(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
雌ねじ状の内面を有する回転可能に支持された筒形状のステータと、前記ステータに内挿された雄ねじ状の螺旋部を有するロータとを備え、前記ロータはその回転軸線が前記ステータの回転軸線に対して偏心するように配置され、前記ロータの回転力で前記ステータを前記ロータの二分の一の回転数で追従回転させる一軸偏心ねじポンプであって、
前記ロータに回転力を付与する電動モータと、
前記電動モータを駆動制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、当該一軸偏心ねじポンプの起動時に、正転時と逆転時とで逆転時の方が大きい角度変位となるように前記ロータを正転方向及び逆転方向に交互に繰り返し回転運動させる振動運転を行ってから、正転方向への定速運転である定常運転に移行するように前記電動モータを駆動制御することを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
雌ねじ状の内面を有する回転不可能に支持された筒形状のステータと、前記ステータに内挿された雄ねじ状の螺旋部を有するロータとを備え、前記ロータはその回転軸線が前記ステータの中心軸線に対して偏心するように配置された一軸偏心ねじポンプであって、
前記ロータに回転力を付与する電動モータと、
前記電動モータを駆動制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、当該一軸偏心ねじポンプの起動時に、正転時と逆転時とで逆転時の方が大きい角度変位となるように前記ロータを正転方向及び逆転方向に交互に繰り返し回転運動させる振動運転を行ってから、正転方向への定速運転である定常運転へと移行するように前記電動モータを駆動制御することを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
前記制御部は、前記振動運転の最後の逆転方向への回転運動後のタイミングで正転方向への定速運転である定常運転に移行するように前記電動モータを駆動制御する請求項1又は2に記載の一軸偏心ねじポンプ。
前記制御部は、前記電動モータの出力トルクが定格トルク値以下に制限されるように前記電動モータを駆動制御する請求項1から3のいずれか1項に記載の一軸偏心ねじポンプ。
前記ステータは、内側にエラストマー製の内周部を有するステータ内筒と、該ステータ内筒の外側に嵌め込まれる金属製のステータ外筒とから構成されている請求項1から4のいずれか1項に記載の一軸偏心ねじポンプ。
雌ねじ状の内面を有する回転可能に支持された筒形状のステータと、前記ステータに内挿された雄ねじ状の螺旋部を有するロータと、前記ロータに回転力を付与する電動モータと、前記電動モータを駆動制御する制御部とを備え、前記ロータはその回転軸線が前記ステータの回転軸線に対して偏心するように構成され、前記ロータの回転力で前記ステータを前記ロータの二分の一の回転数で追従回転させる一軸偏心ねじポンプの運転制御方法であって、
前記制御部が、前記一軸偏心ねじポンプの起動時に、正転時と逆転時とで逆転時の方が大きい角度変位となるように前記ロータを正転方向及び逆転方向に交互に繰り返し回転運動させる振動運転を行ってから、正転方向への定速運転である定常運転に移行するように前記電動モータを駆動制御するステップを含むことを特徴とする一軸偏心ねじポンプの運転制御方法。
雌ねじ状の内面を有する回転不可能に支持された筒形状のステータと、前記ステータに内挿された雄ねじ状の螺旋部を有するロータと、前記ロータに回転力を付与する電動モータと、前記電動モータを駆動制御する制御部とを備え、前記ロータはその回転軸線が前記ステータの中心軸線に対して偏心するように配置された一軸偏心ねじポンプの運転制御方法であって、
前記制御部が、前記一軸偏心ねじポンプの起動時に、正転時と逆転時とで逆転時の方が大きい角度変位となるように前記ロータを正転方向及び逆転方向に交互に繰り返し回転運動させる振動運転を行ってから、正転方向への定速運転である定常運転へと移行するように前記電動モータを駆動制御するステップを含むことを特徴とする一軸偏心ねじポンプの運転制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面に基づき、本発明の第1〜第3実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、寸法の関係や比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。
また、以下に示す第1〜第3実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る一軸偏心ねじポンプ1は、
図1に示すように、円筒状のねじポンプ部40を有する。そして、このねじポンプ部40の吸込み側14にケーシング30が設けられている。ケーシング30は、自身側面(この例では回転軸線L2よりも上部)に吸込口12を有する。ねじポンプ部40のハウジング46とケーシング30の吸込み側14(ねじポンプ部40の吸込み側でもある)とは、ヘルールクランプ43によって着脱可能に連結されている。また、ハウジング46の吐出側46tには吐出部50が締めねじ50aによって装着されている。
【0012】
そして、上記ケーシング30に対し、ねじポンプ部40とは反対の側から、軸受部20を内蔵するブラケット部10が不図示の締めねじによって連結されている。さらに、ブラケット部10の基端側(同図の右側)には、駆動用の電動モータ2が不図示のボルトによって固定されている。
この電動モータ2は、例えば、誘導電動機や同期電動機等のACモータや、ブラシレスDCモータやステッピングモータ等のDCモータから構成される。第1実施形態において、電動モータ2は、ブラシレスDCモータから構成されていることとする。
【0013】
上記ねじポンプ部40は、円筒状のハウジング46内に、雄ねじ状のロータ42と、雌ねじ状の内面をもつステータ41とを備えている。ロータ42は、先端側の螺旋部42aと、直線状の基端部42bとから構成されている。基端部42bは、ユニバーサルジョイントを用いることなく、水平に配置された駆動軸8の先端に直接連結している。螺旋部42aは、自身の回転軸線L2に対して偏心した長円形断面を有しており、この螺旋部42aが、雌ねじ状の内面を形成したステータ41に内挿されている。なお、上記軸受部20は、上記駆動軸8の途中部分を軸方向に離間した二つの転がり軸受22,23によって回転自在に支持している。また、駆動軸8の先端側であって、ケーシング30側の端面は水中軸受25によって軸封されている。
【0014】
そして、このステータ41の回転軸線L1に対して、上記ロータ42の回転軸線L2は、所定の偏心量Eだけ偏心して配置されている。ステータ41は、その雌ねじ状のピッチがロータ42の螺旋部42aの2倍である。ステータ41は、その両端が、すべり軸受としての、円環状の自己潤滑軸受47、48を介して上記ハウジング46内に回転自在に支持されている。
この例では、ステータ41は、ステータ内筒41aと、このステータ内筒41aを軸方向の両側から挟み込むように形成された段付き形状の二つのステータ外筒41b,41cとを有して構成されている。ステータ内筒41aは、内側に焼き嵌めされたエラストマー製の内周部を有し、上記雌ねじ状の内面がこの内周部によって形成されている。ステータ外筒41b,41cとステータ内筒41aとは、押しねじ41d,41dによって固定されることで全体として一体で回転するようになっている。
【0015】
そして、ケーシング30とハウジング46とには、相互が対向する側の内面に、凹の段部30d、46dがそれぞれ形成されている。さらに、ステータ41の外周面には、各ステータ外筒41b,41cによって凸の段部41tが形成されており、各ステータ外筒41b,41cに対して、その凸の段部41tの両端部に自己潤滑軸受47、48が当接されつつ外嵌され、ケーシング30とハウジング46とをヘルールクランプ43によって組み付けることでケーシング30とハウジング46相互の内面に形成された凹の段部30d、46dの内側面が自己潤滑軸受47、48の軸方向への移動を拘束しつつ、ステータ41を回転自在に支持するように構成されている。
【0016】
このような構成の一軸偏心ねじポンプ1は、オペレータにより操作パネル6からの起動操作がなされると、後述するコントローラ5(制御部に対応)の制御下で電動モータ2が駆動され、電動モータ2の回転力によって駆動軸8が一体で回転し、この駆動軸8に直接接続されたロータ42が回転する。そして、ねじポンプ部40は、ロータ42がその回転軸線L2を中心として回転し、ロータ42の螺旋部42aの動きに伴ってステータ41もその回転軸線L1を中心としてロータ42の回転と同期してロータ42の二分の一の回転数で従動回転することにより、圧送流体を吸込口12から吸込み側14を介して吐出口16に向けて圧送するようになっている。
【0017】
ここで、この一軸偏心ねじポンプ1は、電動モータ2の回転角度であるモータ回転角度θを測定可能な、例えば、レゾルバやロータリエンコーダ等から構成されるモータ回転角度センサ3が電動モータ2に付設されている。モータ回転角度センサ3によって検出したモータ回転角度θは、コントローラ5に入力される。
コントローラ5は、コンピュータを含む制御装置であり、操作パネル6を介したオペレータによる起動操作および停止操作に応じて、本発明に係る運転制御処理を実行し、操作内容に対応する運転動作が実施されるように電動モータ2を駆動制御するようになっている。
【0018】
このコントローラ5は、
図2に示すように、制御演算装置51と、モータ駆動回路52とを備えている。
制御演算装置51は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、I/F回路、バス等を備えるコンピュータシステムを備えている。制御演算装置51は、運転制御処理を実行すると、入力されたモータ回転角度θから、モータ回転角速度ω、モータ回転角加速度αを演算し、これら演算結果と入力されたモータ回転角度θとに基づき、電動モータ2を駆動制御するための指令値を演算する。制御演算装置51は、演算した指令値をモータ駆動回路52に出力する。
【0019】
モータ駆動回路52は、図示しないゲート駆動回路及びインバータ回路を含んで構成されている。モータ駆動回路52は、制御演算装置51から入力される指令値(例えば、電圧指令値)に基づきゲート駆動回路を駆動して、例えば、PWM信号を生成し、このPWM信号によってインバータ回路を駆動して電動モータ2に駆動電圧を印加する。
ここで、第1実施形態のコントローラ5は、運転制御処理として、電動モータ2を起動運転すると共に定常運転する起動運転制御処理、及び電動モータ2の運転を停止する停止運転制御処理を実行するように構成されている。
【0020】
起動運転制御処理は、一軸偏心ねじポンプ1を起動時の過大な起動トルクの原因となるロータ42とステータ41の接触面の吸着を解放するための運転動作である振動運転を行うための電動モータ2の駆動制御処理(以下「振動運転制御処理」と記載する場合がある)となる。加えて、起動運転制御処理は、振動運転の後に続けて一軸偏心ねじポンプ1の定常運転を行うための電動モータ2の駆動制御処理(以下、「定常運転制御処理」と記載する場合がある)となる。
具体的に、第1実施形態の振動運転制御処理は、一軸偏心ねじポンプ1の定常運転の起動前に、逆転方向に回転時のモータ回転角度変位が正転方向に回転時のモータ回転角度変位よりも微小量大きな所定角度変位となるように、ロータ42の正回転及び逆回転を交互に短時間で繰り返すように電動モータ2を駆動制御する処理となる。
【0021】
なお、第1実施形態おいて、振動運転制御処理は、例えば、正回転→逆回転の1往復を1回として、この往復運動を予め設定した設定回数Xだけ繰り返す処理となる。これにより、振動運転を、必ず逆回転で終了するようにしている。
また、第1実施形態では、振動運転時においてモータの出力トルクである運転トルクに制限を設けており、コントローラ5は、運転トルクが予め設定したトルク制限値(例えば、設計許容値である定格トルク値)を超えないように、電動モータ2を駆動制御するように構成されている。
【0022】
具体的に、第1実施形態の制御演算装置51は、演算した指令値がトルク制限値を超える運転トルクを発生させるような値のときに、その指令値を事前に補正して、電動モータ2に対して、トルク制限値を超える運転トルクが発生するような過大な電流を流さないようにしている。
これにより、振動運転時において、運転トルクは逆転方向に上昇するが、ロータ42とステータ41との接触面の吸着が解けるまで運転トルクがトルク制限値を超えないようになっている。
【0023】
また、第1実施形態の定常運転制御処理は、振動運転終了時のロータ42を逆転方向に回転後のタイミングで、ロータ42を予め設定された第1回転角速度ωsrで正転方向に定速回転するように電動モータ2を駆動制御する処理となる。このとき、第1回転角速度ωsrまでは予め設定された第1回転角加速度αsrで加速するように制御する。
一方、停止運転制御処理は、電動モータ2の停止前の回転方向とは逆転方向に、定常運転時よりも低角加速度且つ低角速度で所定角度だけロータ42を回転させて運転を停止するように電動モータ2を駆動制御する処理となる。
【0024】
(運転制御処理)
次に、
図3に基づき、コントローラ5で実行される運転制御処理の処理手順について説明する。ここで、運転制御処理は、予め設定した周期で繰り返し実行される処理である。
コントローラ5で運転制御処理が実行されると、
図3に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、一軸偏心ねじポンプ1が起動段階か否かを判定し、起動段階であると判定した場合(Yes)は、ステップS102に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS104に移行する。
この判定処理は、操作パネル6を介したオペレータの起動操作による起動指示が入力されたか否かを監視し、起動指示が入力されていれば起動段階であると判定し、起動指示が入力されていなければ起動段階ではないと判定する処理である。
【0025】
ステップS102に移行した場合は、起動運転制御処理を実行し、一軸偏心ねじポンプ1を振動運転してから定常運転して、一連の処理を終了する。なお、起動運転制御処理の処理手順の詳細については後述する。
ここで、制御演算装置51は、起動運転制御処理における振動運転制御処理の開始時に、定常運転中であることを示す定常運転フラグを設定するようになっている。この定常運転フラグは、例えば「1」に設定されているときに定常運転中であることを示し、例えば「0」に設定されているときに定常運転中ではないことを示すフラグである。なお、振動運転制御処理の開始時ではなく、定常運転制御処理の開始時に定常運転フラグを設定する構成としてもよい。
【0026】
一方、ステップS100において、起動段階ではないと判定してステップS104に移行した場合は、一軸偏心ねじポンプ1が停止段階か否かを判定する。そして、停止段階であると判定した場合(Yes)は、ステップS106に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS108に移行する。
この判定処理は、操作パネル6を介したオペレータの停止操作による停止指示が入力されたか否かを監視し、停止指示が入力されていれば停止段階であると判定し、停止指示が入力されていなければ停止段階ではないと判定する処理である。なお、オペレータが運転時間を設定して、運転時間の運転が終了した時に自動で停止する構成としてもよい。この場合は、停止指示がプログラムによって自動で入力される。
【0027】
ステップS106に移行した場合は、停止運転制御処理を実行し、一軸偏心ねじポンプ1の運転を停止して、一連の処理を終了する。
この停止運転制御処理は、例えば、運転停止前の回転方向とは逆転方向に、定常運転時よりも低角加速度且つ低角速度で所定角度だけロータ42を回転させて運転を停止する処理である。なお、停止運転制御処理時の所定角度としては、5〜20°程度が好ましい。例えば、逆転方向への回転制御は、角加速度が、50〜200π[rad/s
2]、最大トルクが定格トルクの45〜65%、角速度が、ロータ回転数で100[min
−1]以下となるように制御する。
【0028】
なお、制御演算装置51は、停止運転制御処理の開始時に、定常運転フラグを、定常運転中ではないことを示す値(例えば0)に変更する。
また、ステップS104において停止段階ではないと判定してステップS108に移行した場合は、一軸偏心ねじポンプ1が定常運転中か否かを判定し、定常運転中であると判定した場合(Yes)は、ステップS110に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了する。
この判定処理は、定常運転フラグの値に基づき行い、定常運転フラグが定常運転中を示す値であった場合は定常運転中であると判定し、定常運転中ではないことを示す値であった場合は定常運転中ではない(運転停止中である)と判定する処理となる。
ステップS110では、定常運転制御処理を継続して、一連の処理を終了する。
【0029】
(起動運転制御処理)
次に、
図4に基づき、ステップS102で実行される起動運転制御処理の処理手順について説明する。
ステップS102において、起動運転制御処理が実行されると、
図4に示すように、まず、ステップS200に移行する。
ステップS200では、正転と逆転の往復回数を計数するための変数iに0を代入して、ステップS202に移行する。
【0030】
ステップS202では、正転方向への回転制御処理を実施して、ロータ42を正転方向に所定角度だけ回転駆動して、ステップS204に移行する。
この正転方向への回転制御処理は、予め設定された正転時の角度変位Δθp、第2回転角加速度αs及び第2回転角速度ωsと、モータ回転角度センサ3から得られるモータ回転角度θと、このモータ回転角度θから演算したモータ回転角速度ω及びモータ回転角加速度αとに基づき実行される処理となる。
具体的に、制御演算装置51は、現在のモータ回転角度θの位置から正転方向に角度変位Δθpだけ変位した位置(θ+Δθp)を目標位置θspとして、この目標位置θspまで、第2回転角速度ωsで電動モータ2を回転駆動させるための指令値の演算を行う。このとき、現在のモータ回転角速度ωから第2回転角速度ωsまで第2回転角加速度αsで加速するように指令値を演算する。そして、演算した指令値(指令信号)をモータ駆動回路52に入力する。
【0031】
これにより、モータ駆動回路52によって、電動モータ2に駆動電圧が印加され、電動モータ2が回転駆動し、駆動軸8に直接接続されたロータ42が目標位置まで第2回転角速度ωsで正転方向に回転する。
ステップS204では、逆転方向への回転制御処理を実施して、ロータ42を逆転方向に回転駆動して、ステップS206に移行する。
この逆転方向への回転制御処理は、予め設定された逆転時の角度変位Δθn(Δθn>Δθp)、第2回転角加速度αs及び第2回転角速度ωsと、モータ回転角度センサ3から得られるモータ回転角度θと、このモータ回転角度θから演算したモータ回転角速度ω及びモータ回転角加速度αとに基づき実行される処理となる。
【0032】
具体的に、制御演算装置51は、上記正転時と同様に、現在のモータ回転角度θの位置から逆転方向に角度変位Δθnだけ変位した位置(θ−Δθn)を目標位置θspとして、この目標位置θsnまで、第2回転角速度ωsで電動モータ2を回転駆動させるための指令値の演算を行う。このとき、現在のモータ回転角速度ωから第2回転角速度ωsまで第2回転角加速度αsで加速するように指令値を演算する。そして、演算した指令値をモータ駆動回路52に入力する。
これにより、モータ駆動回路52によって、電動モータ2に駆動電圧が印加され、電動モータ2が回転駆動し、駆動軸8に直接接続されたロータ42が目標位置まで第2回転角速度ωsで逆転方向に回転する。このとき、「Δθn>Δθp」であるため、ロータ42は、逆転運転の開始時の位置よりも逆転方向に「Δθ=|Δθn−Δθp|」だけ回転した状態となる。そして、ステータ41がエラストマー製の内周部を有することから、ロータ42がステータ41の内周部に対して逆転方向に押しつけられることによって、内周部を構成するエラストマーが弾性変形し正転方向への反発力が発生する。
【0033】
ステップS206では、現在の変数iの値に1を加算した値を変数iに代入して、ステップS208に移行する。
ステップS208では、変数iの値が設定回数Xと一致したか否かを判定し、一致したと判定した場合(Yes)は、ステップS210に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS202に移行する。
即ち、角度変位Δθpの正転→角度変位Δθnの逆転の往復運動の回数が、予め設定した設定回数Xとなるまで、ステップS202〜S208の処理を繰り返し行う。これによって、電動モータ2を振動運転して、ロータ42とステータ41との接触面の吸着を解放する。
ステップS210に移行した場合は、定常運転制御処理を実行して、一軸偏心ねじポンプ1を定常運転して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
この定常運転制御処理は、振動運転の最後の逆転方向への回転後に引き続いて行われる処理であり、電動モータ2を、予め設定された第1回転角加速度αsrで予め設定された第1回転角速度ωsrまで正転方向に加速し、以降は第1回転角速度ωsrを維持したまま定速回転させる処理となる。
【0034】
(動作)
以下、第1実施形態の一軸偏心ねじポンプ1の動作を説明する。
いま、ロータ42とステータ41との接触面が吸着している状態で一軸偏心ねじポンプ1が運転を停止しているとする。この状態で、オペレータが操作パネル6を介して起動操作を行いコントローラ5に起動指示が入力されると、コントローラ5において、起動運転制御処理が実行される。
即ち、制御演算装置51は、定常運転フラグを「1」に設定し、正転時の角度変位Δθp、逆転時の角度変位Δθn、第2回転角加速度αs、第2回転角速度ωs及びモータ回転角度センサ3から得られるモータ回転角度θに基づき振動運転制御処理を実行する。
【0035】
制御演算装置51は、まず、正転方向の回転制御処理を実施して、ロータ42を、現在の停止状態から第2回転角速度ωsまで第2回転角加速度αsで正転方向に加速すると共に、加速後は第2回転角速度ωsを維持して正転方向に回転し、その後、逆転方向に第2回転角加速度αsで減速して目標位置θsp(θ+Δθp)で停止させるための指令値を予め設定した制御周期で順次演算する。そして、演算した指令値を順次モータ駆動回路52に出力する。
これにより、モータ駆動回路52によって電動モータ2が駆動制御され、ロータ42が、第2回転角加速度αsで第2回転角速度ωsまで加速しながら正転方向への回転を開始し、加速後は第2回転角速度ωsを維持した状態で目標位置θspに向けて正転方向に回転する。その後、目標位置θspの手前で逆転方向に第2回転角加速度αsで減速して目標位置θspで停止する。
【0036】
引き続き、制御演算装置51は、逆転方向の回転制御処理を実施して、ロータ42を、停止状態から第2回転角速度ωsまで第2回転角加速度αsで逆転方向に加速すると共に、加速後は第2回転角速度ωsを維持して逆転方向に回転し、その後、正転方向に第2回転角加速度αsで減速して目標位置θsn(θsp−Δθn)で停止させるための指令値を予め設定した制御周期で順次演算する。そして、演算した指令値を順次モータ駆動回路52に出力する。
これにより、モータ駆動回路52によって電動モータ2が駆動制御され、ロータ42が、第2回転角加速度αsで第2回転角速度ωsまで加速しながら逆転方向への回転を開始し、加速後は第2回転角速度ωsを維持した状態で目標位置θsnに向けて逆転方向に回転する。その後、目標位置θsnの手前で正転方向に第2回転角加速度αsで減速して目標位置θsnで停止する。
【0037】
上記した正転と逆転の回転制御処理を設定回数X回繰り返し行うことで一軸偏心ねじポンプ1を振動運転する。なお、振動運転時は、運転トルクがトルク制限値以下に制限されるため、トルク制限値の範囲内で振動運転が行われる。
また、「Δθn>Δθp」の関係から、振動運転の終了時にロータ42は、振動運転の開始位置から「X×(Δθn−Δθp)」だけ逆転方向に回転した状態となる。
この振動運転によって、ロータ42とステータ41との接触面の吸着を逆転方向に正逆運転が進む方向で剥がしつつ、吸着が剥がれたロータ42とステータ41との接触面に吸込み側14の液が徐々に浸透することで吸着が解放される。
【0038】
引き続き、制御演算装置51は、振動運転の最後の逆転方向への回転運動後のタイミングで定常運転制御処理を実施して、ロータ42を、現在の停止状態から第1回転角速度ωsrまで第1回転角加速度αsrで加速し、加速後は第1回転角速度ωsrで定速回転する定常運転を行うための指令値を予め設定した制御周期で順次演算する。そして、演算した指令値を順次モータ駆動回路52に出力する。
これにより、モータ駆動回路52によって電動モータ2が駆動制御され、ロータ42が、第1回転角加速度αsrで第1回転角速度ωsrまで加速しながら正転方向への回転を開始し、加速後は第1回転角速度ωsrを維持した状態で正転方向に定速回転する。
このとき、定常運転起動時の加速段階において、ステータ41の内周部の正転方向への反発力を利用することができるため定常運転を起動時の正転方向の運転トルクを小さくすることが可能となる。
この定常運転によって、ロータ42が定速で回転し、ステータ41がロータ42の回転と同期してロータ42の二分の一の回転数で従動回転することにより、圧送流体を吸込口12から吐出口16に向けて定量圧送する。
【0039】
(第1実施形態の効果)
(1)第1実施形態に係る一軸偏心ねじポンプ1は、雌ねじ状の内面を有する回転可能に支持された筒形状のステータ41と、ステータ41に内挿された雄ねじ状の螺旋部を有するロータ42とを備え、ロータ42はその回転軸線がステータ41の回転軸線に対して偏心するように配置され、ロータ42の回転力でステータ41をロータ42の二分の一の回転数で追従回転させる一軸偏心ねじポンプであって、ロータ42に回転力を付与する電動モータ2と、電動モータ2を駆動制御するコントローラ5と、を備える。
【0040】
コントローラ5は、一軸偏心ねじポンプ1の起動時に、正転時と逆転時とで逆転時の方が大きい角度変位となるようにロータ42を正転方向及び逆転方向に交互に繰り返し回転運動させる振動運転を行ってから、正転方向への定速運転である定常運転に移行するように電動モータ2を駆動制御する。
この構成であれば、ロータ42を正逆回転させながら逆転方向に徐々に回転させてロータ42とステータ41の接触面の吸着を剥がしてから、定常運転(正回転)へと移行することが可能となる。
これにより、逆転方向に吸着部を剥がす範囲を徐々に拡大する振動運転によって正転方向への運転トルクの上昇を抑えつつ吸着状態を解放することが可能となり、定常運転を起動時の過大な運転トルクの発生を回避することが可能となる。
【0041】
(2)上記コントローラ5は、振動運転の最後の逆転方向への回転運動後のタイミングで定常運転に移行するように電動モータ2を駆動制御する。
この構成であれば、逆転時にロータ42がステータ41に押し当てられることによって生じる正転方向への反発力によって、定速運転を起動時の正転方向のトルクを小さくすることが可能となる。
【0042】
(3)上記コントローラ5は、電動モータ2の出力トルクである運転トルクが定格トルク値以下に制限されるように電動モータ2を駆動制御する。
この構成であれば、運転トルクが最も大きくなる振動運転において、運転トルクを定格トルク値以下に制限することが可能となるので、起動時の過大な運転トルクの発生をより確実に回避することが可能となる。
【0043】
(4)上記ステータ41は、内側にエラストマー製の内周部を有するステータ内筒41aと、ステータ内筒41aの外側に嵌め込まれる金属製のステータ外筒41bとから構成されている。
この構成であれば、正転時と逆転時とで逆転時の方が大きい角度変位となるように前記ロータを正転方向及び逆転方向に交互に繰り返し回転運動させたときに、逆回転時にロータがエラストマー製の内筒に押し当てられることで内筒が弾性変形し、正回転方向の反発力を生じさせることが可能となる。
これによって、正転時の運転トルクの上昇をより抑えることが可能となり、特に振動運転の最後の逆転方向への回転運動後のタイミングで定常運転へと移行するときの運転トルクの上昇をより抑えることが可能となる。
【0044】
(第1実施形態の実施例1)
以下、上記第1実施形態の一軸偏心ねじポンプ1を用いて、上記第1実施形態の起動運転制御処理を行った場合と行わなかった場合の起動時の運転トルクを比較した実施例1を説明する。
実施例1では、90℃の温水運転を停止後に吐出側の液を排出した状態で12時間経過した後に一軸偏心ねじポンプ1を再起動した。
上記起動運転制御処理を行わなかった場合の実施例では、一軸偏心ねじポンプ1を、角加速度20π[rad/s
2]で、回転速度400[min
−1]≒角速度13.3π[rad/s]まで正転方向に加速起動し、その後、角速度13.3π[rad/s]の定速での定常運転に移行した。このときの運転トルクと回転速度の時間変化は、
図5に示すようになった。
【0045】
図5において、縦軸が運転トルク(%)及び回転数(min
−1)であり、横軸が時間(ms)であり、特性線SL1が運転トルク、特性線SL2が回転速度を示す。また、一軸偏心ねじポンプ1の許容トルクは12[N・m]であり、これを100%とした(
図5中の一点鎖線)。また、
図5において、縦軸の符号は、マイナスが正回転方向、プラスが逆回転方向に対応する。
上記起動運転制御処理を行わなかった場合、
図5の特性線SL1に示すように、吸着状態に逆らってロータ42を一方向に回転させるため、運転トルクが最大で23[N・m]にもなり、許容トルクの194%にもなった。
【0046】
このように、運転後に吐出側の液を抜いた状態から再起動する場合には、ロータ42とステータ41との接触面の乾燥により吸着が特に強く、一軸偏心ねじポンプ1の起動時に過大な起動トルクが発生し、場合によってはロータ42の破断等に繋がる恐れがある。
一方、上記起動運転制御処理を行った場合の実施例では、一軸偏心ねじポンプ1を、角加速度400π[rad/s
2]で、回転速度600[min
−1]=角速度20π[rad/s]まで加速することに加えて、正転方向の角度変位0.2π[rad]に対して逆転方向の角度変位0.24π[rad]となるように、正転及び逆転を交互に繰り返す振動運転を行った(約0.7[s])。そして、振動運転の最後の逆転方向への回転運動後のタイミングで、角加速度4π[rad/s
2]で、回転速度600[min
−1]=角速度20π[rad/s]まで加速し、その後、角速度20π[rad/s]の定速での定常運転に移行した。このときの運転トルクと回転速度の時間変化は、
図6に示すようになった。
【0047】
図6において、縦軸が電流(Arms)及び回転速度(rpm)であり、横軸が時間(ms)であり、特性線SL3が運転トルク(電流値)、特性線SL4が回転速度である。また、
図6において、縦軸の符号は、マイナスが正回転方向、プラスが逆回転方向に対応する。
上記起動運転制御処理を行った場合、
図6の特性線SL3に示すように、逆回転時の最大トルクが6.6[N・m](2.0[Arms])、正回転時の最大トルクが9.5[N・m](2.9[Arms])と、いずれも許容トルクである12[N・m]以下で吸着状態を解放し、定常運転へと移行することができた。なお、
図6の実施例では、トルク制限がかかることなく許容トルク以下での起動となった。即ち、振動運転の時間(振動回数)を管理することで、許容トルク以下での起動は十分可能であり、トルク制限はあくまで保険的な機能となる。
【0048】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る一軸偏心ねじポンプ100は、
図7に示すように、雌ねじ状の内面をもつ固定されたステータ112に雄ねじ状のロータ103が内装されている。ロータ103は、自在継手(ユニバーサルジョイント)106を介して駆動軸102に連結され、駆動軸102は、カップリング104を介して電動モータ101のシャフト101aに連結されている。ステータ112は、内側にエラストマー製の内周部を有するステータ内筒112aと、このステータ内筒112aの外側に嵌め込まれる金属製のステータ外筒112bとから構成されている。そして、上記雌ねじ状の内面がこの内周部によって形成されている。
【0049】
このような構成の一軸偏心ねじポンプ100は、オペレータにより操作パネル6からの起動操作がなされると、上記第1実施形態の一軸偏心ねじポンプ1と同様に、コントローラ5の制御下で電動モータ101が駆動され、電動モータ101の回転力によって駆動軸102が回転する。この回転により、駆動軸102に接続された自在継手106が回転することでロータ103がステータ112の回転軸線を中心として偏心運動(公転運動)することにより、圧送流体を吸込口113から吸込み側115を介して吐出口114に向けて圧送するようになっている。
【0050】
即ち、第2実施形態の一軸偏心ねじポンプ100は、上記第1実施形態の一軸偏心ねじポンプ1に対して、ステータ112が固定されている点と、ロータ103が自在継手106を介して駆動軸102に接続されている点とで異なる。これら以外の構成については、基本的に上記第1実施形態の一軸偏心ねじポンプ1と同様の構成となる。
具体的に、コントローラ5で振動運転制御処理が実行されると、一軸偏心ねじポンプ100の定常運転の起動前に、逆転方向に回転時のモータ回転角度変位が正転方向に回転時のモータ回転角度変位よりも微小量大きな所定角度変位となるように、ロータ103の正回転及び逆回転を交互に短時間で繰り返すように電動モータ101が駆動制御される。このとき、上記第1実施形態と同様に、設定回数X回の往復動を繰り返すと共に運転トルクがトルク制限値以下となるように電動モータ101が駆動制御される。
【0051】
これにより、ロータ103とステータ112との接触面の吸着を逆転方向に正逆運転が進む方向で剥がしつつ、吸着が剥がれたロータ103とステータ112との接触面に吸込み側115の液が徐々に浸透することで吸着が解放される。
引き続き、振動運転のロータ103を最後に逆転方向に回転後のタイミングで、コントローラ5で定常運転制御処理が実行されると、ロータ103を第1回転角速度ωsrで正転方向に定速回転するように電動モータ101が駆動制御される。このとき、第1回転角速度ωsrまでは第1回転角加速度αsrで加速するように制御される。
これにより、定常運転起動時の加速段階において、ステータ112の内周部の正転方向への反発力を利用することができるため定常運転を起動時の正転方向の運転トルクを小さくすることが可能となる。
【0052】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態は、上記第1実施形態の効果に加えて以下の効果を奏する。
(1)第2実施形態に係る一軸偏心ねじポンプ100は、雌ねじ状の内面を有する固定された筒形状のステータ112と、ステータ112に内挿された雄ねじ状の螺旋部を有するロータ103とを備え、ロータ103はその回転軸線がステータ112の中心軸線に対して偏心するように配置された一軸偏心ねじポンプであって、ロータ103に回転力を付与する電動モータ101と、電動モータ101を駆動制御するコントローラ5と、を備える。
【0053】
コントローラ5は、一軸偏心ねじポンプ100の起動時に、正転時と逆転時とで逆転時の方が大きい角度変位となるようにロータ103を正転方向及び逆転方向に交互に繰り返し回転運動させる振動運転を行ってから、正転方向への定速運転である定常運転へと移行するように電動モータ101を駆動制御する。
この構成であれば、ロータ103を正逆回転させながら逆転方向に徐々に回転させてロータ103とステータ112の接触面の吸着を剥がしてから、定常運転(正回転)へと移行することが可能となる。
これにより、逆転方向に吸着部を剥がす範囲を徐々に拡大する振動運転によって正転方向への運転トルクの上昇を抑えつつ吸着状態を解放して定常運転へと移行することが可能となるので、起動時の過大な運転トルクの発生を回避することが可能となる。特に、ステータ112が固定されているため、上記第1実施形態の一軸偏心ねじポンプ1と比較して、ロータ103が逆回転時のステータ112の弾性変形が大きくなり、より大きな正転方向への反発力を発生することが可能となる。
【0054】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る一軸偏心ねじポンプ200は、
図8に示すように、上記第1実施形態に係る一軸偏心ねじポンプ1に対して、ステータ内筒41aに代えて、ステータ内筒41eを備える点で異なりそれ以外の点で同様の構成となる。
以下、上記第1実施形態と同様の構成部については同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分のみを詳細に説明する。
この一軸偏心ねじポンプ200のステータ41は、ステータ内筒41eと、このステータ内筒41eを軸方向の両側から挟み込むように形成された段付き形状の二つのステータ外筒41b,41cとを有して構成されている。
ステータ内筒41eは、雌ねじ状の内面が一定の肉厚にモールド形成されたエラストマー部41gと、このエラストマー部41gの外周面を覆って一体に形成された支持部41hとを有し、上記雌ねじ状の内面がこのエラストマー部41gの内周部によって構成されている。また、支持部41hは、その両端に、径方向外側に向けて円環状に張り出したフランジ41fを有し、エラストマー部41gは、二つのステータ外筒41b,41cの段付き形状に対向して前記フランジ41fの軸方向両端面まで延設されている。
【0055】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態は、上記第1実施形態の効果に加えて以下の効果を奏する。
(1)第3実施形態に係る一軸偏心ねじポンプ200は、ステータ内筒41eのエラストマー製の内周部であるエラストマー部41gを、一定の肉厚に形成した。
この構成であれば、一軸偏心ねじポンプ200を起動時のロータ42からステータ41への回転力を、エラストマー部41gを介してその支持部によって確実に受け止めることが可能となる。これによって、起動時の振動運転においてロータ42を逆回転時に、エラストマー部41gからの正転方向への反発力をより確実に発生することが可能となる。
加えて、振動運転での駆動時に、弾性変形量にムラが生じにくく位相のずれが安定するため、ウエットな摺動箇所の拡大を容易に制御することが可能となる。これによって、振動運転によるウエットな摺動箇所の拡大効果を安定して発揮させることが可能となる。
なお、図示省略するが、上記第2実施形態に係る一軸偏心ねじポンプ100に対して、ステータ内筒112aに代えて、ステータ内筒41eを採用した場合も、ロータ103の逆回転時に、エラストマー部41gからの正転方向への反発力をより確実に発生して起動時の正転方向への運転トルクの上昇をより抑えることが可能となる。加えて、振動運転によるウエットな摺動箇所の拡大効果を安定して発揮させることが可能となる。
【0056】
(変形例)
(1)上記各実施形態では、モータ回転角度θからモータ回転角速度ω、モータ回転角加速度αを演算する構成としたが、この構成に限らず、別途角速度センサ、角加速度センサを設けてこれらセンサによって検出する構成としてもよい。
(2)上記各実施形態では、指令値の補正によってトルク制限を行う構成としたが、この構成に限らず、例えば、クランプ回路等によってモータ印加電圧を直接クランプすることによってトルクを制限する構成とするなど他の構成としてもよい。
(3)上記各実施形態では、振動運転において、逆転方向への角度変位Δθnを一定とする構成としたが、この構成に限らず、例えば、振動の往復回数n回(nは1以上の自然数)毎にΔθnを徐々に大きくする構成としてもよい。