(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明にかかる実施の形態のプレスシステムについて図面を参照しながら以下に説明する。
(実施の形態1)
以下に、本発明にかかる実施の形態1のプレスシステム1について以下に説明する。
<1.構成>
(1−1.プレスシステムの構成の概要)
図1は、本実施の形態のプレスシステム1の構成を示す模式図である。本実施の形態のプレスシステム1は、順送り型であって、コイル材供給装置2と、プレス装置3と、コイル材案内装置4と、全体制御部5と、を備えている。
【0026】
コイル材供給装置2は、コイル材100をプレス装置3に供給する。プレス装置3は、コイル材100をプレス加工して製品101を形成する。コイル材案内装置4は、コイル材100の先端100aのプレス装置3への案内と、コイル材100の終端100b(
図17(a)参照)のプレス装置3への搬送を行う。
コイル材100の先端100aのプレス装置3への案内とは、コイル材100または金型8を交換した際に、コイル材100の先端100aをプレス装置3へと自動で導くことである。コイル材100の終端100bのプレス装置3への搬送とは、コイル材100の終端100bがコイル材供給装置2から排出されてプレス装置3へと供給できなくなった終端材料をプレス装置3への搬送することである。
【0027】
全体制御部5は、コイル材供給装置2の供給装置制御部24と、プレス装置3のプレス装置制御部38と、コイル材案内装置4の案内装置制御部45と信号を送受信しながら、プレスシステム1の全体の制御を行う。
なお、全体制御部5、供給装置制御部24、プレス装置制御部38、および案内装置制御部45、および位置記憶部46(後述する)は、制御装置9に設けられている。制御装置9は、CPU、メモリ、ディスプレイ、および操作部(キーボード、ボタンなど)を有している。
【0028】
金型8は、
図1に示すように、上金型6および下金型7を含む。
(1−2.コイル材供給装置)
コイル材供給装置2は、コイル材供給装置本体20と、コイル材供給装置本体20を制御する供給装置制御部24とを有する。コイル材供給装置本体20は、アンコイラ21と、レベラー22と、フィーダ23と、を有する。
【0029】
アンコイラ21は、巻き回されたコイル材100を解きながら送り出す。アンコイラ21は、マンドレル211と、コイル押さえ212と、コイル台213とを有する。コイル材100は、コイル台213の上側に配置されている。マンドレル211は駆動機構を持ち、コイル材100を繰り出す。コイル押さえ212は、コイル材100が余分に繰り出されることを防止する。
【0030】
フィーダ23は、複数のローラ231を有し、アンコイラ21から繰り出されるコイル材100をプレス装置3へと搬送する。
レベラー22は、コイル材100の搬送方向Xを基準にしてフィーダ23の上流側に配置されている。レベラー22は、複数のローラ221を有しており、ローラ221の間を通過するコイル材100の巻き癖を矯正する。
【0031】
また、フィーダ23のローラ231の下流側には、コイル材100の終端100b(
図17(a)参照)を検出する終端検出部236が設けられている。終端検出部236は、例えば赤外線センサ等によって構成されており、コイル材100がなくなったことを検出する。
レベラー22とフィーダ23の間のフロアFには、凹状のループピット25が形成されており、コイル材100がループを形成する。このループは、プレス装置3におけるプレス加工の際にコイル材100に余分な張力がかかることを防止する。
【0032】
供給装置制御部24は、アンコイラ21およびローラ221、231の駆動の制御を行い、コイル材100の供給を制御する。
(1−3.プレス装置)
プレス装置3は、コイル材供給装置2のフィーダ23の下流側に配置されており、プレス装置本体30と、プレス装置本体30の制御を行うプレス装置制御部38を有する。
【0033】
プレス装置本体30は、ベッド32と、アプライト33と、クラウン34と、スライド35と、プレス駆動部36と、ボルスタ37とを有する。
ベッド32は、プレス装置3の土台を構成する。
アプライト33は、柱状の部材であり、ベッド32上に4本配置されている。4本のアプライト33は、平面視において矩形状の各頂点を形成するように配置されている。
図1では、アプライト33を2本のみ図示している。
【0034】
クラウン34は、4本のアプライト33によって上方に支持されている。スライド35は、クラウン34の下側に吊下されている。
プレス駆動部36は、クラウン34に設けられている。プレス駆動部36は、ポイントアセンブリ39を介してクラウン34の下側に吊下されたスライド35と連結されており、スライド35を昇降移動させる。ポイントアセンブリ39は、搬送方向Xに沿って2つ設けられており、スライド35が2ポイントで支持されている。なお、ポイントアセンブリ39の数は1つ若しくは3つ以上であってもよい。
【0035】
プレス駆動部36は、例えば、駆動源としてのサーボモータ、サーボモータの回転を減速する減速機、およびクランク機構などを備えている。クランク機構によってサーボモータの回転運動が上下方向の運動に変換され、クランク機構が連結されているポイントアセンブリ39が上下移動し、スライド35が上下移動する。
スライドの35の下面には、図示しないダイクランパによって上金型6が搬送方向に沿って着脱自在に取り付けられる。
【0036】
ボルスタ37には、下金型7が搬送方向に沿って載置される。
図2は、コイル材案内装置4の周辺の構成を示す斜視図である。
図2では、金型8のうち下金型7のみが示されている。
図2に示すように、下金型7には、コイル材100を搬送方向Xに案内するリフタガイド71が設けられている。
リフタガイド71は、下金型7の幅方向Yの両端に設けられており、内側に搬送方向Xに沿って溝71aが形成されている。幅方向Yの両側のリフタガイド71の溝71aにコイル材100の幅方向Yの両端が嵌ることによって、コイル材100は搬送方向Xに案内されプレス動作の際に上下動される。
【0037】
また、リフタガイド71のコイル材供給装置2側の端には、コイル材案内装置4によってリフタガイド71の溝71aにコイル材100の先端100aを導き易くするための端ガイド72が設けられている。端ガイド72は、溝71aの端の上下から搬送方向Xの上流側に向かって形成された2つのガイド部材72a、72bによって構成されており、2つのガイド部材72a、72bは、搬送方向Xの上流側に向かって上下方向の間隔が広くなるように形成されている。
【0038】
プレス装置制御部38は、供給装置制御部24および案内装置制御部45によるコイル材100の供給に合わせてプレス駆動部36を制御してスライド35を上下動させる。これによってプレス加工が行われる。
(1−4.コイル材案内装置)
本実施の形態のコイル材案内装置4は、
図1に示すように、コイル材案内装置本体40と、案内装置制御部45と、位置記憶部46と、を備えている。
【0039】
案内装置制御部45は、コイル材案内装置本体40を制御する。位置記憶部46は、金型8ごとに、コイル材案内装置本体40の後述する案内部41の案内位置を記憶する。
図3は、
図2のコイル材案内装置本体40の拡大図である。
図3は、案内部41が上方に回動し、後述するスライド部52が回動部51に対してプレス装置3側にスライドした状態を示す。
図4は、
図3のコイル材案内装置本体40を搬送方向Xの下流側の下方から見た斜視図である。
【0040】
図2〜
図4に示すように、コイル材案内装置本体40は、案内部41(
図2参照)と、スライド駆動部42(
図2および
図4参照)と、回動駆動部43(
図4参照)と、搬送部44(
図2および
図3参照)とを主に有する。
案内部41は、コイル材供給装置2から供給されるコイル材100を下方から支持することによって、コイル材100の先端100a(
図1参照)をプレス装置3に配置される金型8の端ガイド72へと案内する。
【0041】
スライド駆動部42は、案内部41を伸縮させる。回動駆動部43は、案内部41をフィーダ23のハウジング232側の端部41bを支点として回動する。
スライド駆動部42および回動駆動部43の駆動によって、案内部41は、案内位置(後述する
図6参照)と、案内位置から退避した退避位置(後述する
図8参照)の間を移動する。案内位置とは、コイル材100の先端100aを案内および終端100bを搬送する際にコイル材100を支持する位置である。
【0042】
(1−4−1.案内部)
案内部41は、フィーダ23のハウジング232の側面に回動可能に設けられている。ハウジング232のプレス装置3側の側面には、
図2に示すように、コイル材100の排出口233が形成されており、案内部41は、排出口233の下側に配置されるフィーダ23側の端部41bを中心にしてプレス装置3側の端が上下に回動する。
【0043】
案内部41は、
図2〜
図4に示すように、回動部51と、スライド部52と、を有する。
(1−4−1−1.回動部)
回動部51は、
図3に示すように、幅方向Y(搬送方向Xに対して垂直な方向)に沿って4つ配置された第1ローラ部11と、4つの第1ローラ部11を接続する接続枠12と、回動フレーム13と、を主に有する。
【0044】
(a)第1ローラ部
第1ローラ部11は、
図3に示すように、ローラ支持枠111と、ローラ支持枠111に回転可能に支持された複数のローラ112とを有する。ローラ支持枠111は、搬送方向X対して垂直な断面がU字形状であり搬送方向Xに長く形成されている。複数のローラ112は、搬送方向Xに並んで配置されており、ローラ支持枠111に回転可能に支持されている。各ローラ112は、ローラ支持枠111の対向する側面に軸支されており、幅方向Yを軸として回転する。このような第1ローラ部11が、幅方向Yに沿って間隔を空けて4つ配置されている。なお、第1ローラ部11の数は4つに限られない。ただし、コイル材100を安定して支持するためには複数設けられている方が好ましい。
【0045】
(b)接続枠
接続枠12は、
図3に示すように、4つの第1ローラ部11の搬送方向Xの上流側の端を接続する上流側接続部材121と、4つの第1ローラ部11の搬送方向Xの下流側の端を接続する下流側接続部材122とを有する。
上流側接続部材121は、幅方向Yに長い板状の部材であり、その上面に4つの第1ローラ部11の上流側端部が固定されている。
【0046】
下流側接続部材122は、幅方向Yに長い板状の部材であり、その上面に4つの第1ローラ部11の下流側端部が固定されている。
(c)回動フレーム
回動フレーム13は、
図3および
図4に示すように、接続枠12の下側に配置されている。回動フレーム13の上面側に
図3に示す接続枠12が固定されている。
【0047】
回動フレーム13は、
図3に示すように、回動板状部131と、回動板状部131の上面に立設した一対の縦板部132と、一対のリニアレール133と、一対の回動支点部134とによって形成されている。
回動板状部131は、
図2の案内位置において概ね水平になるように配置されている。回動板状部131の上面に、縦板部132が立設している。一対の縦板部132は、主面が搬送方向Xと平行になるよう搬送方向Xに沿って配置されている。一対の縦板部132は、所定の間隔を空けて幅方向Yに並んで配置されている。縦板部132の上側には、上流側接続部材121と、下流側接続部材122が固定されている。
【0048】
一対のリニアレール133は、回動板状部131の幅方向Yの両端に配置されている。リニアレール133は、後述するリニアボックス17とともにリニアガイドを構成する。
回動支点部134は、回動板状部131の幅方向Yの両端であって搬送方向Xの上流側の端(案内部41の端部41b)に設けられている。回動支点部134は回動板状部131の下面から下方に向かって突出して設けられている。
【0049】
図2および
図3に示すように、フィーダ23の排出口233の幅方向Yにおける両側のハウジング232部分には、回動フレーム13を回動可能に軸支する回動支持部234が設けられている。
図3に示すように、回動支持部234に回動支点部134が回転可能に軸支されている。
詳細には、回動支持部234は、
図4に示すように、所定の間隔を空けて配置された一対の突起部234aから形成され、一対の突起部234aの間に回動支点部134が配置されている。そして、突起部234aおよび回動支点部134に形成された軸部および軸孔等によって回動支点部134は回動支持部234に対して回動可能に構成されている。なお、
図3において回動軸がO1で示されている。
【0050】
(1−4−1−2.スライド部)
スライド部52は、
図3に示すように、幅方向Y(搬送方向Xに対して垂直な方向)に沿って4つ配置された第2ローラ部14と、4つの第2ローラ部14を接続する接続枠15と、一対の縦板部16と、複数のリニアボックス17と、を主に有する。
(a)第2ローラ部
第2ローラ部14は、ローラ支持枠141と、ローラ支持枠141に回転可能に支持された複数のローラ142と有する。ローラ支持枠141は、搬送方向X対して垂直な断面がU字形状であり搬送方向Xに長く形成されている。複数のローラ142は、搬送方向Xに並んで配置されており、ローラ支持枠141に回転可能に支持されている。各ローラ142は、ローラ支持枠141の対向する側面に軸支されており、幅方向Yを軸として回転する。このような第2ローラ部14が、幅方向Yに沿って間隔を空けて4つ配置されている。なお、第2ローラ部14の数は4つに限られない。ただし、コイル材100を安定して支持するためには複数設けられている方が好ましい。
【0051】
なお、4つの第2ローラ部14のうち幅方向Yの外側の第2ローラ部14は、幅方向Yにおいて4つの第1ローラ部11よりも外側に配置されている。また、搬送方向Xの下流方向側を向いて右側から2番目の第2ローラ部14は、幅方向Yにおいて右側から1番目と2番目の第1ローラ部11の間に配置されている。右側から3番目の第2ローラ部14は、幅方向Yにおいて右側から3番目と4番目の第1ローラ部11の間に配置されている。
【0052】
この構成は、幅方向Yにおける中央から外側に向かって第1ローラ部11と第2ローラ部14は交互に配置されているともいえる。
第1ローラ部11と第2ローラ部14の上側(詳細にはローラ112、142の上側)をコイル材100が搬送される。
(b)接続枠
接続枠15は、
図3に示すように、4つの第2ローラ部14の搬送方向Xの上流側の端を接続する上流側接続部材151と、4つの第2ローラ部14の搬送方向Xの下流側の端を接続する下流側接続部材152とを有する。
【0053】
上流側接続部材151は、幅方向Yに長い板状の部材であり、その上面に4つの第2ローラ部14の上流側端部が固定されている。
下流側接続部材152は、幅方向Yに長い板状の部材であり、その上面に4つの第2ローラ部14の下流側端部が固定されている。
ここで、上流側接続部材151は、4つの第1ローラ部11を接続する接続枠12の上流側接続部材121と下流側接続部材122の間に配置されており、第1ローラ部11の下側を通っている。下流側接続部材152は、下流側接続部材122の下流側に配置されている。
【0054】
(c)縦板部
一対の縦板部16は、
図3に示すように、主面が鉛直方向と平行になるように搬送方向Xに沿って配置されており、上流側接続部材151と下流側接続部材152の下側に固定されている。縦板部16は、4つの第2ローラ部14のうち幅方向Yの両端に配置されている第2ローラ部14の下方に配置されている。
【0055】
(d)リニアボックス
リニアボックス17は、一つの縦板部16に対して2つ設けられており、リニアレール133とリニアボックス17によってリニアガイドが構成されている。なお、リニアボックス17の数は1つの縦板部16に対して2つ以上設けられていてもよい。
(1−4−2.スライド駆動部)
スライド駆動部42は、
図4に示すように、電動モータ421と、ピニオン422と、ラック423と、を主に有している。
【0056】
電動モータ421は、回動フレーム13の回動板状部131のプレス装置本体30側の先端の中央近傍に配置されている。電動モータ421は、回転軸421aが幅方向Yに沿って配置されている。電動モータ421としては、例えばサーボモータ等を用いることが出来る。
ピニオン422は、回転軸421aに固定されており、回転軸421aとともに回転する。ラック423は、ピニオン422の上側且つ幅方向Yの中央近傍であって搬送方向Xに沿って配置されており、ピニオン422と噛み合っている。ラック423は、回動部51の下流側接続部材122と回動板状部131の間の空間を通って、スライド部52の上流側接続部材151と下流側接続部材152の下側に固定されている。
【0057】
電動モータ421は、案内装置制御部45によって制御される。電動モータ421の回転によってピニオン422が回転し、ピニオン422と噛み合っているラック423が搬送方向Xに移動する。このラック423の移動によって、ラック423が固定されているスライド部52が回動部51に対してスライド移動し、案内部41が伸縮する。
図5は、案内部41が縮んだ状態のコイル材案内装置4の状態を示す斜視図である。また、
図6は、案内部41が伸長した状態を示すコイル材案内装置4の状態を示す側面図である。
図7は、案内部41が縮んだ状態を示すコイル材案内装置4の状態を示す側面図である。
【0058】
図3および
図5〜
図7に示すように、スライド部52が搬送方向Xの上流側に移動すると、上流側接続部材151が上流側接続部材121に近づき、下流側接続部材152が下流側接続部材122に近づき、案内部41が縮んだ状態となる。案内部41が縮んだ状態では、幅方向Yに沿って視て
図3に示す状態よりも第2ローラ部14の第1ローラ部11との重なりが多くなる。
【0059】
なお、
図6は、案内部41が案内位置に配置されている状態を示す。
(1−4−3.回動駆動部)
回動駆動部43は、電動シリンダであって、
図4に示すように、電動モータを収納するモータケース431と、電動モータによって回転するボールネジに接続されたロッド432を有している。回動駆動部43は、平面視において幅方向Yの中央に配置されている。回動駆動部43に設けられている電動モータとしては、サーボモータ、ステッピングモータ等が用いられ、案内装置制御部45によって制御されている。
【0060】
回動板状部131の下面には、下方に向かって突出した回動支持部131aが設けられており、ロッド432の先端432aを回動可能に支持している。図示していないが、先端432aには凹部が形成されており、この凹部に回動支持部131aが配置されている。そして、先端432aおよび回動支持部131aに軸部および軸孔等が形成され、軸部が軸孔に挿入されることにより、ロッド432は、回動支持部131aに対して回動可能に連結される。
また、モータケース431の後端には、ケース連結部431aが設けられている。また、フィーダ23のハウジング232には、回動支持部235が設けられている。ケース連結部431aは、回動支持部235に回動可能に支持され、ハウジング232に連結されている。
【0061】
詳細には、ケース連結部431aは、所定の間隔を設けた一対の突起部431bを有しており、一対の突起部431bの間に回動支持部235が配置されている。そして、一対の突起部431bおよび回動支持部235に軸部および軸孔等が形成され、ケース連結部431aにおいてモータケース431は、回動支持部235に回動可能に連結されている。
【0062】
図8は、縮んだ案内部41が下方に回動した状態におけるコイル材案内装置4を示す側面図である。
図8に示すように、モータケース431内の電動モータが駆動しロッド432がモータケース431に引き込まれる方向に移動することによって、案内部41は、回動支点部134を中心にして、プレス装置本体30側の端部41aが下方に回動する。また、
図8に示す状態が、案内部41が退避位置に配置されている状態を示す。なお、案内部41のプレス装置本体30側の端部41aは、詳細には、案内部41のうちスライド部52の端部を示す。
【0063】
なお、スライド駆動部42と回動駆動部43によって、
図4に示すように、案内部41を案内位置と退避位置の間を移動させる駆動部47が構成される。
(1−4−4.搬送部)
図9は、コイル材案内装置4を搬送方向Xの上流側の上方から見た斜視図である。
図10は、AA´間の矢示断面図である。
【0064】
搬送部44は、
図9および
図10に示すように、当接部83と、当接部83を駆動させる搬送駆動部80とを有する。当接部83は、コイル材100の終端100b(
図17参照)に当接する。搬送駆動部80は、チェーン81と、チェーン駆動用モータ82と、複数のスプロケット84a、84b、84c、84d、84eと、を主に持ち、当接部83を搬送方向Xに移動する。
【0065】
(a)チェーン駆動用モータ
チェーン駆動用モータ82は、回動板状部131の搬送方向Xの上流側の端であって幅方向Yの中央近傍に固定されている。チェーン駆動用モータ82は、
図10に示すように、その回転軸82aが幅方向Yと平行になるように配置されている。チェーン駆動用モータ82としてサーボモータなどを用いることが出来、チェーン駆動用モータ82の駆動は、案内装置制御部45によって制御される。
【0066】
(b)スプロケット
スプロケット84aは、
図10に示すように、チェーン駆動用モータ82の回転軸82aに取り付けられている。チェーン駆動用モータ82の駆動によって、スプロケット84aは、幅方向Yを軸として回転する。
スプロケット84bは、回動部51の下流側接続部材122の中央に幅方向Yを軸として回転可能に取り付けられている。詳細には、回動部51の下流側接続部材122の中央には、下方に向かって形成されたスプロケット支持部91が設けられている。スプロケット支持部91は、幅方向Yにおいて対向する一対の支持板91aによって形成されており、一対の支持板91aの間にスプロケット84bが軸支されている。
【0067】
スプロケット84cは、スライド部52の上流側接続部材151の中央に、幅方向Yを軸として回転可能に取り付けられている。詳細には、スライド部52の上流側接続部材151には、その中央に搬送方向Xに沿って視て逆Uの字形状のスプロケット支持部92が形成されている。この逆Uの字形状のスプロケット支持部92の内側にスプロケット84cが配置されており、逆Uの字形状の幅方向Yにおいて対向する側壁92aにスプロケット84cが軸支されている。
【0068】
スプロケット84dは、スライド部52の下流側接続部材152の中央に幅方向Yを軸として回転可能に取り付けられている。詳細には、スライド部52の下流側接続部材152の中央には、上方に向かって形成されたスプロケット支持部93が設けられている。スプロケット支持部93は、幅方向Yにおいて対向する一対の支持板93aによって形成されており、一対の支持板93aの間にスプロケット84dが軸支されている。
【0069】
スプロケット84eは、回動部51の上流側接続部材121の中央に幅方向Yを軸として回転可能に取り付けられている。詳細には、回動部51の上流側接続部材121の中央には、上方に向かって形成されたスプロケット支持部94が設けられている。スプロケット支持部94は、幅方向Yにおいて対向する一対の支持板94aによって形成されており、一対の支持板94aの間にスプロケット84eが軸支されている。
【0070】
案内部41を水平状態にした場合、スプロケット84aとスプロケット84bは、概ね同じ高さに配置されており、スプロケット84dとスプロケット84eは、概ね同じ高さに配置されている。スプロケット84cは、スプロケット84a、84bとスプロケット84d、84eの間の高さに配置されている。
(c)チェーン
チェーン81は、無端状であって、案内部41の幅方向Yの中央に配置され、上述したスプロケット84a〜84eの順に巻き掛けられている。
【0071】
詳細には、チェーン81は、スプロケット84aの上流側から下側に亘るように巻き掛けられ、スプロケット84bの下側から下流側を回って上側に亘るように巻き掛けられている。続いて、チェーン81は、スプロケット84cの下側から上流側を回って上側に亘るように巻き掛けられ、スプロケット84dの下側から下流側を回って上側に渡るように巻き掛けられている。続いて、チェーン81は、スプロケット84eの上側から上流側へと亘るように巻き掛けられ、スプロケット84aに向かっている。
【0072】
図11は、
図10において案内部41が縮んだ状態を示す断面図である。
図10および
図11に示すように、スライド部52が搬送方向Xの上流側にスライド移動しても、スプロケット84cとスプロケット84dがスライド部52に取り付けられているため、チェーン81のテンションを保つことができる。
(d)当接部
当接部83は、コイル材100の終端100bをプレス装置3側に向かって搬送するように終端100bに当接して終端100bを押す。当接部83は、ブロック状の部材であり、
図9〜
図11に示すように、チェーン81の外側に固定されている。チェーン駆動用モータ82の駆動によってスプロケット84aが回転し、チェーン81が回転する。このチェーン81の回転によってチェーン81に固定されている当接部83がチェーン81に沿って移動する。
【0073】
以上のような構成において、本実施の形態のコイル材案内装置4では、スライド駆動部42および回動駆動部43を制御することによって、案内部41の位置(姿勢を含む)を変更できる。また、チェーン駆動用モータ82を制御することによって、当接部83を移動できる。
<2.動作>
次に、本実施の形態のプレスシステム1の動作について説明する。
【0074】
初めて使用する金型8をプレス装置3に設置する際には、プレスシステム1において、コイル材供給装置2から供給されたコイル材100の先端100aが金型8に案内可能なように案内部41の位置が予め設定される。
(2−1.位置設定動作)
金型8をプレス装置3に取り付けた後に、作業者が制御装置9を操作することによって、全体制御部5から供給装置制御部24に指令が送信され、供給装置制御部24がコイル材供給装置本体20を駆動する。
【0075】
供給装置制御部24は、アンコイラ21、レベラー22、およびフィーダ23を駆動させてコイル材100の先端100aをフィーダ23の排出口233からプレス装置3側に向かって送り出す。
ここで、コイル材100の先端100aを端ガイド72のガイド部材72aとガイド部材72bの間に送り込むように、作業者が、ティーチングによって案内部41の位置を設定する。
【0076】
具体的には、スライド駆動部42の電動モータ421および回動駆動部43の電動モータを制御してスライド部52のスライド量と案内部41の回動角を変更しながら、
図12に示すようにコイル材供給装置2から供給されるコイル材100の先端100aが、案内部41の第1ローラ部11および第2ローラ部14の上側を伝って端ガイド72に送り込まれるように調整が行われる。
図12は、コイル材100の先端100aが案内部41によって案内されて端ガイド72に送り込まれている状態を示す図である。
【0077】
このようにして、コイル材100の先端100aが端ガイド72に送り込まれるスライド量および回動角が求められる。このスライド量および回動角は、例えば、電動モータに設けられているエンコーダの値を位置データとして位置記憶部46に記憶される。
このようにコイル材100の先端100aを端ガイド72に案内できる案内部41の位置データが案内位置として記憶される。
【0078】
なお、汎用性を持たせるために、一般的にプレス装置3には、複数の異なる形状の金型8が配置可能である。異なる金型8では、リフタガイド71の位置も異なっているため、コイル材100の先端100aをリフタガイド71に案内可能な案内部41の位置も変わることになる。
このため、本実施の形態のコイル材案内装置4では、金型8ごとに、案内部41の位置が位置記憶部46に記憶される。
【0079】
(2−2.プレス動作)
次に、本実施の形態のプレス方法について説明する。
図13は、本実施の形態のプレス方法を示すフロー図である。
金型8およびコイル材100が交換されると、作業者の制御装置9に対する操作などによって、案内装置制御部45は、プレス装置3に配置された金型8を認識し、金型8の情報を取得する(ステップS5)。続いて、案内装置制御部45は、その金型8に対応する案内部41の位置データを位置記憶部46から取り出す(ステップS10)。
【0080】
次に、案内装置制御部45は、スライド駆動部42および回動駆動部43を駆動し、案内部41がプレス装置3に配置された金型8に対応する位置になるように制御を行う(ステップS20)。
図14(a)〜(c)および
図15(a)〜(c)は、コイル材案内装置4の動作を説明するための図である。
【0081】
はじめに、コイル材案内装置4は、
図14(a)に示すように、スライド部52が回動部51側に引き込まれ、回動部51が下方に回動した状態となっている。すなわち、案内部41が縮み、回転軸O1を支点にして案内部41の端部41aが下がった状態となっている。このような案内部41の位置が、退避位置とされる。
次に、
図14(b)に示すように、案内装置制御部45は、回動駆動部43を位置記憶部46から取り出した値まで駆動することによって、案内部41は、端部41aが上方に移動するように回動する。
【0082】
次に、
図14(c)に示すように、案内装置制御部45は、スライド駆動部42の電動モータ421を位置記憶部46から取り出した値まで駆動させることによってスライド部52を回動部51に対して金型8に向かってスライド移動させる。
これによって、案内部41のプレス装置3側の端部41aが、下金型7の端ガイド72の近傍に位置し、案内部41の案内位置への移動が完了する。なお、
図14(c)に示すように、搬送部44の当接部83は、スプロケット84dとスプロケット84eの間(案内部41の上側)には配置されておらず、スプロケット84aとスプロケット84eの間(案内部41の上流側)に配置されている。また、
図14(c)に示す案内位置では、案内部41は、略水平に配置されているが、下金型7の種類によっては、端部41aが
図14(c)よりも上方または下方に位置し、案内部41が傾いている場合もある。
【0083】
次に、ステップS30において、全体制御部5は、供給装置制御部24へと指令を送信し、供給装置制御部24はコイル材供給装置本体20を制御し、巻き回されているコイル材100を解きながらフィーダ23の排出口233からコイル材案内装置4へとコイル材100を送り込む。
コイル材供給装置2から供給されたコイル材100の先端100aは、第1ローラ部11および第2ローラ部14を伝いながら、
図15(a)に示すように端ガイド72へと送り込まれる。なお、
図3で説明した第1ローラ部11および第2ローラ部14のローラ112、142は、コイル材100の移動に伴って回転するため、コイル材100はスムーズにリフタガイド71へと送り込まれる。
【0084】
ここで、コイル材100の交換および金型8の交換を行った後は、正常にプレス加工が行われるかを確認するために、作業者は、制御装置9を操作し金型8内を1加工(穴あけ加工、絞り加工、曲げ加工など)ずつ移動するようにコイル材100を進める。
作業者がはじめにプレスを行うために制御装置9を操作すると、プレス動作を行う前に、ステップS40において案内装置制御部45は案内部41を退避位置へと移動させる。具体的には、
図15(b)に示すように、案内装置制御部45はスライド駆動部42の電動モータ421を制御し、案内部41を縮め、プレス装置本体30の内側からスライド部52を退避させる。
【0085】
次に、案内装置制御部45は、回動駆動部43の電動モータ(図示せず)を駆動することによって、
図15(c)に示すように回動部51を下方に回動させる。これによって、案内部41が退避位置に移動する。
次に、ステップS50において、全体制御部5は、プレス装置制御部38に指令を送信し、プレス装置制御部38が、プレス駆動部36を駆動させてスライド35を上下動させる。これによってプレス装置3に案内されたコイル材100に対してプレス加工が行われる。
【0086】
図16(a)および
図16(b)は、プレス加工時におけるコイル材100の上下動を説明するための模式図である。
図16(a)および
図16(b)には、上金型6と下金型7が示されている。
図16(a)に示す金型8には、穴あけ加工を行う部分と、穴あけ加工後に曲げ加工を行う部分が示されている。
図16(a)に示す金型8の構成について順に説明すると、下金型7では、リフタガイド71は分割して設けられており、図では711、712として示されている。各リフタガイド711、712の下側には、バネ部材713が設けられており、リフタガイド711、712を上方に付勢している。上金型6のリフタガイド711の下流側には、穴あけ部61が形成されている。穴あけ部61の上側にはバネ部材611が設けられている。上金型6の穴あけ部61の下流側には、曲げ加工部62が形成されている。また、曲げ加工部62の下流側には、押さえ部63が設けられており、押さえ部63の上側にはバネ部材631が設けられている。
【0087】
上金型6の曲げ加工部62に対向して下金型7に曲げ加工部73が形成されている。上記リフタガイド712は、曲げ加工部73の下流側に設けられている。
プレス装置制御部38が、スライド35を下降させると、
図16(a)および
図16(b)に示すように、上金型6が下降し、上金型6と下金型7の間にコイル材100が挟まれてプレス加工が行われる。プレス加工の際には、
図16(b)に示すように、リフタガイド711、712が下方に移動するため、コイル材100も下方に移動する。そのため、コイル材100の下金型7よりもコイル材供給装置2側の部分(図では100cとして示す)は下方に引っ張られることになる。このように引っ張られることによってプレス加工の際に余分な張力がコイル材100に加わることを防ぐために、本実施の形態のコイル材案内装置4ではコイル材100の先端100aをリフタガイド71(711、712)に案内した後に案内部41が退避位置(
図15(c)参照)に移動される。
【0088】
なお、コイル材供給装置2では、スライド35の下降のタイミングにあわせてローラ231がコイル材100から離間し、余分な張力がコイル材100に加わることを防ぐ。
以降、コイル材供給装置2から順次コイル材が供給され、プレス装置3によってプレス加工が行われる。
続いて、順次プレス加工が行われ、
図17(a)に示すように巻き回されたコイル材100がなくなり、終端100bがフィーダ23のローラ231を通過したことが終端検出部236によって検出される(ステップS60)と、供給装置制御部24は、その検出結果を全体制御部5へと伝達する。
【0089】
全体制御部5は、プレス装置3を停止して案内装置制御部45に指示を行い、案内装置制御部45は、
図17(b)に示すように案内部41を退避位置から案内位置に移動させる(ステップS70)。
次に、案内装置制御部45は、
図17(b)の矢印Bに示すように、チェーン駆動用モータ82を駆動してチェーン81を回転させる。チェーン81の回転によって、当接部83は、案内部41の上側を通りながら下流側に向かって移動し、
図18(a)に示すように終端100bに当接する。更に、当接部83が下流側(矢印C参照)に移動することによって、終端100bが下金型7に向かって押されてコイル材100は下金型7に向かって搬送される(ステップS80)。
【0090】
全体制御部5は、当接部83によるコイル材100の搬送に合わせてプレス装置3を動作させて、プレス加工を行う(ステップS90)。
そして、
図18(b)に示すように当接部83が案内部41のプレス装置側の端部41aに移動するまでステップS80,S90が繰り返される(ステップS100)。当接部83が案内部41の端部41aに達すると、案内装置制御部45は、案内部41を案内位置から退避位置に移動させ(ステップS110)、制御が終了する。この当接部83の案内部41の端部41aへの到達は、チェーン駆動用モータ82のエンコーダから検出できる。
【0091】
なお、ステップS90においてプレス加工を行う際に、案内部41を退避位置に移動させてもよい。
(実施の形態2)
次に、本発明にかかる実施の形態2のプレスシステムについて説明する。本実施の形態2のプレスシステムは、実施の形態1とコイル材案内装置の構成が異なる。本実施の形態2のコイル材案内装置1004は、実施の形態1のコイル材案内装置4と比較してコイル材100の終端100bを搬送する搬送部を備えておらず、コイル材100の先端100aの案内を行い、終端100bの搬送を行わない。
【0092】
なお、本実施の形態2では、実施の形態1と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
<1.構成>
(1−1.コイル材案内装置)
図19は、本実施の形態のコイル材案内装置1004の斜視図である。
【0093】
本実施の形態のコイル材案内装置1004は、
図19に示すように、コイル材案内装置本体1040と、案内装置制御部45と、位置記憶部46と、を備えている。
案内装置制御部45は、コイル材案内装置本体1040を制御する。位置記憶部46は、金型8ごとに、コイル材案内装置本体1040の後述する案内部1041の位置を記憶する。
【0094】
図20および
図21は、コイル材案内装置1004の構成を示す斜視図である。
図20は、案内部1041が上方に回動した状態を示す。
図21は、後述する第2案内部材1412が第1案内部材1411に対してプレス装置3側にスライドした状態を示す。
図19〜
図21に示すように、コイル材案内装置本体1040は、案内部1041と、駆動部1042とを有している。
【0095】
案内部1041は、コイル材供給装置2から供給されるコイル材100を下方から支持することによって、コイル材100の先端100aをプレス装置3に配置される金型8の端ガイド72へと案内する。
案内部1041は、端部1041bにおいて、フィーダ23のハウジング232に回動可能に支持されており、プレス装置3側の端が上下方向に回動可能に構成されている。また、案内部1041は、プレス装置3側に向かって伸縮可能に構成されている。これにより、案内部1041は、コイル材100を金型8へと案内する案内位置(
図21参照)と、案内位置から退避した退避位置(
図19参照)の間を駆動部1042によって移動可能である。
【0096】
駆動部1042は、案内部1041の位置を移動させる。駆動部1042は、案内部1041のプレス装置本体30側の端部1041aの位置を移動させる。
(1−1−1.案内部)
案内部1041は、フィーダ23のハウジング232の側面に回動可能に設けられている。ハウジング232のプレス装置3側の側面には、
図19に示すように、コイル材100の排出口233が形成されており、案内部1041は、排出口233の下側に配置されるフィーダ23側の端を中心にしてプレス装置3側の端が上下に回動する。
【0097】
案内部1041は、
図20〜
図21に示すように、第1案内部材1411と、第2案内部材1412と、ローラ部1413と、一対の第1縦板部材1414および第2縦板部材1415と、一対の第1アウターレール1416および第2アウターレール1417と、一対の第1インナーレール1418および第2インナーレール1419(
図21参照)と、を有する。なお、第1案内部材1411、第1縦板部材1414、第2縦板部材1415、第1アウターレール1416、および第2アウターレール1417が、回動部の一例に対応する。また、第2案内部材1412、ローラ部1413、第1インナーレール1418および第2インナーレール1419が、スライド部の一例に対応する。
【0098】
第1案内部材1411は、矩形状の板状部材である。第1案内部材1411は、上述した案内位置において板状の主面がほぼ水平になるように配置されている。
第1縦板部材1414は、第1案内部材1411の下側であって幅方向Y(搬送方向Xに対して垂直な方向)の一方の端(
図20中紙面手前側)に配置されている。第2縦板部材1415は、第1案内部材1411の下側であって幅方向の他方の端(
図20中紙面奥側)に配置されている。第1縦板部材1414と第2縦板部材1415は、第1案内部材1411の搬送方向Xの上流側の端に設けられており、搬送方向Xに沿って互いに平行である。
【0099】
フィーダ23の排出口233の幅方向における両側のハウジング232部分には、案内部1041を支持する第1支持部1234と第2支持部1235が配置されている。第1支持部1234は、所定の隙間を設けた一対の支持部材1234aを有している。一対の支持部材1234aの隙間に第1縦板部材1414の後部1414aが配置され、一対の支持部材1234aは、回転軸O1を中心にして第1縦板部材1414を回転可能に軸支している。
図20には、回転軸O1が図示されている。第2支持部1235は、第1支持部1234と同様の構成であり、一対の支持部材1235aを有しており、一対の支持部材1235aが、その間に配置された第2縦板部材1415の後部1415aを回転可能に軸支している。
【0100】
第1アウターレール1416は、第1案内部材1411の下側であって幅方向Y(搬送方向Xに対して垂直な方向)の一方の端(
図20中紙面手前側)に配置されている。第2アウターレール1417は、第1案内部材1411の下側であって幅方向の他方の端(
図20中紙面奥側)に配置されている。第1アウターレール1416と第2アウターレール1417は、第1案内部材1411の搬送方向Xの下流側の端から上流側に向かって互いに平行に設けられている。第1アウターレール1416は、第1縦板部材1414の搬送方向Xの下流側に配置されており、第2アウターレール1417は、第2縦板部材1415の搬送方向Xの下流側に配置されている。
【0101】
第2案内部材1412は、矩形状の板状部材であり、第1案内部材1411よりも搬送方向Xにおける長さが短く形成されている。第2案内部材1412は、
図20及び
図21に示すように、第1案内部材1411の下側に第1案内部材1411に対してプレス装置3側に向かってスライド可能に配置されている。第2案内部材1412は、一対の第1アウターレール1416と第2アウターレール1417の間に配置されている。
【0102】
第2案内部材1412の幅方向Yの一端には、第1インナーレール1418が配置されており、幅方向Yの他端には、第2インナーレール1419が配置されている。第1インナーレール1418と第1アウターレール1416がスライド可能に嵌合し、第2インナーレール1419と第2アウターレール1417がスライド可能に嵌合することによって、いわゆるスライドレールが構成されている。
【0103】
ローラ部1413は、第2案内部材1412の搬送方向Xの下流側の先端1412aよりも下流側に回転可能に配置されている。すなわち、ローラ部1413は、案内部1041のプレス装置3側の端部1041aに設けられている。
第2案内部材1412の先端1412aの幅方向Yの両端には、ローラ部1413を支持する一対のローラ支持部1453が設けられている。これら一対のローラ支持部1453の間に、ローラ部1413が回転可能に支持されている。
【0104】
(1−1−2.駆動部)
駆動部1042は、主に、
図20〜
図21に示すように、第1油圧シリンダ1421と、第2油圧シリンダ1422と、油圧ユニット1090と、を有する。
第1油圧シリンダ1421は、第1案内部材1411を回動する。第2油圧シリンダ1422は、第2案内部材1412を第1案内部材1411に対して搬送方向Xに沿ってスライド移動させて、案内部1041を伸長させる。
【0105】
(a)第1油圧シリンダ
第1油圧シリンダ1421は、
図20に示すように、フィーダ23のハウジング232と第1案内部材1411の間を連結するように第1案内部材1411の下側に配置されている。第1油圧シリンダ1421は、平面視において、搬送方向Xに沿うように第1案内部材1411の幅方向Yの中央付近に配置されている。
【0106】
第1油圧シリンダ1421は、シリンダチューブ1421aと、シリンダチューブ1421a内を摺動可能なピストン1421b(
図22参照)と、ピストン1421bに接続されたピストンロッド1421cとを有する。第1油圧シリンダ1421は、ピストン1421bの移動量(ストロークともいえる)を検出可能であり、作動油の供給制御によって、予め設定された位置まで移動できる。
【0107】
第1油圧シリンダ1421のシリンダチューブ1421aの端部1421dは、ハウジング232に設けられている第3支持部1236に回転可能に支持されている。第3支持部1236は、所定の隙間を設けた一対の支持部材1236aを有している。一対の支持部材1236aの隙間に端部1421dが配置され、第3支持部1236は、回転軸O2を中心にして端部1421dを回転可能に軸支している。
【0108】
第1案内部材1411の下面には、第1接続部1451が設けられている。第1油圧シリンダ1421のピストンロッド1421cの先端部1421eは、第1接続部1451を介して第1案内部材1411と連結されている。第1接続部1451は、下方に向かって突出した一対の接続部材1451aを有している。一対の接続部材1451aは、所定の隙間を設けて対向して配置されており、一対の接続部材1451aに挟まれるようにピストンロッド1421cの先端部1421eは回転可能に軸支されている(
図21の回転軸O3参照)。なお、第1接続部1451は、搬送方向Xを基準にして、第1アウターレール1416および第2アウターレール1417よりも上流側に配置されている。
【0109】
(b)第2油圧シリンダ
第2油圧シリンダ1422は、第1案内部材1411と第2案内部材1412の間を連結するように搬送方向Xに沿って配置されている。
第2油圧シリンダ1422は、シリンダチューブ1422aと、シリンダチューブ1422a内を摺動可能なピストン1422b(
図22参照)と、ピストン1422bに接続されたピストンロッド1422cとを有する。第2油圧シリンダ1422は、ピストン1422bの移動量(ストロークともいえる)を検出可能であり、作動油の供給制御によって、予め設定された位置まで移動できる。
【0110】
シリンダチューブ1422aは、第1案内部材1411の下面に搬送方向Xに沿って固定されている。シリンダチューブ1422aは、幅方向Yにおいて第1接続部1451の隣に配置されている。また、シリンダチューブ1422aは、第1アウターレール1416と第2アウターレール1417よりも搬送方向Xにおける上流側に配置されている。
ピストンロッド1422cの先端部1422eは、第2案内部材1412の下面に固定された第2接続部1452に回転可能に支持されている。第2接続部1452は、第2案内部材1412の上流側の端に設けられている。第2接続部1452は、第2案内部材1412から下方に向かって突出した一対の接続部材1452aを有している。一対の接続部材1452aは、所定の隙間を設けて対向して配置されており、一対の接続部材1452aに挟まれるようにピストンロッド1422cの先端部1422eは回転可能に軸支されている(
図21の回転軸O4参照)。
【0111】
なお、先端部1422eは必ずしも回転可能でなくてもよく、カジリが発生せずに第2案内部材1412がスムーズに動けば、第2案内部材1412に固着させてもよい。
(c)油圧ユニット
図22は、油圧ユニット1090の構成を示す模式図である。
油圧ユニット1090は、第1油圧シリンダ1421および第2油圧シリンダ1422に作動油を供給するポンプ1091と、作動油タンク1092と、第1油圧回路1093と、第2油圧回路1094と、を有している。
図22では、説明のために第1油圧シリンダ1421と第2油圧シリンダ1422を並べて配置しているが、実施には、
図20〜
図21に示すように配置されている。
【0112】
図22の模式図に示すように、第1油圧シリンダ1421のシリンダチューブ1421aの内部空間は、ピストン1421bによって後端部1421d側の第1空間1421fと、先端部1421e側の第2空間1421gに分けられている。
第1油圧シリンダ1421には、第1油圧回路1093が接続されている。第1油圧回路1093は、第1サーボバルブ1093aと、第2サーボバルブ1093bと、第1接続路1093cと、第2接続路1093dと、第3接続路1093eと、排油路1093fとを有している。第1接続路1093cは、作動油が流通し、第1空間1421fと第1サーボバルブ1093aの間を接続する。第2接続路1093dは、作動油が流通し、第2空間1421gと第2サーボバルブ1093bの間を接続する。第3接続路1093eは、作動油タンク1092と第1サーボバルブ1093aの間と、作動油タンク1092と第2サーボバルブ1093bの間を接続する。排油路1093fは、第1サーボバルブ1093aと作動油タンク1092の間と第2サーボバルブ1093bと作動油タンク1092の間を接続する。
【0113】
第1サーボバルブ1093aは、流量を制御しながら、第1接続路1093cを第3接続路1093eまたは排油路1093fと接続できる。また、第2サーボバルブ1093bは、流量を調整しながら第2接続路1093dを第3接続路1093eまたは排油路1093fと接続できる。第3接続路1093eには、ポンプ1091が配置されている。
また、
図22の模式図に示すように、第2油圧シリンダ1422のシリンダチューブ1422aの内部空間は、ピストン1422bによって先端部1422eとは反対側の第1空間1422fと、先端部1422e側の第2空間1422gに分けられている。
【0114】
第2油圧シリンダ1422には、第2油圧回路1094が接続されている。第2油圧回路1094は、第1油圧回路1093と同様に、第1サーボバルブ1094aと、第2サーボバルブ1094bと、第1接続路1094cと、第2接続路1094dと、第3接続路1094eと、排油路1094fとを有している。第1接続路1094cは、作動油が流通し、第1空間1422fと第1サーボバルブ1094aの間を接続する。第2接続路1094dは、作動油が流通し、第2空間1422gと第2サーボバルブ1094bの間を接続する。第3接続路1094eは、作動油タンク1092と第1サーボバルブ1094aの間と作動油タンク1092と第2サーボバルブ1094bの間を接続する。排油路1094fは、第1サーボバルブ1094aと作動油タンク1092の間と、第2サーボバルブ1094bと作動油タンク1092の間を接続する。第1サーボバルブ1094aは、流量を制御しながら、第1接続路1094cを第3接続路1094eまたは排油路1094fと接続できる。また、第2サーボバルブ1094bは、流量を調整しながら第2接続路1094dを第3接続路1094eまたは排油路1094fと接続できる。
【0115】
第1油圧回路1093の第3接続路1093eと、第2油圧回路1094の第3接続路1094eは、ポンプ1091の下流側から分岐している。第1油圧回路1093の排油路1093fと、第2油圧回路1094の排油路1094fは、合流して作動油タンク1092に接続されている。
上述した案内装置制御部45は、ポンプ1091、第1サーボバルブ1093a、第2サーボバルブ1093b、第1サーボバルブ1094a、および第2サーボバルブ1094bを制御し、案内部1041を所定の位置(姿勢ともいえる)に駆動する。
【0116】
図19の状態から、第1油圧シリンダ1421の第1空間1421fに作動油を供給することによって、
図20に示すように、ピストンロッド1421cが伸び、回転軸O1を中心にしてローラ部1413側が上に移動するように第1案内部材1411が上方向に回動する(
図19の矢印A参照)。また、
図20の状態から、第2空間1421gに作動油を供給することによって、ピストンロッド1421cが縮み、回転軸O1を中心にしてローラ部1413側が下方に移動するように第1案内部材1411が下方向に回動する。
【0117】
また、
図20の状態から、第2油圧シリンダ1422の第1空間1422fに作動油を供給することにより、
図21に示すようにピストンロッド1422cが伸びる。これにより第2案内部材1412が第1案内部材1411に対してプレス装置3側へとスライド移動し、案内部1041が伸びる(
図20の矢印B参照)。また、
図21の状態から、第2空間1422gに作動油を供給することによって、ピストンロッド1422cが縮み、第2案内部材1412は第1案内部材1411の下側へとスライド移動し、案内部1041が縮む。
【0118】
本実施の形態のコイル材案内装置1004では、第1油圧シリンダ1421と第2油圧シリンダ1422の位置の制御(ストロークの制御ともいえる)を行うことによって、案内部1041の位置(姿勢を含む)を変更することができる。
なお、本実施の形態2では、第2油圧シリンダ1422と油圧ユニット1090が、実施の形態1で説明したスライド駆動部に対応し、第1油圧シリンダ1421と油圧ユニット1090が、実施の形態1で説明した回動駆動部に対応する。
【0119】
<2.動作>
次に、本実施の形態のプレスシステム1の動作について説明する。
初めての金型8を用いる際には、プレスシステム1において、コイル材供給装置2から供給されたコイル材100の先端100aが金型8に案内可能なように案内部1041の位置が予め設定される。
【0120】
(2−1.位置設定動作)
金型8をプレス装置3に取り付けた後に、作業者が制御装置9を操作することによって、全体制御部5から供給装置制御部24に指令が送信され、供給装置制御部24がコイル材供給装置本体20を駆動する。
アンコイラ21、レベラー22、およびフィーダ23を駆動させてコイル材100の先端100aをフィーダ23の排出口233からプレス装置3側に向かって送り出す。
【0121】
ここで、コイル材100の先端100aを端ガイド72のガイド部材72aとガイド部材72bの間に送り込むように、作業者が、ティーチングによって案内部1041の位置を設定する。
具体的には、第1油圧シリンダ1421におけるピストン1421bの位置と、第2油圧シリンダ1422のピストン1422bの位置を変更しながら、
図23に示すように、コイル材供給装置2から供給されるコイル材100の先端100aが、案内部1041の上側を伝って端ガイド72に送り込まれるように調整が行われる。
図23は、コイル材100の先端100aが案内部1041によって案内されて端ガイド72に送り込まれている状態を示す図である。
【0122】
このようにして、コイル材100の先端100aが端ガイド72に送り込まれる第1油圧シリンダ1421におけるピストン1421bの位置(ピストンロッド1421cの位置ともいえる)と第2油圧シリンダ1422におけるピストン1422bの位置(ピストンロッド1422cの位置ともいえる)が求められる。
そして、求められたピストン1421b、1422bの位置が、位置記憶部46に記憶される。
【0123】
このようにコイル材100の先端100aを端ガイド72に案内できる案内部1041の位置が案内位置として記憶される。
なお、汎用性を持たせるために、一般的にプレス装置3には、複数の異なる形状の金型8が配置可能である。異なる金型8では、リフタガイド71の位置も異なっているため、コイル材100の先端100aをリフタガイド71に案内可能な案内部1041の位置も変わることになる。
【0124】
このため、本実施の形態のコイル材案内装置1004では、金型8ごとに、ピストン1421b、1422bの位置が位置データとして位置記憶部46に記憶されている。
(2−2.プレス動作)
次に、本実施の形態のプレス方法について説明する。
図24は、本実施の形態のプレス方法を示すフロー図である。
【0125】
金型8およびコイル材100が交換されると、作業者の制御装置9に対する操作などによって、案内装置制御部45は、プレス装置3に配置された金型8を認識し、金型8の情報を取得する(ステップS5)。続いて、案内装置制御部45は、その金型8に対応するピストン1421b、1422bの位置データを位置記憶部46から取り出す(ステップS10)。
【0126】
次に、案内装置制御部45は、ポンプ1091、第1サーボバルブ1093a、1094a、第2サーボバルブ1093b、1094bの制御を行い、第1油圧シリンダ1421のピストン1421bと第2油圧シリンダ1422のピストン1422bが、プレス装置3に配置された金型8に対応する位置になるように設定する(ステップS20)。
図25(a)〜(c)および
図26(a)〜(c)は、コイル材案内装置1004の動作を説明するための図である。
【0127】
はじめに、コイル材案内装置1004は、
図25(a)に示すように、第2案内部材1412が第1案内部材1411の下側に引き込まれ、第1案内部材1411が下方に回動した状態となっている。すなわち、案内部1041が縮み、回転軸O1を支点にしてローラ部1413が下がった状態となっている。このような案内部1041の位置が、退避位置とされ、第1油圧シリンダ1421および第2油圧シリンダ1422が双方とも縮んだ状態となっている。
【0128】
次に、
図25(b)に示すように、案内装置制御部45は、第1油圧シリンダ1421を位置記憶部46から取り出した値まで伸ばすことによって、ローラ部1413側が上方に移動するように案内部1041を回動させる。
次に、
図25(c)に示すように、案内装置制御部45は、第2油圧シリンダ1422を位置記憶部46から取り出した値まで伸ばすことによって、第2案内部材1412を第1案内部材1411に対して金型8に向かってスライド移動させる。
【0129】
これによって、案内部1041のプレス装置3側の端であるローラ部1413が、下金型7の端ガイド72の近傍に位置し、案内部1041の案内位置への移動が完了する。
次に、ステップS30において、全体制御部5は、供給装置制御部24へと指令を送信し、供給装置制御部24はコイル材供給装置本体20を制御し、巻き回されているコイル材100を解きながら、フィーダ23の排出口233からコイル材案内装置1004へと送り込む。
【0130】
コイル材供給装置2から供給されたコイル材100の先端100aは、第1案内部材1411、第2案内部材1412、およびローラ部1413を伝いながら、
図26(a)に示すように端ガイド72へと送り込まれる。なお、ローラ部1413は、コイル材100の移動に伴って回転するため、コイル材100はスムーズにリフタガイド71へと送り込まれる。
【0131】
ここで、コイル材100の交換および金型8の交換を行った後は、正常にプレス加工が行われるかを確認するために、作業者は、制御装置9を操作し金型8内を1加工(穴あけ加工、絞り加工、曲げ加工など)ずつ移動するようにコイル材100を進める。
作業者がはじめにプレスを行うために制御装置9を操作すると、プレス動作を行う前に、ステップS40において案内装置制御部45は案内部1041を退避位置へと移動させる。具体的には、案内装置制御部45は油圧ユニット1090を制御し、第2油圧シリンダ1422を縮めることによって、
図26(b)に示すように第2案内部材1412を第1案内部材1411の下側に退避させる。次に、案内装置制御部45は、油圧ユニット1090を制御して第1油圧シリンダ1421を縮めることによって、
図26(c)に示すように第1案内部材1411を下方に回動させる。これによって、案内部1041が退避位置に移動する。
【0132】
次に、ステップS50において、全体制御部5は、プレス装置制御部38に指令を送信し、プレス装置制御部38が、プレス駆動部36を駆動させてスライド35を上下動させる。これによってプレス装置3に案内されたコイル材100に対してプレス加工が行われる。
以降、コイル材供給装置2から順次コイル材が供給され、プレス装置3によってプレス加工が行われる。
【0133】
<特徴等>
(1)
本実施の形態のコイル材案内装置4、1004は、
図3および
図19に示すように、コイル材100を供給するコイル材供給装置2とコイル材供給装置2から供給されるコイル材100をプレス加工するプレス装置3との間に配置されたコイル材案内装置であって、案内部41、1041と、案内装置制御部45(制御部の一例)とを備える。案内部41、1041は、コイル材供給装置2から供給されたコイル材100の先端100aをプレス装置3に配置される金型8へ案内する。案内装置制御部45は、プレス装置3に配置される金型8に基づいて、
図14(a)〜(c)および
図25(a)〜(c)に示すように、コイル材100の先端100aを金型8へ案内するように案内部41、1041の位置を制御する。
【0134】
このように、コイル材案内装置4、1004がコイル材供給装置2とプレス装置3との間に配置され、コイル材100の先端100aをプレス装置3の金型8へ案内するように案内部41、1041の位置が制御される。
このため、コイル材供給装置2からコイル材100が供給されるとコイル材100の先端100aが案内部41、1041によって自動でプレス装置3に配置された金型8へと案内されるので、作業者がプレス装置3内に立ち入る必要がなく、コイル材100または金型8の交換時における段取り時間を短縮できる。
【0135】
なお、本明細書における案内部41、1041の位置の制御とは、案内部41、1041の回動および/または傾きの変化等による姿勢の制御も含む。
(2)
本実施の形態のコイル材案内装置4、1004では、案内部41、1041は、
図14(c)、
図15(a)、
図25(c)および
図26(a)に示すように、コイル材100の先端100aをプレス装置3の金型8に案内する際にコイル材100を下方から支持する。コイル材案内装置4、1004は、駆動部47、1042を更に備える。駆動部47、1042は、案内部41、1041の端部41a、1041a(第1端部の一例)を上下方向に移動させる。案内装置制御部45は、駆動部47、1042を制御することによって案内部41、1041の位置を制御する。
【0136】
このように案内部41、1041のプレス装置3側の端部41a、1041aの上下位置を制御することによって、案内部1041のローラ部1413(端部の一例)を、プレス装置3に配置される金型8(特には下金型7のリフタガイド71)の高さに合わせることが出来る。これにより、コイル材供給装置2から供給されるコイル材100の先端100aが案内部41、1041によって下方から支持されながら金型8へと案内できる。
【0137】
(3)
本実施の形態のコイル材案内装置4、1004では、案内部41、1041は、
図15(a)〜(c)および
図26(a)〜(c)に示すように、コイル材100の先端100aを金型8に案内する際にコイル材100を下方から支持する案内位置と、案内位置から退避した退避位置の間を移動可能である。駆動部47、1042は、案内部41、1041を案内位置と退避位置の間で移動させる。
【0138】
プレス装置3に配置された金型8に案内されたコイル材100は、金型8のリフタガイド71に配置されており、プレス加工時には、
図16(a)、(b)に示すように、リフタガイド71が沈み込むとともにコイル材100も下方に移動する。
このため、プレス加工時に案内部41、1041が案内位置に配置された状態では、コイル材100のプレス加工に影響を与える場合があるが、案内部41、1041が案内位置と退避位置の間を移動可能であるため、プレス加工時に案内部41、1041を退避位置に移動させることによって、プレス加工時にコイル材100に影響を与えることを防止できる。
【0139】
(4)
本実施の形態のコイル材案内装置4、1004は、位置記憶部46(記憶部の一例)を更に備えている。位置記憶部46は、プレス装置3に配置される金型8ごとに、案内位置を記憶する。案内装置制御部45(制御部の一例)は、駆動部47、1042を制御することによりプレス装置3に配置される金型8に対応する案内位置に案内部41、1041を配置させる。
【0140】
予めティーチングで金型8ごとに案内部41、1041の案内位置を決定して位置記憶部46に記憶することによって、プレス装置3に配置した金型8に対応する案内位置まで案内部41、1041を自動で移動させることができる。
これにより、金型8ごとに適した案内位置に案内部41、1041を位置決めさせることができる。
【0141】
なお、ティーチングについては、金型8を用いた試し打ちの際に行えばよい。
(5)
本実施の形態のコイル材案内装置4、1004では、案内部41、1041は、プレス装置3に配置される金型8に向かって伸縮可能である。駆動部47、1042は、案内部41、1041を伸長させて案内部41、1041の端部41a、1041a(第1端部の一例)を金型8に向かって移動させる。
【0142】
これにより、プレス装置3の端に金型8が配置されていない場合でも、金型8の近傍まで案内部41、1041を伸ばすことができるため、コイル材100を金型8へと案内できる。
(6)
本実施の形態のコイル材案内装置4、1004では、
図6〜
図8および
図25(a)、(b)に示すように、案内部41、1041は、端部41a、1041a(第1端部の一例)と反対側の端部41b、1041b(第2端部)が回動可能にコイル材供給装置2に支持されている。駆動部47、1042は、端部41b、1041bを中心に端部41a、1041aが上下方向に移動するように案内部41、1041を回動させる。
【0143】
これにより、案内部41、1041を回動させてプレス装置3側の端部41a、1041aの位置をプレス装置3に配置された金型8の近傍に位置決めさせることができる。
(7)
本実施の形態のコイル材案内装置4は、搬送部44を更に備えている。搬送部44は、案内部41に設けられ、プレス装置3に配置される金型8に向かってコイル材100の終端100bを搬送する。
【0144】
コイル材100の終端100bがフィーダ23を通過すると、フィーダからプレス装置3内までの間に残っている終端材料を供給方向に移動させることができなくなるが、案内部41に搬送部44を設けることによって、コイル材100の終端100bをプレス装置3に配置されている金型8へと送ることが出来るため、有効に材料を利用できる。
(8)
本実施の形態のコイル材案内装置4では、搬送部44は、当接部83と、搬送駆動部80と、を有する。当接部83は、
図18(a)および
図18(b)に示すように、コイル材100の終端100bに当接する。搬送駆動部80は、当接部83を搬送方向Xに移動させる。
【0145】
これにより、当接部83がコイル材100の終端100bを搬送方向Xに押し、コイル材100の終端100bは、プレス装置3に配置された金型8へと搬送される。
(9)
本実施の形態のコイル材案内装置4では、搬送駆動部80は、チェーン81(ベルト状部材の一例)と、チェーン駆動用モータ82(駆動モータの一例)とを有する。チェーン81は、案内部41に搬送方向Xに沿って回転可能に支持され、当接部83が固定されている。チェーン駆動用モータ82は、チェーン81を回転させる。
【0146】
これにより、チェーン81の回転によって当接部83が搬送方向Xに移動する。
(10)
本実施の形態のコイル材案内装置4では、チェーン81(ベルト状部材の一例)は、搬送方向Xに対して垂直な幅方向Yにおける案内部41の中央に配置されている。
これにより、幅方向Yの中央を搬送方向Xに向かって当接部83が移動するため、コイル材100の幅に係らずコイル材100の終端100bを搬送できる。
【0147】
(11)
本実施の形態1のコイル材案内装置4では、案内部41は、回動部51と、スライド部52とを有する。回動部51は、端部41b(第2端部の一例)を持つ。スライド部52は、端部41a(第1端部の一例)を持ち、回動部51に対してプレス装置3側に向かってスライド可能である。駆動部47は、スライド部52を回動部51に対してスライド移動させて案内部41を伸縮する。回動部51は、コイル材供給装置2からプレス装置3に向かう方向に沿って配置され、コイル材100を滑らせる複数のローラ112(滑り部材の一例)を持つ第1ローラ部11(第1案内部分の一例)を複数有する。スライド部52は、コイル材供給装置2からプレス装置3に向かう方向に沿って配置され、コイル材100を滑らせる複数のローラ142(滑り部材の一例)を持つ第2ローラ部14(第2案内部分の一例)を複数有する。コイル材供給装置2からプレス装置3に向かう方向に対して垂直な幅方向Yにおける案内部41の中央から幅方向Yの両端のそれぞれに向かって第1ローラ部11と第2ローラ部14が交互に配置されている。
【0148】
(12)
本実施の形態のプレスシステム1は、コイル材供給装置本体20と、プレス装置本体30と、コイル材案内装置本体40、1040と、供給装置制御部24と、プレス装置制御部38と、案内装置制御部45と、を備える。コイル材供給装置本体20は、コイル材100を供給する。プレス装置本体30は、コイル材供給装置本体20から供給されるコイル材100にプレス加工を行う。コイル材案内装置本体40、1040は、コイル材供給装置本体20とプレス装置本体30の間に配置され、コイル材供給装置本体20から供給されたコイル材100の先端100aをプレス装置本体30に配置される金型8へ案内する案内部41、1041を有する。供給装置制御部24は、コイル材供給装置本体20を制御する。プレス装置制御部38は、プレス装置本体30を制御する。案内装置制御部45は、コイル材案内装置本体40、1040を制御する。案内装置制御部45は、コイル材100の先端100aを金型8へ案内可能に案内部41、1041の位置を制御する。
【0149】
これにより、コイル材供給装置本体20からコイル材100が供給されるとコイル材100の先端100aが案内部41、1041によって自動でプレス装置本体30に配置された金型8へと案内されるので、作業者がプレス装置内に立ち入る必要がなく、コイル材または金型の交換時における段取り時間を短縮できる。
(13)
本実施の形態のコイル材案内方法は、ステップS5(金型情報取得工程の一例)と、ステップS10(位置データ取得工程の一例)と、ステップS20(駆動工程の一例)と、ステップS30(案内工程の一例)と、を備える。ステップS5(金型情報取得工程の一例)は、プレス装置3に設置された金型8の情報を取得する。ステップS10(位置データ取得工程の一例)は、金型8の情報に基づいて、コイル材100の先端100aを金型8に案内する案内部41、1041の端部41a、1041a(金型側先端部の一例)の位置データを取得する。ステップS20(駆動工程の一例)は、位置データに基づいて案内部41、1041を駆動させる。ステップS30(案内工程の一例)は、コイル材供給装置2から供給されるコイル材100の先端100aを、案内部41、1041を介して金型8へと案内する。
【0150】
これにより、コイル材供給装置2からコイル材100が供給されるとコイル材100の先端100aが案内部41、1041によって自動でプレス装置3に配置された金型8へと案内されるので、作業者がプレス装置3内に立ち入る必要がなく、コイル材100または金型8の交換時における段取り時間を短縮できる。
[他の実施の形態]
(A)
上記実施の形態では、コイル材案内装置4、1004は、コイル材供給装置2に支持されているが、プレス装置3のアプライト33の間に設けられていてもよい。
【0151】
(B)
上記実施の形態では、コイル材案内装置4、1004の案内装置制御部45は、コイル材供給装置2の供給装置制御部24とプレス装置3のプレス装置制御部38とともに制御装置9に設けられているが、案内装置制御部45が単独で設けられていてもよい。例えば、コイル材案内装置4、1004に、CPU、メモリ、ディスプレイおよび操作部などを有する制御装置が設けられており、その制御装置内に案内装置制御部45が設けられていてもよい。
【0152】
また、プレス装置3とコイル材供給装置2が別々に制御装置を備えており、プレス装置3の制御装置にプレス装置制御部38が設けられ、コイル材供給装置2の制御装置に供給装置制御部24が設けられている場合、どちらか一方の制御装置に案内装置制御部45が設けられていてもよい。
(C)
上記実施の形態1では、搬送部44は、当接部83によってコイル材の終端100bを押すことによって搬送しているが、例えば、チェーン81に磁石を装着して磁力によってコイル材100の終端100bを搬送してもよい。
【0153】
また、搬送部44を設けず、第1ローラ部11および第2ローラ部14のローラ112、142を駆動させることによって案内部41に搬送機構を持たせても良い。
(D)
上記実施の形態1では、当接部83が固定されるベルト状部材の一例としてチェーン81が用いられているが、これに限られなくてもよく、例えばゴム等によって形成されたベルト状部材であってもよい。
【0154】
(E)
上記実施の形態1では、スライド駆動部42および回動駆動部43の駆動源として電動モータが用いられているが、上記実施の形態2のように油圧シリンダ1421、1422が用いられても良い。
また、上記実施の形態2では、駆動部1042の駆動源として油圧シリンダ1421、1422が用いられているが、電動モータが用いられても良い。
【0155】
(F)
上記実施の形態1のコイル材案内装置4では、搬送部44は、幅方向Yの中央に1つ設けられていたが、中央に限られなくてもよいし、複数列設けられていてもよい。
(G)
上記実施の形態1のコイル材案内装置4では、滑り部材の一例としてローラ112、142が設けられているが、これに限らなくても良く、例えばフリーボールベアリング、スキッドバーなどであってもよい。要するに、滑り部材は、コイル材100を滑らせることが可能な部材であればよい。