特許第6581092号(P6581092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6581092-自動車のテールゲート用のスポイラー 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581092
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】自動車のテールゲート用のスポイラー
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20190912BHJP
【FI】
   B62D37/02 F
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-539620(P2016-539620)
(86)(22)【出願日】2014年9月5日
(65)【公表番号】特表2016-532598(P2016-532598A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】FR2014052204
(87)【国際公開番号】WO2015033077
(87)【国際公開日】20150312
【審査請求日】2017年4月11日
(31)【優先権主張番号】1358659
(32)【優先日】2013年9月9日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504037391
【氏名又は名称】コンパニ・プラステイツク・オムニウム
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】ドマンジュ ジャン−イヴ
(72)【発明者】
【氏名】クドロン フィリッペ
(72)【発明者】
【氏名】アッシュ ベトラン
(72)【発明者】
【氏名】ストラス マーティン
(72)【発明者】
【氏名】コウタンソー サミュエル
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−370626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 37/02
B60Q 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のテールゲート用のスポイラーであって、スポイラーは、
‐スポイラーに外観を提供し、車両の後方に向かって突き出て延びる、カスタムスキンと、
‐カスタムスキンの補強要素であって、カスタムスキンに固定され、テールゲートに取り付けられたら中空体を構成するよう適合され、テールゲートへの固定手段を備え、機械用品を受け入れることができる車両の後方に向かう少なくとも1つのくぼみを備える、補強要素と、
を備え、
補強要素は、カスタムスキン自体の少なくとも1つの相補的な凸状の形と協働する少なくとも1つの凹状の形を備え、前記形状は、カスタムスキンを補強要素に導いて位置づけて固定するのに適し、前記機械用品は、ブレーキランプである、スポイラー。
【請求項2】
請求項1に記載のスポイラーであって、カスタムスキンは、熱可塑性材料からなる、スポイラー。
【請求項3】
請求項1に記載のスポイラーであって、補強要素は、熱可塑性材料からなる、スポイラー。
【請求項4】
請求項1〜3の1つに記載のスポイラーであって、補強要素は、車両の後方に向かうその基部で、くぼみを備え、くぼみの形状および寸法は、リアウインドーをテールゲートに接着する際に、テールゲートのボックスに位置する接合トラックの中間面にほぼ垂直であるリアウインドーを導く軌道を可能にするように選ばれる、スポイラー。
【請求項5】
請求項1〜4の1つに記載のスポイラーであって、補強要素は、カスタムスキンの少なくとも1つのリブと協働する少なくとも1つのノッチを備える、スポイラー。
【請求項6】
請求項1〜5の1つに記載のスポイラーであって、カスタムスキンは、車両の前方に向かうテールゲートへの固定手段を備える、スポイラー。
【請求項7】
請求項6に記載のスポイラーであって、カスタムスキンは、ビスまたはピールポップリベットのような取り外しできるプラスの固定具を備える、スポイラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の分野に関し、より特には、自動車のテールゲート用の熱可塑性材料製のスポイラーの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
スポイラーは、車体の部品であり、この部品が置かれる車両の空気力学を改良するように作られている。スポイラーは、車両の美的外観(スタイル)のためにも使用される。それは、テールゲートの高い部分、リアウインドーの上縁のちょうど上、に位置づけられて固定される。テールゲートへのリアウインドーの取り付けは、リアウインドーの固定も気密性の機能も実現させる接合作業によって行われる。一般に連続ビードの形で置かれる接着剤の接合箇所の完全性を保存するために、リアウインドーを近寄せて位置づけ、接合トラックにほぼ垂直な入射軌道によって接着剤を押しつける必要がある:組立のこの制約は、リアウインドーを導く軌道が周囲の別の要素(特にスポイラー)と干渉しないことを強いる。
【0003】
スポイラーの第1のコンセプトが知られており、それによると、スポイラーのスキン(スタイルのおよび空気力学的な部品)は、テールゲートのボックスに直接固定され、しかもリアウインドーの接合作業の前であり、その周辺接合によってテールゲートを構造的に補強するのに寄与し得る。このコンセプトによるスポイラーの利点は、それが、単一部品、スキンに限られることである。
【0004】
しかしながら、車両の後方への突出、リアウインドーの上方のスポイラーの突き出た部分は、リアウインドーを接合位置に導く軌道によって制限される。工業デザイナーおよび空気力学専門家は、この突き出た部分のエッジングの長さに関して完全な自由を有していない。さらに、スポイラーそしてリアウインドーが組み立てられる順序のために、リアウインドーの上縁は見えたままである:その結果、極めて見える遊びということになり、その遊びは、リアウインドーの上縁とスポイラーの突き出た部分の下縁の間の外観(知覚品質)の点で非難される。最後に、スキンは支えられず、従ってそれはきわめて変形しやすい。このコンセプトは、リアウインドーを接合位置に導く軌道に関して、スポイラーの突き出た部分(リアウインドーの上方の突出部分)の後方へ延びる距離を制限することを強いる。
【0005】
スポイラーの第2のコンセプトが知られており、それによると、スポイラーは裏張り部分も備えており、この裏張りは、補強およびテールゲートとの連結の役目を果たし、組み合わせサブアセンブリを形成する。組み合わせサブアセンブリは、自動車製造業者の生産ライン沿いに届けられる。このコンセプトでは、このサブアセンブリは、テールゲートの裏張り(板金、熱硬化性または熱可塑性材料)に固定もされるが、テールゲートにリアウインドーを予め接着した後である。
【0006】
しかしながら、このコンセプトによると、スポイラーは、テールゲートへ構造的に寄与しないまたは少ししかしない。さらに、多くの組立技術があるかもしれない。
【0007】
さらにおよび一般的に、車両は、第3のブレーキランプを備えていなければならない。可視性の理由で、このブレーキランプが、車両の高い所および車両の幅の中央の位置に導入されることが非常に有利である;従って、このブレーキランプ用の場所をスポイラーに、特にその車両の後方へ突き出た部分に用意しなければならないことが、非常によくある。
【0008】
ところが、熱可塑性材料製のスポイラーは、射出によって作られる。この成形方法は、図1に示されているように、流動長のパラメーターによって特に制約され、それは、射出される材料によって型の中で進まれる距離を限定する。ハウジングと、スポイラーのスキンへのブレーキランプの固定具とを統合するために加える形の理由で、スポイラーの突き出た部分のエッジングの長さは、車両のスタイルまたは空気力学によって望まれるのと同じ程度に長くできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、長くした熱可塑性材料からなる突き出た部分を備え、補強要素(4)およびテールゲートへの固定具によって支えられ、ブレーキランプを受けることを可能にするようになっている、スポイラーを提示することによって、これらの不都合を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明の対象は、自動車のテールゲート用のスポイラーに関し、スポイラーは、
‐スポイラーに外観を提供し、車両の後方に向かって突き出て延び、車両のスタイルおよび/または空気力学を改良するようになっている、カスタムスキン;および
‐カスタムスキンの補強要素であって、カスタムスキンに固定され、テールゲートへの固定手段を備え、機械用品を受け入れることができる車両の後方に向かう少なくとも1つのくぼみを備える、補強要素、
を含む。
【0011】
カスタムスキンおよび補強要素は、熱可塑性材料からなることができる。
【0012】
好ましくは、補強要素(4)は、車両の後方に向かうその基部で、くぼみを備え、その形状および寸法は、リアウインドーをテールゲートに接着する際に、テールゲートのボックスに位置する接合トラックの中間面にほぼ垂直であるリアウインドーを導く軌道を可能にするように選ばれる。
【0013】
好ましくは、補強要素は、テールゲートに付け加えられたら、ボックスと中空体を構成するよう適合される。
【0014】
本発明によると、補強要素(4)は、好ましくは車両の後方へ突き出た領域で、カスタムスキン(3)を補強要素(4)に誘導して位置づけて固定するのに適したカスタムスキン(3)の少なくとも1つの相補的な凸状の形(例えばリブ)と協働する少なくとも1つの凹状の形(例えばノッチ)を備えてよい。
【0015】
本発明によると、カスタムスキン(3)は、好ましくは車両の前方に向かって位置するその縁で、車両の前方に向かうテールゲートへの固定手段を備えている。例えば、カスタムスキン(3)は、ビスまたはピールポップリベットの種類の取り外しできるプラスの固定具を備えてよい。
【0016】
本発明は、添付図面を閲覧することでよりよく理解され、添付図面は、例として提示され、限定性を全く示さない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】スポイラーを製造する射出方法に関連している問題を示す。
図2】本発明によるスポイラーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1および2をこれから参照する。
【0019】
自動車のテールゲート(2)用のスポイラー(1)は、車両の幅にわたって、車両の車体に対して側面から延びる。それは、
‐スポイラーに外観を提供し、車両の後方へ突き出て延びる、カスタムスキン(3)と、
‐カスタムスキン(3)の補強要素(4)であって、カスタムスキン(3)に固定され、テールゲートへの固定手段(5)を備え、機械用品(7)を受け入れることができる車両の後方に向かう少なくとも1つのくぼみ(6)を備える、補強要素(4)と、
を備える。
【0020】
そのくぼみ(6)により、補強要素(4)は、第3のブレーキランプのような、機械用品(7)のためのインターフェースを構成する。
【0021】
本発明によると、射出されたカスタムスキンは、車両の空気力学的および美的機能しか提供せず、機械用品を組み込むインターフェースの機能はもはや必要でなく、突き出た部分は、スタイルおよび空気力学の必要に応じて車両の後方に向かってより遠くに延びることができ、射出による成形方法に固有の流動長のパラメーターによって制約されにくい。この設計は、突き出た部分の長さが、リアウインドー(8)を導く軌道で妨げられることなく、顕著に増加することを可能にする。
【0022】
一実施形態によると、補強要素(4)は、好ましくは、車両の後方へ突き出た領域で、カスタムスキン(3)を補強要素(4)に誘導して位置づけて固定するのに適したカスタムスキン(3)の少なくとも1つの相補的な凸状の形と協働する少なくとも1つの凹状の形を備える。
【0023】
例えば、補強要素(4)は、カスタムスキン(3)の少なくとも1つのリブ(11)と協働する少なくとも1つのノッチ(12)を備えてよい。好ましくは、ノッチ(12)およびリブ(11)は、はめ込まれたら、スキンと補強要素を位置決めし、例えば水平に向けられることによって、スキンと補強要素の相対的垂直移動を防ぐ。ノッチ(12)およびリブ(11)は、スポイラーの後縁に沿って連続的であることができる、または断続的であることができる。スキンのおよび補強要素の突き出た形状は、同等の形状を呈し、それぞれ凹状および凸状であり、ノッチ/リブシステムおよびそれぞれの部品の突き出た面での支持によって、互いにぴったりはまって位置決められる。好ましくは、リブ(その基部)は、スタイルのラインから出てくる。
【0024】
この固定手段を補足するものとして、カスタムスキン(3)は、車両の前方に向かうテールゲート(2)への固定手段(9)を含んでよい。それは、テールゲートに固定されるようになっている、ビスまたはピールポップリベットの種類の取り外しできるプラスの固定具であってよい。
【0025】
カスタムスキン(3)は、好ましくは熱可塑性材料からなる。
【0026】
補強要素(4)は、熱硬化性材料または熱可塑性材料からなることができる。
【0027】
カスタムスキン(3)用または補強要素(4)用に、熱可塑性材料は、次の材料:
・ポリプロピレン(PP);
・ポリアミド(PA);
・ポリエチレン(PE);
・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS);
・ポリエチレン・テレフタレート(PET);
・ポリスチレン(PS);
・ポリカーボネート(PC);
・ポリメチルメタクリレート(PMMA);
・ならびに、あらゆる変形およびこれらの材料または変形のあらゆる組み合わせ、
の中から選択可能である。
【0028】
テールゲートへのリアウインドー(8)の接合は、接着作業によって行われ、それは、リアウインドー(8)の固定もシールの機能も実現する。一般に連続ビードの形で置かれる接着剤の接合箇所の完全性を保存するために、リアウインドー(8)を近寄せて位置づける必要があり、接合トラックにほぼ垂直な入射軌道によって接着剤を押しつける必要がある。
【0029】
そのために、補強要素(4)は、好ましくは、車両の後方に向かうその基部(すなわち、それがリアウインドー(8)の近くでテールゲートに固定される領域)で、くぼみ(13)を備え、その形状および寸法は、リアウインドー(8)をテールゲート(2)に接着するためのその最終的アプローチの際に、テールゲート(2)に垂直にリアウインドー(8)を導くことができるように選ばれる。例えば、くぼみは、並進または回転(挿入の種類)によるリアウインドーの最終的押圧および位置決めを可能にする体積を規定してよい。好ましくは、形状および寸法は、スキンの突出部の下壁によってリアウインドー(8)の上縁を覆い隠すようにも選ばれる。
【0030】
一実施形態によると、補強要素(4)は、テールゲート(2)に付け加えられたら、中空体(10)を構成するよう取り付けられる。
【0031】
別の実施形態によると、補強要素(4)は、中空体またはボックス(10)を形成することによって、テールゲート(2)に閉鎖部品を形成する。このように、補強要素(4)は、ヒンジの間でテールゲート(2)の部分をより堅固にする。それは、中空体とビームを構成する。
【0032】
好ましくは、このボックスは、補強要素(4)の機械用品(7)が、ブレーキランプのような電気用品であることができるように、シールされる。ブレーキランプは、車両の外部から組み立てられる。
【0033】
製造方法に関しては、補強要素(4)は、例えば接着によってテールゲート(2)に固定され、それからリアウインドー(8)がテールゲート(2)に接着される。
【0034】
最後に、カスタムスキンは、補強要素(4)に付け加えられ、場合によってはテールゲート(2)にも付け加えられる。
図1
図2