(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6580959
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】杭打ち込み用穴あけ治具、及び杭打ち込み用穴あけ方法
(51)【国際特許分類】
E02D 7/00 20060101AFI20190912BHJP
【FI】
E02D7/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-232734(P2015-232734)
(22)【出願日】2015年11月30日
(65)【公開番号】特開2017-101381(P2017-101381A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515332193
【氏名又は名称】松村建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】吉本 雅利
(72)【発明者】
【氏名】藤川 正昭
【審査官】
苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭49−135207(JP,U)
【文献】
仏国特許発明第1589320(FR,A)
【文献】
特公昭52−5113(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/00〜13/10
A01C 5/00〜 5/08
B25D 1/00〜17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に杭を打ち込むための穴をあける穴あけ治具であって、
管体の一端に一体化して鉄ピン状部を備える穴あけ部材と、
前記穴あけ部材の前記管体内に挿入可能で、前記鉄ピン状部を叩いて打ち込むための棒体を備える叩き込み部材と、からなり、
前記管体はガス管で、
前記鉄ピン状部は、金テコの先端を切断した部材が前記管体の一端に溶接されたものであることを特徴とする杭打ち込み用穴あけ治具。
【請求項2】
前記棒体は、金テコの先端が切断されて他端にヘラ部を備えるものであることを特徴とする請求項1に記載の杭打ち込み用穴あけ治具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の杭打ち込み用穴あけ治具を用いて行う杭打ち込み用穴あけ方法であって、
地盤に前記鉄ピン状部を下にして前記穴あけ部材を立て、
前記穴あけ部材の前記管体内に前記叩き込み部材の前記棒体を挿入して、
前記棒体で前記鉄ピン状部を叩くことにより前記地盤に前記穴あけ部材を打ち込むことを特徴とする杭打ち込み用穴あけ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測量杭等の杭打ち込み用の穴あけ治具と、その穴あけ治具を用いる杭打ち込み用穴あけ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固い地盤に測量杭を打ち込む場合、従来は、大ハンマーやかけや(大型の木槌)により鉄ピンを先に打ち込んで、穴を確保した上で、その後、測量杭を打ち込むのが一般的である。
【0003】
また、特許文献1において、容易且つ迅速にマーキングポイントに測量杭を打設し得る測点杭打ち装置が提案される。
この測点杭打ち装置は、測量ポールの下端部に、測量杭を装填し得る杭装填空間の形成された杭ホルダーを設け、測量ポールにガイド空間を形成すると共に、そのガイド空間に、ハンマーを杭装填空間との間で移動自在に設け、測量ポールの上端に、所定の測量機器のターゲットと成り得る測量用反射器を設けた構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−43159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のように、大ハンマーやかけやにより鉄ピンを打ち込む際、精度が必要となり、打ち直し等の手戻りが生じる可能性が高い。
そして、大ハンマーやかけやを使用することにより、打ち損ねによる災害事例もみられ、安全上にも問題があった。
また、鉄ピンを打ち込む際、低姿勢となるため、作業者の負担も大きかった。
【0006】
また、特許文献1の測点杭打ち装置は、測量ポール、測量杭装填空間の形成された杭ホルダー、測量ポールのガイド空間、ハンマー、測量用反射器を備える特殊なものであり、鋼製が複雑で高価なものである。
【0007】
本発明の課題は、測量杭等の杭を打ち込むための穴あけにおいて、大ハンマーやかけやが不要で、杭打ち込み精度を確保して、手戻りを無くし、作業効率を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
地盤に杭を打ち込むための穴をあける穴あけ治具であって、
管体の一端に一体化して鉄ピン状部を備える穴あけ部材と、
前記穴あけ部材の前記管体内に挿入可能で、前記鉄ピン状部を叩いて打ち込むための棒体を備える叩き込み部材と、からな
り、
前記管体はガス管で、
前記鉄ピン状部は、金テコの先端を切断した部材が前記管体の一端に溶接されたものであることを特徴とする。
【0010】
請求項
2に記載の発明は、
請求項1に記載の杭打ち込み用穴あけ治具であって、
前記棒体は、金テコの先端が切断されて他端にヘラ部を備えるものであることを特徴とする。
【0011】
請求項
3に記載の発明は、
請求項1
または2に記載の杭打ち込み用穴あけ治具を用いて行う杭打ち込み用穴あけ方法であって、
地盤に前記鉄ピン状部を下にして前記穴あけ部材を立て、
前記穴あけ部材の前記管体内に前記叩き込み部材の前記棒体を挿入して、
前記棒体で前記鉄ピン状部を叩くことにより前記地盤に前記穴あけ部材を打ち込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、大ハンマーやかけやが不要となり、杭打ち込み精度も確保でき、手戻りが無くなり、杭打ち込みの作業効率の向上を図ることができる。
また、大ハンマーやかけやが不要となることで、関連災害も無くなり、安全面も改善される。
さらに、穴あけ治具打ち込みも直立姿勢で行なえることから、作業者の負担軽減も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明を適用した杭打ち込み用穴あけ治具の一実施形態の構成を示すもので、穴あけ部材の概略斜視図(a)と、叩き込み部材の概略斜視図(b)である。
【
図2】
図1の杭打ち込み用穴あけ治具を用いる杭打ち込み用穴あけ方法を示すもので、穴あけ部材の管体に叩き込み部材を挿入する状態を示した概略斜視図(a)と、その穴あけ状態を示した図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態)
図1は本発明を適用した杭打ち込み用穴あけ治具の一実施形態の概略構成を示すもので、杭打ち込み用穴あけ治具は、
図1(a)に示す穴あけ部材1と、
図1(b)に示す叩き込み部材2とからなる。
【0015】
穴あけ部材1は、
図1(a)に示すように、管体1aの一端に鉄ピン状部1bを一体化して備える。
すなわち、この穴あけ部材1は、ガス管による管体1aの一端に、金テコの先端を切断した部材2b(
図1(b)の仮想線参照)による鉄ピン状部1bが溶接されたものである。
【0016】
叩き込み部材2は、
図1(b)に示すように、穴あけ部材1の管体1aの内部に挿入可能な棒体2aからなる。
すなわち、この叩き込み部材2は、金テコの先端切断部材2bが切断されたもので、棒体2aの他端にヘラ部2cが備えられている。
【0017】
図2は杭打ち込み用穴あけ治具(穴あけ部材1と叩き込み部材2)を用いる杭打ち込み用穴あけ方法を示すもので、先ず、
図2(a)に示すように、地盤に鉄ピン状部1bを下にして穴あけ部材1を作業員が手で持って立てるとともに、その穴あけ部材1の管体1a内に上方から、叩き込み部材2の棒体2aを作業員が手で持って挿入する。
【0018】
次に、
図2(b)に示すように、叩き込み部材2の棒体2aを作業員が手で持って、穴あけ部材1の管体1a下部内の鉄ピン状部1bの頭部を叩くことによって、地盤に穴あけ部材1の鉄ピン状部1bを所定深さまで打ち込んでいく。
【0019】
その後、地盤から穴あけ部材1を抜いて、その地面に残された穴に図示しない測量杭の下端部を挿入して、測量杭を設置する。
なお、測量杭に限らず他の杭を設置してもよい。
【0020】
以上、実施形態の杭打ち込み用穴あけ治具、及びその穴あけ治具を用いる杭打ち込み用穴あけ方法によれば、穴あけ部材1が管体1aの一端に一体化して鉄ピン状部1bを備えて、叩き込み部材2が杭1の管体1a内に挿入可能で、鉄ピン状部1bを叩くための棒体2aを備え、地盤に鉄ピン状部1bを下にして穴あけ部材1を立て、その穴あけ部材1の管体1a内に叩き込み部材2の棒体2aを挿入して、その棒体2aで鉄ピン状部1bを叩くことにより地盤に穴あけ部材1を打ち込むことができる。
【0021】
従って、大ハンマーやかけやが不要となり、杭打ち込み精度も確保でき、手戻りが無くなり、杭打ち込みの作業効率を向上させることができる。
また、大ハンマーやかけやが不要となることで、関連災害も無くなり、安全面も改善することができる。
さらに、穴あけ部材1の打ち込みも、
図2に示したように、直立姿勢で行なえることから、作業者の負担も軽減することができる。
【0022】
(変形例)
以上の実施形態においては、金テコを利用して穴あけ部材と叩き込み部材を作製したが、本発明はこれに限定されるものではなく、管体の先端に鉄ピン状のものを一体化して、その管体に挿入する棒体を使用してもよい。
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0023】
1 穴あけ部材
1a 管体
1b 鉄ピン状部
2 叩き込み部材
2a 棒体
2b 先端切断部材
2c ヘラ部