特許第6580152号(P6580152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6580152光学センサ付きユーザウェアラブル装置及び関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6580152
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】光学センサ付きユーザウェアラブル装置及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0245 20060101AFI20190912BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   A61B5/0245 BZDM
   A61B5/02 310D
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-545576(P2017-545576)
(86)(22)【出願日】2016年2月15日
(65)【公表番号】特表2018-507055(P2018-507055A)
(43)【公表日】2018年3月15日
(86)【国際出願番号】FI2016050091
(87)【国際公開番号】WO2016139390
(87)【国際公開日】20160909
【審査請求日】2017年9月13日
(31)【優先権主張番号】15157297.1
(32)【優先日】2015年3月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ロウヴィネン ヤルッコ
(72)【発明者】
【氏名】コソネン マッティ
【審査官】 牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−330638(JP,A)
【文献】 特開2009−254523(JP,A)
【文献】 特開2003−325463(JP,A)
【文献】 特開2009−072407(JP,A)
【文献】 特開2006−271896(JP,A)
【文献】 実開平04−051908(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0275854(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0011848(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0066017(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/184447(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 − 5/03
A61B 5/06 − 5/22
A61B 1/00 − 1/32
A61B 3/00 − 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザウェアラブル装置であって、
プロセッサと、
前記装置を装着するユーザの生理的特性をモニタするために、該ユーザの身体部位を光学的にモニタするように構成される、光学センサ構造と、
を備え、
前記プロセッサが、
・ 前記ユーザにおいてモニタされる身体部位を変更し、所望のモニタリング部位を決定するために、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品を動かし、
・ 前記決定された所望のモニタリング部位で前記ユーザの生理的特性のモニタリングを継続する、
ように構成され、前記ユーザウェアラブル装置の動きを相殺し、前記決定された所望のモニタリング部位で前記ユーザの生理的特性のモニタリングを継続するために、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品を動かすように構成され、
前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品の動きによって、前記光学センサ構造で利用される光線の光路が変更される、
ユーザウェアラブル装置。
【請求項2】
ユーザウェアラブル装置であって、
プロセッサと、
前記装置を装着するユーザの生理的特性をモニタするために、該ユーザの身体部位を光学的にモニタするように構成される、光学センサ構造と、
を備え、
前記プロセッサが、
・ 前記ユーザにおいてモニタされる身体部位を変更し、所望のモニタリング部位を決定するために、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品を動かし、
・ 前記決定された所望のモニタリング部位で前記ユーザの生理的特性のモニタリングを継続する、
ように構成され、前記ユーザウェアラブル装置の動きを相殺し、前記決定された所望のモニタリング部位で前記ユーザの生理的特性のモニタリングを継続するために、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品を動かすように構成され、
前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品の動きは、前記光学センサ構造全体の動きを含む、
ユーザウェアラブル装置。
【請求項3】
前記光学センサ構造は、
前記装置を装着するユーザの身体部位を照射するように構成される光源と、
前記ユーザの生理的特性をモニタするために、前記ユーザの身体から反射された光線を検出するように構成される検出器と、
を備える、請求項1又は2に記載のユーザウェアラブル装置。
【請求項4】
前記光学センサ構造は、該光学センサ構造の少なくとも一つの部品を動かすように構成されるアクチュエータを備え、前記プロセッサは、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品を動かすように前記アクチュエータを制御するように構成される、請求項1から3の何れか一項に記載のユーザウェアラブル装置。
【請求項5】
前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品は、該光学センサ構造の光軸に対して垂直方向に動かされる、請求項1から4の何れか一項に記載のユーザウェアラブル装置。
【請求項6】
前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品の動きは、該光学センサ構造の少なくとも一つの部品の内部構造の動きである、請求項1から5の何れか一項に記載のユーザウェアラブル装置。
【請求項7】
前記光学センサ構造は、光放出器及び放出器光学系と、光検出器及び検出器光学系を備え、
前記アクチュエータは、前記光放出器、前記放出器光学系、前記光検出器、前記検出器光学系の少なくとも一つを動かすように構成される、請求項に記載のユーザウェアラブル装置。
【請求項8】
前記アクチュエータは、前記光学センサ構造の可動部品に具備される、又は動作可能に連結されるスタビライザである、請求項4または7に記載のユーザウェアラブル装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のユーザウェアラブル装置であって、
前記ユーザの身体に対する前記ユーザウェアラブル装置の動きを検出するように構成される動き検出センサを備え、
前記プロセッサは、前記ユーザウェアラブル装置の動きを相殺するために、前記動き検出センサが検出した動きに基づいて、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品に対して要求される動きを決定するように構成される、
ユーザウェアラブル装置。
【請求項10】
前記所望のモニタリング部位は、所定の基準を満たす部位である、請求項1からの何れか一項に記載のユーザウェアラブル装置。
【請求項11】
前記生理的特性は心拍数である、請求項1から10の何れか一項に記載のユーザウェアラブル装置。
【請求項12】
リストストラップ、アンクルストラップ、ユーザの衣服と一体になるように構成されるデバイスのうちの一つである、請求項1から11の何れか一項に記載のユーザウェアラブル装置。
【請求項13】
ユーザウェアラブル装置を装着するユーザの生理的特性をモニタするために、該ユーザの身体部位を光学的にモニタするように構成される、光学センサ構造を備える装置の動作方法であって、
前記ユーザにおいてモニタされる身体部位を変更し、所望のモニタリング部位を決定するために、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品を動かすことと、
前記決定された所望のモニタリング部位で前記ユーザの生理的特性のモニタリングを継続することと、
を含み、前記ユーザウェアラブル装置の動きを相殺し、前記決定された所望のモニタリング部位で前記ユーザの生理的特性のモニタリングを継続するために、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品を動かすことを含み、
前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品の動きによって、前記光学センサ構造で利用される光線の光路が変更される、方法。
【請求項14】
ユーザウェアラブル装置を装着するユーザの生理的特性をモニタするために、該ユーザの身体部位を光学的にモニタするように構成される、光学センサ構造を備える装置の動作方法であって、
前記ユーザにおいてモニタされる身体部位を変更し、所望のモニタリング部位を決定するために、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品を動かすことと、
前記決定された所望のモニタリング部位で前記ユーザの生理的特性のモニタリングを継続することと、
を含み、前記ユーザウェアラブル装置の動きを相殺し、前記決定された所望のモニタリング部位で前記ユーザの生理的特性のモニタリングを継続するために、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品を動かすことを含み、
前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品の動きは、前記光学センサ構造全体の動きを含む、方法。
【請求項15】
装置の処理手段に実行されると、前記装置に、請求項13又は14に記載の方法を遂行させるように構成されるプログラム命令を備える、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は概してユーザウェアラブルセンサ装置に関し、具体的にはこうした装置における光学センサの構成に関する。
【背景】
【0002】
本節では、有用な背景情報を紹介する。ただし、最先端の技術を紹介しようと意図されていない。
【0003】
脈波センサのような様々な測定器が、心拍や体動等のパラメータを測定するために使われるようになってきている。
【0004】
脈拍又は心拍数の測定は、胸郭バンドを使って行われる。胸郭バンドは服の下に装着され、電気的心拍センサをユーザの皮膚上に配置することによって、センサにより生じる信号から心拍を計算することができる。別の形態として手首に装着する腕時計のような脈拍センサもあり、通常、歩数計として機能するように加速度計を伴っている。
【0005】
手首に装着するセンサにおいて心拍数のモニタは、例えば光学的に行われる。光学的な心拍数測定では、測定中にセンサが手首でしっかり安定していることが必要となる。しかし、リストバンドでは締め付けがきつ過ぎて安定させることができない。こうしたリストバンドはユーザにとっては不便であり、また不快でもある。さらに、こうしたバンドは小さい血管での血流を止めたり悪くしたりして、測定信号を消失させることもある。こうした締め付けを和らげる必要があるため、デバイスは基本的には常に少しだけ動き、測定に影響が及ぶことになる。
【摘要】
【0006】
本発明の種々の例示的態様は特許請求の範囲に提示されている。
【0007】
本発明の第1の例示的態様によれば、ユーザウェアラブル装置が提供される。この装置は、
前記装置を装着するユーザの生理的特性をモニタするために、該ユーザの身体部位を光学的にモニタするように構成される、光学センサ構造と、
プロセッサと、
を備え、前記プロセッサが、
前記ユーザにおいてモニタされる身体部位を変更し、所望のモニタリング部位を決定するために、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品を動かし、
前記決定された所望のモニタリング部位で前記ユーザの生理的特性のモニタリングを継続する、
ように構成される。
【0008】
実施形態によっては、光学センサ構造は、装置を装着しているユーザの身体表面に照射するように構成される光源と、そのユーザの生理的特性をモニタするためにユーザの身体から反射された光線を検出するように構成される検出器を備える。
【0009】
実施形態によっては、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品の動きによって、前記光学センサ構造で利用される光線の光路が変更される。
【0010】
実施形態によっては、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品の動きは、前記光学センサ構造全体の動きを含む。
【0011】
実施形態によっては、前記光学センサ構造は、該光学センサ構造の少なくとも一つの部品を動かすように構成されるアクチュエータを備え、前記プロセッサが、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品を動かすように前記アクチュエータを制御するように構成される。
【0012】
実施形態によっては、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品は、該光学センサ構造の光軸に対して平行に動かされる。
【0013】
実施形態によっては、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品の動きは、該光学センサ構造の少なくとも一つの部品の内部構造の動きである。
【0014】
実施形態によっては、前記光学センサ構造は、光放出器及び放出器光学系と、光検出器及び検出器光学系を備え、前記アクチュエータは、前記光放出器、前記放出器光学系、前記光検出器、前記検出器光学系の少なくとも一つを動かすように構成される。
【0015】
実施形態によっては、前記アクチュエータは、前記光学センサ構造の可動部品に具備される、又は動作可能に連結されるスタビライザである。
【0016】
実施形態によっては、前記プロセッサは、前記ユーザウェアラブル装置の動きを相殺し、前記決定された所望のモニタリング部位で前記ユーザの生理的特性のモニタリングを継続するために、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品を動かすように構成される。
【0017】
実施形態によっては、前記ユーザウェアラブル装置は更に、前記ユーザの身体に対する前記ユーザウェアラブル装置の動きを検出するように構成される動き検出センサを備え、前記プロセッサは、前記ユーザウェアラブル装置の動きを相殺するために、前記動き検出センサが検出した動きに基づいて、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品に対して要求される動きを決定するように構成される。
【0018】
実施形態によっては、前記所望のモニタリング部位は、所定の基準を満たす部位である。
【0019】
実施形態によっては、前記生理的特性は心拍数である。
【0020】
実施形態によっては、装置はリストストラップ、アンクルストラップ、ユーザの衣服と一体になるように構成されるデバイスのうちの一つである。
【0021】
本発明の第2の例示的態様によれば、次のような方法が提供される。この方法は、
ユーザウェアラブル装置を装着するユーザの生理的特性をモニタするために、該ユーザの身体部位を光学的にモニタするように構成される、光学センサ構造を使用することと、
前記ユーザにおいてモニタされる身体部位を変更し、所望のモニタリング部位を決定するために、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品を動かすことと、
前記決定された所望のモニタリング部位で前記ユーザの生理的特性のモニタリングを継続することと、
を含む。
【0022】
実施形態によっては、前記方法は、前記ユーザウェアラブル装置の動きを相殺し、前記決定された所望のモニタリング部位で前記ユーザの生理的特性のモニタリングを継続するために、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品を動かすことを含む。
【0023】
実施形態によっては、前記方法は更に、前記ユーザの身体に対する前記ユーザウェアラブル装置の動きを検出することと、前記ユーザウェアラブル装置の動きを相殺するために、前記動き検出センサが検出した動きに基づいて、前記光学センサ構造の少なくとも一つの部品に対して要求される動きを決定することを含む。
【0024】
本発明の第3の例示的態様によれば、コンピュータプログラムであって、ウェアラブルデバイスを制御するように構成されるコンピュータ実行可能プログラムコードを含み、該コンピュータ実行可能プログラムコードは、第2の態様の方法を実施するように実行される、コンピュータプログラムが提供される。
【0025】
前記コンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に格納されていてもよい。記憶媒体は非一時的記憶媒体でもよい。
【0026】
上述の記憶媒体は、データディスクやディスケット、光学記憶装置、磁気記憶装置、ホログラフィック記憶装置、光磁気記憶装置、相変化メモリ、抵抗変化型ランダムアクセスメモリ、磁気ランダムアクセスメモリ、固体電解質メモリ、強誘電体メモリ、有機メモリ、高分子メモリ等のデジタルデータ記憶装置を有してもよい。これらのメモリ媒体は、記憶以外の機能は事実上備えていないようなデバイスとして実装されてもよく、または、様々な機能を有する装置の一部として実装されてもよい。限定するわけではないが、コンピュータやチップセット、電子機器のサブアセンブリのメモリ等として実装されてもよい。
【0027】
本発明の様々な態様及び実施形態を示したが、これらは発明の範囲を限定するために提示されたものではない。これらの例は、本発明の実施において利用可能な特徴やステップを、いくつか選択して説明したものに過ぎない。いくつかの具現化形態は、本発明の例示的な側面のあるものを参照してのみ示されるかもしれない。そのため、対応する実施形態が他の例示的態様にも適用可能であることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の例示的実施形態をより詳細に理解するために、次の添付図面と合わせて以下の説明を参照されたい。
図1】例示的な光学的心拍数測定を簡略化して描いたものである。
図2】例示的実施形態の装置の概略図を示す。
図3】例示的実施形態の装置の概略図を示す。
図4】例示的実施形態の動作原理を示す。
図5】例示的実施形態の装置のブロック図を示す。
図6】例示的実施形態の処理のフローチャートを示す。
図7】別の例示的実施形態の処理のフローチャートを示す。
【図面の詳細な説明】
【0029】
本発明の例示的実施形態とそれらの可能な利点は、添付の図1から図6を参照して理解される。本明細書及び図面では、同様の要素や方法ステップには同様の引用符号が使われる。
【0030】
次に、心拍数モニタに関連して種々の例示的実施形態を説明する。ただし、これら種々の実施形態が心拍数モニタのみに限定される必要はなく、心拍数モニタ以外の、あるはそれに加えて他の生理的状態のモニタも可能である。こうした生理的状態には、心拍数、血圧、CO2(二酸化炭素)濃度の一つ又は複数が含まれる。また、他の生理的状態の測定を適用してもよい。
【0031】
心拍数は、PPG(光電式容積脈波)センサを用いて血液量の変動を測定することによって、光学的にモニタすることができる。図1は、例示的な光学的心拍数測定を簡略化して描いたものである。図1は、LED(発光ダイオード)101とフォトダイオード(光検出器)102を備える簡易反射型PPGセンサを示している。LED(光放出器、光源)101は発光し、検出器102は、ユーザの手首103から反射された光線を受け取る。こうした光学的心拍数測定では、測定中にセンサが手首でしっかり安定していることが必要となる。しかし、リストバンドでは締め付けがきつ過ぎて安定させることができない。こうしたリストバンドはユーザにとっては不便であり、また不快でもある。さらに、こうしたバンドは小さい血管での血流を止めたり悪くしたりして、測定信号を消失させることもある。こうした締め付けを和らげる必要があるため、デバイスは基本的には常に少しだけ動き、測定に影響が及ぶことになる。
【0032】
本発明の実施形態において、(心拍数監視装置等の)モニタリング装置は、光学センサ構造で利用される光線が光学センサ構造の検出器要素に当たる前に、その光線の光路を修正又は変更するように構成される。実施形態によっては、こうした光路変更が、(装置全体を動かさずに)光学センサ構造の一部を動かすことによって引き起こされる。一般に、こうした監視装置の光学センサ構造は、装置を装着しているユーザの身体表面に照射するように構成される光源と、そのユーザの生理的特性をモニタするためにユーザの身体から反射された光線を検出するように構成される検出器を備える。
【0033】
監視装置は、ユーザの身体の特定部位をモニタする。ある実施形態において、光学センサ構造における少なくとも一つの(内部)部品は、所望のモニタリング部位を探すために様々な位置に動かせる。こうした動きは、監視装置全体を動かさない内部移動である。実施形態によっては、光学センサ構造で利用される光線の光路は、所望のモニタリング部位を探すために変更される。所望のモニタリング部位は、例えば特定の定義済み基準を満たしてもよく、最適モニタリング部位であってもよく、あるいはその両方でもよい。ある実施例では、測定信号の強度が最大になる、又は信号が特定の閾値を超える部位が探索される。閾値は例えば、それを超えると測定の品質要件セットを満足するようなものであってもよい。所望のモニタリング部位が見つかると、測定がその部位でロックされる。その後、ユーザの身体に対する監視装置の動きを相殺するために、光学センサ構造で利用される光線の光路変更、光学センサ構造の一つ(又は複数)の内部経路に関する内部移動の何れか又は両方が用いられてもよい。こうして、所望のモニタリング部位で測定を継続でき、モニタリング結果を改善することができる。
【0034】
光学センサ構造で可動する部分は、検出器やセンサ構造の光学要素、センサ構造の光源要素でもよく、あるいは、光学センサ構造で利用される光線の光路を変更するように可動する他の部分でもよい。実施形態によっては、モニタリング部位を変更するために光学センサ構造全体が動いてもよい。
【0035】
例えば、光学センサ構造の可動部分を動かすアクチュエータがあってもよい。こうしたアクチュエータは、動かされる部分に具備された又は組み込まれたスタビライザでもよい。アクチュエータは、電磁ボイスコイルや圧電アクチュエータ等でもよい。
【0036】
図2A及び2Bは、例示的実施形態の装置の概略図を示す。装置は、ユーザの手首201に巻いて装着可能なストラップ202と本体203を備えるユーザウェアラブルデバイスである。
【0037】
図2Aにおいて、本体203は光学センサ構造を備え、光学センサ構造は光放出器210、放出器光学系212、検出器213、検出器光学系214を備える。光学センサ構造は、皮膚やその下の組織(毛細血管、静脈等)の特性に対応するセンサ信号を生成するように構成される。図2Aの実施例では、検出器光学系214はアクチュエータを備える、あるいは動作可能にアクチュエータに接続される。アクチュエータは、本体203及び光学センサ構造の内部で検出器光学系214を動かすように構成される。実施例によっては、アクチュエータが検出器光学系を検出器光学系の光軸に対して垂直に動かし、それによって光学センサ構造における光線の光路を変更するようにするものと規定してもよい。検出器光学系の光軸が三次元座標のz軸で表わされる場合、検出器光学系はx方向とy方向に動くことができる。実施例によっては、アクチュエータが検出器光学系を、装置を装着しているユーザの皮膚に対して平行に動かし、それによって光学センサ構造における光線の光路を変更するようにするものと規定してもよい。例示的実施形態によっては、検出器光学系214の動きが、検出器光学系内部での移動、即ち、可動部品の内部移動でもよい。例えば、検出器光学系が形状変形プリズムを備える場合、こうした動きは形状変形プリズムのガラス板を傾斜させることであってもよい。
【0038】
また、本体203は動き検出器215を備える。さらに本体203は、本体及び光学センサ構造の機能を制御するように構成されるプロセッサ又は他の処理ユニットを備える(図示せず)。こうしたプロセッサは、動き検出器及び光学センサ構造から受け取られた測定値又はセンサ信号を処理し、それに従って光学センサ構造を制御してもよい。プロセッサは例えば、光学センサ構造に対する所望のモニタリング部位の決定、その所望のモニタリング部位におけるモニタリングの継続の何れか又は両方を行ってもよい。所望のモニタリング部位の決定するために、プロセッサは、アクチュエータを制御して検出器光学系を動かし、それによってモニタリング部位を変更するようにしてもよい。さらに、所望のモニタリング部位におけるモニタリングを継続するために、プロセッサは、アクチュエータを制御して検出器光学系を動かし、それによって装置の動きを相殺するようにしてもよい。
【0039】
ある例示的実施形態において、検出器光学系は、検出器213前面の光学スタビライザとして動作する。検出器光学系又は光学スタビライザは、例えば任意の適切なレンズ要素又は形状変形プリズムでもよい。
【0040】
図2Bにおいて、本体203は光学センサ構造を備え、光学センサ構造は光放出器210、放出器光学系222、検出器213、検出器光学系314を備える。光学センサ構造は、皮膚やその下の組織(毛細血管、静脈等)の特性に対応するセンサ信号を生成するように構成される。図2Bの実施例では、放出器光学系222はアクチュエータを備える、あるいは動作可能にアクチュエータに接続される。アクチュエータは、本体203及び光学センサ構造の内部で放出器光学系222を動かすように構成される。実施例によっては、アクチュエータが放出器光学系を放出器光学系の光軸に対して垂直に動かし、それによって光学センサ構造における光線の光路を変更するようにするものと規定してもよい。放出器光学系の光軸が三次元座標のz軸で表わされる場合、放出器光学系はx方向とy方向に動くことができる。実施例によっては、アクチュエータが放出器光学系を、装置を装着しているユーザの皮膚に対して平行に動かし、それによって光学センサ構造における光線の光路を変更するようにするものと規定してもよい。例示的実施形態によっては、放出器光学系222の動きが、放出器光学系内部での移動でもよい。例えば、放出器光学系が形状変形プリズムを備える場合、こうした動きは形状変形プリズムのガラス板を傾斜させることであってもよい。
【0041】
また、本体203は動き検出器215を備える。さらに本体203は、本体及び光学センサ構造の機能を制御するように構成されるプロセッサ又は他の処理ユニットを備える(図示せず)。こうしたプロセッサは、動き検出器及び光学センサ構造から受け取られた測定値又はセンサ信号を処理し、それに従って光学センサ構造を制御してもよい。プロセッサは例えば、光学センサ構造に対する所望のモニタリング部位の決定、その所望のモニタリング部位におけるモニタリングの継続の何れか又は両方を行ってもよい。所望のモニタリング部位の決定するために、プロセッサは、アクチュエータを制御して放出器光学系を動かし、それによってモニタリング部位を変更するようにしてもよい。さらに、所望のモニタリング部位におけるモニタリングを継続するために、プロセッサは、アクチュエータを制御して放出器光学系を動かし、それによって装置の動きを相殺するようにしてもよい。
【0042】
ある例示的実施形態において、放出器光学系は、放出器210前面の光学スタビライザとして動作する。放出器光学系又は光学スタビライザは、例えば任意の適切なレンズ要素又は形状変形プリズムでもよい。
【0043】
図3A及び3Bは、例示的実施形態の装置の概略図を示す。装置は、ユーザの手首201に巻いて装着可能なストラップ202と本体203を備えるユーザウェアラブルデバイスである。
【0044】
図3Aにおいて、本体203は光学センサ構造を備え、光学センサ構造は光放出器210、放出器光学系212、検出器313、検出器光学系314を備える。光学センサ構造は、皮膚やその下の組織(毛細血管、静脈等)の特性に対応するセンサ信号を生成するように構成される。図3の実施例では、検出器313はアクチュエータを備える、あるいは動作可能にアクチュエータに接続される。アクチュエータは、本体203及び光学センサ構造の内部で検出器313を動かすように構成される。実施例によっては、アクチュエータが検出器を光学センサ構造の光軸に対して垂直に動かすものと規定してもよい。光学センサ構造の光軸が三次元座標のz軸で表わされる場合、検出器313はx方向とy方向に動くことができる。実施例によっては、アクチュエータが検出器313を、装置を装着しているユーザの皮膚に対して平行に動かすものと規定してもよい。検出器313を動かすことによって、センサ構造が反射光線を検出する場所から、ユーザの皮膚の位置又はスポットが変えられる。
【0045】
また、本体203は動き検出器215を備える。さらに本体203は、本体及び光学センサ構造の機能を制御するように構成されるプロセッサ又は他の処理ユニットを備える(図示せず)。こうしたプロセッサは、動き検出器及び光学センサ構造から受け取られた測定値又はセンサ信号を処理し、それに従って光学センサ構造を制御してもよい。プロセッサは例えば、光学センサ構造に対する所望のモニタリング部位の決定、その所望のモニタリング部位におけるモニタリングの継続の何れか又は両方を行ってもよい。所望のモニタリング部位の決定するために、プロセッサは、アクチュエータを制御して検出器を動かし、それによってモニタリング部位を変更するようにしてもよい。さらに、所望のモニタリング部位におけるモニタリングを継続するために、プロセッサは、アクチュエータを制御して検出器を動かし、それによって装置の動きを相殺するようにしてもよい。
【0046】
図3Bにおいて、本体203は光学センサ構造を備え、光学センサ構造は光放出器310、放出器光学系212、検出器213、検出器光学系314を備える。光学センサ構造は、皮膚やその下の組織(毛細血管、静脈等)の特性に対応するセンサ信号を生成するように構成される。図3Bの実施例では、光放出器310はアクチュエータを備える、あるいは動作可能にアクチュエータに接続される。アクチュエータは、本体203及び光学センサ構造の内部で光放出器310を動かすように構成される。実施例によっては、アクチュエータが光放出器を光学センサ構造の光軸に対して垂直に動かすものと規定してもよい。光学センサ構造の光軸が三次元座標のz軸で表わされる場合、光放出器310はx方向とy方向に動くことができる。実施例によっては、アクチュエータが光放出器310を、装置を装着しているユーザの皮膚に対して平行に動かすものと規定してもよい。光放出器310を動かすことによって、センサ構造が反射光線を検出する場所から、ユーザの皮膚の位置又はスポットが変えられる。
【0047】
また、本体203は動き検出器215を備える。さらに本体203は、本体及び光学センサ構造の機能を制御するように構成されるプロセッサ又は他の処理ユニットを備える(図示せず)。こうしたプロセッサは、動き検出器及び光学センサ構造から受け取られた測定値又はセンサ信号を処理し、それに従って光学センサ構造を制御してもよい。プロセッサは例えば、光学センサ構造に対する所望のモニタリング部位の決定、その所望のモニタリング部位におけるモニタリングの継続の何れか又は両方を行ってもよい。所望のモニタリング部位の決定するために、プロセッサは、アクチュエータを制御して光放出器310を動かし、それによってモニタリング部位を変更するようにしてもよい。さらに、所望のモニタリング部位におけるモニタリングを継続するために、プロセッサは、アクチュエータを制御して光放出器310を動かし、それによって装置の動きを相殺するようにしてもよい。
【0048】
図3Cにおいて、本体203は光学センサ構造355を備え、光学センサ構造355は光放出器210、放出器光学系212、検出器213、検出器光学系314を備える。光学センサ構造は、皮膚やその下の組織(毛細血管、静脈等)の特性に対応するセンサ信号を生成するように構成される。図3Cの実施例では、光学センサ構造355はアクチュエータを備える、あるいは動作可能にアクチュエータに接続される。アクチュエータは、本体293の内部で光学センサ構造355を動かすように構成される。実施例によっては、アクチュエータが光学センサ構造355を光学センサ構造の光軸に対して垂直に動かすものと規定してもよい。光学センサ構造の光軸が三次元座標のz軸で表わされる場合、光学センサ構造355はx方向とy方向に動くことができる。実施例によっては、アクチュエータが光学センサ構造355を、装置を装着しているユーザの皮膚に対して平行に動かすものと規定してもよい。
【0049】
また、本体203は動き検出器215を備える。さらに本体203は、本体及び光学センサ構造の機能を制御するように構成されるプロセッサ又は他の処理ユニットを備える(図示せず)。こうしたプロセッサは、動き検出器及び光学センサ構造から受け取られた測定値又はセンサ信号を処理し、それに従って光学センサ構造を制御してもよい。プロセッサは例えば、光学センサ構造に対する所望のモニタリング部位の決定、その所望のモニタリング部位におけるモニタリングの継続の何れか又は両方を行ってもよい。所望のモニタリング部位の決定するために、プロセッサは、アクチュエータを制御して光学センサ構造355を動かし、それによってモニタリング部位を変更するようにしてもよい。さらに、所望のモニタリング部位におけるモニタリングを継続するために、プロセッサは、アクチュエータを制御して光学センサ構造355を動かし、それによって装置の動きを相殺するようにしてもよい。
【0050】
図2Aから3Bは、光学センサ構造の可動部が検出器又は検出器光学系、あるいは光放出器又は放出器光学系である実施例を示している。また、光学センサ構造のモニタリング部位で変化を引き起こしたり、光学センサ構造の光路を変更したり、あるいはその両方を行うように、その他の部分が可動であってもよい。こうした可動部の移動は、水平移動又は可動部の内部移動でもよい。
【0051】
図2Aから3Cの装置は腕時計のような形状でもよく、ユーザに時刻や他の有用な情報を表示するように構成されてもよいことに留意すべきである。装置の本体203の材質はプラスチックやカーボンファイバ材、ガラス、木材、セラミック等であってもよく、これらを組み合わせたものであってもよい。装置の本体203は、凹部ブロック又はユニットとして概ね形成可能であり、あるいは、その片面が切り取られた凹部ブロック又はユニットとして形成されてもよい。ストラップ202は、プラスチックや繊維、皮革等、適切な柔軟性のある材料で作られていてもよい。例示的実施形態によっては、ストラップ202及び本体203は一つの材料で一体に形成されてもよい。こうした材料には、プラスチックや金属、ナノファイバ、カーボンファイバ、皮革、ガラスの何れかが含まれてもよく、あるいはこれらの何れかから成る。
【0052】
図2Aから3Cは、例示的装置としてリストストラップを示している。あるいは、本発明の例示的実施形態に従う装置が、ユーザが装着可能なその他のデバイスでもよい。装置は、ユーザの衣服と一体になるように構成されるデバイスでもよい。こうしたデバイスは、例えばベルトや靴下、靴、シャツやプルオーバーの袖や襟、ズボンやスカートのウエストバンドの何れか又は全てに装着または一体化されてもよい。デバイスは衣服から取り外し可能でもよい。
【0053】
図4は、例示的実施形態の動作原理を示す。示された実施例は、検出器光学系214が可動である図2の装置に基づいている。
【0054】
心拍数のモニタリングでは、光学センサ構造は次のように動作する。まず、(LED等の)光放出器210がユーザの手首の特定部位401に照射する。装置(例えば、その中のプロセッサ)は、血管402・403の体積変化量を学習する。検出器213は、手首から反射した光線406を受光する。装置が手首に対して動くと、反射光線は前述の部位以外から検出器213に向かって進む。これによって断絶が生じ、一定期間測定を停止する。こうした動きが絶えず起きると、装置はモニタリングを全く行えなくなる。こうした問題は、検出器光学系を動かし、それによって光線の光路を変更することによって取り除かれる。示された実施例では、装置は矢印411の向きに動く。この動きは、動き検出器215によって検出され、この動きを相殺するために、検出器光学系214は矢印412の向きに動かされる。それによって、以前にモニタリングされたものと同一の部位からの光線が検出器に屈折される。こうして、所望の部位(例えば最適部位)からの光線が、装置の動きとは無関係に検出器213に導かれる。
【0055】
図5は、ある例示的実施形態に従う装置500のブロック図である。この図は、様々な処理や制御に関する側面の理解に資するために提供される。装置500は、図2及び3の装置として用いられるのに適している。
【0056】
装置500は、無線ユニット550、無線ユニット550に接続されるプロセッサ540、プロセッサ540に接続されるメモリ560を備える。装置は更に、動き検出器590、生体センサ510、ユーザインタフェース(U/I)ユニット520を備える。U/Iユニットはタッチセンシティブディスプレイ等であって、プロセッサ540に接続される。
【0057】
メモリ560は、作業メモリと不揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、読出し専用メモリやフラッシュメモリ、光学メモリ、磁気メモリ等である。メモリ560、典型的には、少なくとも最初の不揮発性メモリにはソフトウェア570が格納されている。ソフトウェア250はプロセッサ540によりロードされ、実行される。ソフトウェア570は1つ以上のソフトウェアモジュールを含んでもよく、記憶媒体に格納されたソフトウェアであるコンピュータプログラム製品の形態をとることもできる。
【0058】
無線ユニット550は、他のデバイスとの通信や、一つ又は複数のリンクに亘る通信ネットワークを提供するように構成される。こうしたリンクは有線および/または無線リンクでもよい。あるいは、または加えて、通信インタフェースモジュール550は、他のユーザとのリンクを確立したり、インターネット等でデータを転送したりするのに適した遠隔通信リンクを実装してもよい。このような遠隔通信リンクは、無線ローカルエリアネットワークリンクやブルートゥース(登録商標)、超広域通信リンク、携帯通信リンク、衛星通信リンクの何れかを用いるリンクでもよい。
【0059】
動き検出器590は、ユーザの身体に対する装置500の動きを検出するように構成される。動き検出器は、例えば光学センサや加速度計でもよい。
【0060】
生体センサ510は、装置500を装着するユーザに関する特定の生理的特性をモニタするように構成される光学センサである。生体センサ510は、生体センサ510の一つ又は複数の内部パーツ又は部品を動かすように動作可能なアクチュエータ530を備える。アクチュエータ510によって生じる動きは、生体センサ510で利用される光線の光路を変更することができる。アクチュエータ530は、センサ要素510全体を動かさずに生体センサ510の一部を動かしてもよい。あるいは、アクチュエータが装置500を動かさずにセンサ要素510全体を動かしてもよい。明快にするために、図5では生体センサの内部部品は示されていない。
【0061】
プロセッサ540は例えば、中央処理ユニット(CPU)やマイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、グラフィックスプロセッシングユニット、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ、マイクロコントローラでもよく、こうした要素を組み合わせたものでもよい。ある例示的実施形態において、プロセッサは、動き検出器590、生体センサ510の何れか又は両方から受け取られて信号に応答して、生体センサのアクチュエータ530を制御するように構成される。この制御によって、生体センサのアクチュエータ530は生体センサ510の一つ又は複数の内部部品を動かし、例えば、生体センサ510で利用される光線の光路を変更する。例示的実施形態によっては、プロセッサは、所望のモニタリング部位を決定するために、生体センサのアクチュエータ530が生体センサ510の一つ又は複数の内部部品を動かし、装置500のユーザの身体におけるモニタリング部位を変えるよう、生体センサのアクチュエータ530を制御するように構成される。例示的実施形態によっては、プロセッサは、装置500の動きを相殺するために、生体センサの内部部品に対して必要な動きや、生体センサ510で利用される光線の光路に対して必要な変更の何れか又は両方の決定を、動き検出センサによって検出された動きに基づいて行うように構成される。
【0062】
当業者であれば、図5に示された要素に加えて、マイクロフォンやディスプレイ、バッテリといった他の要素を装置500が具備できることも理解されよう。
【0063】
本願における接続とは、機能的または動作可能な接続を意味するものと理解すべきである。したがって、明記されていない限り、接続される要素間に介在する部品や回路が存在することもある。
【0064】
図6は、例示的実施形態の処理のフローチャートを示す。この処理は次のことを含む:610で、センサ構造の測定部位を変更するために、センサ構造の内部部品を動かすこと(例えば、光学部品や検出器部品、光源部品、あるいはそれらの適切な組合せを動かしてもよい);620で、所望の測定部位(例えば、所定の基準を満たす部位や、心拍数モニタリングに最適な血管を検出できる部位、最強度の信号を出す部位)を決定すること;630で、所望の測定部位において測定を開始すること(例えば、所望部位に対する測定のロックを含む);640で、所望の測定部位における測定を継続するために、センサ構造の少なくとも一つの内部部品を動かして、装置の動きを相殺すること。例示的実施形態によっては、センサ構造の測定部位を変更する、又は装置の動きを相殺するために、装置内部でセンサ構造全体を動かしてもよい。
【0065】
図7は、例示的実施形態の処理のフローチャートを示す。この処理は次のことを含む。710で、センサ構造の測定部位を変更するために、光線の光路を変更すること;620で、所望の測定部位(例えば、所定の基準を満たす部位や、心拍数モニタリングに最適な血管を検出できる部位、最強度の信号を出す部位)を決定すること;630で、所望の測定部位において測定を開始すること(例えば、所望部位に対する測定のロックを含む);740で、所望の測定部位における測定を継続するために、光線の光路を変更して、装置の動きを相殺すること。
【0066】
本願で開示される一つ又は複数の例示的実施形態における技術的効果は、心拍数等の生理的特性に対する光学的監視が改善されることである。ただしこのことは、以降に記載する特許請求の範囲が請求する範囲や解釈、適用を如何様にも限定するものではない。また例えば、監視の信頼性も向上される。本願で開示される一つ又は複数の例示的実施形態における別の技術的効果は、所定の基準を満たすモニタリング部位や、最良の結果をもたらすモニタリング部位が、モニタリングを開始する前に見つけられるため、信号品質も改善されることである。本願で開示される一つ又は複数の例示的実施形態におけるまた別の技術的効果は、監視プロセスの阻害又は停止をせずに装置の移動が可能になることである。本願で開示される一つ又は複数の例示的実施形態における更にまた別の技術的効果は、光線が検出器に当たる前に装置の動きが相殺されるため、検出信号に関して実行された結果に対する電気的な安定化や補償、その他の処理が不要となることである。
【0067】
必要に応じて、本出願で開示した様々な機能が異なる順序で、及び/又は同時に実行されてもよい。さらに必要に応じて、前述の機能の一つ又は複数がオプションであったり、統合されていたりしてもよい。
【0068】
本発明の様々な態様が独立請求項に記載されているが、前述の実施形態からの特定事項の他の組合せ、および/または独立請求項の特定事項を備える従属請求項を、請求項に明記された単なる組合せとは別に、本発明の他の態様が備えてもよい。
【0069】
前述の通り、本発明の例示的実施形態が説明されてきたが、これらの説明を限定的な意味で理解すべきでないことにも留意されたい。むしろ、添付の特許請求の範囲で定義されるような技術的範囲から逸脱することなく、様々な変形や修正が可能であることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7