特許第6581087号(P6581087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6581087-診療履歴セクションの反復的構成 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581087
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】診療履歴セクションの反復的構成
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20190912BHJP
【FI】
   G16H10/60
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-533586(P2016-533586)
(86)(22)【出願日】2014年11月4日
(65)【公表番号】特表2016-537731(P2016-537731A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】IB2014065778
(87)【国際公開番号】WO2015079346
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2017年11月2日
(31)【優先権主張番号】61/908,894
(32)【優先日】2013年11月26日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】セヴェンステル,メルレイン
(72)【発明者】
【氏名】チァン,ユエチェン
【審査官】 上田 威
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0274584(US,A1)
【文献】 特開2007−122679(JP,A)
【文献】 米国特許第08290958(US,B2)
【文献】 特開2012−094127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 − 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在の診察のため患者の診療履歴を生成するシステムであって、
一以上の診療文書を含む診療情報データベースであって、各診療文書は患者ごとの情報アイテムのリストを含む、診療情報データベースと、
前記診療情報データベースに診療データを問い合わせる診療情報クローラエンジンであって、前記診療データは一以上の情報アイテムを含む、診療情報クローラエンジンと、
前記診療データをユーザに表示する診療履歴構成インタフェースと、
ユーザにより前記診療履歴構成インタフェースで選択された診療データ中の情報アイテムを連結し、フリーテキストレンダリングを生成するナレーティブ構成エンジンであって、前記フリーテキストレンダリングは診療レポートの患者診療履歴に挿入される、ナレーティブ構成エンジンとを有し、
患者診療履歴に含める情報アイテムとその日付情報とを検出する関連性エンジンであって、
先行する診療文書の属性を格納するメモリと、
現在の診療レポートから情報を抽出するプロセッサと、
直近の先行する診療文書を現在の診療レポートと比較する関連性チェックプロセッサであって、属性がマッチしなければ、別の診療文書が比較される、関連性チェックプロセッサと
を有する関連性エンジンをさらに有し、
前記診療履歴構成インタフェースは、先行する診療履歴の一以上の情報アイテム、及び/又は前記診療情報クローラエンジンにより特定された一以上の情報アイテムのうち少なくとも一方を表示し、
ユーザは、前記診療履歴構成インタフェースにおいて一以上の情報アイテムを操作して、前記現在の診察のための患者診療履歴を構成することを特徴とする、
システム。
【請求項2】
前記診療情報クローラエンジンは、前記情報アイテムの日付が、関連する直近の先行する診察と、現在の診察との間にわたる時間内にあるか検出する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
患者診療履歴を構成する情報アイテムは前記診療情報データベースにおいてフラグを付される、
請求項に記載のシステム。
【請求項4】
診療文書を解析する解析エンジンであって、
自然言語情報を格納するメモリと、
前記診療情報データベースに格納された診療文書から前記診療情報クローラエンジンにより特定された情報アイテムを受け取るプロセッサと、
前記プロセッサにおける情報アイテムをメモリに格納された情報と比較するプロセッサと、
解析された診療情報を前記患者診療履歴に送る通信ユニットとを含む
解析エンジンをさらに有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記解析エンジンはセクション、段落、及び文を認識する、
請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記患者診療履歴に含めるため、前記診療情報データベースの診療データ中のフレーズをフィルタするフィルタリングエンジンであって、
キーワードのリストを格納するメモリと、
診療レポートから情報アイテムを抽出するプロセッサと、
抽出された情報アイテムをキーワードのリストと比較するフィルタであって、抽出されマッチする情報アイテムが患者診療履歴に含まれる、フィルタと
を有するフィルタリングエンジンをさらに有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記フィルタリングエンジンのフィルタは、前記ナレーティブ構成エンジンにより生成されたフリーテキストレンダリングから概念を抽出し、抽出した概念を、フラグを付された概念のリストとマッチングし、フラグを付されマッチした概念が患者診療履歴に含められる、
請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記フィルタリングエンジンのフィルタは、前記ナレーティブ構成エンジンにより生成されたフリーテキストレンダリングから概念を抽出し、抽出した概念を、関連しフラグを付された概念のリストと比較し、抽出されマッチした概念が、関連するとしてフラグを付され、患者診療履歴に含められる、
請求項に記載のシステム。
【請求項9】
患者診療履歴を生成する方法であって、
一以上の診療文書を含む診療情報データベースに問い合わせるステップであって、各診療文書は患者ごとの情報アイテムのリストを含む、ステップと、
診療履歴構成インタフェースを介してユーザに患者ごとの情報アイテムを表示するステップと、
診療履歴構成インタフェースにおいてユーザに選択された情報アイテムを連結するステップと、
選択された情報アイテムのフリーテキストレンダリングを生成し、診療レポートの患者診療履歴に挿入するステップとを有し、
患者診療履歴に含める情報アイテムとその日付情報とを検出する関連性ステップをさらに含み、前記関連性ステップは、
現在の診療レポートから情報を抽出するステップと、
属性がメモリに格納されている直近の先行する診療文書を、現在の診療レポートと比較するステップであって、属性がマッチしなければ、別の診療文書が比較される、ステップとを含み、
前記情報アイテムの日付が、関連する直近の先行する診察と、現在の診察との間にわたる時間内にあるか検出するステップをさらに含む、
ユーザは、前記診療履歴構成インタフェースにおいて一以上の情報アイテムを操作して、前記現在の診察のための患者診療履歴を構成する、
方法。
【請求項10】
先行する診療履歴からの一以上の情報アイテムと、前記問い合わせるステップで特定された一以上の情報アイテムとのうち少なくとも一方を表示するステップをさらに含む、
請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は概して診療履歴の反復的構成に関する。後でフリーテキストとしてレンダリングでき、放射線科レポートに挿入でき、それを参照して説明がなされる診療履歴セクションを、ユーザが直感的に生成できる情報アイテムのユーザへの提示に関して応用できる。しかし、言うまでもなく、その他の使用例にも応用でき、必ずしも上記の応用例に限定されない。
【背景技術】
【0002】
他の医療専門家と同様、放射線科はその患者の診療履歴に関する最新の詳細なファイルを保持しなければならない。そうするには、放射線科医は、患者の現在と以前の健康状態及び検査理由を反映する診療履歴セクションを各レポートに記載する。診療履歴セクションの記載は労働集約的であり、それゆえ時間がかかる。放射線科医は複数の情報源からの情報を1つの理路整然とした情報にまとめる必要があり、他の医療専門家と同様に放射線科医はしばしば、一人の患者につき得られる増え続ける情報量に圧倒され、ときどき、診療履歴セクションを書く努力をしないことがある。しかし、各患者の来院と検査結果の詳細な情報を記載しないと、放射線科医による患者の状態の理解に悪い影響があることが分かっており、それゆえ放射線科医による画像の解釈の価値が低下する。
特許文献1は、医療レポートを処理するシステムであってネットワークを含むものを開示している。このシステムは複数のEMRシステムを含む。各EMRシステムはEMRデータベースとEMR処理ユニットとを有する。少なくとも1つのEMRシステムの処理ユニットは患者のテキストレポートを生成する。各EMRシステムは、他の各EMRシステムとは離れており、ネットワークを通じて互いに通信する。このシステムは、コントローラデータベースを有するコントローラと、コントローラ処理ユニットであって、複数のEMRシステムから患者のテキストレポートを自動的に収集する、または少なくとも1つのEMRシステムのEMRデータベース中のデータから患者のテキストレポートを生成するコントローラ処理ユニットとを含む。コントローラは、コントローラデータベースと、各レポートができたEMRデータベースとの間の、各レポートのリンクを維持する。医療レポートを処理する方法は、複数のEMRシステムの少なくとも1つのEMRシステムの処理ユニットで、患者のテキストレポートを生成するステップを含む。各EMRシステムは、他の各EMRシステムとは離れており、ネットワークを通じて互いに通信する。コントローラのコントローラ処理ユニットで、複数のEMRシステムから患者のテキストレポートを自動的に収集する、または少なくとも1つのEMRシステムのEMRデータベース中のデータから患者のテキストレポートを生成するステップがある。コントローラは、コントローラデータベースと、各レポートが作られるEMRデータベースとの間の、各レポートのリンクを維持する。
特許文献2は、外部ソースから関連データを探し、そのデータの一部または全部を文書に整理及び組み込むメカニズムを提供することにより、文書の生成または修正を容易にするシステムと方法を開示している。データを再利用する方法では、問い合わせし得る一組の文書があり、各文書は複数のセクションに分かれていてもよい。一組の文書に基づいて複数のセクションテキスト群が形成されてもよい。各セクションテキスト群は、複数のセクションのうちそれぞれのセクションに関連し、各セクション群は複数のアイテムを含む。各アイテムは、一組の文書の各文書のうちのそれぞれのセクションに関連してもよい。選択されたセクションテキスト群中の選択されたアイテムはフォーカスされていてもよい。選択されたアイテムは現在の文書に抽出されてもよい。現在の文書はホストアプリケーションにエクスポートされてもよい。
特許文献3は、画像解釈支援システムを開示している。このシステムは、予後観察を目的として、検査に関する過去の画像解釈結果を容易に把握できる。このシステムは、過去のレポートのそれぞれに関連して過去のレポート間の差分情報を集積するレポートデータベースを格納するサーバと、それに接続された画像解釈レポート生成装置とを有する。この装置は、この検査が予後観察を目的とするものでるか否か判断する予後観察検査決定ユニットと、画像解釈レポート生成画面を生成し、その画面に情報を入力することにより、この時に画像解釈レポートを生成するレポート所見制御ユニットと、変化部分を抽出して差分情報を生成する変化部分抽出ユニットと、レポートデータベースに、その時点におけるレポートと過去のレポートとの関する差分情報を格納するレポート保存ユニットとを含む。
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0274584A1号明細書
【特許文献2】米国特許第8,290,958B2号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0083396A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本出願は、上記の問題等を解消する、新しい改良された方法とシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、請求項1に規定したように、現在の診察のため患者診療履歴を生成するシステムが提供される
【0005】
他の一態様によると、請求項11に規定したように、患者診療履歴を生成する方法が提供される
【0007】
一利点として、患者の詳細な診療履歴を生成するために放射線科医やその他の医療専門家が費やす時間が短くなる。
【0008】
他の一利点として、診療履歴レポートに含まれる情報を追加、削除、または移動することが可能となる。
【0009】
他の一利点として、以前の関連する検査及び関連しない検査からの情報に基づき各患者の、関連する詳細な診療履歴レポートが生成される。
【0010】
他の一利点として、診療ワークフローが改善される。
【0011】
他の一利点として、患者のケアが改善される。
【0012】
本発明のさらに別の利点は、以下の詳細な説明を読んで理解すれば当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明は、様々なコンポーネントとその構成、及び様々なステップとその構成の形を取る。図面は好ましい実施形態を例示することのみを目的とし、本発明を限定するものと解してはならない。
図1】本願の態様による医療機関のITインフラストラクチャを示すブロック図である。
図2】本願の態様による診療履歴の反復的構成方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願は、フリーテキストとしてレンダリングし診療文書に挿入できる診療履歴セクションをユーザが直感的に生成できる診療情報アイテムをそのユーザに提示するシステムと方法に関する。本願は、最近の先行診療文書は現在研究されている診療履歴に対して有用な基礎となるとの洞察により動機付けられたものである。具体的に、現在の診療履歴は、直近の先行診療文書以降、生成されたリソース中にある情報で増補されるだけでよい。本願は、異なる情報システムをブラウズする時間を節約し、複数の情報アイテムを理路整然として分かりやすい診療履歴セクションにまとめることにより、放射線科医を支援する。
【0015】
本願は、直近の先行診療文書の診療履歴セクションはその時点までの患者の健康状態を要約するものであるとの基本的考え方に基づく。現在の検査の診療文書の診療履歴セクションは、直近の先行する検査と、現在の検査との間の時間に得られた情報で場合によっては増補された、直近の先行する診療文書から、診療履歴セクションをコピーできる。本願はこの洞察を用いて、ユーザに、得られた先行診療履歴セクションその他の情報源から関連情報アイテムを選択させるものである。例えば、患者の乳ガンのリスクが高い場合、この情報は、例えば「乳ガンの家族歴」などとして、その患者の直近の乳ガン検診MRI検査に表示されているだろう。患者の肺炎を調べるX線を受けるとき、この情報は放射線科医が診療履歴セクションを記載する時には、(放射線科医が直近の先行するMRIを開かないかぎり(関係のない検査なので、そうすることはないだろう))その放射線科医には得られないだろう。本願は、ユーザに、X線検査の診療履歴セクションに組み込むか選択できる「乳ガンの家族歴」という文字列を含む情報アイテムを提供する。
【0016】
図1を参照するに、ブロック図は病院などの医療機関のITインフラストラクチャ10の一実施形態を示す。ITインフラストラクチャ10は好適に、診療情報システム12、診療支援システム14、診療インタフェースシステム16などを含み、これらは通信ネットワーク20を介して相互接続されている。通信ネットワーク20は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、無線ネットワーク、有線ネットワーク、セルラーネットワーク、データバスなどのうち一以上を含み得る。言うまでもなく、ITインフラストラクチャのコンポーネントは中心ロケーションまたは複数のリモートロケーションに配置されている。
【0017】
診療情報システム12は、診療文書を格納しており、これには放射線科レポート、病理学レポート、ラボレポート、ラボ/画像レポート、電子カルテ、EMRデータ、診療情報データベース22中の同様の情報などが含まれる。診療文書は患者などのエンティティに関する診療データを含む文書を含んでいてもよい。直近の診療文書の診療履歴セクションは、ソーティング及び連結されたこの情報アイテムのリストから構成されている。しかし、情報アイテムのリストは、診療履歴セクションを構成するのに必須なアイテム(場合によっては、メタデータのタグが付されている)より多いアイテムを含んでいてもよい。診療文書の一部はフリーテキスト文書であってもよく、その他の文書は構造化文書であってもよい。かかる構造化文書は、ユーザが電子フォームに記入することにより提供したデータに基づいて、コンピュータプログラムにより生成される文書であってもよい。例えば、構造化文書はXML文書であってもよい。構造化文書はフリーテキスト部分を含んでいてもよい。かかるフリーテキスト部分は、構造化文書中に埋め込まれたフリーテキスト文書であると考えてもよい。結果として、構造化文書のフリーテキスト部分は、システムによりフリーテキスト文書として処理されてもよい。各診療文書は情報アイテムのリストを含む。情報アイテムのリストは、フレーズ、文、段落、単語など、フリーテキストのストリングを含む。診療文書の情報アイテムは、自動的及び/又はマニュアルで生成できる。例えば、さまざまな診療システムは、以前の診療文書、口述(dictation of speech)などから情報アイテムを自動的に生成する。後者について、ユーザ入力デバイス24を利用できる。いくつかの実施形態では、診療情報システム12は、ユーザに、情報アイテムのマニュアル入力及び/又は診療文書の表示をするユーザインタフェースを提供するディスプレイデバイス26を含む。一実施形態では、診療文書は診療情報データベース22にローカルに格納されている。他の一実施形態では、診療文書は診療情報データベース22に全国レベルでまたは地方レベルで格納されている。患者情報システムの例には、限定ではないが、電子カルテシステム、診療システムなどを含む。
【0018】
診療支援システム14は、ユーザを支援して、ユーザが診療履歴を直感的に生成できる情報アイテムをユーザに提供する。診療履歴はその後フリーテキストとしてレンダリングでき、放射線科レポートなどに挿入できる。具体的に、診療支援システム14は、診療情報システム12に、直近の先行診療文書の日付と、現在の業務(current study)の日付との間に利用可能となった情報アイテム中の診療データを問い合わせる。診療支援システム14はさらに、診療文書を解析して、診療履歴の生成に潜在的に関係する文/段落中のフレーズを検出する。診療支援システム14は追加的に、ある患者に関するすべての診療情報アイテムがユーザに提示されるユーザインタフェースを生成する。ユーザにより選択された診療情報アイテムが利用され、診療履歴のフリーテキストのレンダリングが生成される。診療支援システム14は、情報アイテムを表示する、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、発光ダイオードディスプレイなどのディスプレイ44と、診療医が提供された情報アイテムを入力及び/又は修正するキーボードやマウスなどのユーザ入力デバイス46とを含む。
【0019】
具体的に、診療支援システム14は、診療情報システム12に、直近の先行診療文書の日付と、現在の業務(current study)の日付との間に利用可能となった診療データに含まれる情報アイテムを問い合わせる。診療情報クローリングエンジン(crawling engine)30は、また、関連する診療データが格納されている診療情報システム12から情報アイテムを読み出す。標準的なアプリケーションプログラミングインタフェース手法を用いて、診療情報クローリングエンジン30は、患者識別子(patient−specific identifiers)(MRN)を利用して診療情報システム12に問い合わせる。上記の通り、診療情報システム12は、さまざまなタイプの日付入り情報を含む。例えば、放射線科レポート、病理学レポート、ラボレポート、術後レポート、撮像/テスト指示を含み、その他のタイプの日付入り情報であって、(必ずではないが)アレルギー、問題リスト、投薬リスト、及び研究理由などの法的レポートの形式の文書に格納されたものを含む。診療情報クローリングエンジン30はさらに、情報の日付が直近の先行診療文書と、現在の研究との間にわたる時間内であるか検出する。
【0020】
診療支援システムは、また、診療文書を解析する診療情報解析エンジン32も含む。具体的には、診療情報解析エンジン32は、診療文書を処理して、診療文書中の情報アイテムを検出し、発見した関連事項の所定リストを検出する。これを実現するため、診療情報解析エンジン32は、診療文書を、節、段落、文、単語などを含む複数の情報アイテムにセグメント化する。一般的に、診療文書は、プロトコル情報を含みタイムスタンプされたヘッダ、及び診療履歴、手法、比較、所見(findings)、印象のセクションヘッダなどを含む。セクションの内容は、所定のセクションヘッダのリストと、テキストマッチング手法とを用いて、容易に検出できる。 代替的に、MedLEEなどサードパーティのソフトウェアを持ちうることができる。例えば、所定アイテムのリストが与えられると、ストリングマッチング手法を用いて、与えられた情報アイテム中にそのアイテムがあるか検出できる。ストリングマッチング手法はさらに、形態学的及び語彙的変形及び情報アイテムにわたり分散した用語を考慮するように改良できる。所定の用語リストがオントロジーIDを含む場合、概念抽出法を用いて、情報アイテムから概念を抽出できる。このIDは、SNOMEDやRadLexなどのバックグラウンドオントロジー中の概念を指している。概念抽出の場合、MetaMapなどサードパーティのソリューションをレバレッジできる。さらに、自然言語処理手法が本技術分野で知られている。テンプレートマッチング、及びオントロジーで定義されている概念インスタンスの識別情報、及び概念インスタンス間の関係などの手法を用いて、セマンティック概念のインスタンスのネットワーク及びフリーテキストにより表されるその関係を構築することができる。
【0021】
診療支援システム14の診療情報フィルタエンジン34は、情報アイテム中のフレーズのうち診療履歴の生成に潜在的に関係するものを検出する。診療情報フィルタエンジン34は、文、フレーズ、または段落など情報アイテム中の関連情報を検出する。一実施形態では、診療情報フィルタエンジン34は、所定リスト中のキーワードが、語彙的変形も考慮して情報アイテム中にあるかチェックする。他の一実施形態では、診療情報フィルタエンジン34は、情報アイテムから診療概念を抽出し、抽出した診療概念をリストされたフラグされた概念とマッチングする。さらに他の一実施形態では、診療情報フィルタエンジン34は、まず診療概念を抽出し、次に、抽出された診療概念のどれかがリストに挙げられたフラグされた概念の一つと何らかの関係があるかチェックする。このように、診療情報フィルタエンジン34は、癌に関するすべての概念が重要であり、これから転じて、癌に関する用語を含むすべての情報に、関連診療情報アイテムとしてフラグを付すべきことを指定する。
【0022】
診療支援システム14は、また、直近の先行診療文書の、現在の診療研究に対する関連性(relevance)をチェックするレポート関連性検出エンジン36を含む。レポート関連性検出エンジン36は、これを実現するのに、直近の先行診療文書のDICOM BodyPart and/Modality属性を、現在の研究とマッチングする。さらにまた、マッチングは、現在の研究に対し直近の先行診療文書のDICOM研究記述/コード属性を利用して行える。言うまでもなく、病院は、コードを使って、スクリーニング、オンコロジーケースなど、研究の記述が検査中の特殊な人体構造を含み得る研究にラベルを付す。直近の診療文書が現在の研究に関連する場合、レポート関連性検出エンジン36はそれ以上のアクションは行わない。さもなければ、レポート関連性検出エンジン36は、関連する診療文書がもしあれば見つかるまで、患者の他の以前の診療文書を処理する。直近の診療文書が現在の研究に関連しない場合には、レポート関連性検出エンジン36は、直近の関連する先行診療文書を読み出す。他の一実施形態では、レポート関連性検出エンジン36は、どの先行診療文書が関連する直近の先行する診察と見なすか判断する。例えば、レポート関連性検出エンジン36は、日付、モダリティ、アナトミー、その他の診療文書に関連するメタデータを分析して、関連する直近の先行診察を判断する。
【0023】
診療支援システムは、また、診療履歴構成インタフェースエンジン40を含む。診療履歴構成インタフェースエンジン40は、一人の患者に対応する関連診療情報アイテムがユーザに提示されるユーザインタフェースを生成する。表示される情報アイテムは、直近の診療文書中の先行する診療履歴セクション中の情報アイテム、及び診療情報クローラエンジン30により読み出される情報アイテムを含む。診療履歴構成インタフェースエンジン40により生成されるユーザインタフェースにより、ユーザは、現在の研究のため診療履歴を構成する目的で、情報アイテムを選択及び/又は操作できる。ユーザにより選択及び/又は操作され診療履歴セクションに入れられた情報アイテムは、診療情報システム12に格納され、フラグを付される。診療履歴構成インタフェースエンジン40は、また、可視化手法を利用して、情報アイテムのソースがユーザにより識別され得るようにする。例えば、診療履歴構成インタフェースエンジン40は、直近の先行する診療文書の診療履歴セクションに情報アイテムが現れたとき、黒い色を使う;診療履歴構成インタフェースエンジン40は、情報アイテムがその後病理学レポートに現れたとき、赤い色を使う;診療履歴構成インタフェースエンジン40は、情報アイテムが現在の診察の診察理由に現れたとき、緑色を使う;診療履歴構成インタフェースエンジン40は、情報アイテムが先行する診療文書に現れたとき、茶色を使う;以下同様。言うまでもなく、診療履歴構成インタフェースエンジン40は、複数のウィンドウまたはペイン(panes)に情報アイテムを提供する。このように、直近の診療履歴セクションに現れた情報アイテムは、「抑制」とフラグを付された、または放射線科/病理学/ラボなどから診療情報フィルタエンジン34により抽出された情報アイテムから分離され得る。診療履歴構成インタフェースエンジン40により生成されたユーザインタフェースにより、内容を操作するさまざまな方法が可能となる。例えば、生成されたユーザインタフェースにより、ユーザは、ドラッグアンドドロップにより、情報アイテムの順序を変更できる。また、ユーザインタフェースにより、ユーザは、情報アイテムを、またはその近くに現れるボタンをクリックすることにより情報アイテムを抑制できる。ユーザインタフェースにより、さらに、ユーザは、情報アイテムを二度クリックすることにより、その情報アイテムを削除できる。また、生成されたユーザインタフェースにより、ユーザは、新しい情報アイテムを生成でき、情報アイテムをあるペインから他のペインにドラッグできる。
【0024】
診療支援システム14は、さらに、診療履歴構成インタフェースエンジン40によりユーザにより選択され注文された情報アイテムを受け取り、現在の診療履歴セクションのためのフリーテキストレンダリング(free−text rendering)を生成するナレーティブ構成エンジン38を含む。このフリーテキストナレーティブ(free−text narrative)は、現在の診療文書の診療履歴セクションに挿入できる。ある場合には、ヘッダまたは日付を挿入すると有用である。このように、ナレーティブ構成エンジン38は、ヘッダ:「(01/02/2013付け)最近の診療文書から:・・・」を挿入する。ここで、「・・・」は直近の先行する診療文書以来記載された診療文書から抽出された情報アイテムを含む。ナレーティブ構成エンジン38は、各ユーザがマイナーチェンジやパーソナライズできるカスタマイズ可能なスタイルシートを用いてもよい。
【0025】
診療インタフェースシステム16は、ユーザが診療履歴セクションを直感的に生成できる情報アイテムをユーザに提供するユーザインタフェースを生成し提供する。診療履歴セクションはその後フリーテキストとしてレンダリングでき、診療文書に挿入できる。診療インタフェースシステム16は、ユーザインタフェースを受け取り、ディスプレイ48に、介護士に対してそのビューを表示する。また、診療インタフェースシステム16は、診療医がユーザインタフェースビューを入力及び/又は修正する、タッチスクリーンまたはキーボードとマウスなどのユーザ入力デバイス50を含む。介護士インタフェースシステムの例には、限定ではないが、パーソナルデータアシスタント(PDA)、セルラースマートフォン、パーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0026】
ITインフラストラクチャ10のコンポーネントは、好適にも、上記の機能を実施するコンピュータ実行可能指令を実行するプロセッサ60を含む。コンピュータ実行可能指令は、プロセッサ60に付随するメモリ62に格納される。しかし、少なくとも上記の機能の一部は、プロセッサを使わずに、ハードウェアで実装できる。例えば、アナログ回路を利用できる。さらに、ITインフラストラクチャ10のコンポーネントは、通信ネットワーク20により通信するインタフェースをプロセッサ60に提供する通信ユニット64を含む。さらに、ITインフラストラクチャ10の上記のコンポーネントは、離散したものとして説明したが、言うまでもなく、これらのコンポーネントは結合することもできる。
【0027】
図2を参照して、診療履歴の反復的構成方法を示すフロー図100を示す。図中の各ブロックは論理的順序で順次的に説明されているが、システムは説明する情報をどんな順序や構成で処理してもよい。ステップ102において、一以上の診療文書を含む診療情報データベースに問い合わせ(query)をする。各診療文書は、患者ごとの情報アイテムのリストを含む。ステップ104において、ある患者の情報アイテムが、診療履歴構成インタフェースを介して、ユーザに表示される。ステップ106において、診療履歴構成インタフェースにおいてユーザにより選択された情報アイテムが連結される。ステップ108において、選択された情報アイテムのフリーテキストレンダリングが生成され、診療レポートの患者診療履歴に挿入される。
【0028】
ここで、メモリには、一または複数の非一時的コンピュータ読み取り可能媒体;磁気ディスクその他の磁気記憶媒体;光ディスクその他の光学的記憶媒体;ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、その他の電子的メモリデバイスまたはチップまたは動作可能に相互接続された一組のチップ;記憶された命令をインターネット/イントラネットまたはローカルエリアネットワークを介して読み出し得るインターネット/イントラネットサーバ;などを含む。さらに、ここで、プロセッサは、プロセッサ、マイクロコントローラ、グラフィック処理ユニット(GPU)、特定用途集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、パーソナルデータアシスタント(PDA)、セルラースマートフォン、モバイルウォッチ、コンピューティングメガネ、及び同様の装着型、埋込型、または可搬型モバイルギアなどを含む;ユーザ入力装置は、マウス、キーボード、タッチスクリーンディスプレイ、一または複数のボタン、一または複数のスイッチ、一または複数のトグルなどのうち一または複数を含み;ディスプレイ装置はLCDディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、タッチスクリーンディスプレイなどのうち一または複数を含む。
【0029】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明した。前述の詳細な説明を読んで理解すれば、修正と変更に想到することができる。本発明は、添付した請求項とその均等の範囲内に入るこのような修正案及び代替案をすべて含むものと解釈しなければならない。
図1
図2