(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、支持シャフトに細いチューブが仕込まれた調理容器検知装置では、柔軟なリード線を細いチューブの中に通すのが難しいため、組み立ての作業性が悪くなってしまうという問題があった。
【0007】
この発明は従来の技術における上述した課題に対応してなされたものであり、組み立ての作業性を損なうことなく、当接部が押し下げられたときのリード線の状態を安定させることで、磁性体の位置のバラツキを抑えることが可能な調理容器検知装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の
第1の調理容器検知装置は次の構成を採用した。すなわち、
調理器具の熱源の上方に調理容器が置かれていることを検知するとともに、温度センサーによって調理容器の温度を検出することが可能な調理容器検知装置において、
前記熱源の上方に置かれた前記調理容器の底部に当接して押し下げられる当接部と、
前記当接部を上方に付勢する付勢部材と、
前記当接部に内蔵された前記温度センサーから延びるリード線と、
前記当接部を上下方向に移動可能に支持すると共に、内側に前記リード線が移動可能に挿通される支持シャフトと、
前記リード線に取り付けられた磁性体と、
前記磁性体の位置に応じてオフ状態とオン状態とが切り換わるスイッチと
を備え、
前記支持シャフトは、上下方向に配置されて前記当接部が取り付けられる上下直線部と、水平方向に配置されて前記磁性体が挿通される水平直線部との間に湾曲部を有する略L字状に形成されており、
前記リード線は、複数の被覆導線を平行に並べて一体に形成された平形の平行線であり、
前記湾曲部には、挿通された前記リード線よりも出隅側に、前記当接部が押し下げられたときに該リード線を沿わせるガイド面が設けられて
おり、
前記ガイド面は、前記湾曲部を曲がり方向に対して直交する平面で切断した断面形状が、前記上下直線部および前記水平直線部に直交する方向に延びた直線状になっている
ことを特徴とする。
【0009】
平形の平行線を用いたリード線は、導線の並び方向よりも、それに直交する方向に曲がり易いという特徴を有している。このリード線を略L字状の支持シャフトに通すと、リード線の曲がり易い方向を湾曲部の曲がり方向と一致させて、リード線が曲がった姿勢となる。その姿勢で、当接部が押し下げられると、リード線は湾曲部の出隅側に道筋が膨らむことになる。このように、曲がる態様に方向性のある平形の平行線をリード線に用いることで、当接部が押し下げられたときにリード線が湾曲部内でたどる道筋の方向が規定される。そして、その方向にガイド面を設けておくことで、当接部が押し下げられる毎に、いつもリード線がガイド面に沿った同じ状態で再現性が得られるので、磁性体の位置の変動を抑制することができる。しかも、当接部が押し下げられていない状態では、リード線がガイド面から離れていてもよいことから、湾曲部にリード線を通すのも容易である。
【0011】
さらに、本発明の第1の調理容器検知装置では、湾曲部を曲がり方向に対して直交する平面で切断したガイド面の断面形状を、上下直線部および水平直線部に直交する方向に延びた直線状にすることで、当接部が押し下げられたときに、リード線の導線の並び方向がガイド面と平行になるようにガイド面に沿った状態でリード線を安定させることができる。
【0012】
また、
前述した課題を解決するために、本発明の第2の調理容器検知装置は次の構成を採用した。すなわち、
調理器具の熱源の上方に調理容器が置かれていることを検知するとともに、温度センサーによって調理容器の温度を検出することが可能な調理容器検知装置において、
前記熱源の上方に置かれた前記調理容器の底部に当接して押し下げられる当接部と、
前記当接部を上方に付勢する付勢部材と、
前記当接部に内蔵された前記温度センサーから延びるリード線と、
前記当接部を上下方向に移動可能に支持すると共に、内側に前記リード線が移動可能に挿通される支持シャフトと、
前記リード線に取り付けられた磁性体と、
前記磁性体の位置に応じてオフ状態とオン状態とが切り換わるスイッチと
を備え、
前記支持シャフトは、上下方向に配置されて前記当接部が取り付けられる上下直線部と、水平方向に配置されて前記磁性体が挿通される水平直線部との間に湾曲部を有する略L字状に形成されており、
前記リード線は、複数の被覆導線を平行に並べて一体に形成された平形の平行線であり、
前記湾曲部には、挿通された前記リード線よりも出隅側に、前記当接部が押し下げられたときに該リード線を沿わせるガイド面が設けられており、
前記ガイド面は、前記湾曲部の両端に接続された前記上下直線部および水平直線部の軸線上まで延設されている
ことを特徴とする。
【0013】
このような本発明の第2の調理容器検知装置では、上下直線部に挿通された部分からガイド面に当接した部分へのリード線の移動の伝わり、およびガイド面に当接した部分から水平直線部に挿通された部分へのリード線の移動の伝わりを円滑にして、当接部が押し下げられたときの磁性体の位置の安定化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本実施例の調理容器検知装置100を搭載したガスコンロ1の構造を示した断面図である。ガスコンロ1は、図示しないコンロ本体の上面を覆って設けられた天板2と、天板2に形成された貫通孔3から上部を突出させてコンロ本体内に設置されたコンロバーナー10と、コンロバーナー10の上方に鍋などの調理容器を置くために天板2の上面に設置された五徳4と、五徳4に調理容器が置かれていることを検知する調理容器検知装置100などを備えている。尚、本実施例のコンロバーナー10は、本発明の「熱源」に相当している。
【0016】
コンロバーナー10は、円環形状の混合室11aが内部に形成されたバーナーボディー11と、混合室11aと連通してバーナーボディー11から延設された混合管12と、混合室11aの上部開口を覆うようにバーナーボディー11に載置された円環形状のバーナーヘッド13と、バーナーヘッド13の上方に取り付けられた円環形状のバーナーカバー14などを備えている。
【0017】
バーナーボディー11から延設された混合管12の上流側開口12aに向けて燃料ガスが噴射されると、燃焼用の一次空気を吸い込みながら混合管12に流入する。そして、混合管12を通過する燃料ガスと一次空気とが混合されて、混合室11aに混合ガスが供給される。
【0018】
バーナーヘッド13の外周壁の下面(バーナーボディー11に載置される面)には、複数の溝(炎口溝)がバーナーヘッド13の中央に対して放射状に形成されており、バーナーヘッド13をバーナーボディー11に載置すると、複数の炎口溝とバーナーボディー11の上面とによって、混合室11aに連通する複数の炎口13aが形成される。混合室11aに供給された混合ガスは、複数の炎口13aから噴出し、図示しない点火プラグで火花を飛ばすと混合ガスの燃焼が開始される。また、バーナーヘッド13の中央には、混合ガスの燃焼に必要な二次空気の供給通路13hが形成されている。バーナーカバー14は、五徳4上に置かれた調理容器から煮こぼれた場合に、煮こぼれ汁がバーナーヘッド13にかかるのを抑制する役割を果たしている。
【0019】
バーナーヘッド13の供給通路13h内には、調理容器検知装置100が挿通されている。本実施例の調理容器検知装置100は、調理容器を検知するだけでなく、調理容器の温度を検出する機能を備えており、温度センサーを内蔵した当接部110がバーナーカバー14の中央開口14aから上方に突出している。当接部110の構造については別図を用いて後述するが、五徳4上に調理容器が置かれると、調理容器の底面に当接部110が当接して押し下げられる。この当接部110は、ガスコンロ1のコンロ本体内に固定される支持シャフト130の上部に取り付けられて、上下方向に移動可能に支持されている。
【0020】
本実施例の支持シャフト130は、供給通路13h内に上下方向に挿通されて、上部に当接部110が取り付けられる直線状の上下パイプ140と、当接部110の動きを検知するための検知ユニット150とを接合して形成されている。検知ユニット150の構造については後ほど別図を用いて説明するが、本実施例の検知ユニット150は、水平方向に配置される直線パイプ状の水平直線部153、および水平直線部153と上下方向の上下パイプ140とを連通可能に湾曲した湾曲部151が一体に形成されている。尚、本実施例の上下パイプ140は、本発明の「上下直線部」に相当している。
【0021】
湾曲部151の上端側には、径方向外側から内側に向けて固定ネジ155が貫通しており、湾曲部151の上端の内側に上下パイプ140の下端を挿入して固定ネジ155を締め付けることで略L字状の支持シャフト130が形成される。このように支持シャフト130を略L字状に形成することで、ガスコンロ1の高さ寸法に制限がある場合でも調理容器検知装置100を搭載することが可能となる。そして、支持シャフト130の内側には、当接部110に内蔵された温度センサーから延びるリード線120が挿通されており、そのリード線120を介して温度センサーが制御部170と電気的に接続されている。
【0022】
図2は、当接部110の内部構造を示した断面図である。当接部110は、略円筒形状のホルダー111と、ホルダー111の上端に取り付けられた略円板形状の集熱部材112と、ホルダー111よりも大径の略円筒形状に形成されてホルダー111の外側を覆うカバー113と、集熱部材112の下面に取り付けられた温度センサー115などを備えている。本実施例の温度センサー115には、温度の変化によって電気抵抗が変わるサーミスターが用いられており、調理容器の底部に当接した集熱部材112の下面に伝わる温度を温度センサー115によって検出することができる。
【0023】
前述したように当接部110は、上下パイプ140の上部に取り付けられており、上下パイプ140の上端には、ホルダー111よりも小径である円環形状の座金141が図示しないカシメ止めで接合されている。この上下パイプ140がホルダー111の内側に挿入されており、ホルダー111の下端側には座金141よりも小径に縮径された細径部111aが形成されているため、ホルダー111が上下パイプ140の軸方向(図中の上下方向)に移動しても、ホルダー111から座金141が抜けることはない。尚、上下パイプ140は、コンロバーナー10の熱で高温になるとともに、当接部110を支持する強度が求められることから、ステンレス鋼材などの金属材料を用いて形成されている。
【0024】
また、ホルダー111の内部には、集熱部材112と座金141との間にコイルバネ114が圧縮された状態で収容されており、このコイルバネ114が当接部110を上方に付勢している。そして、調理容器が五徳4上に置かれると、コイルバネ114の付勢力に抗して当接部110が押し下げられる。尚、本実施例のコイルバネ114は、本発明の「付勢部材」に相当している。
【0025】
さらに、温度センサー115の2本の端子116に溶接されたリード線120が、コイルバネ114の内側および上下パイプ140(支持シャフト130)の内側に挿通されており、当接部110の上下動に連動してリード線120が支持シャフト130内を移動可能になっている。
【0026】
図3は、本実施例の検知ユニット150の内部構造を示した断面図である。図では、ガスコンロ1に設置された調理容器検知装置100の検知ユニット150を上方から見た状態を表しており、主に水平直線部153が示されている。図示されるように検知ユニット150は、略直方体形状の永久磁石156や、リードスイッチ157を内蔵したスイッチモジュール158などを備えており、リードスイッチ157から延びる引出線159が制御部170と電気的に接続されている。ポリフェニレンサルファイド(PPS)やシンジオタクチックポリスチレン(SPS)などの樹脂材料を用いて形成された検知ユニット150には、直線パイプ状の水平直線部153に挿通されるリード線120を間に挟んで、永久磁石156が嵌め込まれる磁石取付部153aと、スイッチモジュール158が嵌め込まれるスイッチ取付部153bとが一体に形成されている。
【0027】
また、磁性材料(例えばステンレス鋼材SUS430)で形成された略円筒形状の磁性体121がリード線120の外周に取り付けられており、当接部110が上下方向に移動すると、その動きがリード線120を介して磁性体121に伝わることから、磁性体121が水平直線部153内を移動するようになっている。調理容器で当接部110が押し下げられていない状態では、
図3に示されるように、磁性体121が永久磁石156とリードスイッチ157との間に位置している。こうした永久磁石156およびリードスイッチ157と磁性体121との位置関係は、リード線120への磁性体121の取り付け位置や、湾曲部151の上端への上下パイプ140の挿入量によって調整することが可能である。
【0028】
図4は、検知ユニット150で当接部110の上下動を検知する動作を示した説明図である。尚、
図4では、樹脂材料で形成された水平直線部153やスイッチモジュール158の外装についての図示を省略している。まず、
図4(a)には、当接部110が押し下げられていない状態が示されている。スイッチモジュール158に内蔵されたリードスイッチ157は、周知のリードスイッチと同様に、2本の強磁性体のリード片157aが、所定の重なり及び間隔を備えた接点部157bを介して相対している。前述したように当接部110が押し下げられていない状態では、磁性体121が永久磁石156とリードスイッチ157との間に位置しており、永久磁石156の磁気が磁性体121によって遮断されてリードスイッチ157に届き難くなっている。その結果、リード片157aが磁化されることなく、接点部157bは開いたままであるので、リードスイッチ157はOFF状態になっている。
【0029】
一方、
図4(b)には、当接部110が押し下げられた状態が示されている。五徳4上に調理容器が置かれて当接部110が押し下げられると、図中に白抜きの矢印で示したようにリード線120が水平直線部153の軸方向に移動するのに伴って、磁性体121が永久磁石156とリードスイッチ157との間から移動する。これにより、永久磁石156の磁気がリードスイッチ157に届き易くなるので、リード片157aが磁化されて磁気吸引力で接点部157bが閉じ、リードスイッチ157はON状態になる。
【0030】
また、五徳4上から調理容器を外すと、コイルバネ114の付勢力で当接部110が押し上げられるのに伴って、磁性体121が永久磁石156とリードスイッチ157との間に戻るので、再び永久磁石156の磁気が遮断されてリードスイッチ157に届き難くなる。すると、リード片157aの磁化が消失してリード片157aの弾性力で接点部157bが開き、リードスイッチ157はOFF状態になる。このように当接部110の上下動に連動してリードスイッチ157のON状態とOFF状態とが切り換わるので、リードスイッチ157の状態(ONかOFFか)に基づいて、五徳4上の調理容器の有無を検知することができる。尚、本実施例のリードスイッチ157は、本発明の「スイッチ」に相当している。
【0031】
以上のように略L字状の支持シャフト130に挿通されたリード線120を介して、当接部110の上下方向の動きを水平方向に変えて磁性体121に伝える方式の調理容器検知装置100では、当接部110の上下動に応じて磁性体121が軽快に動くことと、当接部110の一定の動きに対して磁性体121の動きが安定している(磁性体121の位置に再現性がある)ことの2つが要請される。仮に、リード線120の剛性が高いと、湾曲部151で曲がりにくく移動の抵抗となって、軽い鍋などの場合には磁性体121が動かないので、リード線120には湾曲部151で容易に曲がる柔軟性が求められる。その一方で、柔軟なリード線120が湾曲部151で曲がりくねることによって、当接部110の一定の動きに対して磁性体121の位置にバラツキが生じ易い。そして、リード線120の曲がる態様に方向性がなく、リード線120のどの部分が支持シャフト130内のどこに当たるかわからないのでは、当接部110が押し下げられたときにリード線120がいつも同じ状態となるように調整しようとしても困難であるので、リードスイッチ157のON状態とOFF状態とが正しく切り換わらないことがある。そこで、従来の調理容器検知装置100では、磁性体121の位置のバラツキを抑制するために、次のような構造の支持シャフト130を採用していた。
【0032】
図5は、従来例の調理容器検知装置100における支持シャフト130の内部構造を示した断面図である。図示した従来例の調理容器検知装置100では、上下方向に配置される直線状の上下パイプ140と、水平方向に配置される直線状の水平パイプ143との間に、ほぼ直角に湾曲した湾曲パイプ142を接合して略L字状の支持シャフト130が形成されている。そして、上下パイプ140の上部に当接部110が取り付けられており、水平パイプ143の外周に永久磁石156およびリードスイッチ157が取り付けられている。
【0033】
また、上下パイプ140の下部の内側および湾曲パイプ142の内側には、フッ素樹脂チューブ144が仕込まれており、このフッ素樹脂チューブ144には、2本の細い孔が上下パイプ140側から水平パイプ143側まで通っている。従来例の調理容器検知装置100の温度センサー115から延びる2本のリード線123は、フッ素樹脂で被覆された柔軟なものであり、当接部110の内側に挿通された部分(
図2参照)はポリイミド樹脂の被覆で補強されているものの、それよりも下方の部分はポリイミド樹脂で被覆されておらず、柔軟なリード線123が1本毎にフッ素樹脂チューブ144の細い孔に通されている。
【0034】
そして、フッ素樹脂チューブ144内を通った2本の柔軟なリード線123は、水平パイプ143の内側に挿通される部分がガラス繊維の編組などで被覆されて、剛性が高められており、その硬質なリード線124の外周に磁性体121が取り付けられている。
【0035】
このように従来例の調理容器検知装置100では、支持シャフト130の湾曲パイプ142の部分で容易に曲がる柔軟なリード線123を用いながら、リード線123をフッ素樹脂チューブ144の細い孔に通すことで、その孔とリード線123との間の遊び(ゆとり)を小さくでき、これにより、当接部110の一定の動きに対する磁性体121の位置の変動を抑制することが可能となる。その反面、このような構造の支持シャフト130を採用すると、湾曲パイプ142内に仕込まれたフッ素樹脂チューブ144の細い孔に柔軟なリード線123を通すのが容易ではないことから、調理容器検知装置100の組み立ての作業性が悪くなってしまう。
【0036】
これに対して、本実施例の調理容器検知装置100では、支持シャフト130に挿通されるリード線120および検知ユニット150の湾曲部151を以下のように構成することで、組み立ての作業性を損なうことなく、当接部110が押し下げられたときにリード線120の状態を安定させて磁性体121の位置のバラツキを抑制している。
【0037】
図6は、本実施例の支持シャフト130に挿通されるリード線120を示した斜視図である。まず、
図6(a)に拡大して示されるように、温度センサー115から延びる本実施例のリード線120には、2本の被覆導線を平行に並べて一体に形成された平形の平行線が用いられており、ガラス繊維の編組で被覆した上にシリコンワニスのコーティングが施されていることから、耐熱性および防水性に優れている。このようなリード線120は、導線の並び方向(図中のハッチングを付した矢印で示した方向)よりも、それに直交する方向(図中の白抜きの矢印で示した方向)に曲がり易いという特徴を有しており、導線の並び方向には剛性を得ながら、直交する方向には柔軟性を得ることができる。
【0038】
リード線120を略L字状の支持シャフト130に通すと、
図6(b)に示されるように、リード線120の曲がり易い方向を湾曲部151の曲がり方向と一致させて、リード線120が曲がった姿勢となる。本実施例の検知ユニット150の湾曲部151では、上下パイプ140および水平直線部153に直交する方向を向いた側面の一方(図中の手前側)に開口する開口部151aが設けられており、湾曲部151内のリード線120よりも出隅側には、当接部110が押し下げられた際にリード線120を沿わせるガイド面152が設けられている。
【0039】
図7は、当接部110の上下動に伴ってリード線120が支持シャフト130内を移動する様子を示した説明図である。図では、開口部151aから湾曲部151内のリード線120を見た状態を表している。まず、
図7(a)には、当接部110が押し下げられていない状態が示されている。前述したように当接部110は、コイルバネ114の付勢力で押し上げられており、それに伴ってリード線120が引っ張り上げられる。このとき、リード線120は、湾曲部151で最短の道筋をたどるため、湾曲部151の入隅側の内面に当接し、ガイド面152から離れた状態になっている。
【0040】
一方、
図7(b)に示されるように当接部110が押し下げられると、リード線120は、曲がり易い方向を湾曲部151の曲がり方向と一致させた姿勢のまま、湾曲部151の出隅側に道筋が膨らみ、2本の導線が並んだ面(出隅側に向いた面)がガイド面152に当接した状態となる。そして、ガイド面152に沿ってリード線120が摺動することにより、当接部110の上下方向の動きが水平方向の動きとなって磁性体121に伝わる。
【0041】
このように本実施例の調理容器検知装置100では、曲がる態様に方向性のある平形の平行線をリード線120に用いることで、当接部110が押し下げられたときにリード線120が湾曲部151内でたどる道筋の方向が規定される。そして、その方向にガイド面152を設けておくことで、当接部110が押し下げられる毎に、いつもリード線120がガイド面152に沿った同じ状態で再現性が得られるので、磁性体121の位置の変動を抑制することが可能となる。しかも、当接部110が押し下げられていない状態では、リード線120がガイド面152から離れていてもよく、湾曲部151の入隅側の内面とガイド面152とでリード線120を挟み込む必要がないことから、湾曲部151にリード線120を通すのも容易である。
【0042】
また、本実施例の調理容器検知装置100では、ガイド面152の上端側が上下パイプ140の軸線上まで延設されているとともに、ガイド面152の下端側が水平直線部153の軸線上まで延設されている。これにより、上下パイプ140に挿通された部分からガイド面152に当接した部分へのリード線120の移動の伝わり、およびガイド面152に当接した部分から水平直線部153に挿通された部分へのリード線120の移動の伝わりを円滑にして、当接部110が押し下げられたときの磁性体121の位置の安定化を図ることができる。
【0043】
また、
図8は、リード線120がガイド面152に当接した状態を示した断面図である。
図8(a)には、
図7(b)中のA−Aの位置で湾曲部151を切断した断面が示されている。図示されるように、本実施例のガイド面152の断面形状は、上下パイプ140および水平直線部153に直交する方向(湾曲部151に挿通されたリード線120の導線の並び方向)に延びた直線状になっており、リード線120は、2本の導線が並んだ面がガイド面152に当接している。
【0044】
ここで、仮にリード線120が、
図8(b)に示されるように、断面形状が円環状の湾曲パイプに挿通されていたとすると、当接部110が押し下げられるのに伴ってリード線120が湾曲パイプの内面に当接する箇所が定まりにくく、例えば、図中の実線で示すように接する場合と、破線で示すように接する場合とで、磁性体121の位置に差が生じてしまうことがある。これに対して、本実施例の調理容器検知装置100では、
図8(a)に示したように、リード線120の2本の導線の並び方向がガイド面152と平行になるようにガイド面152に沿った状態でリード線120を安定させることができる。
【0045】
上述した本実施例の調理容器検知装置100には、次のような変形例も存在する。以下では、上述の実施例とは異なる点を中心に変形例について説明する。尚、変形例の説明では、上述の実施例と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0046】
図9は、第1変形例の調理容器検知装置100の構造を示した説明図である。
図9(a)には、支持シャフト130を分解した状態が斜視図で示されている。前述した実施例の支持シャフト130では、樹脂製の検知ユニット150に湾曲部151が一体に形成されていた。これに対して、第1変形例の支持シャフト130では、上下パイプ140の下部からパイプ状の湾曲部140rが延設されており、検知ユニット150に形成された水平直線部153の端部の内側に湾曲部140rの開放端を挿入するようになっている。尚、湾曲部140rは、上下パイプ140とは別体に形成しておき、上下パイプ140に接合してもよい。
【0047】
図9(b)には、
図9(a)中のB−Bの位置で湾曲部140rを切断した断面が示されている。第1変形例の湾曲部140rは、断面形状が円環状ではなく、上下パイプ140および水平直線部153に直交する方向に長い小判形(長円形)であり、出隅側の内面(
図9(b)中の下側の内面)の断面形状が、上下パイプ140および水平直線部153に直交する方向に延びた直線状になっている。
【0048】
このような第1変形例の調理容器検知装置100では、湾曲部140rの出隅側の内面が本発明の「ガイド面」に相当しており、当接部110が押し下げられると、
図9(b)に示されるように、リード線120の2本の導線の並び方向がガイド面と平行になるようにガイド面に沿った状態でリード線120が安定し、前述した実施例と同様に、磁性体121の位置の変動を抑制することができる。そして、第1変形例の湾曲部140rでは、パイプの断面形状が小判型になっているものの、当接部110が押し下げられていない状態では、湾曲部140rの出隅側の内面からリード線120が離れていてもよいので、湾曲部140rにリード線120を通すのも容易である。
【0049】
図10は、第2変形例の調理容器検知装置100の構造を示した斜視図である。前述した実施例の支持シャフト130では、樹脂製の検知ユニット150の湾曲部151内にガイド面152が一体に形成されていた。これに対して、第2変形例の支持シャフト130では、検知ユニット150とは別体に形成されたガイド板160を湾曲部151内に嵌め込むことで、ガイド面を形成するようになっている。
【0050】
図10に示したガイド板160は、ステンレス鋼板を用いて板金で湾曲形状に形成されている。また、検知ユニット150の湾曲部151は、下面側が開口しており、内部にガイド板160と係合して固定するための係合部151bが設けられている。尚、ガイド板160を樹脂材料で平板状に形成しておき、湾曲させながら湾曲部151内に嵌め込むようにしてもよい。
【0051】
このような第2変形例の調理容器検知装置100では、上下パイプ140に挿通したリード線120を、湾曲部151の開口した下面側から一旦引き出して、水平直線部153に挿通することが可能であり、こうして湾曲部151にリード線120を通した後にガイド板160を嵌め込めばよいので、支持シャフト130にリード線120を通す作業を簡易化することができる。そして、嵌め込まれたガイド板160は、前述した実施例のガイド面152と同様に機能するので、当接部110が押し下げられたときの磁性体121の位置の変動を抑制することができる。
【0052】
以上、本実施例および変形例の調理容器検知装置100について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0053】
例えば、前述した実施例では、2本の導線が平行に並んだ平形の平行線をリード線120に用いていたが、3本以上の導線が平行に並んだ平形の平行線を用いてもよい。
【0054】
また、前述した実施例では、磁性体121の位置に応じてON状態とOFF状態とが切り換わるスイッチとして、リードスイッチ157を用いていた。しかし、これに限られず、磁性体121がコイルの内側を移動するのに伴ってコイルのインダクタンスの値が変化することで、ON状態とOFF状態とが切り換わるスイッチであってもよい。あるいは、ホール効果を利用するホール素子や、磁気抵抗効果を利用するMR素子に代表される磁気センサーを用いて、磁性体121の位置に応じた磁気の変化を検知するようにしてもよい。
【0055】
さらに、前述した実施例では、調理器具としてガスコンロ1を例に、五徳4上に鍋が置かれていることを検知する調理容器検知装置100について説明したが、調理容器検知装置100が搭載される調理器具は、ガスコンロ1に限られない。例えば、炊飯器に調理容器検知装置100を搭載して、熱源としてのバーナーの上方に調理容器としての炊飯釜が設置されたことを検知する場合にも、本発明を好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…ガスコンロ、 2…天板、 3…貫通孔、
4…五徳、 10…コンロバーナー、 11…バーナーボディー、
11a…混合室、 12…混合管、 13…バーナーヘッド、
13a…炎口、 13h…供給通路、 14…バーナーカバー、
100…調理容器検知装置、 110…当接部、 111…ホルダー、
112…集熱部材、 113…カバー、 114…コイルバネ、
115…温度センサー、 116…端子、 120…リード線、
121…磁性体、 130…支持シャフト、 140…上下パイプ、
140r…湾曲部、 141…座金、 150…検知ユニット、
151…湾曲部、 151a…開口部、 151b…係合部、
152…ガイド面、 153…水平直線部、 153a…磁石取付部、
153b…スイッチ取付部、 155…固定ネジ、 156…永久磁石、
157…リードスイッチ、 157a…リード片、 157b…接点部、
158…スイッチモジュール、 159…引出線、 160…ガイド板、
170…制御部。