【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、請求項1に記載の方法によって達成される。
【0014】
本発明の発明者は、核燃料ペレットが核燃料ペレットの少なくとも外方部分(HBSが発生する)においてより大きな粒度を有する場合に、上記したHBSの発生が防止されてよいかまたは遅延されてよいことを理解した。
【0015】
さらに、発明者は、添加物が焼結されたペレット中に、またはペレットの少なくとも外方部分に残留しない場合、それは有利でよいことを理解した。例えば、添加物の存在は、中性子経済に影響を及ぼしてよい。すなわち、添加物は中性子を吸収してよい。他方では、前述したように、核燃料ペレットの少なくとも外方部分における大きな粒は、HBSを防止するために有利である。したがって、焼結ステップの前かその間に、ペレットの少なくとも外方部分を去る物質を使用することは、有利である。
【0016】
請求項1で述べたとおり同じ範囲の前述の物質は、焼結ステップの前におよび/またはその間、全部の核燃料ペレットを去ってもよい。
【0017】
本発明にしたがって製作される核燃料ペレットについては、原子炉において核燃料ペレットを使用するときに、HBSの編成はこのように防止されることができるかまたは遅延されることができる。本発明にしたがって製作される核燃料は、したがって、原子炉においてより長時間にわたり、すなわちより高い燃焼度に使用されることができる。
【0018】
物質は化合物に含まれてよい。そうすると、添加物は、より大きな粒を生じさせる物質を含む化合物である。化合物の残余は、より大きな粒を生じさせる物質のキャリアとして主に作用してよい。例えば、添加物はUB
4でもよい。この場合、Bはより大きな粒を生じさせる。しかし、化合物UB
4のUそれ自体は、より大きな粒に実質的には寄与しない。これは、したがって、物質が大きな粒を生じさせるとクレームにおいて述べられる理由である。物質は、好ましくは元素(例えばBまたはCr)である。添加物は、そのような1つの物質よりも多くのものを含んでよい。
【0019】
粉体形態の核燃料材料は、実際の核燃料材料として好ましくはUO
2に基づく。粉体形態の核燃料材料は、少なくとも60%まで、好ましくは少なくとも70%まで、より好ましくは少なくとも80%まで、または少なくとも90%まで、UO
2から成る。当業者に知られているように、粉体は、他の事柄(例えば、バインダ、U
3O
8、可燃物中性子吸収体、ポア形成物および焼結助剤(例えばAl
2O
3))を含んでよい。
【0020】
(同様のやり方で製作されたがしかし添加物の添加のないペレットが同様のやり方で焼結される場合に得られる粒度と比較して)より大きな粒が添加物によって得られると言われるときに、これは、実質的により大きな(例えば、(添加物が加えられるペレットの少なくとも部分における)平均粒度は、少なくとも50%大きく、好ましくは少なくとも100%大きく、最も好ましくは少なくとも200%大きい)粒が得られることを意味する。添加物の助けを借りて得られた平均粒度は、例えば、少なくとも20μm、好ましくは少なくとも30μmでもよい。
【0021】
本発明の方法を実施する1つのやり方によれば、製作された核燃料ペレットは、半径rを有する実質的に円筒状の形状を有し、前記外方部分は、0.8r〜rの間、または0.9r〜rの間、または0.95r〜rの間に位置する核燃料ペレットの部分である。
【0022】
本発明の方法を実施するさらなるやり方によれば、前記物質は、Bおよび/またはCrでできているかまたはそれを含むこれらの物質は、粒度を増加させる有利な物質である。
【0023】
本発明の方法を実施するさらなるやり方によれば、少なくとも60%までの、好ましくは少なくとも80%までの、最も好ましくは100%までの前記添加物は、B、UB
4、B
4C、ZrB
2、Cr、CrO、CrO
2およびCr
2O
3またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。これらの添加物は、製作されたペレットの少なくとも外方部分に残留する前述の物質なしで、より大きい粒度を得るために特に有利であるとわかった。
【0024】
本発明の方法を実施するさらなるやり方によれば、前記添加物はBを含み、前記Bの少なくとも90%は
11Bである。同位元素
10Bの形のBは、中性子吸収体として作用する。しかしながら、付加的なBの目的が粒度を増加させることであり、中性子吸収体として作用しないことである場合には、同位元素
11Bを使用することが好ましい。というのも、若干のBが焼結されたペレット中に残留する場合、このBはこの場合、中性子吸収体として作用しないからである。少なくとも98%まで前記添加物においてそれが同位元素
11Bの形で存在するように、Bは、例えば、選択されてよい。
【0025】
本発明の方法を実施するさらなるやり方によれば、方法は、生ペレットの外方部分が生ペレットの内方部分に比べて実質的により多くの添加物を含むように、前記添加物を配置するステップを含む。そうすると、焼結されたペレットは、内方部分に比べて外方部分においてより大きい粒度を有する。添加物が外方部分において存在するだけである場合、例えば、焼結ステップのような加熱ステップの間、添加物がペレットを去ることはより容易である。さらに、前述したように、HBSは、核燃料ペレットの外方部分で発生する。したがって、HBSの編成を防止するかまたは遅延させるために、核燃料ペレットの外方部分においてより大きな粒を有することは、十分である。
【0026】
外方部分および内方部分は、異なるやり方で定められてよい。例えば、半径rを有する円筒状の核燃料ペレットを考慮する場合、内方部分は、例えば、ペレットの中心から外側へ例えば0.6rまでの核燃料ペレットの部分でもよい。そして、外方部分は、例えば、(粒がより大きいことを要求されるのに応じて)0.8r〜rの間、または0.9r〜rの間、または0.95r〜rの間に位置する核燃料ペレットの部分でもよい。粒度が外方部分においてより大きいと述べられるときに、これはまた、異なるやり方で定められてもよい。例えば、外方部分の平均2D粒度および内方部分の平均2D粒度を考慮する場合、外方部分の平均粒度は、内方部分の平均粒度より大きい少なくとも50%、好ましくは少なくとも100%でもよい。
【0027】
本発明の方法を実施するさらなるやり方によれば、前記添加物は、粒子の形で提供される。この種の粒子は、生ペレットにこの粉体を押圧する前に、粉体形態の核燃料材料と混ぜ合わされてよい。あるいは、粒子は、生ペレットに加えられてよい。
【0028】
本発明の方法を実施するさらなるやり方によれば、方法は、添加物が液体中に分散する粒子の形であるように、液体を提供して液体中に添加物を配置するステップを含み、添加物を有する液体は、粉体形態の前記核燃料材料または生ペレットのいずれかに加えられる。この種の粒子のキャリアとして液体を使用することは、有利である。粒子が液体中に分散するので、粒子は液体に溶解しない。
【0029】
本発明の方法を実施するさらなるやり方によれば、方法は、添加物を有する液体が生ペレットに深く入り込むように、生ペレットを液体と接触させることによって、添加物を有する前記液体を生ペレットに加えるステップ、および、生ペレットへの液体の、そしてこれにより添加物の、浸透深さを制御するステップ、を含む。この変形例によれば、生ペレットが形成された後、粒度を増加させる添加物がこのように加えられる。したがって、生ペレットを押圧する前に粉体に添加物を加えることは必要でない。添加物が液体中に提供されるので、添加物が生ペレットへと入る範囲を制御することができる。粒度を増加させる添加物の添加の改良された制御は、したがって達成される。さらに、添加物を有する液体を生ペレットに適用することは、全く容易である。浸透深さを制御することによって、添加物を有する液体がペレットのどの領域において存在するかを制御することができる。これにより、添加物がペレットのどこに存在するかを制御することができる。
【0030】
本発明の方法を実施するさらなるやり方によれば、浸透深さを制御する前記ステップは、
含まれた添加物を有する液体の粘性、
生ペレットを、添加物を有する液体と接触させるときに、生ペレットに加えられる、添加物を有する液体の量、
のうちの一方または両方を選択することによってなされる。
【0031】
特定の粘性を有する液体を選択することによって、液体の浸透深さを制御することができる。どれくらいの量の液体が生ペレットに加えられるかを制御することによって、浸透深さは、制御されてもよい。
【0032】
例えば、ペレット上に、添加物を有する一定量の液体を噴霧することによって、または、所定時間の間、添加物を有する液体に生ペレットをさらすことによって(例えば、添加物を有する生ペレットを液体中に浸漬することによって)、生ペレットに加えられる、添加物を有する液体の量は、制御されることができる。
【0033】
生ペレットへの、添加物を有する液体の浸透深さは、生ペレットの外方部分が生ペレットの内方部分に比べて実質的により多くの液体、そしてこれによってより多くの添加物を含むように制御されることができる。そうすると、焼結されたペレットは、内方部分に比べて外方部分においてより大きい粒度を有する。
【0034】
添加物を有する前記液体は選択され、そして前記方法は、添加物を有する液体が生ペレットの粒と粒との間に存在する孔へと深く入り込むように実行される。
【0035】
生ペレットは、生ペレットにおける粒と粒との間に、および生ペレットにおける粒の内側に孔を有する。粒の内側の孔は、通常、粒と粒との間に存在する孔よりも小さい。したがって、液体が粒と粒との間に存在する孔に深く入り込むことは、(例えば、特定の粘性を選択することによって)制御されることができる。
【0036】
添加物を有する前記液体は選択されることができて、そして前記方法は、添加物を有する液体が生ペレットの粒と粒との間に存在する孔へと深く、少なくともいかなる実質的な程度までも入り込まないように実行されることができる。この変形例によれば、添加物は、粒へといかなる実質的な程度までも入り込まないが、しかし添加物は、粒と粒との間に存在する孔に加えられる。
【0037】
あるいは、添加物を有する前記液体は選択されることができて、そして前記方法は、添加物を有する液体が生ペレットの粒と粒との間に存在する孔へも深く入り込むように実行されることができる。この変形例によれば、添加物は、粒の孔へもこのように入る。本発明については、生ペレットにおいて添加物が加えられる場所を制御することがこのように可能である。
【0038】
本発明の方法を実施するさらなるやり方によれば、前記液体は選択され、そして前記方法は、焼結ステップの前またはその間に、液体が完全にまたは少なくとも99%までペレットを去るように実行される。液体がペレットを去るので、液体(および液体を構成する材料)は、焼結されたペレット中に存在しない。したがって、液体は、添加物のキャリアとして作用して、製作されたペレットの特性に影響しない。
【0039】
好ましくは、液体は、ペレットを加熱するステップの間にペレットを去る。これは、焼結ステップの前の別々の加熱ステップ、または焼結ステップの間に実行される加熱のいずれかでありえる。後者の変形例は、別々の加熱ステップが必要でない利点がある。
【0040】
添加物が液体中に溶解しないように、そして生ペレットにおける核燃料材料が液体によって溶解されないように、前記液体は選択されることができる。
【0041】
本発明の方法を実施するさらなるやり方によれば、前記液体は、油、好ましくは鉱物油である。この種の液体は、添加物のためのキャリアとして作用するための有利な特性を有する。さらに、適切な鉱物油を選択することによって、適切な粘性が達成される。
【0042】
本発明はまた、核燃料を製作して使用する方法に関する。この方法は、以下を含む:
前のやり方のいずれか1つにしたがって複数の核燃料ペレットを製作すること、
核燃料ペレットを被覆管内に配置すること、
核動力プラントにおける核動力炉のコア内に、核燃料ペレットを有する被覆管を配置することであって、そうすると、コア内の核燃料材料の少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは100%は、前のやり方のいずれか1つにしたがって製作されるペレットでできている、配置すること、
エネルギーを生成するために核動力炉を運転すること。
【0043】
実際の核動力炉において本発明による方法によって得られた有利な核燃料ペレットを用いることによって、製作された核燃料の利点は、エネルギーを生成するための核動力炉プラントにおいて、このように達成される。核動力炉は、好ましくは、本発明による方法によって製作される核燃料ペレットを含む数千本の被覆管を備える。本発明にしたがって製作される核燃料ペレットを原子炉において使用することによって、核燃料は、より長時間にわたり使われてよい。というのも、HBSの編成が本発明によって防止されるかまたは遅延されるからである。