(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
衛星通信システムは、複数の地球局を備え、これらは静止軌道上の人工衛星(衛星)を介して互いに通信する。この種のシステムは、例えば都道府県等の広域の自治体の防災システムに適用される。例えば、災害現場等に設置された衛星通信装置からの生の映像を県庁所在地等の地球局に衛星回線で送信することができる。これにより災害状況を迅速かつ正確に知ることができるようになる。また、衛星回線を用いてVoIP(Voice over IP)通話やTV会議を行うこともでき、関係部署間の情報共有や災害対応協議にも利用することができる。
[第1の実施形態]
図1は、実施形態に係る衛星通信装置の一例を示す外観図である。
図1に示される衛星通信装置1はいわゆる超小型の衛星通信装置であるVSATであり、衛星捕捉装置としての機能を備える。衛星通信装置1のサイズはユーザが持ち運べる程度にコンパクトで、重量も抑えられている。この衛星通信装置1は、例えば災害現場に運んで非常用の通信局として利用することができる。
【0011】
図1に示される衛星通信装置1は、アンテナ10、本体部11、この本体部11を支える三脚12、本体部11とアンテナ10とを物理的に接続する支柱13b,13c、および送受信部18を備える。本体部11は、プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)など)およびメモリを備える、いわゆるコンピュータである。
【0012】
アンテナ10は、人工衛星からの電波を受信し、また、人工衛星に向け電波を送信する。アンテナ10のサイズは例えば50cm×50cmである。アンテナの形式は
図1に示される平面アンテナのほか、パラボラアンテナを用いることもできる。衛星通信に用いるためにアンテナ10の指向性は鋭いので、互いに異なる3つの軸である衛星への方位角(AZ角)、仰角(EL角)、偏波角(POL角)を正確に合わせる必要がある。
【0013】
送受信部18は、アンテナ10を介して送受信される無線周波数帯の信号を例えばベースバンド帯の信号に周波数変換する。例えばアンテナ10の背面に、アンテナ10と近接するように送受信部18を取り付けることで、送信信号、受信信号の減衰を抑えることができる。
【0014】
さらに、例えばアンテナ10の背面に、方位情報を取得する方位センサ60が取り付けられる。方位センサ60をアンテナ10に設置することで、方位センサ60を方位軸に沿って水平に回転移動させることができる。また、アンテナ10とモータ20を兼用して方位センサ60を回転させることができ、装置のコストダウンを図れる。
【0015】
支柱13bは、例えば、本体部11の上面(
図1の上側の面)に垂直に設けられ、本体部11に対して方位角(AZ角)となる回転方向Aに回転する。支柱13cは、支柱13bに半固定的かつ回動自在に取り付けられ、支柱13bに対して仰角(EL角)となる回転方向Bに回転する。支柱13b,13cは、折りたたみ機構を有していてもよい。支柱13b,13cを折りたためるようにすれば衛星通信装置1をさらに小型化することができ、衛星通信装置1のとりまわしも容易になる。
【0016】
モータ20a,20bが、支柱13bに取り付けられる。モータ20cが、支柱13cに取り付けられる。各モータはモータ制御部202からの制御信号により制御される。モータ20aは、アンテナ10を回転方向Aの軸(方位軸またはAZ軸)周りに回転させる。モータ20bは、アンテナ10を回転方向Bの軸(仰角軸またはEL軸)周りに回転させる。モータ20cは、アンテナ10を回転方向Cの軸(偏波軸またはPOL軸)周りに回転させる。
【0017】
本体部11は、電源ボタン14、捕捉ボタン15、および表示装置90を備える。電源ボタン14は、衛星通信装置1の電源のONとOFFとを切替えるためのボタンである。装置がONされたのち捕捉ボタン15が操作されると衛星捕捉制御処理がスタートし、アンテナ10を用いて衛星を捕捉するための処理が開始される。
【0018】
表示装置90は、例えば、本体部11の側面に設けられ、衛星捕捉制御処理の結果などを表示する。表示装置90は、衛星通信装置1に内蔵されていなくてもよく、衛星通信装置1に外付けされる表示デバイスであってもよい。
【0019】
図2は、
図1に示される衛星通信装置1の一例を示す機能ブロック図である。本体部11は、捕捉制御部40、モータ制御部30、アンテナの受信感度を算出する受信信号感度算出部50、位置センサ70、ユーザ入力装置80および、報知部としての表示装置90、スピーカ100を備える。
【0020】
このうちモータ制御部30は、アンテナ10の指向方向に関する捕捉制御部40からの指示に応じて、モータ20(20a,20b,20c)のそれぞれに制御信号を与える。このような制御により、アンテナ10および方位センサ60の指向方向を変化させることができる。
【0021】
受信信号感度算出部50は、アンテナ10で受信された受信信号の受信感度を算出し、得られた値を捕捉制御部40に送る。
【0022】
方位センサ60は、地磁気を感知することで、衛星通信装置1の方位情報を取得する。モータ20によるアンテナ10の駆動と連動して方位センサ60の指向方向も変化し、取得される方位情報も変化する。取得された方位情報は捕捉制御部40に渡される。
【0023】
位置センサ70は、例えば、GPS(Global Positioning System)により、衛星通信装置1の設置場所の位置情報(例えば緯度および経度)を取得する。取得された位置情報は捕捉制御部40に渡される。
【0024】
ユーザ入力装置80は、自動捕捉制御に関わるユーザからの指示を入力するためのユーザインタフェースである。ユーザ入力装置80は、例えば、衛星捕捉処理の開始/停止を指示するスイッチ、捕捉対象衛星を選択するためのタッチパネルなどを備える。
【0025】
表示装置90は、自動捕捉制御に関わる情報を表示する。例えば、現在の処理状態(キャリブレーション中、衛星捕捉中、トラッキング中など)をLED(Light Emitting Diode)で表示しても良い。あるいは、捕捉成功、捕捉失敗のような捕捉結果を終了コードと共に液晶パネルに表示しても良い。スピーカ100は、自動捕捉制御に関わる情報をユーザに音で通知する。
【0026】
捕捉制御部40は、アンテナ10の方位角、仰角、偏波角をモータ制御部30に指示し、受信信号の受信感度がピークとなる角度を検出することで目標の通信衛星を捕捉する。捕捉制御部40は、衛星探索部41、方位算出部43および記憶部44を備える。このうち記憶部44は、方位情報44aと、衛星目標角テーブル44bとを記憶する。
【0027】
方位情報44aは、方位センサ60で測定した衛星通信装置1の方位角(方位情報)と地磁気強度とを対応付けた情報である。
すなわち、
図3に示されるように、地磁気は角度と強度とを有するベクトルであるので、方位情報44aは方位角と地磁気強度との双方を含む。
また、
図4に方位情報44aの一例を示す。方位角[°]と地磁気強度[マイクロテスラ]とに、測定種別(初期や回転など)と測定時刻とを対応付けて記録しても良い。
【0028】
衛星目標角テーブル44bは、地上における位置情報(例えば緯度、経度)に、捕捉すべき通信衛星の衛星目標角(方位角、仰角、偏波角)を対応付けたテーブルである。
例えば、
図5に示すように、北海道札幌市の緯度は141.4°、経度は43.1°であり、この位置における通信衛星Aの目標角は(方位角、仰角、偏波角)=(151.2°、36.1°、10.4°)である。
【0029】
図2に戻って説明を続ける。探索部としての衛星探索部41は、衛星からの受信信号感度を監視しながらアンテナ10の角度を調整し、受信信号感度のピーク位置を探索することにより衛星を捕捉する。すなわち衛星探索部41は、位置センサ70で取得された自装置の位置情報に対応づけられた衛星目標角を、衛星目標角テーブル44bから取得する。そして、この衛星目標角を含む探索範囲を設定し、この探索範囲にアンテナ10を指向させて人工衛星を探索する。その際、衛星探索部41は、方位センサ60により取得された方位情報に基づいてアンテナ10の指向方向を制御し、探索範囲をサーチする。
方位算出部43は、方位センサ60を例えば定速で方位軸の軸まわりに回転させながら、装置の方位角と、その信頼性を示す指標である信頼度(方位信頼度)とを算出する。
【0030】
図6は、方位算出部43により取得された方位角(測定方位)の一例を示す図である。各図の横軸は方位センサ角、つまり方位センサ60の方位軸まわりの回転角度を示す。
図6(a)は、衛星通信装置1の周囲に磁性体等の磁気攪乱因子の無い状態で測定された方位情報を示し、測定方位は方位センサ角に対して線形に変化している。これに対し
図6(b)のグラフでは、測定方位が方位センサ角に対して不規則に変化している。これは、衛星通信装置1の周囲に磁性体等の磁気攪乱因子が有ることを示す。
【0031】
方位の測定にはもっぱら地磁気が利用されるが、
図7に示すように地磁気は周辺環境(ビル、車両、橋梁等の磁性体)の影響を大きく受ける特徴がある。
図7(a)のように周囲に磁性体等が無ければ、地磁気を頼りに方位を測定することができるが、
図7(b)のように磁性体があると、地磁気を頼りに方位を測定することができなくなる。
【0032】
方位算出部43は、
図6(b)、あるいは
図7(b)に示されるような状態で取得された方位情報の信頼度を、低いと評価する。この信頼度が規定値以下となると、スピーカ100からの音声、あるいは表示装置90の表示により、ユーザにそのことが報知される。
【0033】
そして、衛星探索部41は、この方位情報の信頼度に基づいて衛星サーチのための探索範囲の広さ(狭さ)を可変する。つまり、方位情報の信頼度が高ければ高いほど探索範囲を狭くするようにし、このようにすることで衛星の探索にかかる時間をできるだけ短縮するようにする。
【0034】
図8に示されるように、例えば、信頼度と探索範囲とを例えば三段階に分けて設定することができる。信頼度の値が1〜0.95の範囲に有れば、例えば衛星目標角の周囲の±5°を探索範囲(10°)とする。信頼度の値が0.95〜0.9の範囲に有れば、例えば衛星目標角の周囲の±10°を探索範囲(20°)とする。信頼度の数値が0.9以下であれば、例えば衛星目標角の周囲の±15°を探索範囲(10°)とする。次に、上記構成を基礎として複数の実施形態を説明する。
【0035】
図9は、第1の実施形態における衛星通信装置1の処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS1において、衛星通信装置1は、位置センサ70を利用して、自らの設置された場所の経度および緯度を測定する。
【0036】
次に、ステップS2において、衛星通信装置1は、ステップS1で測定した位置情報の緯度、経度から衛星目標角テーブル44bを検索し、捕捉すべき衛星の方位角、仰角、偏波角を算出する。ここで、捕捉対象衛星は装置にプリセットされていても良いし、ユーザ入力装置80から選択しても良い。
【0037】
次に、ステップS3において、衛星通信装置1は、方位算出部43により装置の方位角、信頼度を取得する。
ステップS4において、信頼度が閾値RTHより低い場合、ステップS3で取得した装置の方位角は正しい方位角からずれており、ステップS6の部分探索を実施しても衛星信号を検出できない可能性が高い(ステップS7でNとなる)。そこで衛星通信装置1は、ステップS6をスキップしてステップS8の全方位探索を実行する。
【0038】
ステップS5において、衛星通信装置1は、ステップS2で決定した衛星目標角へアンテナ10を向けるため、モータ制御部30にアンテナ制御軸の回転を指示する。アンテナ制御角度は、ステップS3で取得した方位角を考慮し、アンテナ10が衛星目標角へ向くように決定する。例えば、衛星目標方位角が140°であり、衛星捕捉装置の測定方位が30°であれば、方位角制御軸の角度指示は110°となる。
【0039】
ステップS6において、ステップS5にて捕捉対象の衛星付近にアンテナ10が向いているので、その近くに受信感度のピークが存在すると考えられる。衛星通信装置1は、その付近の部分的な範囲でアンテナ角を変化させ、その時の受信感度を測定してピークを検索する。探索範囲はアンテナ10の指向特性、及び方位センサ60の測定精度により決定されるが、およそ10°〜45°程度とするのが好ましい。
【0040】
ステップS7において、ステップS6で受信感度のピークを検出できれば、衛星信号を検出できたと判断し、衛星通信装置1は捕捉成功のステータスで自動捕捉処理を終了する。この時、表示装置90に捕捉成功ステータスを表示したり、スピーカ100で捕捉成功を表す音を鳴らしても良い。ピークを検出できなければ、捕捉対象衛星を全方位から探索するために処理手順はステップS8に移動する。
【0041】
ステップS8において、ステップS6と同様に受信感度のピークを探索するが、このステップS8では、アンテナ10の探索範囲を全方位(360°)とする。よってここ(ステップS8)での処理時間はステップS6に比べて長い時間を要することになる。例えばステップS6に比較して8〜36倍程度の探索時間となる。
【0042】
ステップS9において、ステップS7と同様に、受信感度のピークを検出できれば、衛星信号が検出できたと判断し、衛星通信装置1は捕捉成功のステータスで自動捕捉処理を終了する。ピークを検出できなければ、衛星通信装置1は、捕捉失敗のステータスで自動捕捉処理を終了する。この時、表示装置90に捕捉成功/捕捉失敗ステータスを表示したり、スピーカ100で捕捉成功/捕捉失敗を表す音を鳴らしても良い。
【0043】
図10は、信頼度の計算にかかる処理手順の一例を示すフローチャートである。なおこの手順は、方位情報の取得に関する、いわゆるキャリブレーション(校正)として実施されても良い。
【0044】
ステップS11において、装置の初期方位角を測定するため、衛星通信装置1は、プリセットされているモータ20の初期角度へ移動させる。初期角度に移動することにより、方位センサ60は装置正面を向く。
ステップS12において、衛星通信装置1は、方位センサ60により方位角を測定し、方位情報44aへ記録する。
図4に示すように測定種別=初期として記録する。
【0045】
ステップS13において、次に、衛星通信装置1は、モータ20の定速回転を開始する。回転速度はモータの制御性能と方位センサ60の測定負荷によって決定するが、およそ10°/秒程度である。
【0046】
ステップS14において、
衛星通信装置1は、方位センサ60により方位角、地磁気強度を測定し、方位情報44aへ記録する。
図4に示すように測定種別=回転として記録する。この測定手順は、予め決定しておいた回転終了角まで繰り返される(ステップS15)。
【0047】
ステップS16において、回転完了角まで到達すると、方位センサ60の回転が停止される。装置周囲を隈なく検証するためには、回転終了角=初期角、つまり360°回転させる。しかし処理高速化のために180°などの限定された範囲で回転させても構わない。
【0048】
ステップS17において、次に衛星通信装置1は、方位情報44aへ記録された方位角の線形性を算出する。
図11(a)のように周囲に磁性体がない場合、方位センサ60の測定する方位角は、
図11(b)のように時間と共に線形に増加、または減少する。しかし、
図12(a)のように周囲に磁性体がある場合、
図12(b)のように、方位角の線形性は低くなる。
【0049】
例えば、方位角の線形性は、測定された方位角を最小二乗法で直線近似した場合の寄与率(R2)によって評価することができる。方位角の線形性のみで信頼度を決定する場合、信頼度は例えば式(1)により計算できる。
【0051】
ステップS18において、次に衛星通信装置1は、方位情報44aへ記録された地磁気強度のばらつきを算出する。周囲に磁性体がない場合、測定される地磁気強度は、自然界に存在する地磁気(地球の地磁気)のみであるためほぼ一定値となる。しかし周囲に磁性体がある場合、測定される地磁気は周囲の磁性体によって発生する磁界の影響も含まれるため、ばらつきが発生する。例えば、地磁気強度のばらつきは、測定された地磁気強度の標準偏差(σ)によって評価しても良い。また、例えば、自然界の地磁気のばらつき範囲(例えば、100nT(ナノテスラ))を越えた測定値の割合で評価しても良い。
【0052】
地磁気強度のばらつきのみで信頼度を決定する場合、信頼度は例えば式(2)により計算できる。
【0054】
方位角の線形性と地磁気のばらつきとを組み合わせて信頼度を決定する場合、信頼度は例えば式(3)により計算できる。
【0056】
ステップS19において、衛星通信装置1は、ステップS17で算出した方位角の線形性、またはステップS18で算出した地磁気強度のばらつき、またはその組み合わせで信頼度を決定する。信頼度は0〜1の値とし、値が大きいほど初期方位角が装置方位を表している確率が高いと定義する。
【0057】
以上説明したようにこの実施形態では、方位情報の信頼度を計算し、その値に基づいて探索範囲を絞り込むことによって衛星捕捉時間を高速化するようにした。つまり、方位センサ60で取得された方位情報の線形性、あるいはばらつきを示す指標を計算し、線形性が高いほど、あるいはばらつきが少ないほど、方位情報の信頼度の数値を高くする。そして、この数値が高ければ高いほど、衛星の探索範囲を狭くすることによってサーチ期間を短縮し、衛星捕捉時間を高速化するようにした。
【0058】
このようにすることで衛星通信装置1のユーザは、通信をより早く開始することが可能になり、防災行政無線などの緊急性を求められる状況下において、特に有利となる。また、信頼度が低い場合には部分的な衛星探索を省略することで確実を期するようにし、その状況を利用者に報知するようにした。
これらのことから、衛星を捕捉するまでにかかる時間を短縮可能な衛星捕捉装置および衛星捕捉方法を提供することが可能となる。
【0059】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について、説明する。本実施の形態は、捕捉完了時間を短縮するため、停止角を設けた実施の形態である。
【0060】
図13は、第2の実施形態における衛星通信装置1の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10と同様の手順には同じ符号を付して示す。
【0061】
S11からS13までは、
図10の手順と同じため説明を省略する。
ステップS13で方位センサ60の定速回転が開始されたのち、ステップ23において、衛星通信装置1は、停止角まで到達したか否かを判定する。停止角とは、例えば10°、20°、30°のような等間隔の角度であってよい。そして、停止角に達した時にだけ、衛星通信装置1は方位角および地磁気の強度を測定する(ステップS14)。以下は、
図10と同様な手順となる。
【0062】
このようにすれば、方位センサ60の測定回数を少なくすることができ、回転速度をより高速に設定することもできる。回転速度を高速にすることにより、捕捉完了時間を短縮することができる。
【0063】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について、説明する。本実施の形態は、方位測定の信頼度が低い場合、方位測定を行わない実施の形態である。
【0064】
図14は、第2の実施形態における衛星通信装置1の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9と同様の手順には同じ符号を付して示し、ここでは異なる手順についてのみ説明する。
【0065】
ステップ1からステップ4は
図9と同じため、説明を省略する。
【0066】
ステップS4において信頼度が閾値RTHよりも低ければ、ステップS35において、長い時間をかけて自動捕捉を実行するのではなく、装置周辺の磁性体の除去をユーザに促すべく、方位測定の警告を行うようにする。例えば、表示装置90に警告メッセージを表示するか、あるいは警告音をスピーカ100から鳴らすことで、方位測定の警告を発報することができる。これによりユーザに場所の移動などを促すことができる。
【0067】
なお本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、全ての回転中の方位情報を取得完了してから方位角の線形性を評価するようにしたが、方位情報の測定中に動的に方位角の線形性を評価し、その値が敷値以下となった場合に処理を中止することでも、捕捉完了時間を短縮することができる。
【0068】
また、衛星通信装置1の内部にもモータや電源装置のような磁性体があるので、回転範囲によってはそれらの磁性体の影響を受ける可能性もある。それらの磁性体の影響を受けない範囲に限定して回転させることにより、より精度の高い信頼度の算出を行うことができる。つまり、衛星通信装置1の内部の磁性体の影響を無視することの可能な範囲で方位センサ60を回転駆動するようにしても良い。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。