(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜6のいずれかに記載の整髪剤組成物を容器から霧状に吐出して毛髪に適用した後、ドライヤーの温風を当てながら整髪道具を用いて毛束の長さ方向に毛髪を引き伸ばす操作を行う整髪方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔成分(A):一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサングラフトポリマー〕
成分(A)は、主鎖としてオルガノポリシロキサンセグメントを有し、側鎖として不飽和単量体由来重合体セグメントを有するオルガノポリシロキサングラフトポリマーであり、主鎖と側鎖とが特定比率となっている。成分(A)は毛髪上に塗布した場合、ブロー時に適度な抵抗をブラシに与えることができるため、ブロースタイリング剤には特に好適に用いることができる。なお、成分(A)において、上記不飽和単量体由来の重合体セグメント(以下、単に「重合体セグメント(b)」と称する)とは、一般式(1)中のm個のカッコで囲まれた繰り返し単位からなる部分をいい、オルガノポリシロキサンセグメント(a)とは、一般式(1)中の重合体セグメントを除く全体をいう。
【0016】
一般式(1)において、R
1は炭素数1〜8のアルキル基であり、アルキル基としては、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基が挙げられる。成分(A)のグラフトポリマーの水分散性の観点から炭素数1以上6以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基がより好ましく、炭素数1以上3以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0017】
R
2は、水酸基、炭素数1〜22の炭化水素基であり、炭素数1〜22の炭化水素基としては、飽和でも不飽和でもよく、また直鎖でも分岐鎖でもよいが、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。R
2としてより好ましくは、水酸基又は炭素数1〜8の炭化水素基であり、炭素数1〜8の炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。それらの中でも水酸基、又はメチル基が更に好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0018】
R
3は、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基であり、その炭素数は、成分(A)のグラフトポリマー製造時の原料の入手性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、成分(A)のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である。
【0019】
本発明において、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−COO−、−NHCO−、及び−NR
31CO−から選ばれる1つ以上の原子又は官能基によって分断されていてもよい。すなわち、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、「−(アルキレン基部分1)−(上記の原子又は官能基)−(アルキレン基部分2)−」という構造であってもよく、この場合、アルキレン基の炭素数とは、アルキレン基部分1の炭素数及びアルキレン基部分2の炭素数の和、すなわちアルキレン基を分断している上記の原子又は官能基以外の部分の炭素数の和をいう。ここでR
31は、炭素数1以上3以下のアルキル基である。ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基が上記原子又は官能基によって分断されている場合は、成分(A)のグラフトポリマーの製造の容易さの観点から、−NHCO−によって分断されていることが好ましい。
【0020】
本発明において、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2以上4以下の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、カルボキシ基、及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換していてもよい。この場合、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基の炭素数には、これら置換基の炭素数を含まない。成分(A)のグラフトポリマー製造時の原料入手性の容易さの観点から、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、アセトアミド基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、及びアミノ基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換していることが好ましい。
【0021】
本発明において、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、−O−、−S−、−NH−、−NR
32−、及び−COO−から選ばれる、2価のヘテロ原子、又はヘテロ原子を含む2価の基が置換していてもよい。ここでR
32はジメチルアミノ基が置換していてもよいアルキル基(炭素数1以上3以下)である。該ヘテロ原子、又はヘテロ原子を含む2価の基は、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基が不飽和単量体由来の重合体セグメントとの連結基として働く場合には、不飽和単量体由来の重合体セグメントと結合している。その他の場合は水素原子と結合している。成分(A)のグラフトポリマーの製造の容易性の観点から、ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基は、−S−が置換していることが好ましい。
【0022】
ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基(R
3)は、該ヘテロ原子、好ましくは窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子、より好ましくは硫黄原子を介して不飽和単量体由来の重合体セグメントと結合していることが好ましい。
したがって、R
3で表される「ヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基」には、
(ア)無置換のアルキレン基、
(イ)酸素原子、硫黄原子、−NH−、−COO−、−NHCO−、及び−NR
31CO−から選ばれる1つ以上の原子又は官能基によって分断されたアルキレン基、
(ウ)水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2以上4以下の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、カルボキシ基及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換しているアルキレン基、
(エ)−O−、−S−、−NH−、−NR
32−及び−COO−から選ばれる2価のヘテロ原子、又はヘテロ原子を含む2価の基が置換したアルキレン基
のほか、上記(イ)、(ウ)、(エ)の2以上の組合せからなるアルキレン基が該当する。
【0023】
R
3のヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基の具体例としては、下記式(i)〜(xii)が例示される。中でも成分(A)のグラフトポリマーの製造上の容易さの観点から、下記式(xi)及び(xii)が好ましい。
【0025】
式(i)〜(xii)中、*は、前記一般式(1)におけるケイ素原子に結合する部位を表し、**は、不飽和単量体由来の重合体セグメントに結合する部位を表す。
式(xii)中、X
31は−O−、−OCO−、−COO−、−CONH−、−NHCO−から選ばれる一種以上であり、成分(A)のグラフトポリマーの製造上の容易さの観点から−CONH−又は−NHCO−が好ましく、−NHCO−がより好ましい。
【0026】
また、式(xii)中、R
33は、水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2以上4以下の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、カルボキシ基及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換していてもよいアルキレン基である。置換基としては、製造時の原料入手性の観点から、アセトアミド基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、及びアミノ基であることが好ましい。R
33で表されるアルキレン基の炭素数は、成分(A)のグラフトポリマーの製造上の容易さの観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、成分(A)のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは6以下である。
R
33の具体例としては、下記式(xiii)〜(xv)が挙げられる。
【0028】
式(xiv)中、X
-は塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン、酢酸イオン、アルキル(炭素数1以上3以下)硫酸イオン等のアニオンを表す。
【0029】
R
4は、水素原子又はメチル基を示すが、その中でも水素原子が好ましい。
【0030】
R
5は同一でも異なってもよく、水素原子、又は水酸基、アミノ基若しくはモノ若しくはジC
1-4アルキルアミノ基が置換していてもよい炭素数1〜8の炭化水素基を示す。R
5における炭素数1〜8の炭化水素基としては、飽和でも不飽和でもよく、また直鎖でも分岐鎖でもよいが、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。R
5としては、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ジメチルアミノプロピル基が好ましい。このうち水素原子、メチル基、tert-ブチル基が好ましい。
【0031】
R
1〜R
5は、R
1、R
2がメチル基であり、R
3が式(xii)であり、R
4が水素原子であり、R
5が同一でも異なっていてもよい水素原子、メチル基及びtert-ブチル基から選ばれるものであるポリマーがより好ましい。更にはポリシリコーン-28のINCI名を有するポリマーが好ましい。
【0032】
ただし、成分(A)の良好な水分散性の観点より、一般式(1)中のm個の繰り返し単位中、2つのR
5が共にメチル基である繰り返し単位の比率は、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上であり、また、毛髪をセットした後の毛髪のべたつき軽減の観点から、100質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
【0033】
pは、毛髪をセットした後の毛髪のべたつき低減の観点より、50以上、好ましくは80以上、より好ましくは100以上であり、また、2000以下、好ましくは1300以下、より好ましくは700以下である。qは、成分(A)のグラフトポリマーの水分散性の観点より、3以上、好ましくは5以上であり、また、50以下、好ましくは30以下である。mは、良好なセット性と、成分(A)のグラフトポリマーの良好な水分散性の観点より、10以上、好ましくは15以上、より好ましくは20以上であり、また、100以下、好ましくは70以下、より好ましくは50以下である。
【0034】
また、成分(A)の水分散性の観点、及び毛髪をセットした後の毛髪のベタツキ軽減の観点から、オルガノポリシロキサンセグメント(a)と重合体セグメント(b)の質量比(a/b)は、好ましくは10/90以上、より好ましくは20/80以上、更に好ましくは30/70以上、更に好ましくは35/65以上であり、また好ましくは70/30以下、より好ましくは60/40以下、更に好ましくは50/50以下である。
【0035】
なお、本明細書において、前記質量比(a/b)は、成分(A)のグラフトポリマーが後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合には、「製造時に投入されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンの総質量(c)」と、「製造時に投入される不飽和単量体の総質量(d)」から「製造時に生成するオルガノポリシロキサンに結合していない不飽和単量体由来の重合体の総質量(e)」を差し引いた値」との比(c/(d−e))と同一であるとみなす(下式(I))。
【0037】
また、成分(A)のグラフトポリマー分子において、隣接する不飽和単量体由来の重合体セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの数平均分子量(MNg)(以下、「グラフト点間分子量」ということがある)は、成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含有する整髪剤組成物で毛髪をセットした場合のセット力とセット後の毛髪形状の保持力の向上の観点から、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、更に好ましくは1,000以上、更に好ましくは1,500以上であり、成分(A)のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは1万以下、より好ましくは5,000以下、更に好ましくは3,000以下、更に好ましくは2,500以下である。
【0038】
ここで、「隣接する不飽和単量体由来の重合体セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメント」とは、下記式に示すように、不飽和単量体由来の重合体セグメントのオルガノポリシロキサンセグメントに対する結合点(結合点A)から、これに隣接する不飽和単量体由来の重合体セグメントの結合点(結合点B)までの2点間において破線で囲まれた部分であって、1つのR
1SiO単位と、1つのR
3と、y
1+1個のR
12SiO単位とから構成されるセグメントをいう。
【0040】
式中、R
1及びR
3は前記一般式(1)と同じ意味を示し、−W
1−R
6は不飽和単量体由来の重合体セグメントを示し、R
6は重合開始剤の残基又は水素原子を示し、y
1は正の数を示す。
【0041】
グラフト点間分子量は、上記式において破線で囲まれた部分の分子量の平均値であって、不飽和単量体由来の重合体セグメント1モル当たりのオルガノポリシロキサンセグメントの質量(g/mol)と解することができる。グラフト点間分子量は、成分(A)のグラフトポリマーが後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合であって、かつすべてのラジカル反応性官能基と不飽和単量体由来の重合体とが結合している場合には、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりに存在するラジカル反応性官能基モル数(mol/g)の逆数の値と同一とみなされる。
【0042】
また、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWsi)は、本発明の整髪剤組成物で毛髪をセットした場合のセット力及びセット後の毛髪形状の保持力の観点から、好ましくは3,000以上、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは1万以上、更に好ましくは15,000以上である。MWsiは、成分(A)のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは20万以下、より好ましくは10万以下、更に好ましくは6万以下、更に好ましくは5万以下である。
【0043】
成分(A)のオルガノポリシロキサングラフトポリマーが後述のラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造される場合には、オルガノポリシロキサンセグメントは、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、MWsiはラジカル反応性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量(MWra)と略同一であり、本発明においては同一と見なす。なお、MWraは、実施例に記載の測定条件によるゲル浸透クロマトグラフ法(GPC)で測定し、ポリスチレン換算したものである。
【0044】
成分(A)のグラフトポリマーの重量平均分子量(MWt)は、本発明の整髪剤組成物で毛髪をセットした場合のセット力及びセット後の毛髪形状の保持力の観点から、好ましくは10,000以上、より好ましくは14,000以上、更に好ましくは17,000以上、更に好ましくは30,000以上であり、成分(A)のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは200,000以下、より好ましくは160,000以下、更に好ましくは130,000以下、更に好ましくは95,000以下である。当該範囲内であれば、十分な皮膜強度を確保でき、加えて水分散性が優れるようになり、また、べたつかず、かつセット力及びセット後の毛髪形状の保持力がより一層向上したものとすることができる。
本明細書において、MWtは、実施例に記載の測定条件によるGPCで測定し、ポリスチレン換算したものである。
【0045】
また、成分(A)のグラフトポリマーをラジカル反応性オルガノポリシロキサンから製造する場合に、MWraと前述の質量比(a/b)の逆数から下式(II)を用いて得られる成分(A)のグラフトポリマーの計算上の重量平均分子量(MWtcalc)は、本発明の整髪剤組成物で毛髪をセットした場合のセット力及びセット後の毛髪形状の保持力の観点から、好ましくは10,000以上、より好ましくは14,000以上、更に好ましくは17,000以上、更に好ましくは30,000以上であり、成分(A)のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは200,000以下、より好ましくは160,000以下、更に好ましくは130,000以下、更に好ましくは95,000以下である。
【0046】
MWtcalc=MWra×{1+質量比(b/a)} (II)
【0047】
(オルガノポリシロキサングラフトポリマーの製造)
成分(A)のオルガノシロキサングラフトポリマーを製造する方法としては、特許文献1に記載の方法が挙げられる。具体的には、下記一般式(1a)で表されるラジカル反応性オルガノポリシロキサンに、(メタ)アクリルアミド系単量体をラジカル重合させるグラフト−フロム法が挙げられる。
【0049】
〔式中、R
1、R
2、p及びqは前記一般式(1)と同じ意味を示し、R
7はラジカル反応性官能基を有するアルキル基(以下「ラジカル反応性基含有アルキル基」ともいう)を表す。〕
【0050】
ここで、ラジカル反応性官能基とは、ラジカルを発生し得る官能基のことをいい、例えば、エチレン性不飽和基、クロロ基やブロモ基等のハロゲノ基、スルファニル基(メルカプト基)等が挙げられる。これらの中では不飽和単量体との反応性、分子量制御の観点から、スルファニル基が好ましい。
【0051】
一般式(1a)において、R
7で示されるラジカル反応性基含有アルキル基の炭素数は、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの入手の容易性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、成分(A)のグラフトポリマーの水分散性の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である。
なお、本発明において、ラジカル反応性基含有アルキル基の炭素数には、ラジカル反応性官能基が炭素を有する場合であってもラジカル反応性官能基の炭素数は含まれず、またラジカル反応性基含有アルキル基が前述の1価の基が置換したものであった場合も、該1価の基の炭素数は含まれない。
【0052】
一般式(1a)において、R
7で示されるラジカル反応性基含有アルキル基には、水酸基、アミノ基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基と炭素数2以上4以下の脂肪酸が脱水縮合して得られるアミド基、カルボキシ基及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル基から選ばれる1つ以上の1価の基が置換していてもよい。これら置換基のうち、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの製造時の原料入手の容易さの観点から、アセトアミド基、アルキル(炭素数1以上3以下)アミノ基、アミノ基が好ましい。
【0053】
一般式(1a)において、R
7で示されるラジカル反応性基含有アルキル基は、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−COO−、−NHCO−、及び−NR
71CO−から選ばれる1つ以上の原子又は官能基によって分断されていてもよい。ここでR
71は、炭素数1以上3以下のアルキル基である。ラジカル反応性基含有アルキル基が上記原子又は官能基によって分断されている場合は、ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの入手性又は製造の容易さの観点から、−NHCO−によって分断されていることが好ましい。
【0054】
本発明におけるラジカル反応性基含有アルキル基の具体例としては、下記式(xvi)〜(xix)で表される基が挙げられ、中でもラジカル反応性オルガノポリシロキサンの製造上、又は入手の容易さの観点から、下記式(xviii)、(xix)が好ましい。式(xix)中のX
71及びR
72、並びにそれらの好ましい様態は、それぞれ前記式(xii)中のX
31及びR
33、並びにそれらの好ましい様態と同様である。
【0056】
一般式(1a)で表されるオルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、セット力及びセット後の毛髪形状の保持力の観点から、好ましくは3,000以上、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは10,000以上、更に好ましくは15,000以上であり、また、成分(A)の良好な水分散性の観点から、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは60,000以下、更に好ましくは50,000以下である。
【0057】
一般式(1a)で表されるオルガノポリシロキサンの単位質量当たりに存在するラジカル反応性基のモル数は、セット力及びセット後の毛髪形状の保持力の向上の観点から、好ましくは1/500mol/g以下、より好ましくは1/700mol/g以下、更に好ましくは1/1,000mol/g以下であり、また、成分(A)の良好な水分散性の観点から、好ましくは1/10,000mol/g以上、より好ましくは1/5,000mol/g以上、更に好ましくは1/3000mol/g以上である。
【0058】
一般式(1a)で表されるオルガノポリシロキサンとラジカル反応させる(メタ)アクリルアミド系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド等が挙げられる。本発明においては、この(メタ)アクリルアミド系単量体のうち、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドが、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上であり、また、100質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
【0059】
本発明の整髪剤組成物中における成分(A)の含有量は、整髪時に組成物が伸び広がりやすくし、整髪後に優れたうねり矯正力を付与し、まとまりを与える観点及びブロー時に髪に適度なテンションをかけるくし通り性を付与する観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.25質量%以上であり、また、整髪時に組成物が伸び広がりやすくし、整髪後にまとまりを与えると同時に、整髪後に滑らかで自然な感触を与える観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましく5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
【0060】
〔成分(B):アミノ変性シリコーン〕
成分(B)のアミノ変性シリコーンとしては、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
【0062】
〔式中、R
8はメチル基、水酸基又は−R
10−T(R
10は炭素数3〜6のアルキレン基、Tは1〜3級アミノ基含有基又はアンモニウム基含有基)を示し、R
9は−R
11−Q(R
11は炭素数3〜6のアルキレン基、Qは1〜3級アミノ基含有基又はアンモニウム基含有基)を示し、aは1以上の整数を示し、bは0以上の整数を示す。ただし、bが0である場合、R
8は−R
10−Tである。また好ましい平均分子量は3000〜100000である。〕
【0063】
上記一般式で表されるアミノ変性シリコーンとして、例えば、SS-3551、SF8452C(以上、東レ・ダウコーニング社製)、XF42-B1989(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KF-8004、KF-867S、KF-8015(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。一般式(2)で表されるアミノ変性シリコーンは、水性乳濁液の形で配合することもできる。アミノ変性シリコーンのエマルションは、機械的乳化(アミノ変性シリコーンと水との高剪断機械混合)、化学的乳化(アミノ変性シリコーンを水及び乳化剤で乳化)、若しくはこれらの組み合わせによって、又は乳化重合によっても調製することができる。化学的乳化を行う場合には、乳化剤として各種の界面活性剤を用いることができる。アミノ変性シリコーンを水性乳濁液として用いる場合、該水性乳濁液中に含まれるアミノ変性シリコーンの量は20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%が更に好ましい。好ましいアミノ変性シリコーン水性乳濁液としては、SM8904CE、BY22-079(東レ・ダウコーニング社製)、XS65-C0032、XS65-C0032(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、X-52-2265(信越化学工業社製)が挙げられる。
【0064】
本発明の整髪剤組成物中における成分(B)の含有量は、整髪時に組成物が伸び広がりやすくし、整髪後に優れたうねり矯正力及び毛髪形状持続力を付与する観点から、好ましくは0.04質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.08質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、また、整髪時に組成物が自発的に伸び広がりやすくし、整髪後に優れたうねり矯正力及び毛髪形状持続力を付与し、滑らかさを両立する観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下である。
【0065】
また、成分(A)と成分(B)との質量比(A)/(B)は、整髪時に組成物が伸び広がりやすくし、整髪後に優れたうねり矯正力及び毛髪形状持続力を付与し、髪を毛先までまとまりを良くし、滑らかさを両立する観点より、好ましくは1.5以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上であり、また、好ましくは30以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下である。
【0066】
〔成分(C):カチオン性界面活性剤〕
本発明の整髪剤組成物には、更に成分(C)としてカチオン性界面活性剤を含有させることができる。カチオン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩、アルキルエーテル4級アンモニウム塩等の4級アンモニウム塩、並びにヒドロキシエーテルアルキルアミン、エーテルアミン、アルキルアミドアミン等の3級アミン及びその塩から選択される一種以上が挙げられる。
【0067】
好ましいカチオン性界面活性剤としては、以下の一般式(3)で表されるアルキル4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0069】
〔式中、R
12及びR
13は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜28のアルキル基又はベンジル基を示し、少なくとも1つは炭素数8以上のアルキル基である。R
14及びR
15は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜5のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基、又は合計付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を有するヒドロキシアルキル基を示し、An
-は、陰イオンを示す。〕
【0070】
一般式(3)で表されるアルキル4級アンモニウム塩において、R
12又はR
13がアルキル基である場合は、炭素数16〜24のものが好ましく、また直鎖アルキル基が好ましい。An
-としては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン、エチル硫酸イオン、炭酸メチルイオン等の有機アニオン等が挙げられ、ハロゲン化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。
【0071】
一般式(3)で表されるアルキル4級アンモニウム塩としては、モノ長鎖アルキル4級アンモニウム塩(R
12が炭素数8〜28のアルキル基、R
13が炭素数1〜6のアルキル基であるもの)が好ましく、具体的には、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム等の塩化アルキルトリメチルアンモニウムが挙げられ、中でも塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0072】
成分(C)は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。本発明の整髪剤組成物中の成分(C)の含有量は、整髪後に優れた指通り性及び毛髪へ柔らかな感触を付与する観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.2質量%以上である。また、整髪後に優れた指通り性及び毛髪へ柔らかな感触を付与し、ベタつきのなさを両立する観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0073】
〔成分(D):非イオン界面活性剤〕
本発明の整髪剤組成物には、更に成分(D)として非イオン界面活性剤を含有させることができる。成分(D)の非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルサッカライドが好ましく、ポリオキシエチレンアルキル(12〜14)エーテル、アルキルポリグルコシドがより好ましい。
【0074】
成分(D)の非イオン界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明の整髪剤組成物中における成分(E)の含有量は、整髪後の毛髪のまとまり性及び、毛髪への柔軟性を付与する観点より、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.6質量%以下である。
【0075】
〔溶媒〕
本発明の整髪剤組成物には、更に溶媒としてエタノール及び/又は水が含有されることが好ましい。本発明の整髪剤組成物中の溶媒の含有量は、組成物に含まれるポリマーや可塑剤の溶解性を良好にする観点から、好ましくは4質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。
【0076】
〔他の任意成分〕
本発明の整髪剤組成物には、上記成分のほか、通常の毛髪化粧料に用いられる成分を目的に応じて配合できる。このような成分としては、例えば、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、多価アルコール(ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ソルビトール等)、エタノール以外の有機溶剤(芳香族アルコール等)、抗フケ剤、ビタミン剤、殺菌剤、抗炎症剤、キレート剤、保湿剤(パンテノール等)、pH調整剤、染料、顔料等の着色剤、植物エキス、パール化剤、香料、紫外線吸収剤、酸化防止剤などが挙げられる。
【0077】
〔粘度、剤型〕
本発明の整髪剤組成物の形態は、泡状、液状、霧状、ゲル状、ペースト状、クリーム状等、適宜選択できるが、毛髪への均一な塗布を実現する観点から、霧状が好ましい。また、セットスプレー、セットフォーム等のハードセット剤、及びセットローション、セットジェル、ブロー剤等のソフトセット剤が好ましい。本発明の整髪剤組成物は、ジャー、ポンプディスペンサー、エアゾール缶、ポンプミスト、トリガーミスト、ノンエアゾールフォーマー容器(たとえばポンプフォーマーやスクイズフォーマー)に入れて使用することができる。この中でもポンプミスト容器又はトリガーミスト容器に入れて使用することが好ましい。
【0078】
本発明の整髪剤組成物は、様々な容器に充填することができるので、1〜50,000mPa・sの幅広い粘度領域で好適に使用することができる。ポンプ式容器(ポンプディスペンサー)に入れて使用する場合には、比較的低粘度であることが好ましく、かかる粘度は、好ましくは1mPa・s以上であり、また、好ましくは20,000mPa・s以下、より好ましくは10000,mPa・s以下、更に好ましくは10,00mPa・s以下、更に好ましくは100mPa・s以下、更に好ましくは50mPa・s以下である。
【0079】
ここでの粘度は、組成物の粘度が20,000mPa・sまではB型粘度計TVB-10M(東機産業社)で、組成物の粘度が20,000mPa・sを超える場合は、B型粘度計TVB-10R(東機産業社)とT-BAR STAGE TS-10(東機産業社)を併用し、30℃で60秒間回転後の条件で、以下のローター、回転数を用いて測定するものとする。回転数は、組成物の粘度が10mPa・sまでは30rpm、10mPa・sを超え20mPa・sまでは60rpm、20mPa・sを超え20,000mPa・sまでは30rpm、20,000mPa・sを超える場合は5rpmを使用し、また、ローターは、組成物の粘度が10mPa・sまではL/Adp、10mPa・sを超え200mPa・sまではM1、200mPa・sを超え1,000mPa・sまではM2、1,000mPa・sを超え4,000mPa・sまではM3、4,000mPa・sを超え20,000mPa・sまではM4、20,000mPa・sを超え160,000mPa・sまではT-B、160,000mPa・sを超える場合は、T-Cを使用する。
【0080】
〔整髪方法〕
本発明の整髪剤組成物は、濡れ髪、乾き髪のいずれにも好適に使用することができ、特にブロースタイリング用として好適である。本発明の整髪剤組成物を用いた整髪方法は、通常のブロースタイリングと同様に操作すればよく、整髪剤組成物を毛髪に適用した後、頭髪から適量の毛束を取り、これにドライヤーの温風を当てながら、クシ、ブラシ等の整髪道具を用いて毛束の長さ方向に毛髪を引き伸ばす操作を所定時間かけて行う方法が挙げられる。
【0081】
より具体的には、頭髪から取る毛束の幅は、毛髪に適切なテンションをかけやすい1〜10cmが好ましく、更には2〜8cm、更には2〜5cmが好ましい。ドライヤーの温風の温度は、50〜130℃、更には60〜120℃が好ましい。毛束を根元から毛先の方向に引き伸ばすのに用いる整髪道具としては、クシ、ブラシのほか、風口にブラシのアタッチメントを取りつけられるドライヤーを用いることもできる。この操作は、毛髪に十分な熱を与えて乾燥させることで十分な整髪効果を得ると共に、腕の疲れや熱による毛髪への過剰なダメージを防ぐ観点より、2〜20秒の時間をかけて行う必要があり、3〜18秒、更には5〜15秒の時間をかけることが好ましい。
【実施例】
【0082】
以下の実施例において使用したポリマーの合成方法を示す。
【0083】
合成例1 オルガノポリシロキサングラフトポリマー(ポリシリコーン-28;成分(A)のポリマー)の合成
(1) ラジカル反応性オルガノポリシロキサンの合成
還流冷却管、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンとして、側鎖一級アミノプロピル変性オルガノポリシロキサン(重量平均分子量30,000、単位質量当たりのアミノ基のモル数;1/2,030mol/g、東レ・ダウコーニング社製)を100g、N-アセチル-DL-ホモシステインチオラクトンを8g仕込んだ。窒素雰囲気下で、100℃に昇温し、3時間撹拌し、スルファニル基を有するラジカル反応性オルガノポリシロキサンを合成した。電位差滴定測定によりアミノ基の残存量を測定したところ、原料とした側鎖一級アミノイソプロピル変性オルガノポリシロキサンのアミノ基の99%がN-アセチル-DL-ホモシステインチオラクトンと反応していた(アミノ基転化率99%)。したがってラジカル反応性オルガノポリシロキサンの単位質量当たりのスルファニル基のモル数は1/2,210mol/gである。GPC測定により求めたラジカル反応性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量は、30,000であった。
【0084】
(2) オルガノポリシロキサングラフトポリマーの合成
還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにエタノール101.0gを仕込んだ。エタノールを窒素雰囲気下80℃の還流下で撹拌しながら、下記溶液(a)及び溶液(b)をそれぞれ別の滴下ロートに入れ、同時に1時間かけて滴下した。
溶液(a):N,N-ジメチルアクリルアミド(DMAAm)76.8g、N-tert-ブチルアクリルアミド(tBuAAm)19.2g、エタノール96.0gを混合した溶液。
溶液(b):前記(1)にて合成したラジカル反応性オルガノポリシロキサンA 64.0g、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)「V-65B」(和光純薬工業(株)製、アゾ系重合開始剤)0.03g、エタノール43.0gを混合した溶液。
【0085】
滴下終了後、反応混合物を80℃で3時間撹拌したのち冷却した。反応時間は計4時間である。反応混合物から室温(25℃)、減圧下(20kPa)で4時間かけてエタノールを除去し、オルガノポリシロキサングラフトポリマーを含む混合物を白色固体として得た。上記方法でスルファニル基の残存率を測定したところ、3%であった。
得られた混合物について上記方法に従って、反応終了後のオルガノポリシロキサングラフトポリマーを含む混合物中における、オルガノポリシロキサングラフトポリマーに結合していない不飽和単量体由来の重合体の含有量を測定したところ、29質量%であった。オルガノポリシロキサンセグメント(a)と不飽和単量体由来の重合体セグメント(b)との質量比(a/b)を前記数式(I)により算出したところ、56/44であった。
また、オルガノポリシロキサングラフトポリマーの重量平均分子量は63,000であった。なお、このポリマーは、一般式(1)中のpは380、qは15、mは27であった。
【0086】
なお、合成例1によって得られたポリマーの重量平均分子量は、以下の条件を用いてGPC測定を行うことにより求めた。
<GPC測定条件>
カラム:「K-804L」(東ソー(株)製)2つを直列につないで使用。
溶離液:1mMジメチルドデシルアミン/クロロホルム溶液
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
サンプル濃度及びサンプル量:5mg/mL,500μL
【0087】
合成例2 N-プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体Aの合成
硫酸ジエチル0.8g(0.005モル)と2-エチル-2-オキサゾリン12.8g(0.14モル)を脱水した酢酸エチル29gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、2700であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量100000、アミン当量20000)100gを33%酢酸エチル溶液として一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を、淡黄色ゴム状固体(111g、収率98%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は88質量%であり、重量平均分子量は114000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果によると、アミノ基は残存していなかった。
【0088】
実施例1〜5、比較例1〜6
表1〜2に示す整髪剤組成物を調製し、これをポンプミスト容器〔吉野工業社製、ポンプディスペンサー:YSR チップ:0.3J〕に充填したものを用い、下記方法及び基準に従って、性能評価を行った。
性能評価の際には、中国人のカラー処理履歴があるウェービー毛を用いて、30cm、重さ3.0gの毛束を作製し、花王社製、サクセス薬用シャンプーhを用いて洗髪し、タオルドライした後、常湿下室温で6時間時間自然乾燥させたものを評価用毛束として使用した。
【0089】
<整髪後のうねり矯正力>
上記評価用毛束に毛髪処理剤0.3gをポンプミストを用いて均一に塗布した後、市販のラウンドブラシを用いて根元から毛先にかけて1回ブラシブローを行った。根元から毛先へブラシを通す時間は15秒(丁寧なブラシブローを想定)をかけてブラシブローを行った。処理後の毛髪のうねりの矯正力を目視で確認した。評価は7名のパネラーに上記操作によって各組成物を用いて処理した際に、「うねりが伸びている」/「どちらともいえない」/「うねりが伸びていない」のいずれであるのかを択一的に選択させた。
【0090】
<整髪後のまとまり>
<整髪後のうねり矯正力>の評価と同様の処理をした後の毛先のまとまりの状態を目視観察し、評価を行った。評価は7名のパネラーに「毛先がまとまっている」/「どちらともいえない」/「毛先がまとまっていない」のいずれであるのかを択一的に選択させた。
【0091】
<整髪時のくし通りの良さ>
<整髪後のうねり矯正力>でブラシブローを行っている際の毛束のくし通りの良さについて、7名のパネラーに「くし通りが良い」/「どちらともいえない」/「くし通りが悪い」のいずれであるのかを択一的に選択させた。
【0092】
<整髪後の滑らかさ>
<整髪後のうねり矯正力>の処理をした後の毛束の滑らかさについて、7名のパネラーに「滑らかである」/「どちらともいえない」/「滑らかでない」のいずれであるのかを択一的に選択させた。
【0093】
<仕上げ後の高湿下での形状持続性>
<整髪後のうねり矯正力>でブラシブローを行った条件でで処理した毛束を25℃、90%RHの恒温槽に15分放置した後、毛束形状を観察した。評価は7名のパネラーに「毛髪形状が持続する」/「どちらともいえない」/「毛髪形状が持続しない」のいずれであるのかを択一的に選択させた。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
<組成物の濡れ広がり性確認試験>
毛髪上での整髪剤組成物の濡れ広がりやすさを疑似的に確認するため、表1に記載の実施例1、実施例3、比較例1の整髪剤組成物0.1mLをポリプロピレンのシートに2cmの高さから滴下し、滴下直後の液滴の占める面積を算出した。
【0097】
【表3】
【0098】
処方例1
(質量%)
エタノール 19.8
合成例1のポリシリコーン-28 1.2
リンゴ酸 0.05
合成例2のN-プロピオニルポリエチレンイミン
・メチルポリシロキサン共重合体A 0.76
ステアリルトリモニウムクロリド 0.28
PEG-400 0.2
PEG-60水添ヒマシ油 0.2
(C12-14)s-パレス-9 0.2
乳酸 0.17
アモジメチコン 0.16
ジプロピレングリコール 0.1
ベンジルアルコール 0.1
PEG-32 0.05
セテアレス-7 0.03
セテアレス-25 0.006
香料 0.07
水 残量