(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記第1の1昇降制御部によって前記センターピンチローラが前記駆動ローラと共に前記記録媒体を挟んでいる間、および、前記第1の2昇降制御部によって前記センターピンチローラが前記駆動ローラに対して離反している間のうちの何れかの間、前記切断処理の制御を行うカッティング制御部を備えた、請求項3に記載されたプリンタ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るプリンタとジョブデータ作成装置とを備えた印刷システムについて説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る印刷システム10が備えるプリンタ100の正面図である。
図1に示すように、印刷システム10は、プリンタ100と、ジョブデータ作成装置150とを備えている。以下の説明では、左、右、上、下とは、プリンタ100の正面にいる作業者から見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、プリンタ100から上記作業者に近づく方を前方、遠ざかる方を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を示している。図面中の符号Yは主走査方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは、左右方向である。図面中の符号Xは副走査方向を示している。副走査方向Xは主走査方向Yと交差する方向(例えば、平面視において直交する方向)である。本実施形態では、副走査方向Xは前後方向である。また、符号X1は、副走査方向Xのうち上流側から下流側へ向かう方向(ここでは、後から前へ向かう方向)を示している。方向X1は、例えば、印刷時に記録媒体5が搬送される方向である。符号X2は、副走査方向Xのうち下流側から上流側へ向かう方向(ここでは、前から後へ向かう方向)を示している。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0014】
図1に示すように、本発明に係るプリンタ100は、カッティングヘッド付きのインクジェット式のプリンタである。プリンタ100は、記録媒体5に対して印刷および切断(カッティング)が可能なプリント&カット機である。
【0015】
記録媒体5は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体5は、記録紙に限定されない。例えば、記録媒体5には、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、台紙と台紙上に積層されかつ粘着剤が塗布された剥離紙とからなるシール材、アルミや鉄等から形成された金属板、ガラス板、木材板等が含まれる。本明細書において「切断」、「カッティング」とは、記録媒体5の厚み方向の全体を切断する場合(例えば、シール材の台紙および剥離紙の両方を切断する場合)と、記録媒体5の厚み方向の一部を切断する場合(例えば、シール材の台紙は切断せず、剥離紙のみを切断する場合)とが含まれる。
【0016】
図1に示すように、プリンタ100は、プリンタ本体100aと、脚11と、操作パネル12と、記録媒体5が載置されるプラテン16と、インクジェットヘッド20と、カッティングヘッド30と、ヘッド移動機構40と、媒体移動機構55と、制御装置50とを備えている。
【0017】
プリンタ本体100aは、主走査方向Yに延びたケーシングを有する。脚11は、プリンタ本体100aを支持するものであり、プリンタ本体100aの下面に設けられている。操作パネル12は、例えばプリンタ本体100aの右側の前面に設けられている。ただし、操作パネル12の位置は特に限定されない。操作パネル12は、例えば、作業者が印刷や切断に関する操作を行うものである。図示は省略するが、操作パネル12には、例えば、解像度、インクの濃さなどの印刷に関する情報や、印刷中や切断中のプリンタ100のステータスなどが表示される表示部、および、印刷や切断に関する情報を入力するための入力部などが備えられている。操作パネル12は、制御装置50によって制御される。
【0018】
プラテン16は、記録媒体5への印刷および記録媒体5を切断する際、記録媒体5を支持するものである。プラテン16には、記録媒体5が載置される。記録媒体5への印刷および記録媒体5の切断は、プラテン16上で行われる。プラテン16は主走査方向Yに延びている。プラテン16は、本発明の「載置台」の一例である。プラテン16の上方には、主走査方向Yに延びるガイドレール15が配置されている。
【0019】
インクジェットヘッド20は、プラテン16に載置された記録媒体5に印刷を行う。インクジェットヘッド20は、主走査方向Yに移動可能に構成されている。
図2Aおよび
図2Bは、インクジェットヘッド20およびカッティングヘッド30の正面図である。
図2Aに示すように、インクジェットヘッド20は、キャリッジ21と、インクを吐出する複数のノズル(図示せず)を有する複数のインクヘッド22と、を備えている。ここでは、5つのインクヘッド22がキャリッジ21に支持されている。5つのインクヘッド22は、それぞれ色調が異なるインクを吐出する。例えば、各インクヘッド22は、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクなどのプロセスカラーインク、および、クリアインク、ホワイトインクなどの特色インクのうちの何れかのインクを吐出する。ただし、インクヘッド22の数は5つに限定されない。また、インクヘッド22が吐出するインクの色も何ら限定されない。キャリッジ21は、ガイドレール15に支持されている。キャリッジ21は、ガイドレール15に対し、主走査方向Yに移動自在に係合している。
【0020】
カッティングヘッド30は、プラテン16に載置された記録媒体5を切断する。カッティングヘッド30は、主走査方向Yに移動可能に構成されている。カッティングヘッド30は、キャリッジ31と、ソレノイド32と、カッター33とを備えている。キャリッジ31には、ソレノイド32を介してカッター33が取り付けられている。ソレノイド32は、制御装置50(
図1参照)によって制御される。ソレノイド32がON/OFFされると、カッター33は上下方向に移動して記録媒体5に接触し、あるいは記録媒体5から離反する。キャリッジ31は、ガイドレール15に支持されている。キャリッジ31は、ガイドレール15に対し、主走査方向Yに移動自在に係合している。
【0021】
図1に示すように、ヘッド移動機構40は、プラテン16に載置された記録媒体5に対してインクジェットヘッド20のキャリッジ21およびカッティングヘッド30のキャリッジ31を相対的に主走査方向Yに移動させる機構である。ヘッド移動機構40は、キャリッジ21およびキャリッジ31を主走査方向Yに移動させる。なお、ヘッド移動機構40の構成は特に限定されない。ヘッド移動機構40は、プーリ41と、プーリ42と、無端状のベルト43と、キャリッジモータ44とを備えている。プーリ41は、ガイドレール15の左端側に設けられている。プーリ42は、ガイドレール15の右端側に設けられている。ベルト43は、プーリ41とプーリ42とに巻き掛けられている。ベルト43は、キャリッジ31(
図2A参照)の背面上部に固定されている。右側のプーリ42には、キャリッジモータ44が接続されている。ただし、キャリッジモータ44は、左側のプーリ41に接続されていてもよい。ここでは、キャリッジモータ44が駆動して、プーリ42が回転することで、プーリ41とプーリ42との間においてベルト43が走行する。これにより、キャリッジ31は主走査方向Yに移動する。キャリッジモータ44は、制御装置50に制御される。
【0022】
図2Aに示すように、キャリッジ21の左側部分には、磁石によって構成される連結部材24が設けられている。キャリッジ31の右側部分には、磁石によって構成される連結部材34が固定されている。連結部材24は、カッティングヘッド30の連結部材34に対し、着脱自在に連結する。本実施形態では、連結部材24および連結部材34は、磁力を利用するものである。ただし、連結部材24および連結部材34は磁力を利用するものに限られず、係合部材などの他の構成を備えたものであってもよい。キャリッジ21の右側には、L字状に形成された受け金具25が設けられている。
【0023】
プラテン16の左方および右方には、それぞれ左サイドフレーム7Lおよび右サイドフレーム7Rが配置されている。ガイドレール15は、左サイドフレーム7Lおよび右サイドフレーム7Rに支持されている。右サイドフレーム7Rには、インクジェットヘッド20を待機位置にロックするためのロック装置35が設けられている。ロック装置35は、受け金具25に引っ掛けられる受け金具36と、受け金具36をロック位置(
図2B参照)と非ロック位置(
図2A参照)との間で移動させるロック用ソレノイド37(
図4参照)とを備えている。ロック用ソレノイド37は、制御装置50によって制御される。
【0024】
インクジェットヘッド20による印刷を行う際には、
図2Aに示すように、受け金具36が非ロック位置に設定される。カッティングヘッド30のキャリッジ31が右方に移動し、連結部材34と連結部材24とが接触すると、キャリッジ31とキャリッジ21とが連結される。その結果、インクジェットヘッド20は、カッティングヘッド30と共に左右方向に移動可能となる。一方、カッティングヘッド30によるカッティングの際には、
図2Bに示すように、インクジェットヘッド20が待機位置に位置付けられ、ロック装置35の受け金具36がロック位置に設定される。これによって、インクジェットヘッド20の移動が阻止される。キャリッジ31が左方へ移動すると、連結部材34と連結部材24とが離反し、キャリッジ31とキャリッジ21との連結が解除される。その結果、インクジェットヘッド20が待機位置に待機した状態で、カッティングヘッド30が左右方向に移動可能となる。
【0025】
図1に示すように、媒体移動機構55は、プラテン16に載置された記録媒体5をインクジェットヘッド20(言い換えると、インクヘッド22)およびカッティングヘッド30に対して副走査方向Xに移動させるものである。ここでは、媒体移動機構55は、プラテン16に載置された記録媒体5を副走査方向Xに移動させる。媒体移動機構55は、グリットローラ57と、フィードモータ58(
図4参照)と、サイドピンチローラユニット60と、センターピンチローラユニット70と、保持シャフト80と、回転機構81と、昇降機構85と、を備えている。
【0026】
図3は、プラテン16の周辺構造を示す斜視図である。
図3では、プラテン16の左部が示されている。
図3に示すように、グリットローラ57は、プラテン16に設けられている。グリットローラ57は、グリットローラ57の上部が外部に露出するようにプラテン16に埋設されている。本実施形態では、
図1に示すように、グリットローラ57の数は8つである。しかしながら、グリットローラ57の数は特に限定されない。グリットローラ57は、本発明の「駆動ローラ」の一例である。グリットローラ57は、主走査方向Yに並列している。
図3に示すように、一部のグリットローラ57は、後述するサイドピンチローラ62の下方に配置されている。一部のグリットローラ57は、サイドピンチローラ62との間に記録媒体5を挟み込む。他の一部のグリットローラ57は、後述するセンターピンチローラ72の下方に配置されている。他の一部のグリットローラ57は、センターピンチローラ72との間に記録媒体5を挟み込む。フィードモータ58(
図4参照)は、グリットローラ57に接続されている。フィードモータ58は、制御装置50に制御される。グリットローラ57とサイドピンチローラ62との間、および、グリットローラ57とセンターピンチローラ72との間に記録媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ58が駆動してグリットローラ57が回転すると、記録媒体5は副走査方向Xに搬送される。本実施形態では、例えばグリットローラ57とサイドピンチローラ62との間、および、グリットローラ57とセンターピンチローラ72との間に記録媒体5が挟まれた状態で、記録媒体5は上流側から下流側、すなわち、副走査方向Xの方向X1に搬送される。一方、例えばグリットローラ57とサイドピンチローラ62との間に記録媒体5が挟まれた状態で、記録媒体5は下流側から上流側、すなわち、副走査方向Xの方向X2に搬送される。
【0027】
図3に示すように、サイドピンチローラユニット60は、サイドピンチローラ62と、第1保持部材64とを備えている。サイドピンチローラユニット60は、プラテン16より上方に配置されている。本実施形態では、
図1に示すように、プリンタ100は、左右一対のサイドピンチローラユニット60を備えている。左側のサイドピンチローラユニット60は、プラテン16の左端部の上方に配置され、右側のサイドピンチローラユニット60は、プラテン16の右端部の上方に配置されている。サイドピンチローラユニット60は、主走査方向Yに並列している。サイドピンチローラ62は、記録媒体5の端部を上から押さえ付ける。
図3に示すように、サイドピンチローラ62は、グリットローラ57と上下方向で対向するように、グリットローラ57の上方に配置されている。サイドピンチローラ62は、例えば、ゴムから形成されている。第1保持部材64は、サイドピンチローラ62を回転可能に支持する。第1保持部材64は、サイドピンチローラ62を上下方向に移動可能に支持する。
【0028】
センターピンチローラユニット70は、センターピンチローラ72と、第2保持部材74とを備えている。センターピンチローラユニット70は、プラテン16より上方に配置されている。センターピンチローラユニット70は、一対のサイドピンチローラユニット60、60の間に設けられている。本実施形態では、プリンタ100は、6つのセンターピンチローラユニット70(
図1では、4つのセンターピンチローラユニット70が図示されているが、2つのセンターピンチローラユニット70の図示は省略されている。)を備えている。しかしながら、センターピンチローラユニット70の数は特に限定されない。センターピンチローラユニット70は、主走査方向Yに並列している。センターピンチローラ72は、記録媒体5を上から押さえ付ける。
図3に示すように、センターピンチローラ72は、グリットローラ57と上下方向で対向するように、グリットローラ57の上方に配置されている。センターピンチローラ72は、例えば、ゴムから形成されている。第2保持部材74は、センターピンチローラ72を回転可能に支持する。第2保持部材74は、センターピンチローラ72を上下方向に移動可能に支持する。
【0029】
図1に示すように、保持シャフト80は、主走査方向Yに延びている。保持シャフト80は、ガイドレール15より下方に配置され、かつ、プラテン16よりも上方に配置されている。保持シャフト80は、サイドピンチローラユニット60およびセンターピンチローラユニット70を保持している。サイドピンチローラユニット60およびセンターピンチローラユニット70は、主走査方向Yにおいて取り付け位置を変えることができるように、保持シャフト80に対して摺動可能に設けられている。
【0030】
回転機構81は、プラテン16の右方に配置されている。回転機構81は、保持シャフト80の中心軸を軸にして保持シャフト80を回転させる。なお、回転機構81の構成は特に限定されない。例えば、回転機構81は、図示しないリンク機構を介して保持シャフト80の右端に接続されたレバー82を備えている。レバー82は、押し下げ、および、押し上げることが可能である。レバー82を押し下げることで、保持シャフト80が回転し、サイドピンチローラ62およびセンターピンチローラ72をグリットローラ57に対して接近させることができる。一方、レバー82を押し上げることで、保持シャフト80が回転し、サイドピンチローラ62およびセンターピンチローラ72をグリットローラ57に対して離反させることができる。
【0031】
昇降機構85は、センターピンチローラ72をプラテン16に対して上昇および下降させる機構である。ここでは、昇降機構85は、複数のセンターピンチローラ72を同時に上昇および下降させるように構成されている。なお、昇降機構85の構成は特に限定されない。例えば、図示は省略するが、昇降機構85は、複数のセンターピンチローラユニット70を連結させる連結部材と、リンク機構を介して上記連結部材に接続され、上記連結部材を上下方向に移動させる駆動モータを備えている。
【0032】
本実施形態では、
図1に示すように、プリンタ100は、ヒータ86を備えている。ヒータ86は、プラテン16の下方に設けられている。ヒータ86は、プラテン16を加熱する。プラテン16が加熱されることによって、プラテン16上に配置されている記録媒体5が温められる。
【0033】
次に、制御装置50について説明する。
図4は、印刷システム10のブロック図である。制御装置50は、記録媒体5への印刷および記録媒体5の切断に関する制御をする装置である。制御装置50の構成は特に限定されない。制御装置50は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、I/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、記憶装置と、を備えている。
図1に示すように、制御装置50は、プリンタ本体100aの内部に設けられている。ただし、制御装置50はプリンタ本体100aの内部に設けられていなくてもよい。例えば、制御装置50は、プリンタ本体100aの外部に設置されたコンピュータなどであってもよい。この場合、制御装置50は、有線または無線を介してプリンタ本体100aと通信可能に接続されている。
【0034】
図4に示すように、制御装置50は、キャリッジモータ44の駆動を制御することで、プーリ42の回転、および、ベルト43(
図1参照)の走行を制御する。これにより、制御装置50は、インクジェットヘッド20およびカッティングヘッド30の主走査方向Yへの移動を制御する。制御装置50は、フィードモータ58の駆動を制御してグリットローラ57の回転を制御する。これにより、プラテン16に載置された記録媒体5の副走査方向Xへの移動を制御する。制御装置50は、インクヘッド22がインクを吐出するタイミングやインクの吐出量などを制御する。制御装置50は、ソレノイド32を制御することで、カッター33の上下方向の移動やカッター33の圧力を制御する。制御装置50は、昇降機構85を制御することで、センターピンチローラ72の昇降を制御することができる。
【0035】
本実施形態では、制御装置50は、記憶部91と、印刷制御部93と、カッティング制御部94とを備えている。制御装置50の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。また、各部は、プロセッサによって実現されてもよいし、回路によって実現されてもよい。また、各部は、プロセッサによって実現される場合、1つのプロセッサによって実現されてもよいし、複数のプロセッサによって実現されてもよい。なお、各部の機能に関する詳しい説明は後述する。
【0036】
以上、本実施形態に係るプリンタ100の構成について説明した。次に、サイドピンチローラユニット60およびセンターピンチローラユニット70の動作について簡単に説明する。以下では、記録媒体5に対して印刷を行い、その後、記録媒体5に対して切断を行う際の動作について簡単に説明する。プラテン16に記録媒体5を載置するときには、サイドピンチローラ62およびセンターピンチローラ72は、グリットローラ57から離反している。プラテン16に対する記録媒体5の位置合わせが完了すると、作業者はレバー82を押し下げる。このことで、保持シャフト80が回転し、サイドピンチローラ62およびセンターピンチローラ72がグリットローラ57に接近する。このことによって、記録媒体5は、サイドピンチローラ62とグリットローラ57との間、および、センターピンチローラ72とグリットローラ57との間に挟まれる。その後、例えば、インクジェットヘッド20は、プラテン16に載置された記録媒体5に印刷を行う。このとき、グリットローラ57が回転することによって、記録媒体5は上流側から下流側(すなわち方向X1)へと移動する。
【0037】
印刷が完了すると、記録媒体5を切断するために記録媒体5を下流側から上流側(すなわち方向X2)に移動させる。このとき、センターピンチローラ72とグリットローラ57との間に記録媒体5を挟んだ状態で記録媒体5を下流側から上流側に移動させてしまうと、センターピンチローラ72が、印刷された画像上を移動することになり、画質に影響を与えるおそれがある。そのため、制御装置50は、昇降機構85を制御することで、センターピンチローラ72が上方に移動し、センターピンチローラ72がグリットローラ57から離反する。なお、このとき、サイドピンチローラ62は上方に移動しないため、記録媒体5はサイドピンチローラ62とグリットローラ57とに挟まれたままである。その後、グリットローラ57を駆動して、記録媒体5を下流側から上流側まで引き戻し、記録媒体5の切断処理を開始する。そして、記録媒体5の切断処理が完了すると、レバー82を押し上げる。このことによって、保持シャフト80が回転して、サイドピンチローラ62がグリットローラ57から離反し、プラテン16から記録媒体5を取り外すことができる。
【0038】
図5は、ジョブデータJD11の一例を示す図である。
図5のジョブデータJD11は、後述する印刷切断ジョブに関するデータである。ところで、本実施形態に係るプリンタ100は、複数のコマンドを実行することで、各種設定、記録媒体5に対する印刷、記録媒体5に対する切断が行われる。ここでは、コマンドは、
図5に示すように、ジョブコマンドCM1と、制御コマンドCM2と、実行コマンドCM3とを有する。
【0039】
以下の説明において、印刷、切断などの記録媒体5に対するプリンタ100の動作のことを「処理」という。ここでは、切断は本発明の「第1処理」に対応し、印刷は本発明の「第2処理」に対応する。ここでは、1つの処理が単一で行われたときの処理、または、複数の処理が連続して行われたときの一連の処理のことを「ジョブ」という。1つのジョブとは、後述する実行コマンドCM3によって定義される、単一または一連の処理の実行開始から終了までのプリンタ100の制御のことである。ジョブの種類のことを「ジョブタイプ」という。
【0040】
ジョブコマンドCM1とは、基本設定情報などを設定するためのコマンドである。ジョブコマンドCM1とは、いわゆるPJL(Printer Job Language)コマンドである。基本設定情報とは、プリンタ100に設定される情報であり、印刷および切断に関する基本的な情報のことである。基本設定情報には、例えば、記録媒体5の種類、解像度、インクヘッド22の移動速度、記録媒体5の搬送速度などが含まれる。
【0041】
本実施形態に係るプリンタ100は、上述のようにカッティングヘッド付きプリンタであり、記録媒体5に対して印刷および切断が可能である。ここでは、ジョブタイプとして、例えば、印刷ジョブ、切断ジョブ、印刷切断ジョブの3つが挙げられる。印刷ジョブとは、記録媒体5に対して、印刷が行われ、かつ、切断が行われないジョブのことである。切断ジョブとは、記録媒体5に対して、印刷が行われず、かつ、切断が行われるジョブのことである。印刷切断ジョブとは、記録媒体5に対して印刷が行われ、印刷された記録媒体5に対して切断が行われるジョブのことである。ただし、ジョブタイプとして、上記3つ以外のジョブタイプが存在していてもよい。本実施形態では、印刷切断ジョブは本発明の「第2ジョブタイプ」に対応する。切断ジョブは本発明の「第1ジョブタイプ」に対応する。印刷ジョブは本発明の「第3ジョブタイプ」に対応する。
【0042】
制御コマンドCM2とは、印刷時の印刷データPD1、および、切断時のカットデータCD1を指定するコマンドである。ここで、印刷データPD1とは、印刷時に指定されるものであり、印刷対象となる画像データおよび座標などの値で指定されたパスのことである。ここでは、印刷データPD1に対する制御コマンドCM2のことを印刷制御コマンドという。カットデータCD1とは、切断時に指定されるものであり、切断する際のパスであって、座標などの値で指定されたパス(以下、カットパスともいう。)のことである。ここでは、カットデータCD1に対する制御コマンドCM2のことを切断制御コマンドという。プリンタ100は、制御コマンドCM2を順に実行することで、記録媒体5に対して印刷および切断を行うことができる。
【0043】
実行コマンドCM3とは、処理の開始およびジョブの終了を指定するコマンドである。本実施形態では、実行コマンドCM3とは、印刷および切断の開始および終了を指定するコマンドである。プリンタ100は、実行コマンドCM3を実行することで、処理の開始およびジョブの終了、ここでは印刷および切断の開始および終了を認識することができる。なお、実行コマンドCM3の種類は特に限定されない。本実施形態では、実行コマンドCM3として、印刷の開始に関する印刷開始コマンドCM31、切断の開始に関する切断開始コマンドCM32、および、ジョブ終了コマンドCM33が存在する。ジョブ終了コマンドCM33とは、一連の印刷または切断の処理であるジョブが終了したことを知らせるコマンドである。ここでは、印刷開始コマンドCM31は、印刷データPD1を含む制御コマンドCM2(ここでは、印刷制御コマンド)の前に指定されるコマンドである。印刷開始コマンドCM31は、本発明の「第2処理開始コマンド」の一例である。切断開始コマンドCM32は、カットデータCD1を含む制御コマンドCM2(ここでは、切断制御コマンド)の前に指定されるコマンドである。切断開始コマンドCM32は、本発明の「第1処理開始コマンド」の一例である。ジョブ終了コマンドCM33とは、1つのジョブの終了時に指定されるコマンドである。言い換えると、ジョブ終了コマンドCM33は、ジョブデータJDの最後の方に指定されるコマンドである。
【0044】
本実施形態では、ジョブコマンドCM1、制御コマンドCM2および実行コマンドCM3が処理の順に適宜指定された一連のコマンド群のことをジョブデータJD11と称する。ジョブデータJD11では、最初に複数のジョブコマンドCM1が設定され、その後、制御コマンドCM2および実行コマンドCM3が適宜設定される。ここでは、ジョブデータJD11が保存されたファイルのことをジョブ実行ファイルFL11と称することとする。
【0045】
ところで、本実施形態では、ジョブタイプが異なる場合、同じ実行コマンドCM3を実行する場合であっても、プリンタ100が異なる動作をすることがあり得る。例えば、切断ジョブのときには、記録媒体5に対して切断のみが行われるが、このとき、記録媒体5は、センターピンチローラ72(
図3参照)によって、プラテン16(
図3参照)側に押さえ付けられているとよい。このことによって、プラテン16に対して記録媒体5がズレ難いため、記録媒体5をより適切に切断することができる。そのため、切断ジョブのときに実行コマンドCM3として切断開始コマンドCM32が実行されたとき、センターピンチローラ72は、記録媒体5を押さえ付けるように制御されるとよい。
【0046】
一方、印刷切断ジョブのときには、印刷された記録媒体5に対して切断が行われる。ここでは、印刷直後に記録媒体5に対する切断が行われるため、記録媒体5に吐出されたインクは乾いていないことがあり得る。このような状態で、記録媒体5がセンターピンチローラ72によって押さえ付けられると、記録媒体5に吐出されたインクがセンターピンチローラ72に付着するおそれがあり得る。このことによって、記録媒体5の印刷の品質(または画質)が低下することがあり得る。そのため、印刷切断ジョブのときに実行コマンドCM3として切断開始コマンドCM32が実行されたとき、画質を優先するためには、記録媒体5はセンターピンチローラ72によって押さえ付けられていない、すなわち、センターピンチローラ72は記録媒体5から離反した位置に配置されているように制御されているとよい。
【0047】
以上のように、例えば切断ジョブと印刷切断ジョブとでは、実行コマンドCM3として切断開始コマンドCM32を実行したときのセンターピンチローラ72の上下方向の位置が異なるとよい。例えば、1つのジョブが開始されるときに、プリンタ100がどのジョブタイプを行うかを認識することで、同じ実行コマンドCM3を実行する場合であっても、ジョブタイプによって異なる動作をすることができる。
【0048】
そこで、本実施形態では、基本設定情報は、ジョブタイプを有する。そして、
図5に示すように、ジョブコマンドCM1として、ジョブタイプを設定するジョブタイプコマンドCM11が存在する。このジョブタイプコマンドCM11を実行することで、1つのジョブ開始時に、どのジョブタイプが開始されるかをプリンタ100が認識することが可能である。本実施形態では、ジョブタイプコマンドCM11を実行することで、印刷ジョブ、切断ジョブおよび印刷切断ジョブのうちのどのジョブタイプがこれから行われるかを、プリンタ100が認識することができる。
【0049】
本実施形態では、ジョブコマンドCM1と、制御コマンドCM2と、実行コマンドCM3とを有するジョブデータJD11は、ジョブデータ作成装置150(
図4参照)によって作成される。次に、ジョブデータ作成装置150について説明する。本実施形態では、
図1に示すように、ジョブデータ作成装置150は、プリンタ100のプリンタ本体100aの外部に設置されたコンピュータによって実現されている。ジョブデータ作成装置150を実現するコンピュータは、プリンタ100に対する専用のコンピュータであってもよいし、汎用コンピュータであってもよい。ただし、ジョブデータ作成装置150は、プリンタ本体100aの内部に設けられていてもよい。
図4に示すように、ジョブデータ作成装置150は、表示画面151と、操作部152と、作成制御装置160とを備えている。
【0050】
表示画面151には、例えばジョブタイプなどの基本設定情報や、印刷対象となる印刷画像データ、切断対象となる形状などが指定されたカット画像データなどが表示される。印刷画像データは、例えば印刷される画像のデータである。カット画像データは、例えば切断する位置などが示された画像データのことである。この印刷画像データおよびカット画像データは、後述する作成記憶部162に記憶されている。なお、表示画面151の具体的な種類は特に限定されない。例えば、表示画面151は、コンピュータのディスプレイである。ただし、表示画面151は、操作パネル12(
図1参照)に設けられていてもよい。例えば、表示画面151は、操作パネル12の表示部であってもよい。
【0051】
操作部152は、基本設定情報、印刷画像データおよびカット画像データを作業者が入力、または、指定するものである。例えば、作業者は、操作部152を操作することで、基本設定情報のジョブタイプを指定することができる。なお、操作部152の具体的な種類は特に限定されない。例えば、操作部152は、コンピュータのキーボードおよびマウスである。ただし、操作部152は、表示画面151に設けられたタッチパネルであってもよい。また、操作部152は、操作パネル12に設けられていてもよい。例えば、操作部152は、操作パネル12の入力部であってもよい。操作部152から入力された基本設定情報であって、表示画面151に表示された基本設定情報は、作成記憶部162に記憶される。
【0052】
本実施形態では、作成制御装置160は、例えばジョブデータJD11(
図5参照)を作成する装置であると共に、作成したジョブデータJD11をプリンタ100の制御装置50に送信するものである。作成制御装置160の構成は特に限定されない。作成制御装置160は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、CPUと、ROMと、RAMと、記憶装置などを備えている。
【0053】
作成制御装置160は、プリンタ100の制御装置50と有線または無線を介して通信可能に接続されている。また、作成制御装置160は、表示画面151および操作部152と通信可能に接続されている。
【0054】
本実施形態では、作成制御装置160は、作成記憶部162と、ジョブデータ作成部164と、送信部166とを有する。上記各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば、上記各部は、プロセッサによって行なわれるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。
【0055】
作成記憶部162には、例えば印刷画像データおよびカット画像データが予め記憶されている。また、作成記憶部162には、表示画面151に表示された基本設定情報であって、操作部152から入力された基本設定情報が記憶されている。ジョブデータ作成部164は、これから実行されるジョブのデータであるジョブデータJD11を作成する。例えば、ジョブデータ作成部164は、表示画面151に表示された基本設定情報であって、作成記憶部162に記憶された基本設定情報や、印刷画像データ、カット画像データに基づいて、
図5に示すように、所定の形式に沿ったコマンドであるジョブコマンドCM1、制御コマンドCM2、実行コマンドCM3を作成する。例えば、印刷画像データから制御コマンドCM2の印刷データPD1が作成される。カット画像データから制御コマンドCM2のカットデータCD1が作成される。そして、ジョブデータ作成部164は、実行するジョブタイプに基づいて、作成したジョブコマンドCM1、制御コマンドCM2、実行コマンドCM3を適宜並べることで、ジョブデータJD11を作成する。例えば、印刷切断ジョブに関するジョブデータJD11では、
図5に示すように、ジョブコマンドCM1、実行コマンドCM3の印刷開始コマンドCM31、印刷データPD1に関する制御コマンドCM2、実行コマンドCM3の切断開始コマンドCM32、カットデータCD1に関する制御コマンドCM2、実行コマンドCM3のジョブ終了コマンドCM33が順に並べられている。なお、ジョブデータ作成部164によって作成されたジョブデータJD11は、ジョブ実行ファイルFL11に保存され、ジョブ実行ファイルFL11は、作成記憶部162に記憶される。
【0056】
送信部166は、ジョブデータ作成部164によって作成されたジョブデータJD11をプリンタ100の制御装置50に送信する。ここでは、送信部166は、作成記憶部162に記憶されたジョブ実行ファイルFL11を制御装置50に送信することで、これから実行するジョブデータJD11を制御装置50に送信する。
【0057】
なお、プリンタ100の制御装置50は、
図4に示すように、さらに、受信部95と、コマンド実行部96と、第1の1昇降制御部97と、第1の2昇降制御部98と、第2昇降制御部99とを備えている。受信部95は、送信部166によって送信されたジョブ実行ファイルFL11を受信することで、ジョブデータJD11を受信する。なお、受信部95は、受信したジョブデータJD11を記憶部91に記憶させる。
【0058】
ジョブデータJD11を受信した後、コマンド実行部96は、ジョブデータJD11内のコマンドを順に実行することで、記録媒体5に対してのジョブを実行する。例えば、コマンド実行部96は、ジョブコマンドCM1(
図5参照)を実行することで、ジョブタイプ、記録媒体5の種類、解像度、インクヘッド22の移動速度、記録媒体5の搬送速度などの基本設定情報をプリンタ100に設定する。コマンド実行部96は、ジョブタイプコマンドCM11を実行することで、ジョブタイプをプリンタ100に設定する。例えば、コマンド実行部96は、ジョブタイプが印刷切断ジョブに設定されたジョブタイプコマンドCM11を実行することで、印刷切断ジョブをプリンタ100に設定する。ここで、基本設定情報を設定するとは、例えばジョブコマンドCM1によって実行された基本設定情報を記憶部91に記憶させることである。
【0059】
例えば、コマンド実行部96は、実行コマンドCM3の印刷開始コマンドCM31(
図5参照)を実行する。このとき、印刷制御部93は、印刷開始コマンドCM31以降の印刷データPD1に関する制御コマンドCM2に基づいて、印刷に関する制御を行う。ここでは、印刷制御部93は、制御コマンドCM2の印刷データPD1に基づいて、キャリッジモータ44(
図4参照)を駆動することによってインクヘッド22を主走査方向Yに移動させつつ、インクヘッド22からインクを吐出させる。これにより、一走査ラインの印刷が行われる。インクヘッド22の主走査方向Yの移動が済むと、フィードモータ58(
図4参照)を駆動することにより、次の走査ラインの位置まで記録媒体5を副走査方向Xに搬送する。記録媒体5の副走査方向Xの搬送が済むと、再びキャリッジモータ44を駆動すると共にインクヘッド22を駆動し、次の走査ラインの印刷を行う。以下、印刷の終了まで同様の動作を繰り返す。なお、本実施形態では、記録媒体5への印刷を行っているときには、記録媒体5は、サイドピンチローラ62およびセンターピンチローラ72によって押さえ付けられている。
【0060】
例えば、コマンド実行部96は、実行コマンドCM3の切断開始コマンドCM32(
図5参照)を実行する。このとき、カッティング制御部94は、切断開始コマンドCM32以降のカットデータCD1に関する制御コマンドCM2に基づいて、カッティングヘッド30を制御する。ここでは、カッティング制御部94は、制御コマンドCM2のカットデータCD1に基づいて、キャリッジモータ44を駆動すると共にフィードモータ58を駆動することにより、記録媒体5に対しカッティングヘッド30を2次元的に相対移動させる。ソレノイド32をONすると、カッター33(
図2A参照)が下がり、カッター33を記録媒体5に押し当てることができる。カッター33を記録媒体5に押し当てたままカッティングヘッド30を記録媒体5に対し相対移動させることにより、記録媒体5を切断することができる。
【0061】
次に、ジョブタイプが異なる場合において、記録媒体5に対して切断を行うときにセンターピンチローラ72の上下方向の位置の制御が異なることについて、
図6のフローチャートに沿って説明する。
【0062】
ここでは、まず、ジョブタイプが切断ジョブの場合について説明する。
図7は、切断ジョブに関するジョブデータJD12の一例を示す図である。
図7に示すように、切断ジョブに対するジョブデータJD12は、ジョブタイプが切断ジョブに設定されたジョブタイプコマンドCM11を含むジョブコマンドCM1、実行コマンドCM3の切断開始コマンドCM32、複数のカットデータCD1に対する制御コマンドCM2、および、実行コマンドCM3のジョブ終了コマンドCM33が順に並べられている。ジョブデータJD12は、ジョブ実行ファイルFL12に保存されている。
【0063】
切断ジョブのジョブデータJD12を実行する際、
図6のステップS101では、コマンド実行部96は、ジョブコマンドCM1を順に実行する。このことで、記憶部91にジョブタイプが切断ジョブであることを含む基本設定情報が記憶される。
【0064】
その後、ステップS103では、コマンド実行部96は、切断開始コマンドCM32を実行する。このことで、プリンタ100は、記録媒体5に対して切断が行われることを認識し、切断に関する処理が行われる。この一例では、ジョブタイプが切断ジョブであるため、ステップS105の処理では、NOに進み、次にステップS107に進む。
【0065】
ステップS107では、第1の1昇降制御部97は、センターピンチローラ72がグリットローラ57と共にプラテン16に載置された記録媒体5を挟むように昇降機構85を制御する。ここでは、切断ジョブが開始される前において、センターピンチローラ72は下げられた状態であり、グリットローラ57と共に記録媒体5を挟んでいる状態である。そのため、第1の1昇降制御部97は、センターピンチローラ72の状態を維持するように昇降機構85を制御する。
【0066】
その後、ステップS111では、カッティング制御部94は、
図7に示すように、切断開始コマンドCM32以降のカットデータCD1に関する制御コマンドCM2に基づいて記録媒体5を切断するように、ヘッド移動機構40、媒体移動機構55およびカッティングヘッド30を制御する。なお、切断ジョブでは、第1の1昇降制御部97によって、センターピンチローラ72とグリットローラ57に記録媒体5が挟まれた状態で、記録媒体5に対して切断が行われる。
【0067】
次に、ジョブタイプが印刷切断ジョブの場合について説明する。印刷切断ジョブでは、
図5のジョブデータJD11を実行する。
図6のステップS101では、コマンド実行部96は、ジョブタイプが印刷切断ジョブに設定されたジョブタイプコマンドCM11を含むジョブコマンドCM1を順に実行する。このことで、記憶部91にジョブタイプが印刷切断ジョブタイプであることを含む基本設定情報が記憶される。
【0068】
なお、この一例では、ステップS101とステップS103の間において、以下に示すような記憶媒体5に対する印刷が行われる。コマンド実行部96は、例えば
図5に示すように、印刷開始コマンドCM31を実行する。このことで、プリンタ100は、記録媒体5に対して印刷が行われることを認識し、印刷に関する処理を行う。ここでは、第2昇降制御部99は、センターピンチローラ72がグリットローラ57と共に記録媒体5を挟むように昇降機構85を制御する。印刷切断ジョブが開始される前において、センターピンチローラ72は下げられた状態である。そのため、第2昇降制御部99は、センターピンチローラ72の状態を維持するように昇降機構85を制御する。そして、センターピンチローラ72とグリットローラ57によって記録媒体5が挟まれた状態で、印刷制御部93は、印刷開始コマンドCM31以降の印刷データPD1に関する制御コマンドCM2に基づいて記録媒体5に印刷を行うように、ヘッド移動機構40、媒体移動機構55およびインクヘッド22を制御する。
【0069】
このようにして、記録媒体5に対する印刷が終了した後、
図6のステップS103では、コマンド実行部96は、切断開始コマンドCM32を実行する。このことで、プリンタ100は、記録媒体5に対して切断が行われることを認識し、切断に関する処理を行う。この一例では、ジョブタイプが印刷切断ジョブであるため、ステップS105の処理では、YESに進み、次にステップS109に進む。
【0070】
ステップS109では、第1の2昇降制御部98は、センターピンチローラ72がグリットローラ57から離反するように昇降機構85を制御する。ここでは、印刷終了時において、センターピンチローラ72は下げられた状態であり、グリットローラ57と共に記録媒体5を挟んでいる状態である。そのため、第1の2昇降制御部98は、センターピンチローラ72を上昇させるように昇降機構85を制御する。
【0071】
その後、ステップS111では、カッティング制御部94は、
図5に示すように、切断開始コマンドCM32以降のカットデータCD1に関する制御コマンドCM2に基づいて記録媒体5を切断するように、ヘッド移動機構40、媒体移動機構55およびカッティングヘッド30を制御する。なお、印刷切断ジョブでは、第1の2昇降制御部98によって、センターピンチローラ72とグリットローラ57とが離反して、センターピンチローラ72とグリットローラ57とによって記録媒体5を挟まない状態で、記録媒体5に対して切断が行われる。
【0072】
なお、本実施形態では、ジョブタイプが印刷ジョブの場合では、印刷切断ジョブの印刷の場合と同様の制御が行われる。すなわち、印刷ジョブのときの印刷が行われている場合、第2昇降制御部99は、センターピンチローラ72がグリットローラ57と共に記録媒体5を挟むように昇降機構85を制御する。
【0073】
以上、本実施形態では、コマンド実行部96が、ジョブタイプが設定されたジョブタイプコマンドCM11を実行することで、ジョブが開始される前にこれから実行されるジョブタイプを認識することができる。そして、ジョブタイプが印刷切断ジョブのときに、記録媒体5に対して切断が行われる場合には、センターピンチローラ72がグリットローラ57に対して離反するように第1の2昇降制御部98によって制御される。一方、ジョブタイプが切断ジョブのときに、記録媒体5に対して切断が行われる場合には、センターピンチローラ72がグリットローラ57と共に記録媒体5を挟むように第1の1昇降制御部97によって制御される。よって、ジョブタイプが設定されたジョブタイプコマンドCM11を実行することで、同じ切断に関する処理が実行される場合であっても、異なるジョブタイプが実行される場合では、センターピンチローラ72の上下方向の位置が異なるように自動で制御することができる。
【0074】
本実施形態では、切断印刷ジョブの場合、印刷された記録媒体5に対して、センターピンチローラ72が離反した状態で切断される。よって、センターピンチローラ72が記録媒体5の印刷された上面を接しながら走行しないため、印刷の品質が低下することを抑制することができる。一方、切断ジョブの場合、印刷されていない記録媒体5が、センターピンチローラ72とグリットローラ57とによって挟まれた状態で、記録媒体5を切断する。よって、切断ジョブにおいて、記録媒体5の位置ズレが生じることを抑制することができる。
【0075】
本実施形態では、カッティング制御部94は、
図5に示すように、カットデータCD1に関する制御コマンドCM2(切断制御コマンド)を順に実行することで、切断に関する制御を行う。このことによって、カットデータCD1に沿って、記録媒体5を適切に切断することができる。
【0076】
本実施形態では、印刷ジョブの場合および印刷切断ジョブの場合の両方のジョブにおいて、コマンド実行部96が印刷開始コマンドCM31を実行した場合、第2昇降制御部99は、センターピンチローラ72がグリットローラ72と共に記録媒体5を挟むように昇降機構85を制御する。このことによって、印刷時には、記録媒体5はセンターピンチローラ72とグリットローラ57とに挟まれた状態で印刷される。よって、印刷時に、記録媒体5の位置ズレが生じることを抑制することができる。
【0077】
本実施形態では、印刷制御部93は、印刷データPD1に関する制御コマンドCM2(印刷制御コマンド)を順に実行することで、印刷に関する制御を行う。このことによって、印刷データPD1に沿って、記録媒体5に対して適切に印刷することができる。
【0078】
本実施形態では、ジョブデータ作成装置150のジョブデータ作成部164は、表示画面151によって表示された基本設定情報であって、作成記憶部162に記憶された基本設定情報を取得してジョブコマンドCM1を作成する。ジョブデータ作成部164は、表示画面151に表示され、かつ、作成記憶部162に記憶された印刷画像データおよびカット画像データに基づいて、それぞれ印刷データPD1およびカットデータCD1を作成することで、制御コマンドCM2を作成する。ジョブデータ作成部164は、制御コマンドCM2の前後に位置する実行コマンドCM3を作成する。このことによって、ジョブデータ作成部164は、
図5に示すようなジョブデータJD11および
図7に示すようなジョブデータJD12を作成する。よって、作業者が操作部152で操作して、作成記憶部162に記憶された基本設定情報、印刷画像データおよびカット画像データを使用して、ジョブデータJD11、JD12を作成することができる。したがって、操作部152を操作することで、異なる基本設定情報、異なる印刷画像データ、異なる切断画像データに関するジョブデータJD11、JD12を容易に作成することができる。
【0079】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0080】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るプリンタ100Aについて説明する。本実施形態に係るプリンタ100Aは、第1実施形態と同様に、カッティングヘッド付きのプリンタであってもよいし、
図1のカッティングヘッド30が省略されたプリンタであってもよい。本実施形態に係るプリンタ100Aは、重ね印刷をすることが可能なプリンタである。ここで、「重ね印刷」とは、例えば、記録媒体5上に下層の画像を形成し、下層の画像の上に上層の画像を形成するような印刷のことをいう。ここでは、下層は、ホワイトインクが吐出された下地層である。以下、下層のことを下地層という。上層は、下層の上に形成され、かつ、プロセスカラーインクが吐出された層である。以下、上層のことをメイン層という。なお、本実施形態では、記録媒体5への1層の印刷のことを「単層印刷」という。単層印刷では、例えばメイン層のみが印刷されるが、下地層のみが印刷されてもよい。本実施形態では、下地層の印刷は本発明の「第2処理」に対応し、メイン層の印刷は本発明の「第1処理」に対応する。
【0081】
重ね印刷の場合には、まず、記録媒体5に対して下地層の印刷が行われる。このとき、記録媒体5の予め定められた印刷開始位置から副走査方向Xの方向X1に記録媒体5が搬送されながら、記録媒体5に対して下地層の印刷が行われる。そして、下地層の印刷が終了した後、記録媒体5が再び印刷開始位置に配置されるように記録媒体5を副走査方向Xの方向X2に搬送する。その後、印刷開始位置から副走査方向Xの方向X1に記録媒体5が再度搬送されながら、メイン層の印刷が行われる。
【0082】
本実施形態では、ジョブタイプとして、単層印刷が行われる単層印刷ジョブと、重ね印刷が行われる重ね印刷ジョブの2つが挙げられる。ここでは、単層印刷ジョブは、本発明の「第1ジョブタイプ」に対応し、重ね印刷ジョブは、本発明の「第2ジョブタイプ」に対応する。
図8は、重ね印刷ジョブのジョブデータJD21の一例を示す図である。
図8に示すように、ジョブデータJD21は、ジョブ実行ファイルFL21に保存されている。重ね印刷ジョブのジョブデータJD21は、ジョブタイプが重ね印刷ジョブに設定されたジョブタイプコマンドCM11を有するジョブコマンドCM1と、制御コマンドCM2と、実行コマンドCM3とを有する。制御コマンドCM2は、下地層印刷時の印刷データである下地層印刷データPD11に関する制御コマンド、および、メイン層印刷時の印刷データであるメイン層印刷データPD12に関する制御コマンドである。
【0083】
実行コマンドCM3として、下地層の印刷の開始に関する下地層印刷開始コマンドCM35、メイン層の印刷の開始に関するメイン層印刷開始コマンドCM36、および、ジョブ終了コマンドCM37が存在する。下地層印刷開始コマンドCM35は、下地層印刷データPD11に関する制御コマンドCM2の前に指定されるコマンドである。下地層印刷開始コマンドCM35は、本発明の「第2処理開始コマンド」の一例である。メイン層印刷開始コマンドCM36は、メイン層印刷データPD12に関する制御コマンドCM2の前に指定されるコマンドである。メイン層印刷開始コマンドCM36は、本発明の「第1処理開始コマンド」の一例である。
【0084】
なお、本実施形態であっても、ジョブデータJD21は、第1実施形態と同様のジョブデータ作成装置150によって作成される。
【0085】
図9は、本実施形態に係るプリンタ100Aのブロック図である。
図9に示すように、プリンタ100Aは、制御装置50Aを備えている。制御装置50Aは、ジョブデータ作成装置150のよって作成されたジョブデータJD21が少なくとも記憶された記憶部91Aと、下地層印刷制御部93Aと、メイン層印刷制御部94Aと、受信部95Aと、コマンド実行部96Aと、第1の1昇降制御部97Aと、第1の2昇降制御部98Aと、第2昇降制御部99Aとを備えている。受信部95Aは、ジョブデータ作成装置150の送信部166によって送信されたジョブデータJD21を受信し、記憶部91Aに記憶させる。
【0086】
次に、ジョブタイプが異なる場合において、記録媒体5に対してメイン層の印刷を行うときにセンターピンチローラ72の上下方向の位置の制御が異なることについて、
図10のフローチャートに沿って説明する。
【0087】
ここでは、まず、ジョブタイプが単層印刷ジョブの場合について説明する。
図11は、単層印刷ジョブに対するジョブデータJD22の一例を示す図である。
図11に示すように、単層印刷ジョブに対するジョブデータJD22は、ジョブタイプが単層印刷ジョブに設定されたジョブタイプコマンドCM11を含むジョブコマンドCM1、実行コマンドCM3のメイン層印刷開始コマンドCM36、複数のメイン層印刷データPD12に対する制御コマンドCM2、および、実行コマンドCM3のジョブ終了コマンドCM37が順に並べられている。ジョブデータJD22は、ジョブ実行ファイルFL22に保存されている。
【0088】
単層印刷ジョブのジョブデータJD22を実行する際、
図10のステップS201では、コマンド実行部96Aは、ジョブコマンドCM1を順に実行する。このことで、記憶部91Aにジョブタイプが単層印刷ジョブであることを含む基本設定情報が記憶される。
【0089】
その後、ステップS203では、コマンド実行部96Aは、メイン層印刷開始コマンドCM36を実行する。このことで、プリンタ100Aは、記録媒体5に対してメイン層の印刷が行われることを認識し、単層印刷に関する処理、すなわち、メイン層の印刷に関する処理を行う。この一例では、ジョブタイプが単層印刷ジョブであるため、ステップS205の処理では、NOに進み、次にステップS207に進む。
【0090】
ステップS207では、第1の1昇降制御部97Aは、センターピンチローラ72がグリットローラ57と共に記録媒体5を挟むように昇降機構85を制御する。ここでは、単層印刷ジョブが開始される前において、センターピンチローラ72は下げられた状態であり、グリットローラ57と共に記録媒体5を挟んでいる状態である。そのため、第1の1昇降制御部97Aは、センターピンチローラ72の状態を維持するように昇降機構85を制御する。
【0091】
その後、ステップS211では、メイン層印刷制御部94は、
図11に示すように、メイン層印刷開始コマンドCM36以降のメイン層印刷データPD12に関する制御コマンドCM2に基づいて記録媒体5にメイン層を印刷するように、ヘッド移動機構40、媒体移動機構55およびインクヘッド22を制御する。なお、単層印刷ジョブでは、第1の1昇降制御部97Aによってセンターピンチローラ72とグリットローラ57に記録媒体5が挟まれた状態で、記録媒体5に対してメイン層の印刷が行われる。
【0092】
次に、ジョブタイプが重ね印刷ジョブの場合について説明する。この一例では、
図8のジョブデータJD21を実行する。重ね印刷ジョブの場合の
図10のステップS201では、ジョブタイプが単層印刷ジョブのときと同様に、コマンド実行部96Aは、ジョブタイプが重ね印刷ジョブに設定されたジョブタイプコマンドCM11を含むジョブコマンドCM1を順に実行する。このことで、記憶部91Aにジョブタイプが重ね印刷であることを含む基本設定情報が記憶される。
【0093】
なお、重ね印刷ジョブの場合では、ステップS201とステップS203の間において、記憶媒体5に対する下地層の印刷が行われる。例えば、コマンド実行部96Aは、
図8に示すように、下地層印刷開始コマンドCM35を実行する。このことで、プリンタ100Aは、記録媒体5に対して下地層の印刷が行われることを認識し、下地層の印刷に関する処理を行う。ここでは、第2昇降制御部99Aは、センターピンチローラ72がグリットローラ57と共に記録媒体5を挟むように昇降機構85を制御する。重ね印刷ジョブが開始される前において、センターピンチローラ72は下げられた状態である。そのため、第2昇降制御部99Aは、センターピンチローラ72の状態を維持するように昇降機構85を制御する。そして、センターピンチローラ72とグリットローラ57によって記録媒体5が挟まれた状態で、下地層印刷制御部93Aは、下地層印刷開始コマンドCM35以降の下地層印刷データPD11に関する制御コマンドCM2に基づいて記録媒体5に下地層の印刷を行うように、ヘッド移動機構40、媒体移動機構55およびインクヘッド22を制御する。
【0094】
このようにして、記録媒体5に対する下地層印刷が終了した後、
図10のステップS203では、コマンド実行部96Aは、メイン層印刷開始コマンドCM36を実行する。このことで、プリンタ100Aは、記録媒体5に対してメイン層の印刷が行われることを認識し、メイン層の印刷に関する処理を行う。この一例では、ジョブタイプが重ね印刷ジョブであるため、ステップS205の処理では、YESに進み、次にステップS209に進む。
【0095】
ステップS209では、第1の2昇降制御部98Aは、センターピンチローラ72がグリットローラ57から離反するように昇降機構85を制御する。ここでは、下地層の印刷終了時において、センターピンチローラ72は下げられた状態であり、グリットローラ57と共に記録媒体5を挟んでいる状態である。そのため、第1の2昇降制御部98Aは、センターピンチローラ72を上昇させるように昇降機構85を制御する。
【0096】
その後、ステップS211では、メイン層印刷制御部94Aは、
図8に示すように、メイン層印刷開始コマンドCM36以降のメイン層印刷PD12に関する制御コマンドCM2に基づいて記録媒体5に対してメイン層の印刷をするように、ヘッド移動機構40、媒体移動機構55およびインクヘッド22を制御する。なお、重ね印刷ジョブでは、第1の2昇降制御部98Aによってセンターピンチローラ72とグリットローラ57とが離反して、記録媒体5とセンターピンチローラ72とが接触しない状態で、記録媒体5が上記印刷開始位置まで引き戻される。その後、センターピンチローラ72とグリットローラ57とが離反している状態で、記録媒体5に対してメイン層の印刷が行われる。
【0097】
以上、本実施形態では、ジョブタイプが重ね印刷ジョブのときに、記録媒体5に対してメイン層の印刷が行われる場合には、センターピンチローラ72がグリットローラ57に対して離反するように第1の2昇降制御部98Aによって制御される。一方、ジョブタイプが単層印刷ジョブのときに、記録媒体5に対してメイン層の印刷が行われる場合には、センターピンチローラ72がグリットローラ57と共に記録媒体5を挟むように第1の1昇降制御部97Aによって制御される。よって、ジョブタイプが設定されたジョブタイプコマンドCM11を実行することで、同じメイン層の印刷に関する処理が実行される場合であっても、異なるジョブタイプが実行される場合では、センターピンチローラ72の上下方向の位置が異なるように自動で制御することができる。
【0098】
本実施形態では、重ね印刷ジョブの場合、画質を優先させるために、下地層の印刷が施された記録媒体5に対して、センターピンチローラ72が離反した状態で、メイン層の印刷が行われる。よって、センターピンチローラ72が記録媒体5の下地層を接しながら走行しないため、下地層の印刷の画質が低下することを抑制することができる。一方、単層印刷ジョブの場合、印刷されていない記録媒体5がセンターピンチローラ72とグリットローラ57とに挟まれた状態で、記録媒体5に対してメイン層の印刷が行われる。よって、単層印刷において、記録媒体5の位置ズレが生じることを抑制することができる。
【0099】
上述した各実施形態では、ジョブデータJD11、JD12、JD21、JD22は、プリンタ100、100Aに接続された外部のジョブデータ作成装置150によって作成されていた。しかしながら、ジョブデータJD11、JD12、JD21、JD22は、プリンタ100、100Aの制御装置50、50Aによって作成されてもよい。
【0100】
上述した各実施形態で示されたジョブタイプ以外のジョブがジョブタイプとして設定されていてもよい。例えば、ジョブタイプとして、切断印刷ジョブが設定されてもよい。すなわち、ジョブタイプコマンドCM11として、切断印刷ジョブが設定されたジョブタイプコマンドCM11が存在してもよい。切断印刷ジョブとは、記録媒体5に対して切断を行い、切断が行われた記録媒体5に対して印刷を行うジョブである。例えば、印刷が行われた記録媒体5には、インクが吐出されており、そのインクに起因して、記録媒体5が伸縮することがあり得る。ここで、切断印刷ジョブを実行することで、印刷前に記録媒体5を切断することができる。よって、インクに起因した記録媒体5の伸縮を最小限に抑えた状態で、記録媒体5を切断することができる。また、切断印刷ジョブでは、切断時に、プラテン16の下方に配置されたヒータ(図示せず)が動作している状態である。よって、印刷時に、動作している状態のヒータを使用するため、ヒータが所定の温度に達するまで待機する待機時間を短くすることができる。したがって、印刷のスループットを向上させることができる。
【0101】
また、ジョブタイプとして、印刷切断&ミシン目切断ジョブが設定されてもよい。すなわち、ジョブタイプコマンドCM11として、印刷切断&ミシン目切断ジョブが設定されたジョブタイプコマンドCM11が存在してもよい。印刷切断&ミシン目切断ジョブとは、印刷および切断された記録媒体5に対して、ミシン目の切断を自動で行うことである。このミシン目切断とは、上述した「切断」とは異なり、点線状に切断されたものであり、例えば、記録媒体5の印刷領域を囲むようにして、ミシン目が描かれる。従来では、このようなミシン目は、ユーザが事前に設定することで実現されていた。しかしながら、ここでは、印刷切断&ミシン目切断ジョブが設定されたジョブタイプコマンドCM11を実行することで、プリンタは、ユーザが事前に設定することなく、印刷および切断が行われた記録媒体5に対して、ミシン目を自動で描くことができる。
【解決手段】ジョブタイプとして、第1処理の後に第2処理が行われる第1ジョブタイプと、第1処理が行われ、かつ、第2処理が行われない第2ジョブタイプが存在する。プリンタ100では、記録媒体5はセンターピンチローラ72と駆動ローラ57によって挟まれることが可能である。プリンタ100の制御装置50は、第1ジョブタイプにおいて第1処理が行われる際、センターピンチローラ72が駆動ローラ57と共に記録媒体5を挟むように制御する第1の1昇降制御部97と、第2ジョブタイプにおいて第1処理が行われる際、センターピンチローラ72が駆動ローラ57に対して離反するように制御する第1の2昇降制御部98とを備えている。