【実施例1】
【0017】
(パチンコ機10について)
実施例1に係るパチンコ機10は、
図1に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤20を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組み付けられて、該遊技盤20の裏側に、複数種類の図柄を変動表示可能な表示手段としての表示装置(演出手段)17が着脱可能に配設されている。また、前記中枠12の前面側には、前記遊技盤20を透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透視保護板13bで前後に開口する窓部13aを覆うよう構成された前枠13が開閉可能に組み付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組み付けられる。なお、実施例1では、前記前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組み付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。なお、実施例1では、前記表示装置17としては、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の表示装置やドットマトリックス式の表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の表示装置を採用し得る。また、実施例1では、後述する各種のエラーが発生した際に、該エラーが発生したことを示すエラー報知を実行するエラー報知手段として表示装置17が機能するよう構成される。
【0018】
図1に示す如く、前記前枠13には、窓部13aを囲繞するようランプ装置(発光手段)18が配設されると共に、前枠13の上部位置に、音声や効果音を出力可能なスピーカ(音出力手段)19が配設されている。そして、ランプ装置18に設けられたLED等の発光体(図示せず)を点灯・点滅したり、前記スピーカ19から適宜の音声を出力することで、前記表示装置17で行われる各種の表示演出(図柄変動演出)に合わせて光による演出や音による演出を行い得るよう構成されている。すなわち、前記ランプ装置18やスピーカ19は、表示装置17と同様に演出手段としての機能を有している。また、ランプ装置18やスピーカ19は、エラーが発生した際にエラー報知を実行し得るよう構成されており、該ランプ装置18やスピーカ19は、表示装置17と同様にエラー報知手段としての機能を有している。なお、前記上球受け皿14は、前記前枠13と別体に形成して中枠12に対して開閉可能に組み付けるようにしてもよい。
【0019】
また、前記前枠13の右下方位置には、前記中枠12に配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドル16が設けられている。前記操作ハンドル16は、左回転方向に付勢された操作レバー16aを備えており、該操作レバー16aを右回転するよう遊技者が回動操作することで前記打球発射装置が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤20に向けて発射されるようになっている。ここで、前記操作レバー16aの回動量に応じて前記打球発射装置によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作レバー16aを操作して回動量を調節することで、前記遊技盤20に形成された第1球流下経路75a(後述)をパチンコ球が流下する所謂「左打ち」と、該遊技盤20に形成された第2球流下経路75b(後述)をパチンコ球が流下する所謂「右打ち(ゴム打ち)」とを打ち分け得るようになっている。
【0020】
(遊技盤20について)
実施例1の前記遊技盤20は、アクリルやポリカーボネート等の光透過性の合成樹脂材から所定板厚の略矩形状に形成された平板状の透明板(遊技領域形成部材)であって、該遊技盤20の裏側に前記表示装置17が着脱自在に組み付けられている。遊技盤20の前側には、
図2に示す如く、前面(盤面)に配設された略円形状の案内レール21によりパチンコ球が流下可能(移動可能)な遊技領域75が画成されて、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が当該遊技領域75内に打ち出されることで遊技が行われるようになっている。また、遊技盤20には、該遊技盤20との間に収容空間を画成する設置部材(図示せず)が配設されており、収容空間には、発光により演出を行う発光演出装置や、可動体の動作により演出を行う可動演出装置等の各種演出手段が設置されている。なお、前記表示装置17は、設置部材の裏側に取り付けられて、後述するように設置部材に設けた開口部(可視部)および枠状装飾体25(後述)の開口部25aを介して遊技盤20の前側から視認可能に臨むよう構成される。なお、遊技盤20は、ベニヤ材や合成樹脂材等の非光透過性の板部材の表面に装飾シール等を貼付したものであってもよい。
【0021】
前記遊技盤20には、前後に貫通する装着口が前記遊技領域75内に複数開設されて、各装着口に対して各種遊技構成部品が前側から取り付けられると共に、遊技領域75の最下部位置には、該遊技領域75に開口するアウト口22が開設されており、遊技領域75に打ち出されてアウト口22に入球したパチンコ球が機外に排出されるよう構成される。また、前記遊技盤20には、前記遊技領域75内に多数の遊技釘23が設けられると共に、後述する枠状装飾体25の左側方に、遊技領域75(第1球流下経路75a)を流下するパチンコ球の接触に伴って回転する回転案内部材24が回転自在に支持されており、遊技釘23や回転案内部材24との接触によりパチンコ球の流下方向が不規則に変化するよう構成されている。前記回転案内部材24は、所謂「風車」とも称される部材であって、該回転案内部材24の回転に伴ってパチンコ球を弾くように左右方向へ放出する部材である。なお、前記装着口の形成数は、遊技盤20に対して取り付けられる各種遊技構成部品の個数や配設位置等により必要に応じて適宜決定される。
【0022】
実施例1の前記遊技盤20には、
図2に示す如く、前記案内レール21で囲まれた遊技領域75の略中央の大部分が開口する装着口に、前後に開口する開口部25aが形成された枠状装飾体25が取り付けられ、該枠状装飾体25の開口部25aを介して表示装置17の表示部17aが遊技盤20の前面側に臨むよう構成されている。前記設置部材は、前記遊技盤20の外郭形状より僅かに小さな形状に形成された略矩形状の背面板と、該背面板の外周縁部から前方に突出する画壁部とから前方に開口した箱状に形成されて、該画壁部の開口前端部を遊技盤20の裏面に当接させた状態で、当該遊技盤20と設置部材とがネジにより固定される。また、前記設置部材の背面板には、前記枠状装飾体25の開口部25aと前後に整列する位置に、略矩形状の開口部が前後に開口するよう開設されると共に、該背面板の裏側に前記表示装置17が着脱自在に取り付けられて、該開口部を介して表示装置17の表示部17aが遊技盤20の前側に臨むようになっている。
【0023】
(枠状装飾体25について)
前記遊技盤20に配設される前記枠状装飾体25は、
図2に示す如く、前記遊技盤20に開設された前記装着口の内側に沿って延在する環状に形成された枠状基部(図示せず)と、該枠状基部に設けられて前記遊技盤20の前面より前方に突出し、前記遊技領域75と表示装置17の表示部17aを区切って該遊技領域75の内周を画成する庇状部25bと、該庇状部25bの後縁から外方に延出する薄板状の台板部25cとを備える。そして、前記枠状基部を装着口に挿入すると共に台板部25cを遊技盤20の前面に当接した状態で、該台板部25cをネジ等の固定手段で遊技盤20に固定することで、枠状装飾体25が遊技盤20に取り付けられる。ここで、前記庇状部25bは、
図2に示す如く、前記枠状装飾体25(枠状基部)の左側縁の略中間位置から上縁および右下縁に亘って連続して延在するように設けられており、開口部25a側、すなわち表示装置17における表示部17aの前面側を横切ってパチンコ球が流下(落下)するのを規制している。
【0024】
前記枠状装飾体25には、
図2に示す如く、前記開口部25aの下側に、ステージ25dが設けられると共に、開口部25aの左側に、遊技領域75(第1球流下経路75a)に開口して該遊技領域75を流下するパチンコ球を取り込んでステージ25dに案内する球導入部25eが設けられ、該球導入部25eからステージ25dに通出されたパチンコ球は、ステージ25d上を左右に転動した後に、後述する第1始動入賞部30が配設されている遊技領域75に排出される。またステージ25dの後端縁には、左右方向の全長に亘って上側に向けて所定高さで立上がる透明壁25fが設けられ、ステージ25d上を転動するパチンコ球が表示装置17の表示部17a側に移動するのを該透明壁25fで防止している。
【0025】
前記遊技盤20に画成された遊技領域75は、前記枠状装飾体25における庇状部25bの左側方をパチンコ球が流下する第1球流下経路75aと、該枠状装飾体25における庇状部25bの上方から右側方をパチンコ球が流下する第2球流下経路75bとに区画されている。これにより、操作ハンドル16の操作レバー16aを回動操作して打球力を調節することで、遊技領域75に打ち出されたパチンコ球が第1球流下経路75aを流下する遊技形態(左打ち)および当該パチンコ球が第2球流下経路75bを流下する遊技形態(右打ち)の何れかを遊技者が任意に選択し得るようになっている。そして、実施例1に係るパチンコ機10では、前記第1球流下経路75aをパチンコ球が流下する場合(左打ちした場合)に、パチンコ球が第2球流下経路75bを流下する場合に較べて後述する第1始動入賞部30にパチンコ球が入賞する可能性が高くなるよう構成されると共に、該第2球流下経路75bをパチンコ球が流下する場合(右打ちの場合)に、パチンコ球が第1球流下経路75aを流下する場合に較べて後述するゲート部48、第2始動入賞部31および特別入賞部40へパチンコ球が入賞する可能性が高くなるよう構成されている。
【0026】
(入球部について)
図2に示すように、前記遊技盤20には、遊技領域75を流下するパチンコ球が入球可能な複数の入球部(具体的には、後述する第1始動入賞部30、第2始動入賞部31、ゲート部48、特別入賞部40、普通入賞部45)が設けられており、パチンコ球が入球した入球部に応じた制御が実行されることで所定の遊技を行い得るようになっている。具体的に、実施例1のパチンコ機10では、前記入球部としての第1始動入賞部30が前記第1球流下経路75aを流下するパチンコ球が入球可能な位置に設けられると共に、前記入球部としての第2始動入賞部31、特別入賞部40およびゲート部48が、前記第2球流下経路75bを流下するパチンコ球が入球可能な位置に設けられている。なお、実施例1の遊技盤20には、前記第1球流下経路75aに位置するよう入球部としての普通入賞部45が配置されており、第1球流下経路75aを流下させたパチンコ球が普通入賞部45に入賞し得るようになっている。
【0027】
(始動入賞部30,31について)
前記遊技盤20には、
図2に示す如く、前記枠状装飾体25の下方位置に、遊技領域75に臨んで該遊技領域75(第1球流下経路75aおよび第2球流下経路75b)を流下するパチンコ球が入賞可能な第1始動入賞部30が配設されると共に、該第1始動入賞部30の右側方において遊技領域75(第2球流下経路75b)に臨んで特別入賞部40が配設されている。また、枠状装飾体25の右側方に、遊技領域75(第2球流下経路75b)に臨んで該遊技領域75(第2球流下経路75b)を流下するパチンコ球が通過可能なゲート部48が配設されている。更に、ゲート部48の下側に、第2始動入賞部31が配設されている。第1および第2始動入賞部30,31は、遊技領域75を流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞口30a,31aが設けられる。ここで、第1始動入賞部30は、第1始動入賞口30aが遊技領域75に常時開放する常時開放型の入賞部とされ、第2始動入賞部31は、所定の開放条件および閉鎖条件に従って第2始動入賞口31aが始動用開閉部材(開閉手段)31bにより開閉される開閉型の入賞部とされている。なお、第2始動入賞部31は、始動用開閉部材31bを開閉作動する始動入賞ソレノイド32(
図3参照)を備え、該始動入賞ソレノイド32がパチンコ機10の裏側に配置されたメイン制御基板60(メイン制御CPU60a)によって駆動制御されるよう構成される。
【0028】
前記第1および第2始動入賞部30,31は、該第1および第2始動入賞口30a,31aに入賞したパチンコ球を検出する入賞検出手段(検出手段)としての始動入賞検出センサ34,35(
図3参照)が設けられている。前記始動入賞検出センサ34,35は、前記メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に配線接続されている。そして、始動入賞検出センサ34,35からの検出信号がメイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に入力されると、該メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)は、始動入賞検出センサ34,35からの検出信号の入力を賞球の払出条件として払出制御基板90に制御信号を出力して球払出装置91に予め設定された数の賞球を払い出させるようになっている。また、第1および第2始動入賞検出センサ34,35によるパチンコ球の検出(すなわち第1および第2始動入賞口30a,31aへのパチンコ球の入賞)を遊技の開始条件(遊技開始条件,始動条件)として、該開始条件(遊技開始条件,始動条件)の成立を契機として前記メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)が各種入賞情報(大当り判定用乱数等の遊技情報)を取得して、この取得した入賞情報に基づいて特図当り抽選(当り判定)が行われるよう構成されている。そして、特図当り抽選の結果に基づいて前記表示装置17において図柄変動演出を実行するように、該表示装置17を後述するサブ制御基板65,70が制御するよう構成される。すなわち、実施例1のパチンコ機10では、始動入賞検出センサ34,35がパチンコ球を検出したことを特定条件の成立として、該特定条件の成立を契機としてメイン制御基板60(メイン制御CPU60a)が当り判定を行うよう構成されている。
【0029】
また、前記表示装置17での図柄変動演出の結果、該表示装置17に所定の当り表示(予め定められた特定表示)となる組み合わせ(例えば同一飾図の3つ揃い等)で図柄(飾図)が確定停止表示されることで、遊技者に有利な当り遊技(以後、大当り遊技という)が付与され、大当り遊技の発生に伴って特別入賞部40の特別入賞口40aを所定の開放条件で開放する大当り遊技が行われて、遊技者が賞球を獲得し得る機会が与えられるよう構成されている。すなわち、実施例1では、遊技者が賞球を獲得し得る機会が与えられる大当り遊技が、遊技者に有利な有利状態となっている。
【0030】
(特別入賞部40について)
前記特別入賞部(入賞部)40は、遊技領域75(第2球流下経路75b)に開口する特別入賞口(入賞口)40aを開閉自在に閉成する特別用開閉部材(開閉手段)40bを備えており、駆動手段としての特別入賞ソレノイド42(
図3参照)の駆動に伴って特別用開閉部材40bが閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置に変位するよう構成されている。また、前記特別入賞部40には、前記特別入賞口40aに入賞したパチンコ球を検出する特別検出手段(検出手段)としての特別入賞検出センサ44(
図3参照)が設けられている。特別入賞検出センサ44は、前記メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に配線接続されており、特別入賞検出センサ44がパチンコ球を検出(すなわち特別入賞口40aへのパチンコ球の入賞による検出条件の成立)すると、検出信号をメイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に出力し、該メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)は、特別入賞検出センサ44からの検出信号の入力を賞球の払出条件として前記払出制御基板90に制御信号を出力して前記球払出装置91に予め設定された数の賞球を払い出させるようになっている。ここで、前記特別入賞ソレノイド42は、前記第1および第2始動入賞口30a,31aへのパチンコ球の入賞を契機として特別入賞口40aを開閉する大当り遊技が付与される場合(特定条件判定手段での判定結果が肯定の場合)に、前記表示装置17による図柄変動演出の終了後にメイン制御基板60(メイン制御CPU60a)によって駆動制御される。実施例1のパチンコ機10では、特別用開閉部材40bの開閉態様が異なる複数種類の大当り遊技が設定されており、メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)は、大当り遊技の種類に応じた開閉条件に従って特別入賞ソレノイド42を駆動制御するよう構成される。実施例1のパチンコ機10では、特別入賞ソレノイド42が駆動制御されて特別入賞口40aが開放した状態(特別入賞ソレノイド42の作動中)が有効状態として設定されている。
【0031】
(ゲート部48について)
前記ゲート部48には、該ゲート部48をパチンコ球が通過したことを検出する検出手段としてのゲートセンサ49(
図3参照)が配設される。ゲートセンサ49は、前記メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に配線接続されており、該ゲートセンサ49からメイン制御基板60(メイン制御CPU60a)への検出信号の入力、すなわちゲートセンサ49のパチンコ球の検出(ゲート部48のパチンコ球の通過による検出条件の成立)に伴って各種通過検出情報(乱数等の遊技情報)が取得され、この取得した遊技情報に基づいて普図当り判定(普図当り抽選)が行われるよう構成されている。そして、この普図当り抽選の結果、第2始動入賞口31aを開閉する普図当り遊技が付与される場合に、前記始動入賞ソレノイド32が駆動制御されて始動用開閉部材31bが開閉動作するようになっている。
【0032】
(普通入賞部45について)
図2に示すように、前記普通入賞部45は、前記遊技領域75の左下部位置(第1球流下経路75a)において、パチンコ球が入賞可能な普通入賞口45aが上方に常時開口するよう前記遊技盤20に設けられており、第1球流下経路75aを流下するパチンコ球が一定の確率で普通入賞口45aに入賞し得るようになっている。普通入賞部45は、普通入賞口45aに入賞したパチンコ球を検出する入賞検出手段としての普通入賞検出センサ47(
図3参照)が設けられている。前記普通入賞検出センサ47は、前記メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に配線接続されている。そして、普通入賞検出センサ47からの検出信号がメイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に入力されることを賞球の払出条件として、該メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)が賞球の払い出しを決定し、前記払出制御基板90に制御信号を出力して前記球払出装置91に予め設定された数の賞球を払い出させるようになっている。
【0033】
実施例1のパチンコ機10は、複数種類のエラーの夫々を個別に検出可能な複数のエラー検出手段(エラー検出センサ)を備えている。エラー検出手段として、振動を検出する振動検出センサ200、電波を検出する電波検出センサ201、磁気を検出する磁気検出センサ202、パチンコ球が貯留される貯留部の満杯状態を検出する満杯検出センサ203等を、実施例1のパチンコ機10は備えている。なお、以下に、振動検出センサ200、磁気検出センサ202、満杯検出センサ203について説明する。また、エラー検出手段としては、その他の種類のエラーを検出可能な各種のセンサを備えることができる。
【0034】
(振動検出センサ200)
実施例1のパチンコ機10は、遊技盤20の振動を検出可能な振動検出センサ(振動検出手段)200を備えている(
図3参照)。この振動検出センサ200は、例えば所定の周波数の衝撃を検出すると2つの状態系のバランスが変化するマルチバイブレータ回路を備えており、遊技者が当該パチンコ機10の前枠13や上球受け皿14等を故意に叩いた場合に、これによる振動を検出してメイン制御基板60(メイン制御CPU60a)へ検出信号を出力するようになっている。これにより、パチンコ機10の前枠13や上球受け皿14等を故意に叩いて遊技盤20に衝撃を与えることで、各種入賞口30a,31a,40a,45aに入賞したパチンコ球が対応する検出センサ34,35,44,47で検出される際にチャタリング等を発生させて複数個のパチンコ球が入賞した(検出した)ものとする不正行為等を認識することが可能となっている。また、振動検出センサ200からの検出信号(振動検出信号)がメイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に入力されると、該メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)は振動検出状態を示す後述するエラー情報を演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力し得るよう構成されている。
【0035】
(電波検出センサ201)
実施例1のパチンコ機10は、電波出力機器から出力された電波を検出可能な電波検出センサ(電波検出手段)201を備えている(
図3参照)。この電波検出センサ201は、前記始動入賞検出センサ34,35が、遊技盤20の前側において電波出力機器から出力された電波を検出可能な場合に該電波を検出可能な姿勢、位置に配設されており、電波を検出した際にメイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に対して検出信号を出力する。従って、電波出力機器を使用した始動入賞検出センサ34,35に対する不正行為を、電波検出センサ201により認識することが可能となっている。また、電波検出センサ201からの検出信号(電波検出信号)がメイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に入力されると、該メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)は電波検出状態を示す後述するエラー情報を演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力し得るよう構成されている。
【0036】
(磁気検出センサ202)
実施例1のパチンコ機10は、磁気発生機器から出力された磁気を検出可能な磁気検出センサ(磁気検出手段)202を備えている(
図3参照)。この磁気検出センサ202は、遊技盤20の前側において磁気発生機器から発生した磁気を、前述した各入賞検出センサ34,35,44,47が検出可能な場合に該磁気を検出可能な姿勢、位置に配設されており、磁気を検出した際にメイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に対して検出信号を出力する。従って、磁気発生機器を使用した各入賞検出センサ34,35,44,47に対する不正行為を、磁気検出センサ202により認識することが可能となっている。また、磁気検出センサ202からの検出信号(電波検出信号)がメイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に入力されると、該メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)は磁気検出状態を示す後述するエラー情報を演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力し得るよう構成されている。
【0037】
(満杯検出センサ203)
実施例1のパチンコ機10は、前記上下の球受け皿14,15に貯留されたパチンコ球が所定量に達したか否か(満杯)を検出する満杯検出センサ(満杯検出手段)203を備えている(
図3参照)。この満杯検出センサ203は、球払出装置91から払い出されたパチンコ球を上下の球受け皿14,15に案内する球通路に設けられており、上下の球受け皿14,15がパチンコ球で満杯となって球通路までパチンコ球が貯留されることで満杯検出センサ203が満杯状態を検出するよう構成される。満杯検出センサ203は、前記メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に配線接続されており、該満杯検出センサ203が満杯状態を検出した際にメイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に対して検出信号(満杯検出信号)を出力する。そして、満杯検出センサ203からの検出信号(満杯検出信号)がメイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に入力されると、該メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)は満杯状態を示す後述するエラー情報を演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力し得るよう構成されている。なお、実施例1では、満杯検出センサ203として機械式のスイッチが用いられており、該スイッチがON状態となったときに検出信号を出力して満杯状態を検出し、該スイッチがOFF状態となることで満杯状態を検出しなくなるよう構成されている。実施例1では、上下の球受け皿14,15および球通路が、パチンコ球を貯留する貯留部とされる。
【0038】
(特図表示部50A,50Bについて)
前記パチンコ機10には、前記第1始動入賞口30aおよび第2始動入賞口31aへの入賞を契機として行われる特図当り抽選(大当り判定)の結果を示す報知用の特別図柄(以下、特図という)を特定可能に表示する特図表示部(特別表示部)50A,50Bが設けられている(
図3参照)。特図表示部50A,50Bは、前記第1始動入賞口30aへの入賞(第1始動入賞検出センサ34による検出)を契機として特図の変動表示を開始する第1特図表示部50Aと、第2始動入賞口31aへの入賞(第2始動入賞検出センサ35による検出)を契機として特図の変動表示を開始する第2特図表示部50Bとからなる。そして、前記第1始動入賞口30aへのパチンコ球の入賞を契機として、第1特図表示部50Aの表示部に表示される特図が変動表示(以下特図変動表示という場合がある)が行われ、最終的に表示部に複数種類の特図の内の1つを確定的に表示するようになっている。また、第2始動入賞口31aへのパチンコ球の入賞を契機として、第2特図表示部50Bの表示部に表示される特図が変動表示(以下特図変動表示という場合がある)が行われ、最終的に表示部に複数種類の特図の内の1つを確定的に表示するようになっている。
【0039】
各特図表示部50A,50Bにおいて表示し得る特図としては、当りの当選を認識し得る当り表示(大当り図柄)としての複数種類の特図と、はずれを認識し得るはずれ表示(はずれ図柄)としての1種類の特図とが各特図表示部50A,50Bに対応して夫々設定されて、特図当り抽選の結果に応じて1つの特図が決定されて、特図変動表示の結果として、決定された特図が各特図表示部50A,50Bに確定停止表示される。そして、前記特図表示部50A,50Bの何れかに、大当り表示としての特図が表示されることで、当り表示に対応した大当り遊技が引き続いて遊技者に付与されるようになっている。なお、以下の説明では、第1特図表示部50Aで行われる特図変動表示を「第1特図変動表示」と称し、該第1特図変動表示の結果、第1特図表示部50Aに確定停止表示される特図を特
図1と称する場合がある。同様に、第2特図表示部50Bで行われる特図変動表示を「第2特図変動表示」と称し、該第2特図変動表示の結果、第2特図表示部50Bに確定停止表示される特図を特
図2と称する場合がある。
【0040】
(普図表示部55について)
前記パチンコ機10には、前記ゲートセンサ49のパチンコ球の検出(ゲート部48のパチンコ球の通過)を契機として行われる普図当り抽選(普図当り判定)の結果を示す報知用の普通図柄(以下、普図という)を特定可能に表示する普図表示部55が設けられている(
図3参照)。普図表示部55では、ゲートセンサ49のパチンコ球の検出(ゲート部48のパチンコ球の通過)を契機として、複数種類の普図を変動させて1つの普図を導出する普図変動表示が行われるようになっている。そして、普図表示部55の最終的な表示結果から普図当りまたははずれを認識できるようになっている。
【0041】
(表示装置17について)
前記表示装置17には、
図2に示すように、演出図柄としての前記飾図を変動表示可能な図柄列26a,26b,26cが複数列設定されており、前記第1始動入賞口30aまたは第2始動入賞口31aへの入賞(始動条件の成立)を契機として、各図柄列26a,26b,26cの飾図が変動開始されるようになっている。実施例1の表示装置17には、図柄変動演出の結果として1つの飾図を停止表示可能な複数の有効停止位置(図柄が確定停止表示される確定停止表示領域)27が夫々設定されており、図柄変動演出により、各図柄列26a,26b,26cの有効停止位置27を組み合わせた停止図柄有効ラインに確定停止表示される飾図の図柄組み合わせを導出するようになっている。すなわち、表示装置17では、始動条件の成立を契機として飾図(演出図柄)を変動表示した後に、所定の飾図(演出図柄)を有効停止位置27に確定停止するよう構成される。なお、実施例1の表示装置17には、3列の図柄列26a,26b,26cが左右横並び状に設定されると共に、各図柄列26a,26b,26c毎に飾図(演出図柄)の有効停止位置27が1箇所ずつ定められており、3列の飾図(演出図柄)からなる図柄変動演出が行われるようになっている。すなわち、実施例1の表示装置17には、1つの停止図柄有効ラインが設定されている。
【0042】
また、前記表示装置17の各図柄列26a,26b,26cにおける飾図の表示領域は、第1特図表示部50Aおよび第2特図表示部50Bに比較して大きな領域で構成されて、特図に比較して飾図が遥かに大きく表示されるようになっている。このため、遊技者は、表示装置17の停止図柄有効ラインに停止表示された図柄組み合わせから大当りまたははずれを認識できる。
【0043】
前記表示装置17には、図柄変動演出の開始と共に予め定めた変動方向(実施例1では上から下の縦方向)に沿って飾図が移動するよう変動表示されるようになっており、予め定められた停止順序で変動表示されている飾図が各図柄列26a,26b,26cの有効停止位置27に確定停止表示されるようになっている。飾図の「確定停止」とは、前記各図柄列26a,26b,26cにおいて有効停止位置27に飾図が所定の特図変動インターバル時間に亘って継続して停止表示された状態である。なお、実施例1では、各始動入賞検出センサ34,35の検出に基づく図柄変動演出(特図変動表示)の特図変動インターバル時間として600ms(ミリ秒)が設定されている。
【0044】
ここで、第1特図表示部50Aと表示装置17では、第1特図変動表示と該第1特図変動表示に関する図柄変動演出が開始され、特
図1と飾図とが確定停止表示される。同様に、第2特図表示部50Bと表示装置17では、第2特図変動表示と該第2特図変動表示に関する図柄変動演出が開始され、特
図2と飾図とが確定停止表示される。
【0045】
前記表示装置17は、画像を表示可能な複数のレイヤを積層表示することで、任意の画像を表示し得るよう構成されている。すなわち、表示する画像を複数層のレイヤに分けて積層表示し、背景等を表示する不透明なレイヤの前側のレイヤに遊技者に視認させたい画像を表示すると共に、遊技者に視認させたくない画像を不透明なレイヤの後側のレイヤに表示することで、遊技者に視認させたい画像のみを表示部17aに視認可能に表示することができる。なお、このようなレイヤを用いた画像処理においては、不透明なレイヤの後側のレイヤに表示される画像は、遊技者には視認不能な状態となっていることから、遊技者にとっては実行されていないことに等しい状態となる。
【0046】
(特定可変表示部54A,54Bについて)
前記パチンコ機10には、前記特図表示部50A,50Bでの特図変動表示に同期して識別情報を可変表示させる特定可変表示部54A,54Bが設けられている。特定可変表示部54A,54Bは、前記第1特図表示部50Aでの第1特図変動表示に同期して識別情報を可変表示させる第1特定可変表示部54Aと、前記第2特図表示部50Bでの第2特図変動表示に同期して識別情報を可変表示させる第2特定可変表示部54Bとからなる。すなわち、第1特定可変表示部54Aでは、第1特図表示部50Aでの第1特図変動表示の開始に伴い識別情報の可変表示が開始され、第1特図変動表示が停止して特
図1が確定停止表示されるのに伴って識別情報が停止表示される。また、第2特定可変表示部54Bでは、第2特図表示部50Bでの第2特図変動表示の開始に伴い識別情報の可変表示が開始され、第2特図変動表示が停止して特
図2が確定停止表示されるのに伴って識別情報が停止表示される。なお、第1特定可変表示部54Aに表示される識別情報については、前記特
図1(特別図柄)、飾図(演出図柄)および普図(普通図柄)に次ぐ第4図柄と指称する場合があり、第2特定可変表示部54Bに表示される識別情報については、前記特
図2(特別図柄)、飾図(演出図柄)および普図(普通図柄)に次ぐ第5図柄と指称する場合がある。
【0047】
実施例1のパチンコ機10では、前記表示装置17における表示部17aの所定位置に、第1および第2特定可変表示部54A,54Bが設けられ、当該特定可変表示部54A,54Bにおいて第4および第5図柄を可変表示し得るよう構成されている(
図6,
図7参照)。例えば、ランプを模した画像の点灯と消灯を一定間隔で繰り返す点滅によって第4および第5図柄(特
図1,2)の可変状態(特
図1,2の変動表示状態)を表し、点灯状態を継続することで第4および第5図柄(特
図1,2)の停止状態(特
図1,2の確定停止状態)を表わし得るよう構成されている。また、第1および第2特定可変表示部54A,54Bでは、点灯色(表示色)によって、対応する特図表示部50A,50Bに確定停止表示された大当り図柄またははずれ図柄を識別可能に表示し得るようになっている。例えば、特図表示部50A,50Bに大当り図柄が確定停止表示された場合は、特定可変表示部54A,54Bが赤色で点灯され、特図表示部50A,50Bにはずれ図柄が確定停止表示された場合は、特定可変表示部54A,54Bが白色で点灯される。すなわち、特定可変表示部54A,54Bは、特図表示部50A,50Bでの特別図柄の変動表示中および特別図柄の停止中において、識別情報の可変状態および停止状態を表示し得るよう構成されている。言い替えると、特定可変表示部54A,54Bの状態によって、特図表示部50A,50Bにおいて特別図柄の変動表示中であるのか特別図柄の停止中であるのかを認識し得るようになっている。
【0048】
前記第1および第2特定可変表示部54A,54Bは、前記表示部17aの前側を移動する可動体等の遊技部品によって覆われることのない領域に設けられており、該第1および第2特定可変表示部54A,54Bの状態を確認することで、特図変動表示中であるのか否かを認識し得るよう構成されている。
【0049】
なお、前記第1および第2特定可変表示部54A,54Bにおいて、点灯色(表示色)を一定周期で変化することで、第4および第5図柄の可変状態を表わすことができる。また、第1および第2特定可変表示部54A,54Bを、遊技盤20や枠状装飾体25等の固定部に設けたランプやLED等の発光体で構成し、該発光体の発光態様(点滅、点灯、点灯色)によって、第4および第5図柄の可変状態、停止状態および確定停止された特図の種類(大当り抽選の結果)を表示するようにしてもよい。
【0050】
(大当り遊技について)
次に、実施例1のパチンコ機10で付与される大当り遊技について説明する。大当り遊技は、特図変動表示の結果として第1特図表示部50Aまたは第2特図表示部50Bに大当り図柄が確定停止表示された後に開始されるよう設定されており、当選した大当り遊技(大当り図柄)の種類に応じて特別入賞部40の特別用開閉部材40bが特別入賞ソレノイド42によって開閉動作される。大当り遊技では、特別入賞部40の特別用開閉部材40bを開放するラウンド遊技を規定ラウンド数(例えば6回、10回等)だけ実行することで、大当り遊技が終了するようになっている。1回のラウンド遊技は、特別入賞口40aに規定個数(例えば9個)のパチンコ球が入賞するか、あるいは各ラウンド遊技の開始から規定時間(ラウンド時間)が経過することで終了する。なお、大当り遊技における各ラウンド遊技の間は、所定時間(ラウンド時間より短かい時間)だけ特別用開閉部材40bが閉鎖状態で保持されるラウンド間インターバル時間が設定されている。また、メイン制御CPU60aは、大当り遊技が付与されている間は、メイン制御RAM60cに記憶される大当りフラグに「1」を設定し、メイン制御CPU60aは、メイン制御RAM60cに記憶されている大当りフラグが「1」となっている場合に、大当り遊技中であることを認識し得るようになっている。なお、大当り遊技が終了すると、メイン制御CPU60aは、大当りフラグに「0」を設定する。
【0051】
(確変状態について)
実施例1のパチンコ機10は、大当り遊技終了後に遊技者に有利な遊技状態として第1特典遊技状態を付与する機能を備えている。第1特典遊技状態としては、前記特別入賞口40aへのパチンコ球の入賞契機が、当該第1特典遊技状態が付与されていない状態に較べて増加する状態である。具体的には、第1特典遊技状態では、特図当り確率を低確率から高確率に変動することにより特別入賞口40aへのパチンコ球の入賞契機を増加することができる。以下の説明では、第1特典遊技状態を、便宜的に「確変状態」というものとする。確変機能は、確定停止表示された大当り図柄(特
図1または特
図2)の種類が予め定めた確変図柄(特定図柄)であることを条件として、大当り遊技の終了後に大当りの抽選確率(大当り確率)を低確率から高確率に変動させる確変状態を付与する機能である。また、メイン制御CPU60aは、確変状態が付与されている間は、メイン制御RAM60cに記憶される確変フラグに「1」を設定し、メイン制御CPU60aは、メイン制御RAM60cに記憶されている確変フラグが「1」となっている場合に、確変状態中であることを認識し得るようになっている。なお、確変状態の終了条件が成立すると、メイン制御CPU60aは、確変フラグに「0」を設定する。
【0052】
(変短状態について)
また、実施例1のパチンコ機10は、大当り遊技終了後に遊技者に有利な遊技状態として第2特典遊技状態(第2の遊技状態)を付与する機能を備えている。第2特典遊技状態としては、前記第2始動入賞口31aへのパチンコ球の入賞契機が、当該第2特典遊技状態が付与されていない状態(第1の遊技状態)と較べて増加する入賞率向上状態である。具体的には、第2特典遊技状態では、(1)普図変動表示の変動時間の短縮、(2)普図当り確率を低確率から高確率に変動、(3)普図当り1回についての第2始動入賞口31aを開放する始動用開閉部材31bの開放時間を増やすこと、により第2始動入賞口31aへのパチンコ球の入賞契機を増加することができる。なお、第2特典遊技状態では、上記(1)〜(3)を単独または複数を組み合わせることができる。実施例1では、第2特典遊技状態を変短状態と指称する。また、メイン制御CPU60aは、変短状態が付与されている間は、メイン制御RAM60cに記憶される変短フラグに「1」を設定し、メイン制御CPU60aは、メイン制御RAM60cに記憶されている変短フラグが「1」となっている場合に、変短状態中であることを認識し得るようになっている。なお、変短状態の終了条件が成立すると、メイン制御CPU60aは、変短フラグに「0」を設定する。
【0053】
(パチンコ機の制御構成について)
次に、パチンコ機10の制御構成について説明する。実施例1のパチンコ機10には、
図3に示す如く、パチンコ機10を全体的に制御する制御手段としてのメイン制御基板(メイン制御手段)60と、該メイン制御基板60からの制御信号に基づいて各制御対象を制御する制御手段としてのサブ制御基板(サブ制御手段)65,70とが設けられている。すなわち、メイン制御基板60では、パチンコ機10に備えられた各種検出センサ(検出手段)からの検出信号に基づいて各種処理が実行され、その処理結果に応じた各種の制御信号(制御コマンド)がサブ制御基板65,70に出力されるようになっている。
【0054】
また、実施例1のパチンコ機10には、サブ制御基板として、遊技演出を全体的に制御する演出制御基板65と、表示装置17での表示内容を制御する表示制御基板70と、パチンコ機10が備える各種発光演出手段(ランプ装置18等)の発光制御を行うランプ制御基板72と、パチンコ機10が備えるスピーカ19の音出力制御を行う音制御基板73とを備えている。すなわち、メイン制御基板60が出力した制御信号(制御コマンド)に基づいて、前記演出制御基板65が表示制御基板70、ランプ制御基板72および音制御基板73を制御するよう構成されており、パチンコ機10で実行される各種遊技演出(図柄組合せ演出や発光演出、音声演出)を統括的にコントロールし得るようになっている。ここで、表示制御基板70は、演出制御基板65から出力された制御信号(制御コマンド)に基づいて、表示装置17に表示される図柄(飾図)や背景画像等の図柄変動演出(図柄組合せ演出)の表示内容を制御するよう構成される。また、ランプ制御基板72は、演出制御基板65から出力された制御信号(制御コマンド)に基づいて、パチンコ機10が備える各種発光演出手段の点灯・消灯のタイミングや、発光強度等を制御するものである。そして、音制御基板73は、演出制御基板65から出力された制御信号(制御コマンド)に基づき、パチンコ機10が備える各種スピーカ19からの音声出力のタイミングや出力内容等を制御する。
【0055】
(メイン制御基板60について)
前記メイン制御基板60は、
図3に示す如く、制御処理を実行するメイン制御CPU60a、該メイン制御CPU60aが実行する制御プログラムを記憶するメイン制御ROM60b、当該メイン制御CPU60aの処理に必要なデータの書込み・読出しが可能なメイン制御RAM60c等が備えられている。そして、前記第1始動入賞検出センサ34、第2始動入賞検出センサ35、特別入賞検出センサ44、普通入賞検出センサ47、ゲートセンサ49、振動検出センサ200、電波検出センサ201、磁気検出センサ202、満杯検出センサ203等の各種センサが前記メイン制御CPU60aに接続されている。また、メイン制御CPU60aには、前記第2始動入賞口31aを開閉する始動用開閉部材31bに連繋する始動入賞ソレノイド32および特別入賞口40aを開閉する特別用開閉部材40bに連繋する特別入賞ソレノイド42が接続されており、該メイン制御CPU60aでの制御処理結果に基づいて各ソレノイド32,42を駆動させることで、対応する開閉部材31b,40bが開閉するようになっている。そして、メイン制御CPU60aは、大当り遊技の種類に応じた開閉態様で特別開閉部材40bが開閉するよう前記特別入賞ソレノイド42を駆動制御するよう構成されると共に、前記普図当り抽選に当選した場合には予め定められた開閉態様で始動用開閉部材31bが開閉するよう前記始動入賞ソレノイド32を駆動制御するよう構成される。
【0056】
前記メイン制御CPU60aは、前記第1および第2始動入賞口30a,31aへパチンコ球が入賞したこと(より具体的には第1および第2始動入賞検出センサ34,35がパチンコ球を検出したこと)を契機として入賞情報としての各種乱数を取得するよう設定されている。そして、メイン制御CPU60aは、取得した入賞情報に基づいて特図当り抽選(当り判定)を行い、該特図当り抽選に当選した場合は、遊技者に与える価値が異なる複数種類の大当り遊技の中から1つの大当り遊技が決定され、その決定された大当り遊技が付与されるよう構成される。また、メイン制御CPU60aは、前記ゲート部48をパチンコ球が通過したこと(より具体的にはゲートセンサ49がパチンコ球を検出したこと)を契機として通過検出情報としての各種乱数を取得するよう設定されている。そして、メイン制御CPU60aは、取得した入賞情報に基づいて普図当り抽選(普図当り判定)を行い、該普図当り抽選に当選した場合は、普図当り遊技を付与するよう構成される。なお、メイン制御CPU60aは、普図当り遊技が付与されている間は、メイン制御RAM60cに記憶される普図当りフラグに「1」を設定し、メイン制御CPU60aは、メイン制御RAM60cに記憶されている普図当りフラグが「1」となっている場合に、普図当り遊技中であることを認識し得るようになっている。なお、普図当り遊技が終了すると、メイン制御CPU60aは、普図当りフラグに「0」を設定する。また、メイン制御CPU60aは、時間を計測するタイマ更新処理を実行する。メイン制御RAM60cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグなど)が記憶(設定)されるようになっている。具体的には、大当り遊技が付与されていることを示す大当り情報(大当りフラグ)、普図当り遊技が付与されていることを示す普図当り情報(普図当りフラグ)、確変状態が付与されていることを示す確変情報(確変フラグ)、変短状態が付与されていることを示す変短情報(変短フラグ)等の遊技の進行に係る各種の遊技情報や後述するエラー情報がメイン制御RAM60cに書き換え可能に記憶される。すなわち、メイン制御RAM60cは、各種情報を書き換え可能に記憶する記憶手段としての機能を有している。
【0057】
(特図変動パターンについて)
前記メイン制御ROM60bには、複数種類の特図変動パターンが記憶されている。前記特図変動パターンは、第1特図変動表示または第2特図変動表示が開始してから確定停止表示されるまでの間に実行される演出内容(図柄変動演出の表示内容、発光演出態様、音声演出態様)の基本的なベースとなる内容を特定するものである。また、特図変動パターンは、第1特図変動表示または第2特図変動表示が開始してから特
図1または特
図2が確定停止表示されるまでの変動時間(図柄変動演出および特図変動表示の時間)を特定している。
【0058】
(演出制御基板について)
前記演出制御基板65には、演出制御CPU65aが備えられている。該演出制御CPU65aには、
図3に示す如く、演出制御ROM65bおよび演出制御RAM65cが接続されている。また、演出制御CPU65aは、各種乱数の値を所定の周期毎に更新し、更新後の値を演出制御RAM65cの設定領域に記憶(設定)して更新前の値を書き換えている。すなわち、演出制御RAM65cは、各種情報を書き換え可能に記憶する記憶手段としての機能を有している。
【0059】
ここで、前記演出制御ROM65bには、図柄変動演出において実行する具体的な演出内容を特定する演出パターンが記憶されている。前記演出パターンは前記特図変動パターンに対応付けられており、メイン制御CPU60aにより決定された特図変動パターンに基づいて対応する演出パターンを演出制御CPU65aが決定するようになっている。すなわち、演出制御CPU65aは、前記メイン制御CPU60aが取得した入賞情報(乱数値)に基づいて、前記表示装置17で行わせる図柄変動演出の演出内容を決定する演出内容決定手段として機能するよう構成されている。また、演出パターンには、図柄変動演出において各図柄表示列26a,26b,26cの飾図の停止タイミングが定められており、該演出パターンで定められる停止タイミングに従って各列に飾図が停止されると共に、該飾図の停止に合わせてスピーカ19から適宜の効果音が出力されたり、ランプ装置18が適宜の発光を行ったりするようになっている。なお、前記演出パターンは、前記特図変動パターンに対して一対一の関係で対応付けられたものではなく、1つの特図変動パターンに対して1つまたは複数の演出パターンが対応付けられており、特図変動パターンに対応した演出パターンの中から1つの演出パターンを演出制御CPU65aが決定するよう構成されている。また、演出制御CPU65aは、表示装置17に設けられた前記特定可変表示部54A,54Bについて、前述したように対応する特図表示部50A,50Bでの特図変動表示に同期して識別情報を可変表示させるように表示装置17を制御するようになっている。
【0060】
前記演出制御ROM65bには、表示制御基板70、ランプ制御基板72および音制御基板73を統括的に制御するための演出制御プログラムが記憶されている。演出制御CPU65aは、各種制御コマンドを入力すると、当該演出制御プログラムに基づき各種制御を実行する。
【0061】
(表示制御基板70について)
次に、
図3に基づき表示制御基板70について説明する。表示制御基板70には、表示制御CPU70aが備えられている。該表示制御CPU70aには、表示制御ROM70bおよび表示制御RAM70cが接続されている。また、表示制御基板70(表示制御CPU70a)には、表示装置17が接続されている。表示制御ROM70bには、表示装置17の表示内容を制御するための表示制御プログラムが記憶されている。また、表示制御ROM70bには、各種の画像データ(図柄、各種背景画像、文字、キャラクタなどの画像データ)が記憶されている。更に、表示制御RAM70cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が記憶(設定)されるようになっている。
【0062】
ここで、前記表示制御ROM70bには、画像データとして、後述する各種エラー(報知)表示の画像データが記憶されている。具体的には、「メイン基板エラー」に対応する「メイン基板エラー」および「係員をお呼び下さい」の文字を表示する画像データ、「磁気検出センサエラー」に対応する「磁気検出センサエラー」および「係員をお呼び下さい」の文字を表示する画像データ、「電波検出センサエラー」に対応する「電波検出センサエラー」および「係員をお呼び下さい」の文字を表示する画像データ、「振動検出センサエラー」に対応する「振動検出センサエラー」の文字を表示する画像データ、「満杯エラー」に対応する「球を抜いて下さい」の文字を表示する画像データ、「右打ちエラー」に対応する「左打ちに戻して下さい」の文字を表示する画像データの夫々が表示制御ROM70bに記憶されている(
図6,
図7参照)。また、表示制御ROM70bには、後述する電源断後の復電時において復電処理が実行された旨を示す復電処理実行報知に対応する画像データとして、「復電処理が実行されました」の文字を表示する画像データが記憶されている(
図8参照)。
【0063】
(払出制御基板90について)
図3に示す如く、前記払出制御基板90には、外部端子板92が接続されていると共に、該外部端子板92に設けられた出力端子にホールコンピュータHCが接続されるようになっている。そして、メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)は、払出制御基板90および外部端子板92の出力端子を介してホールコンピュータHCに対して、パチンコ機10の動作状態やエラー情報等の各種の情報を出力可能に構成されている。
【0064】
(電源基板100について)
前記パチンコ機10には、遊技場の外部電源(例えば、AC24V)から各部の必要電源電圧を生成して、パチンコ機10を構成する各種構成部材に供給する電源基板100が配設されている。この電源基板100には、
図3に示す如く、パチンコ機10に供給する電源のON−OFFを切り替える電源スイッチ101と、制御RAM60c,65cを初期化(クリア)させるためのクリアスイッチ102が設けられている。また電源基板100には、前記電源スイッチ101に接続し、該電源スイッチ101のON−OFFの切り替えに応じてメイン制御基板60に電源ON信号、電源OFF信号を出力する電源断監視回路103が設けられると共に、前記クリアスイッチ102に接続するクリアスイッチ回路104が設けられている。実施例1では、クリアスイッチ102をON操作した状態で電源スイッチ101をON操作したときに限り、クリアスイッチ回路104からメイン制御基板60、演出制御基板65にクリア信号を出力し、該クリア信号を受けたメイン制御基板60、演出制御基板65がメイン制御RAM60c、演出制御RAM65cを初期化するクリア処理を行うよう設定される。すなわち、実施例1では、電源スイッチ101、クリアスイッチ回路104およびクリアスイッチ102からクリア手段が構成される。なお、クリアスイッチ回路104とクリアスイッチ102とからクリア手段を構成し、クリアスイッチ102をON操作したときにクリアスイッチ回路104からメイン制御基板60、演出制御基板65にクリア信号を出力する構成を採用し得る。また、以後の説明において、クリア処理が実行されることを、「RAMクリア」と指称する場合がある。
【0065】
ここで、前記クリアスイッチ102をON操作した状態で電源スイッチ101をON操作することで電力供給が開始(電源投入)されてから、クリア処理が可能となるまでに所定のタイムラグ(数秒)があり、実施例1では、エラーの1種類として設定された「RAMクリア」が発生した場合に、該「RAMクリア」が発生したことを報知する後述するRAMクリア報知は、前記タイムラグの経過後から予め設定された時間(実施例1では30秒)の間継続するよう構成されている。なお、RAMクリア報知の開始を、電源投入時とすることができる。
【0066】
図3に示す如く、前記電源基板100には、遊技場の外部電源(AC24V)をパチンコ機10の各種電気部品へ供給される電源電圧(例えば、DC30V)に変換処理する電源回路(電源手段)105が設けられている。電源回路105には、各制御基板60,65,70,90が接続されており、該電源回路105は、変換処理された後の電源電圧を各制御基板60,65,70,90に対応する供給すベき所定の電源電圧に変換処理し、変換後の電源電圧を対応する制御基板60,65,70,90に供給するよう構成される。なお、電源回路105から各制御基板60,65,70,90に供給された電源電圧が、各制御基板60,65,70,90に配線接続される各種の電気機器に供給される。
【0067】
前記電源基板100には、前記電源回路105に接続する前記電源断監視回路103が設けられ、該電源断監視回路103は、電源回路105に供給される電源電圧(以下、監視電源電圧という場合もある)の電圧値を監視するよう構成される。具体的には、電源断監視回路103は、監視電源電圧が所定の電圧(以下、閾値電圧という場合もある)に降下したか否かを判定する。なお、この閾値電圧は、遊技に支障を来たすことなくパチンコ機10の電気部品(例えば、検出センサ)を動作させるために最低限必要な電圧(例えば、DC20V)とされる。ここで、監視電源電圧が閾値電圧に降下するのは、例えば、電源断(電源OFF)時や停電時の場合である。この場合、パチンコ機10に電力が供給されなくなってしまうため、監視電源電圧が閾値電圧に降下する。なお、閾値電圧は、電気部品が動作停止する電圧に対して所定のマージンだけ高い値に設定されている。
【0068】
前記電源基板100には、前記電源断監視回路103に接続するリセット信号回路106が設けられている。電源断監視回路103は、判定結果が肯定(すなわち、監視電源電圧が閾値電圧以下となった状態)である場合に、メイン制御基板60、演出制御基板65およびリセット信号回路106に対して監視電源電圧が閾値電圧に降下したことを示す電源断信号を出力するよう構成される。また、リセット信号回路106は、電力供給の開始時(電源投入時や停電解消による復電時)および電源断信号の入力時に、メイン制御基板60、演出制御基板65、表示制御基板70および払出制御基板90に対してリセット信号を出力し、メイン制御基板60、演出制御基板65、表示制御基板70および球払出装置91の動作を規制するようになっている。
【0069】
前記電源基板100には、コンデンサ等のバックアップ電源107が設けられ、パチンコ機10の主電源が切断されて電力の供給が停止した場合(電源スイッチ101のOFFや停電等により外部電源からの電力供給の遮断により電源断監視回路103からの電源断信号が出力された場合)には、バックアップ電源107からメイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aに電力が供給される。バックアップ電源107は、両制御CPU60a,65aが、対応する制御RAM60c,65cに記憶されている各種情報を後述するバックアップエリアに記憶(書き込み)するのに要する時間に亘って電力を供給し得るよう構成されている。また、両制御RAM60c,65cでは、電力供給が遮断された後もバックアップエリアに記憶されている各種情報は保持し得るよう構成されている。
【0070】
(復電処理に関する構成について)
前記メイン制御RAM60cおよび演出制御RAM65cには、パチンコ機10の動作中に前記各種情報を一時的に記憶するために用いられる常用記憶エリアの他に、バックアップエリアが設けられている。このバックアップエリアは、停電等によって電力供給が遮断された場合において、電力供給の開始時(復電時)にパチンコ機10の状態を電力供給の遮断時の状態に復帰させるべく、電力供給の遮断時の各種情報を記憶しておくためのエリアである。実施例1では、乱数(保留内容)、保留数、特図、普図、タイマ値、フラグ(確変フラグや変短フラグ)等の遊技状態を特定可能な遊技情報やエラー情報等の各種情報(制御情報)が、パチンコ機10の動作中には常用記憶エリアに記憶されると共に、電力供給が遮断された場合においては該常用記憶エリアに記憶されている各種情報がバックアップエリアに記憶されるようになっている。また、バックアップエリアへの記憶(書き込み)は、電力供給の遮断時(電源断信号の入力時)の電源断処理において実行され、該バックアップエリアに記憶された各種情報の読み出し(常用記憶エリアへの記憶)は、電力供給の開始時(復電時)の復電処理において実行される。
【0071】
また、メイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aには、電源基板100のバックアップ電源107が接続されている。そして、メイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aは、監視電源電圧の遮断時(閾値電圧への降下)において、バックアップ電源107から供給される電源電圧(例えば、DC5V)によって動作が保証されている間に、メイン制御RAM60cおよび演出制御RAM65cの常用記憶エリアに記憶されている各種情報をバックアップエリアに記憶し、電源回路105からの電力供給の遮断後も各種情報を記憶保持し得るように構成されている。すなわち、電力供給の遮断時におけるパチンコ機10の遊技状態、すなわち確変状態や変短状態が付与されているか否か、大当り遊技中であるか否か、保留数等、各種情報をバックアップすることが可能となっている。実施例1では、メイン制御RAM60cおよび演出制御RAM65cが、電源回路105からの電力供給が遮断されるときの遊技情報を記憶して電力供給の遮断後も保持するバックアップ手段としての機能を有している。
【0072】
(電源断処理について)
次に、電力供給が遮断された際に、メイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aが実行する電源断処理について説明する。
【0073】
メイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aは、電源断監視回路103からの電源断信号が入力されると、対応する制御RAM60c,65cに記憶された制御プログラムのうちの電源断処理プログラムに基づき、電源断処理を実行する。前記電源断監視回路103は、監視電源電圧が閾値電圧まで降下したタイミングにおいて、メイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aおよびリセット信号回路106に電源断信号を出力する。これにより、パチンコ機10の各種構成部材が動作不能となる前に、メイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aが夫々電源断処理を実行する。
【0074】
電源断処理では、電源基板100のバックアップ電源107からメイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aに電力が供給されるもとで、各制御CPU60a,65aは、対応する制御RAM60c,65cの常用記憶エリアに記憶保持されている各種制御情報を、制御RAM60c,65cのバックアップエリアに記憶保持させる。次に、各制御CPU60a,65aは、対応する制御RAM60c,65cへのアクセスを禁止し、リセット信号回路106からのリセット信号の入力を待機する。そして、各制御CPU60a,65aは、リセット信号が入力されると、制御CPU60a,65aの動作を規制する。そして、電力供給が遮断した後は、電源断処理によってバックアップエリアに記憶された各種情報がバックアップデータとして記憶保持される。
【0075】
(電源投入時の処理について)
パチンコ機10へ電源投入(電力供給の開始)された場合は、前記リセット信号回路106は、所定の規制時間が経過するまでの間、メイン制御CPU60a、演出制御CPU65aに対してリセット信号を継続出力する。メイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aは、一旦入力されたリセット信号の入力が停止すると、対応する制御ROM60b,65bに記憶されている電源投入処理プログラムに基づき、電源投入処理(復電処理)を実行する。この電源投入処理では、前記クリアスイッチ102が操作されているか否かを判定し、否定の場合は対応する制御RAM60c,65cに記憶保持されている各種制御情報に基づき電力供給の遮断時(前)の状態に復帰させる。また、電源投入処理において前記クリアスイッチ102が操作されていると判定された場合は、各制御RAM60c,65cに記憶保持されていた各種制御情報を消去(RAMクリア)する。電力供給の遮断前の状態に復帰した演出制御CPU65aは、演出制御RAM65cにて記憶管理されている制御情報を指定する各種制御コマンドを表示制御CPU70aに出力する。そして、表示制御CPU70aは、演出制御CPU65aからの入力された制御コマンドに基づいて表示装置17の表示内容を制御する。
【0076】
前記電源投入処理プログラムに基づき実行される電源投入処理について、
図5に基づき説明する。電源投入処理では、電力供給が開始(電源スイッチ101のON操作および停電解消による電力供給の再開)された場合(ステップA10)、制御CPU60a,65aは、ステップA11でクリアスイッチ102がONか否かを判定する。そして、ステップA11の判定結果が肯定の場合、すなわちクリアスイッチ102がON操作された場合は、制御CPU60a,65aは対応する制御RAM60c,65cに記憶保持されている各種制御情報を消去(初期化)し(ステップA12)、電源投入処理を終了する。一方、ステップA11の判定結果が否定の場合、すなわちクリアスイッチ102がON操作されていない場合には、制御CPU60a,65aは、対応する制御RAM60c,65cに記憶保持されている各種制御情報に基づき電力供給の遮断時(前)の状態に復帰させ(ステップA13)、電源投入処理を終了する。言い替えると、電源スイッチ101のON操作や停電からの復電時に外部電源からの電力供給が開始されて、電源断監視回路103から出力された電源ON信号のみが制御CPU60a,65aに入力された場合は、制御CPU60a,65aは、対応する制御RAM60c,65cに記憶保持されている各種制御情報(バックアップデータ)に基づき電力供給の遮断時(前)の状態に復帰させる一方で、前記クリアスイッチ回路104から出力されたクリア信号が制御CPU60a,65aに入力された場合は、制御CPU60a,65aは対応する制御RAM60c,65cに記憶保持されている各種制御情報を消去する初期化処理を実行する。
【0077】
(エラーについて)
前記パチンコ機10に発生するエラーについて説明する。実施例1では、
図4に示す如く、9種類のエラーを挙げて説明するが、該エラーの数や種類はこれに限られるものではない。
図4に示す如く、各エラーには、該エラーが発生した場合に、前記表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19等のエラー報知手段によりエラーが発生したことを報知する優先順位(優先度)が1,2,3,…7と設定されている。実施例1では、優先順位1として「RAMクリア」が設定され、優先順位2として「メイン基板エラー」、「磁気検出センサエラー」、「電波検出センサエラー」が設定され、優先順位3として「振動検出センサエラー」が設定され、優先順位4として「特別電動役物不正入賞エラー」が設定され、優先順位5として「普通電動役物不正入賞エラー」が設定され、優先順位6として「満杯エラー」が設定され、優先順位7として「右打ちエラー」が設定されている。そして、優先順位が異なる複数のエラーが重複して発生した場合は、優先順位が上位(数値が小さいもの)のエラーが発生したことを示すエラー表示(報知)が優先して実行される。
【0078】
例えば、優先順位2の「磁気検出センサエラー」と優先順位6の「満杯エラー」とが同時に発生した場合には、優先順位2の「磁気検出センサエラー」に対応するエラー報知が優先して実行される。そして、優先順位2の「磁気検出センサエラー」の報知が解除された際に、まだ優先順位6の「満杯エラー」が解除(解消)されていない場合には、優先順位6の「満杯エラー」のエラー報知が実行される。また、優先順位6の「満杯エラー」のエラー報知が実行されているときに優先順位2の「磁気検出センサエラー」が発生すれば、優先順位2の「磁気検出センサエラー」のエラー報知が優先して報知される。また、優先順位2の「磁気検出センサエラー」のエラー報知が実行されているときに優先順位6の「満杯エラー」が発生した場合は、優先順位2の「磁気検出センサエラー」のエラー報知を継続したまま、優先順位6の「満杯エラー」のエラー報知は実行しないようになっている。但し、実施例1のパチンコ機10では、後述するようにエラー報知手段としての表示装置17で同時にエラー報知を実行可能な種類のエラーについては、エラーが重複して発生した場合には優先順位に関係なく表示装置17に各エラー報知を並行して実行可能になっている。なお、エラー報知手段17,18,19で実行されるエラー報知に関し、表示装置17で実行されるエラー報知についてはエラー表示と指称して区別し、表示装置17および他のエラー報知手段(ランプ装置18、スピーカ19)を含んでエラー報知が実行されることをいう場合にはエラー報知と指称する場合がある。
【0079】
なお、実施例1におけるエラーとは、正常な動作が行われていない状態に限らず、正常な動作が行われている状態であっても、パチンコ機10のセキュリティに関する脅威が存在するおそれのある状態も含まれる。
【0080】
(RAMクリアについて)
優先順位1の「RAMクリア」は、遊技の進行に係る遊技情報を記憶している記憶手段(メイン制御RAM60c、演出制御RAM65c等)の記憶情報を消去(クリア)する初期化処理を実行するために、RAMクリア操作(クリアスイッチ102を押しながら電源スイッチ101をONする操作)が行われたことを条件としてメイン制御CPU60aが発生したと判定するエラーである。メイン制御CPU60aにより「RAMクリア」が発生したと判定された場合、メイン制御CPU60aは、該「RAMクリア」が発生したことを特定するRAMクリア指定コマンド(エラー情報)を出力する。そして、演出制御基板65(演出制御CPU65a)は、入力されたRAMクリア指定コマンドを表示制御基板70、ランプ制御基板72、音制御基板73に出力し、該表示制御基板70、ランプ制御基板72、音制御基板73はRAMクリア指定コマンドに基づいて表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19を制御してRAMクリア報知(エラー報知)を実行させる。具体的には、パチンコ機10の前枠正面に設けられたランプ装置18を全点灯し、スピーカ19からは、「RAMクリア」を特定可能に予め設定されたRAMクリア音が出力される。このRAMクリア音は、電源を切断(OFF)にでもしない限り30秒間に亘り継続して出力される。その間、表示装置17の表示部17aには、特に「RAMクリア」を特定する画像等は表示されず、パチンコ機10に設定される初期画像(初期図柄)が表示される。但し、「RAMクリア」が発生した場合は、表示装置17の表示部17aに初期画像(初期図柄)が前記有効停止位置27に表示されることから、当該初期画像(初期図柄)を表示することが、表示装置17によるRAMクリア報知と言える。そして、報知開始から所定時間(例えば30秒)が経過すると「RAMクリア」の報知は解除される。すなわち、RAMクリア報知の解除条件は、報知開始(RAMクリアの検出)からの経過時間となっている。
【0081】
ここで、「RAMクリア」が発生した場合は、前述したように、表示装置17の表示部17aに初期画像(初期図柄)が表示されることから、当該初期画像(初期図柄)を表示することが、表示装置17によるRAMクリア表示(エラー報知)と言える。すなわち、実施例では、表示部17aに表示される初期画像(初期図柄)が、初期化処理の実行を示す初期化処理表示(初期化処理報知)となる。また、表示部17aに表示される初期画像では、初期図柄(初期飾図)は前記有効停止位置27に停止表示されるように設定されており、該有効停止位置(確定停止表示領域)27が、初期化処理表示の表示領域として設定されている。また、有効停止位置27に停止表示される初期図柄は、後述する振動エラー用表示領域204、満杯エラー用表示領域205、右打ちエラー用表示領域206と重ならないよう構成される(
図7参照)。
【0082】
(メイン基板エラーについて)
優先順位2の「メイン基板エラー」は、メイン制御基板60が備えるメイン制御CPU60aに異常が発生した場合のエラーである。具体的には、メイン制御CPU60aが備える乱数回路が乱数確認信号を正常に出力しているか否かをメイン制御CPU60aが監視し、乱数確認信号が正常に出力されていない場合に、メイン制御CPU60aが「メイン基板エラー」が発生したと判定する。そして、メイン制御CPU60aは、「メイン基板エラー」が発生したと判定した場合は、「メイン基板エラー」が発生したことを示すメイン基板エラー指定コマンド(エラー情報)を演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力するよう構成される。
【0083】
演出制御基板65の演出制御CPU65aは、メイン基板エラー指定コマンドが入力されると、表示制御基板70(表示制御CPU70a)、ランプ制御基板72、音制御基板73にメイン基板エラー指定コマンドを出力し、該表示制御基板70、ランプ制御基板72、音制御基板73はメイン基板エラー指定コマンドに基づいて表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19を制御してメイン基板エラー報知(エラー報知)を実行させる。表示装置17によるメイン基板エラー表示は、表示部17aの全画面を用いて実行される。具体的には、表示部17aの全面を同一色(例えば不透明な黄色)で表示した状態で、
図6(a)に示す如く、「メイン基板エラー」の文字および「係員をお呼び下さい」の文字を表示する。すなわち、メイン基板エラー報知では、エラー発生前までに表示装置17の表示部17aに表示されていた飾図(図柄)や背景等は全てメイン基板エラー表示の表示によって隠れて遊技者から見えなくなる。また、ランプ装置18によるメイン基板エラー報知は、前枠前面に設けたランプ装置18を赤色で点灯する。更に、スピーカ19によるメイン基板エラー報知は、「メイン基板に異常を検出しました」の音声を出力する。そして、表示装置17、ランプ装置18およびスピーカ19によるメイン基板エラー報知は、電源が切断(OFF)されるまで継続するよう構成される。すなわち、メイン基板エラー報知の解除条件は、電源の切断(OFF)となっている。
【0084】
(磁気検出センサエラーについて)
優先順位2の「磁気検出センサエラー」は、前記磁気検出センサ(エラー検出手段)202が磁気を検出した場合のエラーである。具体的には、磁気検出センサ202が磁気を所定時間(例えば、300ms)の間連続して検出した場合に、メイン制御CPU60aが「磁気検出センサエラー」が発生したと判定する。そして、メイン制御CPU60aは、「磁気検出センサエラー」が発生したと判定した場合は、「磁気検出センサエラー」が発生したことを示す磁気エラー指定コマンド(エラー情報)を演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力するよう構成される。
【0085】
演出制御基板65の演出制御CPU65aは、磁気エラー指定コマンドが入力されると、表示制御基板70(表示制御CPU70a)、ランプ制御基板72、音制御基板73に磁気エラー指定コマンドを出力し、該表示制御基板70、ランプ制御基板72、音制御基板73は磁気エラー指定コマンドに基づいて表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19を制御して磁気検出センサエラー報知(エラー報知)を実行させる。表示装置17による磁気検出センサエラー表示は、表示部17aの全画面を用いて実行される。具体的には、表示部17aの全面を同一色(例えば不透明な黄色)で表示した状態で、
図6(b)に示す如く、「磁気検出センサエラー」の文字および「係員をお呼び下さい」の文字を表示する。すなわち、磁気検出センサエラー報知では、エラー発生前までに表示装置17の表示部17aに表示されていた飾図(図柄)や背景等は全て磁気検出センサエラー表示の表示によって隠れて遊技者から見えなくなる。また、ランプ装置18による磁気検出センサエラー報知は、前枠前面に設けたランプ装置18を黄色で点灯する。更に、スピーカ19による磁気検出センサエラー報知は、「磁気検出センサが反応しました」の音声を出力する。そして、表示装置17、ランプ装置18およびスピーカ19による磁気検出センサエラー報知は、電源が切断(OFF)されるまで継続するよう構成される。すなわち、磁気検出センサエラー報知の解除条件は、電源の切断(OFF)となっている。
【0086】
(電波検出センサエラーについて)
優先順位2の「電波検出センサエラー」は、前記電波検出センサ(エラー検出手段)201が電波を検出した場合のエラーである。具体的には、電波検出センサ201が電波を所定時間の間に所定回数(例えば、10回)検出した場合に、メイン制御CPU60aが「電波検出センサエラー」が発生したと判定する。そして、メイン制御CPU60aは、「電波検出センサエラー」が発生したと判定した場合は、「電波検出センサエラー」が発生したことを示す電波エラー指定コマンド(エラー情報)を演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力するよう構成される。
【0087】
演出制御基板65の演出制御CPU65aは、電波エラー指定コマンドが入力されると、表示制御基板70(表示制御CPU70a)、ランプ制御基板72、音制御基板73に電波エラー指定コマンドを出力し、該表示制御基板70、ランプ制御基板72、音制御基板73は電波エラー指定コマンドに基づいて表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19を制御して電波検出センサエラー報知(エラー報知)を実行させる。表示装置17による電波検出センサエラー表示は、表示部17aの全画面を用いて実行される。具体的には、表示部17aの全面を同一色(例えば不透明な黄色)で表示した状態で、
図6(c)に示す如く、「電波検出センサエラー」の文字および「係員をお呼び下さい」の文字を表示する。すなわち、電波検出センサエラー報知では、エラー発生前までに表示装置17の表示部17aに表示されていた飾図(図柄)や背景等は全て電波検出センサエラー表示の表示によって隠れて遊技者から見えなくなる。また、ランプ装置18による電波検出センサエラー報知は、前枠前面に設けたランプ装置18を緑色で点灯する。更に、スピーカ19による電波検出センサエラー報知は、「異常を検出しました」の音声を出力する。そして、表示装置17、ランプ装置18およびスピーカ19による電波検出センサエラー報知は、電源が切断(OFF)されるまで継続するよう構成される。すなわち、電波検出センサエラー報知の解除条件は、電源の切断(OFF)となっている。
【0088】
ここで、優先順位2(同じ優先順位)に設定(分類)されている「メイン基板エラー」、「磁気検出センサエラー」および「電波検出センサエラー」が発生した場合に表示装置17で実行されるエラー表示は、何れも表示部17aの全画面を用いて表示されるものであって、「全画面エラー」または「同一順位エラー」と指称する場合もある。また、実施例1のパチンコ機10では、メイン制御CPU60aがエラー発生と判定する条件が異なる複数のエラーを同一順位エラーに分類している。そして、実施例1のパチンコ機10では、優先順位が異なる複数のエラーが重複して発生したとメイン制御CPU60aが判定した場合は、優先順位が上位(数値が小さいもの)のエラーが発生したことを示すエラー報知をエラー報知手段17,18,19で優先して実行させる一方で、同一順位エラーが重複して発生したとメイン制御CPU60aが判定した場合は、後に発生した同一順位エラーのエラー報知をエラー報知手段17,18,19で実行させるよう構成されている。例えば、エラー報知手段17,18,19でメイン基板エラー報知の実行中に、「磁気検出センサエラー」または「電波検出センサエラー」が発生したとメイン制御CPU60aが判定した場合は、演出制御CPU65aの制御下にエラー報知手段17,18,19で磁気検出センサエラー報知または電波検出センサエラー報知を実行させるようになっている。同様に、エラー報知手段17,18,19で磁気検出センサエラー報知の実行中に、「メイン基板エラー」または「電波検出センサエラー」が発生したとメイン制御CPU60aが判定した場合は、演出制御CPU65aの制御下にエラー報知手段17,18,19でメイン基板エラー報知または電波検出センサエラー報知を実行させるようになっている。具体的に、メイン制御CPU60aは、エラーが発生したと判定した場合には、前述したように発生したエラーを特定するエラー指定コマンド(エラー情報)を演出制御CPU65aに出力しており、演出制御CPU65aは、入力された同一順位エラーを特定するエラー指定コマンドに基づいてエラー報知を実行中に、新たに同一順位エラーを特定するエラー指定コマンドが入力された場合(メイン制御CPU60aが同一順位エラーを特定するエラー指定コマンドを出力した場合)に、後から入力された同一順位エラーを特定するエラー指定コマンドに基づくエラー報知をエラー報知手段17,18,19で優先して実行させるよう構成されている。
【0089】
(振動検出センサエラーについて)
優先順位3の「振動検出センサエラー」は、前記振動検出センサ(エラー検出手段)200が振動を検出した場合のエラーである。具体的には、特定の条件下において振動検出センサ200が振動を所定時間(例えば、200ms)の間連続して検出した場合に、メイン制御CPU60aが「振動検出センサエラー」が発生したと判定する。そして、メイン制御CPU60aは、「振動検出センサエラー」が発生したと判定した場合は、「振動検出センサエラー」が発生したことを示す振動エラー指定コマンド(エラー情報)を演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力するよう構成される。
【0090】
演出制御基板65の演出制御CPU65aは、振動エラー指定コマンドが入力されると、表示制御基板70(表示制御CPU70a)、ランプ制御基板72、音制御基板73に振動エラー指定コマンドを出力し、該表示制御基板70、ランプ制御基板72、音制御基板73は振動エラー指定コマンドに基づいて表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19を制御して振動検出センサエラー報知(エラー報知)を実行させる。表示装置17による振動検出センサエラー表示は、表示部17aの一部分を用いて実行される。具体的には、表示部17aの全面に対して小さな振動エラー用表示領域204に、
図7(a)に示す如く、「振動検出センサエラー」の文字を表示する。この振動エラー用表示領域204は、表示部17aに設定されている前記有効停止位置27に重ならない位置に設定されており、有効停止位置27に確定停止表示された飾図が振動検出センサエラー表示の表示によって隠れることがないよう構成される。なお、表示装置17による振動検出センサエラー表示では、表示部17aにおいて進行中の遊技に係る有効停止位置27以外の領域に表示されている演出画像を背景にして、その前面に「振動検出センサエラー」の文字画像が表示される。また、ランプ装置18による振動検出センサエラー報知は、前枠前面に設けたランプ装置18を白色で点灯する。更に、スピーカ19による振動検出センサエラー報知は、「振動検出センサが反応しました」の音声を出力する。そして、表示装置17、ランプ装置18およびスピーカ19による振動検出センサエラー報知は、報知開始から所定時間(例えば30秒)後に自動的に解除される。すなわち、振動検出センサエラー報知の解除条件は、報知開始(振動検出センサエラーの発生)からの経過時間となっている。
【0091】
(特別電動役物不正入賞エラーについて)
優先順位4の「特別電動役物不正入賞エラー」は、大当り遊技が付与されている場合にのみ作動する特別入賞ソレノイド42が作動中でない状態で前記特別入賞検出センサ44がパチンコ球を検出した場合の特別エラーである。この「特別電動役物不正入賞エラー」は、特別入賞ソレノイド42が作動中でない状態(メイン制御CPU60aから特別入賞検出センサ44に対して駆動信号が出力されていない状態、特別入賞ソレノイド42の非励磁状態)で、特別入賞検出センサ44がパチンコ球を検出した場合に、メイン制御CPU60aが「特別電動役物不正入賞エラー」が発生したと判定する。そして、メイン制御CPU60aは、「特別電動役物不正入賞エラー」が発生したと判定した場合は、「特別電動役物不正入賞エラー」が発生したことを示す特別電動役物不正入賞エラー指定コマンド(エラー情報,特別エラー情報)を演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力(送信)するよう構成される。実施例1では、特別入賞検出センサ44とメイン制御CPU60aとから、「特別電動役物不正入賞エラー」を検出する特別エラー検出手段(エラー検出手段)が構成される。
【0092】
演出制御基板65の演出制御CPU65aは、特別電動役物不正入賞エラー指定コマンドが入力されると、ランプ制御基板72、音制御基板73に特別電動役物不正入賞エラー指定コマンドを出力し、該ランプ制御基板72、音制御基板73は特別電動役物不正入賞エラー指定コマンドに基づいてランプ装置18、スピーカ19を制御して特別電動役物不正入賞エラー報知(エラー報知,特別エラー報知,特別エラー表示)を実行させる。ランプ装置18による特別電動役物不正入賞エラー報知は、前枠前面に設けたランプ装置18を赤色で点灯する。更に、スピーカ19による特別電動役物不正入賞エラー報知は、エラー音(例えば、ブーブーという音)を連続で出力する。そして、ランプ装置18およびスピーカ19による特別電動役物不正入賞エラー報知は、報知開始から所定時間(例えば30秒)後に自動的に解除される。すなわち、特別電動役物不正入賞エラー報知の解除条件は、報知開始(特別電動役物不正入賞エラーの発生)からの経過時間となっている。また、「特別電動役物不正入賞エラー」の発生時には、表示装置17ではエラー表示(エラー報知)を行わないよう構成されている。なお、「特別電動役物不正入賞エラー」の発生時に、該「特別電動役物不正入賞エラー」を特定可能な「特別電動役物不正入賞エラー」の文字画像を表示装置17に表示して、該表示装置17でも特別電動役物不正入賞エラー表示を実行するようにしてもよい。
【0093】
(普通電動役物不正入賞エラーについて)
優先順位5の「普通電動役物不正入賞エラー」は、普図当り遊技が付与されている場合にのみ作動する始動入賞ソレノイド32が作動中でない状態で前記第2始動入賞検出センサ35がパチンコ球を検出した場合のエラーである。この「普通電動役物不正入賞エラー」は、始動入賞ソレノイド32が作動中でない状態(メイン制御CPU60aから始動入賞ソレノイド32に対して駆動信号が出力されていない状態、始動入賞ソレノイド32の非励磁状態)で、第2始動入賞検出センサ35が規定個数以上のパチンコ球を検出した場合に、メイン制御CPU60aが「普通電動役物不正入賞エラー」が発生したと判定する。そして、メイン制御CPU60aは、「普通電動役物不正入賞エラー」が発生したと判定した場合は、「普通電動役物不正入賞エラー」が発生したことを示す普通電動役物不正入賞エラー指定コマンド(エラー情報)を演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力するよう構成される。実施例1では、第2始動入賞検出センサ35とメイン制御CPU60aとから、「普通電動役物不正入賞エラー」を検出するエラー検出手段が構成される。
【0094】
演出制御基板65の演出制御CPU65aは、普通電動役物不正入賞エラー指定コマンドが入力されると、ランプ制御基板72に普通電動役物不正入賞エラー指定コマンドを出力し、該ランプ制御基板72は普通電動役物不正入賞エラー指定コマンドに基づいてランプ装置18を制御して普通電動役物不正入賞エラー報知(エラー報知)を実行させる。ランプ装置18による普通電動役物不正入賞エラー報知は、前枠前面に設けたランプ装置18を緑色で点灯する。そして、ランプ装置18による普通電動役物不正入賞エラー報知は、報知開始から所定時間(例えば30秒)後に自動的に解除される。すなわち、普通電動役物不正入賞エラー報知の解除条件は、報知開始(普通電動役物不正入賞エラーの発生)からの経過時間となっている。また、「普通電動役物不正入賞エラー」の発生時には、表示装置17およびスピーカ19ではエラー報知を行わないよう構成されている。なお、「普通電動役物不正入賞エラー」の発生時に、該「普通電動役物不正入賞エラー」を特定可能な「普通電動役物不正入賞エラー」の文字画像を表示装置17に表示したり、エラー音をスピーカ19から出力するようにして、該表示装置17やスピーカ19でも普通電動役物不正入賞エラー報知を実行するようにしてもよい。
【0095】
(満杯エラーについて)
優先順位6の「満杯エラー」は、前記満杯検出センサ(エラー検出手段)203が上下の球受け皿14,15の満杯状態を検出した場合のエラーである。具体的には、満杯検出センサ203がON状態となり、該満杯検出センサ203からの検出信号(満杯検出信号)がメイン制御CPU60aに入力された場合に、該メイン制御CPU60aが「満杯エラー」が発生したと判定する。そして、メイン制御CPU60aは、「満杯エラー」が発生したと判定した場合は、「満杯エラー」が発生したことを示す満杯エラー指定コマンド(エラー情報)を演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力するよう構成される。
【0096】
演出制御基板65の演出制御CPU65aは、満杯エラー指定コマンドが入力されると、表示制御基板70(表示制御CPU70a)、音制御基板73に満杯エラー指定コマンドを出力し、該表示制御基板70、音制御基板73は満杯エラー指定コマンドに基づいて表示装置17、スピーカ19を制御して満杯エラー報知(エラー報知)を実行させる。表示装置17による満杯エラー表示は、表示部17aの一部分を用いて実行される。具体的には、表示部17aの全面に対して小さな満杯エラー用表示領域205に、
図7(b)に示す如く、「球を抜いて下さい」の文字を表示する。この満杯エラー用表示領域205は、表示部17aに設定されている前記有効停止位置27に重ならない位置に設定されており、有効停止位置27に確定停止表示された飾図が満杯エラー報知の表示によって隠れることがないよう構成される。また、満杯エラー用表示領域205は、前記振動エラー用表示領域204とも重ならない位置に設定されており、前記「振動検出センサエラー」および「満杯エラー」が重複して発生した場合に、実施例1のパチンコ機10では両エラーのエラー表示を表示装置17の表示部17aに同時に表示し得るようになっている。なお、表示装置17による満杯エラー報知では、表示部17aにおいて進行中の遊技に係る有効停止位置27以外の領域に表示されている演出画像を背景にして、その前面に「球を抜いて下さい」の文字画像が表示される。また、スピーカ19による満杯エラー報知は、「球を抜いて下さい」の音声を出力する。そして、表示装置17による満杯エラー表示は、満杯エラーが解消(解除)されること(すなわち満杯検出センサ203がOFF状態となること)を条件として解除される。なお、実施例1でのスピーカ19による満杯エラー報知は、「球を抜いて下さい」の音声を1回のみ出力することで終了するよう設定されている。また、満杯エラーの発生時には、ランプ装置18ではエラー報知を行わないよう構成されている。なお、「満杯エラー」の発生時に、該「満杯エラー」を特定可能な発光態様でランプ装置18を点灯させるようにして、該ランプ装置18でも満杯エラー報知を実行するようにしてもよい。
【0097】
(右打ちエラーについて)
優先順位7の「右打ちエラー」は、前記右打ちが推奨されない遊技状態において、パチンコ球が前記第2球流下経路75bを流下することを検出した場合のエラーである。具体的には、実施例1のパチンコ機10における盤面構成では、大当り遊技や変短状態が付与されていない通常状態では、第2球流下経路75bにパチンコ球を流下させても遊技者にとってメリットがなく、通常状態において前記ゲートセンサ49が規定個数以上のパチンコ球を検出した場合に、メイン制御CPU60aが「右打ちエラー」が発生したと判定する。そして、メイン制御CPU60aは、「右打ちエラー」が発生したと判定した場合は、「右打ちエラー」が発生したことを示す右打ちエラー指定コマンド(エラー情報)を演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力するよう構成される。
【0098】
演出制御基板65の演出制御CPU65aは、右打ちエラー指定コマンドが入力されると、表示制御基板70(表示制御CPU70a)、音制御基板73に右打ちエラー指定コマンドを出力し、該表示制御基板70、音制御基板73は右打ちエラー指定コマンドに基づいて表示装置17、スピーカ19を制御して右打ちエラー報知(エラー報知)を実行させる。表示装置17による右打ちエラー表示は、表示部17aの一部分を用いて実行される。具体的には、表示部17aの全面に対して小さな右打ちエラー用表示領域206に、
図7(c)に示す如く、「左打ちに戻して下さい」の文字を表示する。この右打ちエラー用表示領域206は、表示部17aに設定されている前記有効停止位置27に重ならない位置に設定されており、有効停止位置27に確定停止表示された飾図が右打ちエラー表示の表示によって隠れることがないよう構成される。また、右打ちエラー用表示領域206は、前記振動エラー用表示領域204および満杯エラー用表示領域205とも重ならない位置に設定されており、前記「振動検出センサエラー」や「満杯エラー」と「右打ちエラー」とが重複して発生した場合に、実施例1のパチンコ機10では各エラーのエラー表示を表示装置17の表示部17aに同時に表示し得るようになっている。なお、表示装置17による右打ちエラー表示では、表示部17aにおいて進行中の遊技に係る有効停止位置27以外の領域に表示されている演出画像を背景にして、その前面に「左打ちに戻して下さい」の文字画像が表示される。また、スピーカ19による右打ちエラー報知は、「左打ちに戻して下さい」の音声を出力する。そして、表示装置17およびスピーカ19による右打ちエラー報知は、報知開始から所定時間(例えば10秒)後に自動的に解除される。すなわち、右打ちエラー報知の解除条件は、報知開始(右打ちエラーの発生)からの経過時間となっている。また、「右打ちエラー」の発生時には、ランプ装置18ではエラー報知を行わないよう構成されている。なお、「右打ちエラー」の発生時に、該「右打ちエラー」を特定可能な発光態様でランプ装置18を点灯させるようにして、該ランプ装置18でも右打ちエラー報知を実行するようにしてもよい。
【0099】
ここで、前記メイン制御RAM60c、演出制御RAM65cには、メイン制御CPU60aが各種のエラーが発生したと判定した場合には、判定された種類のエラーを特定するエラー情報(エラー指定コマンド)を記憶し、当該エラーが解除(解消)された条件で各制御RAM60c,65cに記載されていたエラー情報が消去されるよう構成されている。
【0100】
前述したように優先順位1の「RAMクリア」は、前記メイン制御RAM60c、演出制御RAM65c等の記憶手段に記憶されている遊技情報を、クリア手段101,102,104による初期化処理によって消去するものであって、パチンコ機10では当該「RAMクリア」は最優先で報知されるよう設定されている。すなわち、前記優先順位2〜7までの各エラー(「メイン基板エラー」、「磁気検出センサエラー」、「電波検出センサエラー」、「振動検出センサエラー」、「特別電動役物不正入賞エラー」、「普通電動役物不正入賞エラー」、「満杯エラー」、「右打ちエラー」)の発生によってエラー報知が対応するエラー報知手段(表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19)で実行中において、RAMクリア操作によって初期化処理が実行された場合は、メイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aの制御下に、RAMクリア(初期化処理)が実行された旨のRAMクリア報知(初期化処理報知)を他のエラー報知に優先してエラー報知手段(表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19)で実行させるよう構成される。実施例1では、RAMクリア報知は、主にランプ装置18およびスピーカ19で実行されることから、RAMクリア(初期化処理)が実行された場合は、ランプ装置18およびスピーカ19で他のエラー報知を実行中であっても、ランプ装置18が全点灯すると共にスピーカ19からRAMクリア音が出力される。また、表示装置17では、各種のエラー表示の画像に替えて、初期画像を優先して表示する。
【0101】
実施例1のパチンコ機10では、前記同一順位エラーに対応するエラー報知は、何れも電源を切断(OFF)することで強制的に解除されるようになっており、パチンコ機10の電源を切断する電源スイッチ101を含むクリア手段101,102,104が、エラー報知手段17,18,19によるエラー報知を強制停止させる第1の報知停止手段としての機能を備えている。また、電源投入時(停電からの復電時も含む)においてクリア手段101,102,104からのクリア信号に基づく初期化処理によって、メイン制御RAM60c、演出制御RAM65c等の記憶手段に記憶されている遊技情報(記憶情報)が消去(初期化)される。すなわち、実施例1のパチンコ機10では、第1の報知停止手段としてのクリア手段101,102,104が、該クリア手段101,102,104からの信号(クリア信号)によって記憶手段(制御RAM60c,65c)に記憶されているエラー情報および遊技の進行に係る遊技情報を初期化する初期化用報知停止手段としての機能を有している。また、実施例1のパチンコ機10は、エラー報知を強制的に解除する電源スイッチ101をON操作することで前記電源断監視回路103から出力される電源ON信号に基づく電源投入処理では、前記遊技の進行に係る遊技情報を初期化する初期化処理は行われないようになっている。但し、電源スイッチ101をOFF操作して電力供給を停止した後に該電源スイッチ101をON操作した場合および停電等により電力供給が停止した後に電力供給が再開した場合等の復電時には、記憶手段(制御RAM60c,65c)に記憶されているエラー情報は消去されるよう構成されている。すなわち、実施例1のパチンコ機10では、電源スイッチ101と電源断監視回路103とから第2の報知停止手段が構成され、該第2の報知停止手段を構成する電源断監視回路103からの信号(電源ON信号)のみがメイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aに入力された場合は、該制御CPU60a,65aは記憶手段(制御RAM60c,65c)に記憶されている遊技情報を保持したまま(初期化することなく)エラー情報を初期化するよう構成されている。このように、実施例1のパチンコ機10は、エラー報知手段17,18,19によるエラー報知を強制停止させる報知停止手段として、記憶手段(制御RAM60c,65c)に記憶されているエラー情報および遊技情報を初期化する初期化用報知停止手段(クリア手段101,102,104)と、記憶手段(制御RAM60c,65c)に記憶されている遊技情報を保持したままエラー情報を初期化する非初期化用報知停止手段(電源スイッチ101、電源断監視回路103)との2種類の報知停止手段を備えている。
【0102】
また、実施例1のパチンコ機10では、前記優先順位2〜7までの各エラー(「メイン基板エラー」、「磁気検出センサエラー」、「電波検出センサエラー」、「振動検出センサエラー」、「特別電動役物不正入賞エラー」、「普通電動役物不正入賞エラー」、「満杯エラー」、「右打ちエラー」)の発生によってエラー報知が対応するエラー報知手段(表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19)で実行中において、前記電源回路105からの電力供給が遮断し、その後の復電時に前記復電処理が実行された場合は、メイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aの制御下に、該復電処理が実行された旨の復電処理実行報知をエラー報知に優先してエラー報知手段(表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19)で実行させるよう構成される。すなわち、実施例1では、表示装置17の表示部17aに各種のエラー表示の画像が表示されている状態で、復電処理が実行された場合は、表示部17aに「復電処理が実行されました」の文字の画像が表示される(
図8参照)。なお、復電処理実行報知は、予め設定された報知時間(例えば5秒)の間継続して終了する。
【0103】
ここで、前記「振動検出センサエラー」、「満杯エラー」および「右打ちエラー」のように、該エラーが発生した場合に前記表示装置17において表示部17aの一部分の領域204,205,206を用いてエラー表示を表示する場合に、前記演出制御CPU65aは、エラーが発生していない状態と、エラーが発生して表示部17aにエラー表示が表示されている状態とで、表示装置17で実行される図柄変動演出における飾図(図柄)の表示態様を異ならせるよう構成される。すなわち、前記振動エラー用表示領域204、満杯エラー用表示領域205、右打ちエラー用表示領域206を除く領域において飾図を変動表示するよう構成されて、エラー表示および図柄変動演出の両方を好適に視認し得るようになっている。言い替えると、表示装置17では、メイン制御CPU60aからエラー指定コマンド(エラー情報)が出力された後と前とでは、異なる態様で飾図を変動表示するよう構成される。
【0104】
前記表示装置17において異なる態様で飾図を変動表示する手法としては、一例としてレイヤ処理が挙げられる。このレイヤ処理は、表示装置17の表示部17aに画像を表示可能な複数のレイヤを重ねて表示することで特定の画像を表示する画像処理であって、背景を表示するレイヤの前側のレイヤに飾図を表示し、更に飾図を表示するレイヤの前側のレイヤにエラー表示の画像を表示することで、表示部17aに図柄変動演出の画像を表示しつつエラー表示の画像を並行して表示することができる。すなわち、エラーが発生していない場合は、エラー表示の画像を表示するレイヤの画像を非表示とすることで、表示部17aには図柄変動演出の画像のみが遊技者に視認可能に表示され、エラー表示の画像を表示するレイヤの画像を表示することで、表示部17aには図柄変動演出の画像とエラー表示の画像とが重なった状態で遊技者に視認可能に表示される。これにより、表示部17aには、エラーの発生前と後とでは、異なる態様で飾図が変動表示されたように見える。
【0105】
ここで、実施例1のパチンコ機10で発生する前記各種エラーは、エラーが発生した際にメイン制御CPU60aがエラー指定コマンド(エラー情報)を演出制御基板60(演出制御CPU65a)に出力する際に、同時にエラー発生を示すセキュリティ信号(異常発生信号)を前記外部端子板92に設けられた出力端子を介してホールコンピュータHP(外部)に出力する第1種エラーと、セキュリティ信号(異常発生信号)をホールコンピュータHPに出力しない第2種エラーとに区分されている。実施例1では、前記優先順位1〜5に設定されている「RAMクリア」、「メイン基板エラー」、「磁気検出センサエラー」、「電波検出センサエラー」、「振動検出センサエラー」、「特別電動役物不正入賞エラー」および「普通電動役物不正入賞エラー」が第1種エラーに区分され、優先順位6〜7に設定されている「満杯エラー」および「右打ちエラー」が第2種エラーに区分されている(
図4参照)。
【0106】
また、実施例1では、前記特別エラーである「特別電動役物不正入賞エラー」より優先順位の高い前記同一順位エラー(「メイン基板エラー」、「磁気検出センサエラー」、「電波検出センサエラー」)を高優先度エラーとした場合、該高優先度エラーが発生した場合には、メイン制御CPU60aは、セキュリティ信号をホールコンピュータHPに出力すると共に対応するエラー指定コマンド(高優先度エラー情報)を演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力(送信)する。これに対し、特別エラーである「特別電動役物不正入賞エラー」より優先順位の低い前記「満杯エラー」および「右打ちエラー」を低優先度エラーとした場合、該低優先度エラーが発生した場合には、メイン制御CPU60aは、セキュリティ信号をホールコンピュータHPに出力することなく対応するエラー指定コマンド(低優先度エラー情報)のみを演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力(送信)するようになっている。また、実施例1では、高優先度エラー(同一順位エラー)より優先順位が高いエラー(実施例1では「RAMクリア」)が発生したとメイン制御CPU60aが判定した場合にも、前記セキュリティ信号をホールコンピュータHPに出力すると共に対応するエラー指定コマンド(「RAMクリア」のエラー情報)を演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力(送信)するよう構成されており、高優先度エラーおよび該高優先度エラーより優先順位が高いエラーが発生したとメイン制御CPU60aが判定した場合は、共通する出力端子からセキュリティ信号を外部(ホールコンピュータHP)に出力するよう構成されている。なお、前記高優先度エラーと、高優先度エラーより優先順位の低い低優先度エラー(「振動検出センサエラー」、「特別電動役物不正入賞エラー」、「普通電動役物不正入賞エラー」、「満杯エラー」および「右打ちエラー」)が重複して発生した場合、すなわち、メイン制御CPU60aから送信された高優先度エラーを特定するエラー指定コマンドおよび低優先度エラーを特定するエラー指定コマンドを演出制御基板65(演出制御CPU65a)を重複して受信した場合に、該演出制御基板65(演出制御CPU65a)は、高優先度エラーに対応する高優先度エラー報知を対応するエラー報知手段(表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19)で実行させるよう構成される。
【0107】
また、同一順位エラー(全画面エラー)である高優先度エラーより優先順位の低い低優先度エラーは、前述したようにエラーが発生したとメイン制御CPU60aが判定した場合に、セキュリティ信号を外部に出力する「振動検出センサエラー」、「特別電動役物不正入賞エラー」、「普通電動役物不正入賞エラー」等の信号出力エラーと、セキュリティ信号を外部に出力しない「満杯エラー」、「右打ちエラー」等の非信号出力エラーとに区分されている。
【0108】
ここで、前述したように、「メイン基板エラー」、「磁気検出センサエラー」、「電波検出センサエラー」等の「特別電動役物不正入賞エラー」より優先順位の高い高優先度エラーが発生した場合は、前記表示装置17における表示部17aの全体で対応するエラー表示(高優先度エラー表示)を表示するのに対し、「特別電動役物不正入賞エラー」が発生した場合には表示装置17でエラー表示(特別エラー表示)を実行しないよう構成されており、高優先度エラーが発生した場合に、表示装置17では特別エラーである「特別電動役物不正入賞エラー」が発生した場合より大きな領域で高優先度エラー表示を表示するようになっている。また、実施例1の高優先度エラーは、前述したようにエラー表示が表示部17aの全画面を用いて実行される全画面エラー(同一順位エラー)であり、該高優先度エラーが発生した場合(メイン制御CPUがエラー発生と判定した場合)には、前記演出制御CPU65aは、表示部17aの全画面にエラー表示を表示することで、実行中(表示中)の図柄変動演出(演出図柄)を非表示とするように、表示制御CPU70aを介して表示装置17を制御するよう構成される。
【0109】
前記同一順位エラー(全画面エラー)である高優先度エラー(「メイン基板エラー」、「磁気検出センサエラー」、「電波検出センサエラー」)より優先順位の低い「振動検出センサエラー」、「満杯エラー」および「右打ちエラー」等の低優先度エラー(低順位エラー)が発生した場合は、前述したように何れも表示部17aの全面に対して小さな振動エラー用表示領域204、満杯エラー用表示領域205、右打ちエラー用表示領域206にエラー表示を表示するよう構成されており、表示装置17では、高優先度エラー報知(高優先度エラー表示)を、前記低優先度エラーが発生した場合に表示装置17に表示される低優先度エラー表示より大きな領域で表示するよう構成されている。また、表示部17aの全面に対して小さな表示領域204,205,206にエラー表示を表示する低優先度エラーが発生した場合(メイン制御CPU60aがエラー発生と判定した場合)には、前記演出制御CPU65aは、表示部17aに表示中の図柄変動演出(演出図柄)の表示を継続したまま、低優先度エラーのエラー表示を対応する表示領域204,205,206に表示するように表示制御CPU70aを介して表示装置17を制御するよう構成される。なお、前記「特別電動役物不正入賞エラー」および「普通電動役物不正入賞エラー」も、同一順位エラーより優先順位の低い低優先度エラーであるが、該「特別電動役物不正入賞エラー」および「普通電動役物不正入賞エラー」は、実施例1では表示装置17においてエラー表示を実行しないエラーとして設定されていることから、以後の説明において特に断わらない限り、低優先度エラーは「振動検出センサエラー」、「満杯エラー」および「右打ちエラー」を対象として用いる。
【0110】
前記特定可変表示部54A,54Bは、前記表示装置17の表示部17aにおいて、前記同一順位エラー(高優先度エラー)より優先順位の低い低優先度エラー(低順位エラー)が発生した場合に該表示部17aにエラー表示が表示される前記振動エラー用表示領域204、満杯エラー用表示領域205および右打ちエラー用表示領域206に重ならない領域に設定されている。すなわち、メイン制御CPU60aが低優先度エラーである「振動検出センサエラー」、「満杯エラー」および「右打ちエラー」が発生したと判定した場合に、対応するエラー表示が対応する表示領域204,205,206に表示されたとしても、特定可変表示部54A,54Bの第4および第5図柄(識別情報)の表示はエラー表示で隠れることなく前側から視認可能な表示状態を継続し得るよう構成されている。言い替えると、低優先度エラーの発生により表示部17aに対応するエラー表示が表示されても、特定可変表示部54A,54Bにおける第4および第5図柄の可変状態および停止状態を継続して視認可能に表示し得るようになっている。また、前記メイン制御CPU60aが、全画面エラーである同一順位エラー(「メイン基板エラー」、「磁気検出センサエラー」、「電波検出センサエラー」)が発生したと判定した場合には、表示部17aの全面に対応するエラー表示が表示されるが、特定可変表示部54A,54Bの第4および第5図柄(識別情報)はエラー表示で隠れることなく、第4および第5図柄の可変状態および停止状態を継続して視認可能に表示し得るよう構成される。具体的には、表示部17aにおいて同一順位エラーが表示されるレイヤの前側のレイヤに、特定可変表示部54A,54Bの第4および第5図柄が表示されて、同一順位エラーのエラー表示と第4および第5図柄とを同時に視認し得るようになっている。
【0111】
実施例1のパチンコ機10では、前記同一順位エラー(高優先度エラー)より優先順位の高いエラー(高順位エラー)である「RAMクリア」については、前述したように表示装置17では初期画像(初期図柄)を有効停止位置27に表示するよう構成されており、該表示装置17では他の低優先度エラーを同時に表示可能になっている。すなわち、同一順位エラーより優先順位が高い「RAMクリア」のエラー表示(初期画像)を表示装置17の表示部17aで表示中において、メイン制御CPU60aが同一順位エラーより優先順位が低い低順位エラーである「振動検出センサエラー」、「満杯エラー」および「右打ちエラー」等の特定低順位エラーが発生したと判定した場合は、表示中のRAMクリア表示(エラー報知)と特定低順位エラーのエラー表示とを並行して表示し得るようになっている(
図9(a)参照)。
【0112】
また、実施例1のパチンコ機10では、前記表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19において前記同一順位エラーより優先順位が高い高順位エラーである「RAMクリア」のRAMクリア報知(表示装置17では初期画像の表示)が実行されているときに、メイン制御CPU60aが同一順位エラーが発生したと判定した場合は、該メイン制御CPU60aは、RAMクリア報知が終了するまで同一順位エラーを特定するエラー指定コマンドの出力を保留するよう構成されている。そして、メイン制御CPU60aは、RAMクリア報知の終了後に同一順位エラーを特定するエラー指定コマンドを演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力する。演出制御基板65の演出制御CPU65aは、同一順位エラーを特定するエラー指定コマンドに基づいて前記表示制御基板70(表示制御CPU70a)、ランプ制御基板72、音制御基板73を介して前記表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19を制御して、同一順位エラーのエラー報知を表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19で実行させるよう構成されている。すなわち、演出制御CPU65aは、RAMクリア報知の終了後に、RAMクリア報知中に発生した同一順位エラーを特定するエラー報知を表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19等のエラー報知手段で実行させるようになっている(
図9(b)参照)。具体的には、RAMクリア報知の実行中に、メイン制御CPU60aが「メイン基板エラー」が発生したと判定した場合は、RAMクリア報知の終了後にメイン基板エラー指定コマンドを演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力するようになっている。
【0113】
(エラー報知処理について)
次に、前述したようにパチンコ機10でエラーが発生した場合(メイン制御CPU60aがエラーの発生を判定した場合)に実行されるエラー報知処理について、
図10に基づき説明する。エラー報知処理では、メイン制御CPU60aは、エラーの発生を判定した場合(ステップB10)、対応するエラーの指定コマンドを出力して演出制御CPU65aの制御下に対応するエラー報知をエラー報知手段(表示装置17,ランプ装置18,スピーカ19)で実行させる(ステップB11)。そして、ステップB12で実行中のエラー報知の解除条件(電源の切断、報知時間の経過、エラーの解除等)が成立したか否かを判定し、該ステップB12の判定結果が肯定の場合は、エラー報知処理を終了する。また、ステップB12の判定結果が否定の場合は、ステップB13に移行して新たなエラーが発生したか否かを判定し、判定結果が否定の場合はステップB12に戻って処理を繰り返す。
【0114】
前記ステップB13の判定結果が肯定の場合、すなわちエラー報知の実行中に新たにエラーが重複して発生した場合は、ステップB14に移行して、新たに発生したエラーの優先順位が、エラー報知の実行中のエラーの優先順位以上であるか否かを判定する。そして、ステップB14の判定結果が肯定の場合は、メイン制御CPU60aは新たに発生したエラーに対応するエラーの指定コマンドを出力して演出制御CPU65aの制御下に対応するエラー報知をエラー報知手段(表示装置17,ランプ装置18,スピーカ19)で実行させる(ステップB15)。すなわち、エラー報知の実行中のエラーと新たに発生したエラーとが何れも同一順位エラーであれば、新たに発生したエラー(後に発生したエラー)のエラー報知をエラー報知手段で実行させ、また新たに発生したエラーの優先順位がエラー報知の実行中のエラーの優先順位より高い場合は新たに発生したエラーのエラー報知をエラー報知手段で実行させる。そして、ステップB16に移行し、実行中のエラー報知の解除条件が成立したか否かを判定し、該ステップB16の判定結果が肯定の場合は、エラー報知処理を終了する。なお、ステップB16の判定結果が否定の場合は、当該ステップB16の処理を繰り返す。
【0115】
次に、前記ステップB14の判定結果が否定の場合、すなわちエラー報知の実行中に発生したエラーの優先順位が、エラー報知の実行中のエラーの優先順位より低い場合は、ステップB17に移行して、当該新たに発生したエラーのエラー報知が、実行中のエラー報知と同時に実行可能であるか否かを判定する。そして、ステップB17の判定結果が肯定の場合は、ステップB17に移行して新たに発生したエラー報知を実行させる。この場合は、複数のエラー報知が並行して実行される。具体的には、優先順位3の「振動検出センサエラー」に対応する振動検出センサエラー表示が表示装置17の表示部17aに表示中に、優先順位6の「満杯エラー」が発生した場合は、該表示部17aに「振動検出センサエラー」および「球を抜いて下さい」のエラー表示が同時に表示される。ここで、複数のエラー報知を同時に報知可能となる対象は、表示装置17で実行されるエラー報知であって、ランプ装置18やスピーカ19で実行されるエラー報知は除いている。
【0116】
すなわち、前記始動入賞口30a,31aの何れかへの入賞(特定条件の成立)を契機として当り遊技を生起させるか否かの当り判定する当り判定手段としての機能を前記メイン制御CPU60aが備えている。またメイン制御CPU60aは、決定した種類の当り遊技を特図変動表示終了後(図柄変動演出終了後)に付与する当り遊技付与手段としての機能を備えている。メイン制御CPU60aは、始動入賞口30a,31aの何れかへの入賞を契機として、前記表示手段(特図表示部50A,50B、表示装置17)で行わせる図柄変動演出の変動時間を特定する変動パターン(特図変動パターン)を、記憶手段としてのメイン制御ROM60bが記憶する複数の変動パターンの中から決定する変動パターン決定手段としての機能を備えている。また、メイン制御CPU60aは、報知する優先順位が設定された複数種類のエラーの何れが発生したかを判定するエラー判定手段としての機能を備えている。
【0117】
前記表示装置17は、複数種類のエラーを夫々特定するエラー報知を実行可能なエラー報知手段としての機能を備えている。そして、前記演出制御CPU65aは、エラー報知手段としての表示装置17でエラー報知を実行させるように該表示装置17を制御する報知制御手段または制御手段としての機能を有している。また、演出制御CPU65aは、エラー報知手段としての表示装置17によるエラー表示の実行中に優先順位が異なるエラーが発生したことをエラー判定手段としてのメイン制御CPU60aが判定した場合には、優先順位の高いエラーのエラー表示を実行するように表示装置17を制御するよう構成される。更に、演出制御CPU65aは、エラー報知手段としての表示装置17によるエラー表示の実行中に、該エラー表示の実行中のエラーと同じ優先順位に分類された同一順位エラーが発生したことをエラー判定手段としてのメイン制御CPU60aが判定した場合には、後に発生した同一順位エラーのエラー表示を実行するように表示装置17を制御するよう構成されている。更にまた、演出制御CPU65aは、同一順位エラーより優先順位が高い高順位エラーのエラー表示をエラー報知手段としての表示装置17が実行中に、エラー判定手段としてのメイン制御CPU60aが同一順位エラーより優先順位が低い低順位エラーが発生したことを判定した場合には、実行中のエラー表示と低順位エラーのエラー表示とを並行して実行するようにエラー報知手段としての表示装置17を制御する機能を備えている。
【0118】
前記演出制御CPU65aは、当り判定手段としてのメイン制御CPU60aの判定結果に基づいて前記表示装置17に停止表示させる飾り図柄を決定する飾り図柄決定手段として機能すると共に、決定された飾り図柄を停止表示させるよう表示装置17を制御する演出表示制御手段として機能している。また、演出制御CPU65aは、メイン制御CPU60aによる入賞情報の取得(特定条件の成立)を契機として、表示装置17で行わせる図柄変動演出の演出内容を特定する演出パターンを複数種類の中から1つ決定する演出パターン決定手段としての機能を有している。また、演出パターン決定手段としての演出制御CPU65aは、メイン制御CPU60aが決定した特図変動パターンに基づいて演出パターンを決定するようになっている。更に、演出制御CPU65aは、特図表示部(特別表示部)50A,50Bでの特図変動(特別図柄の変動)表示中および特図変動(特別図柄)の停止中において、第4または第5図柄(識別情報)の可変状態および停止状態を表示させるように特定可変表示部54A,54Bを制御すると共に、メイン制御CPU(エラー判定手段)60aが同一順位エラーまたは低順位エラーが発生したことを判定した何れの場合にも、第4または第5図柄の可変状態および停止状態の表示を継続するように特定可変表示部54A,54Bを制御する制御手段としての機能を備えている。なお、表示装置17、ランプ装置18およびスピーカ19は、エラー判定手段としてのメイン制御CPU60aから出力されたエラー情報に基づいて、複数種類のエラーを夫々特定するエラー報知を実行するエラー報知手段(エラー報知手段)としての機能を備える。
【0119】
(実施例1の作用)
次に、実施例1に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0120】
前記前枠13の前面側に設けられた前記操作ハンドル16の操作レバー16aを遊技者が回転操作すると、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が前記遊技領域75内に打ち出される。このとき、前記操作レバー16aの回動量に応じてパチンコ球の打ち出し位置が変化し、打ち出し位置に応じて遊技領域75の第1球流下経路75aまたは第2球流下経路75bをパチンコ球が流下する。そして、球流下経路75a,75bを流下するパチンコ球が、前記第1始動入賞口30aまたは第2始動入賞口31aに入賞すると、前記第1始動入賞検出センサ34または第2始動入賞検出センサ35による球検出を契機として、前記メイン制御CPU60aが各種情報(各種乱数情報)を取得して、この取得した入賞情報に基づいて大当り判定が行われる。
【0121】
前記大当り判定が当りの判定結果の場合は、前記メイン制御CPU60aは入賞情報に基づいて当り用の特図変動パターンの中から1つの特図変動パターンを決定する。また、メイン制御CPU60aは、大当り判定が当りの判定結果の場合には前記メイン制御RAM60cに記憶される大当りフラグに「1」を設定する。そして、メイン制御CPU60aは、図柄変動の開始を指示する特図変動パターン指定コマンドを出力する。前記演出制御CPU65aは、特図変動パターン指定コマンドが入力されると、対応する演出パターンコマンドを表示制御基板70(表示制御CPU70a)に出力し、これによって前記表示装置17での図柄変動演出が開始される。そして、特図変動パターンに定められた変動時間が経過すると、メイン制御CPU60aは特図指定コマンドおよび全図柄停止コマンドを出力し、これによって前記特図表示部50A,50Bに予め決められた大当りの特図が停止表示されると共に表示装置17の表示部17aにおける有効停止位置27に飾図が当り表示で確定停止表示される。また、表示装置17の表示部17aに設定された特定可変表示部54A,54Bでは、前記演出制御CPU65aおよび表示制御CPU70aの制御下に、対応する特図表示部50A,50Bでの特図変動表示中は第4または第5図柄を可変状態で表示し、対応する特図表示部50A,50Bでの特図変動表示の停止と共に該特定可変表示部54A,54Bでは第4または第5図柄が停止表示される。そして、表示装置17の表示部17aに当り表示が表示されると、大当り遊技が開始される。
【0122】
前記大当り遊技では、前記特別入賞部40の特別用開閉部材40bを開放するラウンド遊技が規定ラウンド数だけ実行され、各ラウンド遊技中に特別入賞口40aにパチンコ球が入賞することで多くの賞球を獲得することができる。そして、ラウンド遊技が規定ラウンド数だけ実行されると、大当り遊技が終了する。また、メイン制御CPU60aは、大当り遊技の終了に伴って前記メイン制御RAM60cに記憶される大当りフラグに「0」を設定する。
【0123】
前記大当り判定がはずれの判定結果の場合は、前記メイン制御CPU60aは入賞情報に基づいてはずれ用の特図変動パターンの中から1つの特図変動パターンを決定する。なお、大当り判定がはずれの判定結果の場合は、前記メイン制御RAM60cに記憶されている大当りフラグは「0」のままとなる。そして、メイン制御CPU60aは、前記大当り判定が当りの判定結果の場合と同様に、図柄変動の開始を指示する特図変動パターン指定コマンドを出力する。前記演出制御CPU65aは、特図変動パターン指定コマンドが入力されると、対応する演出パターンコマンドを表示制御基板70(表示制御CPU70a)に出力し、これによって前記表示装置17での図柄変動演出が開始される。そして、特図変動パターンに定められた変動時間が経過すると、メイン制御CPU60aは特図指定コマンドおよび全図柄停止コマンドを出力し、これによって前記特図表示部50A,50Bに予め決められたはずれの特図が停止表示されると共に、表示装置17の表示部17aにおける有効停止位置27に飾図がはずれ表示で確定停止表示される。また、表示装置17の表示部17aに設定された特定可変表示部54A,54Bは、前記大当り判定が当りの判定結果の場合と同様に、前記演出制御CPU65aおよび表示制御CPU70aの制御下に、対応する特図表示部50A,50Bでの特図変動表示中は第4または第5図柄を可変状態で表示し、対応する特図表示部50A,50Bでの特図変動表示の停止と共に該特定可変表示部54A,54Bでは第4または第5図柄が停止表示される。
【0124】
実施例1のパチンコ機10において、
図4に示す如く、当該パチンコ機10で発生する各種のエラーには報知する優先順位が設定されており、実施例1では優先順位が3〜7に設定されたエラー(「振動検出センサエラー」、「特別電動役物不正入賞エラー」、「普通電動役物不正入賞エラー」、「満杯エラー」、「右打ちエラー」)が発生して前記表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19において対応するエラー報知が実行されているときに、優先順位が1〜2に設定されたエラー(「RAMクリア」、「メイン基板エラー」、「磁気検出センサエラー」、「電波検出センサエラー」)が発生した場合は、優先順位の高い「RAMクリア」、「メイン基板エラー」、「磁気検出センサエラー」、「電波検出センサエラー」に対応するエラー報知が優先して表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19で実行される。すなわち、複数のエラーが重複して発生した場合に、優先順位の高いエラーを優先して報知することができる。
【0125】
また、実施例1のパチンコ機10では、「メイン基板エラー」、「磁気検出センサエラー」および「電波検出センサエラー」を同じ優先順位に分類し、これら同一順位エラーが重複して発生した場合には、後から発生した同一順位エラーを報知するよう構成したので、遊技者や店員に最も新しい同一順位エラーを報知することができる。また、複数のエラーを同じ優先順位に分類することで、エラーの種類が増加しても優先順位の数を少なく抑えて制御負荷を低減し得る。
【0126】
実施例1のパチンコ機10では、前記「振動検出センサエラー」、「満杯エラー」および「右打ちエラー」については、前記表示装置17においてエラー表示が表示されるエラー用表示領域204,205,206が相互に重ならないよう設定されている(
図7参照)。従って、これらのエラーが重複して発生した場合は、表示装置17において重複して発生した全てのエラー表示を同時に(並行して)表示することができ、エラーが重複して発生した場合にどのようなエラーが発生しているのかを確認することができる。また、「振動検出センサエラー」、「満杯エラー」および「右打ちエラー」に対応するエラー表示を、表示装置17の表示部17aで表示するエラー用表示領域204,205,206は、何れも該表示部17aにおいて飾図(図柄)を確定停止表示する有効停止位置27と重ならないよう設定しているので、エラー表示によって飾図(図柄)の視認性が低下するのを防止し得る。
【0127】
ここで、優先順位が最も高い「RAMクリア」が発生した場合は、他の優先順位のエラーに対応するエラー報知が表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19で実行されていたとしても、これら他のエラーに優先して「RAMクリア」の発生を特定可能なRAMクリア報知が表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19で実行されるので、遊技者や店員に初期化処理が実行されたことを確実に報知することができる。また、実施例1のパチンコ機10では、RAMクリア報知がランプ装置18やスピーカ19で実行されている場合であっても、表示装置17では「振動検出センサエラー」、「満杯エラー」および「右打ちエラー」等の特定低優先度エラー(低順位エラー)のエラー表示が実行可能になっている。すなわち、実行中のRAMクリア表示と特定低優先度エラーのエラー表示とを表示装置17で並行して実行することができ、複数のエラーの発生を確認し得る。
【0128】
また、実施例1のパチンコ機10では、
図9(b)に示す如く、RAMクリア報知が実行されているときに同一順位エラーが発生した場合は、RAMクリア報知が終了するまで同一順位エラーのエラー報知を待機させ、RAMクリア報知の終了後に同一順位エラーのエラー報知を表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19で実行するよう構成したので、パチンコ機において最も優先順位の高い「RAMクリア」の発生を確実に報知しつつ、RAMクリア報知の実行中に発生した同一順位エラーの発生を報知することができる。
【0129】
また、前記「特別電動役物不正入賞エラー」より優先順位の高い「メイン基板エラー」、「磁気検出センサエラー」、「電波検出センサエラー」等の高優先度エラーが発生した場合は、前記表示装置17における表示部17aの全体で対応する高優先度エラー表示を表示する(
図6参照)。これに対し、高優先度エラーより優先順位の低い「振動検出センサエラー」、「満杯エラー」および「右打ちエラー」等の特定低優先度エラーが発生した場合は、表示装置17における表示部17aの全面に対して小さなエラー用表示領域204,205,206に特定低優先度エラー表示を表示する(
図7参照)。すなわち、表示装置17では、高優先度エラー表示を、特定低優先度エラー表示より大きな領域で表示するよう構成されており、特別エラーである「特別電動役物不正入賞エラー」より優先順位が高い高優先度エラーが発生した場合は、エラー発生をより確実に認識させ得る。
【0130】
実施例1のパチンコ機10では、前記特定可変表示部54A,54Bを、前記同一順位エラーより優先順位の低い低優先度エラーが発生した場合に該表示部17aにエラー表示が表示される前記振動エラー用表示領域204、満杯エラー用表示領域205および右打ちエラー用表示領域206に重ならない領域に設けているので(
図7参照)、これら表示領域204,205,206にエラー表示が表示される低優先度エラーが発生した場合であっても、特定可変表示部54A,54Bの第4および第5図柄(識別情報)の表示状態を確認することができる。すなわち、低優先度エラーが発生して表示部17aの表示領域204,205,206にエラー表示が表示されても、特定可変表示部54A,54Bの第4および第5図柄(識別情報)の表示状態によって、前記特図表示部50A,50Bで特図変動表示が実行中なのか特図が確定停止表示されたのかを確認することができる。また、前記同一順位エラーが発生した場合に、当該同一順位エラーに対応するエラー表示は表示部17aの全面に表示されて該表示部17aで表示されていた図柄変動演出(飾図)は非表示(遊技者や店員が視認し得ない状態)となるものの、前記特定可変表示部54A,54Bの第4および第5図柄については同一順位エラーのエラー表示に隠れて見えなくなることはなく(
図6参照)、第4および第5図柄の表示状態によって特図表示部50A,50Bでの特図変動表示の状態を確認できる。
【0131】
また、実施例1のパチンコ機10では、前記メイン制御CPU60aが前記同一順位エラー(「メイン基板エラー」、「磁気検出センサエラー」、「電波検出センサエラー」)および該同一順位エラーより優先順位が高いエラー(「RAMクリア」)が発生したと判定した場合に、該メイン制御CPU60aは対応するエラー指定コマンドを演出制御基板65(演出制御CPU65a)に出力すると共にセキュリティ信号をホールコンピュータHPに出力する。前記複数のエラーが発生した場合にメイン制御CPU60aは、共通する出力端子を用いてセキュリティ信号を出力するので、構成を簡略化すると共に制御の簡素化を図ることができる。
【0132】
また、実施例1のパチンコ機10では、前記メイン制御CPU60aが、前記同一順位エラーより優先順位が低い「満杯エラー」および「右打ちエラー」が発生したと判定した場合には外部にセキュリティ信号を出力しないよう構成されているので、セキュリティ信号を過度に出力するのを抑制し得る。すなわち、複数種類のエラーについて、エラー発生時にセキュリティ信号を出力する信号出力エラーと、エラー発生時にセキュリティ信号を出力しない非信号出力エラーとに区分することで、セキュリティ信号を過度に出力することなく店側で対策を施す必要のある優先順位の高いエラーを店側に報知することができる。
【0133】
実施例1のパチンコ機10において、外部電源からの電力供給が遮断された場合は、前記電源断監視回路103からメイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aに電源断信号が入力され、該メイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aは、対応する制御RAM60c,65cに記憶されている電源断処理プログラムに基づき電源断処理を実行する。この電源断処理では、前記電源基板100のバックアップ電源107からメイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aに電力が供給され、各制御CPU60a,65aは、対応する制御RAM60c,65cの常用記憶エリアに記憶保持されている各種制御情報を、制御RAM60c,65cのバックアップエリアに記憶保持させる。そして、各制御CPU60a,65aは、リセット信号回路106からのリセット信号が入力されると、制御CPU60a,65aの動作を規制し、電源断処理によってバックアップエリアに記憶された各種情報がバックアップデータとして記憶保持される。
【0134】
前記外部電源からの電力供給が遮断された後に、パチンコ機10への電力供給が開始されると、前記メイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aは、対応する制御ROM60b,65bに記憶されている電源投入処理プログラムに基づき、電源投入処理(復電処理)を実行する。この電源投入処理において、前記クリアスイッチ102が操作されていない場合(「RAMクリア」でない場合)、メイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aは、対応する制御RAM60c,65cに記憶保持されている各種制御情報に基づき電力供給の遮断時(前)の状態に復帰させる。また電源投入処理が実行された場合は、、メイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aの制御下に、該復電処理が実行された旨の復電処理実行報知が表示装置17で実行される。すなわち、
図8に示す如く、表示装置17の表示部17aに「復電処理が実行されました」の文字の画像が表示され、遊技者や店員に電源投入処理(復電処理)が実行されたことを報知できる。
【0135】
ここで、前記「RAMクリア」でない電源投入処理(復電処理)では、前記メイン制御RAM60cおよび演出制御RAM65cに記憶保持されている大当り情報、確変情報、変短情報等の遊技の進行に係る遊技情報を保持したままエラー情報のみが初期化される。すなわち、前記表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19でエラー報知が実行されている状態で、前記メイン制御RAM60cおよび演出制御RAM65cに対する前記電源回路105からの電力供給が遮断し、その後の復電時に前記電源投入処理(復電処理)が実行された場合は、メイン制御RAM60cおよび演出制御RAM65cにおいて電力供給の遮断時(前)に発生していたエラーに関する情報は初期化される。そして、電源投入処理(復電処理)が実行された場合は、メイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aの制御下に、電源投入処理(復電処理)が実行された旨の復電処理実行報知を表示装置17で実行させるよう構成されているので、電源投入処理(復電処理)が実行されたことを報知することができる。また、電源投入処理(復電処理)においてメイン制御RAM60cおよび演出制御RAM65cに記憶保持されているエラー情報は初期化(消去)されるが、エラーの原因が解消されていない場合は、電力供給によりエラー検出手段がエラーを検出して、表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19でエラー報知が実行されてしまい、電源投入処理(復電処理)が実行されたことを確実に認識し得なくなる場合がある。しかるに、実施例1のパチンコ機10では、電源投入処理(復電処理)が実行された場合は、メイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aの制御下に、電源投入処理(復電処理)が実行された旨の復電処理実行報知をエラー報知に優先して表示装置17で実行させるよう構成されているので、電源投入処理(復電処理)が実行されたことを確実に報知することができる。
【0136】
実施例1では、クリア手段101,102,104を構成する電源スイッチ101のOFF操作によってエラー報知を強制停止することができると共に、該クリア手段101,102,104を構成するクリアスイッチ回路104から出力されるクリア信号によって、前記制御RAM60a,65aを初期化するよう構成されているので、エラー報知を強制停止させる手段を別途設ける必要はなく、構成を簡略化し得る。