(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581187
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】排出デバイス
(51)【国際特許分類】
A62C 37/08 20060101AFI20190912BHJP
A62C 2/00 20060101ALI20190912BHJP
A62C 2/04 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
A62C37/08
A62C2/00 S
A62C2/04 A
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-516631(P2017-516631)
(86)(22)【出願日】2015年6月4日
(65)【公表番号】特表2017-516640(P2017-516640A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】NO2015050100
(87)【国際公開番号】WO2015187035
(87)【国際公開日】20151210
【審査請求日】2018年5月14日
(31)【優先権主張番号】20140707
(32)【優先日】2014年6月5日
(33)【優先権主張国】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】516363101
【氏名又は名称】セース・アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トロン・フィスカー
【審査官】
稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】
特表平08−510042(JP,A)
【文献】
特表平7−506272(JP,A)
【文献】
特開2005−198703(JP,A)
【文献】
特表2015−507500(JP,A)
【文献】
実開昭61−9599(JP,U)
【文献】
米国特許第4616694(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0129946(US,A1)
【文献】
英国特許出願公開第2473424(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00−37/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーム(R)からガスおよび/または粒子を輸送するための排出デバイス(1)であって、流入端部(6)が前記ルームの内側に面する壁(3)の面上に配置されるようにかつ流出端部(8)が前記ルームの外部に配置されるように、前記ルームの前記壁(3)内に設置するための取り付け手段(7,9)を備えており、前記排出デバイスは、前記流入端部と前記流出端部との間に延在するダクト(2)を備えており、
前記排出デバイスが待機状態にあるときに、それを密封するために前記ダクト内に取り外し可能に取り付けられたバリア(12)と、
前記排出デバイスが作動状態にあるときに、前記ダクトを通る液体(W)の少なくとも一つの流れを案内するよう配置された駆動手段(21)と、
によって特徴付けられる排出デバイス。
【請求項2】
前記ダクト(2)は、流入部(15)と流出部(16)と中間テーパー部(17)とを備えたベンチュリーノズルを備え、前記流入部は前記流入端部(6)と流体連通状態であり、かつ、前記流出部は前記流出端部(8)と流体連通状態である、請求項1に記載の排出デバイス。
【請求項3】
前記駆動手段(21)は、前記テーパー部(17)の上流に配置される、請求項2に記載の排出デバイス。
【請求項4】
前記駆動手段(21)は、前記ベンチュリーノズルの前記流入部(15)への流入口において、前記流入端部(6)の上流でかつ前記流入端部(6)の近傍の領域内に配置される、請求項2または請求項3に記載の排出デバイス。
【請求項5】
前記駆動手段は、液体リザーバに対する接続のために配置されかつ前記ダクト(2)内に、噴霧された液体を送るよう構成された一つ以上の水気化ノズル(21)を備える、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の排出デバイス。
【請求項6】
前記駆動手段は、前記流入部(15)への流入口においてホルダー(22)内に配置された複数の水気化ノズル(21)を備え、前記水気化ノズル(21)は、水リザーバ(36)との流体連通(23,25)のために配置される、請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の排出デバイス。
【請求項7】
前記排出デバイスが待機状態のときに前記流入端部(6)を解放可能に遮断するための流入蓋(10)および前記流出端部(8)を解放可能に遮断するための流出蓋(11)と、前記排出デバイスが作動状態とさせられたときに前記流入蓋および流出蓋(10,11)を解放するための作動手段(24,26,27)と、をさらに備える、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の排出デバイス。
【請求項8】
前記作動手段は、加圧された水を作用させることによって動作させられることが可能であるよう配置された圧力作動プラグ(26)を備える、請求項7に記載の排出デバイス。
【請求項9】
前記バリアは、前記ベンチュリーノズルの前記流出部(16)と密封係合するよう構成された離隔プラグ(12)を備える、請求項2、請求項3、請求項4および請求項6のいずれか1項に記載の排出デバイス。
【請求項10】
前記流出蓋、前記バリアおよび前記流入蓋の解放可能な接続のための取り付け手段(13,20)をさらに備える、請求項7または請求項9に記載の排出デバイス。
【請求項11】
ルーム(R)内の火災を消火するためのシステムであって、
請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の排出デバイス(1)と、水噴霧ノズル(39)と、を備え、前記排出デバイス(1)および前記水噴霧ノズル(39)はいずれも壁(3)内に配置されると共に水リザーバ(36)と流体連通状態であり、かつ、温度および/または煙検知手段(34)に関連付けられており、前記水リザーバは、前記排出デバイスおよび前記水噴霧ノズル(39)への水供給のための制御ユニットを備えた前記検知手段(34)との通信のために配置された受信手段(35;35’)と関連付けられている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災を消火し、ガスを除去するためのデバイスに関する。より正確には、本発明は、独立請求項1の前文に記載されたような排出デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
火災に対処するためのさまざまなデバイスおよびシステムが知られている。特許文献1には、突発した火災を消火するためのシステムが記載されている。このシステムは、炎が燃え上がったときに天井の下に集まる発燃焼性物質ガスを吸い出す。サーモスタットが所定の温度でシステムを作動させ、そして停止させ、あるいは火災現場を調べ、確かめた後に作業員によってシステムが作動および停止させられる。水または液体の形態のガスが、ノズルから出て、排出器内を後方へと、ルームから、そしてドレインまたはその他のシステムを流れ落ちる。負圧が生成され、これによってガスが外に輸送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ノルウェー国特許出願公開第20111013号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記先行技術の改良であり、さらにそれ以外の利点を導入する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は独立請求項に記載されかつ特徴付けられるが、従属請求項は本発明のその他の特徴を提示する。
【0006】
したがって、ルームからガスおよび/または粒子を輸送するための排出デバイスであって、流入端部がルームの内側に面する壁の面上に配置されるようにかつ流出端部がルームの外部に配置されるようにルームの壁内に設置するための取り付け手段を備えており、排出デバイスは、流入端部と流出端部との間に延在するダクトを備えており、排出デバイスが待機状態にあるとき、それを密封するためにダクト内に取り外し可能に取り付けられたバリアと、排出デバイスが作動状態にあるとき、ダクトを通る流体の少なくとも一つの流れを案内するよう配置された駆動手段とによって特徴付けられる排出デバイスが提供される。
【0007】
一実施形態では、ダクトは、流入部と流出部と中間テーパー部とを備えたベンチュリーノズルを備え、流入部は流入端部と流体連通状態であり、かつ、流出部は流出端部と流体連通状態である。一実施形態においては、駆動手段は、テーパー部の上流に配置される。駆動手段は、ベンチュリーノズルの流入部への流入口において、流入端部の上流でかつ流入端部近傍の領域内に配置されてもよい。
【0008】
一実施形態では、駆動手段は、液体リザーバに対する接続のために配置されかつダクト内に霧化された液体を送り込むよう構成された一つ以上のノズルを備える。駆動手段は、流入部への流入口においてホルダー内に配置された複数の水気化ノズルを備え、この水噴霧ノズルは、水リザーバとの流体連通のために配置されてもよい。
【0009】
一実施形態では、排出デバイスは、当該排出デバイスが待機状態のときに流入端部を解放可能に遮断するための流入蓋および流出端部を解放可能に遮断するための流出蓋と、排出デバイスが作動状態とさせられたときに流入および流出蓋を解放するための作動手段とを備える。作動手段は、加圧された水を作用させることによって動作させられることが可能であるよう配置された圧力作動プラグを備えてもよい。
【0010】
一実施形態では、バリアは、ベンチュリーノズルの流出部と密封係合するよう構成された離隔プラグを備える。排出デバイスはさらに、流出蓋、バリアおよび流入蓋の解放可能な接続のための取り付け手段を備える。
【0011】
ルーム内の火災を消火するためのシステムもまた提供されるが、これは本発明に係る排出デバイスと水噴霧ノズルによって特徴付けられ、排出デバイスおよび水噴霧ノズルはいずれも壁内に配置されると共に水リザーバと流体連通状態であり、かつ、温度および/または煙検知手段に関連付けられており、水リザーバは、排出デバイスおよび水噴霧ノズルへの水供給のための制御ユニットを備えた検知手段との通信のために配置された受信手段と関連付けられる。
【0012】
本発明の上記およびその他の特徴は、添付図面を参照して非限定的な例として提示される好ましい実施形態に関する以下の記載において、さらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】壁に取り付けられかつ作動状態にある、本発明に係る排出デバイスの一実施形態の斜視図である。
【
図2】流出端部から見て待機状態の
図1の排出デバイスを示す図である。
【
図3】流入端部から見て待機状態の
図1の排出デバイスを示す図である。
【
図4】
図2の切断線A−Aに沿った排出デバイスの斜視図である。
【
図5】
図2の切断線A−Aに沿った排出デバイスの斜視図である。
【
図6】
図2の切断線A−Aの方向に見た断面図である。
【
図7】
図3の切断線B−Bの方向に見た断面図である。
【
図8a】正面から見たノズルホルダーの斜視図である。
【
図8b】背面から見たノズルホルダーの斜視図である。
【
図10a】
図9に示すノズルホルダーの部的透視側面図である。
【
図11a】非取り付け状態での排出デバイスの斜視図である。
【
図11b】非取り付け状態での排出デバイスの斜視図である。
【
図13】作動状態にある排出デバイスを通る流れを示す図である。
【
図14】壁に取り付けられかつ噴霧デバイス、センサーおよび煙を排出して火に対処するためのシステムへの水供給源と関連付けられた、本発明に係る排出デバイスの概略図である。
【
図15】
図14に対応する図であり、煙を排出しかつ火に対処するためのいくつかのシステムがどのようにして一列に接続されるかを示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜3を参照すると、図示された実施形態では、本発明に係る排出デバイス1はダクト2を備えているが、これは、排出デバイスが壁3に取り付けられたとき、以下で説明する方法で、壁面4から別の壁面5へとガスを導くように配置されている。第1の壁面4は、例えばルームの壁であってもよいので、以下では、それを内面4とも称する。したがって、他方の壁面5は、以下では、外面5とも称する。内面および外面は必ずしも同じ壁の表面である必要はなく、その間にそれを通ってダクトが延びるルームが存在してもよいことに留意されたい。ダクトの流入端部6は、内側フィッティング7によって内面に取り付けられ、ダクトの流出端部8は外側フィッティング9によって外面に取り付けられる。壁に対するこれらフィッティングの取り付けは本質的に公知の方法でなされるので、これ以上詳細には説明しない。
【0015】
排出デバイスが作動状態にあるときにガスが吸い込まれる流入端部6は、内側フィッティング7に対して回動可能に取り付けられた流入蓋10を備える。排出デバイスが作動状態にあるときにガスが放出される流出端部8は流出蓋11を備える。流出蓋11は、後述する方法で、スプリング20およびロッド13を介して、離隔プラグ12に連結されている。
【0016】
図1は作動状態の排出デバイスを示しており、すなわち、流入蓋10は開放ポジションへと(ピボットピン14を中心として)回動させられ、そして離隔プラグ12および流出蓋11は排出デバイスから取り外されており、この結果、ダクト2は開放状態である。
図2および
図3は、それぞれ流出端部(外面)および流入端部(内面)から見た待機状態の排出デバイスを示しており、そしてダクトが閉じられるように流出蓋11および流入蓋10をそれぞれ閉鎖ポジションで示している。
【0017】
ここで、いずれも壁3に取り付けれかつ待機状態の排出デバイス1を示す
図4および
図5を参照する。これらの図はまた、ダクト2の内部形状が、流入部15、流出部16および中間テーパー部17を有するベンチュリーノズルのように形成されていることを示している。離隔プラグ12は円錐台形状を有し、それはベンチュリーノズルの流出部16内に嵌る。上記ロッド13は離隔プラグ12を貫通し、それに対して固定される。ロッドの一端部(内側端部)は、図示のポジションにおいてはV字形溝19を有するフィッティングに取り付けられたヘッド18を有する。V字形溝を有するフィッティングは、流入蓋10に取り付けられるか、あるいはその一体部分である。ヘッド18と離隔プラグ12との間のロッド13の長さは、流入部15の軸方向の長さに適合しているので、離隔プラグは、
図4および
図5に示すように、ヘッド18と溝19との間の係合によって適所にて保持される。このようにして離隔プラグ12はダクト2を密封し、そしてそれは欠陥のない空気離隔材料から形成されるので、それは内面4と外面5とを互いに離隔する。
【0018】
離隔プラグ12の他方の側において、ロッド13はスプリング20の一端部に連結される。スプリング20の他端部は流出蓋11に連結される。スプリング20の長さと、そのバネ定数は、それが
図4および
図5に示すように取り付けられたときスプリング20が引き伸ばされるように適合させられる。したがって排出デバイスの待機状態では、流出蓋11はスプリング20の付勢力によって外側フィッティング9に向かって引っ張られる。
【0019】
(以下で説明する方法で)排出デバイスが作動させられると、流入蓋10は、ピボットピン14を中心として
図1に示す開放ポジションへと回動させられる。この回動動作によって、V字形溝19はヘッド18から離れる方向に移動させられ、この結果、ロッド13はその端部において解放される。ロッド13は、いま、その内側端部において連結解除されているので、スプリング20の蓄えられた付勢力は離隔プラグ12を流出蓋11に向って引っ張り、この結果、離隔プラグ12および流出蓋11の両方が(
図1に示すように)排出デバイスから解放され、実際には落下する。このようにしてダクト2が開かれる。
【0020】
ここで
図6を参照するが、これはまた排出デバイスを待機状態で示しており、離隔プラグ12はベンチュリーノズルの流出部16内で適所に存在し、かつ、流入および流出蓋10,11は各端部において適所に存在する。それがまた
図1に示されるように、ノズルがベンチュリーノズルの流入端部15よりも前方において流入端部の周りにリング状に配置されるように、多数のノズル21は、流入端部6において内側フィッティング7に取り付けられたノズルホルダー22に配置される。本質的に公知のタイプであるノズルはリザーバ(図示せず)に接続され、そして流入部15内に液体(例えば霧化された水)を噴射するように配置される。ノズル21の中心線は、好ましくは、流入部15の表面(壁)に対して平行であり、かつ、そこから距離gだけ離れている。このようにして水が壁から出てくる。
図6に示す実施形態では、流入部15の角度αは16.7°であり、直径dは220mmであり、ベンチュリーノズルの長さlは400mmであり、テーパー部17とノズル21の流出開口23との間の距離aは100mmであり、そしてgは10mmである。
【0021】
図8bに示すように、ノズル21には、ノズルホルダー22内に配置された供給ダクト23を介して液体(好ましくは水)が供給される。供給ダクト23は、流入口25(例えば、
図6,9,13参照)を介して、公知のタイプの適切な圧力調整器を備えた消火水供給システムのような外部水リザーバ(
図8bには図示せず)に対して接続されてもよい。供給ダクト23はまた、
図9および
図10a〜cに示されている。
【0022】
ここで、排出デバイスの作動、すなわち待機状態から作動状態への移行について説明する。上述したように、流入蓋10は、ピボットピン14を中心として回動可能である。排出デバイスが待機状態にあるとき、流入蓋10は、その閉鎖ポジションでロックピン24によって適所で保持されるが、これは流入蓋の回動を防止する。(その待機状態の排出デバイスを示す)
図7を特に参照すると、ロックピン24の外側端部24’は流入蓋10の孔を通って延びている。圧縮スプリング32がロックピンによって支持された状態で示されている。この圧縮スプリングはオプションであり、もしそれが使用される場合には、ロックピンの滑らかな軸方向の動きを妨げるほど硬いものであってはならない。ロックピン24は、ノズルホルダー22内に延在すると共に後方に存在する作動プラグ26に当接するヘッド24''を備える。作動プラグ26は、流入口25内に延在してこれを塞ぐオーバーハング部27を有する。排気デバイスが作動させられるべきとき、加圧された水が供給ダクト23内に導かれる。この水は、オーバーハング部27および水に曝された作動プラグ26の残りの部に衝突し、そして作動プラグ26を(
図7中、右側へと)ロックピンのヘッド24''に対して押し付ける。作動プラグ26は、それがシート28に衝突するまで移動する。作動プラグの移動は、ロックピンのヘッド24''を流入蓋10の相補的形状のリセス29内へと押しやり、その結果、ロックピン24がノズルホルダーから解放され、そして流入蓋10はピボットピン14の周りを回転することができる。同時に、水が、供給ダクト23内を、さらにノズル21を通って、流入部16内へと、そしてベンチュリーノズルを通って流れる。ベンチュリーノズルを通るこの霧化された水の流れはまた、この時点で離隔プラグが上記のようにして完全に移動させられていない場合には、離隔プラグ12を排出デバイスから押し出すのに貢献する。
【0023】
排出デバイスが壁に取り付けられる場合、流入蓋10は、自重によって(
図1に示す)開放ポジションへと落下(回転)することができる。この回転動作を改善するために、図示された実施形態は、例えば
図12aおよび
図12bに示すように、相補的溝31内に配置された回転スプリング30を備える。
【0024】
したがって、排出デバイスは、待機状態では、受動的であり、従来の消火デバイスの場合のように一定の水圧下に置かれない。水は、水供給源のさらに上流の、例えば圧力調整器(図示せず)内またはその近傍のバルブ(図示せず)が(煙および/または温度センサーからの)センサー信号または手動信号を受信して開放されたときにのみ、給水ダクト23に供給される。望ましい場合には、排出デバイスがその待機状態にあるときに空間V内に真空が確立されてもよい。
【0025】
図11aおよび
図11bは、本発明に係る排出デバイスの変形例を示しており、ここで、二つの伸縮チューブ33a,bがフィッティング7,9間に配置されている。伸縮チューブの一方33aは、本質的に、ベンチュリーノズルの流出部16の外側を形成する。したがって、排出デバイスは、設置中に、現場の実際の壁厚に適合させることができる。壁への取り付けは、必要に応じて、取り付け手段、シーリングコンパウンド、断熱フォームなどを使用することによって、本質的に公知の様式で実施される。
【0026】
図13は、作動状態および作動中の排出デバイスを示す。上述したように、水Wは、ベンチュリーノズルの流入部15への流入によって位置決めされるノズル21から噴出させられる。水は、好ましくは、霧化された水として液滴の形態で噴出される。0.5mmの液滴サイズが適切であることが判明している。周囲の空気と混合された霧化された水がベンチュリーノズルの流入部15、テーパー部17および流出部16を通過するとき、ベンチュリーノズルによってガスと霧化された水との混合が加速され、ベンチュリーバルブの流入部15およびその上流に負圧が形成される。このベンチュリー効果により、ベンチュリーノズルの上流の、すなわち排出デバイスのダクト2および流入端部6の上流のガス(空気、煙など)および浮遊粒子は、排出デバイス内にかつそれを通って引き込まれる。さらに、気化された水は粒子(例えば煤)を結合し、排出デバイスを通過するガスの冷却に貢献する。
【0027】
排出デバイスの二つの変形例について、以下の寸法および動作パラメータで計算を行った。
・液滴サイズ:0.5mm
・水温in:8°C
・ベンチュリーノズル壁からのノズル口距離(g):10mm
・(流入部への流入口における)上流空気温度:500℃
【0029】
二つの異なるノズル形態に関する計算結果は以下の通りである。
【0031】
計算によれば、(流入部の手前でノズル口が流入部の壁と平行にかつそこから離間して配向される)上記様式でノズルを配置することによって非常に良好な吸引効果および冷却効果、ならびに最適な(長い)蒸発長さがもたらされる。
【0032】
図14は、壁3に取り付けられかつ(本質的に公知のタイプの水噴霧ノズルであってもよい)噴霧デバイス39に関連付けられた排出デバイス1を示す。排出デバイスおよび噴霧デバイスは両方とも、(図示しないバルブおよび圧力調整器を備えた)水リザーバ36および供給導管37に接続されている。排出デバイスの流入口に接続されたパイプ40が水リザーバから延びている。本質的に公知のタイプの火災および/または煙センサー34は、ルームRの天井に配置され、水リザーバにおいて受信機35と通信する。センサー34によって火災(高温、煙等)が検知されたとき、受信機35に指令信号が送られるが、これは水供給源にパイプ40を開放するために信号を送信する。排出デバイス1は、こうして、上述したように、待機状態から作動状態へと移行し、ルームRからガス(空気、煙および粒子)を輸送する。同時に、任意選択で別個に制御されて、噴霧デバイス39はルームR内に霧化された水を供給する。この霧化された水はルーム内でのガスの冷却に貢献する。図示されるように、噴霧デバイス39は、好ましくは、排気デバイスから距離を置いて配置され、したがって噴霧デバイスからの霧化された水は吸引デバイス内に直接吸入されない。
【0033】
図15は、煙を排出し、火災に対処するための複数のシステムがどのようにして一列に接続されるかを示している。各ルームRは、
図14を参照して上述したように、そして付加的に、それぞれのセンサー34から受信機35へと信号を送信するためのローカル受信機/送信機35’を備える。
【0034】
排出デバイスについて特定の寸法および動作パラメータを参照して説明したが、本発明は必ずしもこれらに限定されない。さらに、排出デバイスは、煙以外のガスを輸送するのに適していることを理解されたい。
【符号の説明】
【0035】
1 排出デバイス
2 ダクト
3 壁
4 壁面(内面)
5 壁面(外面)
6 流入端部
7 内側フィッティング
8 流出端部
9 外側フィッティング
10 流入蓋
11 流出蓋
12 離隔プラグ
13 ロッド
14 ピボットピン
15 流入部
16 流出部
17 中間テーパー部
18 ヘッド
19 溝
20 スプリング
21 水蒸発ノズル(駆動手段)
22 ノズルホルダー
23 供給ダクト
24 ロックピン(作動手段)
24’ 外側端部
24'' ヘッド
25 流入口
26 作動プラグ(作動手段)
27 オーバーハング部
28 シート
29 相補的形状のリセス
30 回転スプリング
31 相補的溝
32 圧縮スプリング
33a,b 伸縮チューブ
34 煙センサー
35 受信機
35’ ローカル受信機/送信機
36 水リザーバ
37 供給導管
39 噴霧デバイス
40 パイプ