(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6581192
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】累進型眼科用レンズ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/06 20060101AFI20190912BHJP
【FI】
G02C7/06
【請求項の数】16
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-521303(P2017-521303)
(86)(22)【出願日】2015年7月8日
(65)【公表番号】特表2017-524992(P2017-524992A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】EP2015065575
(87)【国際公開番号】WO2016005437
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2018年6月21日
(31)【優先権主張番号】P201431028
(32)【優先日】2014年7月9日
(33)【優先権主張国】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】517005983
【氏名又は名称】オプトメトリック エアー レンズ.エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴロチャテギ サラベリア,ジョセバ
【審査官】
植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】
特表2014−505908(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/001495(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/001494(WO,A1)
【文献】
特表2010−532697(JP,A)
【文献】
特表2006−513460(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0184830(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
優位眼及び非優位眼を有するユーザのための少なくとも1つの累進型眼科レンズの設計方法であって、
前記優位眼のためのレンズのための第1のインセットを決定することと、
前記ユーザの斜位の測定値を決定することと、
前記第1のインセット及び前記斜位の測定値に基づいて前記非優位眼のためのレンズのための第2のインセットを決定することと、
前記第2のインセットに従って前記非優位眼のためのレンズを設計することを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記優位眼のためのレンズのための前記第1のインセットを決定することが、2〜3mmの固定値を有する前記第1のインセットを決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記優位眼のためのレンズのための前記第1のインセットを決定することが、2.5mmの固定値を有する前記第1のインセットを決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記ユーザの遠方用瞳孔間距離の測定値を決定することと、
前記ユーザの近方用瞳孔間距離の測定値を決定することと、
前記ユーザに対して予め決定された近方視力のための度に応じて作業距離の測定値を決定することと、
前記ユーザに対して選択されたメガネフレームに応じて頂点間距離の測定値を決定することを更に含み、
前記優位眼のためのレンズのための前記第1のインセットを決定することが、前記遠方用瞳孔間距離、前記近方用瞳孔間距離、前記作業距離、及び前記頂点間距離のそれぞれの測定値に応じて前記第1のインセットを決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項
4に記載の方法であって、
前記遠方用瞳孔間距離、前記近方用瞳孔間距離、前記作業距離、及び前記頂点間距離のそれぞれの測定値に応じて前記第1のインセットを決定することが、以下の式に従って前記第1のインセットを決定することを含むことを特徴とする方法。
(式1)
式中、
inset_domは、前記優位眼
のためのレンズのための前記第1のインセットであり、
FIPDは、前記遠方用瞳孔間距離の測定値であり、
NIPDは、前記近方用瞳孔間距離の測定値であり、
WDは、予め決定された近方視力のための度に応じた前記作業距離の測定値であり、
VDは、前記頂点間距離の測定値である。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか一項に記載の方法であって、
前記非優位眼のためのレンズのための前記第2のインセットを決定することが、以下の式に従って前記第2のインセットを決定することを含むことを特徴とする方法。
(式2)
式中、
inset_nondomは、前記ユーザの前記非優位眼
のためのレンズのための前記第2のインセットであり、
inset_domは、前記ユーザの前記優位眼
のためのレンズのための前記第1のインセットであり、
Phは、前記ユーザの前記斜位の測定値である。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法であって、
前記ユーザの近方用瞳孔間距離の測定値を決定することと、
前記ユーザに対して予め決定された近方視力のための度に応じて作業距離の測定値を決定することと、
前記ユーザに対して選択されたメガネフレームに応じて頂点間距離の測定値を決定することを更に含み、
前記非優位眼のためのレンズのための前記第2のインセットを決定することが、前記第1のインセット並びに前記近方用瞳孔間距離、前記作業距離、及び前記頂点間距離のそれぞれの測定値に応じて前記第2のインセットを決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項
7に記載の方法であって、
前記第1のインセット並びに前記近方用瞳孔間距離、前記作業距離、及び前記頂点間距離のそれぞれの測定値に応じて前記第2のインセットを決定することが、以下の式に従って前記第2のインセットを決定することを含むことを特徴とする方法。
(式3)
式中、
inset_nondomは、前記非優位眼
のためのレンズのための前記第2のインセットであり、
inset_domは、前記優位眼
のためのレンズのための前記第1のインセットであり、
NIPDは、前記近方用瞳孔間距離の測定値であり、
WDは、予め決定された近方視力のための度に応じた前記作業距離の測定値であり、
VDは、前記頂点間距離の測定値であり、
Phは、前記ユーザの前記斜位の測定値である。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1のインセットにより前記優位眼のためのレンズを設計することを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
少なくとも1つの累進型眼科レンズの製造方法であって、
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実施することによって少なくとも1つの累進型眼科レンズを設計することと、
前記少なくとも1つの累進型眼科レンズの設計の結果によって前記少なくとも1つの累進型眼科レンズを製造することを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
優位眼及び非優位眼を有するユーザのための少なくとも1つの累進型眼科レンズを設計するためのシステムであって、
前記優位眼のためのレンズのための第1のインセットを決定するためのコンピュータ/電子的手段と、
前記ユーザの斜位の測定値を決定するためのコンピュータ/電子的手段と、
前記第1のインセット及び前記斜位の測定値に基づいて前記非優位眼のためのレンズのための第2のインセットを決定するためのコンピュータ/電子的手段と、
前記第2のインセットに従って前記非優位眼のためのレンズを設計するためのコンピュータ/電子的手段を含むことを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載の少なくとも1つの累進型眼科レンズを設計するためのシステムであって、
前記第1のインセットにより前記優位眼のためのレンズを設計するためのコンピュータ/電子的手段を更に含むことを特徴とするシステム。
【請求項13】
メモリ及びプロセッサを有するコンピュータシステムであって、
前記メモリは、前記プロセッサによって実行可能なコンピュータプログラム命令を記憶し、
前記命令は、請求項1から9のいずれか一項に記載の設計方法を実行するための機能を有することを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか一項に記載の設計方法をシステムに実行させるプログラム命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
記録手段内に格納されていることを特徴とする請求項14に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
キャリア信号によって搬送されることを特徴とする請求項14に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの累進型眼科レンズの設計方法、及び前記設計方法の実施に適したシステム、コンピュータシステム及びコンピュータプログラム製品に関する。
【0002】
本発明はまた、前記設計方法によって設計された累進型眼科レンズに関する。
【背景技術】
【0003】
ユーザが必要とする特定の視覚障害の補償に対応する、正(凸)又は負(凹)の少なくとも1つの強度を有する眼科用レンズを、ユーザに対して予め決定することができる。このような視覚障害の一例として乱視が挙げられる。眼科用レンズは、所定の度と眼鏡フレームに対するユーザの眼の相対的位置(頂点間距離)に応じて、眼鏡フレームに適合させることができる。
【0004】
老眼の人(眼精疲労を有するユーザ)の場合、このタイプのユーザが通常有する調節の困難さを考慮して、(近方視力と遠方視力に対して)異なる度を有するレンズを予め決定することができる。これらの累進型レンズでは、レンズの頂部において遠方視力に対応する度が定められ、その度が下方へ累進的に増加してゆきレンズの底部おいて近方視力のための度を達成するようにできる。
【0005】
検眼は、視力障害の予防、診断、治療及び矯正の措置を講ずることを通して視力に関する健康の一次ケアを担う科学として定義付けることができる。
【0006】
眼鏡、特に眼鏡の累進型レンズの最適な特性を決定するために、眼鏡を着用するユーザは、通常は検眼検査を受ける。この検査は、その目的を達成するために異なる技術及び装置を用いて実施することができ、その結果、ユーザに関連する様々な検眼パラメータを得ることができる。
【0007】
このような検眼パラメータの典型的な例として、近方視力用及び遠方視力用の度、遠方用瞳孔間距離、作業距離(予め決定された近方視力に対する度を考慮に入れることができる)、特定の眼鏡フレームの頂点間距離、優位眼の特定等が挙げられる。
【0008】
通常、人間は優位眼と非優位眼を有する。優位眼は、より強い視力を有する眼であり、従って深い視野において重要となる。非優位眼は、通常は、周辺視覚及び空間視覚において重要となる。それらの相互作用により、脳が三次元画像を受け取ることになる。通常、優位眼は、顕微鏡、カメラ、又は一方の目のみが使用されるあらゆる作業で目視のために使用される目である。
【0009】
近距離用瞳孔間距離に関するパラメータは、ユーザがユーザの目に近い位置にある物体を見ているときのユーザの瞳孔の中心間の距離の測定値として定義することができる。
【0010】
遠方用瞳孔間距離に関するパラメータは、ユーザがユーザの目から遠い位置にある物体を見ているときの、ユーザの瞳孔の中心間の距離の測定値として定義することができる。
【0011】
作業距離(予め決定された近方視力に対する度を考慮に入れることができる)に関するパラメータは、ユーザの目とユーザにとって習慣的/快適な作業領域との間の距離(例えば読書距離)として定義することができる。
【0012】
(ある眼鏡フレームの)基準間距離に関するパラメータは、眼の前面と眼鏡フレームに取り付けられたレンズの後面との間の距離の測定値として定義することができる。
【0013】
これらの全ての検眼パラメータは広く知られ、検眼の分野で使用されており、多くの場合検眼技術者によってその値が実質的に曖昧さなく明確に解釈されるような基準に基づいている。
【0014】
累進型レンズでは、遠方視力のための度の位置に対する近方視力の度の位置を、水平方向の変位として表したものをインセットと称する。従来の累進型レンズでは、通常は、固定値が標準(基準)として受け入れられている。これらのインセットの一部は、例えば作業距離及び予め決定された値(度)によって眼の輻輳についての多くの制限を生じさせることがある。
【0015】
従って、ユーザが、通常の両眼視力を有し、かつおそらく他の臨床パラメータが正常な場合であっても累進式レンズに適応するのが困難となることが多い。累進型レンズへの不適応を示す臨床的症例として、斜視、弱視、不同視、目の輻輳機能不全、網膜病変等が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、少なくとも1つの累進型眼科用レンズを設計するための新規な方法、システム、コンピュータシステム及びコンピュータプログラム製品、並びにこのようなタイプのレンズへのユーザの適応を改善する新規な累進型眼科用レンズが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第一の態様では、優位眼及び非優位眼を有するユーザのための少なくとも1つの累進型眼科レンズの設計方法が提供される。前記方法は、前記優位眼のためのレンズのための第1のインセットを決定することと、前記ユーザの斜位の測定値を決定することと、前記第1のインセット及び前記斜位の測定値に基づいて前記非優位眼のためのレンズのための第2のインセットを決定することを含む。前記方法は更に、前記第2のインセットによって前記非優位眼のためのレンズを設計することを含む。
【0018】
斜位は、視覚刺激がない場合に起こり得る視軸の潜在的な偏位として定義され得る。斜位は、像の融合が壊れた両眼視における眼の回転位置によって定められる状態であり得る。斜位は、自発的に又はある種の技法を介して誘発される弛緩状態であり得、この状態では、両方の目が、瞬間的に他方の目との協調を失い、視覚刺激を維持しながら脳内で像を一体化しなくなる。
【0019】
斜位及び(優位眼のレンズのための)第1のインセットに応じて非優位眼のためのレンズのための第2のインセットを決定することによって、ユーザに対してより有益な設計が可能となる。具体的には、この第2のインセット(斜位及び優位眼のレンズのための第1のインセット応じた第2のインセット)により、融像余力のための過剰な要求に従ってユーザの固視を動かす必要をなくすことができる。従って、レンズへの適合性が低いためにユーザが視覚障害を被るリスクが低減される。
【0020】
優位眼のレンズのための第1のインセットの決定は、異なる既知の検眼技術/装置を介して行うことができる。一部の実施例では、前記優位眼のレンズのための前記第1のインセットを決定することが、2〜3mm、好ましくは2.5mmの固定値を有する第1のインセットを決定することを含むことができる。以下、前記優位眼のレンズの第1のインセットを決定する他の方法について説明する。
【0021】
優位眼レンズの第1のインセットを決定すると、(優位眼のレンズのための)第1のインセット及び(非優位眼のための)斜位の測定値に基づいて非優位眼のレンズのための第2のインセットが決定される。この斜位の測定値は、その目的を達成するための既知のユーザの検眼検査の技術/装置に基づいて様々な方法で決定することができる。
【0022】
提案された方法に関連して、斜位の測定値の決定は、例えば、患者の検眼データのデータベースからの検索、検眼担当者(又は他の適切な人物)による前記方法への対応する値の提供等を含み得る。検眼医による斜位の測定値の提供は、例えばキーボード、タッチスクリーン等の任意の既知のデータ入力手段によって実行することができる。
【0023】
優位眼のレンズのための第1のインセットと非優位眼のレンズのための第2のインセットが得られたら、レンズの設計の1つ以上の更なる態様は、レンズの設計を完了するための任意の既知の技術によって決定することができる。
【0024】
一部の実施例によれば、前記方法は、前記ユーザの遠方用瞳孔間距離の測定値を決定することと、前記ユーザの近方用瞳孔間距離の測定値を決定することと、前記ユーザに対して予め決定された近方視力のための度に応じて作業距離の測定値を決定することと、前記ユーザに対して選択されたメガネフレームに応じて頂点間距離の測定値を決定することを更に含み得る。前記作業距離の測定値は、予め決定された近方視力に応じて決定され得る。前記頂点間距離の測定値は、前記ユーザに対して選択されたメガネフレームに応じて決定され得る。従って、前記優位眼のためのレンズのための前記第1のインセットは、前記遠方用瞳孔間距離、前記近方用瞳孔間距離、前記作業距離、及び前記頂点間距離のそれぞれの測定値に応じて決定され得る。
【0025】
具体的には、前記優位眼のためのレンズのための前記第1のインセットは、以下の式によって決定され得る。
【0026】
【数1】
(式1)
式中、
inset_domは、前記優位眼のレンズのための前記第1のインセットであり、
FIPDは、前記遠方用瞳孔間距離の測定値であり、
NIPDは、前記近方用瞳孔間距離の測定値であり、
WDは、予め決定された近方視力のための度に応じた前記作業距離の測定値であり、
VDは、前記頂点間距離の測定値である。
【0027】
式1は、後述するように、適切な数学的モデルから導くことができる。この式1は、前述のように固定値(例えば、2.5mm)の属性に関して、優位眼のレンズのための第1のインセットを決定する代替的な方法を構成する。
【0028】
前記遠方用瞳孔間距離(式1中のFIPD)及び近方用瞳孔間距離(式1中のNIPD)、作業距離(式1中のWD)、及び頂点間距離(式1中のVD)は、ユーザの検眼検査によって前もって得られたものであり得る。この検査は、任意の既知の視力検査技術によって実施することができる。
【0029】
一部の実施例に関連して、前記遠方用瞳孔間距離(FIPD)、前記近方用瞳孔間距離(NIPD)、前記作業距離(WD)、及び前記頂点間距離(VD)を決定することは、例えば、ユーザの検眼データのデータベースからの検索、検眼担当者(又は他の適切な人物)による前記設計方法への(例えばキーボード、タッチスクリーン等を使用した)それらの値の提供等を含み得る。
【0030】
一部の実施例では、前記非優位眼のためのレンズのための前記第2インセットが、以下の式に従って決定され得る。
【0031】
【数2】
(式2)
式中、
inset_nondomは、前記ユーザの前記非優位眼のレンズのための前記第2のインセットであり、
inset_domは、前記ユーザの前記優位眼のレンズのための前記第1のインセットであり、
Phは、前記ユーザの前記斜位の測定値である。
【0032】
式2は、後述するように、適切な数学的モデルから導くことができる。
【0033】
式2に基づく実施例に対する代替的実施例では、前記方法が、近方用瞳孔間距離の測定値、作業距離の測定値、及び頂点間距離の測定値を決定することを更に含み得る。従って、前記非優位眼のレンズのための前記第2のインセットが更に、これらの測定値に応じて決定され得る。前記作業距離の測定値は、前記ユーザに対して予め決定された近方視力のための度に応じて決定され得、前記頂点間距離の測定値は、前記ユーザに対して選択されたメガネフレームに応じて決定され得る。
【0034】
近方用瞳孔間距離、作業距離、及び頂点間距離のこれらの測定値は、前記優位眼のレンズのための前記第1のインセットを(例えば式1によって)決定するためにこれらの測定値を使用した実施例に関連して前述した近方用瞳孔間距離、作業距離、及び頂点間距離の測定値と同一の測定値であり得る。これらの特定の場合には、これらの測定値の各々について1回のみの決定で、(優位眼のレンズのための)第1のインセットと(非優位眼のレンズのための)第2のインセットの両方を決定するために十分である。
【0035】
一部の実施例では、(優位眼のレンズのための)前記第1のインセット並びに前記近方用瞳孔間距離、前記作業距離、及び前記頂点間距離のそれぞれの測定値に応じた(非優位眼のレンズのための)第2のインセットの決定が、以下の式に従って行われ得る。
【0036】
【数3】
(式3)
式中、
inset_nondomは、前記非優位眼のレンズのための前記第2のインセットであり、
inset_domは、前記優位眼のレンズのための前記第1のインセットであり、
NIPDは、前記近方用瞳孔間距離の測定値であり、
WDは、予め決定された近方視力のための度に応じた前記作業距離の測定値であり、
VDは、前記頂点間距離の測定値であり、
Phは、前記ユーザの前記斜位の測定値である。
【0037】
式3は、後述するように、適切な数学的モデルから導くことができる。
【0038】
一部の実施例によれば、前記設計方法は、前記第1のインセットによって前記優位眼のためのレンズを設計することを更に含み得る。
【0039】
一部の実施例では、少なくとも1つの累進型眼科用レンズを製造する方法も提供され得る。この製造方法は、前述の設計方法のいずれかを実行することによって前記少なくとも1つの累進型眼科用レンズを設計することを含み得る。この製造方法は、前記少なくとも1つの累進型眼科用レンズを設計した結果によって、前記少なくとも1つの累進型眼科用レンズを製造することを更に含み得る。
【0040】
第2の態様では、優位眼及び非優位眼を有するユーザのための少なくとも1つの累進型眼科レンズを設計するためのシステムが提供される。このシステムは、前記優位眼のためのレンズのための第1のインセットを決定するためのコンピュータ/電子的手段と、前記ユーザの斜位の測定値を決定するためのコンピュータ/電子的手段を含む。このシステムは更に、前記第1のインセット及び前記斜位の測定値に基づいて前記非優位眼のためのレンズのための第2のインセットを決定するためのコンピュータ/電子的手段と、前記第2のインセットに従って前記非優位眼のためのレンズを設計するためのコンピュータ/電子的手段を含み得る。
【0041】
一部の実施例では、前記少なくとも1つの累進型眼科レンズを設計するためのシステムは、前記第1のインセットにより前記優位眼のためのレンズを設計するためのコンピュータ/電子的手段を更に含み得る。
【0042】
第3の態様では、メモリ及びプロセッサを有するコンピュータシステムであって、前記メモリは、前記プロセッサによって実行可能なコンピュータプログラム命令を記憶し、前記命令は、前述のいずれかの設計方法を実行するための機能を有する、コンピュータシステムが提供される。
【0043】
第4の態様では、本発明は、前述のいずれかの設計方法を(コンピュータ)システムに実行させるプログラム命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。
【0044】
そのようなコンピュータプログラムは、記録手段、コンピュータメモリ、又は読み出し専用メモリなどの物理的記憶媒体に格納されても、又は電気的又は光学的な波などのキャリア波によって搬送されてもよい。
【0045】
第5の態様では、上記の設計方法のいずれかによって設計された、優位眼を更に有するユーザの非優位眼のための累進型眼科レンズが提供される。従って、この非優位眼のためのレンズは、前記優位眼のためのレンズのための第1のインセット及び前記ユーザの斜位の測定値に応じた第2のインセットを有する。
【0046】
一部の実施例では、眼鏡のための累進型眼科レンズの組が提供される。この累進型眼科レンズの組は、前述の前記非優位眼のためのレンズと、前記第1のインセットを有する前記優位眼のためのレンズを含む。
【0047】
本発明の特定の実施形態を、添付の図面を参照しつつ非限定的な実施例として後に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】ユーザの目及びその目に関連する視覚軸の視覚的表現を示す図である。
【
図2】
図1のものに類似する眼球の構成と、それに関連する種々の眼球の光学要素/パラメータを視覚的に表した図である。
【
図3】第1の実施例による、非優位眼のための累進型レンズのためのインセットを決定するのに適した数学的モデルを視覚的に表した図である。
【
図4】第2の実施例による、優位眼のための累進型レンズのためのインセット及び非優位眼のための累進型レンズのためのインセットを決定するのに適した数学的モデルを視覚的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の完全な理解を得られるようにするために、本発明の特定の詳細を以下に説明する。しかし、当業者は、本発明がこれらの特定の詳細の一部又は全部を用いず実施可能であることを理解されよう。更に、本発明の説明を不必要に複雑にしないために、一定の公知の要素については詳細に説明していない。
【0050】
図1には、近視の人(ユーザ/患者)の右目101及び左目100のグラフィックな表現が示されている。理論上の(近方)固視点102による左眼100の視軸103と、同じ論上の固視点102による右目101の視軸106が示されている。
【0051】
近方固視点は、ユーザに応じて、ユーザの斜位の値に応じて異なることがある。左目100の視軸103は、ユーザの斜位の値に応じて側頭骨側に(左の側頭骨に向かって)又は鼻側に(鼻に向かって)移動することがある。右目101の視軸106は、ユーザの斜位に応じて側頭骨側に(右の側頭骨に向かって)又は鼻側に移動することがある。
【0052】
理論上の視軸103、106の側頭骨側への(対応する側頭骨に向かう)動きを引き起こすタイプの斜位は、外斜位と呼ばれる。
図1には、外斜位によって生ずる左目100の視線軸104と、外斜位によって生ずる右目101の視線軸107とが示されている。
【0053】
理論上の視軸103、106の鼻側への(鼻に向かう)動きを引き起こし得るタイプの斜位は、内斜位と呼ばれる。
図1には、内斜位によって生ずる左眼100の視軸105と、内斜位によって生ずる右眼101の視軸108も示されている。
【0054】
外斜位及び内斜位の概念は、様々な実施例に関連して発明の詳細な説明の他の部分で使用される。
【0055】
図2は、
図1のものに類似する眼球の構成と、それに関連する種々の眼球の光学要素/パラメータを視覚的に表した図である。特に、この眼球の構成は、(
図1の)眼球100、101が2つの異なる状況、即ち、近方固視の第1の状況(
図1のものと同様)及び遠方固視の第2の状況にあるところが示されている。
【0056】
上述した近方固視の状況に関しては、右眼101の瞳の中心は視軸106上の位置210にあり、左眼100の瞳の中心は視軸103上の位置209にあり、両方の軸103、106を理論上の近方固視点102に応じて決まる。両瞳孔中心209、210の位置の間の距離202は、近辺用瞳孔間距離202と呼ばれる。
【0057】
上述した遠方固視の状況に関して、右目101の瞳の中心は、遠方視215の視軸上の位置211にあり、左目100の瞳孔の中心は、遠方視力214の視軸上の位置208にある。両瞳孔中心208、211の位置の間の距離203は、遠方用瞳孔間距離203と呼ばれる。
【0058】
図2には、右目101用の累進型眼科用レンズ201と左目100用の累進型眼科用レンズ200も示されている。これらのレンズ200、201は、ユーザに対して予め決定された近方視力の度と遠用視力の度とを有し得る。これらの度を予め決定することは、任意の既知の視力測定技術によって実施され得る。
【0059】
図2はまた、作業距離213及び頂点間距離212も示す。作業距離213は、ユーザの目100、101と、ユーザにとって習慣的/快適な作業領域102との間の距離(例えば読書距離)に対応する。この作業距離213は、ユーザに対して予め決定された近方視力の度を考慮するか否かに応じて1つの距離又は別の距離となり得る。
【0060】
(ある眼鏡フレームの)頂点間距離212は、眼100、101の前面と眼鏡フレーム上に取り付けられたレンズ200、201の後面との間の距離に対応する。
【0061】
図2には、左目100の近方視点205(近方視の視軸103とレンズ200の交点)と遠方視点204(遠方視の視軸214とレンズ200の交点)も示されている。同様に、右目101の近方視点206(近方視の視力軸106とレンズ201との交点)と、遠方視点207(遠方視の視軸215とレンズ201との交点)が示されている。
【0062】
左レンズ200の遠方視点204から近方視点205への変位216は、左レンズ200のインセット216であり、右のレンズ201の遠方視点207から近方視点206への変位217は、左レンズ201のインセット217である。
【0063】
近方用瞳孔間距離202、遠方用瞳孔間距離203、頂点間距離212、作業距離213及びインセット216、217の概念は、様々な実施例に関連して発明の詳細な説明の他の部分で使用される。
【0064】
図3は、第1の実施例による、ユーザの非優先眼の累進型眼科用レンズのインセットを決定するために適した数学的モデルのグラフィックな表現を示す。
【0065】
このモデルは、3つの主な要素、即ち理論上の視軸303、前記軸303上の線分AD、及び前記軸303に垂直な線分HBの表現に基づく。理論上の視軸303は、
図1及び
図2の軸103と同様であり、ユーザの優位眼に対する標準視軸(関連する斜位がない)を表すことができる。線分ADは、選択されたメガネフレームの頂点間距離を表すことができる。線分HBは、ユーザの非優位眼の斜位(例えば、プリズム・ジオプトリーで表される)の測定値Phを表すことができる。(なお、「AD」という記号は、後述の数式中で使用されるADの上側にバーを含む記号と同一の記号を意味する。以下、線分、距離等を表すために、数式中では上側のバー付きで記載される記号を、説明中では上側のバーなしで記載する。)
【0066】
図に示すように、これら3つの要素は、2つの直角三角形を定めることができる。第1の直角三角形は点A、D、及びGによって定められ、線分GDは視軸303、従って線分ADに対して垂直である。第2の直角三角形は点A、B、及びHによって定められ、線分HBは視軸303、従って線分ABに垂直である。
【0067】
点Hは、プリズム・ジオプトリーの概念から導出することができ、プリズム・ジオプトリーは眼科用プリズムによって生成される偏向度を特定する単位として定義され得る。従って、プリズム・ジオプトリーは、プリズムから1メートル離れた平面上における1cmの偏差を表す。
【0068】
プリズム・ジオプトリーのこの定義によれば、線分ABは1m(又は1000mm)の長さを有することができ、また線分HBは
図3でcm単位で表された斜位の測定値Phと実質的に等しい長さを有し得る。従って、mm単位の線分HBの長さは、Ph_mm=Ph×10(10倍してcm単位の数値をmm単位の数値に変換したもの)と実質的に等しいことになり得る。
【0069】
三角法の原理によれば、次の式が満たされなければならない。
【0070】
【数4】
(式4)
式中、
GDは、図の線分GDの長さを表し、
ADは、図の線分ADの長さを表し、
HBは、図の線分HBの長さを表し、
ABは、図の線分ABの長さを表す。
【0071】
ADの長さが(概ね)12mmに等しい長さであり得ると仮定すると、これは広く受容された標準の頂点間距離なので、式4は次のように表される。
【0073】
式5から、線分GDの長さは次の式によって得られることが導かれ得る。
【0075】
先の斜位、定義、プリズム・ジオプトリー、作業距離及びインセットの定義によれば、視軸303が優位眼のための標準(基準)視軸(関連する斜位なし)を表し得ることを考慮すると、GDの長さは、優位眼のためのインセットに対する非優位眼のためのインセットの偏位であることが理解されよう。
【0076】
従って、非優位眼のレンズのためのインセットは、次の式によって計算することができる。
【0077】
【数2】
(式2)
式中、
inset_nondomは、非優位眼のレンズのためのインセットであり、
inset_domは、優位眼のレンズのための前記第1のインセットであり、
Phは、ユーザに関連する斜位の値(cm単位)である。
【0078】
斜位の測定値Phは、優位眼のレンズのためのインセットinset_domが非優位眼のレンズのためのインセットinset_nondomよりも大きい場合である外斜位を反映すると正の符号を有し得る。斜位の測定値Phは、優位眼のレンズのためのインセットinset_domが非優位眼のレンズのためのインセットinset_nondomよりも小さい場合である内斜位を反映すると負の符号を有し得る。
【0079】
更に
図3を参照すると、当業者は、式2とは異なる他の式が、提示された数学的モデルから導かれ得ることを理解されよう。例えば、12mmとは異なる他の距離ADが仮定されてもよく、その場合、非優位眼のレンズのインセットを決定するための式2と類似の式が得られる。
【0080】
また、
図3に示すモデルは、ユーザの左目に関連していると解釈することができ、従って、非優位眼として左目のレンズのインセットを得るのに適していることに留意することも大切である。しかし、当業者であれば、
図3に関連して説明したのと同一又は類似の原理を適用して、右目用の式2に相当する式を得ることができることを理解されよう。
【0081】
図4は、第2の実施例による、ユーザの優位眼のレンズのためのインセット及びユーザの非優位眼のレンズのためのインセットを決定するのに適した数学的モデルのグラフィックな表現を示す。
【0082】
この図において表されるモデルは、
図3のモデルに類似しているが、この場合、いくつかの追加の変数、例えば近方用瞳孔間距離NIPD及び遠方用瞳孔間距離FIPDが考慮される。従って、
図4に関連する以下の説明は、
図3の説明で以前に使用された概念/原理を参照することができる。
【0083】
図4のモデルによれば、関連する斜位のない眼、即ち優位眼のレンズのインセット(inset_dom)は、以下の数学的関係によって表される。
【0085】
更に、距離jdは、以下の数学的関係によって表され得る。
【0087】
線分de’、df y fe’によって形成される直角三角形を、タンジェントの定義とともに考慮すると、距離de’は以下の数学的関係によって表される。
【0089】
式9及び式10を考慮すると、距離jdは以下の数学的関係によって表され得る。
【0091】
線分ae、af y feによって形成される直角三角形を、タンジェントの定義とともに考慮すると、αのタンジェントは以下の数学的関係によって表され得る。
【0093】
式11及び式12を考慮すると、距離jdは以下の数学的関係によって表され得る。
【0095】
式8及び式13を考慮すると、優位眼のレンズのインセット(inset_dom)は、以下の数学的関係によって表される。
【0097】
関連する斜位のある眼、即ち非優位眼のレンズのインセット(inset_nondom)は、以下の数学的関係によって表される。
【0099】
距離jgは、以下の数学的関係によって表される。
【0101】
図8を考慮すると、距離jgは、以下の数学的関係によって表される。
【0103】
図15及び
図16を考慮すると、距離jgは、以下の数学的関係によって表される。
【0105】
線分gd、gi e idによって形成される直角三角形を、コサインの定義とともに考慮すると、距離gdは以下の数学的関係によって表される。
【0107】
線分ai、ad e idによって形成される直角三角形を、タンジェントの定義とともに考慮すると、δのタンジェントは以下の数学的関係によって表され得る。
【0109】
線分ah、db y hbによって形成される直角三角形を、タンジェントの定義とともに考慮すると、δのタンジェントは以下の数学的関係によって表され得る。
【0111】
式19及び式20を考慮すると、次の式が成立する。
【0113】
式21及び距離abが、(
図3の説明において提示されたプリズム・ジオプトリーの定義によれば)1000mmに等しいことを考慮すると、距離idは以下の数学的関係によって表され得る。
【0115】
線分ac、ad y cdによって形成される直角三角形を、サインの定義とともに考慮すると、距離adは以下の数学的関係によって表され得る。
【0117】
式22及び式23を考慮すると、距離idは以下の数学的関係によって表され得る。
【0119】
式18及び式24を考慮すると、距離gdは以下の数学的関係によって表され得る。
【0121】
式12を考慮すると、角度αは以下の数学的関係によって表され得る。
【0123】
式25及び式26を考慮すると、距離gdは以下の数学的関係によって表され得る。
【0125】
式17及び式27を考慮すると、距離jgは以下の数学的関係によって表され得る。
【0127】
式14及び式28を考慮すると、非優位眼のレンズのためのインセット(inset_nondom)は、以下の数学的関係によって表され得る。
【0129】
更に
図4を参照すると、当業者であれば、式1及び式3とは異なる他の式が、提示された数学的モデルから導き出され得ることを理解されよう。例えば、上述したものとは異なる他の三角関数の関係を採用してもよく、式1及び式3と類似しているもののそれらとは異なる式を得ることにより、優位眼のレンズのためのインセット及びの優位眼のレンズのためのインセットをそれぞれ求めることができる。
【0130】
また、
図4に示すモデルは、ユーザの左目に関連していると解釈することができ、従って、優位眼又は非優位眼のいずれかの左目のレンズのインセットを得るのに適していることに留意するのも大切である。しかし、当業者であれば、
図4に関連して説明したのと同一又は類似の原理を適用して、右目用の式1及び3に相当する式を得ることができることを理解されよう。
【0131】
図3及び
図4のモデルは、このようにして、ユーザの優位眼のレンズのためのインセット及び同じユーザの非優位眼のレンズのためのインセットを得るための異なる式を得ることができる。また、優位眼のレンズのためのインセットは標準的な固定値(例えば、2.5mm)であってよいことも述べた。
【0132】
インセットを得るためのこれらの様々な方法は、優位眼のレンズのためのインセット及びユーザの非優位眼に関連する少なくとも1つの斜位の測定値に応じた非優位眼のレンズのためのインセットの計算又は決定に主に基づく、提示された異なる設計方法において使用することができる。このアプローチは、ユーザが、融像余力のための過剰な要求に従ってその固視を動かす必要をなくすことができるので、ユーザのレンズに対する適応を改善し得ることが実験的に確認されている。
【0133】
これらの利点は、記載された設計方法のいずれか1つを使用する任意のレンズ製造方法、及び前記設計方法のいずれかによって設計された、及び/又は前記製造方法のいずれかによって製造された任意のレンズによっても得ることができる。
【0134】
本発明のいくつかの特定の実施形態及び実施例のみが本明細書に開示されているが、当業者であれば、本発明の他の代替的実施形態及び/又は使用、並びに自明な変更及び均等物が可能であることを理解されよう。更に、本発明は、記載された特定の実施形態のすべての可能な組み合わせを包含する。特許請求の範囲における括弧内の図面に関連する符号が記載されている場合、それらの符合は、特許請求の範囲の理解を促進することのみを目的としており、特許を請求する技術範囲を限定するものとして解釈されるものではない。本発明の範囲は、特定の実施形態によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲の記載を公正に読むことによってのみ決定されるべきである。
【0135】
更に、図面を参照して説明した本発明の実施形態はコンピュータシステム及びコンピュータシステムによって実行される方法を含むが、本発明は、本発明を実施するように適合されたコンピュータプログラム、特にキャリア上の又はキャリア内のコンピュータプログラムにも及ぶ。プログラムは、本発明によるプロセスの実施に使用するのに適した部分的にコンパイルされた形態又は他の形態等の、ソースコード、オブジェクトコード、又はソースコードとオブジェクトコードとの間の中間コードの形態であってもよい。キャリアは、プログラムを搬送可能な任意のエンティティ又はデバイスであってもよい。
【0136】
例えば、キャリアは、例えばCD−ROM又は半導体ROM等のROM、又は例えばフロッピーディスクやハードディスクなどの磁気記録媒体等の記憶媒体を含み得る。更に、キャリアは、電気ケーブル又は光ケーブルを介して又は無線又は他の手段によって伝達され得る電気信号又は光信号などの伝送可能なキャリアであってもよい。
【0137】
プログラムが、そのようなケーブル又は他の装置又は手段によって直接伝達され得る信号で実現される場合、そのようなケーブル又は他の装置又は手段によってキャリアが構成され得る。
【0138】
或いは、キャリアは、プログラムが埋め込まれた集積回路であって、関連プロセスの実行のために、又は関連プロセスの実行における使用のために適合されたものでもよい。
【0139】
更に本発明は、パーソナルコンピュータ、サーバ、コンピュータのネットワーク、ラップトップ、タブレット、又は任意の他のプログラム可能なデバイス又はコンピュータプロセッサなどのコンピュータシステムによって実現することもできる。更に又は代替的に、プログラマブル・ロジック・コントローラ(ASIC、FPGA、PLC等)等のプログラマブル電子デバイスも使用することができる。
【0140】
従って、本発明は、ハードウェア及びソフトウェアの両方、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実施することができる。