追加的な変数の一部又は全ての重なりを使用して、変化が進行中又は同時の実験と交絡すること及び時間的及び空間的エリアをその実験と共有するそれらの追加的な変数に影響することを防止しながら、グリッド制御部が変化を与えられうる場所を決定することによって、グリッド全体にわたって実験を調整するために時間的及び空間的不確定性に組み合わせられうる。例えば、グリッド制御部の変化に関連付けられた追加的な変数には、その個々の制御変化によって、電気グリッド上の利用可能な電力、電力品質及びライン温度などの、どのグリッドパラメータが影響されるかを含むことができる。電力品質及び利用可能な電力に影響する制御変化は、電力品質への効果が互いに交絡することを防止するために、電力品質にも影響する制御変化に関連付けられた時間的及び空間的不確定性から除外することができる一方、ライン温度のみに影響する制御変化、又はライン温度及び電力品質に影響し、利用可能な電力に関する効果を伴わない制御変化は、その時間的及び空間的不確定性が、利用可能な電力のみに影響する制御変化の時間的及び空間的不確定性に重なることを許可されてもよく、これは、それらの時間的及び空間的不確定性領域の一部又は全てを共有するにもかかわらず、関連しない指標のみが各制御変化によって影響されるためである。
【0018】
実験単位は、それらに関連付けられた潜在変数も有しうる。これらは、一部の例では、実験単位を記述するメタデータとして関連付けられうる。潜在変数は、実験単位に影響しグリッドへの可能な又は期待される影響を有する検出された個々の条件、例えば、その時間及び場所における周辺温度などの、実験単位内の最新の条件などを表すデータである。潜在変数は、グリッドに沿って配置されたセンサによって検出され、実験単位の条件が変化すると動的に更新されてもよく、実験単位に制御部を割り当てる時点の潜在変数は、その個々の実験単位に関連付けられる。
【0019】
このアプローチを使用して、所与の制御変化の時間的不確定性を変化させて、観測されるデータでの異なる時間の効果を観測することによって、遅延効果又は空間的不確定性のみならず、グリッド上で生じる共振及び周期的な効果を検出し、不確定性エリアを決定し、実験単位内のそのような効果、及び変化を導入する機会の認識を明らかにしてもよい。時間的不確定性期間の継続期間に変更を加えることは、時間的不確定性が周期的又は共振の効果の頻度に対して増加するときの差を示すことによって、それらの周期的又は共振の効果を出現させることを可能にする。変化する時間的不確定性の間の観測された差のフーリエ又はウェーブレット解析と実験単位の長さを用いて、調和的又は周期的な効果の存在を決定しうる。
【0020】
制御状態に変更を加える機会が、ステップ104にて特定される。存立可能な複数の選択肢が探索空間内にある場合には、その探索空間、最新のグリッド条件、及び他のトライアルによる実験単位の存在、及びそれらが潜在的な機会のための実験単位とどのように調和するかに基づいて、制御状態に変更を加える機会が存在する。制御部に変更を加えることは、グリッド応答へのグリッド制御部又はグリッド制御部の組合せの効果に関する実験に、グリッドパラメータに関して直接的に、又は複数のグリッドパラメータを組み合わせる目的関数の出力によって、トライアルを追加する機会を提供する。目的関数は、個々の範囲内に留まる必要があるグリッドパラメータを反映するために、非線形、有界及び/又は不連続であってもよく、又はグリッド全体のパフォーマンスへのそのグリッドパラメータの影響は、個々の転換点又は非線形性の影響を受ける。グリッド制御部に変更を加える機会の存在は、グリッド条件を受け取り、様々な制御状態の既に進行中のトライアルの任意の実験単位データを受け取り、探索空間を探査して、制御状態に成される変化が空間及び時間において既存のいかなる実験単位にも重ならない探索空間の要素を特定することによって、決定されてもよく、及び検出された最新のグリッド条件に関して、選択されうる制御状態は、グリッドの通常の運用エンベロープ内にある。他の実験単位との時間及び空間の重なりを防止することは、それらの進行中のトライアルが新たなトライアルによって交絡されず、新たなトライアルが進行中のトライアルからの持ち越し効果を受けないことを確実にする。
【0021】
制御状態は、厳密に劣る制御状態の選択の可能性を除外するために、それらの効果に関する最新の知識レベル、及びそれらの効果が最新のグリッド条件の目的関数の出力を推進する程度の計算によってフィルタリングもされうる。このことは、例えば、可能な各制御状態の信頼区間の範囲についての目的関数を計算し、目的関数の予測出力の最大範囲を含む可能な制御状態の範囲と重なる、目的関数の予測出力の範囲を有する可能な制御状態のみを特定することによって、制御の有効性の知識が平均及び信頼区間として記憶される場合に行われうる。
【0022】
例えば電気グリッド上で測定されたグリッドパラメータのセットの値を生成することによって、所望のグリッド条件及び出力を組み合せ重み付けして、制御の有効性のスコアを作り出すために、目的関数が使用されてもよく、目的関数は、利用可能な電力、太陽光又は風力などの再生可能エネルギー源によって供給される電力の量、及び理想的な60hZに対する電圧正弦波の忠実度に関連する項を有してもよい。目的関数によって、多様なグリッド目標が同時に追求され、より多くの再生可能エネルギー源が例示的な電気グリッド上で利用されるときの電力品質の劣化など、それらのグリッド目標間のトレードオフを管理することが可能になる。目的関数は、選択されたグリッド制御部がグリッド目標を推進する程度を予測するために、又は、1つ以上のグリッド制御状態の個々の変化に関連付けられ収集されたグリッドパラメータデータに適用されるときに、それらのグリッド制御部の全体有効性を決定するために使用されうる。
【0023】
ステップ106にて、変更を加える機会に制御状態が割り当てられる。制御状態の割当ては、ステップ104にて特定された機会に割り当てられうる可能な制御状態又は制御状態の組合せのうちの1つの選択であり、任意選択的に、選択された制御状態又は制御状態の組合せのための実験単位を作り出すために使用される空間的及び時間的不確定性の変化を含む、選択された制御状態又は制御状態の組合せに関連付けられた下位変数の割当てを含みうる。割当ては、実験設計の原理に従い、ステップ104にて特定された各機会を、そのステップにて特定された可能なグリッド制御状態の有効性を比較する実験のトライアルとして取り扱う。選択は、ランダム化されてもよく、ランダム化は、所与の機会のための可能な制御状態間で全体として確率論的であってもよく、又は、他の実験設計の原理を実施するように、及び/又は適応的実験を有効化し、又は経時的にグリッド全体の多数のトライアルから出現するグリッド制御効果の知識の探索と活用をバランスさせるように、制約されてもよい。
【0024】
ステップ106の制御状態割当てプロセスにて実施されうる実験設計の原理の例には、バランス化、カウンタバランス化及びブロック化が含まれうる。バランス化は、検証される制御状態の全ての組合せが、同じ観測数を有することを確実にし、それらが等しい回数選択されることを意味する。このことは、例えば、ステップ104に従って、変更を加える機会のセットを特定し、制御状態の各変更が等しい量になるように機会のセットの選択を同時に行うことによって行われうる。カウンタバランス化は、制御状態がグリッドに適用される順序に変更を加えることの潜在的な効果を明らかにするために、それらの制御状態を適用する可能な各順序が表されることを確実にするように、グリッド制御状態の連続する変更の順序を調節することである。カウンタバランス化は、ステップ104にて複数の機会を特定し、カウンタバランス化されたグリッド制御状態のセットを、その機会のセット全体を適用するように構成することによっても行われうる。カウンタバランス化は、過去の選択の順序及び既に実行されたトライアルにおける可能な様々な順序の事例数に基づいて制御状態の選択の頻度を動的に重み付けることによって、部分的にも実施されうる。ブロック化は、類似性による実験グループの配置であり、この類似性は、所与の機会のための場所及びグリッド条件、並びに、ブロック若しくは下位グループを形成するために、又は同様の機会の既存のブロック若しくは下位グループに機会を割り当てるために、それらの機会について計算された類似性に基づいて、機会特定ステップ104の一部として特定されうる。トライアルは、次いで、ブロック又は下位グループ内でのグリッド制御選択の適正な範囲を確実にするように、それらの下位グループ内でバランス化、カウンタバランス化及び/又はランダム化されうる。
【0025】
機会のための制御状態の選択は、適応的実験の原理を適用して、有望性の低い可能な制御状態を素早く除外し、グリッド運用をより改善しそうな制御状態のテストに集中することによって、実験プロセスを円滑化するために重み付け又は制御されうる。実験の円滑化に加えて、割当ての重み付け又は制御は、個々のグリッド制御状態の有効性を見出すための探索空間及びトライアルの探索と、それらのグリッド制御状態の効果の最新の知識レベルの活用とをバランスさせるためにも行われうる。機会のための制御状態の選択を重み付け又は制御することは、予測される目的出力が重なり合う変化を、それらの影響の平均及び信頼区間に基づいて考慮することのみによって、機会特定ステップ104にて行われてもよく、又は、目的出力を予測し、例えば、確率マッチングによって、又は最大の目的出力を作り出すための最小閾値の見込みを有することによって、それらを選択段階にて使用し、その閾値を上回る可能な制御状態からのみ確率論的に選択することによって、選択段階にて行われてもよい。
【0026】
機会への制御状態の割当てのランダム化を重み付けるアプローチは、連続的に有効にされてもよく、又は知識が特定の閾値を超えるときにのみ有効にされてもよい。これらの閾値は、ユーザによって設定されてもよく、例えば、信頼区間の幅、又は個々の制御状態が目的関数に応じて所与のグリッド条件について最適となる見込みの差などの要因に基づきうる。
【0027】
ステップ104にて特定された機会のためにステップ106にてグリッド制御状態の選択のランダム化を調節する特定の一例では、その機会のために様々な制御状態が選択される確度を決定するために、確率マッチングが使用される。この例では、確率マッチングの適用は、最新のグリッド条件及び目的関数と共に制御状態の影響の点推定及び信頼区間を使用して、この例では、3つの潜在的な制御状態のそれぞれが目的関数の最大出力を作り出すであろう見込みを計算することによって、まず決定される。潜在的な各制御状態の点推定の信頼区間の重なりは、制御部が実施されるときに、目的関数の最大出力、したがってグリッド上で最も好適な条件を作り出すためにそれらの制御状態が他よりも優位である範囲を表す。ここで計算された確率は、潜在的な制御状態の間で純粋に確率論的なランダム化を使用するのとは対照的に、確率がいつ一致すべきかを決定するために使用される閾値と比較され、閾値は確率の差である。この例では、潜在的な制御状態Aが、目的出力を最も推進する65%の確度を有し、潜在的な制御状態Bが、目的出力を最も推進する25%の確度を有し、潜在的な制御状態Cが、目的出力を最も推進する10%の確度を有する。他と比べて潜在的な制御状態Aの優位性が非常に高いため、これは、確率マッチングを行うのに必要となる閾値を超える。閾値をテストするために初めに使用された確率は、次いで、その機会のために各制御状態が選択され、機会の時間及び場所においてグリッド上で実施される見込みを決定するために使用される。この例の場合、このことは、選択プロセスが、潜在的な制御状態Aを機会に割り当てることに65%の確度、潜在的な制御状態Bを機会に割り当てることに25%の確度、及び潜在的な制御状態Cを機会に割り当てることに10%の確度を有することを意味する。このことは、潜在的な各制御状態が、グリッド上で実施され、制御状態がグリッド上で実施されるときに、成された決定が、目的関数の出力を最も推進し、よってグリッドの最も望ましい条件及び出力を推進する見込みを高めるように選択を重み付けしながら、その潜在的な制御状態の追加的なトライアルを提供して、制御状態の効果の知識を改良する確度を有することを確実にする。
【0028】
実験する特定された機会のためのグリッド制御状態又は遅延期間の選択によって実施される実験設計には、調節可能な変数の組合せ(個々の制御状態の組合せなど)及び/又は下位変数(切換の頻度など)をテストするための要因実験、並びに、グリッド行動が取られる個々の順序から生じる効果をテストするためのラテン方格及び部分ラテン方格の設計などの複雑な設計が含まれうる。これらの実験設計は、例えば、複数段階の選択プロセスを有することによって実施されてもよく、その機会のために1つの独立変数が決定され、要因設計における他の変数又は下位変数の選択の見込み、並びに部分及び完全ラテン方格の設計の次の選択が、要因設計における個々の組合せの選択の見込みを高めるように、又は個々の順序がテストされて、部分ラテン方格設計に従って標本を提供する見込みを高めるように、動的に更新される。
【0029】
機会への内容の割当ては、機会が存在しグリッド制御部が割り当てられる実験単位に関連付けられた潜在変数により左右されうる。潜在変数データは、例えば、同様の条件に存在する機会をクラスタリングするための選択基準の個々のセットに機会を割り当てるために、又は関連付けられた潜在変数によって示された条件の変更の下で個々の応答の効果をテストするために、使用されうる。所与の実験単位に存在する潜在変数に特有の有効性データが、個々の制御決定が優位となるであろう確率を個々に決定するためにも使用されてもよく、潜在変数の条件に固有の平均及び信頼区間が、選択を左右するために使用されうる。
【0030】
選択された制御状態の影響は、ステップ108にて測定される。測定は、例えば、ガスグリッド上の圧力、水道グリッド上の流量、又は電力グリッド上の電圧波形品質などの様々なグリッドパラメータを測定する、グリッドに沿って配置されたセンサによって行われる。測定値は、較正されたセンサ上のこれらのグリッドパラメータとしてセンサによって報告されてもよく、又は自動実験較正解釈システムによる分析のために生のセンサ出力波形として報告されてもよい。データは、実験機会に割り当てられた制御状態のための実験単位内で収集され、これは、それが、割り当てられた制御状態の効果が交絡なしに観測されうる期間及びエリアであるためである。任意選択的に、センサモニタリングは、連続的であり及び/又はグリッドワイドであり、実験単位中に記録されたデータ点が、これらの個々の実験単位にビニングされてもよい。
【0031】
測定値は、ステップ110にて制御行動に対するグリッド応答の知識を更新するために使用される。制御行動に対するグリッド応答の知識は、個々の制御状態又は制御状態のセットが、制御状態が変更されたときにグリッドパラメータデータを収集する、グリッドに沿うセンサによって測定されうるグリッドパラメータにどのように影響するかの目安である。グリッド応答の知識は、可能なグリッド制御状態のセットを表す探索空間内の各点についての点推定及び信頼区間のデータベースとして記憶されうる。知識は、グリッドパラメータ自体として保存されてもよく、又は、任意選択的に、測定されたグリッドパラメータの複数の範囲又は好適な複数の値で構成されるグリッド目標を表す目的関数の出力によって保存されてもよい。グリッド応答の知識が平均及び信頼区間として記憶される場合、平均は、最新のトライアル中に観測された結果(割り当てられた制御状態又は状態のセットのための実験単位内で収集されたデータ)を、平均を計算するために使用された観測グループに標本として追加し、追加的な新たなデータ点によって新たな平均を計算することによって更新されてもよく、信頼区間は、データセットに追加されるトライアルの数に基づいて標本サイズを増加させ、データセットに追加される新たな1つ又は複数のトライアルを含む更新された標本サイズを使用して、更新された信頼区間を計算することによって更新されうる。平均及び信頼区間は、繰り返し更新され、知識データベースを構築するために標本を次々に追加しうる。
【0032】
本発明のシステム及び方法は、一部の例では、減算法を適用することによって、グリッド行動の空間的及び/又は時間的不確定性、グリッドパラメータ又はその下位プロパティへのその効果を分離することを含めて、個々のグリッド行動の効果を他のグリッド行動及び応答の複雑なバックグラウンドから分離しうる。減算法は、グリッドの進行中の挙動についてベースライングリッドパラメータを通常は進行中の他のグリッド行動及び応答に基づいて決定し、それらのベースライングリッドパラメータを、個々の選択されたグリッド行動のための実験単位中に生じたグリッドパラメータ測定値から減算して、測定されるグリッドパラメータへのそのグリッド行動の効果を分離することによって適用されうる。このベースラインは、特定の期間内でグリッドパラメータを測定するセンサの経時的なセンサデータの集約から決定されメモリに記憶されてもよく、システムの制御又は知識内の個々の制御部によって更に解析されてもよく、又は、制御部が機会に確率論的に割り当てられるベースライン期間を通じて定期的に更新されてもよい。
【0033】
潜在変数が実験単位に関連付けられる場合、それらの潜在変数は、また、入来データを解析し、例えば、平均及び信頼区間を計算するときにクラスタリングを使用するために、個々のデータセットに実験単位からのデータを割り当てるために、又は特定の潜在変数値がある場合に制御部を実施するために特有のデータセットを構成及び更新するために、使用されうる。
【0034】
制御行動に対するグリッド応答の知識は、グリッド制御決定を連続的かつリアルタイムに改善して目的値を推進するために使用されうる。このことは、グリッド制御部の探索空間の探索と活用をバランスさせて、応答がグリッド目的を推進するグリッド制御部を選択するために、適応的実験又は重み付けランダム化の状況で行われてもよく、又は、それらは、グリッド条件へのグリッド制御部の効果の計算に基づいて制御部を選択することを通じて、目的関数の最大化を追求する別々の活用ルーチンによって使用されてもよく、このことは、目的関数出力としてデータベースに記憶された知識を使用して直接行われてもよく、又は最新のグリッド条件及びグリッドパラメータへのグリッド制御部の効果は、制御部の適用及びそれらの推定されたパラメータ、計算された目的関数出力、及び選択されグリッドに適用される最良の(殆どの例では最大の)目的値を推進する制御部から生じるグリッドパラメータを推定するために使用されうる。
【0035】
任意選択的に、グリッド要素パフォーマンスの因果関係知識は、グリッドに対する新たな要素の資産計画及び統合のために使用されうる。グリッドパラメータを変更し、本発明の例示的な実施形態に従って自動的に制御されうる新たな制御部を提供するグリッド要素の場合、グリッド要素パフォーマンスの期待される影響は、本発明の方法及び/又はシステムの適用による過去の設置及び統合中に創出されたグリッド運用データに基づいて計算されうる。このデータは、例えば、電気グリッド上に既に設置された太陽光発電インバータの制御状態に変更を加えるトライアルを使用して、電力品質及び需要充足へのインバータの影響など、設置されたインバータのグリッドパラメータへの影響を決定し、次いで、提案された場所にインバータを設置することの効果を予測するために、提案された場所に設置されうる類似のインバータについて、提案された場所で検出されたグリッド条件にその知識を組み合わせることによって創出されうる。
【0036】
これらの実験から導出された情報は、例えば、故障発生の周辺の期間から集約されたグリッドセンサ及び制御データに適用される、パターンマッチング、ベイジアン因果関係ネットワーク、マルコフ連鎖モデリング、及び/又は主成分分析などを通じて導出されうる故障予知指標を見出し、変更を加える機会中の個々のグリッド制御行動を選択するために使用される目的関数に、それらの故障予知指標を導入することによって、グリッド上の経時的な故障の数を軽減するために適用されうる。これらの目的関数には、例えば、特定された故障予知指標の外側の残り部分に値を割り当てる項が含まれてもよく、例えば、通常はより適した制御状態の組合せが、より高い故障の発生に関連付けられたグリッドにストレスを生じさせうるときに、通常は余り適さない制御状態の組合せを選択させる可能性がある。故障予知指標は、例えば、電気グリッド上のライン温度、ライン弛み若しくは電力品質、ガスグリッド上の圧力、又は水道グリッド上の流量などのグリッドパラメータでありうる。
【0037】
本発明のこの方法又は他の例を通じて導出された知識は、グリッド上の風水害などの事象の効果の緩和を自動的に試みるために、ユーティリティグリッド上の緊急対応に適用されうる。制御状態及び/又はそれらの制御状態の組合せの既知の効果には、特定のエリアを通る電力、水道又はガスフローなどの局所的な個々のグリッド条件の効果が含まれうる。このことは、需要を満たす又は消費目標に達するなどのユーティリティサービス指標を通常は低下させうる一方、システムは、水道若しくはガスライン上の漏洩、又は電気グリッド上の故障若しくは機能停止ラインなどの状況の検出に応じて、代替的な目的関数又は目的関数中の項を適用し、グリッドパラメータの値を調節して、影響されるエリアの分離を評価し、この代替的な目的を実現するグリッド制御部及びグリッド制御部の組合せを探索空間から選択するように切り替えることができる。影響されるエリア及び時間は、人間のグリッドオペレータからの入力によって示されてもよく、又は、個々のセンサ応答が分離を必要とするグリッド故障、漏洩若しくは損傷を示していることを示す分類子に従って、センサ及びグリッドインテリジェンスシステムによって自動的に検出されてもよい。任意選択的に、分類子は、機械学習又は実験データの収集を通じて創出されてもよい。一部の例では、グリッド要素間の関係の変化及び期待される挙動からの偏差が、グリッドに沿う故障の存在並びに場合によって性質及び場所を示す。期待される応答挙動からの偏差を使用して電気グリッド上の故障を特定し分類する例であって、グリッドの互いに独立していたセグメントが、互いに影響する制御部の変化に対する相関する応答を示す例の場合、この相関の発生は、グリッドのそれらのセグメント間の短絡を示しうる。
【0038】
図2は、本発明の例示的な実施形態のシステム図である。メモリは、フラッシュメモリ、磁気媒体を使用するハードディスクドライブなどの既知のコンピュータ記憶手段であってもよく、又は、データを記憶することができ、頻繁かつ定期的にアクセスされうる、他のデータ記憶手段であってもよい。プロセッサは、ソフトウェア命令により計算を行うように構成されうる。構成要素間の接続は、ハードワイヤード、複数段の共通プロセッサの使用、様々な802.11プロトコル、ZigBee(登録商標)若しくはBluetooth(登録商標)規格、イーサネットなどの有線若しくは無線手段によるネットワーク接続、又は別個のセンサ、プロセッサ、メモリ及びモジュールの間でデータを送信する他の既知の手段でありうる。センサ、メモリ、プロセッサ及びモジュールは、センサ自体を含む様々な場所に分散されてもよく、又は中間若しくは中央の場所に共に配置されてもよい。
【0039】
グリッド制御部200は、グリッドに作用してグリッドの変化を作り出す制御可能なグリッド要素であり、システムによって自動的に制御されうる。これらには、例えば、電気グリッド上の、スイッチ、制御可能な電力貯蔵装置、インバータ及びパワーコンディショナが含まれてもよく、水道グリッド上の、例えば、バルブ、スイッチ、ポンプ及び処理設備が含まれてもよく、ガスグリッド上の、例えば、供給源、バルブ及びスイッチが含まれてもよい。これらの制御部は、システムの残り部分とネットワーク接続され、残り部分は、例えば、電気グリッド上の利用可能な電力、電力品質、電流、電圧及び/又はライン弛み、ガスグリッド上の圧力、漏洩及び需要充足、又は水道グリッド上の漏洩、需要サービス及び水純度など、これらの制御部により影響される様々なグリッドパラメータへの影響を探索及び活用するために、これらの制御部の個々の状態を指示する。
【0040】
実験単位プロセッサ202は、クリアアウト及びデータ記録期間の継続期間、並びにグリッド制御部に対する変化の観測及び緩衝のエリアを計算するように構成されたプロセッサである。プロセッサは、いくつかのアプローチのうちの1つ以上によって、これらの継続期間及びエリアを計算するように構成されうる。継続期間及びエリアを計算する例示的な1つのアプローチは、グリッド制御部の従前に観測された遅延効果の受け取られたデータを変換し、それを継続期間及びエリアに変換し、そのデータの分析を通じて、グリッド制御部の効果が操作に続いて観測されるエリア及び時間の信頼区間(95%又は99%の信頼区間など)を決定することによる。継続期間及びエリアを計算する別の例示的なアプローチは、グリッド応答のモデルを使用して、予想される遅延効果をシミュレートし予測することによる。継続期間及びエリアを計算する別の例示的なアプローチは、期間及びエリア自体が、グリッドパラメータへのグリッド制御部の変化の効果に関する実験中に独立変数として使用されるデータを生成し、例えば、グリッド制御決定の同じセットについて40分と1時間の両方のクリアアウト期間でトライアルを実行し、観測される効果の差が、クリーンなデータから交絡されたデータに閾値を超えたときを示した状態で、それらの閾値をグリッド制御部への個々の変化に関連付けられうるクリアアウト及びデータ記録のためのエリア及び継続期間として使用することによる。
【0041】
実験単位メモリ204は、実験単位プロセッサ202によって計算された実験単位データを受け取り記憶するように構成されたメモリであり、実験単位データは、次いで、グリッド制御部に変更を加える機会を特定し、個々のグリッド制御決定に関連付けられたデータを収集するためのエリア及び時間を決定するために使用される。実験単位データは、グリッド制御部に対する個々の変化のクリアアウト及び観測のための継続期間及びエリアであり、グリッド制御状態に対する多くの変化から生じる遅延効果を考慮して、グリッドパラメータへのそのような遅延効果の観測確実にするように計算され、そのような効果が、グリッドパラメータへのグリッド制御部の効果を決定するときに、異なるグリッド制御状態の後続のトライアルと交絡するのを防止する必要性がある。
【0042】
機会特定プロセッサ206は、実験単位メモリ204からの実験単位データ、グリッドセンサ212によって検出された様々なグリッドパラメータの条件、及び探索空間メモリ218に記憶された探索空間に基づいて、個々の場所及び時間でグリッド制御部200に変更を加える可能性を計算するように構成されたプロセッサである。探索空間の計算の例は、個々の時間で、これらのエリアが、制御割当てメモリ210に記憶された他のグリッド制御部の選択決定のための実験単位メモリ204に記憶された実験単位の定義によって定義された記録又はクリアアウト期間内にはないため、その時間で利用可能となりうるグリッドの部分を特定し、次いで、利用可能なそれらの時間及び場所について、グリッドセンサ212によって検出されたグリッドの最新の状態を取り入れ、探索空間メモリ218に記憶された探索空間内で利用可能なグリッド制御状態を特定し、グリッドパラメータに基づいて目的を促進することにおいて、探索空間のどの程度多くの可能な要素が、それらの制御状態の有効性に関して重なり合う信頼区間を現在有しているかを決定する。重なり合う信頼区間を有する1つよりも多い潜在的な制御状態がある場合に、制御割当てプロセッサ208が、グリッド制御部200上で実施される制御状態を選択するために使用される。
【0043】
制御割当てプロセッサ208は、機会特定プロセッサ206によって特定された機会のための制御状態の可能な選択肢のセットの中からの選択を決定する。制御割当てプロセッサは、以下の方法のうちの1つ以上で選択を行うように構成され、すなわち、純粋に確率論的に、この場合、制御状態の選択は、検出された機会に割り当てられうる探索空間の要素の中でランダム化される、又は、選択は、探索及び活用のバランスを取る又は適応的実験を実施するために、制約され若しくは重み付けされうる。この例は、確率マッチングであり、探索空間内の個々の点についての目的関数の出力値に関する点推定及び信頼区間が、探索空間内のその点が目的の最大出力を生じさせる見込みを計算するために使用され、選択は、それらの計算された見込みにマッチするようにランダム化され、例えば、探索空間の3つの要素を機会に割り当てることができ、制御状態がそれぞれ、目的の最大出力を65%、25%及び10%の確度で提供する場合、それらの状態はそれぞれ、個々の機会について65%、25%及び10%の確度で割り当てられ、それらの制御状態のいずれかが、その制御状態の別のトライアルを行うことによってそれらの点推定及び信頼区間を改良する可能性を許容しながら、重み付けによって、目的関数の最良の出力をもたらすであろう制御状態を割り当てる見込みが高くなる。プロセッサは、場合によって複数のアプローチを適用するように構成されてもよく、例えば、純粋に確率論的なモードの適用から、特定された個々の機会のためのグリッド制御状態を選択する制約され又は重み付けされたアプローチの適用に切り替えるために、信頼区間の閾値逼迫又は目的を最大化する見込みの最小差を要求しながら、アプローチを知識レベルに基づいて選択する。
【0044】
制御割当てメモリ210は、グリッド上での実施のために選択された制御状態のセットを記憶し、任意選択的にそれらの制御状態が実施される時間を記憶し、制御状態情報にもともと含まれていない場合には、グリッド制御部の変化の場所を記憶する。このデータは、制御割当てプロセッサ208によって計算され、グリッド制御部200に指示するために使用され、グリッドパラメータへのその制御状態の影響を囲む点推定及び信頼区間を改良するように、知識データベース214を更新するために、データ記録エリア及び期間内で生じるデータのセグメントが個々のグリッド制御状態に関連付けられうるかを特定するために知識更新プロセッサ216によっても使用される。
【0045】
グリッドセンサ212は、着目するグリッドパラメータ指標、例えば電力グリッド上の、電流、電圧、ライン温度及び/又はライン弛み、例えば水道グリッド上の、センサモニタリング流量及び/又は水純度、例えばガスグリッド上の、圧力、流量、及び/又はライン外側の漏洩及びガスの存在及び強さを測定するために、ユーティリティグリッドに接続されたセンサである。
【0046】
知識データベース214は、システムによって選択され実施される制御状態に対するグリッド応答のデータを記憶する。データは、行われた多数のトライアルの電力解析に基づいて、制御影響の点推定及びそれらの点推定の信頼区間として記憶されてもよく、点推定及び信頼区間は、グリッド制御部200の状態の組合せを表す各点について保存される。点推定及び信頼区間は、特定された機会に個々のグリッド制御状態が割り当てられる記録期間中のグリッドセンサ212の読み取り値に基づいており、新たな読み取り値が作られるときに知識更新プロセッサ216によって更新される。
【0047】
知識更新プロセッサ216は、グリッドセンサ212からデータを受け取り、実験単位メモリ204から実験単位の定義を受け取り、制御割当てメモリ210からグリッド制御部200に関して実施された制御割当てを受け取り、知識データベース218から制御効果の最新の知識を受け取る。知識更新プロセッサは、その情報を使用して、グリッド制御部の効果の更新されたデータを、それらのグリッド制御部に関連付けられたグリッドセンサ212からのデータに基づいて計算するように構成される。例えば、グリッド知識が、周囲の信頼区間を伴う点推定として保存される場合、点推定は、収集期間中にグリッドセンサで収集されたデータを、実験単位プロセッサ202によって決定された収集期間中に、既存の標本セットに対する標本として追加し、従前のトライアルのデータベースにその新たなトライアルを追加して平均値を計算することによって更新される。更新された点推定の信頼区間が計算され、点推定に関連付けられた信頼区間値は、新たなトライアルの追加を反映するように更新される。
【0048】
探索空間メモリ218は、探索空間情報を受け取り記憶するように構成されたメモリである。探索空間は、トライアルのために、及び、グリッドパラメータ又はグリッドパラメータに基づく目的関数を改善するためにトライアルから生じる知識の活用のために、システムが利用可能なグリッド制御部の潜在的な変化である。例えば、探索空間情報は、多次元空間を定義する行列として記憶されてもよく、各制御部に対応する次元があり、その次元は、その制御部の様々な可能な状態又は状態の範囲を表す点の有限集合を有する。この例では、次元は、次元数及び複雑度を低減するために組み合わされるか折り畳まれてもよく、組み合わされてもよく、又はシステムの制御部の外側に置かれてもよい。
【0049】
図3は、本発明の実施形態の構成要素間での情報交換を示すデータフロー図である。この例で使用される主要なデータ種類は、探索空間300、空間的及び時間的不確定性要因302、実験単位304、グリッド条件306、制御決定308、関連センサデータ310、及び制御効果の知識312である。
【0050】
探索空間300は、本発明の例のグリッドで選択され実施されうる制御状態及び/又は制御状態の組合せの定義である。探索空間は、多次元空間であってもよく、次元が、本発明の例による制御に利用可能なグリッド制御部を表し、各次元内の有限数の点が、その制御部の可能な状態、又は、制御部が連続している場合におけるその制御部の状態の範囲を表す。探索空間300は、探索空間メモリ314に記憶され、機会特定プロセッサ316及び制御選択プロセッサ318に伝達される。
【0051】
空間的及び時間的不確定性要因302は、グリッド制御状態の個々の変化に対するグリッド応答を期待しうる時間及び空間を表すデータである。空間的及び時間的不確定性要因は、運用履歴データから導出される入力データから計算されうる、又は、不確定性期間及びエリアを実験トライアルの独立変数として変化させてデータの変化を観測する実験を通じて決定されうる。空間的及び時間的不確定性要因302は、実験単位プロセッサ320によって受け取られ、グリッド制御決定308の様々な選択のためのデータ収集及びクリアアウトの期間及びエリアを決定する実験単位304を決定するために使用される。
【0052】
実験単位304は、空間的及び時間的不確定性要因302に基づいて実験単位プロセッサ320によって決定される。実験単位は、グリッド制御部の効果が観測されうる継続時間及び空間エリアであり、それらの効果は、グリッド制御部の有効性の他のトライアルと交絡する場合がある。実験単位304は、個々の時間及び場所が他のトライアルによって交絡されうるか否かを判定することによって、グリッド制御部322に変更を加える機会の存在を計算する際に使用するために、並びに、知識更新プロセッサ324によって、個々の時間及び場所で収集されたデータを、選択され実施された個々のグリッド制御状態に関連付けるために、実験単位プロセッサ320から機会特定プロセッサ316に伝達される。
【0053】
グリッド条件306は、グリッドセンサ326によって決定された、着目するグリッドパラメータの最新の状態である。これらのグリッド条件は、データを個々のグリッド制御部に関連付け、関連センサデータ310を使用して知識データベース326を更新することによって、グリッド知識を更新する際に使用するために、知識更新プロセッサ324に伝達され、目的を最大化する複数の潜在的な可能な制御状態から選択すべき機会があるかを決定するために機会特定プロセッサ316によって使用されてもよく、個々の制御状態又は制御状態の組合せが制御決定308として選択される見込みを左右する制約条件又は重み付けを決定するために制御選択プロセッサ318によって使用されてもよい。
【0054】
制御決定308は、特定された各機会について、探索空間300内に存在する可能な制御状態からその機会のために選択することによって、制御選択プロセッサ318によって選択される。制御決定308は、潜在的な制御部から確率論的に行われてもよく、又は、ランダム化しながら目的を推進するため若しくは適応的実験を行うために、重み付け若しくは制約を伴って行われてもよい。制御選択プロセッサ318によって行われた制御決定308は、それらの制御部を制御決定308によって指示された状態にしてグリッドの運用に影響を与えるために、グリッド制御部322に提供される。
【0055】
関連センサデータ310は、実験単位304及び制御決定308を使用して、個々のグリッド条件306のデータ点の時間及び場所に基づいて、それらのデータ点を個々の時間及び場所に影響していた個々の制御状態に割り当て、その時間及び場所からのデータが、データ記録に空間的及び時間的に近接して起きる他の制御状態の変化によって交絡されなかったことを確実にすることによって、知識更新プロセッサ324内のグリッド条件306から計算され、知識更新プロセッサ324が、そのデータ点を生じさせた制御状態の特殊性によって知識データベース330を更新することを可能にする。
【0056】
制御効果312の知識は、制御状態を選択し、選択された制御状態によって影響される時間及び場所の間に、グリッド条件306を収集することによって、関連センサデータ310の新たなデータ点が作り出されるときに、知識データベース330に記憶され、知識更新プロセッサ324との間で伝達されて、繰返し更新される。制御効果の知識は、個々の制御状態又は制御状態の組合せによって影響される各グリッドパラメータの点推定及び周囲の信頼区間として記憶されうる。点推定は、収集されたデータ点の平均であり、それらの平均の信頼区間が、平均を計算する際に使用された多数の標本に基づいて実験的な電力解析を通じて確立されうる。任意選択的に、制御効果の知識は、グリッドパラメータ自体であってもよく、又は、目的関数によって全てが重み付けされ組み合わされた複数のグリッドパラメータの成分に基づいて目的指標として保存されてもよく、それは、例えば、ある範囲内では許容できるが、特定の閾値を超えると許容できない圧力又は電力品質などの個々のグリッドパラメータの効果に鋭い非線形性がある場合に、含まれるグリッドパラメータの一部又は全てに関する非線形関数又は有界関数を含んでもよい。
【0057】
グリッド行動の直接的な自動制御に加えて、本発明の一部の例示的なシステム及び方法は、グリッドのメンテナンス及び修繕、検出された個々のグリッド条件への資産の派遣、並びに漏洩、故障又は機器の老朽化などの個々のグリッド条件に対処するための優先度及び臨界期間の確立などのヒューマン・イン・ザ・ループプロセスを実験し最適化するように構成されうる。これらの例では、グリッド行動は、グリッド資産の直接的な自動制御ではなく、作業員と個々のツールの両方、交換部品、及び/又はグリッドに沿う点に対するメンテナンス及び修繕能力を含む、グリッドリソースに指示する待ち行列の順序及び優先度を通信する派遣又はリソース割当てツールの自動制御である。
【0058】
ヒューマン・イン・ザ・ループ行動を対象とする例では、応答は、検出された潜在的な異常に対応する空間を作り出すことによってインデックス化される。それらの異常は、いくつかの故障、漏洩又はグリッドメンテナンスリソースの割当てを必要とする他の事象の見込みに合致するグリッドセンサデータを特徴付ける及び/又は分類することによって特定されてもよく、それら空間の次元は、検出された事象に様々なメンテナンスリソースによって対処すべき個々の対処期間のための点、及び一部の例では、検出された事象に対処しない「何もしない」選択肢を表す点を含む。
【0059】
図4は、可能な行動をインデックス化し、様々な遅延期間がテストされうる実験単位を生成し、それらの可能な行動に関連付けられた遅延時間に変更を加える機会を特定し、出力を測定し、出力を個々の遅延に関連付け、個々の遅延に関連付けられた出力を使用して待ち行列規則を作り出し及び/又は更新することによって、自動化された実験を通じてヒューマン・イン・ザ・ループ・グリッド行動のための待ち行列規則を決定するためのステップを詳述するフローチャートである。
【0060】
グリッド行動及び対応する変数のインデックスが、ステップ400にて生成される。グリッド行動は、この実施形態では、自動的にスケジューリング又は調整されうるヒューマン・イン・ザ・ループ行動であり、グリッドに沿う点で何時及び/又はどの順序で個々の行動を実行するかを示す機械生成された待ち行列又は順序を作業員に自動的に配信することによって実行される。これらのグリッド行動は、例えば、故障、構成要素の損耗若しくは不良、及び/又は漏洩、又は個々の寿命若しくは使用閾値に達したグリッド構成要素の目安となる個々のグリッドパラメータなどの個々のグリッド障害に関連付けられうる。各グリッド行動は、それに関連付けられ、次元及び任意選択的にインデックス中の下位次元として表されうる、多数の対応する変数を有する。次元は、障害の検出からその障害に対する行動の適用までの離散的ないくつかの時間範囲を含み、行動を適用しなくてもよい「何もしない」選択肢も含んでもよい。対処されるグリッド障害の重大性、行動を実行するように指示される個々のリソース、自動的に待ち行列化されたリソースによって最終的にグリッドに行動が適用される時間帯、又は制御されグリッド行動の有効性を左右しうるそのような他の下位変数などの、行動に対応する下位次元があってもよい。
【0061】
実験単位は、行動の周囲の空間的及び時間的不確定性に基づいてステップ402にて構成される。時間的及び空間的不確定性、及び任意選択的に他の変数、例えば、それらのグリッド行動に関連付けられた個々のグリッド障害の種類、又はそのようなグリッド行動の適用中に影響され、インデックス化されたグリッド行動に関連付けられたグリッドパラメータが、受け取られ、グリッドへの互いの効果に関して、受け取られたデータにグリッド行動が交絡する期間及び空間エリアを決定するために使用される。機器の交換又は修繕などのヒューマン・イン・ザ・ループ行動の場合、個々の決定に関連付けられた長期の出力のデータを収集するために、長い時間的不確定性が必要とされうる。
【0062】
直接的な自動制御グリッド行動と同じように、時間的及び空間的不確定性自体は、特定された機会のための行動を一定に保持するが、可能な交絡の排除を目指すために、及び/又はグリッド挙動へのその効果を決定するために、データが個々のグリッド行動に関連付けられる境界を決定するために使用される不確定性に変更することによって、実験を通じて導出されうる。
【0063】
ヒューマン・イン・ザ・ループ・グリッド行動に変更を加える機会が、ステップ404にて特定される。ヒューマン・イン・ザ・ループ・グリッド行動を選択する機会は、グリッドパラメータのセンサ測定値を受け取り、それらの測定値に分類子を適用するか若しくは測定値を分析するかして、グリッド障害を特定することによって、又はそれらの寿命又は損耗条件に関するグリッド要素からの通知、若しくはヒューマンオペレータによる入力などのグリッド障害の存在を示す他の通信を受け取ることによって、定義されうる。グリッドパラメータの測定値からグリッド障害を決定するために使用される分類子は、センサデータによって示された個々のグリッド障害の存在のみならず重大性を分類しうる。グリッド行動は、この障害に対処し、例えば、電気グリッド上の故障したローカル変圧器を検査するためにメンテナンス要員を派遣し、又は個々の重大性分類の漏洩に対してメンテナンス要員を派遣する。最新の実験単位は、ヒューマン・イン・ザ・ループ・グリッド行動に変更を加える機会を特定する際にも使用される。進行中の実験単位は、機会が存在しない、又は新規のトライアルと進行中のトライアルが互いに交絡する可能性を排除するためにどのトライアルが行われうるかが制約されうる、空間エリア及び時間を作り出す。進行中の実験単位は、検出された障害が、ヒューマン・イン・ザ・ループ・グリッド行動に変更を加える機会として分類されることを防止してもよく、又は特定された機会へのグリッド行動及び関連する変数及び下位変数の後続の割当てを制約してもよい。実験単位によって作り出された検出された障害の周囲の制約条件は、特定された機会に、例えば、機会の特定に添付されるメタデータとして、関連付けられ得、ステップ406の割当ての可能性に影響する。
【0064】
ヒューマン・イン・ザ・ループ・グリッド行動が、特定された機会にステップ406にて割り当てられる。この割当ては、グリッド行動、グリッド行動が実行される時間、及び機会に対するその行動に関連した個々の下位変数の選択を含みうる。この選択によって、実験設計に応じたトライアルが作り出される。実験設計には、例えば、ランダム化されたトライアル、ラテン方格及び部分ラテン方格の設計、適応的設計又はマッチドコントロール試験が含まれうる。個別の機会の選択は、実験設計の必要性、過去の標本、及び/又はグリッド行動、関連する変数及び/又は下位変数の出力に関する最新の実験データに基づく出力の予測に基づいて制約されうるランダム化を通じて行われる。
【0065】
機会に関連付けられた制約条件は、機会のために選択されうる可能な変化を制限するために使用されうる。制約条件は、例えば、特定された機会に関連付けられたメタデータとして受け取られる。制約条件は、例えば、空間的及び時間的不確定性が機会の空間的及び時間的不確定性に重なる進行中の実験単位のトライアルと交絡する、障害への潜在的な対処のセットを排除することによって、可能な変化を制限してもよく、又は、潜在的に重なり合う進行中の実験単位においてテストされている関連する変数若しくは下位変数に影響するグリッド行動を選択から除去することによって、個々の関連する変数若しくは下位変数の間の交絡を制限してもよい。
【0066】
選択は、障害の種類のみならず障害の重大性に基づき得、種類が同じであっても重大性が異なる障害は、選択プロセス中に非常に異なる方法で取り扱われうる。センサデータから障害を特定するために使用される分類子は、例えば、ガス又は水道グリッド上の漏洩などの個々の事象種類について複数の又は段階的な分類子を含み、障害の重大性レベルを決定する能力を有しうる。重大性レベルは、ガスグリッド上のカテゴリ1、2及び3の漏洩などの、人によって開発された既存のリスク分類構造によりうる。各重大性レベル分類は、テストに対するそれ自体の対処時間範囲を有する異なるグリッド行動として取り扱われてもよく、グリッド障害のその個々のカテゴリ又は重大性に対処する対処時間の許容できる範囲に関するそれ自体の制約条件を有しうる。
【0067】
実験設計は、適応的設計であってもよく、及び/又は、可能な各選択の予想される出力に基づいてランダム化を制約することによって、様々な変数の有効性の探索と、それらの変数の有効性に関する最新のデータの活用とをバランスさせてもよい。このことは、例えば確率マッチングを通じて行われてもよく、機会のための個々の可能な選択についてグリッドパラメータ又は目的関数出力の最新の平均及び信頼区間が比較される。グリッドパラメータが使用されるデータである場合、それらの平均及び信頼区間は、グリッド行動及び任意選択的な関連する変数及び下位変数のその個々の選択について期待されうる値の範囲を決定するために目的関数に入力される。各選択の信頼区間及び平均値の重なりは、目的関数の最大出力値をそれぞれ作り出す見込みを計算するために使用され、潜在的な各選択の見込みは、個々の選択が、機会のために選択され機会に割り当てられる見込みとして使用される。
【0068】
選択されたヒューマン・イン・ザ・ループ・グリッド行動は、待ち行列の順序に割り当てられ、グリッドメンテナンスリソース及び作業員に配信される。待ち行列の順序は、選択されたグリッド行動及びそれらのグリッド行動を実施する必要がある時間に従って構成され、選択された各行動に順序を割り当てる。各行動の時間及び場所は、その行動及び待ち行列内でそれに続く後続の行動が実行されるであろう時間を計算するために使用され、それらの時間は、選択された時間と一致する時間で選択されたグリッド行動が完了することを指示する待ち行列の順序を作り出すために使用される。選択されたグリッド行動、時間、及び任意選択的に、関連する変数及び下位変数から待ち行列の順序を作り出すことは、障害について人によって定義されたリスク等価階層によって制約されてもよく、それは、例えば、エキスパートシステムとのヒューマンインターフェイスを通じて、人によって生成されデータベースに記憶されうる。例えば、ガスグリッド上では、カテゴリ1の漏洩、カテゴリ2の漏洩、カテゴリ3の漏洩、及び異常な圧力変化の調査の、4つの階層が存在しうる。これらの場合、カテゴリ1の漏洩の階層は、他の階層よりも完了を優先されてもよく、カテゴリ1の漏洩に分類された障害に対処するいかなる行動も、待ち行列の順序において他の全ての階層に対処する選択された行動よりも前に配置されることを確実にし、行動を待ち行列化し応答時間及び順序を変更することにおいて、変化のリスクを軽減しうる階層によって待ち行列化された障害及びグリッド行動に、リソースが派遣されることを確実にする。
【0069】
この待ち行列の順序は、例えば、電子メール若しくはテキストメッセージ又は派遣用アプリケーション若しくはツール内のメッセージなどの、自動電子通信手段を通じてグリッドメンテナンス作業員に配信される。配信は、連続的であってもよく、障害が起きたときに又は規則的な間隔で、最新版の待ち行列の順序が配信される。
【0070】
選択されたヒューマン・イン・ザ・ループ・グリッド行動の有効性に関するデータが、ステップ408にて収集される。データは、1つ以上のグリッドパラメータを測定するグリッドセンサによって収集される。データは、個々のグリッド行動のために定義された少なくとも実験単位内で、これらのセンサによって収集され、そのグリッド行動と、障害の検出からヒューマン・イン・ザ・ループ・グリッド行動の実際の適用までの時間などのその付属変数と、検出された障害の重大性などの下位変数とに関連付けられ、又は障害に派遣されて行動を実行する個々のリソースに関連付けられる。出力データは、例えば、電気グリッドからの電力品質データなどの収集されたグリッドパラメータデータ自体であってもよく、又は、例えば、電力品質の向上、利用可能な電力のレベル、及び電気グリッド上の検出された故障間の時間などの複数のグリッドパラメータに基づいて、重み付けされた目的値を計算する関数を介して、例えば電気グリッド上のヒューマン・イン・ザ・ループ・グリッド行動の出力についての効果指標を計算するためにグリッドパラメータデータを使用する目的関数の出力などであってもよい。
【0071】
介入有効性データのデータベースが、ステップ410にて更新される。データは、データが収集される実験単位を通じて個々の個別のグリッド行動に関連付けられる。グリッド行動に基づいて、特定された機会へのそのヒューマン・イン・ザ・ループ・グリッド行動の適用による選択された変数のレベル及び任意の下位変数の知識が既知であり、個々のグリッド行動に関連付けられ収集されたデータを、その個々のグリッド行動の変数及び、任意選択的に、下位変数の出力データセットに、標本として追加することができる。追加されるデータは、例えば、分類子及び障害を示すデータに基づく障害の個々の重大性分類のために、検出されたグリッド障害に応じて行動が実施される時間枠を含む。これらの更新は、新たな標本を各データセットに追加し、そのデータに基づいて平均を再計算し、この新たな標本を追加した後のデータの標本サイズに基づいてそれらの平均の信頼区間を再計算することによって、対応する各変数及び下位変数のデータセットの平均及び信頼区間を更新することによって行われる。このデータベースは、選択ステップ406を通じて、この例示的な方法の追加的な繰返しによって更に改良及び活用されうる。
本発明の実施態様の一部を以下の〔態様1〕−〔態様20〕に記載する。
〔態様1〕
コンピュータにより実施される方法であって、
複数の可能なグリッド制御行動を含む、ユーティリティグリッド上の制御部に変更を加える機会を得ることと、
それぞれの可能なグリッド制御行動の効果の信頼区間を含む、前記可能なグリッド制御行動の有効性データを受け取ることと、
プロセッサを使用して、前記有効性データの信頼区間の重なりに基づいてグリッド制御行動を選択することと、
前記選択されたグリッド制御行動を前記ユーティリティグリッド上で実施することとを含む方法。
〔態様2〕
ユーティリティグリッド上の制御部の最新の状態及び可能なグリッド制御行動を表す多次元空間を参照することによって、前記ユーティリティグリッド上の前記制御部に変更を加える機会を決定することを更に含む、態様1に記載のコンピュータにより実施される方法。
〔態様3〕
前記可能なグリッド制御行動は、制約された多次元空間によって定義され、前記制約された空間内の複数の点が、前記ユーティリティグリッドの通常の運用エンベロープを表す、態様1に記載のコンピュータにより実施される方法。
〔態様4〕
ユーティリティグリッドパラメータに関するデータを収集することと、
前記グリッド制御行動の空間的到達範囲及び前記グリッド制御行動の時間的到達範囲に少なくとも部分的に基づいて、前記収集されたデータを解析することとを更に含む、態様1に記載のコンピュータにより実施される方法。
〔態様5〕
前記グリッド制御行動の前記時間的到達範囲と、前記グリッド制御行動の前記空間的到達範囲の両方の内部にあるデータを、前記有効性データを記憶するように構成されたデータベースに追加することを更に含む、態様4に記載のコンピュータにより実施される方法。
〔態様6〕
前記グリッド制御行動の前記空間的到達範囲及び前記グリッド制御行動の前記時間的到達範囲は、前記ユーティリティグリッドのモデルを使用して計算される、態様4に記載のコンピュータにより実施される方法。
〔態様7〕
前記グリッド制御行動の前記空間的到達範囲及び前記グリッド制御行動の前記時間的到達範囲は、前記グリッド制御行動に時間的又は空間的に近接して取られる第2のグリッド制御行動に対するグリッド応答への、前記グリッド制御行動の影響から導出された信頼区間内から選択される、態様4に記載のコンピュータにより実施される方法。
〔態様8〕
前記グリッド制御行動の前記選択は、ランダム化され、前記ランダム化は、前記効果の信頼区間の重なりに基づいて重み付けされる、態様1に記載のコンピュータにより実施される方法。
〔態様9〕
前記グリッド制御行動の前記選択は、ガスパイプラインの近くの掘削に対する対処の選択である、態様1に記載のコンピュータにより実施される方法。
〔態様10〕
前記グリッド制御行動の前記選択は、キャパシタバンクのスイッチ状態又は負荷タップ切替器の位置の選択である、態様1に記載のコンピュータにより実施される方法。
〔態様11〕
前記グリッド制御行動の前記選択は、スケジュールされた行動を取る前の時間遅延の選択である、態様1に記載のコンピュータにより実施される方法。
〔態様12〕
前記グリッド制御行動の前記選択は、ランク順序優先度を待ち行列内の行動に割り当てることである、態様1に記載のコンピュータにより実施される方法。
〔態様13〕
前記有効性データは、掘削によるパイプラインの損傷リスクを含む、態様1に記載のコンピュータにより実施される方法。
〔態様14〕
前記有効性データは、電気グリッド需要家に供給される電圧を表すデータを含む、態様1に記載のコンピュータにより実施される方法。
〔態様15〕
グリッド制御行動を選択することは、個別のグリッド制御部のセットに対する状態の組合せの選択である、態様1に記載のコンピュータにより実施される方法。
〔態様16〕
グリッド制御行動を自動的に選択するためのシステムであって、
ユーティリティグリッド制御部と、
ユーティリティグリッド制御状態の探索空間を記憶するように構成された探索空間メモリと、
前記ユーティリティグリッド制御状態の効果の信頼区間を含む有効性データを記憶するように構成された知識データベースと、
前記有効性データに基づいてユーティリティグリッド制御状態を選択するように構成された制御割当てプロセッサとを備えるシステム。
〔態様17〕
機会特定プロセッサを更に備える、態様15に記載のシステム。
〔態様18〕
前記ユーティリティグリッドに沿って配置されたグリッドセンサと、
前記知識データベースを更新するように構成された知識更新プロセッサとを更に備える、態様15に記載のシステム。
〔態様19〕
前記グリッド制御部は、パイプラインの近くの掘削に対処するための派遣及びメッセージングシステムである、態様15に記載のシステム。
〔態様20〕
前記グリッド制御部は、キャパシタバンク及び負荷タップ切替器である、態様15に記載のシステム。