特許第6580163号(P6580163)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6580163燃料噴射弁駆動特性校正方法及び車両用制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6580163
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】燃料噴射弁駆動特性校正方法及び車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 51/06 20060101AFI20190912BHJP
   F02M 51/00 20060101ALI20190912BHJP
   F02D 41/20 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   F02M51/06 U
   F02M51/06 M
   F02M51/00 A
   F02M51/06 Z
   F02D41/20 330
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-557762(P2017-557762)
(86)(22)【出願日】2016年10月28日
(86)【国際出願番号】JP2016082034
(87)【国際公開番号】WO2017110245
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2018年6月5日
(31)【優先権主張番号】特願2015-250567(P2015-250567)
(32)【優先日】2015年12月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】刑部 侑樹
(72)【発明者】
【氏名】松岡 孝
【審査官】 首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/004988(WO,A1)
【文献】 特開2014−214837(JP,A)
【文献】 特開2014−005740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 51/06
F02D 41/20
F02M 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料噴射弁の駆動特性を校正する方法であって、
校正対象の車両用制御装置(101)における所定の燃料噴射時のブースト電圧を所定の基準ブースト電圧に変えて前記車両用制御装置(101)に燃料噴射弁(4)を駆動せしめる第1のステップと、
前記燃料噴射弁(4)が前記基準ブースト電圧で駆動され始めたときから前記燃料噴射弁(4)に流れる電流が所定の目標電流に達するまでの立ち上がり時間を計測する第2のステップと、
計測された前記立ち上がり時間に基づいて、前記校正対象の車両用制御装置(101)における前記所定の燃料噴射時のブースト電圧の電圧値の大きさを補正する第3のステップと、
補正後の前記ブースト電圧を前記所定の燃料噴射時のブースト電圧とする第4のステップとを備える
ことを特徴とする燃料噴射弁駆動特性校正方法。
【請求項2】
前記第3のステップにおいて、
前記計測された立ち上がり時間と、所定の基準立ち上がり時間との時間差を算出し、前記時間差に応じてブースト電圧の電圧値の大きさを補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁駆動特性校正方法。
【請求項3】
前記基準立ち上がり時間は、基準ブースト電圧で燃料噴射弁(4)を駆動させる場合に、前記燃料噴射弁(4)が前記基準ブースト電圧で駆動され始めたときから前記燃料噴射弁(4)に流れる電流値が所定の目標電流値に達するまでの電流の立ち上がり時間である
ことを特徴とする請求項2記載の燃料噴射弁駆動特性校正方法。
【請求項4】
前記校正対象の車両用制御装置(101)において実行される
ことを特徴とする請求項3記載の燃料噴射弁駆動特性校正方法。
【請求項5】
前記校正対象の車両用制御装置(101)の動作試験を行う試験装置によって実行される
ことを特徴とする請求項3記載の燃料噴射弁駆動特性校正方法。
【請求項6】
燃料噴射弁(4)駆動制御可能に構成された制御ユニット(51)を備えた車両用制御装置(101)であって、
前記制御ユニット(51)は、
当該制御ユニット(51)における所定の燃料噴射時のブースト電圧を所定の基準ブースト電圧に変えて前記燃料噴射弁(4)を駆動し、
前記燃料噴射弁(4)が前記基準ブースト電圧で駆動され始めたときから前記燃料噴射弁(4)に流れる電流が所定の目標電流に達するまでの立ち上がり時間を計測し、
計測された前記立ち上がり時間に基づいて、前記校正対象の車両用制御装置(101)における前記所定の燃料噴射時のブースト電圧の電圧値の大きさを補正し、
補正後の前記ブースト電圧を前記所定の燃料噴射時のブースト電圧とする
ことを特徴とする車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料噴射弁駆動特性校正方法及び車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車両には様々な動作制御を実現するために制御ユニットを備えた車両用制御装置が設けられている。かかる車両用制御装置において実行される重要な制御の一つに燃料噴射制御があり、様々な制御方法等が提案、実用化されている(例えば、特許文献1等参照)。燃料噴射制御は、エンジンの動作の良否に大きな影響を与える。特に燃料噴射弁の駆動制御において、通電時間は噴射量に直接影響を及ぼす。このような燃料噴射弁の駆動制御等を行う車両用制御装置は、同一構成であれば燃料噴射弁の駆動特性は基本的に同一である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−154214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、同一構成の車両用制御装置であっても、実際には個々の電子部品にそれぞれ特性のばらつきが有り、通常、そのばらつきが許容される偏差の範囲内で同一特性の部品であるとしている。一方で燃料噴射のなかでも特に比較的噴射量の小さい場合、例えば、いわゆるパイロット噴射と称され、主噴射の前に行われる微小噴射においては、燃料噴射弁の駆動時における通電電流の立ち上がり時間の僅かな差が燃料噴射量に直接大きな影響を与える。よって同一の構成を有する車両制御装置の燃料噴射弁特性には極力ばらつきがなく均一であることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、同一構成の車両用制御装置における燃料噴射弁の駆動特性のばらつきを無くし、従来に比してより信頼性の高い燃料噴射制御を可能とする車両用制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る車両用制御装置の燃料噴射弁駆動特性校正方法は、車両用制御装置における燃料噴射弁駆動特性を校正する燃料噴射弁駆動特性校正方法であって、校正対象の車両用制御装置における所定の燃料噴射時のブースト電圧を、所定の基準ブースト電圧に変えて前記車両用制御装置に燃料噴射弁を駆動せしめる第1のステップと、前記燃料噴射弁に流れる電流が所定の目標電流に達するまでの立ち上がり時間を計測する第2のステップと、前記計測された立ち上がり時間に基づいて、前記校正対象の車両用制御装置における前記所定の燃料噴射に対するブースト電圧を補正する第3のステップと、前記補正後のブースト電圧を前記所定の燃料噴射に対するブースト電圧とする第4のステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブースト電圧印加時の燃料噴射弁電流の立ち上がり時間に基づいてブースト電圧を補正することで立ち上がり時間が一致するようにしたので、同一構成の車両用制御装置における燃料噴射弁の駆動特性のばらつきを無くし、従来に比してより信頼性の高い燃料噴射制御が実現でき、信頼性、安定性の良好な車両用制御装置を提供することができるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態における車両用制御装置の基本構成図である。
図2】本実施の形態における燃料噴射弁駆動特性校正処理における燃料噴射弁電流の立ち上がり時間の取得手順を示すサブルーチンフローチャートである。
図3】本実施の形態における燃料噴射弁駆動特性校正処理における目標ブースト電圧の補正手順を示すサブルーチンフローチャートである。
図4】本実施の形態における燃料噴射弁駆動特性校正処理が実行された場合の噴射弁電流と目標ブースト電圧の変化例を示す特性線図であって、(A)は2つの車両用制御装置における噴射弁電流の変化例を示す特性線図、(B)は2つの車両用制御装置における目標ブースト電圧の変化例を示す特性線図である。
図5】従来装置における噴射弁電流と目標ブースト電圧の変化例を示す特性線図であって、(A)は2つの車両用制御装置における噴射弁電流の変化例を示す特性線図、(B)は2つの車両用制御装置における目標ブースト電圧の変化例を示す特性線図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施の形態について、図1乃至図5を参照しつつ説明する。なお以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。最初に本実施の形態における車両用制御装置の基本構成について図1を参照しつつ説明する。
【0010】
車両用制御装置101は、エンジン制御ユニット(ECU)51を有し、エンジン(図示せず)の動作制御処理や後述する本実施の形態における燃料噴射弁駆動特性校正処理等を実行するように構成される。
【0011】
エンジン制御ユニット51は、マイクロコンピュータ(CPU)1と、DCDC制御部(DCDC−CON)2と、DCDCブースト電圧生成部(DCDC)3とを有して構成される。
【0012】
マイクロコンピュータ1は、エンジン回転数、アクセル開度、外気温度、大気圧などの各種の図示されないセンサによる検出信号が入力され、従来同様、エンジンの様々な動作制御処理や後述する本実施の形態における燃料噴射弁駆動特性校正処理等が実行可能に構成される。
【0013】
DCDCブースト電圧生成部3は、燃料噴射弁4による燃料噴射のための通電開始の際に必要なブースト電圧を発生、出力可能に構成される。DCDCブースト電圧生成部3は、いわゆるDC−DCコンバータ回路を用いたもので、その基本的な回路構成は従来と同様である。DCDCブースト電圧生成部3は、DCDC制御部2を介したマイクロコンピュータ1からの制御に応じて、出力されるブースト電圧の電圧値が可変可能に構成されると共に、ブースト電圧の出力の要否が制御可能に構成される。
【0014】
DCDC制御部2は、マイクロコンピュータ1から入力される制御信号に応じてDCDCブースト電圧生成部3へ対する上述のような動作制御を行うよう構成されたものとなっている。
【0015】
次に、図2及び図3を参照しつつ、本実施の形態における燃料噴射弁駆動特性校正方法について説明する。最初に本実施の形態における燃料噴射弁駆動特性校正方法について概括的に説明する。
【0016】
一般的に同一の仕様の基で製造された同一の回路構成を有する車両用制御装置は、本来、同一の動作特性を有する燃料噴射弁を同一の駆動条件で駆動した場合、燃料噴射弁に流れる電流(以下、「噴射弁電流」と称する)の立ち上がり時間は許容できる程度の範囲でほぼ同一となる。
【0017】
ところが、それぞれの車両用制御装置を構成する電子部品のばらつきの程度がある程度大きくなると、噴射弁電流の立ち上がり時間は許容できる範囲を逸脱する場合がある。
【0018】
例えば図5に示されたように、同一の仕様で製造され同一の回路構成を有する2つの車両用制御装置A,B(図5においては、それぞれ「ECU_A」、「ECU_B」と表記)のそれぞれにおいて、同一の動作特性を有する燃料噴射弁の駆動開始時に燃料噴射弁へ印加するそれぞれのブースト電圧VBS-A,VBS-Bを同一としても(図5(B)参照)、それぞれの装置に用いられている電子部品の電気的特性のばらつきがあるため、噴射弁電流が目標ブースト電流(目標電流)IBS-Tに達するまでの噴射弁電流の立ち上がり時間は、車両用制御装置AがtAであるのに対して(図5(A)実線の特性線参照)、車両用制御装置Bにおいては、車両用制御装置Aの立ち上がり時間より大きいtB図5(A)二点鎖線の特性線参照)となる場合がある。
【0019】
このような立ち上がり時間の差は、特に、微小噴射であるいわゆるパイロット噴射などにおいて、噴射量の著しい差を招き所望のエンジン制御が実現困難となる等の問題を招く。
【0020】
本実施の形態における燃料噴射弁駆動特性校正方法は、同一の仕様の基で製造されて同一の回路構成を有する車両用制御装置を用いて同一の動作特性を有する燃料噴射弁を同一の駆動条件で駆動した場合の、それぞれの噴射弁電流の立ち上がり時間を同一に校正するものである。
【0021】
すなわち、車両用制御装置101の製造時、又は、使用開始時において、噴射弁電流の立ち上がり時間を計測し、その値が予め設定された基準の時間を上回る場合に噴射弁電流の立ち上がり時間が基準の時間となるようにDCDCブースト電圧生成部3から出力されるブースト電圧を補正し、同一構成の車両制御装置間での噴射弁電流の立ち上がり時間が同一となるよう校正し、以後の燃料噴射弁4の駆動制御に供するようにする。
【0022】
図2には、噴射弁電流の立ち上がり時間の計測処理の手順が、図3には、ブースト電圧の補正処理の手順が、それぞれ示されており、以下、これらの図を参照しつつ具体的に説明する。最初に、噴射弁電流の立ち上がり時間の計測処理について説明する。この噴射弁電流の立ち上がり時間の計測処理は、車両用制御装置において実行できるようにして、又、製造の際に車両用制御装置の動作試験を行う試験装置等の外部装置によって車両用制御装置を動作制御することで実行できるようにしていずれでも良いものである。
【0023】
以下の説明においては、図2に示された噴射弁電流の立ち上がり時間の計測処理、及び、図3に示されたブースト電圧の補正処理が車両用制御装置101において実行されるようにいわゆるソフトウェアとして搭載されている。
【0024】
ここで、前提となる本実施の形態における車両用制御装置101によって実行される燃料噴射弁4の駆動方法について説明する。燃料噴射弁4の駆動開始時においては、通常、燃料噴射弁4が有する電磁コイル(図示省略)のインダクタンスのために噴射弁電流が素早く所望のレベルまで立ち上がるまで比較的時間を要する。
【0025】
そのため駆動開始時には、ブースト電圧と称される比較的高い電圧を印加し、噴射弁電流を短時間で所望のレベルまで上昇させ、噴射弁電流も最初の目標値よりも低いレベルに維持すれば良いため、燃料噴射弁4に印加する電圧もブースト電圧よりも低い電圧に切り替える駆動方法が採られるのが一般的である。本実施の形態における燃料噴射弁4の駆動もそのような従来の駆動方法に基づくものであることを前提としている。
【0026】
しかして、マイクロコンピュータ1による処理が開始されると、最初に燃料噴射弁4に対して、所定の燃料噴射時における所定のブースト電圧の印加が行われる(図2のステップS102参照)。
【0027】
ここで所定の燃料噴射とは、例えばパイロット噴射であり、所定のブースト電圧(以下、説明の便宜上「基準ブースト電圧」と称する)は、車両用制御装置101に接続される燃料噴射弁4の動作特性等に基づいて、所望のパイロット燃料噴射量(所定の燃料噴射)が得られるよう予め設定された値である。なお以下の説明において、適宜、上述の基準ブースト電圧を「VBS-A」と表記することとする。
【0028】
基準ブースト電圧VBS-Aの印加と同時に噴射弁電流が目標ブースト電流IBS-Tに達するまでの時間(立ち上がり時間)の計測が開始される(図2のステップS104、及び、ステップS106参照)。
【0029】
そして噴射弁電流が目標ブースト電流IBS-Tに達すると立ち上がり時間の計測が終了され、立ち上がり時間が決定されることなる(図2のステップS108、及び、ステップS110参照)。ここで上述のように計測された立ち上がり時間を、以後の説明において、適宜、「tB」と表記する。
【0030】
上述のようにして取得された立ち上がり時間tBは、車両用制御装置101の適宜な記憶領域、例えばマイクロコンピュータ1において適宜確保された記憶領域に記憶されることとなる。
【0031】
なお噴射弁電流は、従来同様、DCDCブースト電圧生成部3を介してDCDC制御部2にフィードバックされるようになっており、DCDC制御部2は、噴射弁電流が目標ブースト電流IBS-Tに達した時点でDCDCブースト電圧生成部3に対してブースト電圧の出力停止を指示するようになっている。
【0032】
マイクロコンピュータ1においては、DCDC制御部2を介してのDCDCブースト電圧生成部3からのブースト電圧の出力のタイミングと、DCDC制御部2によるDCDCブースト電圧生成部3のブースト電圧出力停止のタイミングとが認識可能となっているため、この間の経過時間を計時することで立ち上がり時間が取得されるものとなっている。
【0033】
次に、上述のようにして取得された立ち上がり時間を基にして行われるブースト電圧補正処理について、図3を参照しつつ説明する。
【0034】
マイクロコンピュータ1による処理が開始されると、噴射弁電流の立ち上がり時間tBが記憶、保持されているマイクロコンピュータ1の記憶領域からの読み出しが行われる(図3のステップS202参照)。
【0035】
次いで、予め設定されている本来の立ち上がり時間tAと、記憶領域から読み出された実際に計測された立ち上がり時間tBとの時間差が算出され(図3のステップS204参照)、その時間差に応じてDCDCブースト電圧生成部3から出力すべきブースト電圧の目標値である目標ブースト電圧の補正が行われる(図3のステップS206参照)。
なお、立ち上がり時間tAは、先の基準ブースト電圧VBS-Aが設定された車両用制御装置によって燃料噴射弁4を駆動した際に得られるものであり、以後の説明においては、適宜、「基準立ち上がり時間」と称する。
【0036】
目標ブースト電圧の補正は、噴射弁電流の立ち上がり時間を短縮、延長するためのものであるから、基本的には、基準立ち上がり時間との時間差に応じて目標ブースト電圧の増大、減少となるような補正が施される。なお具体的に如何なる補正を行うかは、DCDCブースト電圧生成部3の入出力特性等を考慮して、試験結果やシミュレーション結果に基づいて定めるのが好適である。
【0037】
上述のようにして目標ブースト電圧補正が行われ、新たな目標ブースト電圧VBS-Cが決定される(図3のステップS208参照)。この新たな目標ブースト電圧VBS-Cは、マイクロコンピュータ1の適宜な記憶領域に記憶、保持され、以後、この目標ブースト電圧に対応する燃料噴射の際に、DCDCブースト電圧生成部3が出力すべきブースト電圧の目標値とされ、出力される。
【0038】
上述のようにして決定された新たな目標ブースト電圧VBS-Cは、立ち上がり時間tBによって基準ブースト電圧VBS-Aを上回る、もしくは下回るかが決められる。かかる目標ブースト電圧VBS-Cを用いて燃料噴射弁4の駆動を行うことにより、駆動開始時における噴射弁電流の立ち上がり時間tCは、基準立ち上がり時間tAと同一となる(図4(A)及び図4(B)参照)。
【0039】
その結果、同一構成を有する車両用制御装置のいずれを用いても同一の噴射特性を有する燃料噴射弁を用いた燃料噴射においては、同一の燃料噴射量が確保され、信頼性、安定性の高い燃料噴射制御が実現されることとなる。なお、図5において、”ECU_A”の表記は、基準ブースト電圧がVBS-Aに設定された車両用制御装置を、”ECU_B”の表記は、ブースト電圧補正が行われ、目標ブースト電圧VBS-Cとされた車両用制御装置をそれぞれ示すものとする。
【0040】
上述した本実施の形態においては、車両用制御装置101において燃料噴射弁駆動特性校正処理が実行されるようにしたが、先に述べたように車両用制御装置101の製造行程において、車両用制御装置101の動作試験を行う試験装置に実行させ、補正された目標ブースト電圧(図3のS208参照)を取得し、その取得データを車両用制御装置101の出荷時に記憶させるようにしても良い。
【0041】
また燃料噴射弁4に代えて、燃料噴射弁4と電気的等価回路を用いて上述した燃料噴射弁駆動特性校正処理を実行するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0042】
同一構成の車両用制御装置における燃料噴射弁駆動特性のばらつき低減が所望される車両用制御装置に適用できる。
図1
図2
図3
図4
図5