特許第6581004号(P6581004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581004
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20190912BHJP
【FI】
   B65G1/04 541
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-13455(P2016-13455)
(22)【出願日】2016年1月27日
(65)【公開番号】特開2017-132586(P2017-132586A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】栗原 幸宏
【審査官】 板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−047713(JP,A)
【文献】 特開2008−230789(JP,A)
【文献】 特開2004−315191(JP,A)
【文献】 特開昭63−074898(JP,A)
【文献】 特開2001−284430(JP,A)
【文献】 特開平10−144755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00−1/133
H01L 21/68
B66F 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側に凹部が形成されたパレットにワークを載せて搬送する搬送装置であって、
ベース部材と、
前記凹部に挿入可能な突出体が設けられ、前記ベース部材に対し進退して、後退位置から前記パレットが載置される前進位置への移動及び該前進位置から該後退位置への移動を行うパレット受け部材と、
前記ベース部材に取り付けられた第1ユニット、前記パレット受け部材に取り付けられ、該第1ユニットに接触可能な第2ユニット、及び、該第1、第2ユニットの接触を検出する検出部を具備するセンサー機構と、
前記パレット受け部材の移動を制御する制御部とを備え、
前記パレット受け部材には、前記突出体が前記凹部に挿入されるパレット目標位置が予め定められ、前記第2ユニットは、該パレット目標位置に前記パレットが配された状態で、前記パレット受け部材が前記後退位置に配されて、前記第1ユニットに接触することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の搬送装置において、前記凹部及び前記突出体はそれぞれ複数あって、該各突出体は対応する該凹部に挿入されることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項2記載の搬送装置において、前記パレット受け部材は水平配置され、前記各突出体は、該パレット受け部材を平面視して、該パレット受け部材の進退方向の座標及び該進退方向に直交する方向の座標が異なる位置で、該パレット受け部材の上側に設けられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送装置において、前記第1、第2ユニットはそれぞれ複数あって、該各第2ユニットは対応する該第1ユニットに接触することを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の搬送装置において、前記第2ユニットは、前記パレット目標位置に配された前記パレットに上から押されて降下する可動片を備え、前記第1ユニットは、降下した前記可動片に押し下げられる被押下げ片を有し、前記検出部は、前記被押下げ片が押し下げられたのを検知して、該被押下げ片に前記可動片が接触したのを検出することを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の搬送装置において、前記制御部は、前記パレットを載せた状態の前記パレット受け部材の前記後退位置からの前進を、前記検出部が前記第1、第2ユニットの接触を非検出の際に禁止し、該検出部が該第1、第2ユニットの接触を検出の際に許可することを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
下側に突出体が形成されたパレットにワークを載せて搬送する搬送装置であって、
ベース部材と、
前記突出体が挿入可能な凹部が設けられ、前記ベース部材に対し進退して、後退位置から前記パレットが載置される前進位置への移動及び該前進位置から該後退位置への移動を行うパレット受け部材と、
前記ベース部材に取り付けられた第1ユニット、前記パレット受け部材に取り付けられ、該第1ユニットに接触可能な第2ユニット、及び、該第1、第2ユニットの接触を検出する検出部を具備するセンサー機構と、
前記パレット受け部材の移動を制御する制御部とを備え、
前記パレット受け部材には、前記突出体が前記凹部に挿入されるパレット目標位置が予め定められ、前記第2ユニットは、該パレット目標位置に前記パレットが配された状態で、前記パレット受け部材が前記後退位置に配されて、前記第1ユニットに接触することを特徴とする搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワーク(組み立て用の部品等)の搬送には、従来、ワークをパレットに載せて移送する機構を備える例えば特許文献1に記載された搬送装置(棚積リフト)が利用されている。特許文献1に記載の搬送装置は、柱体に沿って走行する荷台を備え、荷台に取り付けられたフォークが目標位置にあるか否かを検出用スイッチによって検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭48−46069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の搬送装置は、検出用スイッチによる検出対象が柱体と荷台の位置関係であるため、フォークとフォークに支持されたパレットの位置関係を安定的に検出することができないという課題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、パレットが所定の場所に載せられているか否かを安定的に検出できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係る搬送装置は、下側に凹部が形成されたパレットにワークを載せて搬送する搬送装置であって、ベース部材と、前記凹部に挿入可能な突出体が設けられ、前記ベース部材に対し進退して、後退位置から前記パレットが載置される前進位置への移動及び該前進位置から該後退位置への移動を行うパレット受け部材と、前記ベース部材に取り付けられた第1ユニット、前記パレット受け部材に取り付けられ、該第1ユニットに接触可能な第2ユニット、及び、該第1、第2ユニットの接触を検出する検出部を具備するセンサー機構と、前記パレット受け部材の移動を制御する制御部とを備え、前記パレット受け部材には、前記突出体が前記凹部に挿入されるパレット目標位置が予め定められ、前記第2ユニットは、該パレット目標位置に前記パレットが配された状態で、前記パレット受け部材が前記後退位置に配されて、前記第1ユニットに接触する。
【0006】
第1の発明に係る搬送装置において、前記凹部及び前記突出体はそれぞれ複数あって、該各突出体は対応する該凹部に挿入されるのが好ましい。
【0007】
第1の発明に係る搬送装置において、前記パレット受け部材は水平配置され、前記各突出体は、該パレット受け部材を平面視して該パレット受け部材の進退方向の座標及び該進退方向に直交する方向の座標が異なる位置で、該パレット受け部材の上側に設けられているのが好ましい。
【0008】
第1の発明に係る搬送装置において、前記第1、第2ユニットはそれぞれ複数あって、該各第2ユニットは対応する該第1ユニットに接触するのが好ましい。
【0009】
第1の発明に係る搬送装置において、前記第2ユニットは、前記パレット目標位置に配された前記パレットに上から押されて降下する可動片を備え、前記第1ユニットは、降下した前記可動片に押し下げられる被押下げ片を有し、前記検出部は、前記被押下げ片が押し下げられたのを検知して、該被押下げ片に前記可動片が接触したのを検出するのが好ましい。
【0010】
第1の発明に係る搬送装置において、前記制御部は、前記パレットを載せた状態の前記パレット受け部材の前記後退位置からの前進を、前記検出部が前記第1、第2ユニットの接触を非検出の際に禁止し、該検出部が該第1、第2ユニットの接触を検出の際に許可するのが好ましい。
【0011】
前記目的に沿う第2の発明に係る搬送装置は、下側に突出体が形成されたパレットにワークを載せて搬送する搬送装置であって、ベース部材と、前記突出体が挿入可能な凹部が設けられ、前記ベース部材に対し進退して、後退位置から前記パレットが載置される前進位置への移動及び該前進位置から該後退位置への移動を行うパレット受け部材と、前記ベース部材に取り付けられた第1ユニット、前記パレット受け部材に取り付けられ、該第1ユニットに接触可能な第2ユニット、及び、該第1、第2ユニットの接触を検出する検出部を具備するセンサー機構と、前記パレット受け部材の移動を制御する制御部とを備え、前記パレット受け部材には、前記突出体が前記凹部に挿入されるパレット目標位置が予め定められ、前記第2ユニットは、該パレット目標位置に前記パレットが配された状態で、前記パレット受け部材が前記後退位置に配されて、前記第1ユニットに接触する。
【発明の効果】
【0012】
第1、第2の発明に係る搬送装置は、パレット目標位置にパレットが配された状態で、パレット受け部材が後退位置に配されて、パレット受け部材に取り付けられた第2ユニットがベース部材に取り付けられた第1ユニットに接触するので、パレットとパレット受け部材及びベース部材との位置関係を安定的に検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の一実施の形態に係る搬送装置のパレット受部材が前進位置に配された状態の多段フォーク機構の側面図及び平面図である。
図2】(A)、(B)はそれぞれ、同搬送装置のパレット受部材が後退位置に配された状態の多段フォーク機構の側面図及び平面図である。
図3】(A)、(B)はそれぞれ、同搬送装置に用いられるパレットの側面図及び平面図である。
図4】同搬送装置の制御部の接続を示すブロック図である。
図5】同搬送装置の第1、第2ユニットの説明図である。
図6】同搬送装置の第1、第2ユニットが接触した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1(A)、(B)、図2(A)、(B)に示すように、本発明の一実施の形態に係る搬送装置10は、ベース部材11、11aと、それぞれベース部材11、11aに対して進退し、パレットPが載置されるパレット受け部材12、12aとを備えて、パレットPにワークWを載せて搬送する装置である。以下、詳細に説明する。
【0015】
搬送装置10に載置されて搬送されるパレットPは、図2(A)、(B)、図3(A)、(B)に示すように、矩形の板状であり、上側にワークWが載せられ、下側に複数の凹部13pが形成されている。本実施の形態では、パレットPに凹部13pが2つあって、2つの凹部13pは、パレットPの対角位置にある2つの角部の近傍にそれぞれ形成されている。各凹部13pは、パレットPの下面に円形の開口を形成し、凹部13pの底に向かって縮径している。
【0016】
搬送装置10は、図1(A)、(B)、図2(A)、(B)に示す多段フォーク機構15、多段フォーク機構15が昇降可能に装着された支柱及び多段フォーク機構15に駆動力を与えて昇降する図4に示す駆動源17を具備し、パレットPに載せたワークWを所定の場所から所定の場所に搬送する。なお、支柱については図示を省略する。
多段フォーク機構15は、ベース部材11、11a、ベース部材11、11aにそれぞれ進退可能に連結された中間部材16、16a、中間部材16、16aにそれぞれ進退可能に連結されたパレット受け部材12、12aを有している。
そして、連結されたベース部材11、中間部材16、パレット受け部材12からなる搬送手段Aと、連結されたベース部材11a、中間部材16a、パレット受け部材12aからなる搬送手段A´は、パレット受け部材12とパレット受け部材12aの上に1つのパレットPが載置可能な間隔を有して、平行配置されており、同期して移動する。
【0017】
ベース部材11、11a、中間部材16、16a及びパレット受け部材12、12aは、図1(A)、(B)に示すように、前後に長い部材であり、それぞれ水平配置されている。本実施の形態では、ベース部材11、11aは断面が溝型を上下逆にした形状であり、中間部材16、16aは直方体状であり、パレット受け部材12、12aは断面が溝型形状であるが、これに限定されないのは言うまでもない。
【0018】
パレット受け部材12、12aの上面側には、上方に突出した突出体18、18aがそれぞれ設けられている。即ち、パレットPの複数の凹部13pにそれぞれ対応する突出体18、18aは合わせて複数(本実施の形態では2つ)存在する。突出体18、18aは、図1(B)に示すように、パレット受け部材12の後側及びパレット受け部材12aの前側に設けられている。従って、突出体18、18aは、パレット受け部材12、12aを平面視して、パレット受け部材12、12aの進退方向(前後方向)の座標及び進退方向に直交する方向(左右方向)の座標が異なる位置で、それぞれパレット受け部材12、12aの上側に設けられていると言える。
【0019】
突出体18、18a間の距離は、パレットPに設けられた2つの凹部13pの距離に等しく、突出体18、18aは、上端に向けて縮径している。突出体18、18aは、各凹部13pに挿入可能な形状であり、各凹部13pに挿入可能な位置に形成されている。
パレット受け部材12と中間部材16及びパレット受け部材12aと中間部材16aは、図1(A)、(B)、図2(A)、(B)に示すように、図示しない動力伝達機構を介して、図4に示す駆動源(本実施の形態ではモータ)19から動力を与えられ、それぞれベース部材11、11aに対して進退する。
【0020】
パレット受け部材12、12aはそれぞれ、ベース部材11、11aに対し水平に進退して、ベース部材11、11aの直上位置である図2(A)、(B)に示す後退位置L1からパレットPが載置される図1(A)、(B)に示す前進位置L2への移動及び前進位置L2から後退位置L1への移動を行う。
本実施の形態において、パレット受け部材12、12aは、後退位置L1から前進位置L2へ移動する方向とは反対方向にも移動可能であり、後退位置L1を基準にして前進位置L2とは反対側に、図示しない前進位置L3が存在する。多段フォーク機構15が装着された支柱は、左右方向に移動可能な図示しない走行部に連結され、多段フォーク機構15は、支柱及び走行部と共に左右方向に移動する。
【0021】
パレット受け部材12、12aは、後退位置L1から前進位置L2(又は前進位置L3)に移動して、ワークWが載せられたパレットPを搬送元で上面に載せ、後退位置L1に移動後、後退位置L1に配された状態で、支柱と共に左右に移動し、支柱に沿って上昇又は降下し、その後、後退位置L1から前進位置L2(又は前進位置L3)に移動して、ワークWを載せたパレットPを、搬送先に移送する。パレットPは、図2(B)に示すように、左側がパレット受け部材12に載せられ、右側がパレット受け部材12aに載せられる。
よって、パレットPはワークWと共に、前進位置L2、L3において、パレット受け部材12、12aに載置され、あるいは、パレット受け部材12、12aから降ろされる。
【0022】
パレット受け部材12、12aには、パレットPが載置されるべきパレット目標位置が予め定められている。パレット目標位置は、パレット受け部材12、12aに対する水平位置及び高さ位置によって決定される特定の3次元座標位置であり、本実施の形態では、突出体18、18aが2つの凹部13pにそれぞれ挿入された際のパレットPの位置がパレット目標位置である。搬送装置10は、パレットPがパレット目標位置に配されることで、パレットP及びパレットPに載せられたワークWを安定した状態で搬送することができる。
【0023】
また、ベース部材11には、図1(A)、(B)に示すように、右後側(ベース部材11aに対向して)に第1ユニット20が取り付けられ、ベース部材11aには、左前側(ベース部材11に対向して)に第1ユニット21が取り付けられている。パレット受け部材12には、右後側(パレット受け部材12aに対向して)に第2ユニット22が取り付けられ、パレット受け部材12aには、左前側(パレット受け部材12に対向して)に第2ユニット23が取り付けられている。
第1ユニット20、21及び第2ユニット22、23は、図2(A)、(B)に示すように、パレット受け部材12、12aが後退位置L1に配された状態で、平面視して、第2ユニット22、23が第1ユニット20、21にそれぞれ重なる位置に配されている。
【0024】
第1ユニット20(第1ユニット21についても同じ)は、図5図6に示すように、ベース部材11(第1ユニット21については、ベース部材11a)の側壁部に固定されたベース体24、ベース体24に支持された保持部材25及び保持部材25に昇降可能に装着された被押下げ片26を有している。被押下げ片26は、保持部材25に取り付けられ間隔を空けて設けられた鉛直方向に長い棒材27、27a及び棒材27、27aの間に配置され、棒材27、27aと共に昇降する円盤状の昇降部28を備えている。昇降部28は、棒材27、27aに回転自在に支持されている。
【0025】
第2ユニット22(第2ユニット23についても同じ)は、パレット受け部材12(第2ユニット23については、パレット受け部材12a)の側壁部に固定されたブラケット29及びブッシュブロック30と、ブッシュブロック30に昇降自在に取り付けられた鉛直方向に長い可動片31と、可動片31を上向きに付勢するスプリング32を有している。可動片31は、下側に第1ユニット20の昇降部28と接触するドグ33を備えている。
スプリング32は、スプリングカバー34によって覆われている。なお、図5図6では、スプリングカバー34の一部を省略して示している。
【0026】
パレットPは、前進位置L2、L3で、2つの凹部13pがそれぞれ突出体18、18aに挿入された状態でパレット受け部材12、12aに載ることで、図6に示すように、第2ユニット22、23の可動片31を上から押下して降下させる。即ち、第2ユニット22、23の可動片31は、パレット目標位置に配されたパレットPに上から押されて降下する。
【0027】
上述したように、各凹部13pは底に向かって縮径し、突出体18、18aは上端に向かって縮径している。そのため、パレットPは、パレット受け部材12、12aに載置される際に、平面視して、2つの凹部13pの軸心がそれぞれ突出体18、18aの軸心と一致していない状態であったとしても、一方の凹部13pの軸心と突出体18の軸心のずれ量及び他方の凹部13pの軸心と突出体18aの軸心のずれ量がそれぞれ所定範囲内であれば、突出体18、18aの全体が2つの凹部13pにそれぞれ挿入された状態となる。その結果、パレットPは、パレット目標位置に配される。
【0028】
そして、第2ユニット22、23の可動片31それぞれが降下した状態で、パレット受け部材12、12aが後退位置L1に配されることによって、パレットPに上から押されて降下した第2ユニット22、23の可動片31はそれぞれ、ドグ33が、第1ユニット20、21の昇降部28に上から接触して、被押下げ片26を押し下げる。即ち、第2ユニット22、23は、パレット目標位置にパレットPが配された状態で、対応する第1ユニット20、21に接触する。
【0029】
第2ユニット22のドグ33(第2ユニット23のドグ33についても同じ)には、図5図6に示すように、パレット受け部材12の進退方向の一側が下方に向かって、パレット受け部材12の進退方向他側に傾斜する傾斜部33aと、パレット受け部材12の進退方向の他側が下方に向かって、パレット受け部材12の進退方向一側に向かって傾斜する傾斜部33bが設けられている。また、第1ユニット20の昇降部28の回転軸(第1ユニット21の昇降部28の回転軸についても同じ)はパレット受け部材12の進退方向と直交する方向に沿って水平配置されている。
【0030】
降下状態の第2ユニット22、23のドグ33は、パレット受け部材12、12aが前進位置L2から後退位置L1に後退する際、傾斜部33bが第1ユニット20、21の昇降部28にそれぞれ接触し始め、パレット受け部材12、12aが前進位置L3から後退位置L1に後退する際、傾斜部33aが第1ユニット20、21の昇降部28にそれぞれ接触し始める。
よって、ドグ33が昇降部28に接触し始めてから、パレット受け部材12、12aが後退位置L1に配されるまでの間にドグ33と昇降部28に生じる摩擦力を低減することができる。
【0031】
第1ユニット20には、第1ユニット20の昇降部28と第2ユニット22のドグ33の接触を検出する図4に示す検出部36が、第1ユニット21には、第1ユニット21の昇降部28と第2ユニット23のドグ33の接触を検出する図4に示す検出部37が、それぞれ接続されている。
検出部36は、第1ユニット20の被押下げ片26が、鉛直方向に押下げられるのを検知して、第1ユニット20の昇降部28と第2ユニット22のドグ33の接触を検出し、検出部37は、第1ユニット21の被押下げ片26が、鉛直方向に押下げられるのを検知して、第1ユニット21の昇降部28と第2ユニット23のドグ33の接触を検出する。
【0032】
検出部36、37は、図4に示すように、駆動源19に指令信号を送信して、パレット受け部材12、12aの移動をそれぞれ制御する制御部38に接続されている。制御部38は、駆動源19に指令信号を送信して、多段フォーク機構15を支柱に沿って昇降させることもできる。制御部38は、例えば、ROMによって構成することができる。
本実施の形態では、第1ユニット20、21、第2ユニット22、23及び検出部36、37を備えたセンサー機構が採用されている。
【0033】
制御部38は、外部からの入力により、パレット受け部材12、12aにパレットPが載せられているか否かの状態を検出可能であり、検出部36、37が、第1ユニット20の昇降部28と第2ユニット22のドグ33の接触及び第1ユニット21の昇降部28と第2ユニット23のドグ33の接触をそれぞれ検出することによって、パレットPがパレット目標位置に配されていることを検知する。よって、制御部38は、パレット受け部材12、12aが後退位置L1に配された際に、パレットPがパレット目標位置に配置されているか否かを検出する。
【0034】
このように、パレットPがパレット目標位置に配置されているか否かの検出を、第1、第2ユニット20、22(第1、第2ユニット21、23)の2つのユニットによって行うようにした設計は、1つのユニットで該当の検出を行うようにする設計に比べ、各ユニットのコンパクト化が可能であり、ユニットの設置位置の自由度が大きい。
そして、制御部38は、パレットPを載せた状態のパレット受け部材12、12aの後退位置L1から前進位置L2、L3への前進を、検出部36が第1ユニット20と第2ユニット22の接触を非検出の際又は検出部37が第1ユニット21と第2ユニット23の接触を非検出の際に禁止して、アラーム音を発する。
【0035】
一方、制御部38は、検出部36、37が第1ユニット20と第2ユニット22の接触及び第1ユニット21と第2ユニット23の接触をそれぞれ検出している際に、パレットPを載せた状態のパレット受け部12、12aの後退位置L1から前進位置L2、L3への前進を許可する。
従って、パレットPがパレット目標位置に配されていない状態で、パレット受け部材12、12aが後退位置L1から前進位置L2、L3に移動するのを回避することができる。
【0036】
また、パレット受け部材12、12aが、ワークWを載せたパレットPを、前進位置L2、L3で取得した後、速度S1、加速時の加速度Q1で、後退位置L1まで移動し、制御部38が、パレットPがパレット目標位置に配置されていることを検知する。そして、多段フォーク15は、走行車による左右方向の移動及び支柱に沿った昇降動作によって、速度S2、加速時の加速度Q2で、指定された位置まで移動する。その後、パレット受け部材12、12aは、後退位置L1から前進位置L2、L3まで、速度S3、加速時の加速度Q3で移動して、ワークWを載せたパレットPを搬送先に移送する。本実施の形態では、加速度Q1=加速度Q3<加速度Q2であり、速度S1=速度S3<速度S2である。なお、加速度Q1<加速度Q2、Q3、速度S1<速度S2、S3であってもよい。
【0037】
よって、ワークWを載せたパレットPを搬送する際、パレットPがパレット目標位置に配置されていることを検知されるまでに移動するパレットPの移動距離、速度、加速度の各値は、パレットPがパレット目標位置に配置されていることを検知されてから移動するパレットPの移動距離、速度、加速度の各値よりそれぞれ小さい。そのため、ワークWを載せたパレットPを、安定した状態で搬送することができる。
【0038】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、パレット受け部材の上側に突出体の代わりに凹部を設けることも可能である。但し、凹部を設けたパレット受け部材を採用する場合、その凹部に挿入される突出体が下側に形成されたパレットを用いる必要がある。
また、パレットは、パレット目標位置に配されて、張出し部で第2ユニットを押下して、第2ユニットを第1ユニットに接触させるものであってもよく、平面視して矩形状である必要はなく(円形状、多角形状等でもよい)、凹部は1つであってもよいし3つ以上であってもよい。パレットの凹部が1つあるいは3つ以上の場合、パレット受け部材には、凹部と同数の突出体を設ければよい。
【0039】
そして、第1、第2ユニットを1組のみ設けるようにしてもよい。但し、凹部及び突出体がそれぞれ1つの場合や、第1、第2ユニットが1組のみの場合、パレットがパレット目標位置に配されていない状態でも、第2ユニットを第1ユニットに接触させる可能性が大きくなる。従って、パレットが確実にパレット目標位置に配されていることを検出する観点においては、複数組みの凹部及び突出体を設けるのが好ましく、第1、第2ユニットを複数組設けるのが好ましい。
【0040】
更に、複数組の凹部及び突出体を設ける場合でも、パレットが確実にパレット目標位置に配されていることを検出するには、水平配置されたパレット受け部材において、平面視して、突出体のパレット受け部材の進退方向及び進退方向に直交する方向位置をそれぞれ異なるようにするのが好ましく、この点、複数組の第1、第2ユニットを設ける場合も同様のことが言える。
また、第1ユニットと第2ユニットの接触を検出する検出部は、第1ユニットではなく、第2ユニットに設けてもよい。但し、検出部には、検出部と制御部等を接続する信号ケーブルが連結されるため、ベース部材に取り付けた第1ユニットに検出部を設ける場合、移動するパレット受け部材に取り付けた第2ユニットに検出部を設けるのに比べ、信号ケーブルの断線を安定的に回避することが可能であり、配線の設計を簡素にすることができる。
本実施の形態においては、対となるベース部材11、11a、対となる中間部材16、16a、対となるパレット受け部材12、12aを有して、即ち、平行配置された搬送手段A(連結されたベース部材11、中間部材16、パレット受け部材12)と搬送手段A´(連結されたベース部材11a、中間部材16a、パレット受け部材12a)によって、搬送装置を構成したが、連結された1つのベース部材、1つの中間部材、1つのパレット受け部材によって、搬送装置を構成することもできる。
【符号の説明】
【0041】
10:搬送装置、11、11a:ベース部材、12、12a:パレット受け部材、13p:凹部、15:多段フォーク機構、16、16a:中間部材、17:駆動源、18、18a:突出体、19:駆動源、20、21:第1ユニット、22、23:第2ユニット、24:ベース体、25:保持部材、26:被押下げ片、27、27a:棒材、28:昇降部、29:ブラケット、30:ブッシュブロック、31:可動片、32:スプリング、33:ドグ、33a、33b:傾斜部、34:スプリングカバー、36、37:検出部、38:制御部、P:パレット、W:ワーク、L1:後退位置、L2:前進位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6