(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6580765
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】スマートロック及びスマートロックの制御方法
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20190912BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20190912BHJP
B62H 5/00 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
E05B49/00 J
B60R25/24
B62H5/00 Z
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-164983(P2018-164983)
(22)【出願日】2018年9月4日
(65)【公開番号】特開2019-49186(P2019-49186A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2018年9月4日
(31)【優先権主張番号】106130862
(32)【優先日】2017年9月8日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】502250743
【氏名又は名称】國立成功大學
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL CHENG KUNG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】李 威勳
(72)【発明者】
【氏名】魏 健宏
(72)【発明者】
【氏名】周 建銘
【審査官】
秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−217086(JP,A)
【文献】
特開2016−31620(JP,A)
【文献】
特開平11−126192(JP,A)
【文献】
特開2014−164591(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0266588(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00
B60R 25/24
B62H 5/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物に設けられるスマートロックであって、
前記乗り物を施錠又は解錠するロック部と、
ユーザ端末と通信を行う無線通信モジュールと、
複数の所定の無線装置の識別データを予め記憶する記憶部と、
前記ロック部、前記無線通信モジュール及び前記記憶部に電気的に接続される検証部と、を含み、
前記無線通信モジュールが前記ユーザ端末から解錠要求信号を受信した場合、前記無線通信モジュールは、前記ユーザ端末に前記ロック部の識別データを伝送し、前記ユーザ端末から伝送された、第1無線装置の識別データ及び前記ロック部の識別データを暗号化して生成された第1検証データを受信し、前記検証部は、前記ロック部の識別データに基づいて前記第1検証データを復号して前記第1無線装置の識別データを取得し、前記第1無線装置の識別データが前記複数の所定の無線装置のうち何れか1つの識別データに合致するとき、前記ロック部を解錠する、スマートロック。
【請求項2】
前記無線通信モジュールは、前記第1無線装置の識別データを受信し、
受信された前記第1無線装置の識別データが前記複数の所定の無線装置の識別データに何れも合致しないと前記検証部により判断された場合、前記検証部は、前記ユーザ端末に前記ロック部の識別データを伝送しない、請求項1に記載のスマートロック。
【請求項3】
前記第1検証データは、前記ユーザ端末が前記第1無線装置の識別データ及び前記ロック部の識別データを暗号化して生成されたもの、又はクラウドサーバが前記ユーザ端末から伝送された前記第1無線装置の識別データ及び前記ロック部の識別データを暗号化して生成されたものである、請求項1に記載のスマートロック。
【請求項4】
前記無線通信モジュールが前記ユーザ端末から施錠要求信号を受信した場合、前記無線通信モジュールは、前記ユーザ端末から伝送された、第2無線装置の識別データ及び前記ロック部の識別データを暗号化して生成された第2検証データを受信し、前記検証部は、前記ロック部の識別データに基づいて前記第2検証データを復号して前記第2無線装置の識別データを取得し、前記第2無線装置の識別データが前記複数の所定の無線装置のうち何れか1つの識別データに合致するとき、前記ロック部を施錠する、請求項1に記載のスマートロック。
【請求項5】
前記無線通信モジュールは、前記第2無線装置の識別データを受信し、
受信された前記第2無線装置の識別データが前記複数の所定の無線装置の識別データに何れも合致しないと前記検証部により判断された場合、前記検証部は、前記ユーザ端末に前記ロック部の識別データを伝送しない、請求項4に記載のスマートロック。
【請求項6】
前記第2検証データは、前記ユーザ端末が前記第2無線装置の識別データ及び前記ロック部の識別データを暗号化して生成されたもの、又はクラウドサーバが前記ユーザ端末から伝送された前記第2無線装置の識別データ及び前記ロック部の識別データを暗号化して生成されたものである、請求項4に記載のスマートロック。
【請求項7】
スマートロックの制御方法であって、
乗り物に設けられ、複数の所定の無線装置の識別データを予め記憶するスマートロックを提供するステップと、
前記スマートロックが、ユーザ端末から伝送された解錠要求信号を受信した場合、前記ユーザ端末に前記スマートロックの識別データを伝送するステップと、
前記スマートロックが、前記ユーザ端末から伝送された、第1無線装置の識別データ及び前記スマートロックの識別データを暗号化して生成された第1検証データを受信するステップと、
前記スマートロックが、前記スマートロックの識別データに基づいて前記第1検証データを復号して前記第1無線装置の識別データを取得するステップと、
前記スマートロックが、前記第1無線装置の識別データが前記複数の所定の無線装置のうち何れか1つの識別データに合致すると判断した場合、前記乗り物を解錠するステップと、を含む、スマートロックの制御方法。
【請求項8】
前記スマートロックが、前記第1無線装置の識別データを受信するステップと、
前記スマートロックが、受信された前記第1無線装置の識別データが前記複数の所定の無線装置の識別データに何れも合致しないと判断した場合、前記ユーザ端末に前記スマートロックの識別データを伝送しないステップと、をさらに含む、請求項7に記載のスマートロックの制御方法。
【請求項9】
前記第1検証データは、前記ユーザ端末が前記第1無線装置の識別データ及び前記スマートロックの識別データを暗号化して生成されたもの、又はクラウドサーバが前記ユーザ端末から伝送された前記第1無線装置の識別データ及び前記スマートロックの識別データを暗号化して生成されたものである、請求項7に記載のスマートロックの制御方法。
【請求項10】
前記スマートロックが、前記ユーザ端末から伝送された施錠要求信号を受信した場合、前記ユーザ端末に前記スマートロックの識別データを伝送するステップと、
前記スマートロックが、前記ユーザ端末から伝送された、第2無線装置の識別データ及び前記スマートロックの識別データを暗号化して生成された第2検証データを受信するステップと、
前記スマートロックが、前記スマートロックの識別データに基づいて前記第2検証データを復号して前記第2無線装置の識別データを取得するステップと、
前記スマートロックが、前記第2無線装置の識別データが前記複数の所定の無線装置のうち何れか1つの識別データに合致すると判断した場合、前記乗り物を施錠するステップと、をさらに含む、請求項7に記載のスマートロックの制御方法。
【請求項11】
前記スマートロックが、前記第2無線装置の識別データを受信するステップと、
前記スマートロックが、受信された前記第2無線装置の識別データが前記複数の所定の無線装置の識別データに何れも合致しないと判断した場合、前記ユーザ端末に前記スマートロックの識別データを伝送しないステップと、をさらに含む、請求項10に記載のスマートロックの制御方法。
【請求項12】
前記第2検証データは、前記ユーザ端末が前記第2無線装置の識別データ及び前記スマートロックの識別データを暗号化して生成されたもの、又はクラウドサーバが前記ユーザ端末から伝送された前記第2無線装置の識別データ及び前記スマートロックの識別データを暗号化して生成されたものである、請求項10に記載のスマートロックの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物に適用されるスマートロックに関し、特に周辺の無線装置の識別データに基づいて乗り物を施錠又は解錠することができるスマートロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシェアリング自転車の貸出と返却は、特定の自転車スタンドを介して管理される必要があり、利用者が自転車を貸し出し、或いは返却する際に、固定場所に設置された特定の自転車スタンドで貸し出し、或いは返却する必要がある。しかし、固定場所に設置された自転車スタンドは、体積が大きく、スペースを占用し、設置コストが高い。一方、全地球測位システム(Global Positioning System:GPS)が搭載されているレンタル用のシェアリング自転車も市販され、GPSが搭載されているシェアリング自転車の貸出と返却は、特定の自転車スタンドを介することなく、任意の場所又は指定の場所で行うことができる。しかし、GPSの測位機能は、雲又は雨の日にパフォーマンスが悪く、悪天候ではGPSの搭載されているシェアリング自転車を誤って測位し、或いは衛星信号を受信できないことにより測位できなくなる。結局、利用者はシェアリング自転車の位置を知ることができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来技術の問題点を鑑み、周辺の無線装置の識別データに基づいて乗り物を施錠又は解錠することができるスマートロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一の態様では、乗り物に設けられるスマートロックであって、前記乗り物を施錠又は解錠するロック部と、ユーザ端末と通信を行う無線通信モジュールと、複数の所定の無線装置の識別データを予め記憶する記憶部と、前記ロック部、前記無線通信モジュール及び前記記憶部に電気的に接続される検証部と、を含み、前記無線通信モジュールが前記ユーザ端末から解錠要求信号を受信した場合、前記無線通信モジュールは、前記ユーザ端末に前記ロック部の識別データを伝送し、前記ユーザ端末から伝送された、第1無線装置の識別データ及び前記ロック部の識別データを暗号化して生成された第1検証データを受信し、前記検証部は、前記ロック部の識別データに基づいて前記第1検証データを復号して前記第1無線装置の識別データを取得し、前記第1無線装置の識別データが前記複数の所定の無線装置のうち何れか1つの識別データに合致するとき、前記ロック部を解錠する、スマートロックを提供する。
【0005】
この態様では、前記無線通信モジュールは、前記第1無線装置の識別データを受信し、受信された前記第1無線装置の識別データが前記複数の所定の無線装置の識別データに何れも合致しないと前記検証部により判断された場合、前記検証部は、前記ユーザ端末に前記ロック部の識別データを伝送しない。
【0006】
この態様では、前記第1検証データは、前記ユーザ端末が前記第1無線装置の識別データ及び前記ロック部の識別データを暗号化して生成されたもの、又はクラウドサーバが前記ユーザ端末から伝送された前記第1無線装置の識別データ及び前記ロック部の識別データを暗号化して生成されたものである。
【0007】
この態様では、前記無線通信モジュールが前記ユーザ端末から施錠要求信号を受信した場合、前記無線通信モジュールは、前記ユーザ端末から伝送された、第2無線装置の識別データ及び前記ロック部の識別データを暗号化して生成された第2検証データを受信し、前記検証部は、前記ロック部の識別データに基づいて前記第2検証データを復号して前記第2無線装置の識別データを取得し、前記第2無線装置の識別データが前記複数の所定の無線装置のうち何れか1つの識別データに合致するとき、前記ロック部を施錠する。
【0008】
この態様では、前記無線通信モジュールは、前記第2無線装置の識別データを受信し、受信された前記第2無線装置の識別データが前記複数の所定の無線装置の識別データに何れも合致しないと前記検証部により判断された場合、前記検証部は、前記ユーザ端末に前記ロック部の識別データを伝送しない。
【0009】
この態様では、前記第2検証データは、前記ユーザ端末が前記第2無線装置の識別データ及び前記ロック部の識別データを暗号化して生成されたもの、又はクラウドサーバが前記ユーザ端末から伝送された前記第2無線装置の識別データ及び前記ロック部の識別データを暗号化して生成されたものである。
【0010】
本発明の他の態様では、スマートロックの制御方法であって、乗り物に設けられ、複数の所定の無線装置の識別データを予め記憶するスマートロックを提供するステップと、前記スマートロックが、ユーザ端末から伝送された解錠要求信号を受信した場合、前記ユーザ端末に前記スマートロックの識別データを伝送するステップと、前記スマートロックが、前記ユーザ端末から伝送された、第1無線装置の識別データ及び前記スマートロックの識別データを暗号化して生成された第1検証データを受信するステップと、前記スマートロックが、前記スマートロックの識別データに基づいて前記第1検証データを復号して前記第1無線装置の識別データを取得するステップと、前記スマートロックが、前記第1無線装置の識別データが前記複数の所定の無線装置のうち何れか1つの識別データに合致すると判断した場合、前記乗り物を解錠するステップと、を含む、スマートロックの制御方法を提供する。
【0011】
従来技術に比べて、本発明のスマートロックは、特定の無線装置が設置された場所で自転車を貸出するように解錠し、或いは自転車を返却するように施錠することができ、従来のシェアリング自転車のために大規模な自転車スタンドを設置する必要があるという欠点を改善できる。また、本発明のスマートロックは、GPS以外の無線通信技術を用いて解錠又は施錠の手順を行うことができるため、GPSの搭載されているシェアリング自転車の測位が天候に影響されやすいという欠点を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のスマートロックの機能的ブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施例のスマートロックがユーザ端末の要求に応じて乗り物を解錠することを示す図である。
【
図3】本発明の第1実施例のスマートロックがユーザ端末の要求に応じて乗り物を施錠することを示す図である。
【
図4】本発明の第2実施例のスマートロックがユーザ端末の要求に応じて乗り物を解錠することを示す図である。
【
図5】本発明の第2実施例のスマートロックがユーザ端末の要求に応じて乗り物を施錠することを示す図である。
【
図6】本発明のスマートロックの制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明のスマートロックの機能的ブロック図である。
図1に示すように、本発明のスマートロック10は、ロック部12、無線通信モジュール14、記憶部16及び検証部18を含む。スマートロック10は乗り物に設けられるものであり、例えば、本実施例では、スマートロック10は、自転車40に設けられ、ロック部12を介して自転車を施錠又は解錠することができる。無線通信モジュール14はユーザ端末と通信を行い、本実施例では、ユーザ端末は、例えば携帯電話であり、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))又は近距離無線通信(Near−Field Communication:NFC)等の通信技術によりスマートロック10の無線通信モジュール14と通信を行ってもよい。なお、本発明はこれに限定されず、ユーザ端末50は、他の通信技術により無線通信モジュール14と通信を行う他の装置(例えばタブレットコンピュータ)であってもよい。記憶部16はデータを予め記憶し、検証部18はロック部12、無線通信モジュール14及び記憶部16に電気的に接続されている。検証部18は、端末装置と検証手順を行い、ロック部12を解錠又は施錠する。
【0014】
例えば、
図2を参照しながら説明する。
図2は本発明の第1実施例のスマートロックがユーザ端末の要求に応じて乗り物を解錠することを示す図である。
図2に示すように、利用者がユーザ端末50を介してスマートロック10に解錠要求信号を伝送する場合、スマートロック10の無線通信モジュール14は、該解錠要求信号を受信した後に、ユーザ端末50にロック部12の識別データ(例えば識別コード)を伝送する。利用者は、ロック部12の識別データを受信し、借りようとする(或いは解錠しようとする)目標を確認した後に、ユーザ端末50を介して第1無線装置60の識別データを見つけ、受信してもよい。本実施例では、第1無線装置60はWi−Fi無線ルータであり、その識別データは該Wi−Fi無線ルータの媒体アクセス制御(Media Access Control:MAC)アドレスであるが、本発明はこれに限定されない。ここで、ユーザ端末50と第1無線装置60との間にWi−Fiのネットワーク接続がなくてもよく、ユーザ端末50が第1無線装置60と接続していない場合であっても、ユーザ端末50は、Wi−Fiのリスニングモード(Listening Mode。Sniffing Mode又はMonitoring Modeと称されてもよい)により第1無線装置60の媒体アクセス制御アドレスを受信できる。第1無線装置60は、利用者に自転車40の貸出又は返却を行わせるように特定の場所(例えばスーパーマーケット、店舗又は他の公共施設)に設置されてもよい。ユーザ端末50は、第1無線装置60のMACアドレスを受信した後に、クラウドサーバ70に該MACアドレス及びロック部12の識別データを伝送してもよい。クラウドサーバ70は、所定のアルゴリズム(例えばハッシュ(hash))に従ってユーザ端末50から伝送された第1無線装置60のMACアドレス及びロック部12の識別データを暗号化して第1検証データを生成し、ユーザ端末50に該第1検証データを伝送する。ユーザ端末50は、クラウドサーバ70により暗号化して生成された第1検証データを受信した後に、スマートロック10の無線通信モジュール14に第1検証データを伝送してもよい。スマートロック10が第1検証データを受信した後に、検証部18は該所定のアルゴリズムに従ってロック部12の識別データに基づいて第1検証データを復号して第1無線装置60のMACアドレスを取得してもよい。記憶部16は、複数の無線装置のMACアドレスを予め記憶している。検証部18は、第1検証データを復号した後に、取得された第1無線装置60のMACアドレスと記憶部16に予め記憶されたMACアドレスとを比較する。第1無線装置60のMACアドレスが記憶部16に予め記憶されたMACアドレスのうち何れか1つに合致する場合(貸出場所がリストに存在することを表す)、検証部18はロック部12を解錠する。一方、第1無線装置60のMACアドレスが記憶部16に予め記憶されたMACアドレスに何れも合致しない場合(貸出場所がリストに存在しないことを表す)、検証部18はロック部12を解錠しない。
【0015】
言い換えれば、利用者が自転車40を解錠する場合は、ユーザ端末50が特定の無線装置の識別データを受信し、且つクラウドサーバ70に該特定の無線装置の識別データを伝送し、暗号化させて第1検証データを生成させるように、利用者が特定の無線装置の周辺に位置する必要がある。特定の無線装置の識別データを暗号化して生成された第1検証データは解錠のための鍵に相当し、ユーザ端末50はスマートロック10に該第1検証データを伝送して解錠を行う。本実施例では、特定の無線装置は特定のWi−Fi無線ルータであり、例えば特定の電気通信プロバイダ、スーパーマーケット又は店舗と協力し、該特定の電気通信プロバイダ、スーパーマーケット又は店舗に所属するWi−Fi無線ルータを本発明のスマートロックの特定の無線装置として、解錠するために本発明のスマートロックが該特定の電気通信プロバイダ、スーパーマーケット又は店舗のWi−Fi無線ルータの周辺に位置する必要があるようにしてもよいが、本発明はこれに限定されない。また、本実施例では、第1検証データはクラウドサーバ70により暗号化されて生成されたものであるが、本発明はこれに限定されず、第1検証データはユーザ端末50により自ら暗号化されて生成されたものであってもよい。
【0016】
図3は本発明の第1実施例のスマートロックがユーザ端末の要求に応じて乗り物を施錠することを示す図である。
図3に示すように、利用者が自転車40を使い終わり、自転車40を返却しようとする場合、利用者はユーザ端末50を介してスマートロック10に施錠要求信号を伝送する。解錠のプロセスと同様に、スマートロック10の無線通信モジュール14は、該施錠要求信号を受信した後に、ユーザ端末50にロック部12の識別データを伝送する。利用者は、ロック部12の識別データを受信した後に、ユーザ端末50を介して第2無線装置62の識別データを見つけ、受信してもよい。本実施例では、第2無線装置62は第1無線装置60とは別のWi−Fi無線ルータであり、その識別データは該Wi−Fi無線ルータの媒体アクセス制御アドレスであるが、本発明はこれに限定されない。利用者は同一のWi−Fi無線ルータのMACアドレスを用いてスマートロック10の解錠と施錠を行ってもよく、即ちスマートロック10の解錠と施錠は同一の場所で行われてもよい。同様に、ユーザ端末50は、第2無線装置62のMACアドレスを受信した後に、クラウドサーバ70に該MACアドレス及びロック部12の識別データを伝送してもよい。クラウドサーバ70は、所定のアルゴリズムに従ってユーザ端末50から伝送された第2無線装置62のMACアドレス及びロック部12の識別データを暗号化して第2検証データを生成し、ユーザ端末50に該第2検証データを伝送してもよい。ユーザ端末50は、クラウドサーバ70により暗号化して生成された第2検証データを受信した後に、スマートロック10の無線通信モジュール14に第2検証データを伝送してもよい。スマートロック10が第2検証データを受信した後に、検証部18は該所定のアルゴリズムに従ってロック部12の識別データに基づいて第2検証データを復号して第2無線装置62のMACアドレスを取得してもよい。検証部18は、取得された第2無線装置62のMACアドレスと記憶部16に予め記憶されたMACアドレスとを比較する。第2無線装置62のMACアドレスが記憶部16に予め記憶されたMACアドレスのうち何れか1つに合致する場合(返却場所がリストに存在することを表す)、検証部18はロック部12を施錠する。一方、第2無線装置62のMACアドレスが記憶部16に予め記憶されたMACアドレスに何れも合致しない場合(返却場所がリストに存在しないことを表す)、検証部18はロック部12を施錠しない。同様に、本実施例では、第2検証データはクラウドサーバ70により暗号化されて生成されたものであるが、本発明はこれに限定されず、第2検証データはユーザ端末50により自ら暗号化されて生成されたものであってもよい。
【0017】
また、本発明のスマートロック10は、仮施錠モードにされてもよい。利用者が第1検証データを介してスマートロック10を解錠して自転車40を貸出した後に、利用者が自転車40から一時的に離れて自転車を施錠する必要があり、且つ自転車40を返却しない場合、利用者は、ユーザ端末50を介してスマートロック10を仮施錠モードに切り替えてもよい。スマートロック10が仮施錠モードに切り替えられた場合、検証部18は、第2検証データを受信して検証する必要がなく、直接スマートロック10を施錠してもよい。利用者は、ユーザ端末50を介してスマートロック10の無線通信モジュール14に第1検証データを再び伝送し、スマートロック10の仮施錠モードを解除することができる。一方、利用者が自転車40を貸出又は返却する際に、クラウドサーバ70に全地球測位システム(Global Positioning System:GPS)データを伝送してもよい。クラウドサーバ70は自転車の返却場所を記録し、或いは全ての特定の無線装置の識別データの場所データを予め記憶してもよい。利用者がクラウドサーバ70に無線装置の識別データを伝送して検証データを生成させる場合、クラウドサーバ70は、無線装置の識別データに対応する予め記憶された場所データに基づいて、自転車の貸出と返却の場所を知ることができ、他の利用者にシェアリング自転車を貸出可能な場所をさらに提供してもよい。
【0018】
以上の構成によれば、利用者が自転車40を借りようとする際に、ユーザ端末50を介して第1無線装置60の識別データを受信し、スマートロック10の無線通信モジュール14に第1検証データを送信し、検証部18は、第1無線装置60が特定の無線装置のうち何れか1つであると検証した後に、自転車40を解錠してもよい。また、ユーザ端末50を介して第2無線装置62の識別データを受信し、スマートロック10の無線通信モジュール14に第2検証データを送信し、検証部18は、第2無線装置62が特定の無線装置のうち何れか1つであると検証した後に、自転車40を施錠する。本発明のスマートロックは、特定の無線装置により送信された識別データを用いて解錠施錠用の検証データを生成でき、利用者は特定の無線装置の信号を受信可能な場所のみで自転車を貸出又は返却する必要があるため、自転車スタンドを設置しなくても自転車の返却場所を制限できる。さらに、本発明の実施例に係るユーザ端末が解錠と施錠を行うために用いられる無線通信技術はブルートゥース(登録商標)、NFC又はWi−Fiであり、クラウドサーバ70に全ての特定の無線装置の識別データの場所データが予め記憶されているため、自転車40の貸出と返却の場合の場所測位は天候に影響されない。
【0019】
図4は本発明の第2実施例のスマートロックがユーザ端末の要求に応じて乗り物を解錠することを示す図である。
図4に示すように、スマートロック10の無線通信モジュール14が利用者によりユーザ端末50を介して伝送された解錠要求信号を受信した際に、スマートロック10は、無線通信モジュール14を用いてWi−Fi通信技術(例えばWi−Fiのリスニングモード)により、周辺に特定の無線装置が存在するか否かを検索し、例えば、サービング無線装置のリストを検索し、各無線装置のMACアドレスが記憶部16に予め記憶されたMACアドレスのうち何れか1つに合致するか否かを判断してもよい。周辺に特定の無線装置が存在しないとスマートロック10の無線通信モジュール14により判断された場合(貸出場所がリストに存在しないことを表す)、スマートロック10の検証部18は、ユーザ端末50の解錠要求を拒絶する(例えば、ユーザ端末50に、後続の解錠手順を行うためのロック部12の識別データを伝送しない)。一方、第1無線装置60の識別データが記憶部16に予め記憶されたMACアドレスのうち何れか1つに合致するとスマートロック10の無線通信モジュール14により判断された場合(貸出場所がリストに存在することを表す)、スマートロック10の検証部18は、ユーザ端末50の解錠要求を容認し、無線通信モジュール14はユーザ端末50にロック部12の識別データを伝送して、ユーザ端末50から伝送された第1検証データを受信し、検証部18は第1検証データをさらに検証し、ロック部12を解錠する。第1検証データの生成手順及び第1検証データの検証手順は、解錠に関する第1実施例と類似し、ここでその説明を省略する。
【0020】
図5は本発明の第2実施例のスマートロックがユーザ端末の要求に応じて乗り物を施錠することを示す図である。
図5に示すように、スマートロック10の無線通信モジュール14が利用者によりユーザ端末50を介して伝送された施錠要求信号を受信した際に、スマートロック10は、無線通信モジュール14を用いてWi−Fi通信技術により、周辺に特定の無線装置が存在するか否かを検索してもよい。同様に、周辺に特定の無線装置が存在しないとスマートロック10の無線通信モジュール14により判断された場合(返却場所がリストに存在しないことを表す)、スマートロック10の検証部18は、ユーザ端末50の施錠要求を拒絶する(例えば、ユーザ端末50に、後続の施錠手順を行うためのロック部12の識別データを伝送しない)。一方、第2無線装置62の識別データが記憶部16に予め記憶されたMACアドレスのうち何れか1つに合致するとスマートロック10の無線通信モジュール14により判断された場合(返却場所がリストに存在することを表す)、スマートロック10の検証部18は、ユーザ端末50の施錠要求を容認し、無線通信モジュール14はユーザ端末50にロック部12の識別データを伝送して、ユーザ端末50から伝送された第2検証データを受信し、検証部18は第2検証データをさらに検証し、ロック部12を施錠する。第2検証データの生成手順及び第2検証データの検証手順は、解錠に関する第1実施例と類似し、ここでその説明を省略する。本発明の第2実施例に係る乗り物を施錠又は解錠するためのスマートロックは、解錠要求信号又は施錠要求信号を受信した場合、周辺に特定の無線装置が存在するか否かを決定し、周辺に特定の無線装置が存在しないとき、ユーザ端末50の解錠要求又は施錠要求を拒絶することで、利用者が貸出又は返却できない場所で施錠又は解錠を試み続けることによる無駄な時間の浪費を回避できる。
【0021】
一方、スマートロック10が乗り物を施錠又は解錠する際に、ユーザ端末50又はスマートロック10は、クラウドサーバ70に施錠時間及び解錠時間(又は貸出期間)を伝送し、ユーザ端末50を利用する利用者のアカウントをさらに課金してもよい。
【0022】
図6は本発明のスマートロックの制御方法のフローチャート100である。本発明のスマートロックの制御方法は以下のステップを含む。
【0023】
ステップ110:乗り物に設けられ、複数の所定の無線装置の識別データを予め記憶するスマートロックを提供する。
【0024】
ステップ120:該スマートロックは、ユーザ端末から伝送された解錠要求信号を受信した場合、該ユーザ端末に該スマートロックの識別データを伝送する。
【0025】
ステップ130:該スマートロックは、該ユーザ端末から伝送された、第1無線装置の識別データ及び該スマートロックの識別データを暗号化して生成された第1検証データを受信する。
【0026】
ステップ140:該スマートロックは、該スマートロックの識別データに基づいて該第1検証データを復号して該第1無線装置の識別データを取得する。
【0027】
ステップ150:該スマートロックは、該第1無線装置の識別データが該複数の所定の無線装置のうち何れか1つの識別データに合致すると判断した場合、該乗り物を解錠する。
【0028】
従来技術に比べて、本発明のスマートロックは、特定の無線装置が設置された場所で自転車を貸出するように解錠し、或いは自転車を返却するように施錠することができ、従来のシェアリング自転車のために大規模な自転車スタンドを設置する必要があるという欠点を改善できる。また、本発明のスマートロックは、GPS以外の無線通信技術を用いて解錠又は施錠の手順を行うことができるため、GPSの搭載されているシェアリング自転車の測位が天候に影響されやすいという欠点を改善できる。
【0029】
以上は本発明の好ましい実施例を説明しているが、本発明の特許請求の範囲に基づいて均等的に変更、修正されたものは全て本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0030】
10 スマートロック
12 ロック部
14 無線通信モジュール
16 記憶部
18 検証部
40 自転車
50 ユーザ端末
60 第1無線装置
62 第2無線装置
70 クラウドサーバ
100 フローチャート
110〜150 ステップ