【文献】
Makoto Obara et al.,Acceleration-Selective Arterial Spin Labeling(AccASL)for Intracranial MR Angiography,Proc.Intl.Soc.Mag.Reson.Med,2015年 6月 5日,3522
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記実行部により収集された2次元のデータに基づいて、2次元の画像を生成し、前記実行部により収集された3次元のデータに基づいて、3次元の画像を生成し、生成した3次元の画像に対してMIP処理を施す画像生成部と、
前記画像生成部により生成された前記2次元の画像、及び、前記MIP処理が施された3次元の画像を表示部に表示させる表示制御部と、
を更に備える、請求項1〜5のいずれか1つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(実施形態)
以下、図面を参照しながら、実施形態及び変形例に係る磁気共鳴イメージング装置(以下、適宜「MRI装置」)を説明する。また、以下に説明する実施形態及び変形例は、適宜組み合わせることができる。
【0008】
図1は、実施形態に係るMRI装置100の構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石1と、傾斜磁場コイル2と、傾斜磁場電源3と、送信コイル4と、送信回路5と、受信コイル6と、受信回路7と、寝台8と、入力回路9と、ディスプレイ10と、記憶回路11と、処理回路12〜15とを備える。なお、MRI装置100に、
図1に示す被検体S(例えば、人体)は含まれない。また、
図1に示す構成は一例に過ぎない。
【0009】
静磁場磁石1は、中空の略円筒形状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成され、内周側に形成される撮像空間に一様な静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石1は、永久磁石や超伝導磁石等によって実現される。
【0010】
傾斜磁場コイル2は、中空の略円筒形状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成され、静磁場磁石1の内周側に配置される。傾斜磁場コイル2は、互いに直交するx軸、y軸及びz軸それぞれに沿った傾斜磁場を発生させる3つのコイルを有する。ここで、x軸、y軸及びz軸は、MRI装置100に固有の装置座標系を構成する。例えば、x軸の方向は、鉛直方向に設定され、y軸の方向は、水平方向に設定される。また、z軸の方向は、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁束の方向と同じに設定される。
【0011】
傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2が有する3つのコイルそれぞれに個別に電流を供給することで、x軸、y軸及びz軸それぞれに沿った傾斜磁場を撮像空間に発生させる。x軸、y軸及びz軸それぞれに沿った傾斜磁場を発生させることによって、互いに直交するリードアウト方向、位相エンコード方向、及びスライス方向それぞれに沿った傾斜磁場を発生させることができる。ここで、リードアウト方向、位相エンコード方向、及びスライス方向それぞれに沿った軸は、撮像の対象となるスライス領域又はボリューム領域を規定するための論理座標系を構成する。なお、以下では、リードアウト方向に沿った傾斜磁場をリードアウト傾斜磁場と呼び、位相エンコード方向に沿った傾斜磁場を位相エンコード傾斜磁場と呼び、スライス方向に沿った傾斜磁場をスライス傾斜磁場と呼ぶ。
【0012】
各傾斜磁場は、静磁場磁石1によって発生する静磁場に重畳され、磁気共鳴(Magnetic Resonance:MR)信号に空間的な位置情報を付与するために用いられる。具体的には、リードアウト傾斜磁場は、リードアウト方向の位置に応じてMR信号の周波数を変化させることで、MR信号にリードアウト方向に沿った位置情報を付与する。また、位相エンコード傾斜磁場は、位相エンコード方向に沿ってMR信号の位相を変化させることで、MR信号に位相エンコード方向の位置情報を付与する。また、スライス傾斜磁場は、撮像領域がスライス領域の場合には、スライス領域の方向、厚さ、枚数を決めるために用いられ、撮像領域がボリューム領域である場合には、スライス方向の位置に応じてMR信号の位相を変化させることで、MR信号にスライス方向に沿った位置情報を付与する。
【0013】
送信コイル4は、中空の略円筒形状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成され、傾斜磁場コイル2の内側に配置される。送信コイル4は、送信回路5から出力されるRF(Radio Frequency)パルスを撮像空間に印加する。
【0014】
送信回路5は、ラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル4に出力する。例えば、送信回路5は、発振回路、位相選択回路、周波数変換回路、振幅変調回路、及び、RF増幅回路を有する。発振回路は、静磁場中に置かれた対象原子核に固有の共鳴周波数のRFパルスを発生する。位相選択回路は、発振回路から出力されるRFパルスの位相を選択する。周波数変換回路は、位相選択回路から出力されるRFパルスの周波数を変換する。振幅変調回路は、周波数変換回路から出力されるRFパルスの振幅を例えばsinc関数に従って変調する。RF増幅回路は、振幅変調回路から出力されるRFパルスを増幅して送信コイル4に出力する。
【0015】
受信コイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、RFパルスの影響によって被検体Sから発せられるMR信号を受信する。受信コイル6は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信回路7へ出力する。
【0016】
受信回路7は、受信コイル6から出力されるMR信号に基づいてMR信号データを生成し、生成したMR信号データを処理回路13に出力する。例えば、受信回路7は、選択回路、前段増幅回路、位相検波回路、及び、アナログデジタル変換回路を有する。選択回路は、受信コイル6から出力されるMR信号を選択的に入力する。前段増幅回路は、選択回路から出力されるMR信号を増幅する。位相検波回路は、前段増幅器から出力されるMR信号の位相を検波する。アナログデジタル変換回路は、位相検波器から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換することでMR信号データを生成し、生成したMR信号データを処理回路13に出力する。
【0017】
なお、ここでは、送信コイル4がRFパルスを印加し、受信コイル6がMR信号を受信する場合の例を説明するが、送信コイル及び受信コイルの形態はこれに限られない。例えば、送信コイル4が、MR信号を受信する受信機能をさらに有してもよい。また、受信コイル6が、RF磁場を印加する送信機能をさらに有していてもよい。送信コイル4が受信機能を有している場合は、受信回路7は、送信コイル4によって受信されたMR信号からもMR信号データを生成する。また、受信コイル6が送信機能を有している場合は、送信回路5は、受信コイル6にもRFパルスを出力する。
【0018】
寝台8は、被検体Sが載置される天板8aを備え、被検体Sの撮像が行われる際に、静磁場磁石1及び傾斜磁場コイル2の内側に形成される撮像空間へ天板8aを挿入する。例えば、寝台8は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。
【0019】
入力回路9は、医師や放射線診療技師などの操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。例えば、入力回路9は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、タッチパネル等によって実現される。入力回路9は、処理回路15に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路15へ出力する。
【0020】
ディスプレイ10は、各種情報及び各種画像を表示する。例えば、ディスプレイ10は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。ディスプレイ10は、処理回路15に接続されており、処理回路15から送られる各種情報及び各種画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。
【0021】
記憶回路11は、各種データを記憶する。例えば、記憶回路11は、MR信号データや画像データを被検体Sごとに記憶する。例えば、記憶回路11は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子やハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0022】
処理回路12は、寝台制御機能12aを有する。例えば、処理回路12は、プロセッサによって実現される。寝台制御機能12aは、寝台8に接続されており、制御用の電気信号を寝台8へ出力することで、寝台8の動作を制御する。例えば、寝台制御機能12aは、入力回路9を介して、天板8aを長手方向、上下方向又は左右方向へ移動させる指示を操作者から受け付け、受け付けた指示に従って天板8aを移動するように、寝台8が有する天板8aの駆動機構を動作させる。
【0023】
処理回路13は、実行機能13aを有する。例えば、処理回路13は、プロセッサによって実現される。実行機能13aは、各種パルスシーケンスを実行する。具体的には、実行機能13aは、処理回路15から出力されるシーケンス実行データに基づいて傾斜磁場電源3、送信回路5及び受信回路7を駆動することで、各種パルスシーケンスを実行する。実行機能13aは、実行部の一例である。
【0024】
ここで、シーケンス実行データは、MR信号データを収集するための手順を示すパルスシーケンスを定義した情報である。具体的には、シーケンス実行データは、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に電流を供給するタイミング及び供給される電流の強さ、送信回路5が送信コイル4に供給するRFパルス電流の強さや供給タイミング、受信回路7がMR信号を検出する検出タイミング等を定義した情報である。
【0025】
また、実行機能13aは、各種パルスシーケンスを実行した結果として、受信回路7からMR信号データを受信し、受信したMR信号データを記憶回路11に格納する。なお、実行機能13aによって受信されたMR信号データの集合は、前述したリードアウト傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、及びスライス傾斜磁場によって付与された位置情報に応じて2次元又は3次元に配列されることで、k空間を構成するデータとして記憶回路11に格納される。すなわち、実行機能13aは、シーケンス実行データに基づいて、k空間を構成するデータを収集する。
【0026】
処理回路14は、画像生成機能14aを有する。例えば、処理回路14は、プロセッサによって実現される。画像生成機能14aは、記憶回路11に格納されたMR信号データに基づいて2D(Dimension)画像や3D画像などの各種の画像を生成する。具体的には、画像生成機能14aは、実行機能13aによって記憶回路11に格納されたMR信号データを読み出し、読み出したMR信号データに後処理すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことで各種の画像を生成する。また、画像生成機能14aは、生成した画像の画像データを記憶回路11に格納する。なお、「2D」は、2次元を指し、「3D」は、3次元を指す。画像生成機能14aは、画像生成部の一例である。
【0027】
処理回路15は、MRI装置100が有する各構成要素を制御することで、MRI装置100の全体制御を行う。例えば、処理回路15は、プロセッサによって実現される。例えば、処理回路15は、入力回路9を介して操作者からパルスシーケンスに関する各種のパラメータの入力を受け付け、受け付けたパラメータに基づいてシーケンス実行データを生成する。そして、処理回路15は、生成したシーケンス実行データを処理回路13に送信することで、各種のパルスシーケンスを実行する。また、例えば、処理回路15は、操作者から要求された画像の画像データを記憶回路11から読み出し、読み出した画像をディスプレイ10に出力する。
【0028】
以上、本実施形態に係るMRI装置100の構成例について説明した。
【0029】
ここで、例えば、MRI装置が、1つのタグパルスを印加した後に、複数のTI(Inversion Time)が経過するたびにデータを収集し、複数のTIに対応する複数のデータを収集する撮像法を用いて撮像を行う場合について説明する。この撮像法は、Dynamic ASL(Arterial Spin Labeling) MRA(Magnetic Resonance Angiography)と呼ばれる。なお、3次元の画像を撮像する場合には、この撮像法は、3D Dynamic ASL MRAとも称される。また、TIは、待ち時間とも称され、タグパルスの印可タイミングからMR信号の収集タイミング(例えば、k空間中心付近の収集タイミング)までの時間である。また、タグパルスは、IR(Inversion Recovery)パルスとも称される。また、1つのタグパルスを印加した後に、TIを変えながらデータを収集する、すなわち、1つのタグパルスを印加した後に、複数のTIのそれぞれでデータを収集する撮像法は、ST−MI(single-tag/multi-TI)と呼ばれる撮像法である。なお、3D Dynamic ASL MRAは、ASLの一例である。
【0030】
図2〜
図4を参照して、3D Dynamic ASL MRAにより撮像を行う場合の一例について説明する。
図2〜
図4は、3D Dynamic ASL MRAにより撮像を行う場合の一例について説明するための図である。
【0031】
図2には、撮像全体のタグパルスの印可タイミング、及び、データ収集のタイミングの一例が示されている。
図3には、データ収集が行われる撮像領域、及び、タグパルスが印可される標識化領域の一例が示されている。
図4には、1つのタグパルスの印可タイミングから複数のMR信号の収集タイミングまでの各時間(各TI)の一例が示されている。
【0032】
図2〜
図4の例に示すように、MRI装置は、撮像領域22とは独立に設定される標識化領域23に対してタグパルス20を印加することで、標識化領域23内の流体(例えば、被検体の血液や脳脊髄液(CSF(cerebrospinal fluid))等の体液)を標識化し、TI後に撮像領域22内に流入又は流出する流体の信号値を相対的に高く又は低くすることで、流体を選択的に描出し、TI後の流体の状態を画像化する処理を行う。ここで、標識化領域23は、例えば、撮像領域22に対して、流体が流れる方向の下流側に設定される。
【0033】
例えば、MRI装置は、標識化領域23にタグパルス20を印可してから、TIとして「TI1」が経過したタイミングで撮像領域22のMR信号の収集(データ収集)21aを行う。また、MRI装置は、標識化領域23にタグパルス20を印可してから、TIとして「TI2」が経過したタイミングでデータ収集21bを行う。また、MRI装置は、標識化領域23にタグパルス20を印可してから、TIとして「TI3」が経過したタイミングでデータ収集21cを行う。また、MRI装置は、標識化領域23にタグパルス20を印可してから、TIとして「TI4」が経過したタイミングでデータ収集21dを行う。このようにして、3D Dynamic ASL MRAでは、複数のTIのそれぞれに対応するタイミングでの被検体の流体の状態が画像化される。
【0034】
また、この例では、スライスエンコードが「20」である。このため、
図2の例に示すように、タグパルス20の印可、及び、データ収集21a〜21dのセット17が、20回繰り返される。なお、「セット」とは、1回のショットで行われる1つ以上のデータ収集の集合を指す。また、タグパルス20の印可は、「ショット」と称される。すなわち、1回の「ショット」で、「TI1」に対応する1つのスライスエンコード分のデータ、「TI2」に対応する1つのスライスエンコード分のデータ、「TI3」に対応する1つのスライスエンコード分のデータ、及び、「TI4」に対応する1つのスライスエンコード分のデータが収集される。なお、「TI1」に対応する1つのスライスエンコード分のデータは、1回のデータ収集21aにより収集されたデータである。また、「TI2」に対応する1つのスライスエンコード分のデータは、1回のデータ収集21bにより収集されたデータである。また、「TI3」に対応する1つのスライスエンコード分のデータは、1回のデータ収集21cにより収集されたデータである。また、「TI4」に対応する1つのスライスエンコード分のデータは、1回のデータ収集21dにより収集されたデータである。
【0035】
また、全体の撮像において、タグパルス20が印可される回数は、「ショット数」と称される。「ショット数」は、スライスエンコード数とデータ収集のセグメント分割数とを掛け合わせたもので、セグメント分割数が「1」で、スライスエンコードが「20」である場合には、「ショット数」が「20」となる。また、時間的に隣接するタグパルス20間の時間は、「ショットインターバル」と称される。
【0036】
図5は、1回のデータ収集における収集シーケンス(撮像シーケンス)の一例を示す図である。
図5の例には、1回のデータ収集21aにおける収集シーケンスの一例が示されている。
図5の例に示す収集シーケンスは、撮像領域22に印可されるRFパルスの波形、並びに、傾斜磁場コイル2を形成する3つのコイルのそれぞれに電流が供給されたときのスライス傾斜磁場G
SS、位相エンコード傾斜磁場G
PE及びリードアウト傾斜磁場G
ROのそれぞれの磁場強度の時間的な変化を示す。
【0037】
図5の例では、TR(repetition time)が4msであり、PE(Phase Encode;位相エンコード) Matrixが100である。そのため、先の
図4の例に示すように、1回のデータ収集21aの収集時間は、400ms(TR(4ms)×PE Matrix(100))となる。データ収集21b〜21cについても、データ収集21aと同様の収集シーケンスであるため、収集時間は400msとなる。なお、PE Matrixは、収集回数とも称される。また、収集時間は、撮像時間とも称される。
【0038】
次に、
図6を参照して、3D Dynamic ASL MRAにより収集された、k空間における3Dデータの一例を説明する。
図6は、3D Dynamic ASL MRAにより収集された、k空間における3Dデータの一例を説明するための図である。
【0039】
図6の例には、「TI1」に対応する3Dデータ30a、「TI2」に対応する3Dデータ30b、「TI3」に対応する3Dデータ30c、及び、「TI4」に対応する3Dデータ30dが示されている。なお、
図6の例に示す3Dデータ30a〜30dは、模式的に表されたものである。
【0040】
まず、3Dデータ30aについて説明する。
図6の例には、全20(スライスエンコード)回印加されるタグパルス20のうち1回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI1」が経過したタイミングで行われたデータ収集21aにおいて、位相エンコード方向の全100(PE Matrix)ラインのうち、1ライン目のデータとして収集されたデータ31aが示されている。また、
図6の例には、1回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI1」が経過したタイミングで行われたデータ収集21aにおいて、2ライン目のデータとして収集されたデータ31bが示されている。3ライン目〜99ライン目のデータについても、図示は省略するが、同様に収集される。そして、
図6の例には、1回目のタグパルス20が印加されてから、TIとして「TI1」が経過したタイミングで行われたデータ収集21aにおいて、100ライン目のデータとして収集されたデータ31cが示されている。このようにして、1回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI1」が経過したタイミングで行われたデータ収集21aにおいて、1ライン目〜100ライン目までのデータから構成される1つのスライスエンコード分のデータ32aが収集される。
【0041】
そして、2回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI1」が経過したタイミングで行われたデータ収集21aにおいても同様に、1ライン目〜100ライン目までのデータから構成される1つのスライスエンコード分のデータ32bが収集される。そして、図示は省略するが、3回目〜19回目のタグパルス20のそれぞれが印加されてから、TIとして「TI1」が経過したタイミングで行われたデータ収集21aのそれぞれにおいても同様に、1ライン目〜100ライン目までのデータから構成される1つのスライスエンコード分のデータが収集される。そして、20回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI1」が経過したタイミングで行われたデータ収集21aにおいても同様に、1ライン目〜100ライン目までのデータから構成される1つのスライスエンコード分のデータ32cが収集される。このようにして、データ収集21aを、20回繰り返し行うことにより、20個のスライスエンコード分のデータから構成される3Dデータ30aが収集される。このように、データ収集21aは、3Dデータを収集する収集シーケンスに対応する。
【0042】
次に、3Dデータ30bについて説明する。
図6の例には、1回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI2」が経過したタイミングで行われたデータ収集21bにおいて、1ライン目のデータとして収集されたデータ33aが示されている。また、
図6の例には、1回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI2」が経過したタイミングで行われたデータ収集21bにおいて、2ライン目のデータとして収集されたデータ33bが示されている。3ライン目〜99ライン目のデータについても、図示は省略するが、同様に収集される。そして、
図6の例には、1回目のタグパルス20が印加されてから、TIとして「TI2」が経過したタイミングで行われたデータ収集21bにおいて、100ライン目のデータとして収集されたデータ33cが示されている。このようにして、1回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI2」が経過したタイミングで行われたデータ収集21bにおいて、1ライン目〜100ライン目までのデータから構成される1つのスライスエンコード分のデータ34aが収集される。
【0043】
そして、2回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI2」が経過したタイミングで行われたデータ収集21bにおいても同様に、1ライン目〜100ライン目までのデータから構成される1つのスライスエンコード分のデータ34bが収集される。そして、図示は省略するが、3回目〜19回目のタグパルス20のそれぞれが印加されてから、TIとして「TI2」が経過したタイミングで行われたデータ収集21bのそれぞれにおいても同様に、1ライン目〜100ライン目までのデータから構成される1つのスライスエンコード分のデータが収集される。そして、20回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI2」が経過したタイミングで行われたデータ収集21bにおいても同様に、1ライン目〜100ライン目までのデータから構成される1つのスライスエンコード分のデータ34cが収集される。このようにして、データ収集21bを20回繰り返し行うことにより、20個のスライスエンコード分のデータから構成される3Dデータ30bが収集される。このように、データ収集21bは、3Dデータを収集する収集シーケンスに対応する。
【0044】
次に、3Dデータ30cについて説明する。
図6の例には、1回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI3」が経過したタイミングで行われたデータ収集21cにおいて、1ライン目のデータとして収集されたデータ35aが示されている。また、
図6の例には、1回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI3」が経過したタイミングで行われたデータ収集21cにおいて、2ライン目のデータとして収集されたデータ35bが示されている。3ライン目〜99ライン目のデータについても、図示は省略するが、同様に収集される。そして、
図6の例には、1回目のタグパルス20が印加されてから、TIとして「TI3」が経過したタイミングで行われたデータ収集21cにおいて、100ライン目のデータとして収集されたデータ35cが示されている。このようにして、1回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI3」が経過したタイミングで行われたデータ収集21cにおいて、1ライン目〜100ライン目までのデータから構成される1つのスライスエンコード分のデータ36aが収集される。
【0045】
そして、2回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI3」が経過したタイミングで行われたデータ収集21cにおいても同様に、1ライン目〜100ライン目までのデータから構成される1つのスライスエンコード分のデータ36bが収集される。そして、図示は省略するが、3回目〜19回目のタグパルス20のそれぞれが印加されてから、TIとして「TI3」が経過したタイミングで行われたデータ収集21cのそれぞれにおいても同様に、1ライン目〜100ライン目までのデータから構成される1つのスライスエンコード分のデータが収集される。そして、20回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI3」が経過したタイミングで行われたデータ収集21cにおいても同様に、1ライン目〜100ライン目までのデータから構成される1つのスライスエンコード分のデータ36cが収集される。このようにして、データ収集21cを20回繰り返し行うことにより、20個のスライスエンコード分のデータから構成される3Dデータ30cが収集される。このように、データ収集21cは、3Dデータを収集する収集シーケンスに対応する。
【0046】
次に、3Dデータ30dについて説明する。
図6の例には、1回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI4」が経過したタイミングで行われたデータ収集21dにおいて、1ライン目のデータとして収集されたデータ37aが示されている。また、
図6の例には、1回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI4」が経過したタイミングで行われたデータ収集21dにおいて、2ライン目のデータとして収集されたデータ37bが示されている。3ライン目〜99ライン目のデータについても、図示は省略するが、同様に収集される。そして、
図6の例には、1回目のタグパルス20が印加されてから、TIとして「TI4」が経過したタイミングで行われたデータ収集21dにおいて、100ライン目のデータとして収集されたデータ37cが示されている。このようにして、1回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI4」が経過したタイミングで行われたデータ収集21dにおいて、1ライン目〜100ライン目までのデータから構成される1つのスライスエンコード分のデータ38aが収集される。
【0047】
そして、2回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI4」が経過したタイミングで行われたデータ収集21dにおいても同様に、1ライン目〜100ライン目までのデータから構成される1つのスライスエンコード分のデータ38bが収集される。そして、図示は省略するが、3回目〜19回目のタグパルス20のそれぞれが印加されてから、TIとして「TI4」が経過したタイミングで行われたデータ収集21dのそれぞれにおいても同様に、1ライン目〜100ライン目までのデータから構成される1つのスライスエンコード分のデータが収集される。そして、20回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI4」が経過したタイミングで行われたデータ収集21dにおいても同様に、1ライン目〜100ライン目までのデータから構成される1つのスライスエンコード分のデータ38cが収集される。このようにして、データ収集21dを20回繰り返し行うことにより、20個のスライスエンコード分のデータから構成される3Dデータ30dが収集される。このように、データ収集21dは、3Dデータを収集する収集シーケンスに対応する。
【0048】
ここで、画像を生成する時間間隔を短くし、単位時間あたりの画像の枚数を多くして画像表示の時間分解能を向上させることが望まれる。画像表示の時間分解能を向上させるためには、1回のデータ収集における収集時間を短くして、時間的に隣接する2つのTIの間隔を縮めて、単位時間あたりのデータ収集の回数を多くして、データ収集の際の時間分解能を向上させることが考えられる。なお、時間的に隣接する2つのTIの間隔とは、例えば、時間的に隣接する2つのTIの差である。例えば、時間的に隣接する2つのTIが「700ms」と「900ms」である場合には、2つのTIの間隔は、「200ms」(900ms−700ms)である。ここで、時間的に隣接する2つのTIの間隔は、収集時間に依存する。また、収集時間は、収集シーケンスのTR、PE Matrixなどに依存する。データ収集の際の時間分解能を向上させるために、k空間のデータを複数回に分けて収集するときのセグメント分割数を増やしたり、パラレルイメージングの倍速率をあげたりして、1回あたりのデータ収集の収集時間を短くすることによりTIの間隔を縮めることが考えられる。しかしながら、セグメント分割数を増やす場合には、1回あたりのデータ収集の収集時間が減るものの、セグメント分割数が増加した分データ収集の回数が多くなる。このため、全体としては収集時間が増加する。また、パラレルイメージングの倍速率を上げる場合には、得られる画像のS/N(signal-to-noise ratio)比が低下し、画質が低下する。
【0049】
そこで、本実施形態に係るMRI装置100は、以下に説明するように、全体の収集時間の増加、及び、得られる画像のS/N比の低下を抑制しつつ、データ収集の際の時間分解能を向上させることができるように構成されている。
【0050】
図1の説明に戻り、処理回路15は、設定機能15aと、生成機能15bと、表示制御機能15cとを有する。なお、表示制御機能15cは、表示制御部の一例である。
【0051】
ここで、例えば、処理回路15の構成要素である設定機能15a、生成機能15b及び表示制御機能15cの各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路11に記憶されている。処理回路15は、各プログラムを記憶回路11から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路15は、
図1の処理回路15内に示された各機能を有することとなる。なお、
図1においては、単一の処理回路15にて、設定機能15a、生成機能15b及び表示制御機能15cの各処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路15を構成し、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。
【0052】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central preprocess unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。なお、記憶回路11にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0053】
設定機能15a、生成機能15b及び表示制御機能15cの各処理機能について説明する。本実施形態に係るMRI装置100は、検査において、データ収集を行う際の時間分解能(画像表示の時間分解能)を向上させたい時間の範囲を操作者から受け付ける。そして、MRI装置100は、受け付けた時間の範囲において1回あたりの収集時間が短くなり、TIの間隔が縮まるようにシーケンス実行データを生成し、生成したシーケンス実行データを実行することによりデータ収集を行う。これにより、全体の収集時間の増加、及び、得られる画像のS/N比の低下を抑制しつつ、データ収集の際の時間分解能を向上させることができる。
【0054】
ここで、時間分解能を向上させたい時間の範囲の一例について説明する。例えば、腫瘍などの病変部位がどのタイミングで撮像されるのかが操作者が把握している場合には、このタイミングの周辺で流体の状態の変化を時間的に細かく確認したいため、このタイミングを含む時間の所定の範囲が挙げられる。
【0055】
次に、本実施形態に係る検査の処理手順について説明する。
図7は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
【0056】
検査が開始されると、
図7に示すように、設定機能15aは、検査に含まれる一連のプロトコル群の選択を受け付けるためのプロトコル選択画面をディスプレイ10に表示させ、操作者から、プロトコル群の選択を受け付ける(ステップS101)。
【0057】
なお、「プロトコル」とは、撮像条件の設定情報を含むパルスシーケンス情報である。MRI装置100による検査には、各種プリスキャンや各種イメージングスキャンといった、一連のパルスシーケンス群が含まれる。また、各パルスシーケンスには、TRやTE(Echo Time)、フリップ角FA(Flip Angle)等の撮像条件が設定される。MRI装置100は、これら撮像条件の設定情報(事前に設定されたプリセット情報を含む)を含むパルスシーケンス情報を「プロトコル」として管理し、提供している。このプロトコル群には、例えば、位置決め画像を収集するためのプロトコルや、感度マップを収集するためのプロトコル、シミングのためのプロトコル、データ収集(撮像、イメージング)のためのプロトコル等が、それぞれ、1つ又は複数含まれる。
【0058】
例えば、ステップS101において、設定機能15aは、操作者から、入力回路9を介して、先の
図2〜
図6を参照して説明した3D Dynamic ASL MRAを実行するためのプロトコル群を受け付ける。以下、ステップS101において、設定機能15aが3D Dynamic ASL MRAを実行するためのプロトコル群を受け付けたものとして説明を行う。すなわち、設定機能15aが、
図2〜
図6を参照して説明した各種の処理を実行するためのプロトコル群を受け付けたものとして説明を行う。
【0059】
次に、生成機能15bは、受け付けたプロトコル群が示すパルスシーケンスにおいて時間分解能を向上させる時間の範囲を、入力回路9を介して操作者から受け付ける(ステップS102)。例えば、ステップS102において、生成機能15bは、
図4の例において、タグパルス20の印加後「TI3」が経過したタイミングから400ms後までの範囲を、時間分解能を向上させる時間の範囲として受け付ける。すなわち、生成機能15bは、データ収集21cが実行される時間の範囲を、時間分解能を向上させる時間の範囲として受け付ける。他の例を挙げて説明すると、ステップS102において、生成機能15bは、複数のTI(例えば、TI1〜TI4)の中から、操作者により指定されたTIを受け付けると、受け付けたTIが経過してから、受け付けたTIに対応するデータ収集の収集時間が経過するまでの時間の範囲を操作者から指定された時間分解能を向上させる範囲として受け付けたものとする。
【0060】
そして、生成機能15bは、時間の範囲内で行われるデータ収集の3Dシーケンスを、2Dシーケンスに切り替え、スライスエンコード分だけ繰り返し行われるデータ収集のそれぞれに、この2Dシーケンスが分配されたシーケンス実行データを生成する(ステップS103)。ステップS103では、生成機能15bは、生成したシーケンス実行データを実行機能13aに送信する。また、生成機能15bは、時間の範囲内で行われるデータ収集の3Dシーケンスを、3Dシーケンスにおいて撮像条件として設定されたスラブ厚に相当するスライス厚が撮像条件として設定された2Dデータを収集する2Dシーケンスに切り替える。
【0061】
ステップS103の詳細について説明する。
図8は、ステップS103の詳細を示すフローチャートである。なお、ここでは、ステップS102で、
図4の例において、タグパルス20の印加後「TI3」が経過したタイミングから400msまでの範囲を、時間分解能を向上させる時間の範囲として受け付けた場合について説明する。この場合には、
図8の例に示すように、生成機能15bは、受け付けた時間の範囲内で実行されるデータ収集の3Dシーケンスを特定する(ステップS201)。例えば、生成機能15bは、データ収集21cの3Dシーケンスを特定する。
【0062】
そして、生成機能15bは、特定した3Dシーケンスを、特定した3Dシーケンスにおいて設定されたスラブ厚に相当するスライス厚が撮像条件として設定された2Dシーケンスに切り替える(ステップS202)。ここで、先の
図6の例に示すように、特定した3Dシーケンスにおいて設定されたスラブ厚が「S1」である場合には、生成機能15bは、このスラブ厚「S1」に相当するスライス厚「S2」が撮像条件として設定された2Dシーケンスに切り替える。
【0063】
ここで、2Dシーケンスでは、3Dシーケンスと異なり、スライスエンコード分のデータを収集する必要がない。このため、2Dシーケンスのデータ収集量は、TR(4ms)×PE Matrix(100)分のデータ収集量(400ms分のデータ収集量)となる。すなわち、2Dシーケンスのデータ収集量は、3Dシーケンスにおける1つのスライスエンコード分のデータのデータ収集量に相当する。このように、3Dシーケンスから切り替えられた2Dシーケンスのデータ収集量は、「3Dシーケンスのデータ収集量」×「1/20(スライスエンコード)」となる。
【0064】
そして、生成機能15bは、2Dシーケンスのデータ収集量(400ms分のデータ収集量)を、スライスエンコード分(20回分)だけ繰り返される撮像(データ収集)に分配する(ステップS203)。
【0065】
ステップS203の処理について説明する。例えば、ステップS203において、生成機能15bは、2Dシーケンスのデータ収集量「400ms分のデータ収集量」を、スライスエンコード「20」で除して、1回のデータ収集で収集されるデータ量として「20ms分のデータ量」を算出する。そして、生成機能15bは、各セットにおいて、1回のデータ収集で2Dシーケンスにより「20ms分のデータ量」のデータが収集されるように、ステップS101で受け付けたプロトコル群のうち該当するプロトコルを変更する。また、生成機能15bは、各セットにおいて、このような1回のデータ収集で「20ms分のデータ量」のデータを収集する2Dシーケンスが複数(例えば、4つ)行われるように、ステップS101で受け付けたプロトコル群のうち該当するプロトコルを変更する。
【0066】
図9及び
図10は、実施形態に係る生成機能15bによる2Dシーケンスのデータ収集量の分配の一例について説明するための図である。
図9には、データ収集21cの3Dシーケンスが2Dシーケンスに切り替わった場合の撮像全体のタグパルスの印可タイミング、及び、データ収集のタイミングの一例が示されている。
図10には、データ収集21cの3Dシーケンスが2Dシーケンスに切り替わった場合の1つのタグパルスの印可タイミングから複数のMR信号の収集タイミングまでの各時間(各TI)の一例が示されている。
【0067】
なお、
図9及び
図10を参照した説明において、先の
図2〜
図4の説明した内容と同一の内容については同一の符号を付して説明を省略する。
図9及び
図10に示すように、生成機能15bは、標識化領域23にタグパルス20を印可してから、TIとして「TI3」が経過したタイミングで、「20ms分のデータ収集量」の2Dデータのデータ収集40aを行うように、ステップS101で受け付けたプロトコル群のうち該当するプロトコルを変更する。また、生成機能15bは、標識化領域23にタグパルス20を印可してから、TIとして「TI5」が経過したタイミングで、「20ms分のデータ収集量」の2Dデータのデータ収集40bを行うように該当するプロトコルを変更する。また、生成機能15bは、標識化領域23にタグパルス20を印可してから、TIとして「TI6」が経過したタイミングで、「20ms分のデータ収集量」の2Dデータのデータ収集40cを行うように該当するプロトコルを変更する。また、生成機能15bは、標識化領域23にタグパルス20を印可してから、TIとして「TI7」が経過したタイミングで、「20ms分のデータ収集量」の2Dデータのデータ収集40dを行うように該当するプロトコルを変更する。ここで、データ収集40a〜40dは、2Dデータを収集する2Dシーケンスに対応する。
【0068】
そして、生成機能15bは、変更されたプロトコルを含むプロトコル群に基づいて、シーケンス実行データを生成する。そして、生成機能15bは、生成したシーケンス実行データを実行機能13aに送信する。
【0069】
すなわち、ステップS203において、生成機能15bは、実行機能13aが、被検体Sの撮像領域22に流入する流体を標識化するためのタグパルス20を印加してから複数の待ち時間TI1、TI2、TI3、TI5、TI6、TI7及びTI4のそれぞれが経過するたびにデータを収集するデータ収集21a、21b、40a、40b、40c、40d、21dを所定の回数(20回)行う3D Dynamic ASL MRAを実行するためのシーケンス実行データを生成する。
【0070】
なお、ステップS203において、生成機能15bは、実行機能13aが、3D Dynamic ASL MRAを実行する際に、複数の待ち時間TI1、TI2、TI3、TI5、TI6、TI7及びTI4のうち待ち時間TI1、TI2及びTI4に対応するデータ収集21a、21b、21dでは、20回の各回で1つのスライスエンコード分のデータを収集することによって、3次元のデータ30a、30b、30dを収集するようなシーケンス実行データを生成する。
【0071】
また、ステップS203において、生成機能15bは、実行機能13aが、3D Dynamic ASL MRAを実行する際に、待ち時間TI1、TI2及びTI4とは異なる待ち時間TI3、TI5、TI6及びTI7に対応するデータ収集40a〜40dでは、20回の各回に1つのスライスエンコード分のデータに相当するデータを分配して収集することによって、1つのスライスエンコード分のデータに相当するデータを収集するようなシーケンス実行データを生成する。なお、待ち時間TI1、TI2及びTI4は、第1の待ち時間の一例である。また、待ち時間TI3、TI5、TI6及びTI7は、第2の待ち時間の一例である。また、データ収集21a、21b、21cは、第1のデータ収集の一例である。また、データ収集40a〜40dは、第2のデータ収集の一例である。
【0072】
ここで、本実施形態に係るMRI装置100によれば、
図10に示すように、データ収集40a〜40dのそれぞれの収集時間は、20msである。これにより、操作者により指定された時間の範囲において、隣接するTIの間隔を400msから、最小で20msとすることができ、TIの間隔を短くすることができる。そのため、本実施形態に係るMRI装置100によれば、データ収集の際の時間分解能を向上させることができる。また、
図9及び
図10の例では、後述するが、操作者により指定された時間の範囲において、4枚の画像を生成するための4つの2Dデータが収集される。すなわち、操作者が指定した時間の範囲において、
図4の例に示すようなデータ収集が行われた場合には1枚の画像が生成されるのに対して、
図9及び
図10の例に示すようなデータ収集が行われた場合には4枚の画像が生成される。したがって、データ収集の際の時間分解能が向上したことにより、動画表示の際の時間分解能が向上する。
【0073】
また、この例では、スライスエンコードが「20」であるので、
図9に示すように、タグパルス20の印可、データ収集21a、21b、21d、及び、データ収集40a〜40dのセット18が、20回繰り返される。ここで、ステップS101で受け付けた変更前のプロトコル群では、先の
図2に示すように、タグパルス20の印可、データ収集21a〜21dのセット17が20回繰り返される。このように、変更前のプロトコル群と、ステップS103で変更されたプロトコルを含むプロトコル群とで、セットの回数が変わらない。また、変更前のプロトコル群と、変更されたプロトコルを含むプロトコル群とでは、ショットインターバルが変わらない。このため、変更前のプロトコル群と、変更されたプロトコルを含むプロトコル群とでは、全体の収集時間が変わらない。したがって、本実施形態に係るMRI装置100によれば、全体の収集時間の増加を抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態に係るMRI装置100によれば、パラレルイメージングを行う場合であっても倍速率を上げる必要がなく倍速率の変更を必要としない。それゆえ、本実施形態に係るMRI装置100では、得られる画像のS/N比が低下しない。したがって、本実施形態に係るMRI装置100によれば、得られる画像のS/N比の低下を抑制することができる。ひいては、本実施形態に係るMRI装置100によれば、得られる画像の画質の低下を抑制することができる。
【0075】
以上のことから、本実施形態に係るMRI装置100によれば、全体の収集時間の増加、及び、得られる画像のS/N比の低下を抑制しつつ、データ収集の際の時間分解能を向上させることができる。
【0076】
図7の説明に戻り、ステップS104では、生成機能15bにより送信されたシーケンス実行データを受信した実行機能13aは、シーケンス実行データに基づいて、以下に説明する処理を行って、データ収集を行う。すなわち、実行機能13aは、標識化領域23にタグパルス20を所定のショットインターバルで20回印加する。また、実行機能13aは、各タグパルス20が印可されてから、TIとして「TI1」が経過したタイミングでデータ収集21aを行う。また、実行機能13aは、各タグパルス20が印加されてから、TIとして「TI2」が経過したタイミングでデータ収集21bを行う。また、実行機能13aは、各タグパルス20が印可されてから、TIとして「TI3」が経過したタイミングで2Dデータのデータ収集40aを行う。また、実行機能13aは、各タグパルス20が印可されてから、TIとして「TI5」が経過したタイミングで2Dデータのデータ収集40bを行う。また、実行機能13aは、各タグパルス20が印可されてから、TIとして「TI6」が経過したタイミングで2Dデータのデータ収集40cを行う。また、実行機能13aは、各タグパルス20が印可されてから、TIとして「TI7」が経過したタイミングで2Dデータのデータ収集40dを行う。また、実行機能13aは、各タグパルス20が印可されてから、TIとして「TI4」が経過したタイミングでデータ収集21dを行う(ステップS104)。
【0077】
このように、本実施形態に係るMRI装置100は、ステップS104において、被検体Sの撮像領域22に流入する流体を標識化するためのタグパルス20を標識化領域23に印加してからTIが経過した後にデータを収集するタグモードのデータ収集を実行する。
【0078】
ここで、
図11を参照して、ステップS104で収集された、k空間における2Dデータの一例を説明する。なお、ステップS104で収集された、k空間における3Dデータは、先の
図6を参照して説明した3Dデータ30a、30b、30dと同様であるため説明を省略する。
図11は、ステップS104で収集された、k空間における2Dデータの一例を説明するための図である。
【0079】
図11の例には、「TI3」に対応する2Dデータ41a、「TI5」に対応する2Dデータ41b、「TI6」に対応する2Dデータ41c、及び、「TI7」に対応する2Dデータ41dが示されている。なお、
図11の例に示す2Dデータ41a〜41dは、模式的に表されたものである。
【0080】
まず、2Dデータ41aについて説明する。
図11の例には、1回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI3」が経過したタイミングで行われたデータ収集40aにおいて収集されたデータ42aが示されている。そして、図示は省略するが、2回目〜19回目のタグパルス20のそれぞれが印加されてから、TIとして、「TI3」が経過したタイミングで行われたデータ収集40aのそれぞれにおいても同様に、データが収集される。また、
図11の例には、20回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI3」が経過したタイミングで行われたデータ収集40aにおいて収集されたデータ42bが示されている。
【0081】
上述したようにデータ収集40aが20回繰り返し行われることにより、20個のデータから構成される2Dデータ41aが収集される。2Dデータ41aのデータ収集量は、3Dシーケンスにおける1つのスライスエンコード分のデータのデータ収集量に相当する。例えば、2Dデータ41aのデータ収集量は、先の
図6の例に示すデータ36aのデータ収集量に相当する。
【0082】
次に、2Dデータ41bについて説明する。
図11の例には、1回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI5」が経過したタイミングで行われたデータ収集40bにおいて収集されたデータ43aが示されている。そして、図示は省略するが、2回目〜19回目のタグパルス20のそれぞれが印加されてから、TIとして、「TI5」が経過したタイミングで行われたデータ収集40bのそれぞれにおいても同様に、データが収集される。また、
図11の例には、20回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI5」が経過したタイミングで行われたデータ収集40bにおいて収集されたデータ43bが示されている。
【0083】
上述したようにデータ収集40bが20回繰り返し行われることにより、20個のデータから構成される2Dデータ41bが収集される。2Dデータ41bのデータ収集量は、3Dシーケンスにおける1つのスライスエンコード分のデータのデータ収集量に相当する。
【0084】
次に、2Dデータ41cについて説明する。
図11の例には、1回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI6」が経過したタイミングで行われたデータ収集40cにおいて収集されたデータ44aが示されている。そして、図示は省略するが、2回目〜19回目のタグパルス20のそれぞれが印加されてから、TIとして、「TI6」が経過したタイミングで行われたデータ収集40cのそれぞれにおいても同様に、データが収集される。また、
図11の例には、20回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI6」が経過したタイミングで行われたデータ収集40cにおいて収集されたデータ44bが示されている。
【0085】
上述したようにデータ収集40cが20回繰り返し行われることにより、20個のデータから構成される2Dデータ41cが収集される。2Dデータ41cのデータ収集量は、3Dシーケンスにおける1つのスライスエンコード分のデータのデータ収集量に相当する。
【0086】
次に、2Dデータ41dについて説明する。
図11の例には、1回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI7」が経過したタイミングで行われたデータ収集40dにおいて収集されたデータ45aが示されている。そして、図示は省略するが、2回目〜19回目のタグパルス20のそれぞれが印加されてから、TIとして、「TI7」が経過したタイミングで行われたデータ収集40dのそれぞれにおいても同様に、データが収集される。また、
図11の例には、20回目のタグパルス20が印可されてから、TIとして「TI7」が経過したタイミングで行われたデータ収集40dにおいて収集されたデータ45bが示されている。
【0087】
上述したようにデータ収集40dが20回繰り返し行われることにより、20個のデータから構成される2Dデータ41dが収集される。2Dデータ41dのデータ量は、3Dシーケンスにおける1つのスライスエンコード分のデータのデータ量に相当する。
【0088】
ここで、
図11に示すように、2Dデータ41a〜41dのスライス厚は、上述の3Dデータ30cのスラブ厚「S1」に相当する「S2」である。
【0089】
以上のことから、ステップS104において、実行機能13aは、被検体Sの撮像領域22に流入する流体を標識化するためのタグパルス20を印加してから複数の待ち時間TI1、TI2、TI3、TI5、TI6、TI7及びTI4のそれぞれが経過するたびにデータを収集するデータ収集21a、21b、40a、40b、40c、40d、21dを所定の回数(20回)行う3D Dynamic ASL MRAを実行する。
【0090】
また、ステップS104において、実行機能13aは、3D Dynamic ASL MRAを実行する際に、複数の待ち時間TI1、TI2、TI3、TI5、TI6、TI7及びTI4のうち待ち時間TI1、TI2及びTI4に対応するデータ収集21a、21b、21dでは、20回の各回で1つのスライスエンコード分のデータを収集することによって、3次元のデータ30a、30b、30dを収集する。
【0091】
また、ステップS104において、生成機能15bは、実行機能13aが、3D Dynamic ASL MRAを実行する際に、待ち時間TI1、TI2及びTI4とは異なる待ち時間TI3、TI5、TI6及びTI7に対応するデータ収集40a〜40dでは、20回の各回に1つのスライスエンコード分のデータに相当するデータを分配して収集することによって、1つのスライスエンコード分のデータに相当するデータ41a〜41dを収集する。
【0092】
図7の説明に戻り、画像生成機能14aは、ステップS104でのデータ収集により収集されたデータに基づいて、2D画像と、MIP(Maximum Intensity Projection;最大値投影法)処理された3D画像とを生成する(ステップS105)。
【0093】
例えば、画像生成機能14aは、20回のデータ収集21aにより収集された3Dデータ30aに基づいて、TI1に対応する3D画像(ボリュームデータ)を生成する。また、画像生成機能14aは、20回のデータ収集21bにより収集された3Dデータ30bに基づいて、TI2に対応する3D画像を生成する。また、画像生成機能14aは、20回のデータ収集21dにより収集された3Dデータ30dに基づいて、TI4に対応する3D画像を生成する。
【0094】
そして、画像生成機能14aは、生成した3D画像に対してMIP処理を施す。
【0095】
また、画像生成機能14aは、20回のデータ収集40aにより収集された2Dデータ41aに基づいて、TI3に対応する2D画像を生成する。また、画像生成機能14aは、20回のデータ収集40bにより収集された2Dデータ41bに基づいて、TI5に対応する2D画像を生成する。また、画像生成機能14aは、20回のデータ収集40cにより収集された2Dデータ41cに基づいて、TI6に対応する2D画像を生成する。また、画像生成機能14aは、20回のデータ収集40dにより収集された2Dデータ41dに基づいて、TI7に対応する2D画像を生成する。
【0096】
そして、表示制御機能15cは、ステップS105で生成された2D画像と、MIP処理された3D画像とをディスプレイ10に表示させ(ステップS106)、処理を終了する。
【0097】
例えば、ステップS106において、表示制御機能15cは、各TIに対応して、2D画像又はMIP処理された3D画像をディスプレイ10に表示させる。これにより、ディスプレイ10は、各TIに対応する被検体の血液や脳脊髄液などの流体の状態を示す画像を時系列で連続的に表示して動画表示する。具体例を挙げて説明すると、表示制御機能15cは、まず、TI1に対応し、MIP処理された3D画像を表示させる。次に、表示制御機能15cは、TI2に対応し、MIP処理された3D画像を表示させる。次に、表示制御機能15cは、TI3に対応する2D画像を表示させる。次に、表示制御機能15cは、TI5に対応する2D画像を表示させる。次に、表示制御機能15cは、TI6に対応する2D画像を表示させる。次に、表示制御機能15cは、TI7に対応する2D画像を表示させる。そして、表示制御機能15cは、TI4に対応し、MIP処理された3D画像を表示させる。
【0098】
図12は、ステップS105で2Dデータ41aに基づいて生成された、TI3に対応する2D画像の一例を示す図である。
図12の例は、2Dデータ41aに基づいて生成された2D画像48を示す。ここで、ステップS105では生成されないが、先の
図6に示す3Dデータ30cに基づいて3D画像が生成され、生成された3D画像にMIP処理が施された場合を例に挙げて、この場合におけるMIP処理された3D画像の一例について説明する。
図13は、
図6に示す3Dデータ30cに基づいて生成され、MIP処理が施された3D画像の一例を示す図である。
図13の例は、3Dデータ30cに基づいて生成され、MIP処理が施された3D画像49を示す。
【0099】
図12に示す2D画像48と、
図13に示す3D画像49とを比較すると、2D画像48と3D画像49とは、同等な画像であるといえる。上述した動画表示において、2D画像とMIP処理された3D画像とが混在しているが、上述したように2D画像とMIP処理された3D画像とが同等な画像であるため、動画表示を閲覧(参照)している操作者に対して与える違和感を抑制することができる。
【0100】
以上、実施形態に係るMRI装置100について説明した。MRI装置100によれば、上述したように、全体の収集時間の増加、及び、得られる画像のS/N比の低下を抑制しつつ、データ収集の際の時間分解能を向上させることができる。
【0101】
なお、上述した実施形態において、MRI装置100が、ステップS202において、特定した3Dシーケンスを、特定した3Dシーケンスにおいて設定されたスラブ厚に相当するスライス厚が撮像条件として設定された2Dシーケンスに切り替える場合について説明した。ここで、2Dシーケンスにより収集されるデータは、撮像条件としてスライスエンコードが「1」に設定された3Dシーケンスにより収集されるデータに相当する。そこで、MRI装置100は、ステップS202において、3Dシーケンスを2Dシーケンスに切り替えるのではなく、3Dシーケンスにおけるスライスエンコードを「1」に設定してもよい。そして、MRI装置100は、その後の処理について、上述した処理と同様の処理を行っても良い。
【0102】
また、上述した実施形態では、MRI装置100が、1つのタグパルスを印加した後に、複数のTIのそれぞれでデータ収集を行うST−MI(single-tag/multi-TI)と呼ばれる撮像法によりデータ収集を行う場合について例示した。しかしながら、MRI装置100は、1つのタグパルスを印加してから所定のTIが経過した後にデータ収集を行うことを、TIを変えて複数回実行するST−SI(single-tag/single-TI)と呼ばれる撮像法によりデータ収集を行っても良い。
【0103】
(実施形態に係る第1の変形例)
ここで、上述したMRI装置100は、3Dシーケンスから切り替えられた2Dシーケンスにおいて、複数の断面の2Dデータのデータ収集を行ってもよい。そこで、このような実施形態を実施形態に係る第1の変形例として説明する。第1の変形例の説明において、実施形態と同様の構成及び処理については同一の符号を付して説明を省略する。
【0104】
図14は、第1の変形例に係る処理手順を示すフローチャートである。
図14の例に示すように、ステップS102を実行すると、生成機能15bは、3Dシーケンスから切り替えられた2Dシーケンスにおいて2Dデータが収集される複数の断面の種類を、入力回路9を介して操作者から受け付ける(ステップS301)。そして、生成機能15bは、ステップS103に進む。
【0105】
ステップS301において受け付けられる断面の種類の一例としては、体軸横断面(アキシャル断面)、矢状断面(サジタル断面)、冠状断面(コロナル断面)及び斜断面(オブリーク断面)などが挙げられるが、断面の種類はこれらに限られない。
【0106】
そして、第1の変形例に係る
図8に示すステップS202及びステップS203において、生成機能15bは、以下に説明する処理を行う。まず、生成機能15bは、ステップS301で受け付けた断面の種類の数を特定する。例えば、ステップS301で、体軸横断面及び冠状断面の2種類の断面を受け付けた場合には、断面の種類の数として「2」を特定する。
【0107】
そして、生成機能15bは、3Dシーケンスにより収集される3Dデータにおける1つのスライスエンコード分のデータのデータ収集量を、3Dデータにおけるスライスエンコードで除した値に、特定した断面の種類の数を乗じて、1回のデータ収集で収集される断面のデータのデータ収集量を算出する。例えば、生成機能15bは、1つのスライスエンコード分のデータのデータ収集量「400ms分のデータ収集量」を、スライスエンコード「20」で除することで「20ms分のデータ収集量」を算出する。そして、生成機能15bは、「20ms分のデータ収集量」に、特定した断面の種類の数「2」を乗じて、断面(体軸横断面や冠状断面)の2Dデータを収集する2Dシーケンスにおいて、1回のデータ収集で収集されるデータのデータ量として「40ms分のデータ量」を算出する。
【0108】
また、生成機能15bは、スライスエンコードを、特定した断面の種類の数で除して、断面の種類毎のショット数を算出する。例えば、生成機能15bは、スライスエンコード「20」を、特定した断面の種類の数「2」で除して、「10」を算出する。この「10」は、体軸横断面のデータを収集するデータ収集についてのセット数であり、冠状断面のデータを収集するデータ収集についてのセット数でもある。
【0109】
そして、生成機能15bは、算出したセット数ごとに、2Dシーケンスを割り当てる。例えば、3Dデータのスライスエンコードが「20」であるため全セット数も「20」となる。この場合、生成機能15bは、全セット数「20」のうち前半の「10」のセットにおいて、1回のデータ収集で40ms分のデータ量の体軸横断面の2Dデータが収集されるように、ステップS101で受け付けたプロトコル群のうち該当するプロトコルを変更する。また、生成機能15bは、後半の「10」のセットにおいて、1回のデータ収集で40ms分のデータ量の冠状断面の2Dデータが収集されるように、ステップS101で受け付けたプロトコル群のうち該当するプロトコルを変更する。
【0110】
図15は、第1の変形例に係る生成機能15bによる2Dシーケンスのデータ収集量の分配の一例について説明するための図である。
図15には、第1の変形例において、
図2に示すデータ収集21cの3Dシーケンスが2Dシーケンスに切り替わった場合の撮像全体のタグパルスの印可タイミング、及び、データ収集のタイミングの一例が示されている。
【0111】
なお、
図15を参照した説明において、先の
図2〜
図4、
図9及び
図10の説明した内容と同一の内容については同一の符号を付して説明を省略する。
図15に示すように、生成機能15bは、標識化領域23に1回目のタグパルス20を印可してから、TIとして「TI8」が経過したタイミングで、40ms分のデータ量の体軸横断面の2Dデータのデータ収集50aを行うように、ステップS101で受け付けたプロトコル群のうち該当するプロトコルを変更する。また、生成機能15bは、標識化領域23に1回目のタグパルス20を印可してから、TIとして「TI9」が経過したタイミングで、40ms分のデータ量の体軸横断面の2Dデータのデータ収集50bを行うように、ステップS101で受け付けたプロトコル群のうち該当するプロトコルを変更する。そして、生成機能15bは、2回目のタグパルスから10回目のタグパルス20までの各タグパルス20を印加してから、TIとして「TI8」が経過したタイミングにおいても同様に、40ms分のデータ量の体軸横断面の2Dデータのデータ収集50aを行うように、ステップS101で受け付けたプロトコル群のうち該当するプロトコルを変更する。また、生成機能15bは、2回目のタグパルスから10回目のタグパルス20までの各タグパルス20を印加してから、TIとして「TI9」が経過したタイミングにおいても同様に、40ms分のデータ量の体軸横断面の2Dデータのデータ収集50bを行うように、ステップS101で受け付けたプロトコル群のうち該当するプロトコルを変更する。
【0112】
また、
図15に示すように、生成機能15bは、標識化領域23に11回目のタグパルス20を印可してから、TIとして「TI8」が経過したタイミングで、40ms分のデータ量の冠状断面の2Dデータのデータ収集51aを行うように、ステップS101で受け付けたプロトコル群のうち該当するプロトコルを変更する。また、生成機能15bは、標識化領域23に11回目のタグパルス20を印可してから、TIとして「TI9」が経過したタイミングで、40ms分のデータ量の冠状断面の2Dデータのデータ収集51bを行うように、ステップS101で受け付けたプロトコル群のうち該当するプロトコルを変更する。そして、生成機能15bは、12回目のタグパルスから20回目のタグパルス20までの各タグパルス20を印加してから、TIとして「TI8」が経過したタイミングにおいても同様に、40ms分のデータ量の冠状断面の2Dデータのデータ収集51aを行うように、ステップS101で受け付けたプロトコル群のうち該当するプロトコルを変更する。また、生成機能15bは、12回目のタグパルスから20回目のタグパルス20までの各タグパルス20を印加してから、TIとして「TI9」が経過したタイミングにおいても同様に、40ms分のデータ量の冠状断面の2Dデータのデータ収集51bを行うように、ステップS101で受け付けたプロトコル群のうち該当するプロトコルを変更する。
【0113】
ここで、第1の変形例に係るMRI装置100によれば、
図15に示すように、データ収集50a、50b、51a、51bのそれぞれの収集時間は、40msである。これにより、操作者により指定された時間の範囲において、隣接するTIの間隔を400msから、最小で40msとすることができ、TIの間隔を短くすることができる。そのため、第1の変形例に係るMRI装置100によれば、データ収集の際の時間分解能を向上させることができる。また、
図15の例では、操作者により指定された時間の範囲において、断面像ごとに、2枚の画像を生成するための2つの2Dデータが収集される。すなわち、操作者が指定した時間の範囲において、
図4の例に示すようなデータ収集が行われた場合には1枚の画像が生成されるのに対して、
図15の例に示すようなデータ収集が行われた場合には断面像ごとに2枚の画像が生成される。したがって、データ収集の際の時間分解能が向上したことにより、動画表示の際の時間分解能が向上する。
【0114】
また、この例では、スライスエンコードが「20」であるので、
図15に示すように、タグパルス20の印可、データ収集21a、21b、21d、及び、データ収集50a、50bのセット52が、20回繰り返される。ここで、ステップS101で受け付けた変更前のプロトコル群では、先の
図2に示すように、タグパルス20の印可、データ収集21a〜21dのセット17が20回繰り返される。このように、変更前のプロトコル群と、変更されたプロトコルを含むプロトコル群とで、セットの回数が変わらない。また、変更前のプロトコル群と、変更されたプロトコルを含むプロトコル群とでは、ショットインターバルが変わらない。このため、変更前のプロトコル群と、変更されたプロトコルを含むプロトコル群とでは、全体の収集時間が変わらない。したがって、第1の変形例に係るMRI装置100によれば、全体の収集時間の増加を抑制することができる。
【0115】
また、第1の変形例に係るMRI装置100によれば、パラレルイメージングを行う場合であっても倍速率を上げる必要がなく倍速率の変更を必要としない。それゆえ、第1の変形例に係るMRI装置100では、得られる画像のS/N比が低下しない。したがって、第1の変形例に係るMRI装置100によれば、得られる画像のS/N比の低下を抑制することができる。ひいては、第1の変形例に係るMRI装置100によれば、得られる画像の画質の低下を抑制することができる。
【0116】
以上のことから、第1の変形例に係るMRI装置100によれば、全体の収集時間の増加、及び、得られる画像のS/N比の低下を抑制しつつ、データ収集の際の時間分解能を向上させることができる。
【0117】
そして、生成機能15bは、変更されたプロトコルを含むプロトコル群に基づいて、シーケンス実行データを生成する。そして、生成機能15bは、生成したシーケンス実行データを実行機能13aに送信する。
【0118】
第1の変形例に係るステップS104では、生成機能15bにより送信されたシーケンス実行データを受信した実行機能13aは、シーケンス実行データに基づいて、以下に説明する処理を行って、データ収集を行う。なお、データ収集21a、21b、21dについては、実施形態と同様であるので説明を省略する。例えば、実行機能13aは、標識化領域23にタグパルス20を所定のショットインターバルで20回印加する。また、実行機能13aは、1回目のタグパルス20から10回目のタグパルス20の各タグパルス20が印加されてから、TIとして「TI8」が経過したタイミングでデータ収集50aを行う。また、実行機能13aは、1回目のタグパルス20から10回目のタグパルス20の各タグパルス20が印加されてから、TIとして「TI9」が経過したタイミングでデータ収集50bを行う。
【0119】
また、実行機能13aは、11回目のタグパルス20から20回目のタグパルス20の各タグパルス20が印加されてから、TIとして「TI8」が経過したタイミングでデータ収集51aを行う。また、実行機能13aは、11回目のタグパルス20から20回目のタグパルス20の各タグパルス20が印加されてから、TIとして「TI9」が経過したタイミングでデータ収集51bを行う。
【0120】
よって、第1の変形例に係るMRI装置100によれば、1回のデータ収集で収集されるデータのデータ量を「40ms分のデータ量」に調整することで、断面が異なる複数の断面のそれぞれの2Dデータを収集することができる。ひいては、第1の変形例に係るMRI装置100によれば、複数の断面のそれぞれの2D画像を生成することができる。
【0121】
また、第1の変形例に係るMRI装置100によれば、実施形態と同様に、全体の収集時間の増加、及び、得られる画像の画質のS/N比の低下を抑制しつつ、データ収集の際の時間分解能を向上させることができる。
【0122】
(実施形態に係る第2の変形例)
上述した実施形態及び第1の変形例において、MRI装置100が、タグモードのデータ収集を実行する場合について説明したが、MRI装置100はこれに限られない。例えば、MRI装置100は、タグモードのデータ収集に加えて、流体に影響を与えない位置にタグパルスと同様のコントロールパルスを印加してから所定のタイミングでデータを収集するコントロールモードのデータ収集を実行してもよい。そして、MRI装置100は、タグモードのデータ収集により収集されたデータから生成された画像と、コントロールモードのデータ収集により収集されたデータから生成された画像との差分を示す差分画像を、背景信号が抑制された画像として生成してもよい。そこで、このような実施形態を、実施形態に係る第2の変形例として説明する。
【0123】
なお、実施形態及び第1の変形例において生成された「3D画像」及び「2D画像」がタグモードのデータ収集により収集されたデータに基づいて生成された画像であるため、第2の変形例の説明において、「3D画像」及び「2D画像」を「3Dのタグ画像」及び「2Dのタグ画像」と表記する。また、第2の変形例の説明において、実施形態及び第1の変形例と同様の構成及び処理については同一の符号を付して説明を省略する。
【0124】
図16は、第2の変形例に係る処理手順を示すフローチャートである。ここで、ステップS103において、第2の変形例に係る生成機能15bは、実施形態に係る生成機能15bがステップS103で実行する上述した処理に加えて、次の処理を行う。すなわち、第2の変形例に係る生成機能15bは、時間分解能を向上させる時間の範囲内で行われるコントロールモードのデータ収集の3Dシーケンスを、この3Dシーケンスにおいて撮像条件として設定されたスラブ厚に相当するスライス厚が撮像条件として設定された2Dデータを収集する2Dシーケンスに切り替える。そして、ステップS103において、生成機能15bは、スライスエンコード分だけ繰り返し行われるデータ収集のそれぞれに、切り替えられた2Dシーケンスが分配されたシーケンス実行データを生成する。そして、ステップS103において、生成機能15bは、生成したシーケンス実行データを実行機能13aに送信する。
【0125】
図17は、ステップS103において、コントロールモードのデータ収集の3Dシーケンスが2Dシーケンスに切り替わり、2Dシーケンスが分配された場合の撮像全体のコントロールパルスの印可タイミング、及び、データ収集のタイミングの一例を示す図である。
【0126】
図17の例に示すように、生成機能15bは、流体に影響を与えない位置にタグパルス20と同様のコントロールパルス60を印可してから、TIとして「TI1」が経過したタイミングで、上述したデータ収集21aと同等のデータ収集61aを行うように、ステップS101で受け付けたプロトコル群のうち該当するプロトコルを変更する。また、生成機能15bは、コントロールパルス60を印可してから、TIとして「TI3」が経過したタイミングで上述したデータ収集40aと同等のデータ収集61bを行うように該当するプロトコルを変更する。
【0127】
なお、データ収集61aが行われるタイミングは、コントロールパルス60が印加されてから「TI1」が経過したタイミングに限られない。データ収集61aが行われるタイミングは、コントロールパルス60が印加されてから任意の待ち時間が経過したタイミングでもよい。同様に、データ収集61bが行われるタイミングは、コントロールパルス60が印加されてから「TI3」が経過したタイミングに限られない。データ収集61bが行われるタイミングは、コントロールパルス60が印加されてから任意の待ち時間が経過したタイミングでもよい。
【0128】
なお、この例では、スライスエンコードが「20」であるので、
図17に示すように、コントロールパルス60の印可、データ収集61a、61bのセット62が、20回繰り返される。
【0129】
そして、生成機能15bは、変更されたプロトコルを含むプロトコル群に基づいて、シーケンス実行データを生成する。そして、生成機能15bは、生成したシーケンス実行データを実行機能13aに送信する。以上、第2の変形例に係るステップS103の処理について説明した。
【0130】
以上のことから、第2の変形例に係るステップS203において、生成機能15bは、実行機能13aが、被検体Sの撮像領域22に流入する流体に影響を与えない位置にコントロールパルス60を印加してからデータを収集するデータ収集61a、61bを所定の回数(20回)行うためのシーケンス実行データを生成する。
【0131】
なお、第2の変形例に係るステップS203において、生成機能15bは、実行機能13aが、データ収集61a、61bを行う際に、データ収集61aでは、20回の各回で1つのスライスエンコード分のデータを収集することによって、3次元のコントロール画像を生成するための3次元のデータを収集する。また、生成機能15bは、実行機能13aが、データ収集61a、61bを行う際に、データ収集61bでは、20回の各回に1つのスライスエンコード分のデータに相当するデータを分配して収集することにより、2次元のコントロール画像を生成するための2次元のデータを収集するようなシーケンス実行データを生成する。そして、生成機能15bは、生成したシーケンス実行データを実行機能13aに送信する。
【0132】
図16の説明に戻り、生成機能15bは、ステップS104を実行すると、ステップS401において、以下に説明する処理を行う。すなわち、生成機能15bは、実施形態及び第1の変形例と同様に、3Dデータ30aに基づいて、TI1に対応する3Dのタグ画像を生成する。また、画像生成機能14aは、3Dデータ30bに基づいて、TI2に対応する3Dのタグ画像を生成する。また、画像生成機能14aは、3Dデータ30dに基づいて、TI4に対応する3Dのタグ画像を生成する。
【0133】
また、画像生成機能14aは、2Dデータ41aに基づいて、TI3に対応する2Dのタグ画像を生成する。また、画像生成機能14aは、2Dデータ41bに基づいて、TI5に対応する2Dのタグ画像を生成する。また、画像生成機能14aは、2Dデータ41cに基づいて、TI6に対応する2Dのタグ画像を生成する。また、画像生成機能14aは、2Dデータ41dに基づいて、TI6に対応する2Dのタグ画像を生成する(ステップS401)。
【0134】
そして、実行機能13aは、コントロールモードのデータ収集を実行する(ステップS402)。ステップS402では、実行機能13aは、シーケンス実行データに基づいて、以下に説明する処理を行う。すなわち、実行機能13aは、流体に影響を与えない位置にコントロールパルス60を所定のショットインターバルで20回印加する。また、実行機能13aは、各コントロールパルス60を印可してから、TIとして「TI1」が経過したタイミングで、データ収集61aを行う。また、生成機能15bは、各コントロールパルス60を印可してから、TIとして「TI3」が経過したタイミングでデータ収集61bを行う。
【0135】
このように、本実施形態に係るMRI装置100は、ステップS402において、流体に影響を与えない位置にコントロールパルスを印加してから所定のタイミングでデータを収集するコントロールモードのデータ収集を実行する。
【0136】
以上のことから、ステップS402において、実行機能13aは、被検体Sの撮像領域22に流入する流体に影響を与えない位置にコントロールパルス60を印加してからデータを収集するデータ収集61a、61bを所定の回数(20回)行う。また、実行機能13aは、データ収集61a、61bを20回行う際に、データ収集61aでは、20回の各回で1つのスライスエンコード分のデータを収集することによって、3次元のコントロール画像を生成するための3次元のデータを収集する。また、実行機能13aは、データ収集61a、61bを20回行う際に、データ収集61bでは、20回の各回に1つのスライスエンコード分のデータに相当するデータを分配して収集することにより、2次元のコントロール画像を生成するための2次元のデータを収集する。なお、データ収集61aは、第3のデータ収集の一例である。また、データ収集61bは、第4のデータ収集の一例である。また、20回行われるデータ収集61aの各回で収集される1つのスライスエンコード分のデータは、第3のデータの一例である。
【0137】
なお、第2の変形例に係るMRI装置100は、ステップS402を実行した後に、ステップS401を実行してもよい。
【0138】
そして、画像生成機能14aは、コントロールモードでのデータ収集により収集されたデータに基づいて、2Dのコントロール画像と、3Dのコントロール画像とを生成する(ステップS403)。
【0139】
例えば、画像生成機能14aは、20回のデータ収集61aにより収集された3Dデータに基づいて、3Dのコントロール画像を生成する。また、画像生成機能14aは、20回のデータ収集61bにより収集された2Dデータに基づいて、2Dのコントロール画像を生成する。なお、第2の変形例に係るMRI装置100は、ステップS402、403を実行した後に、ステップS104、401を実行してもよい。
【0140】
そして、画像生成機能14aは、2Dの差分画像と、3Dの差分画像とを生成する(ステップS404)。例えば、画像生成機能14aは、TI1に対応する3Dのタグ画像と、3Dのコントロール画像との差分を示す3Dの差分画像を生成する。また、画像生成機能14aは、TI2に対応する3Dのタグ画像と、3Dのコントロール画像との差分を示す3Dの差分画像を生成する。また、画像生成機能14aは、TI4に対応する3Dのタグ画像と、3Dのコントロール画像との差分を示す3Dの差分画像を生成する。
【0141】
また、画像生成機能14aは、TI3に対応する2Dのタグ画像と、2Dのコントロール画像との差分を示す2Dの差分画像を生成する。また、画像生成機能14aは、TI5に対応する2Dのタグ画像と、2Dのコントロール画像との差分を示す2Dの差分画像を生成する。画像生成機能14aは、TI6に対応する2Dのタグ画像と、2Dのコントロール画像との差分を示す2Dの差分画像を生成する。画像生成機能14aは、TI7に対応する2Dのタグ画像と、2Dのコントロール画像との差分を示す2Dの差分画像を生成する。
【0142】
そして、実行機能13aは、ステップS404で生成した3Dの差分画像に対してMIP処理を施す(ステップS405)。
【0143】
そして、表示制御機能15cは、ステップS404で生成された2Dの差分画像と、ステップS405でMIP処理された3Dの差分画像とをディスプレイ10に表示させ(ステップS406)、処理を終了する。これにより、ディスプレイ10には、背景信号が抑制された画像が表示される。
【0144】
例えば、ステップS406において、表示制御機能15cは、TIに対応して、2Dの差分画像又はMIP処理された3Dの差分画像をディスプレイ10に表示させる。これにより、ディスプレイ10は、各TIに対応する被検体の血液や脳脊髄液などの流体の状態を示す画像を時系列で連続的に表示して動画表示する。具体例を挙げて説明すると、表示制御機能15cは、まず、TI1に対応し、MIP処理された3Dの差分画像を表示させる。次に、表示制御機能15cは、TI2に対応し、MIP処理された3Dの差分画像を表示させる。次に、表示制御機能15cは、TI3に対応する2Dの差分画像を表示させる。次に、表示制御機能15cは、TI5に対応する2Dの差分画像を表示させる。次に、表示制御機能15cは、TI6に対応する2Dの差分画像を表示させる。次に、表示制御機能15cは、TI7に対応する2Dの差分画像を表示させる。そして、表示制御機能15cは、TI4に対応し、MIP処理された3Dの差分画像を表示させる。
【0145】
以上、第2の変形例に係るMRI装置100について説明した。第2の変形例に係るMRI装置100によれば、背景信号が抑制された画像が表示されるので、操作者にとって流体の状態が把握しやすい画像を表示することができる。
【0146】
また、第2の変形例に係るMRI装置100によれば、実施形態と同様に、全体の収集時間の増加、及び、得られる画像のS/N比の低下を抑制しつつ、データ収集の際の時間分解能を向上させることができる。
【0147】
(実施形態に係る第3の変形例)
ここで、MRI装置100が、操作者に時間分解能を向上させる時間の範囲を決めさせるための表示を行ってもよい。そこで、このような実施形態を、実施形態に係る第3の変形例として説明する。なお、第3の変形例の説明において、実施形態、第1の変形例及び第2の変形例と同様の構成及び処理については同一の符号を付して説明を省略する。
【0148】
図18は、第3の変形例に係る処理手順を示すフローチャートである。例えば、第3の変形例に係るステップS101において、設定機能15aは、操作者から、入力回路9を介して、先の
図2〜
図6を参照して説明した3D Dynamic ASL MRAを本スキャンとして実行するためのプロトコル群を受け付ける。これに加えて、第3の変形例に係るステップS101において、設定機能15aは、操作者から、入力回路9を介して、プリスキャンとしても、3D Dynamic ASL MRAを実行するためのプロトコル群を受け付ける。なお、プリスキャンとして、設定機能15aは、2Dデータを収集するためのプロトコル群を受け付けてもよい。
【0149】
なお、プリスキャンとして受け付けた3D Dynamic ASL MRAを実行するためのプロトコル群では、3D Dynamic ASL MRAを本スキャンとして実行するためのプロトコル群よりも、PE Matrixの値やスライスエンコードの値などが間引かれている。このため、プリスキャンでのデータ収集により収集されるデータに基づいて生成される画像の画質は、本スキャンでのデータ収集により収集されるデータに基づいて生成される画像の画質よりも良くないが、プリスキャンでのデータ収集の収集時間は、本スキャンでのデータ収集の収集時間よりも短くなる。
【0150】
図18に示すように、ステップS101の次に、実行機能13aは、プリスキャンを実行する(ステップS501)。
【0151】
例えば、プリスキャンとして、3D Dynamic ASL MRAを実行するためのプロトコル群を受け付けた場合について説明する。この場合には、ステップS501では、生成機能15bは、プリスキャンとして受け付けた3D Dynamic ASL MRAを実行するためのプロトコル群に基づいてシーケンス実行データを生成する。そして、生成機能15bは、生成したシーケンス実行データを実行機能13aに送信する。これにより、シーケンス実行データを受信した実行機能13aは、シーケンス実行データに基づいて、プリスキャンを実行して、データを収集する。
【0152】
また、例えば、プリスキャンとして、2Dデータを収集するためのプロトコル群を受け付けた場合について説明する。この場合には、ステップS501では、生成機能15bは、プリスキャンとして受け付けた2Dデータを収集するためのプロトコル群に基づいてシーケンス実行データを生成する。そして、生成機能15bは、生成したシーケンス実行データを実行機能13aに送信する。これにより、シーケンス実行データを受信した実行機能13aは、シーケンス実行データに基づいて、プリスキャンを実行して、2Dデータを収集する。
【0153】
そして、表示制御機能15cは、プリスキャン結果をディスプレイ10に表示させる(ステップS502)。例えば、ステップS502では、生成機能15bは、ステップS501で実行されたプリスキャンにより収集されたデータに基づいて、各TIに対応する被検体Sの血液や脳脊髄液などの流体の状態を示す2D画像及び3D画像を生成する。そして、表示制御機能15cは、2D画像及び3D画像を時系列で連続的にディスプレイ10表示させて動画表示させる。
【0154】
これにより、本スキャンよりも画質が良好ではない画像ではあるものの、操作者に、腫瘍などの病変部位を確認させることできるような画像を閲覧させることができる。そのため、操作者に、病変部位が確認されたタイミングを含む時間の範囲を、時間分解能を向上させる時間の範囲として決定させることができる。したがって、容易に操作者に時間分解能を向上させる時間の範囲を決定させることができる。そして、ステップS102において、生成機能15bは、このようにして操作者により容易に決定された時間分解能を向上させる時間の範囲を、入力回路9を介して操作者から受け付ける。
【0155】
そして、ステップS104で、実行機能13aは、ディスプレイ10に表示された画像を閲覧した操作者により指定された時間の範囲において、データ収集40a〜40dを行う。
【0156】
以上のことから、第3の変形例に係る実行機能13aは、操作者から時間の範囲を受け付ける前、例えば、データ収集40a〜40dを行う前に、プリスキャンを実行してデータを収集する。そして、第3の変形例に係る表示制御機能15cは、データ収集40a〜40dを行う前に、プリスキャンを実行することにより収集されたデータに基づいた画像をディスプレイ10に表示させる。そして、第3の変形例に係る実行機能13aは、ディスプレイ10に表示された画像を閲覧した操作者により指定された時間の範囲において、データ収集40a〜40dを行う。なお、プリスキャンにより収集されるデータは、第5のデータの一例である。
【0157】
以上、第3の変形例に係るMRI装置100について説明した。第3の変形例に係るMRI装置100によれば、上述したように、容易に操作者に時間分解能を向上させる時間の範囲を決定させることができる。
【0158】
また、第3の変形例に係るMRI装置100によれば、実施形態と同様に、全体の収集時間の増加、及び、得られる画像の画質のS/N比の低下を抑制しつつ、データ収集の際の時間分解能を向上させることができる。
【0159】
以上述べた少なくとも1つの実施形態又は変形例に係るMRI装置100によれば、全体の収集時間の増加、及び、得られる画像のS/N比の低下を抑制しつつ、データ収集の際の時間分解能を向上させることができる。
【0160】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。