【文献】
Preparation of Arylhalosilanes,Industrial and Engineering Chemistry,1959年 2月,Vol 51, No. 2,131-138
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記不均一系触媒が、アルミナ、酸化ジルコニウム、又は元素Sc、Y、Ti、Zr、Hf、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn若しくはPbのうち2つ以上の酸化物を含む、請求項2に記載の方法。
前記不均一系触媒が、γ−アルミナ、Alと元素B、Zr、Ti若しくはSiのうち1つとを含む複合酸化物、又はZrと元素B、Ti若しくはSiのうちの1つとを含む複合酸化物を含む、請求項3に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。上記で要約した本発明の実施形態、使用及び利点を、以下で更に説明する。
【0011】
本発明の態様は、様々な一般的な表現方法を使用して本明細書に記載される。例えば、別途の指定がない限り、物質のすべての状態は、25℃及び101.3kPaで測定される。別途の記載又は指定がない限り、すべての%は重量による。すべての%値は、別途の記載が限り、組成物を合成又は作製するために使用される全成分の総量に基づき、合計で100%になる。分類群及び下位分類群を含む任意のマーカッシュ群は、分類群に含まれる下位分類群を包含し、例えば、「Rはヒドロカルビル又はアルケニルである」では、Rはアルケニルであってもよく、あるいはRは他の下位分類群の中でも、アルケニルを含むヒドロカルビルであってもよい。米国実務に関して、本明細書で参照されるすべての米国特許出願公開及び特許、又は一部のみが参照されている場合にはその一部は、組み込まれた主題が本願の記述と矛盾しない範囲で参照により本願に組み込まれ、いずれのこのような矛盾においても本願の記述が優先する。
【0012】
本発明の態様は、様々な特許用語を使用して本明細書に記載される。例えば、「あるいは(alternatively)」は、異なる及び別個の実施形態を指す。比較例、比較上のプロセス又は比較上の方法に使用される「比較」は、非発明的な試行であることを意味し、先行技術として解釈してはならない。「含む(comprises)」及びその変形(comprising、comprised of)は、オープンエンドである。「からなる(consists)」及びその変形(consisting of)は、クローズドエンドである。「接触させる」は、物理的に接触させることを意味する。「であってもよい/することがある/し得る/ことができる(may)」は、選択肢を与えるものであり、必須ではない。「任意に」は、存在しない、あるいは存在することを意味する。
【0013】
オルガノハロシランを作製するための方法であって、ハロゲン置換又は非置換の芳香族化合物を含む有機化合物を、式(I)R
nSiH
mX
4−m−n(式中、各Rは、独立して、C
1−C
14ヒドロカルビル又はC
1−C
14ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、Xは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードであり、nは、0、1又は2であり、mは、1、2又は3であり、m+nは、1、2又は3である。)の少なくとも2種の異なるヒドリドハロシランを含むヒドリドハロシラン混合物と、元素Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Nb、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn又はPbのうち1つ以上を含む触媒の存在下、100℃を超える温度及び少なくとも690kPaの圧力で反応させて、オルガノハロシランを含む粗反応生成物を作製することを含み、ただし、少なくとも2種の異なるヒドリドハロシランが、n=0及びm=1である式(I)のヒドリドハロシランと、n=0及びm=2である式(I)のヒドリドハロシランとを含む場合、触媒は、元素Sc、Y、Ti、Zr、Hf、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn又はPbのうち1つ以上の酸化物を含む不均一系触媒である、方法である。
【0014】
有機化合物は、ハロゲン置換又は非置換の芳香族化合物を含む。有機化合物は、6〜14個の炭素原子、あるいは6〜10個の炭素原子、あるいは6〜8個の炭素原子、あるいは6個の炭素原子を有する。有機化合物は、環式又は多環式構造、例えば、縮合、架橋又はスピロ構造を有し得る。
【0015】
非置換の芳香族化合物の例としては、ベンゼン、トルエン、1,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジメチルベンゼン、1−フェニルエテン、1−フェニル−1−プロペン、ナフタレン及び1,1−ジフェニルエテンが挙げられるが、これらに限定されない。ハロゲン置換の芳香族化合物の例としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基又はヨード基を有する上に例示した芳香族化合物、あるいは、芳香族化合物の水素原子のうち1つがクロロ基で置換されているクロロベンゼン又はジクロロベンゼンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
ヒドリドハロシラン混合物は、式(I)R
nSiH
mX
4−m−nの少なくとも2種の異なるヒドリドハロシランを含み、式中、各Rは、独立して、C
1−C
14ヒドロカルビル又はC
1−C
14ハロゲン置換ヒドロカルビルであり、Xは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードであるか、あるいはXは、クロロであり、nは、0、1又は2であるか、あるいはnは、0又は1であり、mは、1、2、又は3であるか、あるいはmは、1又は2であり、m+n=1、2又は3である。
【0017】
「式(I)の少なくとも2種の異なるヒドリドハロシラン」という文言は、ヒドリドハロシラン混合物が、式(I)に係る化学構造をそれぞれ有するが、互いに異なる構造である2種以上のヒドリドハロシランを含むことを意味する。
【0018】
式(I)中、Rで表されるヒドロカルビル基は、典型的には、1〜14個の炭素原子、あるいは1〜10個の炭素原子、あるいは1〜4個の炭素原子、あるいは1又は2個の炭素原子、あるいは1個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を含有する非環式ヒドロカルビル基は、分枝鎖又は非分枝鎖構造を有し得る。Rで表されるC
1−C
14ヒドロカルビル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2,−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル及びテトラデシルなどのアルキル;シクロペンチル、シクロヘキシル及びメチルシクロヘキシルなどのシクロアルキル;フェニル及びナフチルなどのアリール;トリル及びキシリルなどのアルカリル;ベンジル及びフェニルエチルなどのアラルキルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本発明の式(I)に係るヒドリドハロシランの例としては、モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、メチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、エチルクロロシラン、エチルジクロロシラン、ジエチルクロロシラン、プロピルクロロシラン、プロピルジクロロシラン、ジプロピルクロロシラン、ブチルクロロシラン、ブチルジクロロシラン、ジブチルクロロシラン、ペンチルクロロシラン、ペンチルジクロロシラン、ジペンチルクロロシラン、ヘキシルクロロシラン、ヘキシルジクロロシラン、ジヘキシルクロロシラン、オクチルクロロシラン、オクチルジクロロシラン、ジオクチルクロロシラン、デシルクロロシラン、デシルジクロロシラン、ジデシルクロロシラン、テトラデシルクロロシラン、テトラデシルジクロロシラン、ジテトラデシルクロロシラン、フェニルクロロシラン、フェニルジクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、ベンジルクロロシラン、ベンジルジクロロシラン、ジベンジルクロロシランが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のヒドリドハロシランを作製する方法は、当該技術分野において既知である。
【0020】
ヒドリドハロシラン混合物の例としては、式(I)に係るヒドリドハロシランに関して上記に例示したヒドリドハロシランのうち少なくとも2種を含む混合物、あるいはジクロロ(メチル)シラン及びジクロロシランを含む混合物、あるいはジクロロ(メチル)シラン及びトリクロロシランを含む混合物、あるいはジクロロ(メチル)シラン及びモノクロロシランを含む混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
ヒドリドハロシラン混合物中のヒドリドハロシランは、互いに特定の比率はないか、あるいは、ヒドリドハロシラン混合物は、すべてのヒドリドハロシランのモルを基準にして、5〜95%(mol/mol)、あるいは5〜25%(mol/mol)、あるいは5〜15%(mol/mol)のジクロロシランを含むか、あるいは、ヒドリドハロシラン混合物は、ジクロロシラン及びトリクロロシランを含み、ここで、ヒドリドハロシラン混合物は、ジクロロシラン及びトリクロロシランのモルを基準にして、5〜95%(mol/mol)、あるいは5〜25%(mol/mol)、あるいは5〜15%(mol/mol)のジクロロシランを含むか、あるいは、ヒドリドハロシラン混合物は、ジクロロシラン及びジクロロ(メチル)シランを含み、ここで、ヒドリドハロシラン混合物は、ジクロロシラン及びジクロロ(メチル)シランのモルを基準にして、5〜95%(mol/mol)、あるいは5〜25%(mol/mol)、あるいは5〜10%(mol/mol)のジクロロシランを含む。
【0022】
本発明の反応中に少なくとも2種のヒドリドハロシランを含めることは、オルガノハロシラン生成物の収率及び選択性を高めるものと考えられる。加えて、少なくとも2種のヒドリドハロシランの使用は、ヒドリドハロシランを1種のみ使用した場合よりも低い温度でのオルガノハロシランの作製を可能にすると考えられる。
【0023】
触媒は、元素Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Nb、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn又はPbのうち1つ以上を含み、ただし、少なくとも2種の異なるヒドリドハロシランが、n=0及びm=1である式(I)のヒドリドハロシランと、n=0及びm=2である式(I)のヒドリドハロシランとを含む場合、触媒は、元素Sc、Y、Ti、Zr、Hf、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn又はPbのうち1つ以上の酸化物を含む不均一系触媒である。
【0024】
一実施形態において、触媒は、式B
aZ
b、NbZ
5又はAlZ
3を有し、式中、Zは、H、Rであり、式中、Rは、式(I)に関して上に定義したもの又はハロであり、aは、1又は2であり、bは、3又は6であるか、あるいは、Zは、H、R、F、Cl、Br又はIであり、aは、1又は2であり、bは、3又は6であるか、あるいは、Zは、H、R又はClであり、aは、1又は2であり、bは、3又は6であるか、あるいは、Zは、H、フェニル、メチル又はClであり、aは、1又は2であり、bは、3又は6である。式B
aZ
b、NbZ
5又はAlZ
3を有する触媒の例としては、PhBCl
2 Ph
3B、B
2H
6、NbCl
5、AlCl
3、BCl
3が挙げられ、これらのすべては購入可能である。
【0025】
触媒に関して本明細書で使用するとき、「不均一系」は、触媒及び反応物質が2つの相、例えば、限定するものではないが、固相と液相を形成することを意味し、「可溶性」は、触媒及び反応物質が1つの相を形成することを意味し、「酸化物」は、その化学式中に、少なくとも1個の酸素と、少なくとも1個の他の元素とを有する化合物を意味する。
【0026】
一実施形態において、触媒は、元素Sc、Y、Ti、Zr、Hf、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn若しくはPbのうちの1つ以上、あるいはSc、Y、Ti、Zr、B、Al、Si若しくはGeのうち1つ以上の酸化物、あるいはSc、Y、Ti、Zr、B、Al、Si若しくはGeのうち2つ以上の酸化物、あるいはアルミナ、酸化ジルコニウム、Alと元素B、Zr、Ti若しくはSiのうち1つとを含む酸化物、又はZrと元素B、Ti若しくはSiのうち1つとを含む酸化物、あるいはγ−アルミナ又は酸化ジルコニウム、あるいはAl及びBを含む酸化物、Al及びSiを含む酸化物又はZr及びBを含む酸化物、あるいはAl及びBを含む酸化物又はZr及びBを含む酸化物、あるいはγ−アルミナ、あるいは式Al
9B
2O
15又はAl
4B
2O
9の酸化物を含む、不均一系触媒を含む。本発明の酸化物のすべてが酸素を含有することは、当業者にとって明らかであろう。酸素原子は、別途の記載がない限り、他の原子の価数要件を満たすのに十分な量で酸化物中に存在する。
【0027】
一実施形態において、不均一系触媒は、式M
1aM
2bM
3cM
4dO
xの酸化物であり、式中、M
1、M
2、M
3及びM
4は、それぞれ独立して、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn又はPbであり、a、b、c及びdは、それぞれ独立して、0〜1.00、かつa+b+c+d>0であるか、あるいは、M
1、M
2及びM
3は、それぞれ独立して、Sc、Y、Ti、Zr、B、Al、Si又はGeであり、aは、0〜1.00であり、bは、0〜1.00であり、cは、0〜1.00であり、d=0であり、a+b+c>0であるか、あるいは、M
1は、Ti、Zr、B又はAlであり、M
2は、Ti、Zr、B又はAlであり、M
3は、Sc又はYであり、M
4は、Si又はGeであり、aは、0〜1.00であり、bは、0〜1.00であり、cは、0〜0.10であり、dは、0〜0.50であり、a+b+c+d>0であり、a=0の場合b>0であり、またb=0の場合a>0であるか、あるいは、M
1は、Alであり、M
2は、Zrであり、M
3は、B、Ti又はSiであり、aは、0〜1.00であるか、あるいは、a=0であり、bは、0〜1.00であるか、あるいは、b=0であり、cは、0〜0.50であるか、あるいは、cは、0〜0.30であり、d=0であり、a+b+c>0であり、a=0の場合b>0であり、またb=0の場合a>0であるか、あるいは、M
1は、Zr又はAlであり、aは、>0〜1であり、b、c及びdは、0であり、xは、酸化物中の酸素原子の数であり、酸化物中の他の原子の価数を満たすのに十分であるか、あるいは、xは、>0〜1.00である。a、b、c、d及びxの文字は、酸化物中に存在する元素のグラム原子比を表す。M
1−4は、上記実施形態においてすべて異なる。
【0028】
不均一系触媒の例としては、任意の形態のアルミナ、例えば、η−アルミナ、ナノシート、α−アルミナ及びγ−アルミナ;任意の形態、例えば、単斜晶系、正方晶系又は立方晶系の酸化ジルコニウムZrO
2、;Alの元素と、元素Ti、Zr又はBのうち1つ、あるいは元素B、Zr、Ti又はSiのうち1つとを含む複合酸化物、例えば、限定するものではないが、式Al
9B
2O
15及びAl
4B
2O
9を有する酸化物;並びに元素Zrと、元素Ti、Al又はBのうち1つ、あるいは元素Ti、B又はSiのうち1つとの複合酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。アルミナ及び酸化ジルコニウムは、当該技術分野において既知であり、種々の形態で市販されている。例えば、γ−アルミナは、Clariant International,Ltd.(Munich,Germany)から購入することができる。
【0029】
不均一系触媒の組成は、当該技術分野において既知の方法によって決定することができる。例えば、X線結晶学、電子顕微鏡、元素分析、質量分析、電気化学的方法又はこれらの方法の組み合わせによって組成を決定することができる。
【0030】
不均一系触媒はまた、バインダー又は担体を含み得る。例えば、不均一系触媒は、グラファイト又はステアリン酸アルミニウムのバインダーを含み得る。グラファイト及びステアリン酸アルミニウムは、市販されている。バインダーは、典型的に、不均一系触媒の形状を制御するために使用される。
【0031】
不均一系触媒がバインダーを含む場合、不均一系触媒は、典型的に、25%(w/w)未満、あるいは10%(w/w)未満のバインダーを含む。バインダーを含む不均一系触媒は、Clariant International,Ltdから市販されている。
【0032】
不均一系触媒は、任意の形状であってよい。例えば、不均一系触媒は、粉末、顆粒、ペレット又は任意の押出形状であってよい。
【0033】
不均一系触媒は、単一元素の酸化物、異なる元素の2つ以上の酸化物の物理的混合物又は複合酸化物であり得る。本明細書で使用するとき、「複合酸化物」は、限定するものではないが、2つ以上の元素の組み合わせを含む酸化物を意味することが意図され、これには、結晶複合材料;他の活性成分によるコーティング、ドープ、付着、充填又は支持が施された複合材料;マトリックス材料;金属酸化物相の1つ以上が分散しているマトリックス材料を含むハイブリッド複合材料;並びにミクロ細孔、メソ細孔及びマクロ細孔などの細孔系を有する階層的多孔性複合材料が含まれる。
【0034】
触媒は、当該技術分野において既知の方法によって作製することもできるし、例えば、Sigma−Aldrich又はClariant International,Ltd.(Munich,Germany)から商業的に購入してもよい。不均一系触媒がバインダー及び/又は2種以上の金属酸化物を含む場合、金属酸化物は、当該技術分野において既知の押出成形又は他の調製及び混合技術によって、バインダー及び任意の他の金属酸化物と物理的に混合され得る。不均一系触媒に含まれる複合酸化物は、当該技術分野において既知の方法、例えば、in situゾル−ゲル加水分解又は共沈に続く焼成、コアシェル成長、内部成長(intergrowth)、表面成長(overgrowth)又は共結晶化によって作製することができる。例えば、B及びAlを含む複合酸化物は、実施例に記載の手順に従って作製することができ、粉砕したH
3BO
3、グリセロール、粉砕したAl(NO
3)
3・9H
2O及び脱イオン水を混合し、90℃まで2時間加熱し、続いて150℃、次いで400℃に加熱することによって、複合材料を形成する。
【0035】
本発明のプロセスは、本発明のタイプの反応を実施するのに適した任意の反応器で行うことができる。例えば、プロセスは、密封管型反応器などのバッチ式反応器又は充填カラムなどの連続式反応器で行うことができる。管型反応器及び充填カラムなどの反応器は、市販されている。例えば、管型反応器は、Parr Instrument Company(Moline,IL)から購入することができる。好適な圧力反応器の他の作製業者には、High Pressure Equipment Company(Erie,Pennsylvania)、Parker Autoclave Engineers(Erie Pennsylvania)、Buchi AG(Uster,Switzerland)、Berghof(Eningen,Germany)及びZeyon,Inc.(Erie,Pennsylvania)が含まれる。
【0036】
本発明のプロセスは、少なくとも100℃、あるいは100℃〜300℃、あるいは150℃〜275℃、あるいは195℃〜255℃の温度で実施される。300℃を大幅に上回る温度では、不均一系金属酸化物触媒は、不安定になり、触媒としての効果がなくなる場合がある。
【0037】
本発明のプロセスは、少なくとも690kPa、あるいは少なくとも3500kPa、あるいは4000〜11000kPa、あるいは4000〜6000kPaの圧力で実施され得る。
【0038】
本発明のプロセスは、連続的に実施されてもよいし、バッチプロセスを使用して行ってもよい。あるいは、このプロセスは、有機化合物及びヒドリドハロシラン混合物を不均一系触媒に流通させることによって、不均一系触媒を用いて連続的に行われる。本明細書で使用するとき、「連続的」は、不均一系触媒を入れた反応器に、有機化合物及びヒドリドハロシラン流が常に供給され、同時にオルガノハロシラン生成物、未反応の有機化合物及びヒドリドハロシラン、並びに任意の副生成物が除去されることを意味する。触媒が均一系触媒である場合、本発明のプロセスは、1種のヒドリドハロシランのみと既知の均一系触媒とを含む類似の反応に関して当該技術分野において知られている方法に従って実施することができる。
【0039】
本発明のプロセスが不均一系触媒を用いて連続的に実施される場合、接触時間は、0.001秒〜100分、あるいは1秒〜50分、あるいは10〜30分である。本明細書で使用するとき、「接触時間」は、1反応器容積の反応物質(すなわち、有機化合物及びヒドリドハロシラン混合物)が、触媒で充填された反応器を通過する時間を意味することが意図される。
【0040】
触媒は、典型的に、有機化合物及びヒドリドハロシランに対して触媒有効量で存在する。触媒有効量は、有機化合物とヒドリドハロシランとの間の反応を触媒するのに十分な量である。例えば、不均一系触媒の触媒有効量は、反応器容積1cm
3当たり少なくとも0.01mgの触媒、あるいは反応器容積1cm
3当たり少なくとも0.5mgの触媒、あるいは反応器容積1cm
3当たり1〜10,000mgの触媒である。あるいは、触媒有効量は、反応器中の全試薬の重量を基準にして、0.01〜50モル%、あるいは0.1〜15モル%、あるいは0.1〜5モル%である。当業者であれば、不均一系、均一系又は均一系及び不均一系の組み合わせのいずれの触媒が使用されるか、バッチ又は連続プロセスのいずれが使用されるか、またいずれの種類の反応器が使用されるかに応じて、どのように触媒の正確な量を決定するか理解しているであろう。例えば、カラム中での連続反応では、反応器を不均一系触媒で充填し、触媒の空隙に反応物質を通過させることが可能である。
【0041】
バッチプロセスが使用される場合、反応に求められる添加順序はない。連続プロセスでは、ヒドリドハロシランと有機化合物とを、不均一系触媒の存在下で、一緒に接触させる必要がある。例えば、有機化合物及びヒドリドハロシランを混合し、連続反応で一緒に不均一系触媒に流通させる。均一系触媒が使用される場合、この反応は、既知の添加順序に従って行われる。
【0042】
有機化合物のヒドリドハロシランに対するモル比は、0.5〜10、あるいは0.5〜4、あるいは1〜4である。
【0043】
不均一系触媒は、有機化合物とヒドリドハロシランの反応の前に、酸で処理して、水分を除去し、表面のヒドロキシル基を減らすことができる。酸は、表面上のヒドロキシルを低減し、水分を除去する任意の酸であってよい。一実施形態において、触媒は、プロセス中の反応が実施される前に、酸で処理される。
【0044】
不均一系触媒を処理するために使用することができる酸の例としては、ハロシラン、ハロシランの混合物、塩化水素、並びに塩化水素及びハロシランの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、不均一系触媒は、HClで処理される。塩化水素及びハロシランは、市販されている。クロロシラン及びクロロシランの混合物は、作製してもよいし、商業的に購入してもよい。ハロシラン及びハロシランの混合物を作製する方法は、当該技術分野において既知である。本明細書で使用されるハロシランの定義は、ハロシランのみ、アルキルハロシランのみ、又はハロシラン及びアルキルハロシランの混合物を含むことが意図される。
【0045】
不均一系触媒は、HCl又はハロシランでの触媒の処理に関して当該技術分野において知られている手段によって酸で処理することができる。例えば、不均一系触媒は、塩化水素、ハロシラン、ハロシランの混合物又はHCl及びハロシランの混合物を、60℃〜300℃、あるいは150℃〜75℃で、不均一系触媒に流通させることによって処理することができる。あるいは、不均一系触媒は、有機化合物を流通させる前に、100℃〜300℃、あるいは150℃〜275℃の温度で、ヒドリドハロシラン混合物を連続プロセスで流通開始することによって、有機化合物と反応させるための上記ヒドリドハロシラン混合物で処理される。
【0046】
本発明に従って作製されたオルガノハロシランは、反応後、粗反応生成物から回収することができる。本明細書で使用するとき、「粗反応生成物」は、有機化合物とヒドリドハロシラン混合物との反応の生成物であって、作製されたオルガノハロシランを回収するための任意のステップが行われる前の生成物を意味する。オルガノハロシランを回収する方法の例としては、濾過及び蒸留が挙げられるが、これらに限定されない。当業者であれば、本発明に従って作製されたオルガノハロシランをどのように濾過し、蒸留するか理解するであろう。
【0047】
本発明の方法は、オルガノハロシランを含む粗反応生成物を作製する。本発明に従って作製されたオルガノハロシランは、式R’
eR
fSiH
gX
4−e−f−gを有し、式中、R及びXは、ヒドリドハロシランについて上に定義されたとおりであり、各R’は、独立して、C
1−C
14ヒドロカルビルであり、下付き文字eは、1又は2であり、下付き文字fは、0、1又は2であり、下付き文字gは、0、1又は2であり、下付き文字の合計e+f+gは、1、2又は3である。
【0048】
R’で表されるヒドロカルビル基は、典型的には、1〜14個の炭素原子、あるいは1〜10個の炭素原子、あるいは1〜6個の炭素原子、あるいは6個の炭素原子を有する。ヒドロカルビル基の例は、有機化合物から水素原子を除去することによって形成されるものである。少なくとも3個の炭素原子を含有する非環式ヒドロカルビル基は、分枝鎖又は非分枝鎖構造を有し得る。ヒドロカルビル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル及びテトラデシルなどのアルキル;シクロペンチル、シクロヘキシル及びメチルシクロヘキシルなどのシクロアルキル;フェニル及びナフチルなどのアリール;トリル及びキシリルなどのアルカリル;ベンジル及びフェニルエチルなどのアラルキル;スチリル及びシンナミルなどのアラルケニルが挙げられるが、これらに限定されない。ヒドロカルビル基は、ハロ基で置換されてもよい。Rで表される置換ヒドロカルビル基の例としては、Rについて上記に定義されたものであって、ヒドロカルビル基の水素原子が塩素、臭素又はヨウ素などのハロゲンで置換されたものが挙げられる。
【0049】
本発明に従って作製されるオルガノハロシランの例としては、トリクロロ(メチル)シラン、トリクロロ(エチル)シラン、トリクロロ(プロピル)シラン、トリクロロ(ブチル)シラン、トリクロロ(ペンチル)シラン、トリクロロ(オクチル)シラン、トリクロロ(テトラドデシル)シラン、トリクロロ(クロロメチル)シラン、トリクロロ−(2−クロロエチル)シラン、トリクロロ−(3−クロロプロピル)シラン、トリクロロ−(4−クロロブチル)シラン、トリクロロ(シクロヘキシル)シラン、トリクロロ−(3−クロロシクロヘキシル)シラン、トリクロロ(ビニル)シラン、アリルトリクロロシラン、3−ブテントリクロロシラン、トリクロロ(4−ペンテン)シラン、トリクロロ(7−オクテン)シラン、トリクロロ(13−テトラドデセン)シラン、トリクロロ−(2−クロロエテン)シラン、トリクロロ−(3−クロロプロペン)シラン、トリクロロ−(4−クロロブタ−3−エン)シラン、トリクロロ(1−シクロヘキセン)シラン、トリクロロ−(3−メチルシクロヘキサ−1−エン)シラン、トリクロロ−(3−クロロシクロヘキサ−1−エン)シラン、トリクロロ(フェニル)シラン、トリクロロ(ナフチル)シラン、トリクロロ−(3−クロロフェニル)シラン、トリクロロ−(4−クロロナフチル)シラン、トリクロロ(トリル)シラン、キシリルトリクロロシラン、ジクロロ(ジメチル)シラン、ジクロロ(エチル)メチルシラン、ジクロロ(メチル)プロピルシラン、ジクロロ(ブチル)メチルシラン、ジクロロ(メチル)ペンチルシラン、ジクロロ(メチル)オクチルシラン、ジクロロ(テトラドデシル)メチルシラン、ジクロロクロロメチル(メチル)シラン、2−ジクロロ(クロロエチル)メチルシラン、ジクロロ(3−クロロプロピル)メチルシラン、4−ジクロロ(クロロブチル)メチルシラン、ジクロロ(シクロヘキシル)メチルシラン、ジクロロ(3−クロロシクロヘキシル)メチルシラン、ジクロロ(ビニル)メチルシラン、アリル(ジクロロ)メチルシラン、3−ブテン(ジクロロ)メチルシラン、ジクロロ(メチル)−4−ペンテンシラン、ジクロロ(メチル)−7−オクテンシラン、ジクロロ(13−テトラドデセン)メチルシラン、ジクロロ−(2−クロロエテン)メチルシラン、ジクロロ−(3−クロロプロペン)メチルシラン、ジクロロ−(4−クロロブタ−3−エン)メチルシラン、ジクロロ(1−シクロヘキセン)メチルシラン、ジクロロ−(3−メチルシクロヘキサ−1−エン)メチルシラン、ジクロロ−(3−クロロシクロヘキサ−1−エン)メチルシラン、ジクロロ(フェニル)メチルシラン、ジクロロ(ナフチル)メチルシラン、ジクロロ(キシリル)メチルシランジクロロ(m−クロロフェニル)メチルシラン、ジクロロ(4−クロロナフチル)メチルシラン、ジクロロ(クロロトリル)メチルシラン、ジクロロ(クロロキシリル)メチルシラン、ジエチルジクロロシラン、ジプロピルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、ジペンチルジクロロシラン、ジクロロメチルジクロロシラン、ビス−(2−クロロエチル)ジクロロシラン、ビス−(3−クロロプロピル)ジクロロシラン、ジヘキシルジクロロシラン、ジシクロヘキシルジクロロシラン、ビス−(3−クロロシクロヘキシル)ジクロロシラン、ジクロロ(ジビニル)シラン、ジアリル(ジクロロ)シラン、ビス−3−ブテンジクロロシラン、
ジフェニルジクロロシラン、ジナフチルジクロロシラン、ビス−(3−クロロフェニル)ジクロロシラン、ビス−(4−クロロナフチル)ジクロロシラン、クロロ(トリメチル)シラン、クロロ(トリエチル)シラン、クロロ(トリプロピル)シラン、クロロ(トリブチル)シラン、クロロ(トリペンチル)シラン、クロロ(トリヘキシル)シラン、クロロ(トリヘプチル)シラン、クロロ(トリオクチル)シラン、クロロ(トリノニル)シラン、クロロ(トリドデシル)シラン、クロロ(トリテトラドデシル)シラン、トリス(クロロメチル)クロロシラン、トリス(2−クロロエチル)クロロシラン、トリス(3−クロロプロピル)クロロシラン、トリス(4−クロロブチル)クロロシラン、(トリシクロヘキシル)クロロシラン、トリス(3−メチルシクロヘキシル)クロロシラン、トリス(3−クロロシクロヘキシル)クロロシラン、クロロ(トリフェニル)シラン、トリス(3−クロロフェニル)クロロシラン、クロロ(トリナフチル)シラン、クロロ(トリ)シラン、クロロ(トリ)シラン、クロロ(トリ)シラン、クロロ(トリ)シラン、クロロ(ジエチル)メチルシラン、クロロ(メチル)ジプロピルシラン、クロロ(ジブチル)メチルシラン、クロロ(メチル)ジペンチルシラン、クロロ(メチル)ジオクチルシラン、クロロ(ジテトラドデシル)メチルシラン、クロロ(ビス−クロロメチル)メチルシラン、クロロ(ビス−2−クロロエチル)メチルシラン、クロロ(ビス−3−クロロプロピル)メチルシラン、クロロ(ビス−4−クロロブチル)メチルシラン、クロロ(シクロヘキシル)メチルシラン、クロロ(ビス−3−クロロシクロヘキシル)メチルシラン、クロロ(ジフェニル)メチルシラン、クロロ(ジナフチル)メチルシラン、クロロ(ジキシリル)メチルシランクロロ(ジ−m−クロロフェニル)メチルシラン、クロロ(ビス−4−クロロナフチル)メチルシラン、クロロ(ジクロロトリル)メチルシラン、クロロ(ジクロロキシリル)メチルシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
一実施形態において、触媒は、不均一系触媒であり、粗反応生成物は、50ppm未満のBCl
3又はAlCl
3を含むか、あるいは、粗反応生成物は、検出可能な量のBCl
3又はAlCl
3を含まないか、あるいは、本方法は、触媒が不均一系触媒である場合、本方法ではBCl
3又はAlCl
3は添加されないか、あるいは、本方法では50ppm未満のBCl
3又はAlCl
3を反応させるという条件を含む。不均一系触媒が使用される実施形態の本発明の方法では、BCl
3及びAlCl
3は避けるのがよく、これは、BCl
3及びAlCl
3が、粗反応生成物から除去するのがより難しく、後続の処理で副生成物の形成を触媒し得るためである。この問題は、後続の処理工程の前の触媒の分離が容易であるという不均一系触媒を使用する利点を減少させるものである。
【0051】
本発明の方法は、既知の可溶性触媒を使用する従来のプロセス及びヒドリドハロシランを1種のみしか反応させないプロセスよりも、良好な収率、良好な選択性及び低温でオルガノハロシランを作製することができる。更に、本方法の不均一系触媒は、粗生成物から容易に分離することができるため、蒸留による生成物の回収などの更なる処理中における望ましくない反応の触媒作用を低減し、生成物の純度を高めることができる。
【0052】
本方法のオルガノシラン生成物は、多くの商業的用途を有するアリールシロキサンを含む多数の異なる市販品を製造するための前駆体として使用される。
【実施例】
【0053】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって更に説明され、本発明の実施形態は、この非限定的な実施例の特徴及び限定の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0054】
下記の実施例は、本発明の方法をよりよく説明するために示されるものであり、添付の「特許請求の範囲」内において示される発明を制限するものと考えられるべきではない。別途の記載がない限り、実施例中に記載されるすべての部及び比率(%)は重量に基づくものである。以下の表に、実施例で使用される略語を記載する。
【0055】
[表]
【0056】
アルミナ/ボリア触媒の作製法例
1.91gのH
3BO
3(乳鉢及び乳棒で予め粉砕したもの)を6.83gのグリセロールとともに磁製皿に加え、均一なペーストが得られるまでスパチュラで攪拌した(5〜10分)。次いで、65.63gのAl(NO
3)
3・9H
2O(乳鉢及び乳棒で予め粉砕したもの)を加え、混合物を数分間攪拌した。4.08gの脱イオン水を加え、均一なペーストが得られるまで攪拌した。次いで、皿をホットプレート上で加熱し、90℃まで加熱すると、その時点で黄色の蒸気(硝酸塩)が観察された。加熱を2時間継続して、水及び硝酸塩を除去した。次いで、150℃の空気循環オーブン中に皿を2時間置いた。オーブンから取り出すと、材料は、ふっくらした黄色の固体であった。次いで、400℃の空気循環オーブン中に皿を一晩置いた。得られた触媒は、15%(w/w)ボリア及び85%(w/w)アルミナであった。実施例に記載のボリアとアルミナの比率をもたらすように試薬の量を変更した点を除き、同じ方法を使用して、アルミナ及びボリアを含む他の触媒を調製した。
【0057】
GCによる分析
TCD検出器並びに内径0.25mm及び膜厚0.50μmを有する30mのDB−210カラムを備えたHP5890及びHP6890ガスクロマトグラフ(GC製)を使用して分析を実施した。
【0058】
実施例にて使用する前の触媒及び反応物質の調製:
反応混合物はすべてN
2パージしたグローブバッグ中で調製した。触媒サンプルは、流動N
2中、300〜400℃で一晩乾燥させることによって調製した。触媒サンプルを、温かい状態のままN
2パージ下でバイアル瓶に移し、密封した。次いで、触媒を入れたバイアル瓶を、N
2パージしたグローブバッグ中のデシケータに移した。触媒を移すためのバイアル瓶は、使用前に、150℃の空気循環オーブン中で一晩乾燥し、使用直前にオーブンから取り出した。
【0059】
実施例に使用した実験手順
N
2パージしたグローブバッグ中で、一端を密封したガラス管中に触媒及び反応混合物を充填し、ゴム製セプタムを使用して一時的に密封した。管は、液体であれば、触媒及び反応物質の重量を基準にして1%(w/w)の触媒を含み、固体であれば、一定の目に見える量(触媒及び反応物質の重量を基準にして約1%(w/w))を含んだ。次いで、充填しゴム製セプタムで密封した管をグローブバッグから取り出し、ゴム栓の下の開放端をガラストーチで密封した。次いで、反応物質及び触媒を入れた密封ガラス管を金属加熱ブロック中で所定の温度及び時間で加熱して反応を実施した。管を加熱ブロックから取り出したら、最初に室温で、次いでドライアイス/アセトン浴中で冷却した。冷却中に管を割り、反応混合物が完全に解けるまで、ゴム製セプタムで一時的に密封した。解凍したら、ガラス管反応器から反応生成物を分析用バイアル瓶に移した。
【0060】
実施例1:
ベンゼン及びメチルジクロロシランをモル比2:1で含有する混合物を、CS331−4アルミナ触媒をそれぞれ含む一連のガラス管中に入れ、管を密封した。管を、275℃まで、推定内圧10MPa(1500psi)で、以下の表1に記載の時間、加熱した。指定時間で管を冷却し、内容物をGC−TCDによって分析した。結果をGC−TCD分析で定義された曲線下面積パーセントとして示す。
【0061】
【表1】
【0062】
実施例2:
ベンゼン及びメチルジクロロシランをモル比2:1で含有する混合物を、CS331−5アルミナ触媒をそれぞれ含む一連のガラス管中に入れ、管を密封した。管を、175℃まで、推定内圧10MPa(1500psi)で、以下の表2に記載の時間、加熱した。指定時間で管を冷却し、内容物をGC−TCDによって分析した。結果をGC−TCD分析で定義された曲線下面積パーセントとして示す。
【0063】
【表2】
【0064】
実施例3:
ベンゼン及びメチルジクロロシランをモル比2:1で含有する混合物を、高多孔性酸化ジルコニウム(XZO1501/23)触媒をそれぞれ含む一連のガラス管中に入れ、管を密封した。管を、250℃まで、推定内圧10MPa(1500psi)で、以下の表3に記載の時間、加熱した。指定時間で管を冷却し、内容物をGC−TCDによって分析した。結果をGC−TCD分析で定義された曲線下面積パーセントとして示す。
【0065】
【表3】
【0066】
実施例4
ガラス管中でのベンゼンとMeHSiCl
2の反応に、触媒としてγ−アルミナのサンプルを使用した。モル比2:1のベンゼン:MeHSiCl
2を使用して、反応を250℃で16時間実施した。反応に使用した触媒は、反応前の触媒処理に関して異なった。2つの触媒サンプルは酸処理なしで乾燥させ、2つのサンプルは酸処理を加えて乾燥させた。酸処理なしで乾燥させた金属酸化物触媒サンプルは、流動He中、300〜325℃で一晩(〜16時間)乾燥させた。酸処理を加えて乾燥させた金属酸化物触媒は、最初にHeと無水HClの50/50流動混合物中、300〜325℃で4〜5時間乾燥させ、次いで、流動He中、300〜325℃で一晩(〜16時間)乾燥させた。2つの処理法による反応結果を以下の表4に示す。すべての反応パラメーターは、反応における触媒として使用する前に触媒を処理した以外、同じであった。結果は、ベンゼンとMeHSiCl
2の反応における触媒として使用する前に、乾燥と組み合わせて触媒を酸処理することにより、乾燥のみと比較して、PhMeSiCl
2の収率が改善することを示している。
【0067】
【表4】
【0068】
比較例1:
ベンゼン及びメチルジクロロシランをモル比2:1で含有する混合物を、高多孔性酸化ジルコニウム(XZO1501/23)触媒をそれぞれ含む一連のガラス管中に入れ、管を密封した。管を、250℃まで、推定内圧10MPa(1500psi)で、表CE1に記載の時間、加熱した。指定時間で管を冷却し、内容物をGC−TCDによって分析した。結果をGC−TCD分析で定義された曲線下面積パーセントとして示す。
【0069】
【表CE1】
【0070】
比較例2:
ベンゼン及びメチルジクロロシランをモル比2:1で含有する混合物を、CS331−4アルミナ触媒をそれぞれ含む一連のガラス管中に入れ、管を密封した。管を、250℃まで、推定内圧10MPa(1500psi)で、表CE2に記載の時間、加熱した。指定時間で管を冷却し、内容物をGC−TCDによって分析した。結果をGC−TCD分析で定義された曲線下面積パーセントとして示す。
【0071】
【表CE2】
【0072】
ベンゼン及びメチルジクロロシランをモル比2:1で含有する混合物を、CS331−5アルミナ触媒をそれぞれ含む一連のガラス管中に入れ、管を密封した。管を、250℃まで、推定内圧10MPa(1500psi)で、表CE3に記載の時間、加熱した。指定時間で管を冷却し、内容物をGC−TCDによって分析した。結果をGC−TCD分析で定義された曲線下面積パーセントとして示す。
【0073】
【表CE3】