(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記排気ガス管または前記スクラバーに連結され、窒素系酸化物を酸化させるか、或いは酸性化された洗浄水を中和させるか、或いは洗浄水に含まれている微生物を死滅させる浄化ユニットをさらに含む、請求項1に記載の汚染物質低減装置。
前記制御バルブは、前記海水供給管と前記洗浄水供給管とを連結し、前記洗浄水供給管に分岐する海水の量または割合を調節する3方弁を含む、請求項5に記載の汚染物質低減装置。
前記浄化ユニットは、前記排気ガス管、前記海水供給管または前記スクラバーに連結され、海水を電気分解して窒素系酸化物を酸化させる酸化剤、酸性化された洗浄水を中和させる中和剤、または海水に含まれている微生物を死滅させる殺菌剤を供給する、請求項3に記載の汚染物質低減装置。
前記排気ガス管に連結され、パルスコロナ放電をして前記排気ガスを酸化させ、オゾンと酸化性ラジカルを発生させて前記洗浄水を殺菌する浄化ユニットをさらに含む、請求項1に記載の汚染物質低減装置。
燃焼機関の排気ガスの流入を受け、外部から海水の流入を受け、一部はバラスト水タンクへ供給して船舶のバラスト水として使用し、一部はスクラバーへ供給する(a)段階と、
前記排気ガスに酸化剤を噴射することにより窒素系酸化物を酸化させて前記スクラバーへ供給する(b)段階と、
前記スクラバーに前記海水を噴射することにより、前記排気ガスに含まれている汚染物質を除去し、同時に前記海水に含まれている微生物を死滅させる(c)段階と、
前記スクラバーを通過した前記海水に含まれている固体状粒子を分離する(d)段階とを含み、
前記燃焼機関から流入する前記排気ガスおよび外部から流入する前記海水の量を可変させて前記排気ガスと前記海水を選択的に浄化し、
前記(d)段階を経た前記海水は、外部から直接流入した海水と混合され、前記船舶のバラスト水として使用されるか或いは外部へ直接排出されるか、或いは前記スクラバーに再循環される、汚染物質低減方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の利点、特徴、及びそれらの達成方法は、添付図面と一緒に詳細に後述されている実施例を参照すると明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に実現できる。但し、本実施例は、本発明の開示を完全たるものとし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。本発明は請求項の範疇のみによって定義される。明細書全体にわたって、同じ参照符号は同じ構成要素を示す。
【0026】
以下、
図1乃至
図3を参照して、本発明の第1実施例に係る汚染物質低減装置について詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明の第1実施例に係る汚染物質低減装置を概略的に示す図である。
【0028】
本発明の第1実施例に係る汚染物質低減装置1は、排気ガス(
図2のG1参照)に含まれている硫黄酸化物の除去と、バラスト水に含まれている微生物の処理とを同時に行うことが可能な装置である。汚染物質低減装置1は、湿式スクラバーシステムを通過し、酸性化された洗浄水(
図2のW2参照)を、IMO(国際海事機関、International Maritime Organization)処理水の基準を満足するpH値に中和させた後、バラスト水タンク60へ供給してバラスト水として使用することができる。すなわち、湿式スクラバーシステムとバラスト水処理システムとを一つに結合してシステムの設置及び維持費用の減少だけでなく、船舶内の空間活用度の増加を図ることができる。また、バラスト水処理システムで配管のみを追加して実現が可能なので、既存の船舶に容易に適用できる特徴がある。
【0029】
本発明に係る汚染物質低減装置1は、燃焼機関10と、排気ガス管20と、洗浄水供給管30と、スクラバー40と、洗浄水排出管50とを含む。
【0030】
燃焼機関10は、燃料を燃焼させて、船舶に必要な各種動力を発生させるもので、例えば、メインエンジン、発電機エンジンなどで形成できる。燃焼機関10は、通常、化石燃料を燃焼させて動力を発生させるので、化石燃料の燃焼による排気ガスG1を発生させる。発生した排気ガスG1は、多量の硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などを含んでおり、燃焼機関10の一側に連結された排気ガス管20を介して外部へ排出される。
【0031】
排気ガス管20には複数の燃焼機関の排気管が接続でき、複数の燃焼機関は必要に応じて選択的に動作することができる。排気ガス管20は、燃焼機関10の排気ガスG1を排出させる管であって、一端部が燃焼機関10に連結され、他端部が後述のスクラバー40の一側に連結される。排気ガス管20は、内部に高温の排気ガスG1が流動するので、耐熱性に優れた材質で形成されることが好ましい。
【0032】
一方、洗浄水供給管30は、海水、清水、及び海水と清水との混合水のうちの少なくとも一つである洗浄水(
図2のW1参照)をスクラバー40へ供給する管であって、一端部が海水流入口(図示せず)または清水タンク(図示せず)に連結され、他端部がスクラバー40に連結され得る。以下、洗浄水W1が海水であることに限定して、洗浄水供給管30の一端部が海水流入口に連結され、他端部がスクラバー40に連結された構造をより重点的に説明する。洗浄水供給管30上には少なくとも一つのポンプ31が設置され、洗浄水W1をスクラバー40に円滑に供給することができる。
【0033】
スクラバー40は、排気ガス管20を介して流入する排気ガスG1に、洗浄水供給管30を介して供給される洗浄水W1を噴霧して排気ガスG1と洗浄水W1とを気液接触させるものであって、湿式スクラバーであり得る。このとき、洗浄水供給管30は、スクラバー40の内部に位置した端部がスクラバー40の上部に配置され、複数個に分岐して洗浄水W1を微粒子の形で噴霧することができる。すなわち、スクラバー40の上部に配置された洗浄水供給管30は、排気ガス管20が位置したスクラバー40の下部に向かって洗浄水W1を噴霧して、排気ガスG1と洗浄水W1とを効果的に接触させることができる。スクラバー40の内部で排気ガスG1と洗浄水W1とが接触することにより、排気ガスG1に含まれている硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などが除去でき、硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵が除去された排気ガス(
図2のG2参照)は別途の排出管41を介して外部へ排出できる。排出管41を介して排出される排気ガスG2は、硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵が除去された状態なので、大気中にそのまま排出しても大気汚染を誘発しない。
【0034】
しかし、スクラバー40の内部に位置した洗浄水供給管30の端部が複数個に分岐することに限定されるものではなく、例えば、洗浄水供給管30は、端部が1つに形成されて洗浄水W1を微粒子の形で噴霧することもできる。
【0035】
硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵が含まれている排気ガスG1との接触によって、硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などを吸収した洗浄水W2は、洗浄水排出管50を介して排出される。
【0036】
洗浄水排出管50は、スクラバー40内部の洗浄水W2を排出してバラスト水タンク60へ供給する管であって、一端部がスクラバー40に連結され、他端部がバラスト水タンク60の一側に連結される。このとき、洗浄水排出管50上には中和処理部90と浄化部100が設置できる。
【0037】
中和処理部90は、スクラバー40の後段に設置され、スクラバー40から排出されて洗浄水排出管50を流動する洗浄水W2を、IMO処理水の基準を満足するpH値に中和させる。洗浄水排出管50を介してスクラバー40から排出される洗浄水W2は、排気ガスG1に含まれている硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などを吸収した状態なので、洗浄水排出管50の内部を流動する洗浄水W2の水素イオン濃度指数、すなわちpH値は、洗浄水供給管30の内部を流動する洗浄水W1のpH値よりもさらに低い。つまり、洗浄水排出管50の内部を流動する洗浄水W2は、硫黄酸化物と窒素酸化物により酸性化され、洗浄水供給管30の内部を流動する洗浄水W1よりもpH値が低い。したがって、pH値の低い洗浄水W2をそのまま海上に排出する場合、水質汚染または海洋生態系変化などの問題が発生するおそれがある。中和処理部90が洗浄水W2を、IMO処理水の基準を満足するpH値に中和させることにより、バラスト水タンク60には、中和された状態の洗浄水W2がバラスト水として供給できる。また、後述する流出管80を介して洗浄水W2を海上に排出させても、水質汚染または海洋生態系変化などの問題が発生しない。しかし、中和処理部90が洗浄水排出管50上に設置されることに限定されるものではなく、例えば、中和処理部90はスクラバー40の内部に設置されてもよい。中和処理部90で中和された洗浄水W2は、浄化部100へ供給される。
【0038】
浄化部100は、スクラバー40の後段、特に、中和処理部90の後段に設置され、スクラバー40から排出される洗浄水W2に含まれているスラッジ(
図2のS参照)を分離するものであって、遠心分離器、重力分離器及びフィルターの少なくとも一つを用いてスラッジSを分離することができる。洗浄水排出管50上に浄化部100が形成されることにより、バラスト水タンク60には、スラッジSが除去された状態の洗浄水W2が供給できる。浄化部100の一側にはスラッジ貯蔵タンク110が連結されており、洗浄水W2から分離されたスラッジSを別途貯蔵することができる。浄化部100を通過してスラッジSが除去された洗浄水W2は、バラスト水タンク60へ供給される。
【0039】
バラスト水タンク60は、洗浄水排出管50を介して排出される洗浄水W2を貯蔵して船舶の平衡を維持するものである。船舶には少なくとも一つのバラスト水タンク60が設置できる。前述したように、洗浄水排出管50の内部を流動する洗浄水W2は、硫黄酸化物と窒素酸化物により酸性化され、洗浄水供給管30の内部を流動する洗浄水W1よりもpH値が低い。したがって、洗浄水排出管50の内部を流動する洗浄水W2に含まれている微生物の生存率は、洗浄水供給管30の内部を流動する洗浄水W1に含まれている微生物の生存率よりも低い。
【0040】
すなわち、洗浄水排出管50の内部を流動する洗浄水W2は、酸性化により微生物の生存率が低いため、微生物を死滅させなければならないというバラスト水規制条件を満足させるので、バラスト水としての使用に適する。微生物の生存率が低く且つIMO処理水の基準を満足するpH値に転換された洗浄水W2をバラスト水タンク60に供給してバラスト水として使用することにより、微生物を死滅させるため別途のバラスト水処理システムが省略できる。これにより、システムの設置及び維持費用が減少するだけでなく、船舶内の空間活用度が増加しうる。また、湿式スクラバーシステムで配管のみを追加して実現が可能なので、既存の船舶に容易に適用できるという利点がある。
【0041】
洗浄水排出管50上には少なくとも一つの第1バルブ50aが設置され、洗浄水W2の流動を制御することができる。第1バルブ50aはバラスト水タンク60の前方に設置でき、第1バルブ50aを通過した洗浄水W2は殺菌処理部120へ供給される。
【0042】
殺菌処理部120は、バラスト水タンク60の前方または後方の少なくとも一つに設置され、バラスト水タンク60に流入する洗浄水W2、またはバラスト水タンク60から流出する洗浄水W2に含まれている微生物をさらに殺菌する。すなわち、殺菌処理部120は、洗浄水W2に残存する微生物をさらに殺菌し、例えば、強酸性化装置、電気分解装置、オゾン発生装置、紫外線装置、プラズマ装置などであり得る。殺菌処理部120は、バラスト水規制条件が厳しい場合、選択的に動作して微生物をさらに殺菌することができる。殺菌処理部120を通過した洗浄水W2は、バラスト水タンク60に供給されてバラスト水として使用され、バラスト水タンク60から排出された洗浄水W2は、海上に排出されるか、或いは様々な必要先、例えば熱交換装置などに供給されて冷却水として使用できる。
【0043】
一方、洗浄水排出管50の一側には循環管70が配置できる。循環管70は、洗浄水排出管50から分岐し、スクラバー40から排出される洗浄水W2を再びスクラバー40へ循環させる管であって、浄化部100の後段に位置した洗浄水排出管50から分岐できる。循環管70が浄化部100の後段に位置した洗浄水排出管50から分岐することにより、スラッジSが除去された状態の洗浄水W2がスクラバー40へ循環することができる。図面上には、スクラバー40の内部に位置した循環管70の端部が洗浄水供給管30に連結されることを示したが、これに限定されるものではなく、例えば、循環管70と洗浄水供給管30とは互いに分離されて独立的にそれぞれ洗浄水W1、W2を噴霧することができる。循環管70上には少なくとも一つの第2バルブ70aが設置され、洗浄水W2の流動を制御することができる。
【0044】
また、洗浄水排出管50の一側には流出管80が配置できる。流出管80は、洗浄水排出管50から分岐し、スクラバー40から排出される洗浄水W2を海上に排出させる管であって、循環管70のように、浄化部100の後段に位置した洗浄水排出管50から分岐できる。流出管80が浄化部100の後段に位置した洗浄水排出管50から分岐することにより、IMO処理水の基準を満足するpH値に転換され、スラッジSが除去された状態の洗浄水W2が海上に排出できる。しかし、流出管80が洗浄水W2を海上に排出させることに限定されるものではなく、例えば、流出管80は、様々な使用先に洗浄水W2を供給することもできる。流出管80上には少なくとも一つの第3バルブ80aが設置され、洗浄水W2の流動を制御することができる。
【0045】
以下、
図2及び
図3を参照して、汚染物質低減装置1の作動過程についてより詳細に説明する。
【0046】
図2及び
図3は
図1の汚染物質低減装置の動作過程を説明するための作動図である。
【0047】
本発明の第1実施例に係る汚染物質低減装置1は、スクラバー40を通過して酸性化された洗浄水W2を、IMO処理水の基準を満足するpH値に中和させた後、バラスト水タンク60に供給してバラスト水として使用することができる。したがって、微生物を死滅させるための別途のバラスト水処理システムが省略でき、これにより、システムの設置及び維持費用が減少するだけでなく、船舶内の空間活用度が増加しうる。また、バラスト水処理システムで配管のみを追加して実現が可能なので、既存の船舶に容易に適用できる。
【0048】
図2はスクラバーから排出される洗浄水をバラスト水タンクへ供給する様子を示す作動図である。
【0049】
燃焼機関10の排気ガスG1は排気ガス管20を介してスクラバー40に流入し、洗浄水W1は洗浄水供給管30を介してスクラバー40に供給される。このとき、スクラバー40の上部に位置した洗浄水供給管30は、排気ガス管20が位置したスクラバー40の下部に向かって洗浄水W1を噴霧するので、排気ガスG1と洗浄水W1とは、効果的に気液接触することができる。排気ガスG1と洗浄水W1とが接触することにより、排気ガスG1に含まれている硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などが除去でき、硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などが除去された排気ガスG2は排出管41を介して外部へ排出される。排気ガスG1との接触を介して硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などを吸収した洗浄水W2は、洗浄水排出管50を介して排出され、中和処理部90によって、IMO処理水の基準を満足するpH値に中和される。洗浄水W2に含まれているスラッジSは、洗浄水排出管50上に設置された浄化部100によって分離されてスラッジ貯蔵タンク110に貯蔵される。
【0050】
スクラバー40から排出される洗浄水W2をバラスト水タンク60へ供給する場合、洗浄水排出管50の第1バルブ50aは開放し、流出管80の第3バルブ80aは閉鎖する。このとき、循環管70の第2バルブ70aは選択的に開放することができる。バラスト水タンク60の前方に設置された第1バルブ50aが開放されることにより、洗浄水排出管50を流動する洗浄水W2は、殺菌処理部120を介してバラスト水タンク60に流入して船舶の平衡を維持することができる。洗浄水排出管50を流動する洗浄水W2は、微生物の生存率が低く、IMO処理水の基準を満足するpH値に転換された状態なので、バラスト水としての使用に適する。
【0051】
バラスト水タンク60から排出された洗浄水W2は、海上に排出されるか、或いは様々な使用先に供給され得る。
【0052】
一方、図示の如く、第2バルブ70aが開放される場合、洗浄水排出管50を流動する洗浄水W2は、循環管70を介して流動してスクラバー40へ循環する。洗浄水排出管50を流動する洗浄水W2の一部が循環管70を介してスクラバー40へ循環することにより、洗浄水供給管30を介して供給される洗浄水W1の量を減少させることができる。
【0053】
図3はスクラバーから排出される洗浄水を海上へ排出する様子を示す作動図である。
【0054】
燃焼機関10の排気ガスG1と洗浄水W1は、それぞれ排気ガス管20と洗浄水供給管30を介してスクラバー40へ供給される。排気ガスG1と洗浄水W1とが接触することにより、排気ガスG1に含まれている硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などが除去でき、硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などが除去された排気ガスG2は、排出管41を介して外部へ排出される。硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などを吸収した洗浄水W2は、洗浄水排出管50を介して排出され、中和処理部90によって、IMO処理水の基準を満足するpH値に中和される。洗浄水W2に含まれているスラッジSは、洗浄水排出管50上に設置された浄化部100によって分離されてスラッジ貯蔵タンク110に貯蔵される。
【0055】
スクラバー40から排出される洗浄水W2を海上に排出する場合、第3バルブ80aは開放し、第1バルブ50aは閉鎖する。このとき、第2バルブ70aは選択的に開放することができる。第3バルブ80aが開放されることにより、洗浄水排出管50を流動する洗浄水W2は、流出管80を介して海上に排出されるか、或いは様々な使用先に供給され得る。
【0056】
一方、図示の如く、第2バルブ70aが開放される場合、洗浄水W2は循環管70を介して流動してスクラバー40へ循環する。
【0057】
以下、
図4を参照して、本発明の第2実施例に係る汚染物質低減装置1−1について詳細に説明する。
【0058】
図4は本発明の第2実施例に係る汚染物質低減装置の動作過程を説明するための作動図である。
本発明の第2実施例に係る汚染物質低減装置1−1は、一端部がバラスト水タンク60に連結され且つ他端部が洗浄水供給管30に連結される洗浄水再供給管130をさらに含む。本発明の第2実施例に係る汚染物質低減装置1−1は、一端部がバラスト水タンク60に連結され且つ他端部が洗浄水供給管30に連結される洗浄水再供給管130をさらに含む以外は、前述した実施例と実質的に同様である。したがって、これを重点的に説明するが、別の記載がない限り、残りの構成部についての説明は前述した事項で代わる。
【0059】
洗浄水再供給管130は、バラスト水タンク60に貯蔵された洗浄水W2を洗浄水供給管30へ再供給する管であって、一端部がバラスト水タンク60に連結され、他端部が洗浄水供給管30の一側に連結される。バラスト水タンク60の一側に洗浄水再供給管130が連結されることにより、船舶の平衡維持のために、バラスト水タンク60の内部に貯蔵された洗浄水W2を空にする場合、海上に排出される洗浄水W2の一部を洗浄水供給管30へ供給することができる。したがって、海水流入口または清水タンクから洗浄水W1が供給されなくても、排気ガスG1に含まれている硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などを除去することができる。
【0060】
以下、
図5乃至
図7を参照して、本発明の第3実施例に係る汚染物質低減装置1−2について詳細に説明する。
【0061】
図5は本発明の第3実施例に係る汚染物質低減装置を概略的に示す図である。
【0062】
本発明の第3実施例に係る汚染物質低減装置1−2は、洗浄水供給管30が海水流動管200から分岐してスクラバー40に連結される。本発明の第3実施例に係る汚染物質低減装置1−2は、洗浄水供給管30が海水流動管200から分岐してスクラバー40に連結される以外は、前述した実施例と実質的に同様である。したがって、これを重点的に説明するが、別の記載がない限り、残りの構成部についての説明は前述した事項で代わる。
【0063】
洗浄水供給管30は、海水、清水、及び海水と清水との混合水のうちの少なくとも一つである洗浄水(
図6のW1参照)をスクラバー40に供給される管であって、海水流動管200から分岐してスクラバー40に連結できる。
【0064】
海水流動管200は、海水、清水、及び海水と清水との混合水のうちの少なくとも一つをバラスト水タンク60へ供給する管であって、一端部が海水流入口(図示せず)及び清水タンク(図示せず)の中の少なくとも1つに連結され、他端部がバラスト水タンク60に連結され得る。海水流動管200上には特定のサイズ以上の微生物を除去する前処理フィルター300が設置され、洗浄水供給管30は前処理フィルター300の後段から分岐する。海水流動管200上には少なくとも一つの第5バルブ200aが設置され、海水、清水、及び海水と清水との混合水のうちの少なくとも一つの流動を制御することができる。以下、洗浄水W1が海水(
図6のW参照)であることに限定して、海水流動管200の一端部が海水流入口に連結され、洗浄水供給管30が海水流動管200から分岐した構造をより重点的に説明する。
【0065】
海水流入口を介して海水流動管200に流入した海水Wは、一部がバラスト水タンク60に供給され、残りの一部が洗浄水供給管30を介してスクラバー40へ供給される。このとき、バラスト水タンク60へ供給される海水Wとスクラバー40へ供給される洗浄水W1との比は約9:1であり得る。洗浄水供給管30上には少なくとも一つのポンプ31が設置され、洗浄水W1をスクラバー40へ円滑に供給することができる。
【0066】
スクラバー40は、排気ガス管20を介して流入する排気ガス(
図6のG1参照)に、洗浄水供給管30を介して供給される洗浄水W1を噴霧して、排気ガスG1と洗浄水W1とを気液接触させるものであって、通常の湿式スクラバーであり得る。スクラバー40の内部で排気ガスG1と洗浄水W1とが接触することにより、排気ガスG1に含まれている硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などが除去でき、硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵が除去された排気ガス(
図6のG2参照)は排出管41を介して外部へ排出できる。排出管41を介して排出される排気ガスG2は、硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵が除去された状態なので、大気中にそのまま排出しても大気汚染を誘発しない。
【0067】
硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵が含まれている排気ガスG1との接触によって硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などを吸収した、酸性化された洗浄水(
図6のW2参照)は、洗浄水排出管50を介して排出される。
【0068】
洗浄水排出管50は、スクラバー40内部の洗浄水W2を排出してバラスト水タンク60へ供給する管であって、一端部がスクラバー40に連結され且つ他端部がバラスト水タンク60の一側に連結される。このとき、洗浄水排出管50は、他端部が海水流動管200に連結されて海水流動管200を介してバラスト水タンク60に連結できる。洗浄水排出管50が海水流動管200に連結されることにより、洗浄水排出管50を流動する洗浄水W2は、海水流動管200を流動する海水Wに混合されてバラスト水タンク60へ供給できる。前述したように、スクラバー40から排出された洗浄水W2は、硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などを吸収して酸性化された状態である。このような洗浄水W2が、海水流動管200を流動する海水Wに混合されてバラスト水タンク60へ供給されることにより、海水Wに含まれている微生物が死滅し得る。すなわち、酸性化された洗浄水W2によって、海水Wに含まれている微生物が死滅するので、バラスト水としての使用に適する。
【0069】
洗浄水排出管50を流動する洗浄水W2は、海水Wと混合される前に浄化部100によってスラッジ(
図6のS参照)が分離され、分離されたスラッジSは、スラッジ貯蔵タンク110に貯蔵される。洗浄水W2と海水Wとの混合水は、殺菌処理部120によってさらに殺菌された後、バラスト水タンク60へ供給でき、バラスト水タンク60から排出された洗浄水W2と海水Wとの混合水は、中和処理部90によって、IMO処理水の基準を満足するpH値に中和された後、海上に排出されるか或いは様々な必要先に使用され得る。
【0070】
洗浄水排出管50上には少なくとも一つの第1バルブ50aが設置され、洗浄水W2の流動を制御することができ、第1バルブ50aは浄化部100の後方に配置できる。循環管70と流出管80はそれぞれ洗浄水排出管50から分岐するが、第1バルブ50aの前方から分岐できる。循環管70と流出管80が第1バルブ50aの前方で分岐することにより、スラッジSが除去された状態の洗浄水W2がスクラバー40へ循環するか或いは海上に排出され得る。このとき、流出管80上には別途の中和処理部が設置され、洗浄水W2を、IMO処理水の基準を満足するpH値に転換させた後、海上に排出することができる。
【0071】
以下、
図6及び
図7を参照して、汚染物質低減装置1−2の作動過程についてより詳細に説明する。
【0072】
図6及び
図7は
図5の汚染物質低減装置の動作過程を説明するための作動図である。
【0073】
本発明の第3実施例に係る汚染物質低減装置1−2は、スクラバー40を通過して酸性化された洗浄水W2を、海水流動管200を流動する海水Wに混合してバラスト水タンク60へ供給する。したがって、海水Wに含まれている微生物が死滅でき、これにより、微生物を死滅させるための別途の処理過程が省略できる。
【0074】
図6はスクラバーから排出される洗浄水をバラスト水タンクへ供給する様子を示す作動図である。
【0075】
燃焼機関10の排気ガスG1は、排気ガス管20を介してスクラバー40に流入し、海水流動管200の前処理フィルター300を通過した海水Wは、一部が洗浄水供給管30を介して洗浄水W1としてスクラバー40に供給され、残りの一部がバラスト水タンク60に供給される。スクラバー40の上部に位置した洗浄水供給管30は、排気ガス管20が位置したスクラバー40の下部に向かって洗浄水W1を噴霧するので、排気ガスG1と洗浄水W1とは効果的に気液接触することができる。排気ガスG1と洗浄水W1とが接触することにより、排気ガスG1に含まれている硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などが除去でき、硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などが除去された排気ガスG2は、排出管41を介して外部へ排出される。排気ガスG1との接触によって硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などを吸収した、酸性化された洗浄水W2は、洗浄水排出管50を介して排出され、浄化部100によってスラッジSが分離される。分離されたスラッジSはスラッジ貯蔵タンク110に貯蔵される。
【0076】
スクラバー40から排出される洗浄水W2をバラスト水タンク60へ供給する場合、洗浄水排出管50の第1バルブ50aは開放し、流出管80の第3バルブ80aは閉鎖する。このとき、循環管70の第2バルブ70aは選択的に開放することができる。第1バルブ50aが開放されることにより、洗浄水排出管50を流動する洗浄水W2は、海水流動管200を流動する海水Wに合流して殺菌処理部120を経てバラスト水タンク60に流入できる。洗浄水排出管50を流動する洗浄水W2は、硫黄酸化物と窒素酸化物により酸性化された状態なので、海水Wに含まれている微生物は死滅でき、これにより、バラスト水タンク60には微生物の死滅した洗浄水W2と海水Wとの混合水がバラスト水として貯蔵できる。
【0077】
バラスト水タンク60から排出された洗浄水W2と海水Wとの混合水は、中和処理部90によって、IMO処理水の基準を満足するpH値に中和された後、海上に排出されるか或いは様々な使用先に供給され得る。
【0078】
図示の如く、第2バルブ70aが開放される場合、洗浄水排出管50を流動する洗浄水W2は、循環管70を介して流動してスクラバー40へ循環する。洗浄水排出管50を流動する洗浄水W2の一部が循環管70を介してスクラバー40へ循環することにより、洗浄水供給管30を介して供給される洗浄水W1の量を減少させることができる。
【0079】
図7はスクラバーから排出される洗浄水を海上に排出する様子を示す作動図である。
【0080】
燃焼機関10の排気ガスG1と洗浄水W1は、それぞれ排気ガス管20と洗浄水供給管30を介してスクラバー40へ供給される。排気ガスG1と洗浄水W1とが接触することにより、排気ガスG1に含まれている硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などが除去でき、硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などが除去された排気ガスG2は、排出管41を介して外部へ排出される。硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などを吸収した洗浄水W2は洗浄水排出管50を介して排出され、洗浄水W2に含まれているスラッジSは浄化部100によって分離されてスラッジ貯蔵タンク110に貯蔵される。
【0081】
スクラバー40から排出される洗浄水W2を海上に排出する場合、第3バルブ80aは開放し、第1バルブ50aは閉鎖する。このとき、第2バルブ70aと第5バルブ200aは選択的に開放することができる。第3バルブ80aが開放されることにより、洗浄水排出管50を流動する洗浄水W2は、流出管80を介して海上に排出されるか、或いは様々な使用先に供給され得る。このとき、流出管80上には別途の中和処理部が設置されるので、洗浄水W2は、IMO処理水の基準を満足するpH値に中和された状態で、海上へ排出されるか或いは使用先に供給され得る。
【0082】
図示の如く、第2バルブ70aが開放される場合、洗浄水W2は、循環管70を介して流動してスクラバー40へ循環し、第5バルブ200aが閉鎖される場合、バラスト水タンク60には海水Wの流入が遮断される。
【0083】
以下、
図8を参照して、本発明の第4実施例に係る汚染物質低減装置1−3について詳細に説明する。
【0084】
図8は本発明の第4実施例に係る汚染物質低減装置の動作過程を説明するための作動図である。
【0085】
本発明の第4実施例に係る汚染物質低減装置1−3は、一端部がバラスト水タンク60に連結され且つ他端部が洗浄水供給管30に連結される洗浄水再供給管130をさらに含む。本発明の第3実施例に係る汚染物質低減装置1−3は、一端部がバラスト水タンク60に連結され且つ他端部が洗浄水供給管30に連結される洗浄水再供給管130をさらに含む以外は、前述した実施例と実質的に同様である。したがって、これを重点的に説明するが、別の記載がない限り、残りの構成部についての説明は前述した事項で代わる。
【0086】
洗浄水再供給管130は、バラスト水タンク60に貯蔵された洗浄水W2と海水Wとの混合水を洗浄水供給管30へ再供給する管であって、一端部がバラスト水タンク60に連結され、他端部が洗浄水供給管30の一側に連結される。バラスト水タンク60の一側に洗浄水再供給管130が連結されることにより、船舶の平衡維持のために、バラスト水タンク60の内部に貯蔵された洗浄水W2と海水Wとの混合水を空にしなければならない場合、海上に排出される洗浄水W2と海水Wとの混合水の一部を洗浄水供給管30へ供給することができる。したがって、海水流入口または清水タンクから洗浄水W1が供給されなくても、排気ガスG1に含まれている硫黄酸化物、窒素酸化物及び粉塵などを除去することができる。洗浄水再供給管130上には少なくとも一つのポンプ131が設置され、洗浄水W2と海水Wとの混合水を洗浄水供給管30へ円滑に供給することができる。
【0087】
以下、
図9乃至
図15を参照して、本発明の第5実施例に係る汚染物質低減装置について詳細に説明する。
【0088】
図9は本発明の第5実施例に係る汚染物質低減装置を概略的に示す図である。
【0089】
本発明の第5実施例に係る汚染物質低減装置200は、排気ガスに含まれている各種の汚染物質(窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵など)の濃度を低減して、排気基準に適した空気を排出することができ、海水に含まれている微生物の殺菌処理が同時に行われてバラスト水として使用するか或いは海水に排出することができる装置である。汚染物質低減装置200は、主に船舶に搭載され、船舶から発生する排気ガスの汚染物質を除去しながら、バラスト水として用いる海水に含まれている微生物を同時に死滅させることができる。また、汚染物質低減装置200は、排気ガスの汚染物質除去機能とバラスト水の微生物死滅機能をそれぞれ作動させるか、或いは作動割合を必要に応じて調節することができ、バラスト水処理システムに含まれている殺菌装置などを除去することができるという利点がある。このような装置は、湿式スクラバーシステムで配管のみを追加して実現が可能なので、既存の船舶に容易に適用できるという特徴がある。
【0090】
本発明に係る汚染物質低減装置200は、排気ガス管210と、洗浄水供給管220と、スクラバー240と、浄化ユニット250と、洗浄水排出管241と、海水供給管230とを含む。
【0091】
排気ガス管210は、燃焼機関から排気ガスが移動する管であって、スクラバー240に連結される。排気ガス管210は、燃焼機関の排気管に直接連結され、高温の排気ガスが直接移動したり、各種の熱交換器を通過して排気熱の大部分を再利用して残った廃ガスが移動したりする通路になれる。
【0092】
一方、洗浄水供給管220は、海水、清水、及び海水と清水との混合水のうちの少なくとも一つである洗浄水をスクラバー240に供給する管であって、一端部が海水供給管230または清水供給管221に連結され、他端部がスクラバー240に連結され得る。すなわち、洗浄水供給管220は海水と清水の供給を選択的に受けることができる。
【0093】
以下、洗浄水は主に海水であることに限定して、洗浄水供給管220を介して主に海水が流入してスクラバー240に供給される過程を主に説明する。
【0094】
海水供給管230にはポンプ236が設置され、洗浄水をスクラバー240へ円滑に供給することができる。特に、洗浄水供給管220は、海水供給管230から分岐してスクラバー240に連結される構造であり、洗浄水供給管220と海水供給管230との連結部分には制御バルブ231が設置されている。制御バルブ231は、洗浄水供給管220を介して供給される海水の量を調節し、或いは洗浄水供給管220に分岐して供給される海水と海水供給管230を介してバラスト水タンク260へ供給される海水との割合を調節することができる。
【0095】
スクラバー240は、排気ガス管210を介して流入する排気ガスに洗浄水供給管220を介して供給される洗浄水を噴霧して排気ガスと洗浄水とを気液接触させる装置であって、湿式スクラバーであり得る。スクラバー240の内部で排気ガスと洗浄水とが接触することにより、排気ガスに含まれている窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などの汚染物質が除去でき、窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵の汚染物質が除去された排気ガス(
図12のG2参照)は別途の排出管242を介して外部へ排出できる。
【0096】
スクラバー240の内部で汚染物質含有の排気ガスと接触して窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などが含まれた洗浄水は、洗浄水排出管241を介して排出される。
【0097】
浄化ユニット250は、排気ガス管210またはスクラバー240に連結され、物理的または化学的な方法で窒素系酸化物を酸化させるか、或いは酸性化された洗浄水を中和させるか、或いは洗浄水に含まれている微生物を死滅させることができる。浄化ユニット250は、排気ガス管210またはスクラバー240に酸化剤を供給し、或いは中和剤を供給し、或いは殺菌剤を供給することができる。例えば、浄化ユニット250は、海水を電気分解して酸化剤、中和剤、殺菌剤を全て生産する装置であるか、或いはプラズマを利用して酸化剤と殺菌剤を生産する装置であり得る。浄化ユニット250は、電気分解装置またはプラズマ装置に限定されるものではなく、窒素系酸化物を酸化させるか、或いは酸性化された洗浄水を中和させるか、或いは洗浄水に含まれている微生物を死滅させることができる装置であれば、いずれの構成も可能であろう。
【0098】
浄化ユニット250は、排気ガス管210に酸化剤を噴射して、排気ガスに含まれている一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させることができる。二酸化窒素は、一酸化窒素に比べて水に容易に溶解され、スクラバー240で洗浄水に溶けて容易に除去できる。浄化ユニット250は、排気ガス管210に液体酸化剤を微粒子化して噴射することができる。浄化ユニット250は、排気ガス管210に液体酸化剤を微粒子化して直接噴射し、或いは排気ガス管210に設置された別途の噴霧ユニット211を介して排気ガスの液体酸化剤を噴霧することができる。
【0099】
このとき、浄化ユニット250は、排気ガス管210に中和剤を一緒に噴霧し、或いはスクラバー240に中和剤を噴霧することができる。中和剤は、窒素酸化物と硫黄酸化物が洗浄水と反応して酸性化された洗浄水を中和させることができる。窒素酸化物と硫黄酸化物は、海水と反応すると、それぞれ硝酸(HNO
3)、硫酸(H
2SO
4)を生成するので、浄化ユニット250は、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)をスクラバー240に噴射することにより、酸性化された洗浄水を中和させることができる。
【0100】
また、浄化ユニット250は、バラスト水タンク260に中和剤を噴射し或いは海水排出管237に中和剤を噴射することにより、バラスト水を中和させることができる。一方、浄化ユニット250は、スクラバー240に直接中和剤(NaOH)を投入することができる。浄化ユニット250で洗浄水の中和が十分でない場合、別途の中和剤注入ユニット(図示せず)を追加して2次中和段階を経ることもできる。
【0101】
洗浄水排出管241は、スクラバー240内部の洗浄水を排出する管であって、フィルターユニット270を介して海水供給管230に再び連結できる。すなわち、洗浄水排出管241は、フィルターユニット270を介して固体状粒子を分離した後、バラスト水タンク260に貯蔵されるか或いは外部へ排出され得る。洗浄水排出管241は、必ず海水供給管230に連結する必要はなく、独立してバラスト水タンク260に連結されるか或いは船舶の外部に連結され得る。
【0102】
洗浄水排出管241には循環管291が連結できる。循環管291は、洗浄水排出管241を介して排出される洗浄水を洗浄水供給管220へ再循環させるためのものであって、洗浄水をバラスト水として使用しないか或いは外部へ排出する必要がないときに、洗浄水をスクラバー240へ循環させて使用し続けることができる。
【0103】
洗浄水排出管241と循環管291との間には再循環タンク290が設置できる。再循環タンク290は、スクラバー240を介して排出された洗浄水の一部を貯蔵することができ、循環管291を介して一定量の洗浄水が循環するように一種のバッファタンクの役割をすることができる。
【0104】
再循環タンク290は、フィルターユニット270のように、遠心分離器、重力分離器及びフィルターのいずれかを含めて洗浄水中の固体状粒子を除去し、循環管291を介して洗浄水を再循環させることができる。
【0105】
洗浄水供給管220は、海水供給管230、清水供給管221及び循環管291に連結されており、排気ガスの濃度、スクラバー240の処理容量、洗浄水の濃度及び汚染度などを考慮して、海水、清水、循環水を適切に混ぜてスクラバー240へ供給することができる。
【0106】
フィルターユニット270は、スクラバー240の後段に設置され、スクラバー240から排出される洗浄水に含まれている固体状粒子などを分離する装置であって、遠心分離器、重力分離器及びフィルターの少なくとも一つを用いて固体状粒子を分離してスラッジタンク280へ排出することができる。フィルターユニット270は、ポンプ236と制御バルブ231との間の海水供給管230に連結できる。すなわち、海水供給管230から供給される海水がフィルターユニット270を通過してスクラバー240へ供給され、スクラバー240を通過した洗浄水が再びフィルターユニット270を通過することができる。すなわち、1つのフィルターユニット270によって、外部から流入した海水とスクラバー240を通過した洗浄水をすべてフィルタリングすることができる。また、フィルターユニット270の一側には、制御バルブ231の後段の海水供給管230に直接連結される合流管(
図14の238を参照)が設置できる。
【0107】
フィルターユニット270を通過した洗浄水または海水に、浄化ユニット250から供給される中和剤または殺菌剤を噴射することができる。フィルターユニット270と海水排出管237との間には、海水と洗浄水との混合水が排出される混合管234が設置できる。混合管234には、浄化ユニット250から供給される中和剤または殺菌剤を注入する注入ユニット233が設置できる。注入ユニット233は、中和剤または殺菌剤を液体または気体の状態で海水と洗浄水に注入することができる。
【0108】
注入ユニット233の後段にはセンサー部232が設置されており、混合管234を介して排出される洗浄水と海水中の総残留酸化剤の量(total residual oxidant)、pH濃度、微生物濃度などをリアルタイムにて把握することができる。センサー部232の結果値に応じて、浄化ユニット250は酸化剤、中和剤、殺菌剤の供給量を適切に調節する。
【0109】
混合管234を介して排出される洗浄水と海水は、バラスト水タンク260に流入し或いは外部へ排出される。
【0110】
バラスト水タンク260は、洗浄水排出管241を介して排出される洗浄水を用いて、船舶の平衡を維持する。船舶には少なくとも一つのバラスト水タンク260が設置でき、前述したように、洗浄水排出管241を介して排出される洗浄水は、排気ガスに含まれている窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などを吸収した状態なので、洗浄水排出管241の内部を流動する洗浄水の水素イオン濃度指数、すなわちpH値は、洗浄水供給管220の内部を流動する洗浄水のpH値よりもさらに低い。つまり、洗浄水排出管241の内部を流動する洗浄水は、硫黄酸化物と窒素酸化物により酸性化され、洗浄水供給管220の内部を流動する洗浄水よりもpH値が低い。したがって、洗浄水排出管241の内部を流動する洗浄水に含まれている微生物の生存率は、洗浄水供給管220の内部を流動する洗浄水に含まれている微生物の生存率よりも低い。
【0111】
すなわち、洗浄水排出管241の内部を流動する洗浄水は、酸性化により微生物の生存率が低いため、一定のサイズ以上の微生物を死滅させなければならないというバラスト水規制条件を満足させるので、バラスト水としての使用に適する。
【0112】
スクラバー240から排出された微生物が死滅した洗浄水を用いることにより、微生物を死滅させるための別途のバラスト水処理システムが省略でき、これにより、システムの設置及び維持費用が減少するだけでなく、船舶内の空間活用度が増加しうる。また、湿式スクラバーシステムで配管のみを追加して実現が可能なので、既存の船舶に容易に適用できるという利点がある。
【0113】
一方、浄化ユニット250は、バラスト水タンク260に直接殺菌剤を供給することができる。バラスト水タンク260の内部に貯蔵されたバラスト水の微生物の濃度が高ければ、バラスト水タンク260に直接殺菌剤を噴射して微生物の濃度を調節することができる。したがって、バラスト水タンク260に貯蔵されたバラスト水を外部へ排出する前に、微生物許容基準値以内で調節することができるため、海洋汚染や生態系撹乱を防ぐことができる。
【0114】
以下、
図10乃至
図15を参照して、汚染物質低減装置200の作動過程についてさらに詳細に説明する。
【0115】
図10及び
図11は海水供給管230を介して流入した海水がバラスト水として供給される過程を示すものである。
図10はバラスト水として供給される海水全体に殺菌物質が投入される直接殺菌方式を示すものであり、
図11はバラスト水として供給された海水中の一部に殺菌物質を投入し、外部から供給された海水と混ぜて使用する間接殺菌方式を示すものである。
【0116】
まず、
図10を参照して説明すると、海水供給管230を介して供給された海水は、フィルターユニット270を通過しながら、粒子の大きい微生物が除去される。例えば、フィルターユニット270は、殺菌物質によって容易に死滅しない直径50μm以上の微生物を分離することができる。
【0117】
フィルターユニット270を通過した海水には、浄化ユニット250から供給される殺菌剤が噴射できる。殺菌剤が噴射されて微生物が死滅した海水は、バラスト水タンク260に供給されてバラスト水として使用できる。
【0118】
続いて、
図11を参照して説明すると、海水供給管230を介して供給された海水は、フィルターユニット270を通過しながら粒子の大きい微生物が除去され、混合管234を介して一部が排出され、残りは迂回管235を介して排出され得る。混合管234は、浄化ユニット250から殺菌剤が噴射される管であり、迂回管235は、フィルターユニット270を通過した海水が直接バラスト水タンク260に流入する管である。
【0119】
混合管234を通過した海水は、殺菌剤を含めて微生物が死滅した状態であり、混合管234を通過した海水と、迂回管235を通過した海水とが互いに混ぜられる場合には、迂回管235を通過した海水に含まれている微生物もすべて死滅させることができる。
【0120】
混合管234と迂回管235を通過する海水の量または割合を、海水に含まれている微生物の濃度などに応じて選択的に調節できる。
【0121】
図10及び
図11を参照して説明したように、汚染物質低減装置200は、排気ガスを除去する機能を使用しなくても、独立してバラスト水を処理することができる。
【0122】
以下、
図12及び
図13を参照して、汚染物質低減装置200が排気ガスの汚染物質のみを除去するために動作する過程を説明する。
【0123】
図12は海水供給管230に供給された海水がスクラバー240を通過して外部へ直接排出される方式を示すものであり、
図13は海水供給管230に流入した海水がスクラバー240を通過した後、循環管291を介して再循環して再利用される方式を示すものである。
【0124】
まず、
図12を参照して説明すると、海水供給管230を介して流入した海水は、洗浄水供給管220を介してスクラバー240へ供給される。洗浄水はスクラバー240の上部から噴射され、スクラバー240の下部には洗浄水が一定の水位で満たされることが可能である。
【0125】
このとき、排気ガス管210を介して供給された排気ガスは、スクラバー240の下部から噴射できる。浄化ユニット250は、排気ガスがスクラバー240に供給される前に、酸化剤を噴射して一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させることができる。浄化ユニット250は、洗浄水のpH値を考慮して、排気ガス管210またはスクラバー240に中和剤を一緒に噴射することができる。
【0126】
一方、排気ガスは、スクラバー240の下部に満たされた洗浄水中で噴射できるため、1次にスクラバー240の下部に満たされた洗浄水から窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質を除去し、さらにスクラバー240の上部から噴射される洗浄水によって汚染物質を再び除去することができる。このような過程を経て排気ガス中の汚染物質は除去され、汚染物質の除去された排気ガスは排出管242を介して外部へ排出される。
【0127】
スクラバー240を通過した洗浄水は、窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質を含んでおり、洗浄水排出管241を介してフィルターユニット270へ移動する。フィルターユニット270は洗浄水中の固体状粒子などの汚染物質を分離してスラッジタンク280に貯蔵し、クリーンな洗浄水は混合管234と海水排出管237を介して外部へ排出される。このとき、混合管234を通過する洗浄水のpH値が基準値を外れる場合、浄化ユニット250は、中和剤を混合管234に注入してpH値を基準値以内に合わせた後、外部へ排出する。
【0128】
続いて、
図13を参照して説明すると、海水供給管230を介して流入した海水がスクラバー240を通過して洗浄水排出管241へ排出され、洗浄水排出管241に排出された洗浄水は、再循環タンク290に一時貯蔵されてから、さらに循環管291を介して洗浄水供給管220へ循環する。すなわち、
図13の過程は、洗浄水が循環管291を介して再循環して再利用されるという点を除けば、残りの過程は
図12の過程と実質的に同様である。
【0129】
海水供給管230を介して流入した海水は、洗浄水供給管220、スクラバー240、洗浄水排出管241及び循環管291を順次循環し、海水の汚染度、pH値などを考慮して、
図13の過程と
図12の過程とを併行して行うことができる。
図13の過程は、海水の排出が制限される地域を通過する場合のように、外部へ海水を排出することができない場合に使用することができ、洗浄水を複数回再循環させることにより、洗浄水の汚染が酷い場合にはフィルターユニット270を介して固体状粒子を除去して外部へ排出し、さらに新しい海水をスクラバー240へ供給することができる。
【0130】
図12及び
図13の過程は必要に応じて選択的または順次的に使用できる。
【0131】
以下、
図14と
図15を参照して、汚染物質低減装置200が排気ガスの汚染物質除去とバラスト水の処理を同時に行う過程について説明する。
【0132】
図14は開ループ(open loop)タイプの汚染物質除去方式と直接殺菌方式のバラスト水処理過程を示すものであり、
図15は閉ループ(close loop)タイプの汚染物質除去方式と間接殺菌方式のバラスト水処理過程を示すものである。
【0133】
まず、
図14を参照して説明すると、海水供給管230を介して流入した海水は、洗浄水供給管220を介してスクラバー240へ供給される。洗浄水はスクラバー240の上部から噴射され、スクラバー240の下部には洗浄水が一定の水位で満たされることが可能である。
【0134】
このとき、排気ガス管210を介して供給された排気ガスは、スクラバー240の下部から噴射できる。浄化ユニット250は、排気ガスがスクラバー240へ供給される前に、酸化剤を噴射して一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させることができる。浄化ユニット250は、洗浄水のpH値を考慮して、排気ガス管210またはスクラバー240に中和剤を一緒に噴射することができる。
【0135】
一方、排気ガスはスクラバー240の下部に満たされた洗浄水中で噴射できるため、1次にスクラバー240の下部に満たされた洗浄水から窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質を除去し、さらにスクラバー240の上部から噴射される洗浄水によって汚染物質を再び除去することができる。このような過程を経て排気ガス中の汚染物質は除去され、汚染物質の除去された排気ガスは排出管242を介して外部へ排出される。
【0136】
スクラバー240を通過した洗浄水は、窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質を含んでおり、洗浄水排出管241を介してフィルターユニット270へ移動する。フィルターユニット270は、洗浄水中の固体状粒子などの汚染物質を分離してスラッジタンク280に貯蔵し、クリーンな洗浄水は、海水供給管230及び混合管234を通過してバラスト水タンク260に流入するか、或いは海水排出管237を介して外部へ排出され得る。このとき、フィルターユニット270の一側に設置された合流管238を介して、スクラバー240を通過していない外部からの海水が海水供給管230に合流され、海水供給管230を流動するクリーンな洗浄水に混合されることも可能である。
【0137】
一方、海水供給管230を流動する洗浄水と海水との混合水には、注入ユニット233を介して、浄化ユニット250から供給された殺菌剤が注入できる。
【0138】
続いて、
図15を参照して説明すると、海水供給管230を介して流入した海水は、洗浄水供給管220を介してスクラバー240へ供給される。スクラバー240を通過した洗浄水の一部は、再循環タンク290、循環管291及び洗浄水供給管220を経てスクラバー240に再循環し、残りの一部はフィルターユニット270に移動することができる。すなわち、
図15の過程は、スクラバー240を通過した洗浄水の一部が再循環タンク290、循環管291及び洗浄水供給管220を経てスクラバー240へ再循環し、海水排出管237を介して外部へ洗浄水が排出されないことを除けば、残りの過程は
図14の過程と実質的に同様である。
【0139】
一方、海水供給管230を流動する海水は、注入ユニット233によって殺菌剤が注入され、残りの一部は、迂回管235に沿って流動して注入ユニット233を通過した後、混合管234を流動する海水の流れに混合できる。
【0140】
図14の過程と
図15の過程は、海水に含まれている微生物の量や種類、または必要なバラスト水の量などを考慮して選択的に行うことができるだろう。
【0141】
以下、
図16乃至
図23を参照して、本発明の第6実施例に係る汚染物質低減装置について詳細に説明する。
【0142】
図16及び
図17は本発明の第6実施例に係る汚染物質低減装置を概略的に示す図である。
【0143】
本発明の第6実施例に係る汚染物質低減装置300は、例えば、排気ガスに含まれている汚染物質の量が相対的に増加または減少する場合のように汚染物質の処理状況が変動する場合にも、これを反映してスクラバーシステムから排出される処理水のpH値を適切に維持及び調節することができるという特徴がある。すなわち、排気ガスの濃度や汚染度、スクラバーの汚染物質処理能力などを勘案して、スクラバーを通過して出てきた処理水のpH値が適正のレベルを維持するように制御することができ、これによりスクラバーを通過して出てきた処理水をバラスト水として再利用し或いは船体の外部へ排出するなど、様々な方式で容易に処理することができるという特徴がある。
【0144】
本発明に係る汚染物質低減装置300は、排気ガス管310と、洗浄水供給管320と、スクラバー340と、浄化ユニット350と、洗浄水排出管341と、スクラバーに流入する海水の量を調節する制御バルブ331と、排気ガスの濃度または汚染度、またはスクラバーを通過した洗浄水(すなわち、前述した処理水)のpH値に応じて制御バルブ331を制御する制御部301とを含む。
【0145】
排気ガス管310は、燃焼機関から排気ガスが移動する管であって、スクラバー340に連結される。発生した排気ガスは、多量の窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などを含んでおり、燃焼機関の一側に連結された排気ガス管310を介してスクラバー340へ供給される。
【0146】
一方、洗浄水供給管320は、海水、清水、及び海水と清水との混合水のうちの少なくとも一つである洗浄水をスクラバー340に供給する管であって、バラスト水タンクにバラスト水を供給する海水供給管330から分岐する。洗浄水供給管320の一端部は、スクラバー340に連結され、洗浄水供給管320の一側には、清水を供給する清水供給管321が連結できる。よって、洗浄水供給管320は海水と清水の供給を選択的に受けることができる。
【0147】
海水供給管330にはポンプ336が設置され、洗浄水をスクラバー340へ円滑に供給することができる。海水供給管330は、外部から海水の流入を受け、バラスト水タンクにバラスト水を供給する役割をする。特に、洗浄水供給管320は、海水供給管330から分岐してスクラバー340に連結される構造であって、洗浄水供給管320と海水供給管330との連結部分には制御バルブ331が設置されている。制御バルブ331は、洗浄水供給管320を介して供給される海水の量を調節し、或いは洗浄水供給管320に分岐して供給される海水と海水供給管330を介してバラスト水タンク360へ供給される海水との割合を調節することができる。
【0148】
制御バルブ331は、洗浄水供給管320を介してスクラバー340に流入する海水の量を調節する。制御バルブ331は、例えば、
図16に示すように、海水供給管330と洗浄水供給管320とを連結し、洗浄水供給管320に分岐する海水の量または割合を調節する3方弁を含めて形成できる。しかし、これに限定する必要はなく、制御バルブ331は、
図17に示すように、3方弁の代わりに洗浄水供給管320に流量調節計などの流量制御装置を連結して形成することもできる。
【0149】
すなわち、制御バルブ331は、バルブとして表現したが、これに限定されず、管路を流動する流体の流動量、流れ、流動比率などを調節することができる様々な形態の装置を含めて様々な形態で実現できる。制御バルブ331は、制御部301の電気信号を受信して動作するように形成でき、制御部301の制御シーケンスに応じて管路を開放または閉鎖し、或いは開閉の程度を多様に変更するように形成できる。
【0150】
制御バルブ331は、洗浄水供給管320を介してスクラバー340に流入する海水の量を調節することができる多様な形態で形成でき、形成される方式に対応して、管路に締結された位置にも多少の違いがありうる。例えば、流量調節計などで形成される場合には、
図17に示すように、洗浄水供給管320側に制御バルブ331が形成でき、3方弁の形態で形成される場合には、
図16に示すように、海水供給管330と洗浄水供給管320との間に制御バルブ331が形成できる。いずれの場合にも、洗浄水供給管320を介してスクラバー340に流入する流体の量を容易に調節することが可能な位置に制御バルブ331を形成することができる。以下、本明細書では、3方弁を含む制御バルブ331を基準にして説明する。制御部301は、排気ガス管310へ供給される排気ガスの濃度または汚染度、またはスクラバー340を通過した洗浄水のpH値に応じて制御バルブ331を制御する。制御部301は、信号入出力、データ演算などが可能な演算装置を含めて形成でき、管路に連結された各種センサーからセンシングデータの入力を受け、これを演算して制御バルブ331を制御することができる。必要な場合、制御部301に特別な制御シーケンスを入力し、センシングされたデータに対応して該当制御シーケンスを行うように形成することも、いくらでも可能である。
【0151】
排気ガスの濃度または汚染度は、排気ガス中に含まれている硫黄酸化物(SOx)及び窒素酸化物(NOx)のうちの少なくとも一つの量から判断することが可能である。すなわち、排気ガス中の硫黄酸化物の量または濃度、窒素酸化物の量または濃度、または硫黄酸化物及び窒素酸化物の量または濃度などを測定して排気ガスの濃度または汚染度を計測し、浄化ユニット350からスクラバー340に投入される酸化剤の量やスクラバー340に供給される海水の量を排気ガスの濃度または汚染度に対応して調節することができる。このため、排気ガス管310に排気ガス中の硫黄酸化物及び窒素酸化物のうちの少なくとも一つの濃度または量を測定する酸化物センサー部312を設置することができる。しかし、これに限定されるものではなく、酸化物センサー部312は排出管343にも取り付けることができる。また、海水を外部へ排出する海水排出管337と制御バルブ331との間に、海水と洗浄水との混合水が移動する混合管334を形成し、スクラバー340から洗浄水を排出する洗浄水排出管341及び混合管334のうちの少なくとも1つに、洗浄水または混合水のpH値を測定するpHセンサー部342を形成することができる。洗浄水排出管341及び混合管334については後述してより詳細に説明する。
【0152】
すなわち、制御部301は、酸化物センサー部312のセンシング信号から排気ガスの濃度または汚染度を測定することができ、pHセンサー部342のセンシング信号からスクラバー340を通過した洗浄水のpH値を測定することができる。このように、制御部301は、各センサー部の測定値を用いて、汚染排気ガスの汚染度、及び汚染物質を処理してスクラバー340から排出される処理水(すなわち、スクラバーを通過した洗浄水)のpH値を把握して、スクラバー340を通過した洗浄水のpH値が適切なレベルを維持するように、スクラバー340に投入される洗浄水の量を適切に調節することができる。また、浄化装置350または中和剤貯蔵タンク(図示せず)を用いて中和剤を洗浄水に投入することにより、洗浄水のpH値を調節することも、いくらでも可能である。
【0153】
また、制御部301は、排気ガスの濃度または汚染度、またはスクラバー340を通過した洗浄水のpH値に応じて、前述した清水供給管321で供給される清水の供給量を制御することもできる。例えば、清水供給管321側に形成されたバルブ321aを制御部301の制御信号によって開閉可能に連結して、制御部301の制御信号で前記バルブ321aを開閉し、清水の供給量を変更させることができる。このような方式で排気ガスの濃度または汚染度などに対応してこれを円滑に処理しながら、スクラバー340に供給される海水または清水の割合を調整し、スクラバー340を通過した洗浄水(海水、清水、及び海水と清水との混合水のうちの少なくとも一つ)のpH値は適切に維持することができる。これについては具体的に後述する。
【0154】
スクラバー340は、排気ガス管310を介して流入する排気ガスに洗浄水供給管320を介して供給される洗浄水を噴霧することにより、排気ガスと洗浄水とを気液接触させる装置であって、湿式スクラバーであり得る。このとき、洗浄水供給管320は、スクラバー340の内部に位置した端部がスクラバー340の上部に配置され、複数個に分岐して洗浄水を微粒子の形で噴霧することができる。すなわち、スクラバー340の上部に配置された洗浄水供給管320は、排気ガスが流入するスクラバー340の下部に向かって洗浄水を噴霧することにより、排気ガスと洗浄水を効果的に接触させることができる。スクラバー340の内部で排気ガスと洗浄水とが接触することにより、排気ガスに含まれている窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などの汚染物質が除去でき、窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵の汚染物質が除去された排気ガスは排出管343を介して外部へ排出できる。排出管343を介して排出される排気ガスG2は、窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などの汚染物質が除去されるので、排気基準に適合して大気中への排出が可能である。このとき、前述したように、排出管343にも、排気ガス中の硫黄酸化物及び窒素酸化物のうちの少なくとも一つの濃度または量を測定する酸化物センサー部312を設置することができる。したがって、排気ガス管310及び排出管343でそれぞれ測定された硫黄酸化物及び窒素酸化物の濃度を相互比較することにより、有害ガス除去率または処理率をより正確に計算して比較することができる。
【0155】
一方、窒素系酸化物(NOx)と硫黄酸化物(SOx)が洗浄水、すなわち海水に溶解して生成された硝酸(HNO
3)と硫酸(H
2SO
4)は酸性を帯びており、スクラバー340に収容された海水に含まれている微生物を死滅させることができる。このとき、スクラバー340の内部に存在する洗浄水、すなわち海水のpH値は、殺菌力が極大化される4〜5.5に維持できる。
【0156】
スクラバー340の内部で汚染物質の含まれている排気ガスと接触して窒素酸化物、硫黄酸化物、及び粉塵などを含むようになった洗浄水は、洗浄水排出管341を介して排出される。このような洗浄水は酸性を帯びることができる。
【0157】
浄化ユニット350は、排気ガス管310またはスクラバー340に連結され、物理的または化学的な方法で窒素系酸化物を酸化させるか、或いは酸性化された洗浄水を中和させるか、或いは洗浄水に含まれている微生物を死滅させることができる。浄化ユニット350は、排気ガス管310またはスクラバー340に酸化剤、中和剤または殺菌剤を供給することができる。例えば、浄化ユニット350は、海水を電気分解して酸化剤、中和剤、殺菌剤をすべて生産する装置であるか、或いはプラズマを利用して酸化剤と殺菌剤を生産する装置である。浄化ユニット350は、電気分解装置またはプラズマ装置に限定されるものではなく、窒素系酸化物を酸化させるか、或いは酸性化された洗浄水を中和させるか、或いは洗浄水に含まれている微生物を死滅させることができる装置であれば、いずれの構成も可能である。
【0158】
浄化ユニット350は、排気ガス管310に酸化剤を噴射することにより、排気ガスに含まれている一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させることができる。二酸化窒素は、一酸化窒素に比べて水に容易に溶解し、スクラバー340で洗浄水に溶けて容易に除去できる。浄化ユニット350は、排気ガス管310に液体酸化剤を微粒子化して噴射することができる。浄化ユニット350は、排気ガス管310に液体酸化剤を微粒子化して直接噴射し、或いは排気ガス管310に設置された別途の噴霧ユニット311を介して排気ガスに液体酸化剤を噴霧することができる。排気ガスに噴射される酸化剤は、前述したように海水を電気分解して生産されるか、或いは排気ガスにコロナ放電をして生産されるか、或いは別途のオゾン発生器を介して生産され得る。例えば、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、次亜塩素酸(HOCl)及びオゾンのうちの少なくとも一つである。すなわち、酸化剤が海水を電気分解して生産される場合には、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、次亜塩素酸(HOCl)であり、酸化剤が排気ガスにコロナ放電をして生産されるか或いはオゾン発生器を介して生産される場合には、オゾンであり得る。オゾンは、殺菌力に優れるので、海水に含まれている微生物を死滅させることができる。しかし、酸化剤が次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、次亜塩素酸(HOCl)及びオゾンのうちの少なくとも一つであることに限定されるものではなく、例えば、酸化剤は過酸化水素(H
2O
2)、二酸化塩素(ClO
2)などの化学薬品であり得る。浄化ユニット350は、船舶が排出する排気ガスの濃度を下げる必要があるとき、排気ガス管310に注入される酸化剤の量を増加させることができる。
【0159】
浄化ユニット350は、前述した酸化物センサー部312などからセンシング信号の入力を受け、排気ガス中の硫黄酸化物及び窒素酸化物のうちの少なくとも一つの量に応じて、排気ガス管310に注入する酸化剤の量を調節することができる。たとえば、前述した制御部301を浄化ユニット350に連結し、制御部301の制御によって浄化ユニット350をこのように制御することができる。このとき、浄化ユニット350は、排気ガス管310に中和剤を一緒に噴霧し、或いはスクラバー340に中和剤を噴霧することができる。中和剤は、窒素酸化物と硫黄酸化物が洗浄水と反応して、酸性化された洗浄水を中和させることができる。窒素酸化物と硫黄酸化物は、海水と反応すると、それぞれ硝酸(HNO
3)、硫酸(H
2SO
4)を生成するので、浄化ユニット350は、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)などをスクラバー340に噴射することにより、酸性化された洗浄水を中和させることができる。このような浄化ユニット350は、バラスト水タンク360に中和剤を噴霧したり海水排出管337に中和剤を噴射したりしてバラスト水を中和させ、或いは過剰の総残留酸化剤の量を減少させることができる。このとき、浄化ユニット350は、バラスト水タンク360に中和剤を噴射するとともに、さらにチオ硫酸ナトリウム(Na
2S
2O
3)を噴射することもできる。また、浄化ユニット350は、外部から流入する海水の量が増加すると、スクラバー340に注入される殺菌剤の量を増加させて微生物を死滅させることができる。このとき、スクラバー340の内部に紫外線を照射し或いは光触媒を注入して殺菌力を向上させることもできる。
【0160】
また、前述したpHセンサー部342の測定値に応じて海水供給管330またはバラスト水タンク360に中和剤または殺菌剤を注入するようにすることができ、pHセンサー部342の測定値に対応して中和剤または殺菌剤の注入量を適切に変更させることができる。たとえば、前述した制御部301を浄化ユニット350に連結する方式で、このような場合にも浄化ユニット350を容易に制御することができる。
【0161】
一方、浄化ユニット350は、スクラバー340に直接中和剤(NaOH)を投入することができ、浄化ユニット350で洗浄水の中和が十分ではない場合、別途の中和剤注入ユニット(図示せず)を追加して2次中和段階を経ることもできる。
【0162】
洗浄水排出管341は、スクラバー340の内部の洗浄水を排出する管であって、フィルターユニット370を介して海水供給管330に再び連結できる。
【0163】
洗浄水排出管341には循環管391が連結できる。
【0164】
洗浄水排出管341と循環管391との間には再循環タンク390が設置できる。
【0165】
再循環タンク390は、フィルターユニット370のように、遠心分離器、重力分離器及びフィルターのいずれか一つを含めて洗浄水中の固体状粒子を除去し、循環管391を介して洗浄水を再循環させることができる。
【0166】
洗浄水供給管320は、海水供給管330、清水供給管321及び循環管391に連結されており、排気ガスの濃度、スクラバー340の処理容量、洗浄水の濃度及び汚染度などを考慮して海水、清水、循環水を適切に混ぜてスクラバー340へ供給することができる。
【0167】
フィルターユニット370は、スクラバー340の後段に設置され、スクラバー340から排出される洗浄水中の固体状粒子などを分離する装置であって、遠心分離器、重力分離器及びフィルターの少なくとも一つを用いて固体状粒子を分離してスラッジタンク380へ排出することができる。1つのフィルターユニット370で、外部から流入した海水、及びスクラバー340を通過した洗浄水をすべてフィルタリングすることができる。また、フィルターユニット370の一側には、制御バルブ331の後段の海水供給管330に直接連結される合流管(
図22の338参照)が設置できる。
【0168】
フィルターユニット370を通過した洗浄水または海水に、前述したように、浄化ユニット350から供給される中和剤または殺菌剤を噴射することができる。また、フィルターユニット370は、一つまたは2つを使用するが、洗浄水排出管341を通過した洗浄水または海水供給管330を通過した海水内に含まれている粒子の大きい物質を除去するために、共通または独立的に使用することもできる。フィルターユニット370と海水排出管337との間には海水と洗浄水との混合水が排出される混合管334が設置でき、混合管334には浄化ユニット350から供給される中和剤または殺菌剤を注入する注入ユニット333が設置できる。注入ユニット333は、中和剤または殺菌剤を液体または気体の状態で海水と洗浄水に注入することができる。
【0169】
注入ユニット333の後段にはセンサー部332が設置されており、混合管334を介して排出される洗浄水と海水中の総残留酸化剤の量(total residual oxidant)、pH濃度、微生物濃度などをリアルタイムにて把握することができる。センサー部332の結果値に応じて、浄化ユニット350は、酸化剤、中和剤、殺菌剤の供給量を適切に調節する。混合管334を介して排出される洗浄水と海水は、バラスト水タンク360に流入し或いは外部へ排出される。前記センサー部332は、混合管334に設置されてpH値を測定するもので、混合管334に設置されたpHセンサー部と看做してもかまわない。すなわち、スクラバー340を通過した洗浄水のpH値は、洗浄水排出管341に設置されたpHセンサー部342から直接的に測定されるか、或いは混合管334に設置されたセンサー部332のpH測定値から間接的に測定され得る。各センサー部の測定値を相互補完的に活用するか、或いは適切であると判断される値を選択的に取って、スクラバー340を通過した処理水のpHまたはpH値の変動分をより正確に把握することが可能である。
【0170】
バラスト水タンク360は、洗浄水排出管341を介して排出される洗浄水を貯蔵する。船舶には、少なくとも一つのバラスト水タンク360が設置でき、前述したように、洗浄水排出管341を介して排出される洗浄水は、排気ガスに含まれている窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などを吸収した状態なので、洗浄水排出管341の内部を流動する洗浄水の水素イオン濃度指数、すなわちpH値は、洗浄水供給管320の内部を流動する洗浄水のpH値よりもさらに低い。
【0171】
すなわち、洗浄水排出管341の内部を流動する洗浄水は、酸性化により微生物の生存率が低いため、一定のサイズ以上の微生物を死滅させなければならないというバラスト水規制条件を満足させるので、バラスト水として活用することができる。
【0172】
一方、浄化ユニット350は、バラスト水タンク360に直接殺菌剤を供給することができる。
【0173】
本発明に係る排気及び排水汚染物質の低減方法は、燃焼機関の排気ガスと外部からの海水の流入を受ける(a)段階と、排気ガスに酸化剤を噴射して窒素系酸化物を酸化させてスクラバー340へ供給する(b)段階と、スクラバー340に海水を噴射して、排気ガスに含まれている汚染物質を除去すると同時に、海水に含まれている微生物を死滅させる(c)段階とを含み、燃焼機関から流入する排気ガスの量と外部から流入する海水の量を可変させて排気ガスと海水を選択的に浄化することができる。
【0174】
また、排気及び排水汚染物質の低減方法は、スクラバー340を通過した海水に含まれている固体状粒子を分離する(d)段階と、固体状粒子が分離された海水、または前記(c)段階後のスクラバー内で酸性化された洗浄水に中和剤を注入する(e)段階をさらに含むことができる。
【0175】
燃焼機関の排気ガスは排気ガス管310を介してスクラバー340に流入し、海水は海水供給管330及び洗浄水供給管320を介してスクラバー340に流入することができる((a)段階)。このとき、浄化ユニット350は、排気ガスがスクラバー340に流入する前に、酸化剤を噴射して窒素系酸化物を酸化させることができる((b)段階)。酸化剤は、海水を電気分解して生産されるか、或いは排気ガスにコロナ放電をして生産されるか、或いは別途のオゾン発生器を介して生産され得る。次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、次亜塩素酸(HOCl)及びオゾンのうちの少なくとも一つであり得る。また、浄化ユニット350は、排出管342を介して排出される排気ガスの濃度を下げなければならない場合、例えば、船舶がECA(Emission Control Area;排出規制海域)に進入した場合には、排気ガス管310に注入される酸化剤の量を増加させることができる。
【0176】
スクラバー340は、排気ガス管310を介して流入した排気ガスに海水を噴射して、排気ガスに含まれている窒素系酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質を除去し、これと同時に、海水に含まれている微生物を死滅させることができる((c)段階)。すなわち、排気ガスに含まれている窒素系酸化物、硫黄酸化物は、海水に溶解して除去され、窒素系酸化物と硫黄酸化物が海水に溶解して生成された硝酸と硫酸は、海水に含まれている微生物を死滅させることができる。このとき、排気ガスにコロナ放電をして生産されるか或いはオゾン発生器を介して生産されたオゾンで、海水に含まれている微生物を死滅させることもできる。スクラバー340の内部に存在する海水のpH値は、殺菌力が極大化される4〜5.5に維持できる。
【0177】
また、海水に含まれている微生物は、浄化ユニット350から供給された殺菌剤によって死滅できる。浄化ユニット350は、外部から流入する海水の量が増加すると、スクラバー340に流入する殺菌剤の量を増加させて、海水に含まれている微生物を死滅させることができる。微生物が死滅した海水は、船舶のバラスト水として使用でき、船舶がバラスト水をバラスト水タンク360に対して流入または排出させるとき、浄化ユニット350は殺菌剤の注入量を増加させることができる。
【0178】
スクラバー340を通過した海水は、フィルターユニット370を介して固体状粒子が分離でき((d)段階)、固体状粒子が分離された海水は、直接船舶のバラスト水として使用されるか、外部へ直接排出されるか、或いは再びバックスクラバー340に再循環できる。または、固体状粒子が分離された海水は、外部から直接流入した海水と混合されてバラスト水として使用されてもよく、外部へ排出されてもよい。このとき、フィルターユニット370を通過して固体状粒子が分離された海水には、浄化ユニット350から中和剤が注入されてもよい。
【0179】
以下、
図18乃至
図23を参照して汚染物質低減装置300の作動過程についてより詳細に説明する。
【0180】
図18及び
図19は海水供給管330を介して流入した海水がバラスト水として供給される過程を示すものである。
図18はバラスト水として供給される海水全体に殺菌物質が投入される直接殺菌方式を示すものであり、
図19はバラスト水として供給された海水中の一部分に殺菌物質を投入し、外部から供給された海水と混ぜて使用する間接殺菌方式を示すものである。
【0181】
まず、
図18を参照して説明すると、海水供給管330を介して供給された海水は、フィルターユニット370を通過しながら粒子の大きい微生物が除去される。
【0182】
フィルターユニット370を通過した海水には、浄化ユニット350から供給される殺菌剤が噴射できる。殺菌剤が噴射されて微生物が死滅した海水は、バラスト水タンク360に供給されてバラスト水として使用できる。
【0183】
続いて、
図19を参照して説明すると、海水供給管330を介して供給された海水は、フィルターユニット370を通過しながら粒子の大きい微生物が除去される。海水は、混合管334を介して一部が排出され、ほとんどの海水は迂回管335を介して排出され得る。混合管334は、浄化ユニット350から殺菌剤が噴射される管であり、迂回管335は、フィルターユニット370を通過した海水が直接バラスト水タンク360に流入する管である。
【0184】
混合管334を通過した海水は、殺菌剤を含めて微生物が死滅した状態であり、混合管334を通過した海水と迂回管335を通過した海水とが互いに混ぜられると、迂回管335を通過した海水に含まれている微生物もすべて死滅させることができる。
【0185】
混合管334と迂回管335を通過する海水の量または割合は、海水に含まれている微生物の濃度、微生物除去方式などに応じて選択的に調節できる。
【0186】
図18及び
図19を参照して説明したように、汚染物質低減装置300は、排気ガスを除去する機能を使用しなくても、独立してバラスト水を処理することができる。
図18及び
図19の過程は、主に船舶が港でバラスト水をバラスト水タンク360に対して充填し或いは空けるときに運用できる。
【0187】
以下、
図20及び
図21を参照して、汚染物質低減装置300が排気ガスの汚染物質のみを除去するために動作する過程を説明する。
【0188】
図20は海水供給管330で供給された海水がスクラバー340を通過して外部へ直接排出される方式を示すものであり、
図21は海水供給管330に流入した海水がスクラバー340を通過した後、循環管391を介して再循環して再利用される方式を示すものである。
【0189】
まず、
図20を参照して説明すると、海水供給管330を介して流入した海水は、洗浄水供給管320を介してスクラバー340へ供給される。
【0190】
このとき、排気ガス管310を介して供給された排気ガスは、スクラバー340の下部から噴射できる。浄化ユニット350は、排気ガスがスクラバー340へ供給される前に、酸化剤を噴射して一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させることができる。浄化ユニット350は、洗浄水のpH値を考慮してスクラバー340に中和剤を一緒に噴射することができる。
【0191】
一方、排気ガスは、スクラバー340の下部に満たされた洗浄水中で噴射できるため、1次にスクラバー340の下部に満たされた洗浄水から窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質を除去し、さらにスクラバー340の上部から噴射される洗浄水によって汚染物質を再び除去することができる。このような過程を経て排気ガス中の汚染物質は除去され、汚染物質の除去された排気ガスは排出管343を介して外部へ排出される。
【0192】
スクラバー340を通過した洗浄水は、窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質を含んでおり、洗浄水排出管341を介してフィルターユニット370へ移動する。フィルターユニット370は、洗浄水中の固体状粒子などの汚染物質を分離してスラッジタンク380に貯蔵し、クリーンな洗浄水は混合管334と海水排出管337を介して外部へ排出される。このとき、混合管334を通過する洗浄水のpH値が基準値を外れる場合、浄化ユニット350は、中和剤を混合管334に注入してpH値を基準値以内に合わせた後、外部へ排出する。
【0193】
特に、酸化物センサー部312から排気ガス管310へ供給される排気ガスの硫黄酸化物及び窒素酸化物のうちの少なくとも一つの濃度または量を測定して制御部301へ伝送し、制御部301は、そこから排気ガスの濃度または汚染度を判別する。よって、制御部301は、これに対応して制御バルブ331を制御することにより、洗浄水供給管320を介してスクラバー340に流入する海水の量を適切に調節することができる。さらに、制御部301は、清水供給管321側に形成されたバルブ321aを制御して、スクラバー340へ供給される清水の供給量も一緒に調節することができる。
【0194】
すなわち、制御部301を用いて排気ガスの汚染度または濃度の変化に対応して、スクラバー340が汚染物質を円滑に処理することができるように、スクラバー340へ供給される海水または清水の量を調節し、海水、清水、及び海水と清水との混合水のうちの少なくとも一つである洗浄水の供給量を適切に調節することができる。このような制御は、単に排気ガスの汚染度、濃度または排気ガスの流入量などのみを考慮したものではなく、スクラバー340を通過して出てきた洗浄水のpH値を一緒に考慮して行われる。すなわち、pHセンサー部342で測定したpH値及びセンサー部332で測定したpH値を持続的にモニタリングすることにより、スクラバー340を通過して出てきた洗浄水、またはこの洗浄水と海水との混合水のpH値の分布、変動状況などを把握し、pH値が適正のレベルを外れないように、スクラバー340へ供給される洗浄水の量を非常に容易に調節することができる。
【0195】
例えば、発電機またはボイラーに、MGO(Marine Gas Oil)またはHFO(Heavy Fuel Oil)などの硫黄酸化物または窒素酸化物の濃度が互いに異なる燃料を使用する場合、排気ガス管310に設置された酸化物センサー部312の硫黄酸化物及び窒素酸化物の測定値に基づいて制御し、これから発生する排気ガスを処理するために、スクラバー340へ供給される洗浄水の量をより正確に調節することができる。また、硫黄酸化物及び窒素酸化物の濃度が相対的に高い場合には、浄化ユニット350から排気ガス管310に供給される酸化剤の量を増加させて、洗浄水が汚染物質をより容易に溶解させて処理するようにすることができる。
【0196】
また、スクラバー340で窒素酸化物、硫黄酸化物などの汚染物質が硝酸と硫酸で処理されながら洗浄水が酸性化されるので、制御部301の制御により、スクラバー340へ投入される洗浄水の量を変化させ、洗浄水の供給量を増減することにより、スクラバー340を通過して出てきた洗浄水のpH値を調節することができる。スクラバー340を通過して出てきた洗浄水は、
図20に示すように、海水と混ぜられて外部へ排出されるので、pH値が6.5以上を維持するように、スクラバー340へ供給される洗浄水の供給量を適宜増減させて調節することができる。必要な場合、投入される中和剤の供給量を一緒に調節してpH値を調節することも、いくらでも可能である。
【0197】
続いて、
図21を参照して説明すると、海水供給管330を介して流入した海水がスクラバー340を通過して洗浄水排出管341へ排出され、洗浄水排出管341を介して排出された洗浄水は再循環タンク390に一時貯蔵されてから再び循環管391を介して洗浄水供給管320へ循環する。すなわち、
図21の過程は、洗浄水が循環管391を介して再循環して再利用されるという点を除けば、残りの過程は
図20の過程と実質的に同様である。
【0198】
海水供給管330を介して流入した海水は、洗浄水供給管320、スクラバー340、洗浄水排出管341及び循環管391を順次循環し、海水の汚染度、pH値などを考慮して、
図21の過程と
図20の過程を併行して行うことができる。
図21の過程は、海水の排出が制限される地域(ECA:Emission Control Area)を通過する場合のように、外部へ海水を排出することができない場合に使用でき、洗浄水を複数回再循環させることにより、洗浄水の汚れがひどい場合にはフィルターユニット370を介して固体状粒子を除去して外部へ排出し、さらに新しい海水をスクラバー340へ供給することができる。
【0199】
図20及び
図21の過程は必要に応じて選択的または順次的に使用できる。
【0200】
以下、
図22及び
図23を参照して、汚染物質低減装置300が排気ガスの汚染物質除去とバラスト水の処理を同時に行う過程を説明する。
【0201】
図22は開ループ(open loop)タイプの汚染物質除去方式と直接殺菌方式のバラスト水処理過程を示すものであり、
図23は閉ループ(close loop)タイプの汚染物質除去方式と間接殺菌方式のバラスト水処理過程を示すものである。
【0202】
まず、
図22を参照して説明すると、海水供給管330を介して流入した海水は、洗浄水供給管320を介してスクラバー340へ供給される。
【0203】
このとき、排気ガス管310を介して供給された排気ガスは、スクラバー340の下部から噴射できる。浄化ユニット350は、排気ガスがスクラバー340へ供給される前に、酸化剤を噴射して一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させることができる。浄化ユニット350は、洗浄水のpH値を考慮してスクラバー340に中和剤を一緒に噴射することができる。
【0204】
一方、排気ガスはスクラバー340の下部に満たされた洗浄水中で噴射できるため、1次にスクラバー340の下部に満たされた洗浄水から窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質を除去し、さらにスクラバー340の上部から噴射される洗浄水によって汚染物質を再び除去することができる。このような過程を経て排気ガス中の汚染物質は除去され、汚染物質の除去された排気ガスは排出管343を介して外部へ排出される。
【0205】
スクラバー340を通過した洗浄水は、窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質を含んでおり、洗浄水排出管341を介してフィルターユニット370へ移動する。フィルターユニット370は、洗浄水中の固体状粒子などの汚染物質を分離してスラッジタンク380に貯蔵し、クリーンな洗浄水は海水供給管330及び混合管334を通過してバラスト水タンク360に流入し或いは海水排出管337を介して外部へ排出され得る。
【0206】
一方、海水供給管330を流動する洗浄水と海水との混合水には、注入ユニット333を介して、浄化ユニット350から供給された殺菌剤が注入できる。
【0207】
このような場合にも、酸化物センサー部312で、排気ガス管310へ供給される排気ガスの硫黄酸化物及び窒素酸化物のうちの少なくとも一つの濃度または量を測定し、その結果を制御部301に伝送し、制御部301は、その結果から排気ガスの濃度または汚染度を判別する。したがって、これに対応して制御バルブ331を制御することにより、洗浄水供給管320を介してスクラバー340に流入する海水の量を適切に調節することができ、清水供給管321側に形成されたバルブ321aを制御して、スクラバー340へ供給される清水の供給量も一緒に調節することができる。
【0208】
すなわち、排気ガスの汚染物質除去とバラスト水の処理を同時に行う場合にも、制御部301を用いて排気ガスの汚染度または濃度の変化に対応して、スクラバー340が汚染物質を円滑に処理し得るように、スクラバー340へ供給される海水または清水の量を調節し、海水、清水、及び海水と清水との混合水のうちの少なくとも一つである洗浄水の供給量を適切に調節することができる。このような制御は、前述したように、スクラバー340を通過して出てきた洗浄水のpH値を一緒に考慮して行われ、pHセンサー部342で測定したpH値とセンサー部332で測定したpH値を持続的にモニタリングすることにより、スクラバー340を通過して出てきた洗浄水、またはこの洗浄水と海水との混合水のpH値の分布、変動状況などを把握し、pH値が適正のレベルを外れないように、スクラバー340へ供給される洗浄水の量を非常に容易に調節することができる。
【0209】
続いて、
図23を参照して説明すると、海水供給管330を介して流入した海水は、洗浄水供給管320を介してスクラバー340へ供給される。スクラバー340を通過した洗浄水の一部は、再循環タンク390、循環管391及び洗浄水供給管320を経てスクラバー340に再循環し、残りの一部は、フィルターユニット370へ移動することができる。すなわち、
図23の過程は、スクラバー340を通過した洗浄水の一部が再循環タンク390、循環管391及び洗浄水供給管320を経てスクラバー340へ再循環し、海水排出管337を介して外部へ洗浄水が排出されないことを除けば、残りの過程は
図22の過程と実質的に同様である。
【0210】
一方、海水供給管330を流動する海水は、注入ユニット333によって殺菌剤が注入され、残りの一部は、迂回管335に沿って流動して注入ユニット333を通過した後、混合管334を流動する海水の流れに混合できる。
【0211】
このように、汚染物質低減装置300を用いて、バラスト水を処理するか、汚染物質を処理するか、或いはバラスト水及び汚染物質の処理を同時に行うことができる。また、このような過程で制御部301によって制御バルブ331などを制御することにより、スクラバー340へ供給される洗浄水の供給量を増減させ、スクラバー340を通過した洗浄水のpH値を適正のレベルに非常に容易に維持することができる。
図22には、海水排出管337が開放された状態で、開ループ(open loop)方式で作動して洗浄水などを海洋へ排出する過程を示したが、汚染物質低減装置300は、海水排出管337の一側が閉鎖された状態で、船体の内部で海水、洗浄水、混合水などを循環させる閉ループ(closed loop)方式でも容易に作動することができる。
【0212】
また、相対的にバラスティングを多用する港周辺や、相対的にバラスティングが少なく必要であるが、汚染物質の処理量は増加するECA(Emission Control Area)領域など、船舶の運航位置に応じて、前述した処理方式を選択的、複合的に用いて排気汚染物質とバラスト水処理を行うことができる。特に、制御部301は、このような状況に対応して制御バルブ331を制御し、スクラバー340へ供給される海水の量を調整することができる。これにより、バラスト水の処理に必要な海水や汚染物質の処理に使用される海水の量を最適の割合で分配して運用することも可能である。
【0213】
すなわち、例えば、バラスティングを多用する港周辺では、前述したように、バラスト水のみを処理するか、或いは相対的にバラスト水の処理に多くの海水を使用するように分配することができ、ECA領域などで運航している場合には、前述したように汚染物質のみを処理するか、或いは相対的に汚染物質の処理に多くの海水を使用するように分解することが可能である。このような方式で排気及び排水汚染物質処理装置300を非常に効率よく活用することができる。
【0214】
以下、
図24乃至
図31を参照して、本発明の第7実施例に係る汚染物質低減装置について詳細に説明する。
【0215】
図24は本発明の第7実施例に係る汚染物質低減装置を概略的に示す図である。
【0216】
本発明に係る汚染物質低減装置400は、排気ガス管410、洗浄水供給管420、スクラバー440、プラズマ浄化ユニット450及び洗浄水排出管441を含む。
【0217】
排気ガス管410は、燃焼機関から排気ガスが移動する管であって、スクラバー440に連結される。排気ガス管410は、燃焼機関の排気管に直接連結され、高温の排気ガスが直接移動し、或いは各種熱交換器を通過して排気熱の大部分を再利用して残った廃ガスが移動する通路になれる。発生した排気ガスは、多量の窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などを含んでおり、燃焼機関の一側に連結された排気ガス管410を介してスクラバー440へ供給される。
【0218】
一方、洗浄水供給管420は、海水、清水、及び海水と清水との混合水のうちの少なくとも一つである洗浄水をスクラバー440へ供給する管であって、一端部が海水供給管430または清水供給管421に連結され、他端部がスクラバー440に連結され得る。すなわち、洗浄水供給管420は海水と清水の供給を選択的に受けることができる。
【0219】
以下、洗浄水は主に海水であることに限定して、洗浄水供給管420を介して海水が流入してスクラバー440へ供給される過程を主に説明する。
【0220】
海水供給管430にはポンプ436が設置され、洗浄水をスクラバー440へ円滑に供給することができる。特に、洗浄水供給管420は、海水供給管430から分岐してスクラバー440に連結される構造であって、洗浄水供給管420と海水供給管430との連結部分には制御バルブ431が設置されている。
【0221】
スクラバー440は、排気ガス管410を介して流入する排気ガスに、洗浄水供給管420を介して供給される洗浄水を噴霧することにより、排気ガスと洗浄水とを気液接触させる装置であって、湿式スクラバーであり得る。排気ガス管410を介して供給される排気ガスは、プラズマ浄化ユニット450を通過して1次浄化され、さらにスクラバー440を介して2次浄化される。
【0222】
プラズマ浄化ユニット450は、排気ガス管410に連結され、パルスコロナ放電をして排気ガスを浄化する装置であって、パルス高電圧によってコロナ放電がなされると、排気ガスがプラズマ状態になってオゾンとO
2、OHなどの酸化性ラジカルを発生させ、窒素酸化物や硫黄酸化物などの汚染物質を除去する。排気ガス中に含まれている粒子状物質を除去するために、排気ガス管410とプラズマ浄化ユニット450との間に前処理フィルター(図示せず)を置いて粒子状物質を吸収または吸着して除去することができる。或いは、パルスコロナ放電の中間または完了後に、空気/スチームと一緒に高電圧をパルスコロナ放電電極に印加することにより、電極に付いた粒子状/液体状物質を除去することができる。
【0223】
プラズマ浄化ユニット450は、筒形状または互いに平行に配置されたプレート形状の第1電極453と、筒形状を有する電極の内側またはプレート形状を有する電極の間に離隔して配置されたワイヤー形状の第2電極452とを含めてプラズマを生成する。プラズマ浄化ユニット450の具体的な構造については後述する。
【0224】
プラズマ浄化ユニット450は、排気ガスが次の反応式に基づいて反応して排ガス中の汚染物質を低減させる。
<反応式>
NO+O→NO
2
NO+H
2O→NO
2+OH
−
NO+OH
−→HNO
2
HNO
2+OH
−→NO
2+H
2O
NO+O
3→NO
2+O
2
NO
2+OH
−→HNO
3
SO
2+OH
− →HSO
3−
HSO
3−+OH
−→H
2SO
4
SO
2+O→SO
32−
SO
32−+H
2O→H
2SO
4
【0225】
プラズマ浄化ユニット450は、第1電極453と第2電極452との間を通過する排気ガスを直接浄化することができ、排気ガスを浄化して残ったオゾンがスクラバー440に流入しながら、スクラバー440の内部に流入する洗浄水(海水)中の微生物を死滅させることができる。すなわち、プラズマ浄化ユニット450は、流動する排気ガスを直接浄化し、窒素酸化物を酸化させてスクラバー440で容易に溶解できるようにし、オゾンをスクラバー440に供給して洗浄水中の微生物を死滅させる機能を同時に行うことができる。また、プラズマ浄化ユニット450は、後述する注入ユニット433にオゾンを注入して微生物を死滅させることもできる。
【0226】
一方、洗浄水供給管420は、スクラバー440の内部に位置した端部がスクラバー440の上部に多段に配置され、複数個に分岐して洗浄水を微粒子の形で噴霧することができる。すなわち、スクラバー440の上部に配置された洗浄水供給管420は、スクラバー440の下部に向かって洗浄水を噴霧することにより、排気ガスと洗浄水とを効果的に接触させることができる。スクラバー440の内部で排気ガスと洗浄水とが接触することにより、排気ガスに含まれている窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などの汚染物質が除去でき、窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵の汚染物質が除去された排気ガスは、排出管442を介して外部へ排出できる。排出管442を介して排出される排気ガスは、窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などの汚染物質が除去され、排気基準に適合するので大気中にそのまま排出することができる。
【0227】
スクラバー440の内部で汚染物質が含まれた排気ガスと接触して窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などが含まれている洗浄水は、洗浄水排出管441を介して排出される。
【0228】
スクラバー440は、プラズマ浄化ユニット450を通過した排気ガスを洗浄する役割をするだけでなく、海水を洗浄水として使用する場合、洗浄水中に存在する微生物を除去する役割をする。すなわち、洗浄水は、スクラバーを通過しながら微生物が死滅して船体の外部へ排出されるか、或いはバラスト水タンク460に貯蔵されてバラスト水として活用できる。
【0229】
スクラバー440の内部で排気ガスに含まれている硫黄酸化物と窒素酸化物が洗浄水に溶けながら、強酸性を示す硫酸(H
2SO
4)と硝酸(HNO
3)を形成して、洗浄水に含まれている微生物を死滅させることができる。このとき、排気ガスにはプラズマ浄化ユニット450から発生したオゾンが一緒に含まれることが可能なので、オゾンによる殺菌力が洗浄水の微生物を一緒に死滅させることができる。
【0230】
一方、スクラバー440の内部に生成された硫酸(H
2SO
4)と硝酸(HNO
3)は、中和剤供給部455を介して供給された中和剤によって中和できる。例えば、中和剤はアルカリ溶液、すなわち水酸化ナトリウム(NaOH)または次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)であり、海水などを電気分解して得ることができる。したがって、中和剤供給部455は、単に中和剤タンクを含むこともでき、電気分解装置を含めて中和剤を直接生産する装置でありうる。
【0231】
中和剤供給部455は、中和剤をスクラバー440に供給するか、或いは洗浄水供給管420または混合管434の後段に供給することができる。中和剤供給部455が中和剤をスクラバー440に直接供給する場合には、洗浄水が排気ガスと接した後、順次接するようにすることができる。すなわち、洗浄水中の微生物の殺菌のために、排気ガスが洗浄水と先に接して硫酸と硝酸によって微生物を死滅させた後、中和剤が洗浄水に混ぜられて洗浄水を適正のpHとなるように中和させることができる。したがって、中和剤供給部455は、中和剤をスクラバー440の上部または下部に位置した洗浄水供給管420の先端の下端部に注入することができる。
【0232】
排気ガスに接した洗浄水がスクラバー440の下部に集まって洗浄水排出管441へ排出される前に、中和剤と混ぜられて洗浄水が中和できる。このような方式で、スクラバー440内で排気ガス内の汚染物質を除去し、洗浄水の微生物を死滅させ、洗浄水を中和させる過程が一度に行われ得る。
【0233】
洗浄水排出管441は、スクラバー440内部の洗浄水を排出する管であって、フィルターユニット470を介して海水供給管430に再び連結できる。
【0234】
洗浄水排出管441には循環管491が連結できる。
【0235】
洗浄水排出管441と循環管491との間には再循環タンク490が設置できる。
【0236】
洗浄水供給管420は、海水供給管430、清水供給管421及び循環管491に連結されている。
【0237】
フィルターユニット470は、スクラバー440の後段に設置され、スクラバー440から排出される洗浄水に含まれている固体状粒子などを分離する装置であって、遠心分離器、重力分離器及びフィルターの少なくとも一つを用いて固体状粒子を分離してスラッジタンク480へ排出することができる。1つのフィルターユニット470で、外部から流入した海水とスクラバー440を通過した洗浄水をすべてフィルタリングすることができる。または、フィルターユニット470は、二つに分岐して、海水とスクラバーを通過した洗浄水をそれぞれフィルタリングすることができる。また、フィルターユニット470の一側には、制御バルブ431の後段の海水供給管430に直接連結される合流管が設置できる。注入ユニット433の後段にはセンサー部432が設置されている。センサー部432の結果値に基づいて、プラズマ浄化ユニット450と中和剤供給部455は酸化剤、中和剤、殺菌剤の供給量を適切に調節する。
【0238】
混合管434を介して排出される洗浄水と海水は、バラスト水タンク460に流入するか或いは外部へ排出される。
【0239】
バラスト水タンク460は、洗浄水排出管441を介して排出される洗浄水を貯蔵する。船舶には少なくとも一つのバラスト水タンク460が設置でき、洗浄水排出管441の内部を流動する洗浄水は、硫黄酸化物と窒素酸化物により酸性化され、洗浄水供給管420の内部を流動する洗浄水よりもpH値が低い。したがって、洗浄水排出管441の内部を流動する洗浄水に含まれている微生物の生存率は、洗浄水供給管420の内部を流動する洗浄水に含まれている微生物の生存率よりも低い。
【0240】
以下、
図25乃至
図27を参照して、プラズマ浄化ユニットについてさらに詳細に説明する。
【0241】
図25は
図24のプラズマ浄化ユニットの一例を説明するための切開斜視図である。
図26は
図25のプラズマ浄化ユニットの断面図である。
【0242】
プラズマ浄化ユニット450は、第1電極453と第2電極452を含む反応モジュール451を含む。反応モジュール451は、第1電極453と第2電極452を含む独立的なプラズマ発生ユニットをいい、複数個が直列または並列に連結されて使用できる。
【0243】
第1電極453は、筒形状または一対のプレート形状を有する電極であって、接地板の役割をすることができ、第2電極452は、薄いワイヤー形状の電極であって、放電極の役割をすることができる。このような第2電極452に高電圧のパルスを印加すると、第1電極453と第2電極452との間にコロナ放電が行われながら、その間を通過する排気ガスがプラズマ状態になってオゾンとラジカルイオンを発生させる。
【0244】
第1電極453は、多角形または円筒状に形成され、その中央に第2電極452が配置できる空間を形成することができる。また、第1電極453は、一対のプレート電極に形成される場合、中央に第2電極452が配置できるように互いに離隔して配置される。
【0245】
第2電極452は、複数個が互いに離隔して排気ガスの流動方向に沿って配置できる。すなわち、
図25に示すように、第2電極452は、排気ガスの流動方向と垂直方向に配列でき、互いに並んで配列されて排気ガスの流動方向に沿って配置できる。第2電極452は、排気ガスの流動方向と垂直方向を成し、複数個が排気ガスの流動方向に沿って配置されることにより、排気ガスとの接触面積を増やすことができる。また、排気ガスの流動方向に沿ったプラズマ浄化ユニット450の反応断面積は排気ガス管410の断面積と同一であり得る。
【0246】
第2電極452は、第1電極453と複数の方向にコロナ放電をするために第1電極453の中央に配置されることが好ましい。
【0247】
図27は
図24のプラズマ浄化ユニットの他の例を説明するための断面図である。
【0248】
プラズマ浄化ユニット450は複数の反応モジュール451を含むことができる。
図27は、プラズマ浄化ユニット450の一例として、複数の反応モジュール451が直列及び並列に配置された様子を示すものである。プラズマ浄化ユニット450に含まれている複数の反応モジュール451は、同時に動作してもよく、必要に応じてそれぞれ動作してもよい。例えば、互いに異なる個数で並列配置された反応モジュール451を直列に配置することができる。この場合、排気ガスの濃度、流速、流量及び温度のいずれかの条件に応じて反応モジュール451を選択的に動作させることができる。例えば、排気ガスの濃度が高く、流速が速く、流量が多い場合には、A1領域とA2領域の反応モジュールを全て動作させ、排気ガスの濃度が比較的低く、流速が遅く、流量が多くない場合、A1領域またはA2領域の一部を選択的に動作させることもできる。
【0249】
以下、
図28乃至
図31を参照して、汚染物質低減装置400の作動過程についてさらに詳細に説明する。
【0250】
以下、
図28及び
図29を参照して、汚染物質低減装置400が排気ガスの汚染物質のみを除去するために動作する過程を説明する。
【0251】
図28は海水供給管430に供給された海水がスクラバー440を通過して外部へ直接排出される方式を示すものであり、
図29は海水供給管430に流入した海水がスクラバー440を通過した後、循環管491を介して再循環して再利用される方式を示すものである。
【0252】
まず、
図28を参照して説明すれば、海水供給管430を介して流入した海水は、洗浄水供給管420を介してスクラバー440へ供給される。
【0253】
このとき、排気ガス管410を介して供給された排気ガスは、スクラバー440の下部から噴射できる。プラズマ浄化ユニット450は、排気ガスがスクラバー440に供給される前にプラズマを発生させて一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させることができる。
【0254】
一方、排気ガスは、スクラバー440の下部に満たされた洗浄水の中で噴射できるため、1次にスクラバー440の下部に満たされた洗浄水から窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質を除去し、さらにスクラバー440の上部から噴射される洗浄水によって汚染物質を再び除去することができる。このような過程を経て排気ガス内部の汚染物質は除去され、汚染物質の除去された排気ガスは排出管442を介して外部へ排出される。
【0255】
スクラバー440を通過した洗浄水は、窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質を含んでおり、洗浄水排出管441を介してフィルターユニット470へ移動する。フィルターユニット470は、洗浄水中の固体状粒子などの汚染物質を分離してスラッジタンク480に貯蔵し、クリーンな洗浄水は混合管434と海水排出管437を介して外部へ排出される。このとき、混合管434を通過する洗浄水のpH値が基準値を外れる場合、中和剤供給部455は、中和剤を混合管434に注入してpH値を基準値以内に合わせた後、外部へ排出する。
【0256】
次いで、
図29を参照して説明すれば、海水供給管430を介して流入した海水がスクラバー440を通過して洗浄水排出管441へ排出され、洗浄水排出管441を介して排出された洗浄水は再循環タンク490に一時貯蔵されてからさらに循環管491を介して洗浄水供給管420へ循環する。すなわち、
図29の過程は、洗浄水が循環管491を介して再循環して再利用されるという点を除けば、残りの過程は
図28の過程と実質的に同様である。
【0257】
海水供給管430を介して流入した海水は、洗浄水供給管420、スクラバー440、洗浄水排出管441及び循環管491を順次循環し、海水の汚染度、pH値などを考慮して、
図29の過程と
図28の過程とを併行して行うことができる。
図29の過程は、海水の排出が制限される地域を通過する場合のように、外部へ海水を排出することができない場合に使用でき、洗浄水を複数回再循環させることにより、洗浄水の汚染がひどい場合にはフィルターユニット470を介して固体状粒子を除去して外部へ排出し、さらに新しい海水をスクラバー440へ供給することができる。
【0258】
図28及び
図29の過程は、必要に応じて選択的または順次的に使用できる。
【0259】
以下、
図30及び
図31を参照して、汚染物質低減装置400が排気ガスの汚染物質除去とバラスト水の処理を同時に行う過程を説明する。
【0260】
図30は開ループ(open loop)タイプの汚染物質除去方式と直接殺菌方式のバラスト水処理過程を示すものであり、
図31は閉ループ(close loop)タイプの汚染物質除去方式と間接殺菌方式のバラスト水処理過程を示すものである。
【0261】
まず、
図30を参照して説明すれば、海水供給管430を介して流入した海水は洗浄水供給管420を介してスクラバー440へ供給される。
【0262】
このとき、排気ガス管410を介して供給された排気ガスは、スクラバー440の下部から噴射できる。プラズマ浄化ユニット450は、排気ガスがスクラバー440へ供給される前にプラズマを発生させて一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させることができる。中和剤供給部455は、洗浄水のpH値を考慮して洗浄水供給管420またはスクラバー440または混合管434の後段に中和剤を噴射することができる。
【0263】
一方、排気ガスは、スクラバー440の下部に満たされた洗浄水中で噴射できるため、1次にスクラバー440の下部に満たされた洗浄水から窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質を除去し、さらにスクラバー440の上部から噴射される洗浄水によって汚染物質を再び除去することができる。
【0264】
スクラバー440を通過した洗浄水は、窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質を含んでおり、洗浄水排出管441を介してフィルターユニット470へ移動する。フィルターユニット470は、洗浄水中の固体状粒子などの汚染物質を分離してスラッジタンク480に貯蔵し、クリーンな洗浄水は海水供給管430及び混合管434を通過してバラスト水タンク460に流入するか、或いは海水排出管437を介して外部へ排出され得る。一方、海水供給管430を流動する洗浄水と海水との混合水には、注入ユニット433を介して、プラズマ浄化ユニット450から供給された殺菌剤が注入できる。
【0265】
続いて、
図31を参照して説明すれば、海水供給管430を介して流入した海水は、洗浄水供給管420を介してスクラバー440に供給される。スクラバー440を通過した洗浄水の一部は再循環タンク490、循環管491及び洗浄水供給管420を経てスクラバー440に再循環し、残りの一部はフィルターユニット470へ移動することができる。すなわち、
図30の過程は、スクラバー440を通過した洗浄水の一部が再循環タンク490、循環管491及び洗浄水供給管420を経てスクラバー440へ再循環することと、混合管434を通過した処理水が海水排出管437を介して外部へ排出されないことを除けば、残りの過程は
図30の過程と実質的に同様である。
【0266】
図30の過程と
図31の過程は、海水に含まれている微生物の量や種類、または必要なバラスト水の量の調節時期及び排気ガスの処理時期などを考慮して選択的に行うことができるだろう。
【0267】
以下、
図32乃至
図39を参照して、本発明の第8実施例に係る汚染物質低減装置について詳細に説明する。
【0268】
図32は本発明の第8実施例に係る汚染物質低減装置を概略的に示す図であり、
図33は
図32の浄化ユニットを拡大して示す断面図である。
【0269】
本発明に係る汚染物質低減装置500は、排気ガス管510、海水供給管520、洗浄水供給管530、スクラバー540、浄化ユニット550、及び洗浄水排出管541を含む。
【0270】
排気ガス管510は、燃焼機関(図示せず)から排気ガスが移動する管であって、後述するスクラバー540に連結される。
【0271】
排気ガス管510は、燃焼機関の排気管に直接連結され、高温の排気ガスが直接移動すし、或いは様々な熱交換器を通過して排気熱の大部分を再利用して残った廃ガスが移動する通路になれる。発生した排気ガスは、多量の窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などを含んでおり、燃焼機関の一側に連結された排気ガス管510を介してスクラバー540へ供給される。
【0272】
海水供給管520は、外部から海水の流入を受け、バラスト水タンク560へバラスト水を供給する管であって、少なくとも一つのポンプP1が設置されて海水をバラスト水タンク560とスクラバー540へ円滑に供給することができる。このとき、海水供給管520の一側には洗浄水供給管530が分岐してスクラバー540に連結でき、海水供給管520と洗浄水供給管530との連結部分には第1制御バルブ525が設置できる。第1制御バルブ525は、三方弁の形で形成され、洗浄水供給管530を介して供給される海水の量を調節するか、或いは洗浄水供給管530に分岐して供給される海水と海水供給管520を介してバラスト水タンク560へ供給される海水の割合を調節することができる。このような海水供給管520は、洗浄水供給管530の後段からバラスト水供給管523と海水排出管524に分岐し、バラスト水供給管523は、バラスト水タンク560へバラスト水を供給し、海水排出管524は、外部へ海水を排出することができる。
【0273】
洗浄水供給管530は、海水、清水、及び海水と清水の混合水のうちの少なくとも一つである洗浄水をスクラバー540へ供給する管であって、一端部が海水供給管520または清水供給管529に連結され且つ他端部がスクラバー540に連結され得る。すなわち、洗浄水供給管530は、海水と清水の供給を選択的に受けることができる。以下、洗浄水が海水であると限定して、洗浄水供給管530を介して主に海水が流入してスクラバー540へ供給される過程をより重点的に説明する。
【0274】
海水供給管520を介して外部から流入する海水は、洗浄水供給管530を介して流動してスクラバー540へ供給される。スクラバー540は、排気ガス管510を介して流入する排気ガスに洗浄水供給管530を介して供給される洗浄水を噴霧することにより、排気ガスと洗浄水とを気液接触させる装置であって、湿式スクラバー(scrubber)であり得る。
【0275】
スクラバー540の内部で汚染物質の含まれている排気ガスと接触して窒素酸化物、硫黄酸化物、及び粉塵などが含まれた洗浄水は、洗浄水排出管541を介してスクラバー540の外部へ排出される。
【0276】
一方、浄化ユニット550は、海水を電気分解して窒素系酸化物を酸化させる酸化剤、または酸性化された洗浄水を中和させる中和剤、または海水に含まれている微生物を死滅させる殺菌剤を生成するものであって、排気ガス管510または海水供給管520またはスクラバー540に連結できる。すなわち、浄化ユニット550は、排気ガス管510または海水供給管520またはスクラバー540に酸化剤または中和剤または殺菌剤を供給することができる。浄化ユニット550は、電気分解槽551、陽電極板552a、陰電極板552b及び整流器553を含む。
【0277】
図33を参照して説明すれば、電気分解槽551は、内部に収容空間が形成された筒またはチャンバーであって、海水供給管520を介して供給された海水が収容される。電気分解槽551は、一側に海水供給管520から分岐した海水流入管521が連結されて海水の供給を受け、海水流入管521上には少なくとも一つのポンプP2が設置され、海水を電気分解槽551へ円滑に供給することができる。電気分解槽551は、内部に陽電極板552aと陰電極板552bが設置される。
【0278】
陽電極板552aと陰電極板552bは、電気分解槽551の内部に海水の流動方向に配置され、一定間隔離隔して互いに向かい合って配置される。陽電極板552aと陰電極板552bとの間には、親水性多孔質膜で形成された隔膜554が設置され、電気分解槽551は、内部が陽電極板552aの位置する第1領域551aと陰電極板552bの位置する第2領域551bに分割できる。しかし、隔膜554が親水性多孔質膜で形成されると限定されず、多様な構造の膜に変形してもよく、必要に応じて隔膜554が省略されてもよい。このような陽電極板552aと陰電極板552bは、それぞれケーブルを介して整流器553と電気的に連結される。
【0279】
整流器553は、陽電極板552aと陰電極板552bへ、それぞれ整流された電流を供給する。図面上には整流器553が電気分解槽551の外部に設置されていると示したが、これに限定されるものではなく、例えば、整流器553は電気分解槽551の内部に設置されてもよい。
【0280】
電気分解槽551の内部では、整流器553から供給された電流によって、海水に含まれている塩化ナトリウム(NaCl)が電気分解され、これにより、陽電極板552aでは酸化反応が起こりながら塩素ガス(Cl
2)が発生し、陰電極板552bでは水素ガス(H
2)と水酸基(OH)が発生する。このとき、塩素ガス(Cl
2)と水酸基(OH)とが化学反応を起こして酸化力の強い次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)と次亜塩素酸(HOCl)を生成する。電気分解槽551の内部には、生成された酸化剤または殺菌剤または中和剤の濃度を測定する濃度測定センサー555が設けられるので、整流器553は、濃度測定センサー555で測定された濃度値に連携して供給電流の強さを調節することができる。
【0281】
具体的に、陽電極板552aでは、次の反応が起こる。
2H
2O→O
2+4H
++4e
−
2Cl
−→Cl
2+2e
−
【0282】
また、陰電極板552bでは、次の反応が起こる。
2H
2O+2e
−→H
2+2OH
−
2Na
++2e
−→2Na
Na+H
2O→NaOH
【0283】
結論的に、
Cl
2+2OH
−→OCl
−+Cl
−+H
2O
Na
++OCl
−→NaOCl
NaOCl+H
2O→HOCl
【0284】
すなわち、酸化剤は、海水を電気分解して生成した次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)または次亜塩素酸(HOCl)であり、浄化ユニット550は、第1注入管556を介して排気ガス管510に酸化剤を液状に微粒子化して噴射することができる。
【0285】
また、殺菌剤は、海水を電気分解して生成した次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)または次亜塩素酸(HOCl)であるか、或いは次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)または次亜塩素酸(HOCl)が排気ガス及び海水と反応して生成した硝酸(HNO
3)及び硫酸(H
2SO
4)であり得る。浄化ユニット550は、第2注入管557を介してスクラバー540に殺菌剤を注入し、或いは第3注入管558を介して海水供給管520に殺菌剤を注入することができる。このとき、浄化ユニット550は、殺菌剤のpH値が5〜7を維持するように次亜塩素酸(HOCl)の注入量を調節して、微生物を死滅させる殺菌力が最高となるようにすることができる。例えば、洗浄水のpH値が2.7以下である場合には、猛毒性の塩素が発生して危ないおそれがある。
【0286】
また、中和剤は、海水を電気分解して生成した次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)または次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)の希釈液であり、浄化ユニット550は、第2注入管557を介してスクラバー540に中和剤を注入し、或いは第3注入管558を介して海水供給管520に中和剤を注入することができる。
【0287】
浄化ユニット550は、第1注入管556を介して排気ガス管510に酸化剤を噴射することにより、排気ガスに含まれている一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させることができる。二酸化窒素は、一酸化窒素に比べて水に容易に溶解するので、スクラバー540で洗浄水に溶けて容易に除去することができる。第1注入管556は、排気ガス管510に液体酸化剤を微粒子化して噴射し、或いは排気ガス管510に設置された別途の噴霧ユニット511を介して排気ガスの液体酸化剤を噴霧することができる。
【0288】
このとき、浄化ユニット550は、第2注入管557を介してスクラバー540に中和剤を噴霧し、或いは第3注入管558を介して海水供給管520に中和剤を噴霧することができる。中和剤は、窒素酸化物(NOx)と硫黄酸化物(SOx)が洗浄水と反応して酸性化された洗浄水を中和させることができる。窒素酸化物(NOx)と硫黄酸化物(SOx)は、海水と反応すると、それぞれ硝酸(HNO
3)と硫酸(H
2SO
4)を生成するので、浄化ユニット550は、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)をスクラバー540に噴射することにより、酸性化された洗浄水を中和させることができる。スクラバー540の内部では、次の反応が起こる。
2NaOCl+2HNO
3→2NaNO
3+2HOCl
2NaOCl+H
2SO
4→のNa
2SO
4+2HOCl
【0289】
次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は、硝酸(HNO
3)及び硫酸(H
2SO
4)を反応して次亜塩素酸(HOCl)をさらに生成するので、洗浄水中に含まれている微生物を2次に殺菌することができる。このとき、次亜塩素酸(HOCl)は、弱い酸(acidic)成分を帯びているので、別途の中和剤、例えばチオ硫酸ナトリウム(Na
2S
2O
3)、水酸化ナトリウム(NaOH)を添加することもできる。
【0290】
このような浄化ユニット550は、第3注入管558を介してバラスト水供給管523または海水排出管524に殺菌剤または中和剤を注入してバラスト水及び海水を殺菌及び中和させることもできる。
【0291】
一方、浄化ユニット550は、第2注入管557を介して直接中和剤(NaOH)を注入することもでき、浄化ユニット550から供給された中和剤で洗浄水の中和が十分に行われない場合、別途の中和剤注入ユニット(図示せず)を追加して2次中和段階を経ることもできる。
【0292】
洗浄水排出管541は、スクラバー540の内部の洗浄水を排出する管であって、フィルターユニット570を介して海水供給管520に再び連結できる。
【0293】
洗浄水排出管541には循環管591が連結できる。循環管591は、洗浄水排出管541を介して排出される洗浄水を洗浄水供給管530に再循環させる管であって、洗浄水をバラスト水として使用しないか或いは外部へ排出する必要がない場合、洗浄水をスクラバー540へ循環させて再使用することができる。
【0294】
洗浄水排出管541と循環管591との間には再循環タンク590が設置できる。
【0295】
洗浄水供給管530は、海水供給管520、清水供給管529及び循環管591に連結されている。
【0296】
フィルターユニット570は、スクラバー540の後段に設置され、スクラバー540から排出される洗浄水に含まれている固体状粒子などを分離する装置であって、再循環タンク590のように、遠心分離器、重力分離器及びフィルターの少なくとも一つを用いて固体状粒子を分離した後、スラッジタンク580へ排出することができる。フィルターユニット570は、ポンプP1と第1制御バルブ525との間の海水供給管520に連結できる。
【0297】
また、フィルターユニット570の一側には、第1制御バルブ525の後段の海水供給管520に直接連結される合流管527が設置できる。
【0298】
フィルターユニット570を通過した洗浄水または海水には、第3注入管558を介して中和剤または殺菌剤が噴射できる。フィルターユニット570と海水排出管524との間には、海水と洗浄水との混合水が排出される混合管522が設置でき、第3注入管558は、海水供給管520または混合管522に連結できる。第3注入管558上には、浄化ユニット550から供給される中和剤または殺菌剤を注入する注入ユニット559が設置され、注入ユニット559は、中和剤または殺菌剤を液体または気体状態で海水と洗浄水に注入することができる。海水排出管524上にはセンサー部524aが設置されており、排出される洗浄水と海水中に含まれている総残留酸化剤の量(total residual oxidant)、pH値及び微生物濃度のうちの少なくとも一つをリアルタイムにて把握することができる。浄化ユニット550は、センサー部524aの結果値に応じて酸化剤、中和剤、殺菌剤の供給量を調節することができる。
【0299】
混合管522を介して排出される洗浄水と海水は、バラスト水供給管523を介してバラスト水タンク560に流入するか、或いは海水排出管524を介して外部へ排出される。
【0300】
バラスト水タンク560は、洗浄水排出管541を介して排出される洗浄水を貯蔵する。
【0301】
以下、
図34乃至
図39を参照して、汚染物質低減装置500の作動過程についてより詳細に説明する。
【0302】
図34及び
図35は海水供給管を介して流入した海水がバラスト水として供給される過程を示すものであり、
図34はバラスト水として供給される海水全体に殺菌剤が投入される直接殺菌方式を示すものであり、
図35はバラスト水として供給される海水中の一部に殺菌剤が投入され、外部から供給された海水と混ぜて使用する間接殺菌方式を示すものである。
【0303】
まず、
図34を参照すると、海水供給管520を介して供給される海水は、フィルターユニット570を通過して粒子の大きい微生物が除去される。
【0304】
フィルターユニット570を通過した海水の一部は、海水流入管521を介して浄化ユニット550へ供給されて殺菌剤を生成することができ、残りの一部は、海水供給管520及び混合管522を応じて流動する。浄化ユニット550から生成された殺菌剤は、第3注入管558と注入ユニット559を介して、海水供給管520及び混合管522を流動する海水に噴射でき、殺菌剤が噴射されて微生物が死滅した海水は、バラスト水タンク560に供給されてバラスト水として使用できる。
【0305】
続いて、
図35を参照して説明すれば、海水供給管520を介して供給された海水は、フィルターユニット570を通過して粒子の大きい微生物が除去され、一部は海水供給管520に沿って流動し、一部は迂回管528に沿って流動する。海水供給管520は、浄化ユニット550から殺菌剤が噴射される管であり、迂回館528は、フィルターユニット570を通過した海水が直接バラスト水タンク560に流入する管である。
【0306】
海水供給管520に沿って流動した海水と迂回管528に沿って流動した海水は、混合管522で混合されてバラスト水タンク560へ供給される。
【0307】
図34及び
図35を参照して説明したように、汚染物質低減装置500は、排気ガスを除去する機能を使用しなくても、独立的にバラスト水を処理することができる。
【0308】
以下、
図36及び
図37を参照して、汚染物質低減装置500が排気ガスの汚染物質を除去するために動作する過程を説明する。
【0309】
図36は海水供給管に供給された海水がスクラバーを通過した後、外部へ直接排出される方式を示すものであり、
図37は海水供給管に供給された海水がスクラバーを通過した後、循環管を介して再循環する方式を示すものである。
【0310】
まず、
図36を参照すると、海水供給管520を介して流入した海水の一部は、洗浄水供給管530を介してスクラバー540へ供給され、残りの一部は、海水流入管521を介して浄化ユニット550へ供給される。排気ガス管510を介して供給された排気ガスは、スクラバー540の下部から噴射できる。
【0311】
浄化ユニット550は、海水を電気分解して生成した酸化剤を、排気ガスがスクラバー540へ供給される前に噴射することにより、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させることができる。浄化ユニット550は、洗浄水のpH値を考慮して海水供給管520またはスクラバー540に中和剤を一緒に噴射することができる。
【0312】
一方、排気ガスはスクラバー540の下部に満たされた洗浄水中で噴射でき、これにより、1次に窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質が除去できる。また、スクラバー540の上部から噴射される洗浄水によって2次に汚染物質が除去できる。
【0313】
続いて、
図37を参照して説明すれば、海水供給管520を介して流入した海水の一部はスクラバー540へ供給され、一部は浄化ユニット550へ供給される。スクラバー540を通過して洗浄水排出管541へ排出された洗浄水は、再循環タンク590に一時貯蔵されてからさらに循環管591を介して洗浄水供給管530へ循環する。すなわち、
図37の過程は、洗浄水が循環管591を介して再循環することを除けば、残りの過程は
図36の過程と実質的に同様である。
【0314】
海水供給管520を介して流入した海水は、洗浄水供給管530、スクラバー540、洗浄水排出管541、再循環タンク590、循環管591を順次循環し、海水の汚染度、pH値などを考慮して
図36の過程と
図37の過程とを併行することができる。
図37の過程は、海水の排出が制限される地域を通過する場合のように、外部へ海水を排出することができない場合に使用できる。洗浄水をさらに再循環することにより、洗浄水の汚染がひどい場合には、フィルターユニット570を介して固体状粒子を除去した後に外部へ排出し、さらに新しい海水をスクラバー540へ供給することができる。
【0315】
図36及び
図37の過程は、必要に応じて選択的または順次的に使用できる。
【0316】
以下、
図38及び
図39を参照して、汚染物質低減装置500が排気ガスの汚染物質除去とバラスト水の処理を同時に行う過程を説明する。
【0317】
図38は開ループ(open loop)タイプの汚染物質除去方式と直接殺菌方式のバラスト水処理過程を示すものであり、
図39は閉ループ(close loop)タイプの汚染物質除去方式と間接殺菌方式のバラスト水処理過程を示すものである。
【0318】
まず、
図38を参照すると、海水供給管520を介して流入した海水の一部は、洗浄水供給管530を介してスクラバー540へ供給され、残りの一部は、海水流入管521を介して浄化ユニット550へ供給される。
【0319】
排気ガス管510を介して供給される排気ガスは、スクラバー540の下部から噴射でき、浄化ユニット550は、排気ガスがスクラバー540へ供給される前に、酸化剤を噴射して一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させることができる。
【0320】
浄化ユニット550は、洗浄水のpH値を考慮してスクラバー540に中和剤を一緒に噴射することができる。
【0321】
一方、排気ガスはスクラバー540の下部に満たされた洗浄水中で噴射でき、これにより、1次に窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質が除去できる。また、スクラバー540の上部から噴射される洗浄水によって2次に汚染物質が除去できる。
【0322】
スクラバー540を通過した洗浄水は、窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質を含んでおり、洗浄水排出管541を介してフィルターユニット570へ移動する。フィルターユニット570は、洗浄水に含まれている固体状粒子などの汚染物質を分離してスラッジタンク580に貯蔵し、汚染物質の除去された洗浄水は、海水供給管520及び混合管522を通過してバラスト水タンク560に流入し、或いは海水排出管524を介して外部へ排出され得る。このとき、海水流入管521から分岐した合流管527を介してスクラバー40を通過していない外部から流入した海水が海水供給管520に合流され、海水供給管520を流動する汚染物質の除去された洗浄水に混合されることも可能である。
【0323】
一方、海水供給管520を流動する洗浄水と海水との混合水には、第3注入管558及び注入ユニット559を介して、浄化ユニット550から生成された殺菌剤が注入できる。
【0324】
続いて、
図39を参照して説明すれば、海水供給管520を介して流入した海水の一部はスクラバー540へ供給され、一部は浄化ユニット550へ供給される。スクラバー540を通過した洗浄水中の一部は再循環タンク590、循環管591及び洗浄水供給管530を経てスクラバー540に再循環し、残りの一部はフィルターユニット570へ移動することができる。すなわち、
図39の過程は、スクラバー540を通過した洗浄水の一部が再循環タンク590、循環管591及び洗浄水供給管530を経てスクラバー540に再循環し、海水排出管524を介して外部へ洗浄水が排出されないことを除けば、残りの過程は
図38の過程と実質的に同様である。
【0325】
一方、海水供給管520を流動する海水中の一部は、迂回管528に沿って流動して、殺菌剤の注入された海水の流れに混合できる。
【0326】
図38の過程と
図39の過程は、海水に含まれている微生物の量や種類、または必要なバラスト水の量などを考慮して選択的または順次的に使用できる。
【0327】
以上、添付図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、その技術的思想や必須の特徴を変更することなく本発明が他の具体的な形態で実施できることを理解することができるだろう。したがって、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なもので、限定的なものではないと理解すべきである。