特許第6580910号(P6580910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6580910管路図作成装置、管路図作成プログラム及び管路図作成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6580910
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】管路図作成装置、管路図作成プログラム及び管路図作成システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/50 20060101AFI20190912BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20190912BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20190912BHJP
【FI】
   G06F17/50 606D
   G06F17/50 650C
   G06Q50/08
   G06Q50/06
【請求項の数】12
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-174664(P2015-174664)
(22)【出願日】2015年9月4日
(65)【公開番号】特開2017-49921(P2017-49921A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】502167083
【氏名又は名称】株式会社管総研
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(72)【発明者】
【氏名】石原 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】香川 崇哲
(72)【発明者】
【氏名】小丸 維斗
(72)【発明者】
【氏名】中村 博紀
(72)【発明者】
【氏名】長田 健一
【審査官】 堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−250617(JP,A)
【文献】 特開2005−115526(JP,A)
【文献】 特開2004−178113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F17/50
G06Q50/06
G06Q50/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管布設工事現場で取得された管路の施工管理情報に基づいて管路接合図を自動生成する管路図作成装置であって、
二つの管の接合部の位置を示す位置情報と当該接合部で接合された被接合管の管情報とを含み、管の接合部毎に取得された施工管理情報を格納する施工管理情報格納部と、
前記施工管理情報格納部から読み出した前記位置情報に対応する管路図レイヤ上の位置に接合点シンボルを描画する接合点描画処理部と、
前記接合点描画処理部で前記管路図レイヤに描画された接合点シンボル間を、前記施工管理情報格納部から読み出した前記管情報に対応した線状の管路シンボルで接続する管路描画処理部と、
前記接合点描画処理部及び管路描画処理部で描画された管路接合図を地図レイヤと重畳して表示する管路接合図表示処理部と、
前記管路図レイヤ上に描画された管路接合図を格納する管路情報格納部と、
を備えている管路図作成装置。
【請求項2】
前記管路描画処理部は、前記管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、前記起点接合点シンボルと前記終点接合点シンボルとの間の距離が前記管情報に対応する所定の許容長さ範囲に入っている場合に、両接合点シンボル間の前記管路シンボルでの接続を許容する距離判別部を備えている請求項1記載の管路図作成装置。
【請求項3】
前記管路描画処理部は、前記管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、前記起点接合点シンボルと前記終点接合点シンボルとを結ぶ線分と、前記起点接合点シンボルに接続された前記管路シンボルの延長線との角度が前記管情報に対応する所定の許容角度範囲に入っている場合に、前記管路シンボルで両接合点間の接続を許容する偏位角度判別部を備えている請求項1または2記載の管路図作成装置。
【請求項4】
前記管路描画処理部は、前記管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、前記管情報から前記被接合管が所定の曲角度の曲管であると判別すると、前記起点接合点シンボルに接続された前記管路シンボルの延長線上で前記曲角度となる位置から屈曲し前記終点接合点シンボルに到達する線状の管路シンボルで接続する曲管描画処理部を備えている請求項1から3の何れかに記載の管路図作成装置。
【請求項5】
前記管路描画処理部は、前記管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、前記管情報から前記被接合管が分岐部を備えたT字管であると判別すると、前記起点接合点シンボルと前記終点接合点シンボルとを結ぶ線分と、前記起点接合点シンボルに接続された前記管路シンボルの延長線との角度に基づいて何れの管端部が接合位置であるかを判別し、対応する管路シンボルで両接合点シンボルを接続するT字管描画処理部を備えている請求項1から4の何れかに記載の管路図作成装置。
【請求項6】
前記施工管理情報は、管の接合作業が終了する度に当該管の接合点で順次収集される情報であり、各情報の収集時の時刻情報が含まれ、当該時刻情報に基づいて各管の施工順が特定されるように構成されている請求項1から5の何れかに記載の管路図作成装置。
【請求項7】
コンピュータに、管布設工事現場で取得された管路の施工管理情報に基づいて管路接合図を自動生成させる管路図作成プログラムであって、
二つの管の接合部の位置を示す位置情報と当該接合部で接合された被接合管の管情報とを含み、管の接合部毎に取得された施工管理情報を施工管理情報格納部に格納する施工管理情報記憶処理部と、
前記施工管理情報格納部から読み出した前記位置情報に対応する管路図レイヤ上の位置に接合点シンボルを描画する接合点描画処理部と、
前記接合点描画処理部で前記管路図レイヤに描画された接合点シンボル間を、前記施工管理情報格納部から読み出した前記管情報に対応した線状の管路シンボルで接続する管路描画処理部と、
前記接合点描画処理部及び管路描画処理部で描画された管路接合図を地図レイヤと重畳して表示する管路接合図表示処理部と、
前記管路図レイヤ上に描画された管路接合図を管路情報格納部に格納する管路情報記憶処理部と、
してコンピュータを機能させる管路図作成プログラム。
【請求項8】
前記管路描画処理部は、前記管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、前記起点接合点シンボルと前記終点接合点シンボルとの間の距離が前記管情報に対応する所定の許容長さ範囲に入っている場合に、両接合点シンボル間の前記管路シンボルでの接続を許容する距離判別部を備えている請求項7記載の管路図作成プログラム。
【請求項9】
前記管路描画処理部は、前記管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、前記起点接合点シンボルと前記終点接合点シンボルとを結ぶ線分と、前記起点接合点シンボルに接続された前記管路シンボルの延長線との角度が前記管情報に対応する所定の許容角度範囲に入っている場合に、前記管路シンボルで両接合点間の接続を許容する偏位角度判別部を備えている請求項7または8記載の管路図作成プログラム。
【請求項10】
前記管路描画処理部は、前記管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、前記管情報から前記被接合管が所定の曲角度の曲管であると判別すると、前記起点接合点シンボルに接続された前記管路シンボルの延長線上で前記曲角度となる位置から屈曲し前記終点接合点シンボルに到達する線状の管路シンボルで接続する曲管描画処理部を備えている請求項7から9の何れかに記載の管路図作成プログラム。
【請求項11】
前記管路描画処理部は、前記管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、前記管情報から前記被接合管が分岐部を備えたT字管であると判別すると、前記起点接合点シンボルと前記終点接合点シンボルとを結ぶ線分と、前記起点接合点シンボルに接続された前記管路シンボルの延長線との角度に基づいて何れの管端部が接合位置であるかを判別し、対応する管路シンボルで両接合点シンボルを接続するT字管描画処理部を備えている請求項7から10の何れかに記載の管路図作成プログラム。
【請求項12】
管布設工事現場で取得された管路の施工管理情報に基づいて管路接合図を自動生成する管路図作成システムであって、
請求項1から5の何れかに記載の管路図作成装置と、
管布設工事現場で布設された管路の施工管理情報を収集する施工管理情報収集装置と、
前記施工管理情報収集装置で収集された施工管理情報を前記管路図作成装置に入力する施工管理情報入力装置と、
を備え、
前記施工管理情報収集装置は、二つの管の接合部に接地されるGPS受信機と、当該接合部で接合された被接合管に設置された管情報を読み取るコードリーダと、前記GPS受信機で受信された緯度及び経度と前記コードリーダで読み取られたコード情報を前記位置情報及び前記管情報を含む施工管理情報として記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された施工管理情報を読み出して外部に出力する情報出力部とを備えている管路図作成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管布設工事現場で取得された管路の施工管理情報に基づいて管路接合図を自動生成する管路図作成装置、管路図作成プログラム及び管路図作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上水道管路網等の管布設工事の施工に付帯して、施工業者は当日の作業終了時に配管の使用材料や工事内容を特定する情報を工事日報に書き込み、工事の終了後に管路の埋設位置を表す竣工図や、竣工図よりも管路の正確な埋設位置を表すオフセット図を工事管理者に提出する必要がある。
【0003】
しかし、施工業者にとってこのような書類の作成作業は非常に煩雑であるため、正確な情報の記入が保証され難いという問題があった。例えば、工事に用いられる多品種の管材料や各管の埋設位置を手帳にメモしておき、後にそのメモを参照して上述の書類をまとめて作成する場合が多いのであるが、その際に転記ミスも多く、また、配管の埋設後に位置を計測するような場合も多いため、正確さに欠けるという問題があった。
【0004】
一方、管布設工事の発注元である水道事業体は、施工業者から納入された竣工図に基づいて、GIS(Geographic Information System/地理情報システム)に管路の布設ルート等の布設情報を手動操作により入力する必要があり、そのような入力操作が非常に煩雑であるという問題や、施工後にGISに情報を反映するまでに時間遅れがあり、リアルタイムに管理できないという問題もあった。
【0005】
そこで、特許文献1には、水道工事業者などの配管工事業者による日報および竣工図の作成の手間を軽減できるようにすることを目的として、配管工事の施工業者が日ごとに作成する日報データをCADシステムに入力する手段と、CADシステムに入力された複数の日報データから工事竣工図を作成する手段とを有する配管工事の管理システムが提案されている。
【0006】
また、特許文献2には、管布設工事の施工現場で配管の施工管理情報を収集して外部に送信する携帯端末と、携帯端末から送信された施工管理情報を受信して施工状況を管理する施工情報管理サーバとを備えた配管施工管理システムが提案されている。
【0007】
当該配管施工管理システムは、携帯端末に、配管の継手形式を含む管情報を取得可能なコード情報を読み取るコード情報読取部と、配管の接合形態を特定するための入力画面を表示する接合形態特定部と、コード情報読取部で読み取られたコード情報から得られる管情報と接合形態特定部で特定された接合形態とから継手部の評価に必要な固有の検査項目を生成して報知画面に表示する検査項目報知部と、検査項目報知部で報知された検査項目に対応した検査情報を施工管理情報の一部として入力する検査情報入力部とを備え、携帯端末または施工情報管理サーバの何れかに、検査情報入力部に入力された検査情報に基づいて継手部の接合が適正に行なわれたか否かを評価する評価部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−331000号公報
【特許文献2】特開2012−123589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した配管工事の管理システムによれば、作業者の負担は軽減されるものの、CADシステムに手動で入力操作する必要があり、その際に誤ったデータが入力されると、その後の訂正が困難なために適性に管理できないという問題があった。
【0010】
上述した配管施工管理システムによれば、コード情報読取部を介して入力された管情報や、携帯端末に備えたGPS受信機能を利用して取得した管の接合部の位置情報等を含む施工管理情報が直ちに施工情報管理サーバに送信されるので、データの入力ミスが生起することなく、入力作業に要する手間が軽減され、しかも施工業者のみならず施工業者から水道事業体へも速やかにデータを提供できるようになる。
【0011】
しかし、そのような配管施工管理システムであっても、入力された施工管理情報に基づいて管路地図つまり管路接合図を作成する際には、コンピュータにインストールされたマッピングプログラムを起動させて、入力デバイスを用いた手動操作で管路を描画する必要があり、煩雑な入力操作の負担が軽減されることがなかった。
【0012】
コンピュータ上で管理される管路図レイヤ上で施工管理情報に含まれる接合点に対応する位置に接合点シンボルを自動的に描画し、描画された接合点シンボル同士を直線状の管路シンボルで自動接続することは可能であるが、管形状に対応した複数の管路シンボルで接合点シンボル同士を自動的に描画することができなかったため、そのような場合には手動操作で管路を描画しなければならなかったためである。
【0013】
また、例えば三つ以上の数の接合点シンボルが比較的近距離に存在する場合に、何れの接合点同士を接続するべきかが自動的に判別できず、オペレータによる判断が必要とされたためである。
【0014】
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、管布設工事現場で取得された管路の施工管理情報に基づいて管形状を識別可能な態様で管路接合図を自動生成可能な管路図作成装置、管路図作成プログラム及び管路図作成システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的を達成するため、本発明による管路図作成装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、管布設工事現場で取得された管路の施工管理情報に基づいて管路接合図を自動生成する管路図作成装置であって、二つの管の接合部の位置を示す位置情報と当該接合部で接続された被接合管の管情報とを含み、管の接合部毎に取得された施工管理情報を格納する施工管理情報格納部と、前記施工管理情報格納部から読み出した前記位置情報に対応する管路図レイヤ上の位置に接合点シンボルを描画する接合点描画処理部と、前記接合点描画処理部で前記管路図レイヤに描画された接合点シンボル間を、前記施工管理情報格納部から読み出した前記管情報に対応した線状の管路シンボルで接続する管路描画処理部と、前記接合点描画処理部及び管路描画処理部で描画された管路接合図を地図レイヤと重畳して表示する管路接合図表示処理部と、前記管路図レイヤ上に描画された管路接合図を格納する管路情報格納部と、を備えている点にある。
【0016】
施工管理情報格納部に二つの管の接合部の位置を示す位置情報、例えば緯度及び経度、必要に応じて標高情報と、当該接合部で接合された被接合管の管情報(直管や曲管等の管形状等の情報)とを含む施工管理情報が格納されている。施工管理情報格納部から読み出した位置情報に応じて、接合点描画処理部により対応する管路図レイヤに各接合点シンボルが描画され、施工管理情報格納部から読み出した前記管情報に応じて、管路描画処理部により接合点シンボル間が線状の管路シンボルで接続される。管路図レイヤに描画された管路接合図が、管路接合図表示処理部によって地図レイヤと重畳して表示され、管の施工進捗が目視確認できるようになる。このような管路図レイヤに描画された管路接合図が管路情報格納部に格納される。
【0017】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記管路描画処理部は、前記管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、前記起点接合点シンボルと前記終点接合点シンボルとの間の距離が前記管情報に対応する所定の許容長さ範囲に入っている場合に、両接合点シンボル間の前記管路シンボルでの接続を許容する距離判別部を備えている点にある。
【0018】
管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとの間を新たな管路シンボルで接続する際に、起点接合点シンボルと終点接合点シンボルとの間の距離が布設された管の有効長よりも長い場合には、終点接合点シンボルの位置が適正でない虞がある。そこで、距離判別部によって、起点接合点シンボルと終点接合点シンボルとの間の距離が、管情報に対応する所定の許容長さ範囲に入っており終点接合点シンボルの位置が適正であると判別された場合に、両接合点シンボル間を対応する管路シンボルで接続するように描画される。
【0019】
例えば、管情報から被接合管が直管であると判別される場合、起点接合点シンボルと終点接合点シンボルとの間の距離が、対応する直管の長さに所定のマージンを見込んだ所定の許容長さ範囲に入っていると、終点接合点シンボルの位置が適性であると判別される。許容長さ範囲より長い場合も短い場合も終点接合点シンボルの位置が不適切であると判別される。被接合管が直管以外の場合でも管端部間の長さに基づいて許容長さを設定することができる。
【0020】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記管路描画処理部は、前記管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、前記起点接合点シンボルと前記終点接合点シンボルとを結ぶ線分と、前記起点接合点シンボルに接続された前記管路シンボルの延長線との角度が前記管情報に対応する所定の許容角度範囲に入っている場合に、前記管路シンボルで両接合点間の接続を許容する偏位角度判別部を備えている点にある。
【0021】
管路同士の接合部では略直線状に両管路の軸心が配置される必要がある。管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとの間を新たな管路シンボルで接続する際に、起点接合点シンボルと終点接合点シンボルとを結ぶ線分と、起点接合点シンボルに接続された管路シンボルの延長線との角度が許容される傾き角度を超えている場合に、終点接合点シンボルの位置が不適性であると判別される。例えば、管情報から被接合管が直管であると判別される場合に、終点接合点シンボルが起点接合点シンボルに接続された管路シンボルの延長線から大きく偏っている場合等である。偏位角度判別部によって当該角度が所定の許容角度範囲に入っており、終点接合点シンボルの位置が適正であると判別された場合に、両接合点シンボル間を対応する管路シンボルで接続するように描画される。
【0022】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記管路描画処理部は、前記管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、前記管情報から前記被接合管が所定の曲角度の曲管であると判別すると、前記起点接合点シンボルに接続された前記管路シンボルの延長線上で前記曲角度となる位置から屈曲し前記終点接合点シンボルに到達する線状の管路シンボルで接続する曲管描画処理部を備えている点にある。
【0023】
管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを所定の曲角度の曲管で接続する場合、曲管描画処理部によって、起点接合点シンボルに接続された管路シンボルの延長線上で当該曲角度となる位置から屈曲し終点接合点シンボルに到達する線状の管路シンボルで接続される。
【0024】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記管路描画処理部は、前記管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、前記管情報から前記被接合管が分岐部を備えたT字管であると判別すると、前記起点接合点シンボルと前記終点接合点シンボルとを結ぶ線分と、前記起点接合点シンボルに接続された前記管路シンボルの延長線との角度に基づいて何れの管端部が接続位置であるかを判別し、対応する管路シンボルで両接合点シンボルを接続するT字管描画処理部を備えている点にある。
【0025】
管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとをT字管で接続する場合、終点接合点シンボルが何れの管端部であるかによって接続される管路シンボルが異なることが想定される。そのような場合にT字管描画処理部によって、起点接合点シンボルと終点接合点シンボルとを結ぶ線分と、起点接合点シンボルに接続された管路シンボルの延長線との角度に基づいて何れの管端部が接続位置であるかが判別され、対応する管路シンボルで両接合点シンボルが適切に接続される。
【0026】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記施工管理情報は、管の接合作業が終了する度に当該管の接合点で順次収集される情報であり、各情報の収集時の時刻情報が含まれ、当該時刻情報に基づいて各管の施工順が特定されるように構成されている点にある。
【0027】
施工管理情報が管の接合作業が終了する度に当該管の接合点で順次収集され、収集時の時刻情報が含まれる情報であれば、ランダムに入力され施工管理情報格納部に入力された情報であっても、時刻情報に基づいて施工順が判別できるので、当該時刻情報に従って接合点シンボル及び管路シンボルを施工順に描画することができる。尚、時刻情報が含まれない場合に施工順に描画するためには、施工順にデータを配列する必要があり、或いは管路図作成装置側で施工管理情報に含まれる接合位置のデータから接合位置間の距離等に基づいて施工順を推定する必要があるが、上述の構成によれば、そのような制限から解放される。
【0028】
本発明による管路図作成プログラムの第一の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、コンピュータに、管布設工事現場で取得された管路の施工管理情報に基づいて管路接合図を自動生成させる管路図作成プログラムであって、二つの管の接合部の位置を示す位置情報と当該接合部で接合された被接合管の管情報とを含み、管の接合部毎に取得された施工管理情報を施工管理情報格納部に格納する施工管理情報記憶処理部と、前記施工管理情報格納部から読み出した前記位置情報に対応する管路図レイヤ上の位置に接合点シンボルを描画する接合点描画処理部と、前記接合点描画処理部で前記管路図レイヤに描画された接合点シンボル間を、前記施工管理情報格納部から読み出した前記管情報に対応した線状の管路シンボルで接続する管路描画処理部と、前記接合点描画処理部及び管路描画処理部で描画された管路接合図を地図レイヤと重畳して表示する管路接合図表示処理部と、前記管路図レイヤ上に描画された管路接合図を管路情報格納部に格納する管路情報記憶処理部と、してコンピュータを機能させる点にある。
【0029】
同第二の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、上述の第七の特徴構成に加えて、前記管路描画処理部は、前記管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、前記起点接合点シンボルと前記終点接合点シンボルとの間の距離が前記管情報に対応する所定の許容長さ範囲に入っている場合に、両接合点シンボル間の前記管路シンボルでの接続を許容する距離判別部を備えている点にある。
【0030】
同第三の特徴構成は、同請求項9に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記管路描画処理部は、前記管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、前記起点接合点シンボルと前記終点接合点シンボルとを結ぶ線分と、前記起点接合点シンボルに接続された前記管路シンボルの延長線との角度が前記管情報に対応する所定の許容角度範囲に入っている場合に、前記管路シンボルで両接合点間の接続を許容する偏位角度判別部を備えている点にある。
【0031】
同第四の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述の第一から第三の何れかの特徴構成に加えて、前記管路描画処理部は、前記管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、前記管情報から前記被接合管が所定の曲角度の曲管であると判別すると、前記起点接合点シンボルに接続された前記管路シンボルの延長線上で前記曲角度となる位置から屈曲し前記終点接合点シンボルに到達する線状の管路シンボルで接続する曲管描画処理部を備えている点にある。
【0032】
同第五の特徴構成は、同請求項11に記載した通り、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記管路描画処理部は、前記管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと前記管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、前記管情報から前記被接合管が分岐部を備えたT字管であると判別すると、前記起点接合点シンボルと前記終点接合点シンボルとを結ぶ線分と、前記起点接合点シンボルに接続された前記管路シンボルの延長線との角度に基づいて何れの管端部が接合位置であるかを判別し、対応する管路シンボルで両接合点シンボルを接続するT字管描画処理部を備えている点にある。
【0033】
本発明による管路図作成システムは、同請求項12に記載した通り、管布設工事現場で取得された管路の施工管理情報に基づいて管路接合図を自動生成する管路図作成システムであって、第一から第五の何れかの特徴構成を備えた管路図作成装置と、管布設工事現場で布設された管路の施工管理情報を収集する施工管理情報収集装置と、前記施工管理情報収集装置で収集された施工管理情報を前記管路図作成装置に入力する施工管理情報入力装置と、を備え、前記施工管理情報収集装置は、二つの管の接合部に設置されるGPS受信機と、当該接合部で接合された被接合管に設置された管情報を読み取るコードリーダと、前記GPS受信機で受信された緯度及び経度と前記コードリーダで読み取られたコード情報を前記位置情報及び前記管情報を含む施工管理情報として記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された施工管理情報を読み出して外部に出力する情報出力部とを備えている点にある。
【0034】
二つの管の接合部に接地されるGPS受信機により受信されたデータから当該接合部の緯度及び経度がほぼ正確に求まり、当該接合部で接合された被接合管に設置された管情報がコードリーダで読み取られることにより正確な管情報が得られる。そして、これらの施工管理情報が記憶部に記憶されるので、作業者がメモ帳に転記するような煩雑な手順を踏むことなく、常に正確なデータが確保できる。施工管理情報収集装置の記憶部に記憶された施工管理情報は情報出力部を介して施工管理情報入力装置に出力され、施工管理情報入力装置から管路図作成装置に入力される。
【0035】
例えば施工管理情報入力装置が無線通信装置で構成されていれば、施工管理情報収集装置で収集された施工管理情報が、その都度ほぼリアルタイムで管路図作成装置に入力されるようになり、管路図作成装置により直ちに管路接合図が自動生成されるようになる。また、例えば施工管理情報入力装置が可搬性メモリで構成されていれば、その日に予定されていた工事の終了後に施工管理情報収集装置の記憶部に記憶された施工管理情報が情報出力部から可搬性メモリに出力され、可搬性メモリを介して管路図作成装置に入力される。可搬性メモリがスマートフォンやタブレット等の携帯端末装置に備えたメモリで構成されていてもよい。その場合には、携帯端末装置のメモリに格納された施工管理情報がWiFi等の伝送媒体を介して管路図作成装置に入力可能になる。無線通信インフラが整っていない工事現場や電波状況の悪い工事現場であっても、その後無線通信インフラが整った環境下に移動すれば、速やかに施工管理情報が管路図作成装置に入力されるようになる。
【発明の効果】
【0036】
以上説明した通り、本発明によれば、管布設工事現場で取得された管路の施工管理情報に基づいて管形状を識別可能な態様で管路接合図を自動生成可能な管路図作成装置、管路図作成プログラム及び管路図作成システムを提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明による管路図作成システムの説明図
図2】管路図作成システムの機能ブロック構成図
図3】管路接合図の説明図
図4】距離判別処理の説明図
図5】偏位角度判別処理の説明図
図6】曲管描画処理の説明図
図7】T字管描画処理の説明図
図8】施工管理情報収集処理のフローチャート
図9】管路図作成処理のフローチャート
図10】管路接合図の描画処理のフローチャート
図11】直管描画処理のフローチャート
図12】曲管描画処理のフローチャート
図13】T字管描画処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明による管路図作成装置、管路図作成プログラム及び管路図作成システムを説明する。
【0039】
図1には、本発明による管路図作成システム100が示されている。管路図作成システムは、管布設工事現場で取得された管路の施工管理情報に基づいて管路接合図を自動生成する管路図作成システム100である。
【0040】
管路図作成システム100は、管布設工事現場で取得された管路の施工管理情報に基づいて管路接合図を自動生成する管路図作成装置1と、管布設工事現場で布設された管路の施工管理情報を収集する施工管理情報収集装置2と、施工管理情報収集装置2で収集された施工管理情報を管路図作成装置1に入力する施工管理情報入力装置3とを備えて構成されている。
【0041】
施工管理情報収集装置2は、二つの管A,Bの接合部Cまたは接合部近傍に位置決め設置されるGPS受信機21と、当該接合部Cで接続された被接合管Aに設置(例えば貼付)された管情報ラベルL(例えばQRコード(登録商標))から管情報を読み取るコードリーダ22と、GPS受信機21で受信された緯度及び経度、必要に応じて標高情報と、コードリーダ22で読み取られた管情報を、位置情報及び管情報を含む施工管理情報として記憶する記憶部23と、記憶部23に記憶された施工管理情報を読み出して外部に出力する情報出力部24とを備えている。
【0042】
施工管理情報収集装置2は、例えばスマートフォンやタブレットのような携帯情報端末で構成することができ、内蔵のGPS受信機能を用いてGPS受信機21として機能させ、カメラ機能を用いてコードリーダ22として機能させることができる。
【0043】
カメラ機能を用いて管情報ラベルに付されたコード情報を読み取ることにより、管の個体番号(管コードに相当する)、製造年月日、製造工場、型式、管種、呼び径、有効長、管形状等の情報を含む管情報が得られる。例えば、それらの管情報の全てが管情報ラベルに付されたコード情報に含まれていてもよいし、それらの管情報が外部サーバから読み出せるように管の個体番号のみがコード情報に付されていてもよい。
【0044】
施工管理情報収集装置2を管の接合部Cの近傍に配置してGPS信号を受信することにより、接合部Cの位置を特定する緯度及び経度、必要に応じて標高情報が得られる。
【0045】
このような携帯情報端末に組み込まれた無線通信機能によって、記憶部23に記憶された施工管理情報を読み出して外部に出力する情報出力部24が構成され、或いは赤外線インタフェース等を用いて施工管理情報を可搬性メモリに書込むメモリインタフェースにより情報出力部24が構成される。
【0046】
このような携帯情報端末を施工管理情報収集装置2として用いる場合には、専用のアプリケーションプログラムが携帯情報端末にインストールされていればよい。そして専用のアプリケーションプログラムに基づいて、工事名、施工日時、施工業者、施工位置が入力設定され、上述の管コードから管情報が特定される。これら情報が施工管理情報となる。
【0047】
尚、詳述しないが携帯情報端末を用いずに専用の施工管理情報収集装置2を構成してもよい。この場合、上述したと同様の各機能ブロックを備えていることはいうまでもない。
【0048】
管路図作成装置1は、CPUと、CPUで実行されるプログラムが格納されるメモリと、入出力回路を備えたコンピュータで構成され、筐体に収容されたCPUボード11やメモリボード12、液晶式の表示装置13、キーボードやマウス等の入力装置14が接続されている。メモリに格納されたアプリケーションプログラムがCPUで実行されることにより、管路図作成装置1として機能するように構成されている。当該アプリケーションプログラムが本発明による管路図作成プログラムとなる。
【0049】
管路図作成装置1は、施工管理情報格納部1Aと、工事日報作成部1Bと、竣工図作成部1Cと、管路接合図作成部1Dと、それらにより生成された工事日報情報、竣工図情報、管路接合図の夫々を格納する管路情報格納部1E等を備えている。
【0050】
施工管理情報格納部1Aには、施工管理情報収集装置2から入力された施工管理情報が格納されている。工事日報作成部1Bによって、工事日毎に得られた施工管理情報に基づいて配管の使用材料や工事内容を特定する情報である工事日報が予め生成されたフォームで自動生成される。工事の終了時には、竣工図作成部1Cによって工事区間の管路の埋設位置を詳細に表す竣工図がオペレータによる操作に従って生成される。
【0051】
さらに、管路接合図作成部1Dによって、工事日毎に得られた施工管理情報に基づいて、所定の接合部シンボルと管路シンボルで構成される管路接合図が、地図レイヤに重畳する管路図レイヤに描画される。尚、地図レイヤには電子地図サーバ5に備えた地図データベース6からダウンロードされた地図情報が配置される。
【0052】
施工管理情報は管路図作成装置1に備えた通信インタフェースを介して入力される。通信インタフェースにはインターネット接続インタフェース、メモリ接続インタフェース、赤外線インタフェース等が含まれ、施工管理情報収集装置2から無線送信される場合にはインターネット接続インタフェースを介して入力され、可搬性メモリを介して入力される場合にはメモリ接続インタフェースを介して入力され、施工管理情報収集装置2を持参した工事業者から直接入力される場合は赤外線インタフェース等を介して入力される。
【0053】
つまり、インターネット等の通信媒体や可搬性メモリとそのインタフェースによって施工管理情報入力装置3が構成される。
【0054】
本実施形態では管路図作成装置1に施工管理情報格納部1Aと工事日報作成部1Bと竣工図作成部1Cと管路接合図作成部1Dと管路情報格納部1E等を備えた例を示しているが、工事日報作成部1B及び竣工図作成部1Cは特に設ける必要はない。
【0055】
つまり、管路図作成装置1は、二つの管A,Bの接合部Cの位置を示す位置情報と当該接合部Cで接合された被接合管Aの管情報とを含み、管の接合部毎に取得された施工管理情報を格納する施工管理情報格納部1Aと、管路図レイヤに管路接合図を描画する管路接合図作成部1Dと、管路図レイヤ上に描画された管路接合図を格納する管路情報格納部1Eを備えていればよい。
【0056】
以下では、主に管路接合図作成部1Dについて詳述する。
図2には管路図作成装置1の主要な機能ブロックが示されている。管路図作成装置1は、施工管理情報格納部1Aと、接合点描画処理部D11と、管路描画処理部D12と、接合点描画処理部D11及び管路描画処理部D12で描画された管路接合図を地図レイヤと重畳して表示する管路接合図表示処理部D13と、管路図レイヤ上に描画された管路接合図を格納する管路情報格納部D14と、を備えている。
【0057】
施工管理情報格納部1Aには、二つの管の接合部の位置を示す位置情報と当該接合部で接合された被接合管の管情報とを含み、管の接合部毎に取得された施工管理情報が格納される。
【0058】
接合点描画処理部D11は、施工管理情報格納部1Aから読み出した位置情報に対応する管路図レイヤ上の位置に接合点シンボルを各管の施工順に描画するように構成されている。
【0059】
管路描画処理部D12は、接合点描画処理部D11で管路図レイヤに描画された接合点シンボル間を、施工管理情報格納部1Aから読み出した管情報に対応した線状の管路シンボルで各管の施工順に接続するように構成されている。管路描画処理部D12には、接合点シンボル間を直管で接続する直管描画処理部、接合点シンボル間を曲管で接続する曲管描画処理部、接合点シンボル間をT字管で接続するT字管描画処理部の各描画処理部と、接続先の接合点シンボルが適切な位置に存在しているか否かを有効長に基づいて判別する距離判別部、接続先の接合点シンボルが適切な位置に存在しているか否かを管布設方向に基づいて判別する偏位角度判別部を備えている。
【0060】
施工管理情報格納部1Aに二つの管の接合部の位置を示す位置情報、例えば緯度及び経度、必要に応じて標高情報と、当該接合部で接合された被接合管の管情報(直管や曲管等の管形状等の情報)とを含む施工管理情報が格納されている。
【0061】
施工管理情報格納部1Aから読み出した位置情報に応じて、接合点描画処理部D11により対応する管路図レイヤに各接合点シンボルが施工順に描画され、施工管理情報格納部1Aから読み出した管情報に応じて、管路描画処理部D12により接合点シンボル間が線状の管路シンボルで接続するように描画される。
【0062】
管路図レイヤに描画された管路接合図が、管路接合図表示処理部D13によって地図レイヤと重畳して表示され、管の施工進捗が目視確認できるようになる。このような管路図レイヤに描画された管路接合図が管路情報格納部1Eに格納される。尚、位置情報に標高情報が含まれる場合には、三次元的な管路接合図を作成することができる。
【0063】
図3には、管路接合図の一例が示されている。丸印が接合点N1からN5を表す接合点シンボルであり、接合点シンボルN1からN5の夫々の間を接続する線図が管路シンボルT1からT4である。符号T0は既設配管であり、既設配管の管端部(受口)に新設配管T1の挿口が挿入接合される。接合部の構造はプッシュオンタイプの継手構造ばかりでなく、フランジ部をボルト接合するタイプ等、様々であるが、本例では全て同一の接合点シンボルで表示している。継手構造によって接合点シンボルを異ならせることも可能である。
【0064】
管路シンボルT1,T3は直管、管路シンボルT2は曲角度90°の曲管、管路シンボルT4は二股分岐するT字管である。直管及び曲管やT字管等の異形管が夫々異なる管路シンボルで示されている。曲管には他に曲角度が45°,22.5°,11.25°°,5.625°のものがある。
【0065】
以下では、管路シンボルが既に接続された接合点シンボルを起点接合点シンボル、管路シンボルが未だ接続されていない接合点シンボルを終点接合点シンボルと記し、起点接合点シンボルから終点接合点シンボルに新たな管路シンボルを接続する描画処理について説明する。
【0066】
接合点描画処理部D11により終点接合点シンボルが描画されると、管路描画処理部D12が起動され、終点接合点シンボルに対応する管情報から直管が接続されたことが判別されると直管描画処理部が起動され、直管描画処理部により距離判別部及び偏位角度判別部が起動される。
【0067】
図4に示すように、距離判別部は、管路シンボルT0が既に接続された起点接合点シンボルN1と管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルN2とを新たな管路シンボルT1で接続する際に(図4(a)参照)、起点接合点シンボルN1と終点接合点シンボルN2との間の距離が管情報に対応する所定の許容長さ範囲に入っているかを判定する。所定の許容長さ範囲に入っている場合に、直管描画処理部に対して両接合点シンボル間の管路シンボルでの接続を許容する(図4(b)参照)。
【0068】
起点接合点シンボルN1と終点接合点シンボルN2との間の距離が管情報に対応する所定の許容長さ範囲を逸脱する場合には、当該終点接合点シンボルN2が別の工事による接合点であるか、異常なデータであると判断して管路シンボルの描画を禁止する(図4(c)参照)。
【0069】
所定の許容長さとは直管の場合、管の呼び径で定まる有効長に所定のマージンを考慮した値に設定される。例えばダクタイル鋳鉄管の場合、呼び径100の直管は最大4mの有効長であるため、所定の許容長さ範囲の上限が4+0.5mに設定され、当該直管を切管として用いる場合は最小1mの有効長であるため、所定の許容長さ範囲の下限が0.5mに設定される。
【0070】
図5に示すように、偏位角度判別部は、管路シンボルT0が既に接続された起点接合点シンボルN1と管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルN2とを新たな管路シンボルT1で接続する際に(図3図5(a)参照)、管情報から被接合管が直管であると判別すると、起点接合点シンボルN1と終点接合点シンボルN2とを結ぶ線分と、起点接合点シンボルN1に接続された管路シンボルT0の延長線との角度が管情報に対応する所定の許容角度θの範囲に入っているか否かを判別する。所定の許容角度θの範囲に入っている場合に、直管描画処理部に対して管路シンボルT1で両接合点N1,N2間の接続を許容する(図5(b)参照)。
【0071】
本実施例では、所定の許容角度θの範囲は起点接合点シンボルN1に接続された管路シンボルT0の延長線に対して±2°に設定されているが、継手形式に応じて設定することも可能である。尚、図では説明の便宜のため、θが±2°よりも大きな角度で示されている。
【0072】
所定の許容角度範囲θを逸脱する場合には、当該終点接合点シンボルN2が別の工事による接合点であるか、異常なデータであると判断して管路シンボルの描画を禁止する(図5(c)参照)。
【0073】
図6に示すように、曲管描画処理部は、管路シンボルT1が既に接続された起点接合点シンボルN2と管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルN3とを新たな管路シンボルT2で接続する際に(図3図6(a)参照)、管情報から被接合管が所定の曲角度、例えば90°の曲管であると判別すると、起点接合点シンボルN2に接続された管路シンボルの延長線上で曲角度となる位置から屈曲した線を想定し(図6(b)参照)、当該線が終点接合点シンボルN3に到達する線状の管路シンボルT2で接続する(図6(c)参照)。
【0074】
管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを所定の曲角度の曲管で接続する場合、曲管描画処理部によって、起点接合点シンボルに接続された管路シンボルの延長線上で当該曲角度となる位置から屈曲し終点接合点シンボルに到達する線状の管路シンボルで接続される。
【0075】
終点接合点シンボルが許容角度θの範囲に入っているか否かの判別は、曲管情報に対応する所定の曲角度および許容角度θを用い、管路シンボルT1の延長線に対し管路シンボルT2が曲管の曲角度および、その許容角度θの範囲に入っているか否かによって行うことができる。
【0076】
図7に示すように、T字管描画処理部は、管路シンボルT3が既に接続された起点接合点シンボルN4と管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルN5またはN6とを新たな管路シンボルT4で接続する際に(図3図7(a)参照)、管情報から被接合管が分岐部を備えたT字管であると判別すると、起点接合点シンボルN4と終点接合点シンボルN5またはN6とを結ぶ線分と、起点接合点シンボルN4に接続された管路シンボルT3の延長線との角度に基づいて何れの管端部が接続位置であるかを判別し、対応する管路シンボルT4で両接合点シンボルを接続する。実際には、終点接合点シンボルN5またはN6の何れか一方の接続部に対する管情報が先に入力されるので、それが何れの管端部であるかを識別する必要があるのである。
【0077】
この場合、T字管描画処理部によって上述の偏位角度判別部が起動される。終点接合点シンボルN5では起点接合点シンボルN4に接続された管路シンボルT3の延長線との角度が管情報に対応する所定の許容角度θの範囲に入っており、終点接合点シンボルN6では起点接合点シンボルN4に接続された管路シンボルT3の延長線との角度が管情報に対応する所定の許容角度θの範囲から逸脱している(図7(b)参照)。
【0078】
つまり、T字管の場合、終点接合点シンボルが所定の許容角度θの範囲に入っているか、逸脱しているかに基づいて、終点接合点シンボルが何れの端部であるかが判別できる。終点接合点シンボルが所定の許容角度θの範囲に入っている場合には終点接合点シンボルがN5であり、逸脱している場合には終点接合点シンボルがN6であると判別する。
【0079】
終点接合点シンボルがN5であれば、直線状の管路シンボルを描画し、後に終点接合点シンボルN6に対する管情報が得られた時点で分岐部を描画する(図7(c)参照)。具体的に接合点シンボルN4,N5の距離の1/2の地点から90°の角度で分岐管が描画される。管情報から二つの終点接合点シンボルN5,N6は一本のT字管であると判明しているので、このような処理が可能になる。
【0080】
終点接合点シンボルがN6であれば、起点接合点シンボルN4に接続された管路シンボルT3の延長線上で曲角度90°となる位置から屈曲した線を想定し、当該線が終点接合点シンボルN6に到達する線状の管路シンボルT40で接続する(図7(d)参照)。
【0081】
以下、管路図作成システム100を構成する施工管理情報収集装置2及び管路図作成装置1の処理手順を説明する。
図8に示すように、施工管理情報収集装置2は、工事現場で行われる管布設作業により管同士の接合作業が終了する度に(S1,S2)、管接合部近傍に携帯情報端末が設置されてGPS受信装置を介して位置情報が取得され(S3)、次にカメラ機能を介して受口側端部に貼付された管情報ラベルLが読み取られて受口側管の管情報が取得される(S4)。
【0082】
取得された位置情報及び管情報と予め設定されている工事情報(工事番号、工事日、工事場所、施工業者等を含む施工管理情報がWiFiを介して管路図作成装置1に送信される(S5)。その日に予定された工事が終了していなければ(S6)、ステップS1からステップS5の処理が繰り返され、その日の予定工事が終了すると、施工管理情報収集処理が終了する。位置情報及び管情報が取得された場所の電波状況によりWiFiが使用できない場合には、施工管理情報を可搬性メモリ等に記憶して、工事が終了した後に管路図作成装置1に直接入力し、或いは、電波状況の良い地域からWiFiを介して送信するように構成してもよい。
【0083】
図9に示すように、管路図作成装置1は、施工管理情報を受信すると(S11)、施工管理情報格納部1Aに受信情報を格納し(S12)、マッピング処理つまり上述した管路接合図作成部1Dによる管路接合図の自動生成処理が開始される(S13)。
【0084】
受信した施工管理情報に含まれる全ての接合点及び管路の描画が終了するまでの間(S14)、ステップS11からステップS13の処理が繰り返される。その後、自動生成された管路接合図は管路情報格納部1Eに格納される(S15)。尚、本実施例では、施工管理情報を受信する度にリアルタイムで管路接合図が自動生成される例を説明したが、一日の工事終了後の最終情報を受信した後に一括して管路接合図が自動生成されるように構成されていてもよい。
【0085】
図10から図13には、マッピング処理つまり上述した管路接合図作成部1Dによる管路接合図の自動生成処理が示されている。
【0086】
図10に示すように、マッピング処理では施工管理情報格納部1Aに格納された施工管理情報から既設管の接合点に対して新たな接合点が存在するかどうかを判別し、新たな接合点が出現するまで待機している(S21)。
【0087】
新たな接合点が出現するとその接合点に対応する接合点シンボルを起点接合点シンボルとして描画し(S22)、その直前に描画した終点接合点シンボルから起点接合点シンボルまでを描画する管の形状を管情報に基づいて判別する(S23)。
【0088】
管形状が直管であれば直管描画処理部が起動され(S24)、曲管であれば曲管描画処理部が起動され(S25)、T字管であればT字管描画処理部が起動される(S26)。それぞれで管路接合図が描画されると(S27)、現在の終点接合点シンボルを次の起点接合点シンボルとし、新たな接合点を新たな終点接合点シンボルとして、同様の処理を繰返す(S28)。
【0089】
図11には直管描画処理が示されている。直管描画処理部によって距離判別部が起動されると、終点接合点シンボルと新たに作成された起点接合点シンボルとの間の距離が両者の接合点を示す位置情報から求められ(S31)、両接合点シンボル間の距離が直管の有効長に対応して定められた所定の許容長さの範囲内であるか否かが判定される(S32)。
【0090】
起点接合点シンボルと終点接合点シンボルとの間の距離が所定の許容長さ範囲に入っていると判別すると(S32)、次に偏位角度判別部が起動され、起点接合点シンボルと終点接合点シンボルとを結ぶ線分と、起点接合点シンボルに接続された管路シンボルの延長線との角度が管情報に対応する所定の許容角度範囲に入っているか否かが判別され(S33,S34)、許容角度範囲に入っていると判別されると(S34)、直管描画処理部によって両接合点シンボル間が直管を示す線図で描画される(S35)。ステップS32、ステップS34で許容範囲を逸脱すると判別されると、描画処理を行なわずに処理を終了する。
【0091】
図12には曲管描画処理が示されている。曲管描画処理部によって距離判別部が起動されると、終点接合点シンボルと新たに作成された起点接合点シンボルとの間の距離が両者の接合点を示す位置情報から求められ(S41)、両接合点シンボル間の距離が曲管の管端部管の距離に対応して定められた所定の許容長さの範囲内であるか否かが判定される(S42)。
【0092】
許容長さの範囲内である場合には、管情報から曲角度情報(例えば90°)を取り込み(S43)、さらに偏位角度判別部が起動され、起点接合点シンボルと終点接合点シンボルとを結ぶ線分と、起点接合点シンボルに接続された管路シンボルの延長線との角度が管情報に対応する所定の許容角度範囲に入っているか否かが判別され(S44,S45)、許容角度範囲に入っていると判別されると曲管の描画処理に入る。許容角度範囲とは曲管の一方の端部側の管延長方向と他方の管端部のなす角度に所定のマージンを考慮して定められた角度である。
【0093】
曲管の描画処理では、管情報から曲角度情報を基に、起点接合点シンボルに接続された管路シンボルの延長線上から曲角度の角度で延出する線分のうち、終点接合点シンボルに到達する線分の始点を、管路シンボルの延長線上で特定して折れ点とし(S46)、その位置から屈曲して終点接合点シンボルに到達する線状の管路シンボルを作成する(S47)。
【0094】
図13はT字管描画処理が示されている。T字管も曲管と同様に許容長さの判別と許容偏位角の判別が行なわれる(S51〜S54)。以上の条件が満足した場合に次のステップに進む。T字管は受口が2つあるため、終点接合点シンボルが何れの受け口であるかが自動判別される必要がある。
【0095】
先ず、許容長さの判別によって2つの受口が所定の許容範囲の距離に存在するかが判別され、次に許容偏位角の判別によって2つの受口の何れが終点接合点シンボルになっているのかの判別が行なわれる。許容角度範囲に入っていれば直管側の受口であり、逸脱していれば直管に直交する管の受口であると判別される。
【0096】
T字管描画処理部は、許容偏位角の判別結果に基づいて、終点接合点シンボルが起点接合点シンボルと終点接合点シンボルとを結ぶ線分の延長上に存在すると判別すると(S55,Y)、起点接合点シンボルと終点接合点シンボル(第1終点接合点シンボル)とを直線で描画する(S57)。後に、分岐側の受口に対する接合点情報が受信されたときに、当該直線の中点から分岐側の受口である第2終点接合点シンボルに分岐線を描画する(S59)。
【0097】
T字管描画処理部は、許容偏位角の判別結果に基づいて、終点接合点シンボルが起点接合点シンボルと終点接合点シンボルとを結ぶ線分の延長上に存在しないと判別すると分岐側の受口であると判断して(S55,N)、起点接合点シンボルに接続された管路シンボルの延長線上から90°角度で延出する線分のうち、終点接合点シンボルに到達する線分の始点を、管路シンボルの延長線上で特定して折れ点とし、その位置から屈曲して終点接合点シンボルに到達するL字状の線分による管路シンボルを描画する(S56)。後に、直管側の受口に対する接合点情報が受信されたときに、当該L字状の屈曲点から直管側の受口である第2終点接合点シンボルに直線を描画する(S57)。
【0098】
上述したように、施工管理情報は、管の接合作業が終了する度に当該管の接合点で順次収集される情報であるが、複数の接合点に関する情報が纏まって送信されると、管の接合順が特定できない事態を招来する虞がある。従って、接合点に関する情報の収集時の時刻情報がそれぞれに含まれ、当該時刻情報に基づいて各管の施工順が特定されるように構成されていることが好ましい。
【0099】
施工管理情報が管の接合作業が終了する度に当該管の接合点で順次収集され、収集時の時刻情報が含まれる情報であれば、ランダムに入力され施工管理情報格納部に入力された情報であっても、時刻情報に基づいて施工順が判別できるので、当該時刻情報に従って接合点シンボル及び管路シンボルを施工順に描画することができる。尚、時刻情報が含まれない場合に施工順に描画するためには、施工順にデータを配列する必要があり、或いは管路図作成装置側で施工管理情報に含まれる接合位置のデータから接合位置間の距離等に基づいて施工順を推定する必要があるが、上述の構成によれば、そのような制限から解放される。
【0100】
以上説明した通り、本発明による管路図作成プログラムは、上述した管路図作成装置1を構成するコンピュータにインストールされ、当該コンピュータに、管布設工事現場で取得された管路の施工管理情報に基づいて管路接合図を自動生成させる管路図作成プログラムである。
【0101】
詳述すると、二つの管の接合部の位置を示す位置情報と当該接合部で接続された被接合管の管情報とを含み、管の接合部毎に取得された施工管理情報を施工管理情報格納部に格納する施工管理情報記憶処理部と、施工管理情報格納部から読み出した位置情報に対応する管路図レイヤ上の位置に接合点シンボルを描画する接合点描画処理部と、接合点描画処理部で管路図レイヤに描画された接合点シンボル間を、施工管理情報格納部から読み出した管情報に対応した線状の管路シンボルで接続する管路描画処理部と、接合点描画処理部及び管路描画処理部で描画された管路接合図を地図レイヤと重畳して表示する管路接合図表示処理部と、管路図レイヤ上に描画された管路接合図を管路情報格納部に格納する管路情報記憶処理部と、してコンピュータを機能させる管路図作成プログラムである。
【0102】
そして、管路描画処理部は、管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、起点接合点シンボルと終点接合点シンボルとの間の距離が管情報に対応する所定の許容長さ範囲に入っている場合に、両接合点シンボル間の管路シンボルでの接続を許容する距離判別部を備えている。
【0103】
また、管路描画処理部は、管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、起点接合点シンボルと終点接合点シンボルとを結ぶ線分と、起点接合点シンボルに接続された管路シンボルの延長線との角度が管情報に対応する所定の許容角度範囲に入っている場合に、管路シンボルで両接合点間の接続を許容する偏位角度判別部を備えている。
【0104】
管路描画処理部は、管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、管情報から被接合管が所定の曲角度の曲管であると判別すると、起点接合点シンボルに接続された管路シンボルの延長線上で曲角度となる位置から屈曲し終点接合点シンボルに到達する線状の管路シンボルで接続する曲管描画処理部を備えている。
【0105】
さらに、管路描画処理部は、管路シンボルが既に接続された起点接合点シンボルと管路シンボルが未だ接続されていない終点接合点シンボルとを新たな管路シンボルで接続する際に、管情報から被接合管が分岐部を備えたT字管であると判別すると、起点接合点シンボルと終点接合点シンボルとを結ぶ線分と、起点接合点シンボルに接続された管路シンボルの延長線との角度に基づいて何れの管端部が接続位置であるかを判別し、対応する管路シンボルで両接合点シンボルを接続するT字管描画処理部を備えている。
【0106】
管路図作成装置1を構成するコンピュータ或いは管路図作成プログラムがクラウドサーバ上で構築されていることが好ましく、施工管理情報収集装置から送信された施工管理情報からリアルタイムで管路接合図を描くことができ、また地理情報システム(GIS:Geographic Information System)に本発明による管路図作成プログラムを構築すれば、リアルタイムで地理情報システム上の管路接合図を更新処理することができる。
【0107】
尚、管路図作成プログラムにより実行される管路接合図の描画アルゴリズムは、工事日報に必要な管路施工図面や、竣工図で示す管路接合図にも適用可能である。
【0108】
上述した実施形態では、管形状として「直管」「曲管」「T字管」を用いて説明したが、「乙字管」やその他の異形管を用いても良い。
また、施工順に描画した例を記載したが、その他の順番で描画しても良い。
【0109】
上述した実施形態は、本発明の一態様に過ぎず、該記載に基づいて本願発明の技術的範囲が限定されるものではなく、本発明の作用効果が奏される範囲で具体的な構成を適宜変更設計できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0110】
1:管路図作成装置
1A:施工管理情報格納部
1B:工事日報作成部
1C:竣工図作成部
1D:管路接合図作成部
1E:管路情報格納部
2:施工管理情報収集装置
3:施工管理情報入力装置
21:GPS受信機
22:コードリーダ
100:管路図作成システム

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13